特許第6622971号(P6622971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6622971加熱接合材料、接合構造体、並びに加熱接合材料の製造方法及び該加熱接合材料を用いた接合方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622971
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】加熱接合材料、接合構造体、並びに加熱接合材料の製造方法及び該加熱接合材料を用いた接合方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/00 20060101AFI20191209BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20191209BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20191209BHJP
   B22F 9/00 20060101ALI20191209BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20191209BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20191209BHJP
   B22F 7/08 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   B22F1/00 L
   H01B1/22 A
   B22F1/02 A
   B22F1/02 B
   B22F9/00 B
   H01B13/00 503C
   H05K3/32 C
   B22F7/08 C
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-34028(P2015-34028)
(22)【出願日】2015年2月24日
(65)【公開番号】特開2016-156045(P2016-156045A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義浩
(72)【発明者】
【氏名】藤原 英道
【審査官】 藤長 千香子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−097677(JP,A)
【文献】 特開2013−091835(JP,A)
【文献】 特開2000−204401(JP,A)
【文献】 特開2007−273775(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0005247(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/032841(WO,A1)
【文献】 特開平08−227613(JP,A)
【文献】 特開平05−179317(JP,A)
【文献】 特開2013−177618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00−8/00
B22F 9/00−9/30
C22C 1/04−1/05
C22C 33/02
H01B 1/00−1/24
H05K 3/32−3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅ナノ粒子を有する加熱接合材料であって、
前記銅ナノ粒子は、Na及び/又はBiを20ppm以上200ppm以下含み且つ平均一次粒子径が2nm〜500nmであることを特徴とする加熱接合材料。
【請求項2】
前記銅ナノ粒子は、Na及び/又はBiを40ppm以上200ppm以下含むことを特徴とする、請求項1に記載の加熱接合材料。
【請求項3】
Na及び/又はBiからなり、前記銅ナノ粒子の表面をコーティングする被覆層が設けられることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の加熱接合材料。
【請求項4】
前記銅ナノ粒子の表面の有機修飾物の中に、Na及び/又はBiが含まれていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の加熱接合材料。
【請求項5】
前記銅ナノ粒子を含む金属微粒子と有機分散媒とからなり、
前記金属微粒子に対する前記有機分散媒の割合が、質量比で10/90〜70/30であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の加熱接合材料。
【請求項6】
被着体間に配置され且つ当該被着体同士を接合する接合層を有する接合構造体であって、
前記接合層が、銅ナノ粒子を有する加熱接合材料の焼結体からなり、
前記銅ナノ粒子は、Na及び/又はBiを20ppm以上200ppm以下含み且つ平均一次粒子径が2nm〜500nmであり、前記焼結体の結晶粒径が250nm〜630nmであることを特徴とする接合構造体。
【請求項7】
前記銅ナノ粒子は、Na及び/又はBiを40ppm以上200ppm以下含むことを特徴とする、請求項6に記載の接合構造体。
【請求項8】
請求項1記載の加熱接合材料の製造方法であって、
銅ナノ粒子をNa化合物及び/又はBi化合物を含有する溶液に浸漬することにより、前記銅ナノ粒子にNa及び/又はBiを導入し、
前記銅ナノ粒子と有機分散媒とを混合することを特徴とする、加熱接合材料の製造方法。
【請求項9】
請求項1記載の加熱接合材料の製造方法であって、
前記銅ナノ粒子と有機分散媒との混合物に、Na化合物及び/又はBi化合物を含有する溶液とを混合することにより、銅ナノ粒子にNa及び/又はBiを導入することを特徴とする、加熱接合材料の製造方法。
【請求項10】
銅ナノ粒子を含む加熱接合材料によって被着体同士を接合する接合方法であって、
前記加熱接合材料を、前記被着体間にシート状或いはペースト状で配置し、
前記加熱接合材料を加熱及び/又は加圧して、焼結体からなる接合層を形成し、
前記銅ナノ粒子は、Na及び/又はBiを20ppm以上200ppm以下含み且つ平均一次粒子径が2nm〜500nmであることを特徴とする接合方法。
【請求項11】
前記銅ナノ粒子は、Na及び/又はBiを40ppm以上200ppm以下含むことを特徴とする、請求項10に記載の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ、半導体チップ等の電子部品(被着体)を他の被着体と接合するために用いられる、金属微粒子と有機分散媒を含む加熱接合材料に関するものであり、また、当該材料を用いて加熱、又は加圧下での加熱により被着体同士を接合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体部品の大電力化、モジュール化、高集積化、高信頼性化等が急速に進んでいる。このような実装機器の大電力化、高集積化等を実現するための電流密度の増大に伴う半導体製品の発熱により、半導体の動作温度は高温になる傾向にある。従来、ダイボンド材料等に高温での使用に耐えうる、高温鉛はんだが使用されてきたが、環境問題から高温鉛はんだの使用が抑制される傾向にあることから、高温での使用に耐えうる、他のダイボンド材料として、鉛を使用せずにバルク体の金属よりも低温の条件下で接合が可能になる、金属ナノ粒子が配合された導電性ペーストによる接合が着目されている。
【0003】
例えば、金属粒子を配合した加熱接合用のペーストや板状の成形体を用いて、該成形体を加圧下で加熱・焼結して電子部品(例えば半導体チップ)を基板等に接合する方法が知られている。
特許文献1では、金属微粒子の周囲を有機物で被覆した複合型金属ナノ材料による接合が開示されている。
また、特許文献2では、銅や銀などの金属粉末と接着材とによる接合が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−128357号公報
【特許文献2】特開2009−94341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属粒子を含む加熱接合材料を被着体間に配置して加熱・加圧して接合部が形成されているが、接合方法としてはフリップチップボンダーやプレスなどの装置を用いて、半導体チップなどの電子部品を加圧・加熱して実装する方法が一般的である。しかしながら、これらの方法を用いて単に接合しただけでは十分な電気伝導性、熱伝導性が得られず、高い信頼性を得ることができないことが分かってきた。
【0006】
特に、パワー半導体ではその使用環境が厳しいことから、厳しい信頼性試験(熱衝撃試験やパワーサイクル試験等)が求められる。そして、上記の一般的な方法で接合したものでも信頼性試験の結果に大きな差が出てくることが分かってきた。
また、上記特許文献1,2のように金属粉末と有機物とを用いて部材同士を単に接合しただけでは、焼結体の状態が一定でなく、再現性の良い接合を行うことができないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、十分な電気伝導性、熱伝導性が得られると共に、強固な接合を高い再現性で行うことができ、高い信頼性を長期に亘って実現することができる加熱接合材料、接合構造体、並びに加熱接合材料の製造方法及び銅ナノ粒子を用いた接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが鋭意研究した結果、銅ナノ焼結体の結晶粒径がサンプルにより大きく異なることが明らかになった。そして更なる鋭意研究の結果、焼結体の結晶粒径の平均値が250nm以上であれば、信頼性が良好で有ることが明らかとなった。具体的には、焼結体の断面をFIB加工して、SIM観察を行い、任意の20個の粒子の長さを計測し、それらを平均して得られた値が250nm以上であれば、厳しい環境化でも十分な信頼性が得られることが分かった。この理由としては、焼結体の結晶粒径が大きくなることによりバルクの金属に近い性質なり、強度が向上するためと推察される。
【0009】
結晶粒径が大きくなることによる強度向上を確かめるために、ナノインデンターで硬度の測定を行った。その結果、図1に示すように、結晶粒径の増大に伴って硬度が高くなり、機械強度が向上していることがわかる。そのため、焼結体の結晶粒径を大きくすることが信頼性を向上させる手段の一つであることが分かった。
【0010】
また、鋭意研究の結果、焼結体の結晶粒径を大きくするためには、銅を活性化焼結させる方法が効果的であることがわかった。活性化焼結とは、焼結させたい粒子の周りを特定の元素で薄く(1原子層程度)コーティングすることにより、焼結温度を低くしても焼結が可能となる効果のことである。活性化焼結の一般的な例として、W(タングステン)の周りにNi(ニッケル)、Pd(パラジウム)又はPt(白金)を0.1〜数原子層コートしてなるW粒子を用いて、焼結温度1300℃、焼結時間1hで焼結を行った結果を図2に示す(非特許文献 粉末冶金の科学,内田老鶴圃,1996年,第308頁〜第311頁参照)。これによれば、上記加熱条件において、無添加のW粒子では焼結していないが、Ni、Pd或いはPtでコーティングされたW粒子の場合、1原子層程度以上でコーティングすると収縮率が大幅に増大していることから、1300℃で焼結していることが分かる。よってNi、Pd或いはPtで少なくとも1原子量以上コーティングされたW粒子の場合、活性化焼結が起きていると推察される。
【0011】
活性化焼結を起こす元素の組み合わせは、図3のような状態図をとる元素の組み合わせにより実現される。例えば、基地金属をCu(銅)とした場合、添加剤となる元素は、Na(ナトリウム)、Bi(ビスマス)、Pb(鉛)、Tl(タリウム)が該当する。特に、Na、Biは融点が300℃以下と低いため活性化焼結温度も低く、また、毒性が無く、環境負荷物質でもないため、有用である。
【0012】
上記考察から、本発明者らは、加熱接合材料(M)を電子部品の被着体間に配置して加熱及び/又は加熱により接合する際、加熱接合材料に含有される銅ナノ粒子の粒径並びに銅ナノ粒子に導入する元素の種類及び量を規定し、活性化焼結を適度に行わせることにより、焼結体の結晶粒径を最適化することができ、信頼性を向上できることを見出した。
【0013】
そこで本発明は、以下に記載する事項を要旨とする。
(1)Na及び/又はBiを20ppm以上200ppm以下含み且つ平均一次粒子径が2nm〜500nmである銅ナノ粒子を有することを特徴とする加熱接合材料。
(2)Na及び/又はBiからなり、前記銅ナノ粒子の表面をコーティングする被覆層が設けられることを特徴とする、上記(1)記載の加熱接合材料。
(3)前記銅ナノ粒子の表面の有機修飾物の中に、Na及び/又はBiが含まれていることを特徴とする上記(1)記載の加熱接合材料。
(4)前記銅ナノ粒子を含む金属微粒子と有機分散媒とからなり、
前記金属微粒子に対する前記有機分散媒の割合が、質量比で10/90〜70/30であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の加熱接合材料。
(5)被着体間にシート状或いはペースト状で配置され且つ当該被着体同士を接合する接合層を有する接合構造体であって、
前記接合層が、Na及び/又はBiを20ppm以上200ppm以下含み且つ平均一次粒子径が2nm〜500nmである銅ナノ粒子を有する加熱接合材料の焼結体からなることを特徴とする接合構造体。
(6)上記(1)記載の加熱接合材料の製造方法であって、
銅ナノ粒子をNa化合物及び/又はBi化合物を含有する溶液に浸漬することにより、前記銅ナノ粒子にNa及び/又はBiを導入し、
前記銅ナノ粒子と有機分散媒とを混合することを特徴とする、加熱接合材料の製造方法。
(7)上記(1)記載の加熱接合材料の製造方法であって、
前記銅ナノ粒子と有機分散媒との混合物に、Na化合物及び/又はBi化合物を含有する溶液とを混合することにより、銅ナノ粒子にNa及び/又はBiを導入することを特徴とする、加熱接合材料の製造方法。
(8)銅ナノ粒子を含む加熱接合材料によって被着体同士を接合する接合方法であって、
Na及び/又はBiを20ppm以上200ppm以下含み且つ平均一次粒子径が2nm〜500nmである銅ナノ粒子を有する加熱接合材料を、前記被着体間にシート状或いはペースト状で配置し、
前記加熱接合材料を加熱及び/又は加圧して、焼結体からなる接合層を形成することを特徴とする、銅ナノ粒子を用いた接合方法。
【発明の効果】
【0014】
銅ナノ粒子の結晶粒径を大きくすることにより、銅ナノ粒子を含有する加熱接合材料の焼結体の性質がバルク(被着体)の性質に近くなり、伸び及び強度が改善し、信頼性の高い接合を実現することができる。よって、加熱及び/又は加圧下の加熱によって電子部品などの被着体を接合した場合に、十分な電気伝導性、熱伝導性を得ることができ、加えて強固な接合を高い再現性で行うことができ、これにより高い信頼性を長期に亘って実現することが可能となる。
【0015】
本発明では、平均一次粒子径が2nm〜500nmの銅ナノ粒子(P1)と、分子中に2以上の水酸基を有する1種または2種以上の多価アルコールを含む有機分散媒(S)とを含有してなる加熱接合材料(M)を電子部品の被着体間に配置して、加熱、又は加圧下の加熱により接合する。このとき、銅微粒子に導入する元素の種類と量を規定することにより焼結体の結晶粒径を最適化し、信頼性を向上させることに特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】焼結体の結晶粒径と、硬度及び機械強度との関係を示すグラフである。
図2】W(タングステン)粒子を用いた活性化焼結の例を示すグラフである。
図3】活性化焼結を起こす元素の組み合わせを説明するための状態図である。
図4】本発明の実施形態に係る加熱接合材料を用いた接合方法を説明する断面図であり、(a)は焼結前、(b)は焼結後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の化学組成等の限定理由を示す。
〔1〕加熱接合材料(M)
加熱接合材料(M)は、平均一次粒子径が2nm〜500nmの銅ナノ粒子(P1)と、分子中に2以上の水酸基を有する1種または2種以上の多価アルコールを含む有機分散媒(S)とを含有してなる加熱接合材料である。加熱接合材料(M)は、後述するようにシート形状の加熱接合用成形体、又は加熱接合用ペースト状材料とすることができる。
【0018】
(1)金属微粒子(P)
金属微粒子(P)は、焼結性を有する、平均一次粒子径2nm〜500nmの銅ナノ粒子(P1)のみであってもよく、更に該銅ナノ粒子(P1)に、平均一次粒子径0.5〜50μmの金属微粒子(P2)を併用することができる。金属微粒子(P2)としては、特に制限はないが金、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、ニッケル、鉄、コバルト、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン、及びアルミニウムから選択される1種もしくは2種以上の微粒子を使うことができる。
【0019】
加熱接合材料(M)に使用する金属微粒子(P)は、はんだペーストの場合と異なり、少なくとも1種以上の高純度銅微粒子をそのまま使用することができるので、接合強度と導電性に優れる接合構造体を得ることが可能になる。一般に、はんだペーストの場合、実装対象である基板の銅パッド部分の酸化を取り除くためにフラックス(有機成分)を含有しており、更に金属材料に含まれる不純物として少量ではあるがAl、Zn、Cd、As等の金属が含まれることが多い。
【0020】
(イ)銅ナノ粒子(P1)
銅ナノ粒子(P1)は、一次粒子の平均粒子径が2nm〜500nmの銅微粒子であれば特に制限されるものではない。銅ナノ粒子(P1)の一次粒子の平均粒子径が2nm未満のものは製造上の困難性を伴い、一方、一次粒子の平均粒子径が500nm以上では、焼結時に融点が下がらなくなり、焼結性が悪化する。
銅ナノ粒子には不可避的不純物として、B、Ca、Fe、K、Na、Ni、Pb、Sr、Zn、Cr、Mg、Si、Pが30ppm以下程度含まれてもよい。
【0021】
(ロ)金属微粒子(P2)
加熱接合材料(M)に、一次粒子の平均粒子径が2nm〜500nmの銅ナノ粒子(P1)に加えて、一次粒子の平均粒子径0.5μm〜50μmの金属微粒子(P2)を分散させて使用することもできる。金属微粒子としては、特に制限はないが金、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、ニッケル、鉄、コバルト、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン、及びアルミニウムから選択される1種もしくは2種以上の微粒子を使うことができ、特に銅が好ましい。
【0022】
特に、平均一次粒子径が2nm〜500nmの銅ナノ微粒子(P1)と、平均一次粒子径が0.5μm〜50μmの金属微粒子(P2)を共存させると、金属微粒子(P2)間に銅ナノ粒子(P1)が適度な分散状態で介在し、加熱処理する際に銅ナノ粒子(P1)の自由な移動を効果的に抑制することができ、前述の銅ナノ粒子(P1)の分散性と安定性を向上することができ、その結果、加熱焼成でより均質な粒子径と空孔を有する多孔質体を形成することが可能になる。
【0023】
金属微粒子(P2)の平均一次粒子径は、0.5μm〜50μmが好ましい。金属微粒子(P2)の平均一次粒子径が0.5μm未満では、金属微粒子(P2)の添加効果が発現せず、50μmを超えると焼成が困難になるおそれがある。
ここで、銅ナノ粒子(P1)又は金属微粒子(P2)における一次粒子径とは、二次粒子を構成する個々の金属微粒子の一次粒子の直径の意味である。この一次粒子径は、電子顕微鏡(SEM(scanning electron microscope))を用いて測定することができる。本発明では、SEM(日立ハイテクノロジーズ社製、装置名「SU8020」)を用いて、加速電圧3kV、倍率20倍で観察しSEM画像を取得した。そして、その画像の中から任意の20個の粒子を選び、粒子径を測定すると共に、その平均を計算して平均粒径とした。また、平均一次粒子径とは、一次粒子の数平均粒子径を意味する。
【0024】
(2)有機分散媒(S)
有機分散媒(S)には、分子中に2以上の水酸基を有する1種または2種以上の多価アルコール(A1)が含まれるが、他の有機溶媒として、アミド基を有する化合物(A2)、アミン化合物(A3)、低沸点有機溶媒(A4)等を含有させることができる。
【0025】
(イ)多価アルコール(A1)
多価アルコール(A1)としては、分子中に2以上の水酸基を有する、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル2−プロパノール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシト−ル、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセリンアルデヒド、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコ−ス、フルクト−ス、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクト−ス、イソマルト−ス、グルコヘプト−ス、ヘプト−ス、マルトトリオース、ラクツロース、及びトレハロースの中から選択される1種又は2種以上を上げることができる。
【0026】
これらは還元性を有するので金属微粒子(P)表面が還元され、更に加熱処理を行うことで多価アルコール(A1)が連続的に蒸発して、その液体および蒸気が存在する雰囲気で還元・焼成されると金属微粒子(P)の焼結が促進される。尚、加熱接合材料(M)の焼結性を考慮すると、多価アルコール(A1)が有機分散媒(S)中に40質量%以上含有されていることが好ましい。
【0027】
(ロ)アミド基を有する化合物(A2)
アミド基を有する化合物(A2)としては、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルプロパンアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、2−ピロリドン、アルキル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、及びアセトアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、及びN−ビニル−2−ピロリドンの中から選択される1種又は2種以上を例示することができる。また、アミド基を有する化合物(A2)は金属粒子表面を覆う有機修飾物としても用いることができる。アミド基を有する化合物(A2)は、有機分散媒(S)中で10質量%〜80質量%となるように配合することができる。
【0028】
(ハ)アミン化合物(A3)
アミン化合物(A3)としては、脂肪族第一アミン、脂肪族第二アミン、脂肪族第三アミン、脂肪族不飽和アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、及びアルカノールアミンの中から選択される1種又は2種以上のアミン化合物が挙げられ、その具体例としてはメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、t−プロピルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、モノ−n−オクチルアミン、モノ−2エチルヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−2エチルヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−2エチルヘキシルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリイソオクチルアミン、トリイソノニルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルココナットアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、及び2−(2−アミノエトキシ)エタノールの中から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。アミン化合物(A3)は有機分散媒(S)中で0.3〜30質量%となるように配合することができる。
【0029】
(ニ)有機溶媒(A4)
有機溶媒(A4)は、常圧における沸点が60〜120℃(沸点は常圧における沸点をいう。以下同じ)で、比較的沸点の低い有機溶媒である。
有機溶媒(A4)としては、分子中に1つのヒドロキシル基を有するアルコール、エーテル、及びケトンから選択される1種又は2種以上が好ましい。
【0030】
前記分子中に1つのヒドロキシル基を有するアルコールとしては、メタノール(64.7℃)、エタノール(78.0℃)、1−プロパノール(97.15℃)、2−プロパノール(82.4℃)、2−ブタノール(100℃)、2−メチル2−プロパノール(83℃)の中から選択される1種又は2種以上を例示することができる。前記エーテルとしては、ジエチルエーテル(35℃)、メチルプロピルエーテル(31℃)、ジプロピルエーテル(89℃)、ジイソプロピルエーテル(68℃)、メチル−t−ブチルエーテル(55.3℃)、t−アミルメチルエーテル(85℃)、ジビニルエーテル(28.5℃)、エチルビニルエーテル(36℃)、アリルエーテル(94℃)の中から選択される1種又は2種以上を例示することができる。また、前記ケトンとしては、アセトン(56.5℃)、メチルエチルケトン(79.5℃)、ジエチルケトン(100℃)の中から選択される1種又は2種以上を例示することができる。
【0031】
有機分散媒(S)中に低沸点有機溶媒である有機溶媒(A4)が含まれることで、有機分散媒(S)の粘度を調整してパターン形成の精度を向上することができる。
有機分散媒(S)中の有機溶媒(A4)の含有割合は1質量%〜30質量%程度配合することができる。
【0032】
(3)加熱接合材料(M)の性状
本発明の加熱接合材料(M)は、金属微粒子(P)が有機分散媒(S)中に分散している、常温でシート形状の加熱接合用成形体(T1)、又は加熱接合用ペースト状物(T2)とすることができる。また、加熱接合材料(M)は、被接合面(例えば、銅板の表面)に、加熱接合材料(M)からなるパターン化物を配置することができる。この場合、上記パターン化物上に半導体チップ(K)を配置して、金属微粒子(P)が焼結する温度の範囲で加熱すると、多価アルコール(A1)が銅ナノ粒子(P1)表面を還元して活性化し、金属微粒子(P)同士の焼結が促進される。その結果、ナノサイズの金属微粒子を含むペースト状物を用いた場合と同様に、電極と基板を電気的、機械的に接合することが可能になる。尚、加熱接合材料(M)を加熱焼結する際に有機分散媒(S)は分解、蒸発等により除去される。
【0033】
銅ナノ粒子(P1)の表面には、Na及び/又はBiからなり且つ銅ナノ粒子の表面を少なくとも1原子層の厚みでコーティングする被覆層が設けられている。また、Na及び/又はBiは、銅ナノ粒子(P1)に20ppm以上200ppm以下の範囲内の濃度で付加されている。
【0034】
本発明におけるコーティングとは、Na及び/又はBi元素によって銅ナノ粒子(P1)の表面の全部又は一部が覆われることを意味する。上記被覆層は、銅ナノ粒子表面の全部をコーティングすることが好ましいが、必ずしも銅ナノ粒子(P1)の全表面が被覆層で覆われている必要は無く、活性化焼結に影響を及ぼさない範囲で、銅ナノ粒子表面の一部に被覆層が形成されていてもよい。またこのとき、上記濃度で含有されるNa及び/又はBiの一部が銅ナノ粒子(P1)の表面に付加され、残りが有機分散媒(S)中に存在してもよいし、Na及び/又はBiは、銅ナノ粒子表面を修飾している有機修飾物の中に含まれていてもよい。
【0035】
加熱接合材料(M)における、有機分散媒(S)/金属微粒子(P)の割合(質量比)は、パターニングと焼結性を考慮し、安定した接合力を得るためには10/90〜70/30が望ましいが、シート形状の加熱接合成形体(T1)、又は加熱接合ペースト状物(T2)のいずれを選択するかによって、その割合が決定される。
加熱接合材料(M)は、公知の混合機、捏和機等を使用して、金属微粒子(P)を有機分散媒(S)に分散させることにより得ることができる。加熱接合材料(M)は、はんだペーストに含まれるようなAl,Zn、Cd、As等の不純物を含まない、高純度の金属微粒子(P)を使用することが可能であるので、接合強度と導電率の双方を向上することが可能になる。
【0036】
〔2〕加熱接合材料(M)による接合方法
上記シート形状の加熱接合用成形体(T1)又は加熱接合用ペースト状物(T2)を焼結させることにより、被着体同士を接合する接合層を有する接合構造体を形成することができる。
例えば、図4(a)に示すように、加熱接合材料1を基板11(第1被着体)と半導体チップ12(第2被着体)の間に配置し、その後この被処理体を真空中でプレス可能な装置に導入する。加熱接合材料がペースト状材料の場合には、接合される面の一方又は両方に塗布や印刷法を用いることにより、接合層を形成することができる。
次いでヒータを内蔵したプレス板で被処理体を挟み、その後、真空引きを行って十分に減圧にする。このとき、絶対圧には大気圧分の圧力が加えられているので、それを考慮したゲージ圧にて油圧や空圧により圧力を加える。加熱焼結温度190〜400℃程度に達したら、10分間〜120分間程度保持することが好ましい。
【0037】
その後、ヒータ板を加熱して所定の温度、時間を経た後、加圧を終了して試料を取り出す。そして、190〜400℃の大気ないしは不活性雰囲気、水素等の還元雰囲気下で1時間〜30時間程度アニール処理をしてもよい。このアニール処理により接合層における歪みや残留応力が除去され、更に信頼性が向上する。
【0038】
上記の接合方法により、加熱接合材料1が焼結されて銅ナノペーストの焼結体からなる接合層1’が形成され、基板11と半導体チップ12が接合層1’によって接合された半導体デバイスを得ることができる(図4(b))。このように、基板と加熱接合材料、及び該加熱接合材料と半導体チップをそれぞれ接触させた状態で、これらを加熱及び/又は加圧することにより、加熱接合材料12中の銅微粒子が焼結されて、多孔質状の接合層1’が形成され、基板11及び半導体チップ12が互いに接合される。
【0039】
本方法により形成される接合層(L)の厚みは、0.005〜0.500mmである。該厚みが0.005mm未満では、半導体チップ(K)の凹凸よりもペースト厚が薄くなり、一部ペーストで覆われない部分が発生し接合信頼性が低下する。一方、0.500mmを越えると熱抵抗が大きくなり、好ましくない。したがって、本実施形態における接合層(L)の厚みは、0.005〜0.500mmの範囲内の値とする。
【実施例】
【0040】
本発明の実施形態を以下の実施例に基づき、さらに詳細に説明する。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
<銅微粒子にNa,Biを導入する方法>
(1)使用した材料
(イ)銅ナノ粒子の調整
金属微粒子(P)として、銅ナノ粒子(P1)を使用する。銅ナノ粒子(P1)にNa及び/又はBiの元素(添加元素)を導入する為に、平均一次粒径50nmの乾燥銅ナノ粒子80gを0.01〜1mol/LのNaCl溶液1Lに1時間浸漬し、遠心分離により固液分離を行った。その後、メタノール300mlで洗浄後再度遠心分離を行い、固液分離を行った。次に100℃に加熱し、真空下で乾燥した。溶液の濃度を変えて銅ナノ粒子に残留したNa濃度を測定したところ、NaCl溶液が0.003mol/Lの場合Na残留濃度が10ppmとなり、0.03mol/Lの場合Na残留濃度が100ppm、0.06mol/Lの場合Na残留濃度が200ppmとなり、0.3mol/Lの場合Na残留濃度が1000ppmとなった。Naの分析は、ICP発光分光分析法(ICP−AES)により測定した。
【0042】
Biについては、BiClをエタノールに溶解した溶液で行った。乾燥銅ナノ粒子80gを0.04mol/LのBiCl−エタノール溶液1Lに1時間浸漬し、遠心分離により固液分離を行った。その後、メタノール300mlで洗浄後再度遠心分離を行い、固液分離を行った。その後100℃に加熱し、真空下で乾燥した。その結果、銅ナノ粒子には50ppmのビスマスが残留した。
【0043】
また、NaとBiの両方を導入する方法として、乾燥銅ナノ粒子80gを0.03mol/LのNaCl溶液1Lに1時間浸漬し、遠心分離により固液分離を行った。その後、メタノール300mlで洗浄後再度遠心分離を行い、固液分離を行った。次に100℃に加熱し、真空下で乾燥した。次に、0.04mol/LのBiCl−エタノール溶液1Lに1時間浸漬し、遠心分離により固液分離を行った。その後、メタノール300mlで洗浄後、再度遠心分離を行い、固液分離を行った。その後100℃に加熱し、真空下で乾燥した。その結果、銅ナノ粒子にはナトリウム80ppm、ビスマス50ppmが残留した。
【0044】
また、比較例として、SnについてはSnCl・2HOをエタノールに溶解した液で行った。平均一次粒径50nmの乾燥銅ナノ粒子80gを0.04mol/LのSnCl・2HO−エタノール溶液1Lに1時間浸漬し、遠心分離により固液分離を行った。その後、メタノール300mlで洗浄後再度遠心分離を行い、固液分離を行った。その後100℃に加熱し、真空下で乾燥した。その結果、粒子には150ppmのスズが残留した。
【0045】
(ロ)加熱接合材料の調製
実施例において、グリセリン20gからなる分散媒に、平均一次粒子径50nmの銅微粒子80gを、乳鉢によって十分混合することで加熱接合材料を得た。得られた加熱接合材料をプレスして、厚み0.5mmの加熱接合シート体を得、該加熱接合シート体を切断して、加熱接合成形体を作製した。
【0046】
(ハ)被着体としての基板及び電子部品
(i)基板
基板は調質が半硬質の無酸素銅板を用いた。厚さは1.2mmのものを使用した。
(ii)電子部品
電子部品として、長さ、幅、厚さのサイズが7mm×7mm×0.23mmであるシリコンチップに、エッチング処理された面にスパッタによりTi/Au=100/250nmを形成した物を用いた。
【0047】
(2)評価方法
接続信頼性を以下の方法で評価した。作製したシリコンチップ実装サンプルについて、−55℃で30分と、200℃で30分の冷熱衝撃試験(TCT試験)を行った。信頼性の低いものは低サイクルで故障するので、20回、50回、75回、100回ごとに取り出して、割れや剥離が無いか目視にて検査し、以後100回ごとに取り出して同様の方法で検査した。その後、超音波顕微鏡(日立建機社製、 装置名「Mi-Scope」)とプローブ(型式「PQ2−13」、50MHz)を使用して、半導体素子側から超音波を照射し、反射法で半導体素子裏面から金属部材表面まで入るようにゲートを調整し、剥離の測定を行った。剥離面積が10%を超えたものを故障と判定した。故障と判定されるまでのTCT回数が200回以上である場合を良好「○」、200回未満である場合を不良「×」と判定した。
【0048】
上記の方法により種々のナトリウム、ビスマス、スズ濃度を有するサンプルを作成し、冷熱衝撃試験(TCT)試験を行い、サンプルの寿命を測定した。その結果を表1に実施例1〜5、比較例1〜4として示す。
【0049】
【表1】
表1により、以下のことが明らかである。実施例1〜3では、ナトリウム20ppm、40ppm、180ppmをそれぞれ銅ナノ粒子に導入した結果、ナトリウム濃度が大きくなるにつれて、焼結体の結晶粒径が大きくなり、故障と判定されるまでのTCT回数が200回、1000回、1000回といずれも大幅に増大し、信頼性が向上した。また実施例4では、ビスマス50ppm銅ナノ粒子に導入した結果、結晶粒径が増大し、故障と判定されるまでのTCT回数が300回と大幅に増大した。実施例5では、ナトリウムとビスマスの双方の合計で130ppmを銅ナノ粒子に導入した結果、焼結体の結晶粒径が大きくなり、故障と判定されるまでのTCT回数が1000回と大幅に増大した。
【0050】
一方、比較例1では、銅ナノ粒子にナトリウムを導入しなかったため(ナトリウム10ppmは、不可避的に添加されたもの)、故障と判定されるまでのTCT回数が50回であった。また、比較例2では、銅ナノ粒子にスズ150ppmを導入したが、故障と判定されるまでのTCT回数が50回であった。
また、比較例3,4では、ナトリウム300ppm、400ppmをそれぞれ銅ナノ粒子に導入した結果、TCT回数がそれぞれ100回、20回であった。これは、ナトリウムの添加により粒径は大きくなるものの、ナトリウムは銅に固溶しないため銅ナノ粒子の粒界にナトリウムが過剰に偏析するため、かえって機械強度が低下し、信頼性が悪化すると推察される。
【0051】
<銅ナノペーストにNa,Biを導入する方法>
(1)使用した材料
(イ)銅ナノ粒子の調整
ペーストに含有させる金属微粒子(P)として、銅ナノ粒子(P1)を使用する。
(ロ)加熱接合材料の調製
グリセリン20gからなる分散媒に1mol/LのNaClを溶かした溶液を0.53ml加え、平均一次粒子径50nmの銅ナノ粒子80gを、乳鉢によって十分混合することで加熱接合材料を得た。得られた加熱接合材料をプレスして厚み0.5mmの加熱接合シート体を得、該加熱接合シート体を切断して、加熱接合成形体を作製した。
【0052】
(ハ)基板と電子部品
(i)基板
基板は調質が半硬質の無酸素銅板を用いた。厚さは1.2mmである。
(ii)電子部品
電子部品として、長さ、幅、厚さのサイズが7mm×7mm×0.23mmであるシリコンチップに、エッチング処理された面にスパッタによりTi/Au=100/250nmを形成した物を用いた。
【0053】
(2)評価方法
接続信頼性を以下の方法で評価した。作製したシリコンチップ実装サンプルについて、−55℃で30分と、200℃で30分の冷熱衝撃試験(TCT試験)を行った。信頼性の低いものは低サイクルで故障するので、20回、50回、75回、100回毎に取り出して割れや剥離が無いか目視にて検査し、以後100回ごとに取り出して同様の方法で検査した。その後、超音波顕微鏡(日立建機社製、装置名「Mi-Scope」)とプローブ(型式「PQ2−13」、50MHz)を使用して、半導体素子側から超音波を照射し、反射法で半導体素子裏面から金属部材表面まで入るようにゲートを調整し、剥離の測定を行った。剥離面積が10%を超えた物を故障と判定した。故障と判定されるまでのTCT回数が200回以上を良好と判定した。
上記の方法により銅ナノペーストにナトリウムを導入し、サンプル作成を行ったのち、冷熱衝撃試験(TCT)試験を行い、サンプルの寿命を測定した。結果を表1に示す。
【0054】
表1に示すように、実施例6では、ナトリウム150ppmを銅ナノペーストに導入した結果、故障と判定されるまでのTCT回数が1000回であり、銅ナノ粒子にナトリウムを導入した場合と同様、故障と判定されるまでのTCT回数が大幅に向上した。
【符号の説明】
【0055】
1 加熱接合材料
1’ 接合層
11 基板
12 半導体チップ
図1
図2
図3
図4