特許第6623073号(P6623073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6623073光導波路構造、光集積素子、および光導波路構造の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623073
(24)【登録日】2019年11月29日
(45)【発行日】2019年12月18日
(54)【発明の名称】光導波路構造、光集積素子、および光導波路構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/122 20060101AFI20191209BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20191209BHJP
   G02B 6/136 20060101ALI20191209BHJP
   H01S 5/227 20060101ALI20191209BHJP
   H01S 5/026 20060101ALI20191209BHJP
   G02F 1/025 20060101ALI20191209BHJP
【FI】
   G02B6/122 311
   G02B6/125 301
   G02B6/136
   H01S5/227
   H01S5/026 618
   G02F1/025
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-23210(P2016-23210)
(22)【出願日】2016年2月10日
(65)【公開番号】特開2017-142348(P2017-142348A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 康貴
(72)【発明者】
【氏名】岩井 則広
(72)【発明者】
【氏名】川北 泰雅
【審査官】 佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−226062(JP,A)
【文献】 特開平10−332964(JP,A)
【文献】 特開2012−079990(JP,A)
【文献】 特開2013−058628(JP,A)
【文献】 特開2004−102097(JP,A)
【文献】 特開2007−206127(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01391756(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12−6/14
G02F 1/025
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路コア層を備えた埋め込み導波路構造を有する第1光導波路部と、
導波路コア層を備えたハイメサ導波路構造を少なくとも1つ有する第2光導波路部と、
前記第1光導波路部の埋め込み導波路構造と光学的に接続された、導波路コア層を備えた埋め込み導波路構造を含むメサストライプ構造を有する第3光導波路部と、
前記第2光導波路部のハイメサ導波路構造と前記第3光導波路部の埋め込み導波路構造とを光学的に接続する、導波路コア層を備えたハイメサ導波路構造を有する第4光導波路部と、
を備え、
前記第4光導波路部のハイメサ導波路構造の、前記第3光導波路部の埋め込み導波路構造との接続端における導波路幅は、前記第3光導波路部の埋め込み導波路構造の導波路幅よりも広く、
前記第4光導波路部のハイメサ導波路構造の、前記第2光導波路部の少なくとも1つのハイメサ導波路構造との接続端における導波路幅は、前記第2光導波路部が1つのハイメサ導波路構造からなる場合に前記1つのハイメサ導波路構造の導波路幅よりも広く、前記第2光導波路部が複数のハイメサ導波路構造からなる場合に前記複数のハイメサ導波路構造の導波路幅の合計よりも広く、
前記第3光導波路部の埋め込み導波路構造は、前記第1光導波路部の埋め込み導波路構造と同一構造であり、前記第3光導波路部のメサストライプ構造の幅は、前記第4光導波路部のハイメサ導波路構造の、前記第3光導波路部の埋め込み導波路構造との接続端における導波路幅と等しい
ことを特徴とする光導波路構造。
【請求項2】
前記第1光導波路部および前記第3光導波路部の各埋め込み導波路構造は、前記導波路コア層を含むメサ構造および前記メサ構造を埋め込む埋め込み部の上に形成されたn型またはp型の半導体からなる上部クラッド層を含み、前記各導波路構造の導波路コア層を含む埋め込まれたメサの深さは、前記第2光導波路部および前記第4光導波路部のハイメサ導波路構造のメサの深さより浅い
ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。
【請求項3】
前記第1光導波路部の埋め込み導波路構造に光学的に接続された、導波路構造を有し少なくとも一部が利得を発生させうる構成となっているコア層を備えた埋め込み導波路構造を有する第5光導波路部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。
【請求項4】
前記第5光導波路部は回折格子を有しており、前記回折格子は前記利得を発生させうるコア層のうち、利得を発生させうる部分の近傍に設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の光導波路構造。
【請求項5】
前記第5光導波路部は回折格子を有しており、前記回折格子は前記利得を発生させうるコア層のうち、利得を発生させうる部分に沿って設けられている
ことを特徴とする請求項3または4に記載の光導波路構造。
【請求項6】
前記第2光導波路部は、2つのハイメサ導波路構造を有する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光導波路構造。
【請求項7】
ハイメサ導波路構造を備えたリング状導波路部を有し、前記リング状導波路部が前記第2光導波路部のハイメサ導波路構造の少なくとも一つに光学的に接続されている第6光導波路部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光導波路構造。
【請求項8】
前記第2光導波路部の2つのハイメサ導波路構造を互いに光学的に接続する第7光導波路部をさらに備える
ことを特徴とする請求項6に記載の光導波路構造。
【請求項9】
前記第2光導波路部の2つのハイメサ導波路構造の両方に光学的に接続された光合波導波路部を有する第8光導波路部をさらに備える
ことを特徴とする請求項6に記載の光導波路構造。
【請求項10】
前記第4光導波路部のハイメサ導波路構造は多モード干渉導波路を構成している
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の光導波路構造。
【請求項11】
前記第1光導波路部の埋め込み導波路構造に光学的に接続された、活性コア層を備えた埋め込み導波路構造を有する第5光導波路部をさらに備え、
前記第1光導波路部、前記第3光導波路部および前記第5光導波路部の各埋め込み導波路構造は、メサ導波路構造および埋め込み部の上に形成されたp型のドーパントを含む半導体からなる上部クラッド層を含み、
前記第1光導波路部および前記第3光導波路部の上部クラッド層に含まれるp型のドーパントが不活性になっている
ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一つに記載の光導波路構造を備えることを特徴とする光集積素子。
【請求項13】
導波路コア層を含む半導体積層構造を形成する半導体積層構造形成工程と、
前記半導体積層構造の表面に、ハイメサ構造を形成する領域に面状に広がるマスク部と、埋め込み導波路構造を形成するためのストライプ状のマスク部とを有する第1マスクを形成し、前記第1マスクをエッチングマスクとして前記半導体積層構造の一部を除去するエッチングを行う第1エッチング工程と、
前記第1マスクを選択成長マスクとして、前記第1エッチング工程において前記半導体積層構造を除去した領域に半導体層を形成し、埋め込み導波路構造を形成する埋め込み導波路構造形成工程と、
前記第1マスクを除去した半導体積層構造および前記形成した半導体層との表面に導電性半導体層を形成する導電性半導体層形成工程と、
前記導電性半導体層の表面に、前記埋め込み導波路構造を形成した領域に面状に広がるマスク部と、ハイメサ導波路構造とメサストライプ構造の形成のための形状を有するマスク部とを有する第2マスクを形成し、前記第2マスクをエッチングマスクとして前記半導体積層構造の一部を除去するエッチングを行ない、ハイメサ導波路構造とメサストライプ構造を形成する第2エッチング工程と、
を含むことを特徴とする光導波路構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路構造、光集積素子、および光導波路構造の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に形成する光機能素子は、その種類によって好適な導波路構造が異なる。例えば電流注入により導波光に対して利得を発生させるような光機能素子については埋め込み導波路構造が好適である。光の導波方向を大きく曲げたり、屈折率を変化させて導波光を変調したりするような光機能素子についてはハイメサ導波路構造が好適である。近年、光機能素子の機能の高度化に伴い、異種の光機能素子をモノリシックに集積したような光集積素子が開発されており、それに伴い埋め込み導波路とハイメサ導波路との接続が必要になる(特許文献1〜4)。
【0003】
しかし、埋め込み導波路とハイメサ導波路とでは、その導波モードが互いに異なるため、そのまま接続すると導波モードの不整合から光の反射や損失が生じてしまう。これらの問題は、接続部にテーパ構造や多モード干渉(Multi-Mode Interference)導波路の構造を導入することで解決できる(特許文献5、6)。特に、MMI導波路の構造を用いると、1×N分岐のような光分岐機能を接続部に持たせることができるので、素子長を短くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−12952号公報
【特許文献2】特開平11−64656号公報
【特許文献3】特開2002−118324号公報
【特許文献4】特開平10−332964号公報
【特許文献5】特開2002−311267号公報
【特許文献6】特開2010−226062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献6の構造では、埋め込み導波路とハイメサ導波路とを集積する際に、埋め込み導波路部およびハイメサ導波路部ともにハイメサ導波路を先に形成したのちに、そのハイメサ導波路に対して埋め込み成長を行うことで埋め込み導波路を形成する構造であるために、埋め込み導波路領域側に電流注入により利得を発生させる素子(利得素子)を配置する場合、電流注入経路がハイメサ導波路構造により制限され、結果として電気抵抗が高くなってしまう懸念がある。
【0006】
一方、MMI導波路を、MMI導波路の途中で埋め込み導波路構造とハイメサ導波路構造とが接合している構造で形成する場合、導波路構造同士の位置ずれトレランスが厳しく、構造のメリットを損ねてしまう懸念がある。
【0007】
他方、埋め込み導波路領域側に配置する利得素子の電気抵抗を下げるために、メサの深さが浅い埋め込みメサ構造上に導電性のクラッド層を再成長させた構造としたうえで、特許文献6のようにMMI導波路の途中で埋め込み導波路とハイメサ導波路との接続を行う構造とした場合、その製造誤差に対するトレランスは特許文献6で企図しているほど良好にならず、当該接続構造にしているメリットを損ねてしまう懸念がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、異なる導波路構造の接続部における損失が少なく、製造誤差に対するトレランスが高い構造を有する光導波路構造、光集積素子、および光導波路構造の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る光導波路構造は、導波路コア層を備えた埋め込み導波路構造を有する第1光導波路部と、導波路コア層を備えたハイメサ導波路構造を少なくとも1つ有する第2光導波路部と、前記第1光導波路部の埋め込み導波路構造と光学的に接続された、導波路コア層を備えた埋め込み導波路構造を含むメサストライプ構造を有する第3光導波路部と、前記第2光導波路部のハイメサ導波路構造と前記第3光導波路部の埋め込み導波路構造とを光学的に接続する、導波路コア層を備えたハイメサ導波路構造を有する第4光導波路部と、を備え、前記第4光導波路部のハイメサ導波路構造の、前記第3光導波路部の埋め込み導波路構造との接続端における導波路幅は、前記第3光導波路部の埋め込み導波路構造の導波路幅よりも広く、前記第4光導波路部のハイメサ導波路構造の、前記第2光導波路部の少なくとも1つのハイメサ導波路構造との接続端における導波路幅は、前記第2光導波路部が1つのハイメサ導波路構造からなる場合に前記1つのハイメサ導波路構造の導波路幅よりも広く、前記第2光導波路部が複数のハイメサ導波路構造からなる場合に前記複数のハイメサ導波路構造の導波路幅の合計よりも広く、前記第3光導波路部の埋め込み導波路構造は、前記第1光導波路部の埋め込み導波路構造と同一構造であり、前記第3光導波路部のメサストライプ構造の幅は、前記第4光導波路部のハイメサ導波路構造の、前記第3光導波路部の埋め込み導波路構造との接続端における導波路幅と等しいことを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る光導波路構造は、前記第1光導波路部および前記第3光導波路部の各埋め込み導波路構造は、前記導波路コア層を含むメサ構造および前記メサ構造を埋め込む埋め込み部の上に形成されたn型またはp型の半導体からなる上部クラッド層を含み、前記各導波路構造の導波路コア層を含む埋め込まれたメサの深さは、前記第2光導波路部および前記第4光導波路部のハイメサ導波路構造のメサの深さより浅いことを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る光導波路構造は、前記第1光導波路部の埋め込み導波路構造に光学的に接続された、導波路構造を有し少なくとも一部が利得を発生させうる構成となっているコア層を備えた埋め込み導波路構造を有する第5光導波路部をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係る光導波路構造は、前記第5光導波路部は回折格子を有しており、前記回折格子は前記利得を発生させうるコア層のうち、利得を発生させうる部分の近傍に設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係る光導波路構造は、前記第5光導波路部は回折格子を有しており、前記回折格子は前記利得を発生させうるコア層のうち、利得を発生させうる部分に沿って設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係る光導波路構造は、前記第2光導波路部は、2つのハイメサ導波路構造を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係る光導波路構造は、ハイメサ導波路構造を備えたリング状導波路部を有し、前記リング状導波路部が前記第2光導波路部のハイメサ導波路構造の少なくとも一つに光学的に接続されている第6光導波路部をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様に係る光導波路構造は、前記第2光導波路部の2つのハイメサ導波路構造を互いに光学的に接続する第7光導波路部をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様に係る光導波路構造は、前記第2光導波路部の2つのハイメサ導波路構造の両方に光学的に接続された光合波導波路部を有する第8光導波路部をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様に係る光導波路構造は、前記第4光導波路部のハイメサ導波路構造は多モード干渉導波路を構成していることを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様に係る光導波路構造は、前記第1光導波路部の埋め込み導波路構造に光学的に接続された、活性コア層を備えた埋め込み導波路構造を有する第5光導波路部をさらに備え、前記第1光導波路部、前記第3光導波路部および前記第5光導波路部の各埋め込み導波路構造は、メサ導波路構造および埋め込み部の上に形成されたp型のドーパントを含む半導体からなる上部クラッド層を含み、前記第1光導波路部および前記第3光導波路部の上部クラッド層に含まれるp型のドーパントが不活性になっていることを特徴とする。
【0020】
本発明の一態様に係る光集積素子は、本発明の一態様に係る光導波路構造を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様に係る光導波路構造の製造方法は、導波路コア層を含む半導体積層構造を形成する半導体積層構造形成工程と、前記半導体積層構造の表面に、ハイメサ構造を形成する領域に面状に広がるマスク部と、埋め込み導波路構造を形成するためのストライプ状のマスク部とを有する第1マスクを形成し、前記第1マスクをエッチングマスクとして前記半導体積層構造の一部を除去するエッチングを行う第1エッチング工程と、前記第1マスクを選択成長マスクとして、前記第1エッチング工程において前記半導体積層構造を除去した領域に半導体層を形成し、埋め込み導波路構造を形成する埋め込み導波路構造形成工程と、前記第1マスクを除去した半導体積層構造および前記形成した半導体層との表面に導電性半導体層を形成する導電性半導体層形成工程と、前記導電性半導体層の表面に、前記埋め込み導波路構造を形成した領域に面状に広がるマスク部と、ハイメサ導波路構造とメサストライプ構造の形成のための形状を有するマスク部とを有する第2マスクを形成し、前記第2マスクをエッチングマスクとして前記半導体積層構造の一部を除去するエッチングを行ない、ハイメサ導波路構造とメサストライプ構造を形成する第2エッチング工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、異なる導波路構造の接続部における損失が少なく、製造誤差に対するトレランスが高い光導波路構造を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施形態1に係る光導波路構造の模式的な平面図である。
図2図2は、図1に示す光導波路構造の模式的な断面図である。
図3図3は、実施形態2に係る光集積素子の模式的な平面図である。
図4図4は、図3に示す光集積素子の第5光導波路部の模式的な断面図である。
図5図5は、実施形態3に係る光集積素子の模式的な平面図である。
図6図6は、実施形態4に係る光集積素子の模式的な平面図である。
図7図7は、実施形態5に係る光集積素子の模式的な平面図である。
図8図8は、実施形態6に係る光集積素子の模式的な平面図である。
図9図9は、実施形態7に係る光集積素子の模式的な平面図である。
図10図10は、図1に示す光導波路構造の製造方法の一例を説明する図である。
図11図11は、図1に示す光導波路構造の製造方法の一例を説明する図である。
図12図12は、図1に示す光導波路構造の製造方法の一例を説明する図である。
図13図13は、図1に示す光導波路構造の製造方法の一例を説明する図である。
図14図14は、図1に示す光導波路構造の製造方法の一例を説明する図である。
図15図15は、実施形態1の変形例に係る光導波路構造の模式的な平面図である。
図16図16は、参考例としての光導波路構造の模式的な平面図である。
図17図17は、オフセット量と損失との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して本発明に係る光導波路構造、光集積素子、および光導波路構造の製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0025】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る光導波路構造の模式的な平面図である。図2は、図1に示す光導波路構造の模式的な断面図である。図2(a)がA−A線断面、図2(b)がB−B線断面、図2(c)がC−C線断面、図2(d)がD−D線断面である。
【0026】
光導波路構造100は、1.55μm帯の光を導波するものであり、第1光導波路部10と、第2光導波路部20と、第3光導波路部30と、第4光導波路部40と、を備えている。これらの導波路は、長手方向(光導波方向)において、第1光導波路部10、第3光導波路部30、第4光導波路部40、第2光導波路部20の順に配列している。
【0027】
第1光導波路部10は、半導体からなる埋め込み導波路構造11を有する。具体的には、図2(d)に示すように、第1光導波路部10は、n型ドーパントを含むInP(n型InP)からなる基板101上に、n型InPからなる下部クラッド層102と、バンドギャップ波長が1.25μmである組成(以下、1.25Qと呼ぶ)であり、InPよりも屈折率が高いInGaAsPからなる導波路コア層113と、p型ドーパントを含むInP(p型InP)からなる上部クラッド層104とが順次積層した構造を有する。上部クラッド層104、導波路コア層113、および下部クラッド層102の一部は、深さh1のメサ導波路構造を有しており、このメサ導波路構造の両側がp型InPからなる下部埋め込み層107と、下部埋め込み層107上に積層したn型InPからなる上部埋め込み層108とからなる埋め込み部で埋め込まれることにより、埋め込み導波路構造11となっている。埋め込み部は導波路コア層113に対して幅方向におけるクラッド領域として機能する。なお、メサ導波路構造の上面と埋め込み部の上面とは、基板101からの高さが略等しくなっている。さらに、第1光導波路部10では、埋め込み導波路構造11のメサ導波路構造および埋め込み部の上に、p型InPからなる上部クラッド層105と、p型InGaAsからなるコンタクト層106とが順次積層している。
【0028】
第2光導波路部20は、半導体からなる2つのハイメサ導波路構造21、22を有する。具体的には、図2(a)に示すように、第2光導波路部20において、ハイメサ導波路構造21は、基板101上に、下部クラッド層102と、1.25QのInGaAsPからなる導波路コア層123と、上部クラッド層104、105と、コンタクト層106とが順次積層し、かつコンタクト層106の表面から下部クラッド層102の一部までがハイメサ構造とされることにより形成されている。同様に、ハイメサ導波路構造22は、基板101上に、下部クラッド層102と、1.25QのInGaAsPからなる導波路コア層123と、上部クラッド層104、105と、コンタクト層106とが順次積層し、かつコンタクト層106の表面から下部クラッド層102の一部までがハイメサ構造とされることにより形成されている。なお、ハイメサ導波路構造21、22は深さh1より大きい深さh2を有する。
【0029】
第3光導波路部30は、半導体からなる埋め込み導波路構造31を含むメサストライプ構造32を有している。具体的には、図2(c)に示すように、第3光導波路部30は、基板101上に、下部クラッド層102と、1.25QのInGaAsPからなる導波路コア層133と、上部クラッド層104とが順次積層した構造を有する。上部クラッド層104、導波路コア層113、および下部クラッド層102の一部は、メサ導波路構造を有している。このメサ導波路構造の深さは第1光導波路部10の場合と同様に深さh1である。そして、このメサ導波路構造の両側が下部埋め込み層107と上部埋め込み層108とからなる埋め込み部で埋め込まれることにより、埋め込み導波路構造31となっている。なお、メサ導波路構造の上面と埋め込み部の上面とは、基板101からの高さが略等しくなっている。
【0030】
この埋め込み導波路構造31は、第1光導波路部10の埋め込み導波路構造11と同一の構造である。すなわち、メサ導波路構造と埋め込み部の構造とは両者で同一である。また、埋め込み導波路構造31における幅方向の光の閉じ込めは主に埋め込み部により規定され、メサストライプ構造32の幅方向両側に存在する媒質の光閉じ込めへの影響は無視できるほど小さくなるように、第3光導波路部30の設計がなされている。
【0031】
さらに、第3光導波路部30では、埋め込み導波路構造31のメサ導波路構造および埋め込み部の上に、上部クラッド層105と、コンタクト層106とが順次積層している。そして、コンタクト層106の表面から下部クラッド層102の一部までがメサストライプ構造とされることにより、メサストライプ構造32が形成されている。メサストライプ構造32の深さは第2光導波路部20の場合と同様に深さh2である。
【0032】
また、図1に示すように、第1光導波路部10の埋め込み導波路構造11と第3光導波路部30の埋め込み導波路構造31とは、導波路コア層113と導波路コア層133とが接続することにより、光学的に接続されている。
【0033】
第4光導波路部40は、半導体からなるハイメサ導波路構造41を有する。具体的には、図2(b)に示すように、第4光導波路部40において、ハイメサ導波路構造41は、基板101上に、下部クラッド層102と、1.25QのInGaAsPからなる導波路コア層143と、上部クラッド層104、105と、コンタクト層106とが順次積層し、かつコンタクト層106の表面から下部クラッド層102の一部までがハイメサ構造とされることにより形成されている。なお、ハイメサ導波路構造41は第2光導波路部20の場合と同様に深さh2を有する。なお、第4光導波路部40のハイメサ導波路構造41は、1×2または2×1のMMI導波路を構成するようにそのサイズ等が設計されている。
【0034】
第2光導波路部20の各ハイメサ導波路構造21、22および第4光導波路部40のハイメサ導波路構造41の幅方向両側は、導波路コア層よりも屈折率が低い材料、たとえばSiO、空気、ポリイミドなどが存在する。
【0035】
下部クラッド層102の厚さは1.0μm、導波路コア層113、123、123、133、143の厚さはいずれも200nm、上部クラッド層104の厚さは300nm、上部クラッド層105の厚さは1.5μm、コンタクト層106の厚さは0.3μmである。なお、これらの値は例示であり、本発明の実施形態がこれらに限定されるものではない。
【0036】
また、図1に示すように、第4光導波路部40は、第2光導波路部20の2つのハイメサ導波路構造21、22と、第3光導波路部30の埋め込み導波路構造31とを光学的に接続する。具体的には、第4光導波路部40のハイメサ導波路構造41の、第3光導波路部30の埋め込み導波路構造31との接続端における導波路幅W41(導波路コア層143の幅)は、第3光導波路部30の埋め込み導波路構造31の導波路幅W31(導波路コア層133の幅)よりも広くなっている。なお、第1光導波路部10の埋め込み導波路構造11の導波路幅W11は導波路幅W31と同じである。また、ハイメサ導波路構造41の、第2光導波路部20の2つのハイメサ導波路構造21、22との接続端における導波路幅W42は、2つのハイメサ導波路構造21、22の導波路幅W21、W22の合計よりも広い。そして、ハイメサ導波路構造41の一方の端部において導波路コア層143が導波路コア層123、123と接続し、ハイメサ導波路構造41の他方の端部において導波路コア層143が導波路コア層13と接続することにより、ハイメサ導波路構造21、22と埋め込み導波路構造31とが光学的に接続される。
【0037】
また、光導波路構造100において、第3光導波路部30のメサストライプ構造32の幅W32は、第4光導波路部40のハイメサ導波路構造41の導波路幅W41と等しい。すなわち、第4光導波路部40の第3光導波路部30との接続側は、ハイメサ導波路構造ではなく、埋め込み導波路構造31となっている。
【0038】
なお、導波路幅W11、W31、W21、W22はいずれも2.0μmであり、これらの導波路は1.55μm帯の光をシングルモードで導波する。導波路幅W41、W42はいずれも6.0μmであり、第4光導波路部においては1.55μm帯の光をマルチモードで導波する。第4光導波路部40の長手方向における長さは、1×2あるいは2×1のMMI導波路として動作するような結合長に設定されている。2つのハイメサ導波路構造21、22の間隔は1.0μmである。なお、これらの値は例示であり、本発明の実施形態がこれらに限定されるものではない。
【0039】
光導波路構造100は、第1光導波路部10から入力された波長1.55μm帯の光を、第4光導波路部40によりマルチモードで導波し、かつ第2光導波路部20の2つのハイメサ導波路構造21、22のそれぞれとの接続部に光のスポットを結像させ、2分岐して出力するように動作する。同様に、光導波路構造100は、第2光導波路部20の2つのハイメサ導波路構造21、22のそれぞれから入力された波長1.55μm帯の光を、第4光導波路部40によりマルチモードで導波し、合波して第3光導波路部30の埋め込み導波路構造31との接続部に光のスポットを結像させ、第1光導波路部10から出力するように動作する。
【0040】
この光導波路構造100は、上記構造を有することにより、製造誤差等により、第4光導波路部40のハイメサ導波路構造41の導波路コア層143の長手方向に垂直な方向(幅方向)における中心軸と、第3光導波路部30の埋め込み導波路構造31の導波路コア層133の幅方向における中心軸および第1光導波路部10の埋め込み導波路構造11の導波路コア層113の幅方向における中心軸とが、幅方向で位置ずれしてしまったとしても、この位置ずれにより発生する過剰損失を小さくすることができる。すなわち、光導波路構造100は、異なる導波路構造の接続部における損失が少なく、製造誤差に対するトレランスが高いものである。
【0041】
上記効果を参考例との比較により説明する。図16は、参考例としての光導波路構造100Xの模式的な平面図である。この光導波路構造100Xは、光導波路構造100と略同一の構成を有するが、第3光導波路部30を、ハイメサ導波路構造31Xを有する第3光導波路部30Xに置き換えたものである。すなわち、光導波路構造100Xは、第4光導波路部40のハイメサ導波路構造41が第3光導波路部30Xのハイメサ導波路構造31Xを介して第1光導波路部10の埋め込み導波路構造11に接続する構造を有する。
【0042】
光導波路構造100と光導波路構造100Xとで生じる導波光の損失のシミュレーションを行った。その結果を図17に示す。破線は、参考例の光導波路構造100Xで、第4光導波路部40のハイメサ導波路構造41の幅方向における中心軸と、第3光導波路部30Xのハイメサ導波路構造31Xの幅方向における中心軸と、第1光導波路部10の埋め込み導波路構造11の幅方向における中心軸とが完全に一致している(すなわち、オフセット量が0μm)場合に発生する損失を示している。仮に第3光導波路部30Xのハイメサ導波路構造31Xの幅方向における中心軸と、第1光導波路部10の埋め込み導波路構造11の幅方向における中心軸とが一致していない場合、発生する損失はさらに増大することになる。一方、実施例は、実施形態1に係る光導波路構造100で、導波路コア層143の幅方向における中心軸と、導波路コア層133および113の幅方向における中心軸とが、0〜1μm程度のオフセット量で位置ずれした場合に発生する損失を示している。図17に示すように、実施形態1に係る光導波路構造100では、1μm程度のオフセット量で位置ずれが発生した場合でも、その損失はオフセット量が0μmの場合より0.2dB程度しか増加せず、製造誤差に対するトレランスが高いことが確認された。
【0043】
なお、同様に、光導波路構造100は、上記構造を有することにより、製造誤差等により、第4光導波路部40のハイメサ導波路構造41の、第1光導波路部10の埋め込み導波路構造11に接続する側の端部の位置が長手方向でずれてしまったとしても、この位置ずれにより発生する過剰損失を小さくすることができる。この点は後に詳述する。
【0044】
また、光導波路構造100では、ハイメサ導波路構造と埋め込み導波路構造との接続部が、光分岐・合成機能を持たせたMMI導波路を構成するハイメサ導波路構造41となっているため、光導波路構造100の長さを短くできる。
【0045】
(実施形態2)
図3は、実施形態2に係る光集積素子の模式的な平面図である。図3に示すように、光集積素子1000は、実施形態1に係る光導波路構造100に、第5光導波路部200を接続した光導波路構造を備える。
【0046】
第5光導波路部200は、半導体からなる埋め込み導波路構造201を有する。具体的には、図4に断面図で示すように第5光導波路部200は、光導波路構造100と共通の基板101上に、下部クラッド層102と、電流注入により1.55μm帯で発光する組成のInGaAsPからなる井戸層と、障壁層とが交互に積層した多重量子井戸構造である導波路活性コア層203と、上部クラッド層104とが順次積層した構造を有する。上部クラッド層104、導波路活性コア層203、および下部クラッド層102の一部は、メサ導波路構造を有している。このメサ導波路構造の深さは第1光導波路部10の場合と同様に深さh1である。そして、このメサ導波路構造の両側が下部埋め込み層107と上部埋め込み層108とからなる埋め込み部で埋め込まれることにより、埋め込み導波路構造201となっている。なお、メサ導波路構造の上面と埋め込み部の上面とは、基板101からの高さが略等しくなっている。さらに、第5光導波路部200では、埋め込み導波路構造201のメサ導波路構造および埋め込み部の上に、上部クラッド層105とコンタクト層106とが順次積層している。さらに、基板101の裏面全面にはn側電極211が形成されており、コンタクト層106の表面には、導波路活性コア層203の幅より広い幅のp側電極212が形成されている。
【0047】
また、図3に示すように、第1光導波路部10の埋め込み導波路構造11と第5光導波路部200の埋め込み導波路構造201とは、導波路コア層113と導波路活性コア層203とが接続することにより、光学的に接続されている。
【0048】
上記のように、導波路活性コア層203は利得を発生させうる構成となっている。この光集積素子1000は、発光素子として機能する。具体的には、外部の制御装置から第5光導波路部200のp側電極212とn側電極211との間に電圧を印加し、電流を注入すると、導波路活性コア層203は電流が注入されて光を発生する。なお、注入された電流は埋め込み部が電流狭窄構造として機能することにより、その電流密度が高められる。第5光導波路部200は発生した光を光導波路構造100に出力する。光導波路構造100においてMMI導波路として構成されているハイメサ導波路構造41は入力された光を2分岐する。ハイメサ導波路構造21、22は2分岐された光をそれぞれ出力する。
【0049】
この光集積素子1000は、実施形態1に係る光導波路構造100を備えているので、製造誤差に対するトレランスが高く、かつ素子長を短くできる。さらに、埋め込み導波路構造201のメサ導波路構造および埋め込み部の上に、上部クラッド層105とコンタクト層106とが順次積層しているので、p側電極212から導波路活性コア層203への電流パスの幅が、導波路活性コア層203をハイメサ導波路構造として形成した場合よりも広くなる。具体的には、第2光導波路部20のような深さh1のハイメサ導波路構造21、22の場合、上部クラッド層105およびコンタクト層106もメサ構造なので、電流パスの幅が狭いが、埋め込み導波路構造201のメサ導波路構造の深さは深さh1であり、その上にはメサ幅よりも幅が広い上部クラッド層105とコンタクト層106とが順次積層しているので、上部クラッド層105およびコンタクト層106の部分では電流パスの幅が広い。したがって、第5光導波路部200では、電流注入の際の電気抵抗が低くなり、電流注入量に対する発光量の割合が大きくなる。したがって、光集積素子1000は、より電力効率が高い発光素子となる。
【0050】
なお、光集積素子1000において、第1光導波路部10および前記第3光導波路部30の上部クラッド層104、105に含まれるp型ドーパントは不活性になっていてもよい。これらの光導波路部では電流注入を行わないので、上部クラッド層104、105に含まれるp型ドーパントを不活性にすることで、p型ドーパントが導波されている光を吸収し、光損失が発生することを抑制できる。
【0051】
なお、光集積素子1000において、第5光導波路部200は回折格子を備えてもよい。回折格子は導波路活性コア層203の近傍に設けられる。回折格子層を導波路活性コア層203に沿って設けることで、第5光導波路部200はDFB(Distributed FeedBack)型レーザ構造となる。また、たとえば、光導波路構造100とは反対側において導波路活性コア層203と接続する導波路コア層を設け、当該導波路コア層の直上に回折格子層を設けることで、第5光導波路部200はDBR(Distributed Bragg Reflector)型レーザ構造となる。
【0052】
(実施形態3)
図5は、実施形態3に係る光集積素子の模式的な平面図である。図5に示すように、光集積素子2000は、実施形態1に係る光導波路構造100に、第6光導波路部300を接続した光導波路構造を備える。
【0053】
第6光導波路部300は、ハイメサ導波路構造21と同様のハイメサ導波路構造を有する2つのアーム導波路部301、302およびリング状導波路部303とを備える。アーム導波路部301は光導波路構造100のハイメサ導波路構造21に光学的に接続し、アーム導波路部302はハイメサ導波路構造22に光学的に接続している。リング状導波路部303は、アーム導波路部301、302のそれぞれに光学的に接続している。したがって、リング状導波路部303は、ハイメサ導波路構造21、22の両方に光学的に接続されている。
【0054】
光集積素子2000は、リング共振器フィルタまたはリング共振器反射ミラーとして機能する。具体的には、光集積素子2000は、第1光導波路部10側から入力された光に対して、所定の光の周波数間隔で反射ピークを有する反射特性を有しており、入力された光の波長が反射ピークに一致する場合は、その光の進行方向を反転させ第1光導波路部10から出力し、一致しない場合は、光は略透過してアーム導波路部301、302の紙面上側の端部から出力する。
【0055】
この光集積素子2000は、実施形態1に係る光導波路構造100を備えているので、製造誤差に対するトレランスが高く、かつ素子長を短くできる。
【0056】
(実施形態4)
図6は、実施形態4に係る光集積素子の模式的な平面図である。図6に示すように、光集積素子3000は、実施形態1に係る光導波路構造100に、第7光導波路部400を接続した光導波路構造を備える。
【0057】
第7光導波路部400は、ハイメサ導波路構造21と同様のハイメサ導波路構造を有するループ状導波路部401を備える。ループ状導波路部401は光導波路構造100の2つのハイメサ導波路構造21、22を互いに光学的に接続している。
【0058】
光集積素子3000は、ループミラーとして機能する。具体的には、光集積素子3000は、第1光導波路部10側から入力された光の進行方向を反転させ、再び第1光導波路部10から出力する。
【0059】
この光集積素子3000は、実施形態1に係る光導波路構造100を備えているので、製造誤差に対するトレランスが高く、かつ素子長を短くできる。
【0060】
(実施形態5)
図7は、実施形態5に係る光集積素子の模式的な平面図である。図7に示すように、光集積素子4000は、実施形態1に係る光導波路構造100に、第8光導波路部500を接続した光導波路構造を備える。
【0061】
第8光導波路部500は、ハイメサ導波路構造21と同様のハイメサ導波路構造を有する2つのアーム導波路部501、502と、アーム導波路部501、502の両方に光学的に接続された、ハイメサ導波路構造41と同様のハイメサ導波路構造を有し、1×2のMMI導波路として構成されている光合波導波路部503と、光合波導波路部503に光学的に接続された、ハイメサ導波路構造21と同様のハイメサ導波路構造を有する光導波路部504と、を備える。2つのアーム導波路部501、502はそれぞれ光導波路構造100の2つのハイメサ導波路構造21、22のそれぞれに光学的に接続している。したがって、光合波導波路部503は2つのハイメサ導波路構造21、22の両方に光学的に接続されている。
【0062】
光集積素子4000は、マッハツェンダ干渉計(MZI)として機能する。具体的には、光集積素子4000は、第1光導波路部10側から入力された光を、2つのハイメサ導波路構造21、22の光路差に依存した強度で光導波路部504から出力する。
【0063】
この光集積素子4000は、実施形態1に係る光導波路構造100を備えているので、製造誤差に対するトレランスが高く、かつ素子長を短くできる。
【0064】
(実施形態6)
図8は、実施形態6に係る光集積素子の模式的な平面図である。図8に示すように、光集積素子5000は、図3に示す第5光導波路部200の両端のそれぞれに、図5に示す光集積素子2000を接続した構成を有する。
【0065】
光集積素子5000では、2つの光集積素子2000が光共振器の反射ミラーとして機能し、第5光導波路部200が利得部として機能することで、全体として半導体レーザ素子として機能する。そして、たとえばアーム導波路部301の紙面上側の一端からレーザ光L1を出力する。
【0066】
光集積素子5000の動作についてより具体的に説明する。2つの光集積素子2000においてリング状導波路部303の半径は互いに異なるように構成されている。これにより、各リング状導波路部303の反射特性は、周期的な反射ピークの周波数間隔が互いに異なる物となる。また、2つのリング状導波路部303の少なくとも一方の表面には、たとえばTiなどの金属からなるリング状のヒータが形成されている。ヒータによりリング状導波路部303を加熱することにより、導波路コア層の屈折率が変化し、リング状導波路部303の周期的な反射ピークが光の周波数軸上で全体的にシフトする。これにより、バーニア効果を有する光共振器を構成することができるので、光集積素子5000は波長可変レーザ素子として機能する。
【0067】
また、利得部である第5光導波路部200を導波した光は、リング共振器反射ミラーとしての光集積素子2000に入力される。ここで、利得部からリング共振器反射ミラーに光が進む過程を往路、リング共振器反射ミラーから利得部に光が戻る過程を復路と呼称し、その動作を説明する。往路において、MMI導波路である第4光導波路部40のハイメサ導波路構造41に入力された光は、第2光導波路部20の2つのハイメサ導波路構造21、22に分岐され、リング共振器反射ミラーのアーム導波路部301、302にそれぞれ入力される。ここで、アーム導波路部301にz方向の正の向きに入力された、リング共振器の共振周波数と同一の周波数を持つ光は、アーム導波路部302にz方向の負の向きに向かって出力される。アーム導波路部302にz方向の正の向きに入力された、リング共振器の共振周波数と同一の周波数を持つ光も同様に、アーム導波路部301にz方向の負の向きに向かって出力される。すなわち、2つのハイメサ導波路構造21、22側から往路方向に導波する光は、同じ光路を互いに逆向きに伝搬して2つのハイメサ導波路構造21、22に戻ってくる。したがって、2つのハイメサ導波路構造21、22から第4光導波路部40に入力される2つの光の位相関係は、第4光導波路部40から2つのハイメサ導波路構造21、22に出力されたときの光の位相関係と同一(同相)であり、かつその強度の相対関係も同一になっている。そのため、第4光導波路部40を往路方向に導波して1つのビームから2つのビームへと変換された光は、復路方向でも2つのビームから1つのビームへと変換されることとなる。
【0068】
この光集積素子5000は、実施形態1に係る光導波路構造100を備えているので、製造誤差に対するトレランスが高く、かつ素子長を短くできる。さらに、第5光導波路部200では、電流注入の際の電気抵抗が低くなり、電流注入量に対する発光量の割合が大きくなるので、光集積素子5000の電力効率が高くなり、より低しきい値電流かつ高光出力の半導体レーザ素子となる。
【0069】
(実施形態7)
図9は、実施形態7に係る光集積素子の模式的な平面図である。図9に示すように、光集積素子6000は、図7に示す光集積素子4000のアーム導波路部501、502上に電極511、512をそれぞれ設け、さらに第8光導波路部500の裏面にも電極を設け、さらに図3に示す第5光導波路部200および第9光導波路部600を順次、第1光導波路部10側に接続した構成を有する。第9光導波路部600は埋め込み導波路構造61を有する。
【0070】
ここで、本実施形態7では、第5光導波路部200は、DFBレーザ素子として機能するように、その導波路活性コア層203に沿って不図示の回折格子層が形成されている。また、第8光導波路部500に設けられた各電極に変調電流を流すことにより、アーム導波路部501、502の導波路コア層の屈折率を変調することで、第8光導波路部500はMZI変調器として機能する。その結果、光集積素子6000は、MZI変調器集積型のDFBレーザ素子として機能する。そして、光導波路部504の紙面上側の一端から変調されたレーザ光L2を出力する。
【0071】
この光集積素子6000は、実施形態1に係る光導波路構造100を備えているので、製造誤差に対するトレランスが高く、かつ素子長を短くできる。さらに、第5光導波路部200では、電流注入の際の電気抵抗が低くなり、電流注入量に対する発光量の割合が大きくなるので、光集積素子5000の電力効率が高くなり、より低しきい値電流かつ高光出力の半導体レーザ素子となる。
【0072】
(製造方法)
つぎに、実施形態1に係る光導波路構造100の製造方法の一例を図10図14を参照して説明する。
はじめに、図10(a)に示すように、半導体積層構造形成工程として、有機金属気相成長法(MOCVD)により、基板101上に、下部クラッド層102、1.25QのInGaAsPからなる導波路コア層103、上部クラッド層104を順次成長し、半導体積層構造を形成する。導波路コア層103は導波路コア層113、123、123、133、143となる層である。
【0073】
つづいて、第1エッチング工程を行う。すなわち、まず上部クラッド層104上に、誘電体である窒化シリコンを、たとえばプラズマCVD法などにより厚さ100nmで堆積したのち、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、埋め込み導波路形成エッチング用兼選択成長用の第1ハードマスクM1を形成する。第1ハードマスクM1形成のためのエッチングには、例えば四フッ化炭素(CF)を用いた反応性イオンエッチング(RIE)などが選択される。また、この第1ハードマスクM1により,埋め込み導波路を形成する領域と、その後ハイメサ導波路を形成する領域が規定される。第1ハードマスクM1はハイメサ導波路構造とメサストライプ構造を形成する領域に面状に広がるマスク部M11と、埋め込み導波路構造を形成するためのストライプ状のマスク部M12とを有する。マスク部M11とマスク部M12との長手方向における境界位置は位置P1である。また、マスク部M12の中心軸は中心軸X1である。
【0074】
つづいて、たとえばウエットエッチングなどのエッチングにより、上部クラッド層104、導波路コア層103、および下部クラッド層102の一部をエッチングし、第1光導波路部10および第3光導波路部30におけるメサ導波路構造を形成する。図10(c)、(d)は、それぞれ、エッチング後の図10(b)におけるE−E線断面図、F−F線断面図である。
【0075】
つづいて、埋め込み導波路構造形成工程として、MOCVD法により、下部埋め込み層107と上部埋め込み層108とを順次成長し、埋め込み部を形成する。図11(a)、(b)は、それぞれ、埋め込み部形成後の図10(b)におけるE−E線断面図、F−F線断面図である。その後、第1ハードマスクM1をバッファードフッ酸(BHF)などにより除去する。
【0076】
つづいて、導電性半導体層形成工程として、MOCVD法により、全面に、導電性を有する上部クラッド層105とコンタクト層106とを順次成長する。上部クラッド層105におけるp型ドーパントのドープ濃度は、光導波路を導波する光に対する吸収の影響と、上部クラッド層105を層厚方向に流れる電流に対する電気抵抗の影響を考慮し、層厚方向において複数段で濃度が変化するように構成することができる。
【0077】
なお、上部クラッド層104、105に含まれるp型ドーパントを不活性にする場合は、ここでコンタクト層106上にイオン注入用のマスクを形成し、マスクの上から水素イオンを注入してp型ドーパントを不活性化し、その後マスクを除去する。
【0078】
つづいて、第2エッチング工程を行う。すなわち、まず、図12に示すように、コンタクト層106上に、誘電体である窒化シリコンを、たとえばプラズマCVD法などにより堆積したのち、ステッパなどの高解像度パターンが作製できるようなフォトリソグラフィ技術を用いて、ハイメサ導波路構造とメサストライプ構造形成エッチング用の第2ハードマスクM2を形成する。第2ハードマスクM2は、ハイメサ導波路構造とメサストライプ構造形成エッチングの際の半導体とのエッチング選択比、およびハイメサ導波路構造とメサストライプ構造のエッチング深さを勘案して,エッチングの途中で消失しないような厚さ、たとえば500nmの厚さで堆積する。第2ハードマスクM2は、埋め込み導波路構造を形成した領域に面状に広がるマスク部M21と、ハイメサ導波路構造とメサストライプ構造形成のための形状を有するマスク部M22とを有する。マスク部M22の中心軸は中心軸X2である。マスク部M21とマスク部M22との長手方向における境界位置は位置P2であり、マスク部M11とマスク部M12との境界位置である位置P1よりも紙面上側に位置する。これにより、埋め込み導波路構造31を含むメサストライプ構造32を有する第3光導波路部30が形成される。このように第3光導波路部30が形成されるようにすることで、製造誤差によるマスク部M11とマスク部M12の境界位置の長手方向における境界位置とマスク部M21とマスク部M22との長手方向における境界位置との位置ずれや、マスク部M12の中心軸X1とマスク部M22の中心軸X2との位置ずれが起こったとしても、第3光導波路部30と第4光導波路部40との接続損失の増大が抑制される。その結果、光導波路構造100は、異なる導波路構造の接続部における損失が少なく、製造誤差に対するトレランスが高い。
【0079】
なお、図13(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ、第2ハードマスクM2形成後の図12におけるG−G線断面図、H−H線断面図、I−I線断面図、J−J線断面図である。
【0080】
つづいて、たとえば誘導結合型RIE(ICP−RIE)などのエッチング手段を用いてコンタクト層106、上部クラッド層105、導波路コア層103、および下部クラッド層の一部をエッチングし、第2光導波路部20および第4光導波路部40における垂直性の高いハイメサ導波路構造、および第3光導波路部30における垂直性の高いメサストライプ構造を形成する。図14(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ、エッチング後の図12におけるG−G線断面図、H−H線断面図、I−I線断面図、J−J線断面図である。その後、第2ハードマスクM2をBHFなどにより除去する。その後、誘電体からなる保護膜の作製や素子分離などの必要な工程を行い、光導波路構造100が完成する。なお、このエッチングは、例えばローディング効果、マイクロローディング効果などのエッチング状態の不均一性をもたらす諸現象によって、必ずしもすべての箇所で同じエッチング深さにはならないことがあるため、特に第2導波路部20のうち2つのハイメサ導波路構造に挟まれた領域などは、他の箇所とは深さが異なることがありうることに留意すべきである。
【0081】
なお、図15は、実施形態1の変形例に係る光導波路構造の模式的な平面図である。この光導波路構造100Aは、光導波路構造100の第2光導波路部20に替えて逆テーパ型のハイメサ導波路構造21A、22Aを有する第2光導波路部20Aを備え、第3光導波路部30に替えてテーパ型の埋め込み導波路構造31Aを有する第2光導波路部20Aを備えるものである。このようなテーパ型や逆テーパ型のハイメサ導波路構造とすることにより、導波路部間の接続損失を低減する構成としてもよい。また、テーパ型や逆テーパ型の導波路構造のテーパ形状は、直線的、2次関数的、指数関数的、などに代表される任意の単調増加あるいは単調減少の関数で表現される形状を取りうる。
【0082】
また、上記実施形態では、第2光導波路部20は2つのハイメサ導波路構造21、22を有するが、第2光導波路部が有するハイメサ導波路構造の数は2つに限られず、少なくとも1つであればよい。
【0083】
また、上記実施形態では、リング状導波路部303は2つのハイメサ導波路構造21、22の両方に接続しているが、本発明はこれに限らず、リング状導波路部が第2光導波路部のハイメサ導波路構造の少なくとも一つに光学的に接続されている構成を備えることができる。
【0084】
また、上記実施形態では、半導体積層構造において、導波路コア層よりも基板側がn型半導体からなり、導波路コア層の基板と反対側はp型半導体からなっているが、導波路コア層よりも基板側がp型半導体からなり、導波路コア層の基板と反対側がn型半導体からなる構造としてもよい。
【0085】
また、上記実施形態について例示した電極材料、半導体材料や半導体層の厚さ、導波路のサイズ等の特性は、光導波構造が波長1.55μm帯の光を導波する場合のものである。これらの特性は導波する光の波長に対応させて適宜設定される。
【0086】
また、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 第1光導波路部
11、31、31A、61、201 埋め込み導波路構造
20、20A 第2光導波路部
21、21A、22、22A、41 ハイメサ導波路構造
30 第3光導波路部
32 メサストライプ構造
40 第4光導波路部
100、100A 光導波路構造
101 基板
102 下部クラッド層
103、113、123、123、133、143 導波路コア層
104 上部クラッド層
105 上部クラッド層
106 コンタクト層
107 下部埋め込み層
108 上部埋め込み層
200 第5光導波路部
203 導波路活性コア層
211 n側電極
212 p側電極
300 第6光導波路部
301、302、501、502 アーム導波路部
303 リング状導波路部
400 第7光導波路部
401 ループ状導波路部
500 第8光導波路部
503 光合波導波路部
504 光導波路部
511、512 電極
600 第9光導波路部
1000、2000、3000、4000、5000、6000 光集積素子
h1、h2 深さ
L1、L2 レーザ光
M1 第1ハードマスク
M11、M12、M21、M22 マスク部
M2 第2ハードマスク
W11、W21、W22、W31、W41、W42 導波路幅
X1、X2 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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図17