特許第6623072号(P6623072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6623072電線・ケーブルの接続構造及び電線・ケーブルの接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623072
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】電線・ケーブルの接続構造及び電線・ケーブルの接続方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/08 20060101AFI20191209BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20191209BHJP
   H01R 4/20 20060101ALI20191209BHJP
   H01R 4/62 20060101ALI20191209BHJP
   H01R 4/70 20060101ALI20191209BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   H02G15/08
   H02G1/14
   H01R4/20
   H01R4/62 A
   H01R4/70 J
   H01R4/70 L
   H01R43/00 A
【請求項の数】21
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-23200(P2016-23200)
(22)【出願日】2016年2月10日
(65)【公開番号】特開2017-143645(P2017-143645A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591086843
【氏名又は名称】古河電工産業電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】桜井 裕士
(72)【発明者】
【氏名】貝塚 啓
(72)【発明者】
【氏名】寺山 喜一郎
(72)【発明者】
【氏名】江口 英二
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−211493(JP,A)
【文献】 実開昭49−000484(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/00−15/196
H02G 1/14
H01R 4/00− 4/72
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ導体と導体被覆層とを有する第一の電線・ケーブルと銅導体と導体被覆層とを有する第二の電線・ケーブルとを接続する接続構造であって、
前記第一の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出したアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出した銅導体とを連結するコネクタと、
前記アルミ導体及び前記銅導体と前記コネクタとの間に介在する導電性のコンパウンドと、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を被覆して前記導電性のコンパウンドを内側に封止する被覆層と、
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を封止した電気絶縁性の樹脂からなる絶縁層とを備え
前記被覆層は、前記第一の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部の外周から前記第二の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部の外周にかけて、前記第一の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部と前記コネクタとが離れていることで露出した前記アルミ導体の外周と、前記第二の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部と前記コネクタとが離れていることで露出した前記銅導体の外周とを被覆することを特徴とする電線・ケーブルの接続構造。
【請求項2】
アルミ導体と導体被覆層とを有する第一の電線・ケーブルと銅導体と導体被覆層とを有する第二の電線・ケーブルとを接続する接続構造であって、
前記第一の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出したアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出した銅導体とを連結するコネクタと、
前記アルミ導体及び前記銅導体と前記コネクタとの間に介在する導電性のコンパウンドと、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を被覆して前記導電性のコンパウンドを内側に封止する被覆層と、
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を封止した電気絶縁性の樹脂からなる絶縁層とを備え、
前記被覆層は、水密性及び絶縁性を有するテープ又はシートであることを特徴とする電線・ケーブルの接続構造。
【請求項3】
前記テープ又はシートは、自己融着性を有することを特徴とする請求項2記載の電線・ケーブルの接続構造。
【請求項4】
アルミ導体と導体被覆層とを有する第一の電線・ケーブルと銅導体と導体被覆層とを有する第二の電線・ケーブルとを接続する接続構造であって、
前記第一の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出したアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出した銅導体とを連結するコネクタと、
前記アルミ導体及び前記銅導体と前記コネクタとの間に介在する導電性のコンパウンドと、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を被覆して前記導電性のコンパウンドを内側に封止する被覆層と、
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を封止した電気絶縁性の樹脂からなる絶縁層とを備え、
前記被覆層は、水密性及び絶縁性を有するパテであることを特徴とする電線・ケーブルの接続構造。
【請求項5】
アルミ導体と導体被覆層とを有する第一の電線・ケーブルと銅導体と導体被覆層とを有する第二の電線・ケーブルとを接続する接続構造であって、
前記第一の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出したアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出した銅導体とを連結するコネクタと、
前記アルミ導体及び前記銅導体と前記コネクタとの間に介在する導電性のコンパウンドと、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を被覆して前記導電性のコンパウンドを内側に封止する被覆層と、
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を封止した電気絶縁性の樹脂からなる絶縁層とを備え、
前記被覆層は、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を収容するケースであることを特徴とする電線・ケーブルの接続構造。
【請求項6】
アルミ導体と導体被覆層とを有する第一の電線・ケーブルと銅導体と導体被覆層とを有する第二の電線・ケーブルとを接続する接続構造であって、
前記第一の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出したアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出した銅導体とを連結するコネクタと、
前記アルミ導体及び前記銅導体と前記コネクタとの間に介在する導電性のコンパウンドと、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を被覆して前記導電性のコンパウンドを内側に封止する被覆層と、
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を封止した電気絶縁性の樹脂からなる絶縁層とを備え、
前記被覆層は、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を封止する、前記絶縁層と別体の樹脂層であることを特徴とする電線・ケーブルの接続構造。
【請求項7】
前記第一の電線・ケーブルは、長手方向の途中位置で前記導体被覆層から前記アルミ導体が露出されており、
前記導体被覆層から露出した前記アルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの銅導体とが前記コネクタにより連結されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電線・ケーブルの接続構造。
【請求項8】
前記アルミ導体及び前記銅導体における前記コネクタの外側部分の表面も前記導電性のコンパウンドにより被覆されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電線・ケーブルの接続構造。
【請求項9】
アルミ導体と導体被覆層とを有する第一の電線・ケーブルと銅導体と導体被覆層とを有する第二の電線・ケーブルとを接続する接続構造であって、
前記第一の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出したアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出した銅導体とを連結するコネクタと、
前記アルミ導体及び前記銅導体と前記コネクタとの間に介在する導電性のコンパウンドと、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を被覆して前記導電性のコンパウンドを内側に封止する被覆層と、
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を封止した電気絶縁性の樹脂からなる絶縁層とを備え、
前記第一の電線・ケーブルは、長手方向の途中位置で前記導体被覆層から前記アルミ導体が露出されており、
前記導体被覆層から露出した前記アルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの銅導体とが前記コネクタにより連結されていることを特徴とする電線・ケーブルの接続構造。
【請求項10】
アルミ導体と導体被覆層とを有する第一の電線・ケーブルと銅導体と導体被覆層とを有する第二の電線・ケーブルとを接続する接続構造であって、
前記第一の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出したアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出した銅導体とを連結するコネクタと、
前記アルミ導体及び前記銅導体と前記コネクタとの間に介在する導電性のコンパウンドと、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を被覆して前記導電性のコンパウンドを内側に封止する被覆層と、
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を封止した電気絶縁性の樹脂からなる絶縁層とを備え、
前記アルミ導体及び前記銅導体における前記コネクタの外側部分の表面も前記導電性のコンパウンドにより被覆されていることを特徴とする電線・ケーブルの接続構造。
【請求項11】
前記第一の電線・ケーブルのアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの銅導体とが、圧縮された前記コネクタにより連結されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の電線・ケーブルの接続構造。
【請求項12】
アルミ導体と導体被覆層とを有する第一の電線・ケーブルと銅導体と導体被覆層とを有する第二の電線・ケーブルとを接続する接続方法であって、
前記第一の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出したアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出した銅導体とをコネクタにより連結する工程と、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を被覆する被覆層を形成して、前記アルミ導体及び前記銅導体と前記コネクタとの間に介在する導電性のコンパウンドを前記被覆層の内側に封止する工程と、
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を電気絶縁性の樹脂にて封止する絶縁層を形成する工程とを備え
前記被覆層は、前記第一の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部の外周から前記第二の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部の外周にかけて、前記第一の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部と前記コネクタとが離れていることで露出した前記アルミ導体の外周と、前記第二の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部と前記コネクタとが離れていることで露出した前記銅導体の外周とを被覆することを特徴とする電線・ケーブルの接続方法。
【請求項13】
アルミ導体と導体被覆層とを有する第一の電線・ケーブルと銅導体と導体被覆層とを有する第二の電線・ケーブルとを接続する接続方法であって、
前記第一の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出したアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出した銅導体とをコネクタにより連結する工程と、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を被覆する被覆層を形成して、前記アルミ導体及び前記銅導体と前記コネクタとの間に介在する導電性のコンパウンドを前記被覆層の内側に封止する工程と、
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を電気絶縁性の樹脂にて封止する絶縁層を形成する工程とを備え、
水密性及び絶縁性を有するテープ又はシートの巻き付け又は貼着により前記被覆層を形成することを特徴とする電線・ケーブルの接続方法。
【請求項14】
前記テープ又はシートは、自己融着性を有することを特徴とする請求項13記載の電線・ケーブルの接続方法。
【請求項15】
アルミ導体と導体被覆層とを有する第一の電線・ケーブルと銅導体と導体被覆層とを有する第二の電線・ケーブルとを接続する接続方法であって、
前記第一の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出したアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出した銅導体とをコネクタにより連結する工程と、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を被覆する被覆層を形成して、前記アルミ導体及び前記銅導体と前記コネクタとの間に介在する導電性のコンパウンドを前記被覆層の内側に封止する工程と、
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を電気絶縁性の樹脂にて封止する絶縁層を形成する工程とを備え、
水密性及び絶縁性を有するパテの塗布により前記被覆層を形成することを特徴とする電線・ケーブルの接続方法。
【請求項16】
アルミ導体と導体被覆層とを有する第一の電線・ケーブルと銅導体と導体被覆層とを有する第二の電線・ケーブルとを接続する接続方法であって、
前記第一の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出したアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出した銅導体とをコネクタにより連結する工程と、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を被覆する被覆層を形成して、前記アルミ導体及び前記銅導体と前記コネクタとの間に介在する導電性のコンパウンドを前記被覆層の内側に封止する工程と、
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を電気絶縁性の樹脂にて封止する絶縁層を形成する工程とを備え、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を収容するケースの取り付けにより前記被覆層を形成することを特徴とする電線・ケーブルの接続方法。
【請求項17】
アルミ導体と導体被覆層とを有する第一の電線・ケーブルと銅導体と導体被覆層とを有する第二の電線・ケーブルとを接続する接続方法であって、
前記第一の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出したアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出した銅導体とをコネクタにより連結する工程と、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を被覆する被覆層を形成して、前記アルミ導体及び前記銅導体と前記コネクタとの間に介在する導電性のコンパウンドを前記被覆層の内側に封止する工程と、
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を電気絶縁性の樹脂にて封止する絶縁層を形成する工程とを備え、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を樹脂のモールド加工により封止して前記被覆層を形成することを特徴とする電線・ケーブルの接続方法。
【請求項18】
前記コネクタは、圧縮接続により前記第一の電線・ケーブルのアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの銅導体とを連結することを特徴とする請求項12から17のいずれか一項に記載の電線・ケーブルの接続方法。
【請求項19】
前記コネクタの圧縮接続により前記コンパウンドを前記コネクタの外部まで漏出させることを特徴とする請求項18記載の電線・ケーブルの接続方法。
【請求項20】
前記コネクタの外部に漏出した余剰となる前記コンパウンドを拭き取る工程を備えることを特徴とする請求項19記載の電線・ケーブルの接続方法。
【請求項21】
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を電気絶縁性の樹脂のモールド加工により封止して、前記絶縁層を形成することを特徴とする請求項12から20のいずれか一項に記載の電線・ケーブルの接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線・ケーブルの接続構造及び電線・ケーブルの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配電用途の電線・ケーブルの導体には銅もしくは銅合金が広く使用されているが、近年、軽量化を目的として電線・ケーブルの導体にアルミニウムもしくはアルミニウム合金を使用することが検討されている。
しかしながら、アルミ導体は空気中に曝されると、その表面に酸化被膜が生じやすい。この酸化被膜は絶縁性が非常に高いために、通電時の発熱の原因となる。このため、アルミ導体の接続の際には、アルミ導体の表面を予め研磨して酸化被膜を除去し、新たな酸化被膜の形成を防ぐためにアルミ導体に金属微粒子とオイル成分からなるコンパウンドを塗布することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、現在広く普及している配電盤や分電盤(以下、「配電盤等」とする)は、銅導体との接続を前提に設計されているため、アルミニウム導体を接続する場合には異種金属接触腐食が問題となる。つまり、その接続箇所に結露が生じるなどして水分が介在してしまうと、アルミニウム導体が腐食により損傷してしまうので、配電盤等の結露・湿気対策が必要になる。
こうしたアルミの腐食を防ぐ一つの方策として、端子の羽子板面に銅厚めっき処理を施したものや、銅板を張り付けた端子が存在する(例えば、非特許文献1参照)。この端子はアルミと銅厚めっき、または銅板の密着が強固なために、アルミ/銅界面に水分等の浸入がなく、耐食性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用登録第2558578号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】古河電工 銅厚めっきアルミ端子カタログ、[平成26年10月30日検索]、インターネット<URL:http://www.furukawa.co.jp/tukuru/pdf/aluminum-tanshi_d321.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記銅厚めっき端子は、異種金属腐食を防ぐには有効であるが、普通の端子に比べ非常に高価であることが問題であった。
そこで、アルミ導体を有する電線・ケーブルを使用しつつも、銅導体の電線・ケーブルとの接続を想定した配電盤等の従来設備と接続する方法として、アルミ導体を有する電線・ケーブルに銅導体の電線・ケーブルを接続し、当該銅導体の電線・ケーブルを介して従来設備との接続を行う方法が考えられる。
この方法であれば、高価な銅厚めっき端子を使用することなくアルミ導体を有する電線・ケーブルと従来設備との導通を実現することが可能となる。
【0007】
上記構成の場合、アルミ導体の電線・ケーブルと銅導体の電線・ケーブルとの良好な接続が重要となる。電線・ケーブル同士の接続は、導体同士の接続とその周囲の絶縁層の形成が必要である。
導体同士の接続は、導体をアルミ製のコネクタの挿入孔又は隙間に挿入し、コネクタを外部から圧縮し、かしめて連結を行う。アルミ導体の電線・ケーブルを用いる場合には、特許文献1のコンパウンドをコネクタの内側に充填した状態でかしめて連結を行う。
絶縁層の形成は、絶縁テープの巻き付けを行う方法も多用されているが、この方法は巻き付け作業に熟練を有し、絶縁性能にバラつきを生じるおそれがあるので、樹脂のモールド加工による絶縁層の形成が望まれている。品質の管理された工場にてモールド加工を施すことにより、絶縁層の品質は安定し、且つ、現地での接続作業を省略出来る。
【0008】
しかしながら、導体同士の接続に使用される導電性のコンパウンドには、アルミ導体の表面の酸化膜除去に加えて、導体に対する水分や湿気の侵入を防ぐ役割も担うことから、十分な量のコンパウンドがコネクタに充填され、カシメの際に積極的にコンパウンドをはみ出させて導体の表面全体に付着させる必要がある。
このような導体の接続部の周囲に樹脂のモールド加工を行うと、硬化前の樹脂にコンパウンドが混入しやすくなり、コンパウンドの導電性により絶縁層の絶縁性能が著しく低下するおそれがあった。
また、樹脂と電線・ケーブルの外周との間にコンパウンドが入り込むと、樹脂と電線・ケーブルの間の水密処理に支障を来して内部に水分が侵入しやすくなるおそれがあった。
【0009】
本発明は、アルミ導体の電線・ケーブルと銅導体の電線・ケーブルとを良好に接続することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電線・ケーブルの接続構造において、
アルミ導体と導体被覆層とを有する第一の電線・ケーブルと銅導体と導体被覆層とを有する第二の電線・ケーブルとを接続する接続構造であって、
前記第一の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出したアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出した銅導体とを連結するコネクタと、
前記アルミ導体及び前記銅導体と前記コネクタとの間に介在する導電性のコンパウンドと、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を被覆して前記導電性のコンパウンドを内側に封止する被覆層と、
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を封止した電気絶縁性の樹脂からなる絶縁層とを備えている
【0011】
前記被覆層は、前記第一の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部の外周から前記第二の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部の外周にかけて、前記第一の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部と前記コネクタとが離れていることで露出した前記アルミ導体の外周と、前記第二の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部と前記コネクタとが離れていることで露出した前記銅導体の外周とを被覆しても良い。
また、前記被覆層は、水密性及び絶縁性を有するテープ又はシートとしても良い
【0012】
また、前記テープ又はシートは、自己融着性を有しても良い
【0013】
また、前記被覆層は、水密性及び絶縁性を有するパテとしても良い
【0014】
また、前記被覆層は、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を収容するケースとしても良い
【0015】
また、前記被覆層は、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を封止する、前記絶縁層と別体の樹脂層としても良い
【0016】
また、前記第一の電線・ケーブルは、長手方向の途中位置で前記導体被覆層から前記アルミ導体が露出されており、
前記導体被覆層から露出した前記アルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの銅導体とが前記コネクタにより連結されていることとしても良い
【0017】
また、前記アルミ導体及び前記銅導体における前記コネクタの外側部分の表面も前記導電性のコンパウンドにより被覆されていることとしても良い
【0018】
また、前記第一の電線・ケーブルのアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの銅導体とが、圧縮された前記コネクタにより連結されていることとしても良い
【0019】
本発明は、電線・ケーブルの接続方法において、
アルミ導体と導体被覆層とを有する第一の電線・ケーブルと銅導体と導体被覆層とを有する第二の電線・ケーブルとを接続する接続方法であって、
前記第一の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出したアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの前記導体被覆層から露出した銅導体とをコネクタにより連結する工程と、
前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を被覆する被覆層を形成して、前記アルミ導体及び前記銅導体と前記コネクタとの間に介在する導電性のコンパウンドを前記被覆層の内側に封止する工程と、
前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を電気絶縁性の樹脂にて封止する絶縁層を形成する工程とを備えている。
【0020】
前記被覆層は、前記第一の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部の外周から前記第二の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部の外周にかけて、前記第一の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部と前記コネクタとが離れていることで露出した前記アルミ導体の外周と、前記第二の電線・ケーブルの導体被覆層の先端部と前記コネクタとが離れていることで露出した前記銅導体の外周とを被覆しても良い。
また、水密性及び絶縁性を有するテープ又はシートの巻き付け又は貼着により前記被覆層を形成しても良い
【0021】
また、前記テープ又はシートは、自己融着性を有することとしても良い
【0022】
また、水密性及び絶縁性を有するパテの塗布により前記被覆層を形成することとしても良い
【0023】
また、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を収容するケースの取り付けにより前記被覆層を形成することとしても良い
【0024】
また、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を樹脂のモールド加工により封止して前記被覆層を形成することとしても良い
【0025】
また、前記コネクタは、圧縮接続により前記第一の電線・ケーブルのアルミ導体と前記第二の電線・ケーブルの銅導体とを連結することとしても良い
【0026】
また、前記コネクタの圧縮接続により前記コンパウンドを前記コネクタの外部まで漏出させることとしても良い
【0027】
また、前記コネクタの外部に漏出した余剰となる前記コンパウンドを拭き取る工程を備えることとしても良い
【0028】
また、前記被覆層、前記コネクタ並びに当該コネクタに接続された前記アルミ導体及び前記銅導体の接続部を電気絶縁性の樹脂のモールド加工により封止して前記絶縁層を形成することとしても良い
【発明の効果】
【0029】
本発明は、被覆層、第一の電線・ケーブルの接続端部、第二の電線・ケーブルの接続端部及びコネクタを電気絶縁性の樹脂からなる絶縁層で封止するので、熟練を有すると共に絶縁性能にバラつきが生じやすい絶縁テープ等の巻き付けを不要とし、工業的な製造工程を経て絶縁層を形成することができるので、絶縁性能が安定した絶縁層を形成することができる。
さらに、本発明は、導電性のコンパウンドにより、異種金属であるアルミ導体と銅導体との良好な導通を図ると共に水分の侵入によるアルミ導体の腐食を低減することが可能である。
また、被覆層によってアルミ導体、銅導体及びコネクタを被覆され、導電性のコンパウンドがその内側に封止されるので、絶縁層を形成する電気絶縁性の樹脂への導電性のコンパウンドの混入が抑制され、絶縁層は高い絶縁性能を維持することが可能となる。また、コンパウンドが被覆層に封止されるので、絶縁層と第一と第二の電線・ケーブルの導体被覆層との間で水密処理を施す場合に、コンパウンドに阻害されず、高い水密性能を得ることが出来る。
従って、導電性のコンパウンドにより、導電性が良く、腐食の発生を抑制したアルミ導体の電線・ケーブルと銅導体の電線・ケーブルとの良好な接続を実現しつつ、生産性が高く、絶縁性能が安定した樹脂成形によって絶縁層を形成することが可能となる。
さらに、第一の電線・ケーブルと第二の電線・ケーブルとを、高い導通性と外部に対する高い絶縁性とを維持しつつ接続することができるので、アルミ導体を有する第一の電線・ケーブルを、銅導体の電線・ケーブルとの接続を想定した配電盤等の従来設備に対して良好且つ低コストで接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第一の電線・ケーブルの断面図である。
図2】第二の電線・ケーブルの断面図である。
図3】第一の実施形態である電線・ケーブルの接続構造の断面図である。
図4】電線・ケーブルの接続構造の導体接続工程を示す断面図である。
図5】電線・ケーブルの接続構造の拭き取り工程を示す断面図である。
図6】電線・ケーブルの接続構造の被覆層形成工程を示す断面図である。
図7】第二の実施形態である電線・ケーブルの接続構造の断面図である。
図8】電線・ケーブルの接続構造の被覆層形成工程を示す断面図である。
図9】被覆層の斜視図である。
図10】第三の実施形態である電線・ケーブルの接続構造の断面図である。
図11】電線・ケーブルの接続構造の導体接続工程を示す断面図である。
図12】電線・ケーブルの接続構造の拭き取り工程を示す断面図である。
図13】電線・ケーブルの接続構造の被覆層形成工程を示す断面図である。
図14】第四の実施形態である電線・ケーブルの接続構造の断面図である。
図15】電線・ケーブルの接続構造の導体接続工程を示す断面図である。
図16】電線・ケーブルの接続構造の拭き取り工程を示す断面図である。
図17】電線・ケーブルの接続構造の被覆層形成工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明に係る電線・ケーブルの接続構造の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
なお、以下に述べる電線・ケーブルに関する技術は、電線にもケーブルにも適用できる技術である。
【0032】
[第一の実施形態]
図1は電線・ケーブルの接続構造100において接続される第一の電線・ケーブル10の断面図を示し、図2は電線・ケーブルの接続構造100において接続される第二の電線・ケーブル20の断面図である。
【0033】
[第一の電線・ケーブル]
第一の電線・ケーブル10のアルミ導体11の材料には、アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられている。
アルミ導体11は、複数の素線11aが撚り合わされてなる。図1に示すように、アルミ導体11は、φ2.0mmの素線11aを19本撚りした断面積が60mmの導体である。このアルミ導体11は絶縁材料(例えば、架橋ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、ポリ塩化ビニル)からなる導体被覆層としての絶縁層12で覆われている。
なお、絶縁層12の外周は図示しないシースにより覆われていてもよい。
また、各部の上記数値は例示であり、寸法については任意に変更可能である。
【0034】
[第二の電線・ケーブル]
第二の電線・ケーブル20の銅導体21の材料には、銅又は銅合金が用いられている。
銅導体21は、複数の素線21aが撚り合わされてなる。図2に示すように、銅導体21は、φ2.6mmの素線21aを7本撚りした断面積が38mmの導体である。この銅導体21は絶縁材料(例えば、架橋ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、ポリ塩化ビニル)からなる導体被覆層としての絶縁層22で覆われている。なお、絶縁層22の外周は図示しないシースにより覆われていてもよい。
ここで、銅の導電率を100とした場合、アルミニウムの導電率は約60であるので、銅製の導体とアルミニウム製の導体とで略同じ通電容量を得るために導体の抵抗を等しくするなら、アルミニウム製の導体の断面積に対し、銅製の導体の断面積は約60%あれば良い。
なお、絶縁層22の外周は図示しないシースにより覆われていてもよい。
また、各部の上記数値は例示であり、寸法については第一の電線・ケーブル10との対応関係を考慮した上で任意に変更可能である。
【0035】
[電線・ケーブルの接続構造の概略構成]
図3は電線・ケーブルの接続構造100の断面図である。
この電線・ケーブルの接続構造100は、第一の電線・ケーブル10の絶縁層12から露出したアルミ導体11と第二の電線・ケーブルの絶縁層22から露出した銅導体21とを連結するコネクタ30と、アルミ導体11及び銅導体21とコネクタ30との間に介在する導電性のコンパウンド40と、アルミ導体11、銅導体21及びコネクタ30を被覆して導電性のコンパウンド40を内側に封止する被覆層50と、被覆層50、アルミ導体11、銅導体21及びコネクタ30を封止した電気絶縁性の樹脂からなる絶縁層60とを備えている。
【0036】
[コネクタ]
コネクタ30は、一端部にアルミ導体11の挿入溝31が形成され、他端部に銅導体21の挿入溝32が形成された、アルミニウム又はアルミニウム合金製の金属部材である。
コネクタ30は、その一端部に対して、第一の電線・ケーブル10の先端部の絶縁層12が除去されて露出した状態のアルミ導体11が挿入され、他端部に対して、第二の電線・ケーブル20の先端部の絶縁層22が除去されて露出した状態の銅導体21が挿入される。そして、これらが挿入された状態でダイスを用いて溝が閉じられるように外部から加圧され、圧縮接続によりアルミ導体11と銅導体21とを接続している。
【0037】
コネクタ30は、上記構造に限らず他の構造のものを使用しても良い。例えば、平行に並んで設けられた二つの溝を有し、これらの溝に個別にアルミ導体11と銅導体21とを挿入し、個々に圧縮接続を行う構造のコネクタを使用しても良いし、円筒状の金属管で構成し、それぞれの端部からアルミ導体11と銅導体21とを挿入して圧縮接続を行う構造のコネクタを使用しても良い。
また、コネクタ30は、アルミニウム等に限らず、銅又は銅合金製のコネクタを使用しても良い。
【0038】
[導電性のコンパウンド]
コネクタ30とそれぞれの挿入溝31,32の内部には、アルミ導体11及び銅導体21の挿入以前に導電性のコンパウンド40が充填されており、アルミ導体11及び銅導体21を圧縮接続により連結すると、コネクタ30とアルミ導体11及び銅導体21の間に導電性のコンパウンド40が行き渡るようになっている。
【0039】
この導電性のコンパウンド40は、導電性を有する金属微粒子(例えば、亜鉛微粒子)と粘性を有するグリス(鉱物油性のグリス、シリコーングリスその他のグリス全般又はひまし油)を含んだ混合物からなる。この導電性のコンパウンド40の金属微粒子が、アルミ導体11の各素線11a及びコネクタ30の表面の酸化被膜を破り、アルミ導体11及び銅導体21とコネクタ30との導電性をより良好にする。
また、導電性のコンパウンド40のグリスがアルミ導体11の各素線11a及びコネクタ30の酸化被膜の再生を抑止すると共に、アルミ導体11及び銅導体21とコネクタ30の隙間への水分の侵入を阻止して、これらの腐食を防止する。
【0040】
また、コネクタ30の各挿入溝31,32の内部には予め余分に導電性のコンパウンド40が充填されており、アルミ導体11及び銅導体21が挿入されて圧縮接続が行われると、コネクタ30の挿入溝31,32からあふれ出るが、余分なコンパウンド40は拭き取られる。また、拭き取り後に残留したコンパウンド40は、コネクタ30とアルミ導体11及び銅導体21の界面において防水と導電性の改善に寄与する。
【0041】
[被覆層]
被覆層50は、図3に示すように、コネクタ30の両側で接続された第一の電線・ケーブル10の絶縁層12の先端部の外周から第二の電線・ケーブル20の絶縁層22の先端部の外周にかけて、コネクタ30の外部に露出したアルミ導体11の外周、コネクタ30の表面全体及びコネクタ30の外部に露出した銅導体21の外周を全て被覆している。
【0042】
被覆層50は、水密性及び絶縁性を有し、導電性のコンパウンド40に対して反応が生じない材料からなるリボン状のテープから形成されている。このテープは、ブチルゴムを主成分とした自己融着性の混和物をテープ状に形成したものであり、より具体的には、「エフコテープ1号」(古河電工パワーシステムズ社製)を使用する。
かかる被覆層50は、第一の電線・ケーブル10の絶縁層22の先端部の外周から第二の電線・ケーブル20の絶縁層12の先端部の外周にかけて、上記テープを1/2ラップ巻により隙間が生じないように巻き付けることにより形成される。なお、1/2ラップ巻とは、例えば、テープ幅の半分が重なるような巻き方を言う。
上記テープは自己融着性を備えているので、ラップ巻による重畳部分は融着して一体化するため、被覆層50の全体を隙間のない筒状にすることができる。
これによって、コネクタ30、アルミ導体11、銅導体21、第一の電線・ケーブルの絶縁層12の先端部の端面及び第二の電線・ケーブルの絶縁層22の先端部の端面等に付着した導電性のコンパウンド40を被覆層50の内側に封止して、外部への漏出を防止することを可能としている。
【0043】
なお、上記テープは1/2ラップ巻に限らず、ラップ幅を変えても良いし、縦添えで被覆層50を形成してもよい。
また、被覆層50は、上記テープと性質が等しいシートの巻き付けにより形成しても良いし、上記テープと性質が等しいチューブにより形成してもよい。また、上記テープと性質が等しいパテの塗布により形成してもよい。
【0044】
[絶縁層]
絶縁層60は、図3に示すように、被覆層50の一端部から他端部までの全体をその内側に収容した筒状体である。
即ち、第一の電線・ケーブル10の絶縁層12の外周であって被覆層50よりも先端部から遠方となる位置から、第二の電線・ケーブル20の絶縁層22の外周であって被覆層50よりも先端部から遠方となる位置に渡って形成されている。
そして、これにより、絶縁層60は、被覆層50の全体及び当該被覆層50により被覆された第一の電線・ケーブル10の接続部(先端部)、コネクタ30及び第二の電線・ケーブル20の接続部(先端部)をその内側に封止している。
【0045】
上記絶縁層60は、その外周は両端部を除いて全体的に外径が等しい円筒状であって、両端部にはそれぞれ徐々に縮径した円錐形状部を経て小径部が形成されている。また、小径部の先端は、角が生じないように面取り形状に形成されている。なお、絶縁層60は全長に渡って外径が一定となる単純な円筒状としても良い。
そして、絶縁層60は、上記形状を形成するための金型にポリ塩化ビニル、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴムその他の絶縁性能の高い樹脂を供給するモールド加工によって形成されている。
従って、絶縁層60の内側を外部と遮断して密閉状態で封止することができる。
なお、絶縁層60の両端部の内周は、それぞれ、第一の電線・ケーブル10の絶縁層12の外周及び第二の電線・ケーブル20の絶縁層22の外周と密接しているが、これらの間には水密用の接着材を介挿させて内部への水分の侵入をより厳重に防ぐ構造とすることが望ましい。
また、上記の接着材に替えて、絶縁層60の一端部から第一の電線・ケーブル10の絶縁層12の外周及び絶縁層60の他端部から第二の電線・ケーブル20の絶縁層22の外周にかけて防水テープを巻いて防水・保護層を形成し、水分の侵入をより厳重に防ぐ構造としてもよい。
【0046】
[電線・ケーブルの接続方法]
上記電線・ケーブルの接続構造100を形成する電線・ケーブルの接続方法について図3から図6に基づいて説明する。
図4に示すように、予め内部に導電性のコンパウンド40が充填されたコネクタ30の二つの挿入溝31,32に第一の電線・ケーブル10のアルミ導体11と第二の電線・ケーブル20の銅導体21とがそれぞれ挿入される。そして、コネクタ30を外部から押圧し、かしめて挿入溝31,32内のアルミ導体11及び銅導体21を強固に保持連結する(導体接続工程)。
【0047】
この時、導電性のコンパウンド40の金属微粒子が、アルミ導体11の各素線11a及びコネクタ30の表面の酸化被膜を破り、アルミ導体11及び銅導体21とコネクタ30とを良好な導電状態で接続する。
また、導電性のコンパウンド40は、各挿入溝31,32から外部にあふれ出て、各挿入溝31,32の外側に露出した状態のアルミ導体11及び銅導体21の外周にも付着して、絶縁層12,22から露出したアルミ導体11及び銅導体21の表面全体に行き渡り、導電性のコンパウンド40による水密状態が確保される。
【0048】
次に、図5に示すように、コネクタ30の各挿入溝31,32の外部に漏出した余剰となる導電性のコンパウンド40の拭き取りを行う(拭き取り工程)。コネクタ30の外部に漏出した導電性のコンパウンド40の量が多すぎると、被覆層50を形成する際に当該被覆層50の外部に導電性のコンパウンド40が漏出する可能性が生じるので、その過剰分の拭き取りが行われる。
【0049】
次に、図6に示すように、アルミ導体11、銅導体21及びコネクタ30を被覆する被覆層50を形成する(被覆層形成工程)。
即ち、前述した自己融着性を有するテープを、第一の電線・ケーブル10の絶縁層12の先端部側の外周から第二の電線・ケーブル20の絶縁層22の先端部側の外周までの間にかけて手作業により1/2ラップ巻で巻き付け、被覆層50を形成する。
これにより、コネクタ30とその両側から露出しているアルミ導体11及び銅導体21の外周が被覆層50の内側となり、これらに用いられている導電性のコンパウンド40が被覆層50内に封止される。
【0050】
そして、図3に示すように、被覆層50とこれに被覆された第一の電線・ケーブル10の接続端部、第二の電線・ケーブル20の接続端部及びコネクタ30を電気絶縁性の樹脂にて封止する絶縁層60を形成する(絶縁層形成工程)。
即ち、前述した絶縁層60の形状を形成するための金型に、被覆層50により被覆されたコネクタ30、第一の電線・ケーブル10の接続部及び第二の電線・ケーブル20の接続部を格納する。
さらに、金型の注入孔から内部に樹脂を所定の圧力で注入して、モールド加工を行う。
この時、樹脂は被覆層50の両端部より外側の範囲にまで供給されるので、被覆層50とこれに被覆されたアルミ導体11、銅導体21及びコネクタ30は、完全に絶縁層60の内側に封止される。
また、被覆層50により導電性のコンパウンド40は封止されているので、一定の圧力で周囲に樹脂が供給されても、導電性のコンパウンド40の樹脂への混入は抑止される。
そして、樹脂が硬化した後、絶縁層60が金型から取り出される。必要な場合には、絶縁層60の両端部に水密加工を施しておく。以上の工程にて電線・ケーブルの接続構造100が完成する。
【0051】
[第一の実施形態の技術的効果]
上記電線・ケーブルの接続構造100は、被覆層50、第一の電線・ケーブル10の接続部、第二の電線・ケーブル20及びコネクタ30を電気絶縁性の樹脂からなる絶縁層60で封止するので、熟練を有すると共に絶縁性能にバラつきが生じやすい絶縁テープ等の巻き付けを不要とし、工業的な製造工程を経て高い生産性をもって絶縁層60を形成することができるので、絶縁性能が安定した絶縁層60を形成することができる。
さらに、電線・ケーブルの接続構造100は、導電性のコンパウンド40により、異種金属であるアルミ導体11と銅導体21との良好な導通を図ると共に水分の侵入によるアルミ導体11及びコネクタ30の腐食を低減することが可能である。
【0052】
また、被覆層50によってアルミ導体11、銅導体21及びコネクタ30を被覆され、導電性のコンパウンド40がその内側に封止されるので、絶縁層60を形成する電気絶縁性の樹脂への導電性のコンパウンド40の混入が抑制され、絶縁層60は高い絶縁性能を維持することが可能となる。また、コンパウンド40が被覆層50に封止されるので、絶縁層60と第一と第二の電線・ケーブル10,20の絶縁層12,22との間で水密処理を施す場合に、コンパウンド40に阻害されず、高い水密性能を得ることが出来る。
【0053】
従って、導電性のコンパウンド40により、導電性が良く、腐食の発生を抑制した第一の電線・ケーブル10と第二の電線・ケーブル20との良好な接続を実現しつつ、生産性が高く、絶縁性能が安定した樹脂成形によって絶縁層60を形成することが可能となる。
さらに、第一の電線・ケーブル10と第二の電線・ケーブル20とを、高い導通性と外部に対する高い絶縁性とを維持しつつ接続することができるので、アルミ導体11を有する第一の電線・ケーブルを、銅導体の電線・ケーブルとの接続を想定した配電盤等の従来設備に対して良好且つ低コストで接続することが可能となる。
【0054】
また、被覆層50を、水密性及び絶縁性を有するテープ又はシートで形成することにより、容易に被覆層50の形成を行うことが可能である。
特に、自己融着性を有するテープ又はシートを利用することにより、テープ又はシートの重畳部分を融着させることができ、外部からの水分の侵入を効果的に低減すると共に外部へのコンパウンドの漏出を効果的に低減することが可能となる。
【0055】
また、被覆層を、水密性及び絶縁性を有するパテで形成した場合には、アルミ導体11と銅導体21とを連結したコネクタ30が複雑な形状や隙間を有する場合であっても、容易に被覆することができ、外部からの水分の侵入を効果的に低減すると共に外部へのコンパウンド40の漏出を効果的に低減することが可能となる。
【0056】
また、コネクタ30の挿入溝31,32内に導電性のコンパウンドを充填し、圧縮接続により第一の電線・ケーブル10のアルミ導体11と第二の電線・ケーブル20の銅導体21とを連結する構成としたので、導電性のコンパウンド40をコネクタ30の外部まで押し出させて、アルミ導体11及び銅導体21のコネクタ30の外部に露出した部分にまで導電性のコンパウンド40を効果的に供給することができ、接続作業を容易且つ迅速に行いつつ相互間の導通性の向上を図ることが可能となる。
【0057】
また、これにより、導電性のコンパウンド40が、アルミ導体11及び銅導体21におけるコネクタ30の外側で露出した部分の表面も被覆することができ、導電性のコンパウンド40によるアルミ導体11及び銅導体21の水密をより厳重に行うことができ、より効果的に腐食防止を図ることが可能となる。
また、導電性のコンパウンド40をコネクタ30の外部まで漏出させてアルミ導体11及び銅導体21を被覆させた場合であっても、被覆層50により、効果的に絶縁層60を形成する電気絶縁性の樹脂への混入が抑制され、絶縁層60の高い絶縁性と水密性を維持することが可能である。
【0058】
また、電線・ケーブルの接続方法において、コネクタ30の外部に漏出した導電性のコンパウンド40の拭き取り工程を備えたので、被覆層50からのコンパウンドの漏出を効果的に抑制し、さらに効果的に絶縁層60を形成する電気絶縁性の樹脂への混入が抑制され、高い水密性能を得ることが出来る。
【0059】
[第二の実施形態]
第二の実施形態である電線・ケーブルの接続構造100Aについて図7図9に基づいて説明する。
電線・ケーブルの接続構造100Aについては、電線・ケーブルの接続構造100と同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略し、電線・ケーブルの接続構造100と異なる点について主に説明する。
【0060】
この電線・ケーブルの接続構造100Aは、電線・ケーブルの接続構造100に比べて被覆層50Aの構造が異なっている。
この被覆層50Aは、コネクタ30並びに当該コネクタ30に接続された第一の電線・ケーブル10及び第二の電線・ケーブル20の接続部を収容するケースから構成されている。
この被覆層50Aは、図示のように円筒状であって、前述した被覆層50と同様に、水密性及び絶縁性を有し、導電性のコンパウンド40に対して反応が生じない材料であって、可撓性を有する材料、例えば絶縁層60と同じ樹脂等から形成されている。
【0061】
この被覆層50Aは、図8に示すように、その内部であって長手方向中間部に、コネクタ30並びに当該コネクタ30に接続されたアルミ導体11及び銅導体21の接続部を収容する中空部51Aを備え、被覆層50Aの長手方向一端部と他端部には、それぞれ中空部51Aに連通する連通孔52A,53Aが形成されている。
一方の連通孔52Aは、その内径が第一の電線・ケーブル10の絶縁層12の外径と同等以下、他方の連通孔53Aは、その内径が第二の電線・ケーブル10の絶縁層22の外径と同等以下となっている。
これにより、被覆層50Aがコネクタ30並びに当該コネクタ30に接続された第一の電線・ケーブル10及び第二の電線・ケーブル20の接続部を収容したときに、連通孔52Aの内周面は第一の電線・ケーブル10の絶縁層12の外周面と密着し、連通孔53Aの内周面は第二の電線・ケーブル20の絶縁層22の外周面と密着するので、内部の導電性のコンパウンド40の漏出を低減、防止することができる。なお、各連通孔52A、53Aと第一の電線・ケーブル10の絶縁層12、第二の電線・ケーブル20の絶縁層22との間には、別途、水密シール加工を加えてもよい。
【0062】
また、図9に示すように、被覆層50Aの外周面には長手方向全長に沿って、中空部51A、連通孔52A,53Aまで達する切り込み部54Aが形成されている。
さらに、切り込み部54Aの端面の一方には他方の端面に向かって凸となる根元がくびれた凸条55Aが被覆層50Aの全長に渡って形成されており、他方の端面には、凸条55Aに対応して開口端が狭くなった凹溝56Aが被覆層50Aの全長に渡って形成されている。
【0063】
これらの構造により、切り込み部54Aから被覆層50Aを開いて、第一の電線・ケーブル10の接続部と第二の電線・ケーブル20の接続部とコネクタ30を収容し、凸条55Aを凹溝56Aに押し込むことで切り込み部54Aを塞ぐことができる。これらの作業により被覆層50Aをコネクタ30の周囲に簡単且つ迅速に形成することができる。
【0064】
上記電線・ケーブルの接続構造100Aを形成する電線・ケーブルの接続方法について簡単に説明する。
まず、導体接続工程が行われ、第一の電線・ケーブル10のアルミ導体11と第二の電線・ケーブル20の銅導体21とが、前述した電線・ケーブルの接続構造100と同様にしてコネクタ30により接続される(図4参照)。
そして、拭き取り工程が行われ、第一の電線・ケーブル10のアルミ導体11と第二の電線・ケーブル20の銅導体21とコネクタ30の周囲の余剰な導電性のコンパウンド40が、前述した電線・ケーブルの接続構造100と同様にして拭き取られる(図5参照)。
そして、被覆層形成工程では、事前に工業的に製造された被覆層50Aをコネクタの周囲に装着する。即ち、切り込み部54Aから被覆層50Aを開いて、第一の電線・ケーブル10の接続部と第二の電線・ケーブル20の接続部とコネクタ30を収容し、凸条55Aを凹溝56Aに押し込み、被覆層50Aの形成を完了する。
そして、電線・ケーブルの接続構造100と同一の作業により絶縁層形成工程を行い、必要な場合には、絶縁層60の両端部に水密加工を施して電線・ケーブルの接続構造100Aが完成する。
【0065】
このように、被覆層50Aを、第一の電線・ケーブル10の接続部と第二の電線・ケーブル20の接続部とコネクタ30とを収容するケースで形成することにより、被覆層50Aの形成の作業負担を軽減し、当該形成作業を迅速且つ容易に行うことが可能となる。
また、被覆層50Aに切り込み部54Aと凸条55Aと凹溝56Aとを設けることにより、形成作業をさらに迅速つ容易に行うことが可能となる。
また、上記構成の被覆層50Aであれば、事前に工業的に製造することができるので、被覆層50Aの形成がさらに容易にとなり、また、水密性能やコンパウンドの封止性能が安定した被覆層50Aを利用することが可能となる。
【0066】
[第三の実施形態]
第三の実施形態である電線・ケーブルの接続構造100Bについて図10図13に基づいて説明する。
電線・ケーブルの接続構造100Bについては、電線・ケーブルの接続構造100と同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略し、電線・ケーブルの接続構造100と異なる点について主に説明する。
【0067】
この電線・ケーブルの接続構造100Bは、電線・ケーブルの接続構造100に比べて被覆層50Bの構造が異なっている。
この被覆層50Bは、コネクタ30並びに当該コネクタ30に接続された第一の電線・ケーブル10及び第二の電線・ケーブル20の接続部を封止する、絶縁層60と別体の樹脂層から構成されている。
この被覆層50Bは、図示のように円筒状であって、前述した被覆層50と同様に、水密性を有し、導電性のコンパウンド40に対して反応が生じない樹脂材料、例えば絶縁層60と同じ樹脂等から形成されている。
【0068】
この被覆層50Bは、図10に示すように、樹脂の充填により、コネクタ30、第一の電線・ケーブル10の露出したアルミ導体11及び絶縁層12の接続部及び第二の電線・ケーブル20の露出した銅導体21及び絶縁層22の接続部及びこれらの表面に付着した導電性のコンパウンド40を隙間なく包み込んで封止する。
なお、被覆層50Bと第一の電線・ケーブル10の絶縁層12、第二の電線・ケーブル20の絶縁層22との間には、別途、水密シール加工を加えてもよい。
【0069】
上記電線・ケーブルの接続構造100Bを形成する電線・ケーブルの接続方法について説明する。
まず、図11に示すように、導体接続工程が行われ、第一の電線・ケーブル10のアルミ導体11と第二の電線・ケーブル20の銅導体21とが、前述した電線・ケーブルの接続構造100と同様にしてコネクタ30により接続される。
そして、図12に示すように、拭き取り工程が行われ、第一の電線・ケーブル10のアルミ導体11と第二の電線・ケーブル20の銅導体21とコネクタ30の周囲の余剰な導電性のコンパウンド40が、前述した電線・ケーブルの接続構造100と同様にして拭き取られる。
【0070】
そして、図13に示すように、第一の電線・ケーブル10の接続部、第二の電線・ケーブル20の接続部及びコネクタ30を樹脂にて封止する被覆層50Bを形成する(被覆層形成工程)。
即ち、前述した被覆層50Bの形状を形成するための金型に、コネクタ30、第一の電線・ケーブル10の接続部及び第二の電線・ケーブル20の接続部を格納し、その内部に樹脂を所定の圧力で注入して、モールド加工を行う。そして、樹脂の硬化後は、被覆層50Bが金型から取り出される。
【0071】
そして、被覆層50Bとこれに被覆された第一の電線・ケーブル10の接続部、第二の電線・ケーブル20の接続部及びコネクタ30を電気絶縁性の樹脂にて封止して絶縁層60を形成する(絶縁層形成工程)。
即ち、前述した絶縁層60の形状を形成するための金型に、被覆層50Bにより被覆されたコネクタ30、第一の電線・ケーブル10の接続部及び第二の電線・ケーブル20の接続部を格納し、その内部に樹脂を所定の圧力で注入して、モールド加工を行う。
この時、樹脂は被覆層50Bの両端部より外側の範囲にまで供給されるので、被覆層50Bとこれに被覆されたアルミ導体11、銅導体21及びコネクタ30は、完全に絶縁層60の内側に封止される。
また、被覆層50Bにより導電性のコンパウンド40は封止されているので、一定の圧力で周囲に樹脂が供給されても、導電性のコンパウンド40が絶縁層60を形成する樹脂へ混入することが低減、防止される。
そして、樹脂の冷却後は、絶縁層60が金型から取り出される。必要な場合には、絶縁層60の両端部に水密加工を施しておく。こうした工程により電線・ケーブルの接続構造100Bが完成する。
【0072】
このように、被覆層50Bを第一の電線・ケーブル10の接続部と第二の電線・ケーブル20の接続部とコネクタ30とを封止する樹脂層で形成することにより、被覆層50Bを工業的に製造することができるので、被覆層50Bの形成の作業負担を軽減と共に水密性能やコンパウンドの封止性能が安定した被覆層50Bを利用することが可能となる。
【0073】
[第四の実施形態]
第四の実施形態である電線・ケーブルの接続構造100Cについて図14図17に基づいて説明する。
電線・ケーブルの接続構造100Cについては、電線・ケーブルの接続構造100と同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略し、電線・ケーブルの接続構造100と異なる点について主に説明する。
【0074】
前述した電線・ケーブルの接続構造100は、第一の電線・ケーブル10の先端部を接続部として、第二の電線・ケーブル20の先端部と接続した接続構造を説明したが、この電線・ケーブルの接続構造100Cは、第一の電線・ケーブル10の長手方向の途中位置を接続部として第二の電線・ケーブル20の先端部と接続した接続構造である点が異なっている。
【0075】
即ち、第一の電線・ケーブル10は、図14に示すように、長手方向の途中位置において絶縁層12が除去され、アルミ導体11が露出している。この露出部分を接続部として、第二の電線・ケーブル20の先端部から露出した銅導体21が接続されている。
【0076】
第一の電線・ケーブルの接続構造100Cのコネクタ30Cは、平行に並んでアルミ導体11の挿入溝31Cと銅導体21の挿入溝32Cとが形成されている。
そして、第一の電線・ケーブル10はコネクタ30Cを貫通した状態で露出したアルミ導体11が挿入溝31Cに保持され、第二の電線・ケーブル20の銅導体21はコネクタ30Cの一端部から挿入溝32Cに挿入されて保持されている。
このコネクタ30Cは、第一の電線・ケーブル10のアルミ導体を保持し易くするために半割構造としても良い。
コネクタ30Cの各挿入溝31C,32C内には、予め導電性のコンパウンド40が充填され、アルミ導体11と銅導体21が挿入され、圧縮接続が行われることにより、コネクタ30Cの両端部から漏出して、当該コネクタ30Cの両側から露出したアルミ導体11及び銅導体21の表面を被覆している。
【0077】
被覆層50Cは、前述した被覆層50を形成するテープと同じ自己融着性を有するテープの1/2ラップ巻による巻き付けにより形成されている。
即ち、第一の電線・ケーブル10における露出したアルミ導体11の片側の絶縁層12の端部の外周からコネクタ30Cの全体を経て、第一の電線・ケーブル10における露出したアルミ導体11の反対側の絶縁層12の端部の外周及び第二の電線・ケーブル20の絶縁層22の先端部の外周までの間に被覆層50Cが形成されている。
なお、第一の電線・ケーブル10のアルミ導体11と第二の電線・ケーブル20の銅導体21や第一の電線・ケーブル10の絶縁層12と第二の電線・ケーブル20の絶縁層22の間には隙間が生じ易く、テープの巻き付けで埋めるのは困難となる場合がある。
このため、これら隙間には、被覆層50Cを形成するテープと同じ素材からなる充填物51C,52Cを充填して埋めている。
これにより、被覆層50Cの内側に導電性のコンパウンド40を効果的に封止することができる。
【0078】
絶縁層60Cは、コネクタ30Cとその両側を貫通する第一の電線・ケーブル10の接続部と第一の電線・ケーブル10に平行に並んだ第二の電線・ケーブル20の先端部と被覆層50Cとを全て被覆可能な形状であることを除いて、前述した絶縁層60と同一である。
【0079】
上記電線・ケーブルの接続構造100Cを形成する電線・ケーブルの接続方法について説明する。
まず、図15に示すように、導体接続工程が行われ、第一の電線・ケーブル10のアルミ導体11と第二の電線・ケーブル20の銅導体21とがコネクタ30Cにより接続される。
即ち、第一の電線・ケーブル10のアルミ導体11が挿入溝31Cに挿入され、第二の電線・ケーブル20の銅導体21が挿入溝32Cに挿入され、コネクタ30Cが加圧されて圧縮接続が行われる。
そして、図16に示すように、拭き取り工程が行われ、第一の電線・ケーブル10のアルミ導体11と第二の電線・ケーブル20の銅導体21とコネクタ30Cの周囲の余剰な導電性のコンパウンド40が拭き取られる。
【0080】
そして、図17に示すように、第一の電線・ケーブル10の接続部、第二の電線・ケーブル20の接続部及びコネクタ30Cに対して隙間に充填物51C,52Cを詰めてから自己融着性のテープを巻き付けて被覆層50Cを形成する(被覆層形成工程)。
【0081】
そして、被覆層50Cとこれに被覆された第一の電線・ケーブル10の接続部、第二の電線・ケーブル20の接続部及びコネクタ30Cを電気絶縁性の樹脂にて封止して絶縁層60Cを形成する(絶縁層形成工程)。
即ち、前述した絶縁層60Cの形状を形成するための金型に、被覆層50Cにより被覆されたコネクタ30C、第一の電線・ケーブル10の接続部及び第二の電線・ケーブル20の接続部を格納し、その内部に樹脂を所定の圧力で注入して、モールド加工を行う。
この時、樹脂は被覆層50Cの両端部より外側の範囲にまで供給されるので、被覆層50Cとこれに被覆されたアルミ導体11、銅導体21及びコネクタ30は、完全に絶縁層60Cの内側に封止される。
また、被覆層50Cにより導電性のコンパウンド40は封止されているので、一定の圧力で周囲に樹脂が供給されても、導電性のコンパウンド40が絶縁層60Cを形成する樹脂へ混入することが低減、防止される。
そして、樹脂の硬化後は、絶縁層60Cが金型から取り出される。必要な場合には、絶縁層60Cの両端部に水密加工を施しておく。以上の工程により電線・ケーブルの接続構造100Cが完成する。
【0082】
このように、コネクタ30Cにより、第一の電線・ケーブル10の長手方向の途中位置で露出したアルミ導体11と第二の電線・ケーブル20の銅導体21とを連結する構成とした場合には、第一の電線・ケーブル10から分岐するように第二の電線・ケーブル20を接続することができ、第一の電線・ケーブル10に対して複数の第二の電線・ケーブル20を接続することが容易となり、アルミ導体11を有する第一の電線・ケーブル10を、銅導体の電線・ケーブルとの接続を想定した配電盤等の複数の従来設備又は従来設備の複数箇所に対して良好且つ低コストで接続することが可能となる。
【0083】
なお、上記各実施形態において、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0084】
10 第一の電線・ケーブル
11 アルミ導体
12 絶縁層(導体被覆層)
20 第二の電線・ケーブル
21 銅導体
22 絶縁層(導体被覆層)
30,30C コネクタ
31,32,31C,32C 挿入溝
40 導電性のコンパウンド
50,50A,50B,50C 被覆層
51C,52C 充填物
60,60C 絶縁層
100,100A,100B,100C 接続構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17