特許第6622973号(P6622973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6622973
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】グロメットインナ及びグロメット
(51)【国際特許分類】
   H01B 17/58 20060101AFI20191209BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20191209BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   H01B17/58 C
   H02G3/22
   B60R16/02 622
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-37738(P2015-37738)
(22)【出願日】2015年2月27日
(65)【公開番号】特開2016-162521(P2016-162521A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2017年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】金次 良高
(72)【発明者】
【氏名】森野 智
(72)【発明者】
【氏名】中津 朱里
(72)【発明者】
【氏名】小林 康浩
【審査官】 和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−223747(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/035795(WO,A1)
【文献】 特開2006−280112(JP,A)
【文献】 特開2014−135845(JP,A)
【文献】 特開2013−132167(JP,A)
【文献】 特開2001−231133(JP,A)
【文献】 特開2012−026485(JP,A)
【文献】 特開2013−115856(JP,A)
【文献】 特開2013−151251(JP,A)
【文献】 特開2003−319537(JP,A)
【文献】 米国特許第07244894(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 17/58
H02G 3/22
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グロメットにおいて、装着対象箇所に装着する装着部を、装着部本体とともに構成するグロメットインナであって、
前記装着対象箇所の装着孔に挿入して装着するクリップを備え、
該クリップを、
クリップ本体と、
装着方向に延設し、前記装着孔に係止する係止片と、
前記クリップ本体より、前記装着方向に対して交差する方向の外側に突出するとともに、前記装着対象箇所より変形性が高い突出部とで構成し、
前記クリップ本体の外形を、前記装着方向からみて略長方形状に形成し、
前記係止片を、前記クリップ本体の長辺に配置した長辺側係止片と、短辺に配置した短辺側係止片とで構成するとともに、
前記突出部を、前記クリップ本体における長辺方向に突出するように、前記クリップ本体の1組の対角の前記短辺にそれぞれ配置した短辺側突出部で構成し、
前記長辺側係止片及び前記短辺側係止片を、前記短辺側突出部に近接して配置した
グロメットインナ。
【請求項2】
組み付けて略筒状となるサブグロメットインナを備え、
前記クリップの裏面側から組み付け状態の前記サブグロメットインナの内面まで突出する内側リブを備えた
請求項1に記載のグロメットインナ。
【請求項3】
前記短辺側突出部の外側面を、前記クリップ本体における短辺方向の内側に湾曲させた湾曲面で構成した
請求項1又は2に記載のグロメットインナ。
【請求項4】
前記クリップ本体を、前記装着方向からみて略矩形状に形成するとともに、前記長辺方向に所定間隔隔てて配置した複数の本体構成部で構成し、
前記クリップ本体に、前記本体構成部同士を連結する連結リブを備えた
請求項1から3のうちのいずれかに記載のグロメットインナ。
【請求項5】
グロメットにおいて、装着対象箇所に装着する装着部を、装着部本体とともに構成するグロメットインナであって、
前記装着対象箇所の装着孔に挿入して装着するクリップを備え、
該クリップを、
クリップ本体と、
装着方向に延設し、前記装着孔に係止する係止片と、
前記クリップ本体より、装着方向に対して交差する方向の外側に突出するとともに、前記装着対象箇所より変形性が高い突出部とで構成し、
組み付けて略筒状となるサブグロメットインナを備え、
前記クリップの裏面側から組み付け状態の前記サブグロメットインナの内面まで突出する内側リブを備えた
グロメットインナ。
【請求項6】
前記クリップを、合成樹脂で構成するとともに、
前記クリップ本体を、内部中空状に形成した
請求項1から5のうちのいずれかに記載のグロメットインナ。
【請求項7】
請求項1から6のうちのいずれかに記載のグロメットインナと、
前記装着部本体とで構成した前記装着部を備えた
グロメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、回動するドアから車室内に架け渡されるワイヤハーネスを保護するグロメット、及び該グロメットを構成するグロメットインナに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のドアなどは、車両本体に開閉自在に取り付けられているため、車両本体とドアとを架け渡すワイヤハーネスを保護するために、例えば、特許文献1に記載のグロメットが提案されている。
【0003】
特許文献1に記載にグロメットは、ゴムで構成したグロメット本体と、弾性変形可能な樹脂材料で構成したグロメットインナとで構成しており、該グロメットインナに、ドアパネルに形成したクリップ係合孔に挿入して装着するクリップを備えている。
【0004】
このグロメットに備えたクリップは、弾性変形可能な樹脂材料を用いて、挿入方向に突出する楕円柱状に形成されており、挿入方向からみたクリップの大きさが、クリップ係合孔よりも大きいため、クリップ係合孔にクリップを押し込むことで容易に取り付けることができるとされている。
【0005】
しかしながら、弾性変形可能な樹脂材料を用いて形成したクリップは、クリップ係合孔に押し込むことで取り付けることができる一方、走行時の振動などによって、抜け出し方向の力が作用すると、クリップ係合孔から抜け出すおそれがあり、安定した装着状態を保持することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−168466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、安定した装着状態を保持できるグロメットインナ及びグロメットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、
グロメットにおいて、装着対象箇所に装着する装着部を、装着部本体とともに構成するグロメットインナであって、前記装着対象箇所の装着孔に挿入して装着するクリップを備え、該クリップを、クリップ本体と、装着方向に延設し、前記装着孔に係止する係止片と、前記クリップ本体より、装着方向に対して交差する方向の外側に突出するとともに、前記装着対象箇所より変形性が高い突出部とで構成し、前記クリップ本体の外形を、前記装着方向からみて略長方形状に形成し、前記係止片を、前記クリップ本体の長辺に配置した長辺側係止片と、短辺に配置した短辺側係止片とで構成するとともに、前記突出部を、前記クリップ本体における長辺方向に突出するように、前記クリップ本体の1組の対角の前記短辺にそれぞれ配置した短辺側突出部で構成し、前記長辺側係止片及び前記短辺側係止片を、前記短辺側突出部に近接して配置したことを特徴とする。
【0009】
上記装着対象箇所より変形性が高い突出部とは、例えば、車両を構成する金属製のパネルより変形性が高い合成樹脂製の突出部、或いは、ゴム製の突出部などを含む概念である。
【0010】
上記クリップの対角に配置する短辺側突出部とは、長方形状に形成したクリップの対角のうち少なくとも1組の対角に配置した短辺側突出部を含む概念である。
上記短辺側突出部に近接して配置した長辺側係止片及び短辺側係止片とは、少なくとも一部が短辺側突出部に接するように配置した長辺側係止片及び短辺側係止片、或いは、短辺側突出部からわずかに離間するように配置した長辺側係止片及び短辺側係止片などを含む概念である。
【0011】
この発明により、安定した装着状態を保持することができる。
詳述すると、クリップに係止片を備えたことで、クリップが装着孔から不用意に抜け出すことを防止できるため、装着孔に対する装着状態を確実に保持することができる。
これにより、装着孔に装着する際のクリップの挿入力が増大することを抑制できる。
【0012】
さらに、装着対象箇所より変形性が高い突出部をクリップに備えたことで、突出部が変形しながら装着孔に装着されるため、装着孔に対してクリップを確実に装着して、装着状態を保持することができる。
【0013】
しかも、突出部を備えたクリップの外形は、突出部によって形成されるため、同じ大きさで、突出部を備えていない内部中実状のクリップと比べて、クリップを形成する材料量を低減することができる。
これにより、合成樹脂などで構成したクリップであっても、冷却収縮によるいわゆるヒケなどの発生を抑制することができるため、精度よくクリップを形成することができる。
【0014】
従って、装着孔に変形しながら装着される突出部と、挿入力の増大を防止する係止片とで構成する高精度なクリップによって、装着孔に対してクリップを容易に装着することができるとともに、安定した装着状態を確実に保持することができる。
【0015】
この発明の態様として、前記クリップ本体の外形を、前記装着方向からみて略長方形状に形成し、前記係止片を、前記クリップ本体の長辺に配置した長辺側係止片と、短辺に配置した短辺側係止片とで構成するとともに、前記突出部を、前記長辺方向に突出するように、前記クリップ本体の1組の対角の前記短辺にそれぞれ配置した短辺側突出部で構成し、前記長辺側係止片及び前記短辺側係止片を、前記短辺側突出部に近接して配置することにより、クリップを装着孔に対してバランスよく装着することができる。
【0016】
詳述すると、短辺側突出部をクリップ本体の対角に配置するとともに、長辺側係止片及び短辺側係止片を、それぞれの短辺側突出部に近接して配置した、つまり、短辺側突出部、長辺側係止片及び短辺側係止片を、クリップ本体の対角に配置したことで、短辺側突出部が装着孔の短辺に沿った短辺方向及び長辺に沿った長辺方向の両方向に作用するとともに、長辺側係止片及び短辺側係止片が互いに協働して、クリップを装着孔に対してバランスよく装着することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記短辺側突出部の外側面を、前記クリップ本体における短辺方向の内側に湾曲させた湾曲面で構成することができる。
上記短辺側突出部の外側面を、短辺方向の内側に湾曲させた湾曲面とは、短辺側突出部における短辺方向の外側の面を、突出方向に向けて徐々に短辺方向の内側に湾曲する円弧状の湾曲面、楕円弧状の湾曲面、或いは、両端部を円弧状に形成したテーパ状の湾曲面などを含む概念である。
【0018】
この発明により、装着孔の形状が長方形状のみならず、例えば、長楕円形状であっても、湾曲面を有する短辺側突出部が装着孔に沿うように変形するため、装着孔に対してクリップを確実に装着でき、安定した装着状態を保持することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記クリップ本体を、前記装着方向からみて略矩形状に形成するとともに、前記長辺方向に所定間隔隔てて配置した複数の本体構成部で構成し、前記クリップ本体に、前記本体構成部同士を連結する連結リブを備えることができる。
【0020】
この発明により、クリップとして機能するための剛性を確保しながらも、装着孔に対してクリップの装着を容易に行うことができる。
詳述すると、クリップ本体を、複数の本体構成部で構成することで、本体構成部のそれぞれが、装着孔に対する挿入に追従できるため、装着孔に対する装着自由度が向上し、装着孔に対してクリップを容易に装着することができる。
【0021】
さらに、クリップ本体に、本体構成部同士を連結する連結リブを備えたことで、装着孔への挿入に追従するそれぞれの本体構成部同士を連結して、装着孔に対する装着状態を保持するための剛性を確保することができる。
【0022】
従って、クリップとして機能するための剛性を保持しながらも、装着孔への挿入に本体構成部のそれぞれが追従するため、装着孔に対してクリップを容易に装着でき、装着孔に対する装着作業性を向上させることができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記クリップを、合成樹脂で構成するとともに、
前記クリップ本体を、内部中空状に形成することができる。
この発明により、精度よくクリップ本体を形成することができる。
詳述すると、クリップ本体を合成樹脂で構成したことで、一般的な車両を構成する金属製のパネルよりも確実に変形性を向上させることができる。
【0024】
さらに、クリップ本体を内部中空状に形成したことで、クリップ本体を形成する材料量を低減できるとともに、クリップ全体の板厚に大きなばらつきが生じることを防止できるため、上述のようなヒケなどの発生を抑制することができる。
従って、装着対象箇所よりも変形性を向上させた合成樹脂製のクリップを、ヒケなどが発生することなく、精度よく所望の形状に形成することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、組み付けて略筒状となるサブグロメットインナを備え、前記クリップの裏面側から組み付け状態の前記サブグロメットインナの内面まで突出する内側リブを備えることができる。
【0026】
この発明により、装着孔に対する装着を確実に行うことができる。
【0027】
詳述すると、組み付いて略筒状となるサブグロメットインナを備えたことで、装着孔に対するクリップの装着作業は、サブグロメットインナを装着方向に押し込むこととなるが、クリップの裏面側から組み付け状態のサブグロメットインナの内面まで突出する内側リブを備えたことで、サブグロメットインナを装着方向に押し込む際にサブグロメットインナが撓んで変形することを防止し、装着孔に対してクリップを確実に装着することができる。
【0028】
またこの発明は、上記グロメットインナと前記装着部本体とで構成した前記装着部を備えたグロメットであることを特徴とする。
この発明により、装着対象箇所に対して安定した装着状態を保持するグロメットを構成することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、安定した装着状態を保持できるグロメットインナ及びグロメットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】使用状態におけるグロメットの斜視図。
図2】グロメットの斜視図。
図3】グロメットの分解斜視図。
図4】第1グロメットインナの説明図。
図5】グロメットインナの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明の一実施形態を、図1から図5を用いて説明する。
図1は、車両に装着した使用状態のグロメット1を車室内側からみた斜視図を示し、図2は、ドア側装着部4側からみたグロメット1の斜視図を示し、図3は、ドア側装着部4側からみたグロメット1の分解斜視図を示している。
【0032】
図4(a)は、クリップ61側からみた第1グロメットインナ60の斜視図を示し、図4(b)は、反対側からみた第1グロメットインナ60の斜視図を示し、図5(a)は、クリップ61側からみたグロメットインナ6の正面図を示し、図5(b)は、図5(a)中のA−A矢視断面図を示している。
なお、図1は、グロメット1を車両に装着した状態の斜視図を示しているが、車両を構成するボディパネル8及びドアパネル9と、ワイヤハーネスWHとを透過状態で示している。
【0033】
本実施形態におけるグロメット1は、図1に示すように、車両の側面を構成する金属製のボディパネル8と、該ボディパネル8に対して回動する金属製のドアパネル9とに架け渡すワイヤハーネスWHを囲繞して保護するものであって、一般的には、ドアパネル9をボディパネル8に対して回動自在に取り付けるヒンジ(図示省略)付近における、ボディパネル8とドアパネル9との狭隙空間に配置される。
【0034】
このグロメット1は、図2に示すように、ドアパネル9の開閉に応じて屈曲する筒状のグロメット本体2と、該グロメット本体2の一端に配置し、ボディパネルに装着するボディ側装着部3と、グロメット本体2の他端に配置し、ドアパネル9に装着するドア側装着部4とで構成するとともに、内部にワイヤハーネスWHを挿通する電線挿通路1aを形成している。
【0035】
グロメット本体2は、蛇腹状の円筒状に形成されており、作用する外力に応じて、軸方向に交差する方向に曲がる可撓性を有している。
ボディ側装着部3は、ボディパネル8に形成した貫通孔80に貫通するワイヤハーネスWHを囲繞して、貫通孔80を覆うようにボディパネルに装着される。
【0036】
ドア側装着部4は、図1に示すように、ドアパネル9に沿って配索するワイヤハーネスWHを、ドアパネル9に装着する非貫通の装着部であって、図3に示すように、ドアパネル9に密着するように装着されるドア側装着部本体5と、ドアパネル9に装着した状態を保持するグロメットインナ6とで構成している。
【0037】
なお、このドア側装着部4は、図2及び図5(b)に示すように、側面からみて略L字状に形成されているため、ドア側装着部4を構成するドア側装着部本体5及びグロメットインナ6も側面からみて略L字状に形成されている。従って、後述するグロメットインナ6を構成する第1グロメットインナ60及び第2グロメットインナ70も側面からみて略L字状に形成されている。
【0038】
側面視略L字状のドア側装着部本体5は、厚み方向の一方側の面が開口するようにゴムで構成しており、グロメットインナ6を取り付ける取り付け部51と、ドアパネル9に装着した状態において、ドアパネル9に密着する密着部52とを備えている。
【0039】
取り付け部51は、グロメットインナ6を内部に保持できるように、グロメットインナ6の外形と同等の内形に形成されており、グロメットインナ6を取り付ける取り付け口511を備えている。
取り付け口511の外形は、取り付け部51にグロメットインナ6を圧入できるように、グロメットインナ6の外形よりわずかに小さく形成されている。
密着部52は、ドア側装着部本体5の外周に配置されている。
【0040】
側面視略L字状のグロメットインナ6は、合成樹脂で構成されており、ドアパネル9への装着状態を保持する第1グロメットインナ60と、該第1グロメットインナ60と組み付けた状態で、内部空間を有する略筒状を構成する第2グロメットインナ70とで構成している。
【0041】
側面視略L字状の第1グロメットインナ60は、図4(a)及び図4(b)に示すように、ドアパネル9に形成した装着孔90に装着するクリップ61と、該クリップ61の裏面側から第2グロメットインナ70の内面まで突出する内側リブ62と、第2グロメットインナ70との組み付け状態を保持する第1組み付け保持部63とを備えている。
なお、ドアパネル9に形成した装着孔90は、図1に示すように、クリップ61の装着方向Xからみて長方形状に形成されている。
【0042】
クリップ61は、合成樹脂で構成するとともに、図4(a)及び図5(a)に示すように、略長方形状のクリップ本体611と、該クリップ本体611から突出する突出部612と、クリップ本体611から延設して装着孔に係止する係止片613とで構成している。
【0043】
クリップ本体611は、ドア側装着部4の装着方向Xからみて略長方形状に形成されており、クリップ本体611の長辺方向に沿って所定間隔隔てて2つ配置した内部中空状で略矩形状の本体構成部611aと、該本体構成部611aを連結する十字状の連結リブ611bとを備えている。
【0044】
突出部612は、クリップ本体611の1組の対角に近接するそれぞれの短辺から長辺方向に沿って突出する短辺側突出部612aで構成している。
詳しくは、突出部612を、外側面がクリップ本体611の長辺と略一致するように配置している。
【0045】
短辺側突出部612aは、長辺の延長上の角部を円弧状に形成した円弧面612bを備えている。
【0046】
係止片613は、クリップ本体611の先端から基端に向けて装着方向Xに沿って延設され、装着方向Xに交差する方向に弾性変形可能な構成となっており、クリップ本体611の長辺に配置した長辺側係止片613aと、クリップ本体611の短辺に配置した短辺側係止片613bとで構成している。
【0047】
長辺側係止片613aは、上記対角に近接するそれぞれの長辺に配置されている。
短辺側係止片613bは、短辺側突出部612aに近接するそれぞれの短辺に配置されている。
詳しくは、長辺側係止片613aを、上記対角からわずかに長辺方向の内側に配置しており、短辺側係止片613bを、短辺側突出部612aとわずかに離間させて配置している。
【0048】
上述のように、クリップ本体611の対角に近接する位置にそれぞれ配置した短辺側突出部612a、長辺側係止片613a及び短辺側係止片613bで構成するクリップ61は、装着方向Xからみて、連結リブ611bを中心に回転対称形状となる。
【0049】
内側リブ62は、図4(b)及び図5(b)に示すように、クリップ本体611の長辺方向に伸びるとともに、クリップ61の裏面側から組み付け状態における第2グロメットインナ70まで突出して内部空間を2分している。
第1組み付け保持部63は、第2グロメットインナ70との組み付け状態を保持するものであって、第1グロメットインナ60の外周に、所定間隔隔てて5つ備えられている。
【0050】
側面視略L字状の第2グロメットインナ70は、図3に示すように、第1組み付け保持部63と係止して、第1グロメットインナ60との組み付け状態を保持する第2組み付け保持部71と、組み付け状態における内側リブ62の配置位置を保持する位置保持リブ72とを備えている。
【0051】
第2組み付け保持部71は、第1グロメットインナ60との組み付け状態において、第1組み付け保持部63に対応する位置に配置されている。
位置保持リブ72は、第1グロメットインナ60と第2グロメットインナ70との組み付け状態において、内側リブ62を短辺方向に2箇所で挟持するように4つ配置されている。
【0052】
上述のように構成した第1グロメットインナ60と第2グロメットインナ70は、第1組み付け保持部63と第2組み付け保持部71とを係止させて組み付け、内部空間を有する略筒状のグロメットインナ6を構成している。
このとき、内側リブ62は、第2グロメットインナ70の内面に当接するとともに、位置保持リブ72に挟持される態様となる。
【0053】
このグロメットインナ6は、ドア側装着部本体5の取り付け口511から圧入するように取り付け部51に取り付けられ、ドア側装着部4を構成している。
そして、グロメット本体2、ボディ側装着部3及びドア側装着部4で構成するグロメット1は、各部をそれぞれ連通する電線挿通路1aにワイヤハーネスWHを挿通して囲繞することができる。
【0054】
上述のように構成したグロメット1は、電線挿通路1aに挿通したワイヤハーネスWHをドアパネル9に配索したあと、ボディパネル8とドアパネル9とを架け渡すように、ボディ側装着部3をボディパネル8に装着するとともに、ドア側装着部4をドアパネル9に装着する。
【0055】
上述のように構成した第1グロメットインナ60で構成するグロメットインナ6と、ドア側装着部本体5とで構成したドア側装着部4を備えたグロメット1は、ドアパネル9に対して安定した装着状態を保持することができる。
【0056】
また、略筒状のグロメットインナ6を、クリップ61の裏面側から組み付け状態の第2グロメットインナ70の内面まで突出する内側リブ62を備えた第1グロメットインナ60と、第2グロメットインナ70とで構成したことで、装着孔90に対する装着を確実に行うことができる。
【0057】
詳述すると、略筒状のグロメットインナ6の装着孔90に対するクリップ61の装着作業は、第2グロメットインナ70を装着方向Xに押し込むこととなるが、クリップ61の裏面側から組み付け状態の第2グロメットインナ70の内面まで突出する内側リブ62を備えたことで、第2グロメットインナ70を装着方向Xに押し込む際に第2グロメットインナ70が撓んで変形することを防止し、装着孔90に対してクリップ61を確実に装着することができる。
【0058】
また、クリップ61を、クリップ本体611と、装着孔90に係止する係止片613と、ドアパネル9より変形性が高い突出部612とで構成したことで、安定した装着状態を保持することができる。
【0059】
詳述すると、装着孔90に係止する係止片613をクリップ61に備えたことで、クリップ61が装着孔90から不用意に抜け出すことを防止できるため、装着孔90に対してクリップ61を確実に装着して、装着状態を保持することができる。
これにより、装着孔90に装着する際のクリップ61の挿入力が増大することを抑制できる。
【0060】
さらに、ドアパネル9より変形性が高い突出部をクリップ61に備えたことで、突出部612が変形しながら装着孔90に装着されるため、装着孔90に対して確実に装着して、装着状態を保持することができる。
【0061】
しかも、突出部612を備えたクリップ61は、突出部612によってクリップ61の外形が形成されるため、同じ大きさで、突出部612を備えていない内部中実状のクリップと比べて、クリップ61を形成する材料量を低減することができる。
【0062】
これにより、合成樹脂などで構成したクリップ61であっても、成形加工時における冷却収縮によるいわゆるヒケなどの発生を抑制することができるため、精度よくクリップ61を形成することができる。
【0063】
従って、装着孔90に変形しながら装着される突出部61と、挿入力の増大を防止する係止片613とで構成する高精度なクリップ61によって、装着孔90に対してクリップ61を容易に装着することができるとともに、安定した装着状態を確実に保持することができる。
【0064】
また、クリップ本体611を、装着方向Xからみて略長方形状に形成し、突出部612を、クリップ本体611の1組の対角の短辺にそれぞれ配置した短辺側突出部612aで構成するとともに、係止片613を、上記対角に近接する長辺に配置した長辺側係止片613aと、短辺側突出部612aに近接する短辺に配置した短辺側係止片613bとで構成したことで、クリップ61を装着孔90に対してバランスよく装着することができる。
【0065】
詳述すると、短辺側突出部612aをクリップ本体611の対角に配置するとともに、長辺側係止片613a及び短辺側係止片613bを、それぞれの短辺側突出部612aに近接して配置した、つまり、短辺側突出部612a、長辺側係止片613a及び短辺側係止片613bを、クリップ本体611の対角に配置したことで、短辺側突出部612aが装着孔90の短辺方向及び長辺方向の両方向に作用するとともに、長辺側係止片613a及び短辺側係止片613bが互いに協働して、クリップ61を装着孔90に対してバランスよく装着することができる。
【0066】
また、短辺側突出部612aの外側面を、短辺方向の内側に湾曲させた円弧面612bで構成したことで、装着孔90の形状が長方形状のみならず、例えば、長楕円形状であっても、円弧面612bを有する短辺側突出部612aが装着孔90に沿うように変形するため、装着孔90に対してクリップ61を確実に装着でき、安定した装着状態を保持することができる。
【0067】
また、クリップ本体611に、長辺方向に所定間隔隔てて配置した2つの本体構成部611aと、該本体構成部611a同士を連結する連結リブ611bとを備えたことで、クリップ61として機能するための剛性を確保しながらも、装着孔90に対してクリップ61の装着を容易に行うことができる。
【0068】
詳述すると、クリップ本体611を、複数の本体構成部611aで構成することで、本体構成部611aのそれぞれが、装着孔90に対する挿入に追従できるため、装着孔90に対する装着自由度が向上し、装着孔90に対してクリップ61を容易に装着することができる。
【0069】
さらに、クリップ本体611に、本体構成部611a同士を連結する連結リブ611bを備えたことで、装着孔90への挿入に追従するそれぞれの本体構成部611a同士を連結して、装着孔90に対する装着状態を保持するための剛性を確保することができる。
【0070】
従って、クリップ61として機能するための剛性を確保しながらも、装着孔90への挿入に本体構成部611aのそれぞれが追従するため、装着孔90に対してクリップ61を容易に装着でき、装着孔90に対する装着作業性を向上させることができる。
【0071】
また、クリップ61を、合成樹脂で構成するとともに、クリップ本体611を、内部中空状に形成したことで、精度よくクリップ本体611を形成することができる。
詳述すると、クリップ本体611を合成樹脂で構成したことで、一般的な車両を構成する金属製のパネルよりも確実に変形性を向上させることができる。
【0072】
さらに、クリップ本体611を内部中空状に形成したことで、クリップ本体611を形成する材料量を低減できるとともに、クリップ61全体の板厚に大きなばらつきが生じることを防止できるため、合成樹脂製品の成形加工時における冷却収縮によるいわゆるヒケなどの発生を抑制することができる。
従って、ドアパネル9よりも変形性を向上させた合成樹脂製のクリップ61を、ヒケなどが発生することなく、精度よく所望の形状に形成することができる。
【0073】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明の装着部は、実施形態のドア側装着部4に対応し、
以下同様に、
装着部本体は、ドア側装着部本体5に対応し、
グロメットインナは、第1グロメットインナ60に対応し、
サブグロメットインナは、第2グロメットインナ70に対応し、
外側面及び湾曲面は、円弧面612bに対応し、
装着対象箇所は、ドアパネル9に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0074】
上述の説明によれば、短辺側突出部612aを合成樹脂でクリップ本体611と一体に構成したが、例えば、金属製のドアパネル9より変形性が高いゴムなどで構成した別部材の短辺側突出部を用いてもよい。
【0075】
また、上述の説明によれば、突出部612を、クリップ本体611の1組の対角に近接する短辺に配置した短辺側突出部612aとしたが、1組の対角に配置することだけに限らず、クリップ本体611の2組の対角、つまり、全ての角部に近接する短辺に配置してもよい。さらには、クリップ本体611に備える突出部612の個数は限定せず、突出部612を長辺や短辺の中間部に配置してもよい。
【0076】
また、ボディパネル8とドアパネル9とに装着するグロメット1のみならず、例えば、ボディパネルとバックドアパネルとに装着するグロメットであってもよい。
また、長辺方向に2つ配置した本体構成部611aと、連結リブ611bとでクリップ本体611を構成することだけに限らず、2つ以上の本体構成部を配置して、それぞれを連結リブで連結して構成したクリップ本体であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…グロメット
1a…電線挿通路
2…グロメット本体
3…ボディ側装着部
4…ドア側装着部
5…ドア側装着部本体
51…取り付け部
511…取り付け口
52…密着部
6…グロメットインナ
60…第1グロメットインナ
61…クリップ
611…クリップ本体
611a…本体構成部
611b…連結リブ
612…突出部
612a…短辺側突出部
612b…円弧面
613…係止片
613a…長辺側係止片
613b…短辺側係止片
62…内側リブ
63…第1組み付け保持部
70…第2グロメットインナ
71…第2組み付け保持部
72…位置保持リブ
8…ボディパネル
80…貫通孔
9…ドアパネル
90…装着孔
WH…ワイヤハーネス
X…装着方向
図1
図2
図3
図4
図5