(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
溶接用ケーブルであるアルミケーブルの導体の外周に取り付けられ、溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材の導体挿入部に挿入されるパイプスリーブを有するアルミケーブルとジョイント部材との接続構造において、
前記パイプスリーブは、銅、銅合金、銀若しくは銀合金製であって、その内部表面が錫
若しくは錫合金又はニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる被覆層で覆われており、
前記パイプスリーブの内側に導電性のコンパウンドが内包され、
前記パイプスリーブが、締結された止めネジで押圧された状態で、前記コンパウンドに含まれる金属微粒子により、前記アルミケーブルの導体の素線の表面の酸化被膜が破壊されて、前記パイプスリーブとの導電性が確保され、前記導体同士の導通が確保されており、
前記パイプスリーブの内部表面に、凸部が形成され、
前記止めネジによる締結が行われて、前記アルミケーブルの導体を構成する複数の素線の内側に前記凸部が入り込み、前記アルミケーブルの導体の内側の素線の酸化皮膜が破壊され、その内側から露出した新生面と前記凸部とが接触していることを特徴とするアルミケーブルとジョイント部材との接続構造。
溶接用ケーブルであるアルミケーブルの導体の外周に取り付けられ、溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材の導体挿入部に挿入されるパイプスリーブを有するアルミケーブルとジョイント部材との接続構造において、
前記パイプスリーブは、アルミニウム又はアルミニウム合金製であり、
前記パイプスリーブの内側に導電性のコンパウンドが内包され、
前記パイプスリーブが、締結された止めネジで押圧された状態で、前記コンパウンドに含まれる金属微粒子により、前記アルミケーブルの導体の素線の表面の酸化被膜が破壊されて、前記パイプスリーブとの導電性が確保され、前記導体同士の導通が確保されており、
前記パイプスリーブの内部表面に、凸部が形成され、
前記止めネジによる締結が行われて、前記アルミケーブルの導体を構成する複数の素線の内側に前記凸部が入り込み、前記アルミケーブルの導体の内側の素線の酸化皮膜が破壊され、その内側から露出した新生面と前記凸部とが接触していることを特徴とするアルミケーブルとジョイント部材との接続構造。
前記パイプスリーブは、その外部表面及び内部表面が錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる被覆層で覆われていることを特徴とする請求項2記載のアルミケーブルとジョイント部材との接続構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、溶接用ケーブルの導体として、銅もしくは銅合金から軽量化を目的として、アルミニウムもしくはアルミニウム合金への転換が検討されている。
従来の溶接用ケーブルジョイントは、銅導体との接続を前提に設計されているため、銅や黄銅が材料として使用されている。
【0005】
これらのケーブルジョイントをアルミニウム導体に取り付ける場合、異種金属接触腐食が問題となる。つまり、その接続箇所に結露が生じるなどして水分が介在すると、局部電池が形成され、アルミニウムが陽イオンとして溶出し、最終的にはアルミニウム導体が損傷して、接触抵抗の増大により発熱に至る虞がある。
【0006】
また、アルミニウム導体は空気中に曝されると、その表面に酸化皮膜を生じる。この酸化皮膜は絶縁抵抗が非常に高いために、銅導体の場合と同じ手順、同じ工法で接続処理を行うと、通電時に発熱する恐れがある。
このため、アルミニウム導体を接続する際には、送配電分野で行われているように、ブラッシングにより酸化皮膜を除去する必要がある。
しかし、素線の撚り合わせ、特に溶接用ケーブルのように、多数の細い素線によって導体が構成されていると、ブラッシングでは導体外周部の素線の表面の酸化皮膜を除去することは出来るが、内側の素線にまでブラッシングを施すことは難しかった。
さらに、溶接用ケーブルのように細い素線で構成される場合、ブラッシングの際に力を入れすぎると素線が折れたり切れたりすることがあるので、ブラッシングを慎重に行わねばならず、作業負担の増加を招いていた。
【0007】
また、ケーブルの導体が素線の撚り合わせからなる場合、管状のパイプスリーブに素線が挿入された状態で、溶接用ケーブルジョイントの導体挿入部に挿入して、止めネジで締結する方法が採られている。この方法をアルミニウムの素線からなる導体に適用した場合、導体の外周近くの素線の酸化皮膜は破壊することができるが、この場合も、内側の素線まで酸化皮膜を破壊することは困難である。
【0008】
例えば、
図15に示すように、パイプスリーブPが素線Sと共に止めネジで押圧圧縮された場合、ある素線の酸化皮膜がブラッシングや押圧によって破壊され、新生面L(素線Sの周囲の細線部分)が露出しても、酸化皮膜(素線Sの周囲の太線部分)が残った他の素線表面に囲まれた新生面LはパイプスリーブPや導体接続管との導通が得られない。従って、導体中央部に位置する素線ほど素線間の導通は乏しいので、導通が不充分となるおそれがあった。
【0009】
本発明の目的は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体の溶接用ケーブルを使用する場合に良好な導通を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、
溶接用ケーブルであるアルミケーブルの導体の外周に取り付けられ、溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材の導体挿入部に挿入されるパイプスリーブを有するアルミケーブルとジョイント部材との接続構造において、
前記パイプスリーブは、銅、銅合金、銀若しくは銀合金製であって、その内部表面が錫若しくは錫合金又はニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる被覆層で覆われており、
前記パイプスリーブの内側に導電性のコンパウンドが内包され、
前記パイプスリーブが、締結された止めネジで押圧された状態で、前記コンパウンドに含まれる金属微粒子により、前記アルミケーブルの導体の素線の表面の酸化被膜が破壊されて、前記パイプスリーブとの導電性が確保され、前記導体同士の導通が確保されて
おり、
前記パイプスリーブの内部表面に、凸部が形成され、
前記止めネジによる締結が行われて、前記アルミケーブルの導体を構成する複数の素線の内側に前記凸部が入り込み、前記アルミケーブルの導体の内側の素線の酸化皮膜が破壊され、その内側から露出した新生面と前記凸部とが接触していることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、
溶接用ケーブルであるアルミケーブルの導体の外周に取り付けられ、溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材の導体挿入部に挿入されるパイプスリーブを有するアルミケーブルとジョイント部材との接続構造において、
前記パイプスリーブは、アルミニウム又はアルミニウム合金製であり、
前記パイプスリーブの内側に導電性のコンパウンドが内包され、
前記パイプスリーブが、締結された止めネジで押圧された状態で、前記コンパウンドに含まれる金属微粒子により、前記アルミケーブルの導体の素線の表面の酸化被膜が破壊されて、前記パイプスリーブとの導電性が確保され、前記導体同士の導通が確保されて
おり、
前記パイプスリーブの内部表面に、凸部が形成され、
前記止めネジによる締結が行われて、前記アルミケーブルの導体を構成する複数の素線の内側に前記凸部が入り込み、前記アルミケーブルの導体の内側の素線の酸化皮膜が破壊され、その内側から露出した新生面と前記凸部とが接触していることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の
アルミケーブルとジョイント部材との接続構造において、
前記パイプスリーブは、その外部表面及び内部表面が錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる被覆層で覆われていることを特徴とする。
【0014】
請求項
4記載の発明は、請求項
1から3のいずれか一項に記載のアルミケーブルとジョイント部材との接続構造において、
前記凸部は、前記溶接用ケーブルの長手方向に沿った凸条であることを特徴とする。
【0016】
請求項
5記載の発明は、請求項1から
4のいずれか一項に記載のアルミケーブルとジョイント部材との接続構造において、
前記パイプスリーブの内部表面に、前記溶接用ケーブルの長手方向に沿って凹凸が繰り返して形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項
6記載の発明は、請求項1から
5のいずれか一項に記載のアルミケーブルとジョイント部材との接続構造において、
前記パイプスリーブは、前記溶接用ケーブルの長手方向の一端部が閉塞されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、パイプスリーブの内部表面が錫若しくは錫合金又はニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる被覆層で覆われているので、ジョイント部材の導体挿入部が銅又は銅合金製であって溶接用ケーブルの導体がアルミニウム又はアルミニウム合金製ある場合でも、これらが直接的に接触することを回避することができ、銅−アルミニウム間で生じる異種金属接触腐食による発熱の発生を効果的に回避又は抑制することが可能となる。
また、パイプスリーブをアルミニウム又はアルミニウム合金製とした場合には、溶接用ケーブルの導体がアルミニウム又はアルミニウム合金製ある場合でも異種金属接触腐食による発熱の発生を効果的に回避又は抑制することが可能となる。さらに、挿入される導体と同種の材料とすることで、応力緩和やクリープの発生を抑制することができ、これによる発熱の発生を効果的に回避又は抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明に係る溶接用ケーブルに適したパイプスリーブの実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0022】
なお、パイプスリーブは、溶接用ケーブルジョイントに溶接用ケーブルを接続する際に使用され、溶接用ケーブルジョイント10は、アーク溶接装置100(
図14参照)の溶接機101とホルダ102又はアースクランプ103との間を接続する溶接用ケーブルが二本以上のケーブルから構成される場合に、ケーブルとケーブルとを接続するためにケーブル間に使用される。
また、後述する第一〜第八の実施形態では、溶接用ケーブルジョイント10が溶接用ケーブルを構成する、導体がアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミケーブル120と導体が銅又は銅合金からなる銅ケーブル130とを接続することを前提とする。
【0023】
[第1実施形態]
この実施形態では、銅ケーブル130とアルミケーブル120を接続するに当たり、銅ケーブル130には第二のジョイント部材30を、アルミケーブル120には第一のジョイント部材20を取り付ける場合を例に説明する。
図1は、本実施形態の溶接用ケーブルジョイント10を示す分解斜視図である。
溶接用ケーブルジョイント10は、図示のように、アルミケーブル120の導体121が挿入される導体挿入部21とプラグ部22とを有する第一のジョイント部材20と、銅ケーブル130の導体131が挿入される導体挿入部31とソケット部32とを有する第二のジョイント部材30と、第一のジョイント部材20の導体挿入部21に挿入され、導体挿入部21とアルミケーブル120の導体121の間に介在する円筒状の第一のパイプスリーブ40と、第二のジョイント部材30の導体挿入部31に挿入され、導体挿入部31と銅ケーブル130の導体131の間に介在する円筒状の第二のパイプスリーブ50と、第一のジョイント部材20を被覆する第一の絶縁カバー60と、第二のジョイント部材30を被覆する第二の絶縁カバー70とを備えている。
【0024】
[銅ケーブル]
銅ケーブル130は、銅又は銅合金からなる導体131と、導体131の外周を被覆する絶縁層132とからなり、その接続端部は絶縁層132が除去され、導体131の外周が露出している。
また、導体131は、複数の素線が撚り合わされてなる。溶接用ケーブルは可撓性が要求されるので、導体131の素線は、電力ケーブルの素線と比較して非常に細く、例えば、外径が0.45[mm]である。
このように、銅ケーブル130は、細い素線を撚り合わせた導体を有するいわゆるキャブタイヤケーブルである。
【0025】
[アルミケーブル]
アルミケーブル120は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体121と、導体121の外周を被覆する絶縁層122とからなり、その接続端部は絶縁層122が除去され、導体121の外周が露出している。
また、導体121は、複数の素線が撚り合わされてなる。これらの素線も、電力ケーブルの素線と比較して非常に細く、例えば、外径が0.45[mm]である。
このように、アルミケーブル120も、細い素線を撚り合わせた導体を有する、いわゆるキャブタイヤケーブルである。
【0026】
[第二のジョイント部材]
図2は第一及び第二のジョイント部材20,30のケーブル中心線に沿った断面図、
図3は第一及び第二のジョイント部材20,30の斜視図である。
第二のジョイント部材30は、全体が銅又は銅合金(例えば、黄銅)によって一体的に形成された略円柱体である。
この第二のジョイント部材30の一端部側には導体挿入部31を備え、他端部側にはソケット部32を備えている。
【0027】
導体挿入部31は、第二のジョイント部材30の一端部側の端面から当該ジョイント部材30の長手方向中間部近くまでの深さで形成された内径が均一な有底の円形の開口部33を有している。この開口部33の内径は、第二のパイプスリーブ50より大きくなっており、第二のパイプスリーブ50を装着した銅ケーブル130の導体131を挿入することができる。
【0028】
また、導体挿入部31には、第二のジョイント部材30の外側表面から開口部33まで貫通した二つのネジ穴34がケーブル長手方向に二つ並んで形成されている。そして、これらのネジ穴34には、二つの止めネジ35が個別に螺入される。
これらの止めネジ35は、例えば、一端部に六角穴が形成された頭無しネジである。また、各止めネジ35は、ユニクロめっきされた鋼もしくはクロムモリブデン鋼など一般的なネジ材料から形成されている。
【0029】
そして、開口部33に第二のパイプスリーブ50を介して銅ケーブル130の導体131が挿入された状態で各止めネジ35を締結すると、その先端部が第二のパイプスリーブ50及び銅ケーブル130の導体131を押圧し、これらを開口部33の内面に圧接させて電気的な良好な接続状態としつつ導体挿入部31から抜けないように保持することができる。
【0030】
ソケット部32は、第二のジョイント部材30の他端部側の端面から当該ジョイント部材30の長手方向中間部近くまでの深さで形成され、内径が深度方向に向かって徐々に縮小する縮径開口部36を有している。この縮径開口部36の内径は、第一のジョイント部材20のプラグ部22が挿入可能な大きさとなっている。
後述する第一のジョイント部材20のプラグ部22は、円錐台形状の突起であり、挿入方向先端部に向かうにつれて縮径しており、ソケット部32は、プラグ部22の長手方向の大部分を挿入することができる。また、挿入時には、ソケット部32の内側表面とプラグ部22の外側表面とが密接するようになっている。
【0031】
また、ソケット部32の外側表面には、第二のジョイント部材30の他端部側の端面からプラグ部22の挿入方向に向かって縮径開口部36まで貫通したスリット37が形成されている。このスリット37は、第二のジョイント部材30の他端部側の端面からプラグ部22の挿入方向に沿って一定の長さで直線状に形成されてから、さらに挿入方向に向かう螺旋状に屈曲しており、プラグ部22の外側表面上に形成された突起26をガイドする役割を持っている。
つまり、突起26をスリット37の直線状部分に沿わせながらプラグ部22をソケット部32に挿入し、途中から、スリット37の螺旋状部分に突起26を沿わせることにより、プラグ部22をソケット部32にねじ込むことができる。突起26はスリット37の螺旋状部分を進むことにより、プラグ部22の外側表面をソケット部32の内側表面に圧接させ、なお且つ、逆方向にねじらない限り、プラグ部22が抜ける方向への移動が規制される構造となっている。
【0032】
[第一のジョイント部材]
第一のジョイント部材20は、
図2及び
図3に示すように、一端部側には導体挿入部21を備え、他端部側にはプラグ部22を備えた略円柱体である。
そして、導体挿入部21及びプラグ部22は銅又は銅合金(例えば、黄銅)によって一体的に形成されている。
【0033】
導体挿入部21は、第一のジョイント部材20の一端部側の端面から当該ジョイント部材20の長手方向中間部近くまでの深さで形成された内径が均一な円形の開口部23を有している。この開口部23の内径は、第一のパイプスリーブ40の外径より大きくなっており、第一のパイプスリーブ40を装着したアルミケーブル120の導体121を挿入することができる。
【0034】
また、導体挿入部21には、第一のジョイント部材20の外側表面から開口部23まで貫通した二つのネジ穴24がケーブル長手方向に二つ並んで形成されている。そして、これらのネジ穴24には、二つの止めネジ25が個別に螺入される。
これらの止めネジ25は、例えば、一端部に六角穴が形成された頭無しネジである。また、各止めネジ25は、ユニクロめっきされた鋼もしくはクロムモリブデン鋼など一般的なネジ材料から形成されている。
【0035】
そして、開口部23に第一のパイプスリーブ40を介してアルミケーブル120の導体121が挿入された状態で各止めネジ25を締結すると、その先端部が第一のパイプスリーブ40及びアルミケーブル120の導体121を押圧し、これらを開口部23の内面に圧接させて電気的な良好な接続状態としつつ導体挿入部21から抜けないように保持することができる。
【0036】
プラグ部22は、第一のジョイント部材20の他端部からその中心線方向に沿って突出した円錐台形状の突起であり、前述したように、先端部に向かうにつれて縮径している。
そして、プラグ部22の外側表面には、ボス状の突起26が設けられている。
このプラグ部22をソケット部32に挿入して相互に連結する構造については既に前述した通りである。
【0037】
[第二のパイプスリーブ]
第二のパイプスリーブ50は、銅又は銅合金製の円管であり、その一端部から銅ケーブル130の導体131を挿入するために僅かに拡径しており、他端部は導体131が外に出ないように僅かに縮径している。
この第二のパイプスリーブ50は、銅ケーブル130の、素線の撚り合わせからなる導体131を挿入可能となる内径に設定されている。
【0038】
[第一のパイプスリーブ]
図4は第一のパイプスリーブ40の斜視図、
図4(B)はケーブル中心方向に沿った断面図である。
図示のように、第一のパイプスリーブ40は、銅又は銅合金製の両端部が開口した円管であり、第二のパイプスリーブ50と同様に、その一端部が僅かに拡径し、他端部が僅かに縮径している。
また、素線の撚り合わせからなるアルミケーブル120の導体121を挿入可能となる内径に設定されている点も同様である。
【0039】
また、第一のパイプスリーブ40は、アルミニウム又はアルミニウム合金製のアルミケーブル120の導体121が挿入されるので、内側表面の全体には金属のメッキからなる内部被覆層41が形成されている。この内部被覆層41は、イオン化傾向の順位がアルミニウムより低く、銅以上の金属であれば良いが、特に、亜鉛系、ニッケル系、錫系の金属が好適である。
第一のパイプスリーブ40が銅又は銅合金製であっても、少なくともアルミニウム製の導体121と接する内面に、これらのめっきからなる内部被覆層41を形成することにより、第一のパイプスリーブ40と導体121との間での異種金属接触腐食を防ぐことが出来る。
【0040】
[第一及び第二の絶縁カバー]
第一及び第二の絶縁カバー60,70は、接続状態の第一及び第二のジョイント部材20,30の周囲を被覆する絶縁性のカバーである。これら絶縁カバー60,70は、絶縁性の樹脂等により形成されており、可撓性を有している。なお、以下に説明する第一及び第二の絶縁カバー60,70の形状は一例であり、接続状態の第一及び第二のジョイント部材20,30の周囲を被覆できる形状であれば以下のものに限定されない。
【0041】
第一の絶縁カバー60は、
図1に示すように、内径及び外径が一定の円筒状である本体部61と、当該本体部61の一端部から徐々に縮径した円錐台形状の縮径部62とを備えている。
本体部61は、第一のジョイント部材20を内側に格納可能である。
また、縮径部62は最も縮径したその一端部の内径がアルミケーブル120の絶縁層122の外径よりも幾分小さく、アルミケーブル120を挿通させた場合に、その絶縁層122を締め付けて密接する。
【0042】
第二の絶縁カバー70は、
図1に示すように、内径及び外径が一定の円筒状である本体部71と、当該本体部71の一端部から徐々に縮径した円錐台形状の縮径部72と、本体部71の他端部に連接し、本体部71よりも内径が大きな大径部73とを備えている。
本体部71は、第二のジョイント部材30を内側に格納可能である。
また、縮径部72は最も縮径したその一端部の内径が銅ケーブル130の絶縁層132の外径よりも幾分小さく、銅ケーブル130を挿通させた場合に、その絶縁層132を締め付けて密接する。
また、大径部73は、第一の絶縁カバー60の本体部61の他端部を挿入可能な内径であり、本体部61を挿入することで第一の絶縁カバー60と第二の絶縁カバー70とを連結することができる。
【0043】
これらの絶縁カバー60,70は、第一及び第二のジョイント部材20,30により接続されたアルミケーブル120の絶縁層122から銅ケーブル130の絶縁層132にかけて、第一及び第二のジョイント部材20,30と第一及び第二のパイプスリーブ40,50とアルミケーブル120の導体121と銅ケーブル130の導体131とを被覆し、外部に対して絶縁状態とすることができる。
【0044】
[ケーブル接続作業]
上記溶接用ケーブルジョイント10による溶接用ケーブルを構成するアルミケーブル120と銅ケーブル130の接続作業について
図5(A)から
図5(D)の工程図により説明する。
まず、
図5(A)に示すように、接続端部の絶縁層122が除去されて導体121が露出したアルミケーブル120を第一の絶縁カバー60の縮径部62側から挿入し、アルミケーブル120の接続端部から第一の絶縁カバー60を退避させておく。
同様に、接続端部の絶縁層132が除去されて導体131が露出した銅ケーブル130を第二の絶縁カバー70の縮径部72側から挿入し、銅ケーブル130の接続端部から第二の絶縁カバー70を退避させておく。
【0045】
また、絶縁層122から露出したアルミケーブル120の導体121は、各素線の表面の酸化皮膜がブラッシングで除去される。そして、第一のパイプスリーブ40の内側表面又は導体121に対して、導電性のコンパウンドが塗布されて、アルミケーブル120の導体121が挿入される。
この導電性のコンパウンドは、導電性を有する金属微粒子(例えば、亜鉛微粒子)と粘性を有するグリス(鉱物油性のグリス、シリコーングリスその他のグリス全般又はひまし油)を含んだ混合物からなる。
この導電性のコンパウンドの金属微粒子が、アルミニウム又はアルミニウム合金製の導体121の各素線の表面の酸化皮膜を破壊し、第一のパイプスリーブ40と導体121との導電性を良好に維持する。
また、絶縁層132から露出した銅ケーブル130の導体131は、第二のパイプスリーブ50に挿入される。
【0046】
次に、
図5(B)に示すように、第一のジョイント部材20の導体挿入部21には、アルミケーブル120の導体121に装着された第一のパイプスリーブ40が挿入され、止めネジ25により締結される。
また、第二のジョイント部材30の導体挿入部31には、銅ケーブル130の導体131に装着された第二のパイプスリーブ50が挿入され、止めネジ35により締結される。
【0047】
次に、
図5(C)に示すように、第一のジョイント部材20のプラグ部22を第二のジョイント部材30のソケット部32に挿入し、プラグ部22の突起26をソケット部32のスリット37に沿わせるように捻り込み、第一のジョイント部材20と第二のジョイント部材30とを接続する。これにより、アルミケーブル120の導体121と銅ケーブル130の導体131とが電気的に接続される。
【0048】
次に、
図5(D)に示すように、退避状態にあった、第一の絶縁カバー60と第二の絶縁カバー70をケーブルに沿って移動させて、第一のジョイント部材20と第二のジョイント部材30とを内部に収容する。さらに、第一の絶縁カバー60の本体部61の一端部を第二の絶縁カバー70の大径部73に挿入し、相互に連結する。
これにより、第一及び第二のジョイント部材20,30と第一及び第二のパイプスリーブ40,50とアルミケーブル120の導体121と銅ケーブル130の導体131とが被覆され、外部に対して絶縁状態となり、アルミケーブル120と銅ケーブル130の接続作業が完了する。
【0049】
[第一の実施形態の技術的効果]
上記溶接用ケーブルジョイント10の第一のパイプスリーブ40は、錫若しくは錫合金又はニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金からなる内部被覆層41が内側表面に形成されているので、銅又は銅合金製の第一のパイプスリーブ40の本体部分とアルミニウム又はアルミニウム合金製の導体121とが直接的に接触することが回避でき、銅−アルミニウム間で生じる異種金属接触腐食の発生を効果的に抑制することが可能となる。
従って、溶接用ケーブルを構成するアルミケーブル120と銅ケーブル130とを接続する場合に、異種金属接触腐食による接触抵抗の増加及び発熱の発生を効果的に回避又は抑制することが可能となる。
【0050】
また、第一のパイプスリーブ40内又はアルミケーブル120の導体121に導電性のコンパウンドを塗布しているので、アルミケーブル120の導体121の素線の表面の酸化皮膜を効果的に破壊することができ、これらの間を良好に導通させることが可能となる。また、ブラッシングによる酸化皮膜の除去作業負担を低減することが可能となる。
【0051】
[パイプスリーブの材質について]
なお、上述した第一のパイプスリーブ40と第二のパイプスリーブ50は、それぞれが挿入される第一又は第二のジョイント部材20,30の導体挿入部21,31の材質に合わせて銅又は銅合金製とする場合を例示したが、これらは銀又は銀合金製としても良い。
なお、第一のパイプスリーブ40については、銀又は銀合金製とした場合でも、錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金からなる内部被覆層41を形成することが望ましい。
【0052】
[第二の実施形態]
第二の実施形態として第一のパイプスリーブの他の例を
図6に基づいて説明する。
図6は第一のパイプスリーブ40Aの斜視図である。
前述した第一のパイプスリーブ40では、内部被覆層41を除く本体部分を銅又は銅合金で形成する場合を例示したが、アルミケーブル120の導体121を挿入する場合、応力緩和やクリープの発生を抑制するためには、導体121とパイプスリーブとを同じ材質又は同種の材質で形成することが望ましい。
このため、この第一のパイプスリーブ40Aは、全体をアルミニウム又はアルミニウム合金で形成している。
その場合、第一のパイプスリーブ40Aの外部表面の全体は、銅又は銅合金からなる第一のジョイント部材20の導体挿入部21との間で異種金属接触腐食が生じないように対策が必要となることから、錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる外部被覆層42Aが形成されている。
また、この第一のパイプスリーブ40Aは、酸化皮膜が形成されないように、その内部表面にも亜鉛、ニッケル又は錫のいずれかからなる内部被覆層41Aが形成されている。
内部被覆層の形成を行わない場合は、パイプスリーブ40Aの内面の酸化皮膜を取り除いた後、コンパウンドを塗布することで酸化の進行を防ぐとよい。
【0053】
このような第一のパイプスリーブ40Aは、全体がアルミニウム又はアルミニウム合金から形成され、外部表面には亜鉛、ニッケル又は錫のいずれかからなる外部被覆層42Aが形成されているので、銅又は銅合金製の第一のジョイント部材20の導体挿入部21との間で異種金属接触腐食の発生を効果的に抑制することができ、接触抵抗の増加及び発熱の発生を効果的に回避又は抑制することが可能となる。
さらに、第一のパイプスリーブ40Aの全体がアルミニウム又はアルミニウム合金から形成されているので、相互間での材料の均一化により、導体121との間での応力緩和やクリープの発生を抑制することが可能となる。
【0054】
また、第一のパイプスリーブ40Aの内側表面に内部被覆層41Aを形成することで、第一のパイプスリーブ40Aの内側表面に対する酸化皮膜の形成を回避することができ、アルミケーブル120の導体121を挿入する際に、ブラッシングによる酸化皮膜の除去作業を不要とすることが可能となる。
なお、この第一のパイプスリーブ40Aにアルミケーブル120の導体121を挿入する際にも、導体121の素線に対するブラッシングによる酸化皮膜の除去及び導体121又は第一のパイプスリーブ40A内への導電性のコンパウンドの塗布を行う必要がある。これにより、アルミケーブル120の導体121の素線の表面の酸化皮膜を効果的に破壊することができ、第一のパイプスリーブ40Aと導体121の間を良好に導通させることが可能となる。
【0055】
[第三の実施形態]
第三の実施形態として第一のパイプスリーブの他の例を
図7及び
図8に基づいて説明する。
図7は第一のパイプスリーブ40Bの斜視図、
図8は止めネジ25により導体挿入部21に締結された第一のパイプスリーブ40Bのケーブル長手方向に垂直な断面図である。
【0056】
この第一のパイプスリーブ40Bは、前述した第一のパイプスリーブ40Aと同様に、全体がアルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、その内部表面と外部表面には、それぞれ、錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる内部被覆層41Bと外部被覆層42Bとが形成されている。
【0057】
さらに、この第一のパイプスリーブ40Bは、その内部表面から内側(中心側)に向かって突出した複数の凸部としての羽根43Bが形成されている。羽根43Bは、第一のパイプスリーブ40Bの内周方向に均一間隔で四つ形成されている。但し、羽根43Bの数は一つ以上あれば後述する効果を得ることが出来、数が多いほどより効果を得られる。
各羽根43Bは、第一のパイプスリーブ40Bの内部表面から中心に向かって立設した矩形の平板状であって、ケーブル長手方向に沿った凸条をなしている。また、各羽根43Bは、第一のパイプスリーブ40Bの内部において、ケーブル長手方向のほぼ全長に渡って形成されている。
また、各羽根43Bも、その表面全体が内部被覆層41Bで被覆されている。
【0058】
この第一のパイプスリーブ40Bは、前述した第一のパイプスリーブ40Aと同一の効果を有している。
そして、この第一のパイプスリーブ40Bは、複数の羽根43Bを備えるので、
図8に示すように、導電性のコンパウンドの塗布とブラッシングによる酸化皮膜除去とが行われてからアルミケーブル120の導体121が挿入され、止めネジ25による締結が行われた場合に、導体121を構成する複数の素線Sの内側に各羽根43Bが入り込み、導体121の内側の深い所にある酸化皮膜が破壊され、その内側から露出した新生面Lとの接触を図ることができ、第一のパイプスリーブ40Bと導体121の間をさらに良好に導通させることが可能となる。
なお、アルミケーブル120の導体121の素線Sが螺旋状に撚られている場合には、各羽根43Bも素線Sと同様の螺旋状に沿うようにケーブル長手方向に傾斜させて形成することが望ましい。
また、図示はしないが、各羽根43Bは、連続でなく、間隔を置いて断続的に配置しても良い。つまり、長手方向に沿った第一のパイプスリーブ40Bのケーブル長手方向のほぼ全長に渡る一枚の羽根ではなく、より短い羽根がケーブル長手方向に沿って複数並ぶように構成しても良い。
【0059】
[第四の実施形態]
第四の実施形態として第一のパイプスリーブの他の例を
図9に基づいて説明する。
図9は第一のパイプスリーブ40Cの斜視図である。
この第一のパイプスリーブ40Cは、前述した第一のパイプスリーブ40Bと同様に、全体がアルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、その内部表面と外部表面には、それぞれ、錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる内部被覆層41Cと外部被覆層42Cとが形成されている。
また、その内部表面には内側に突出した凸部としての凸条43Cが形成されている。
【0060】
この凸条43Cは、ケーブル長手方向に沿って同方向のほぼ全長に渡って形成され、その表面全体に内部被覆層41Cが形成されているが、前述した羽根43Bのように平板状ではなく、略レール状に形成されている。
従って、凸条43Cは、羽根43Bのように表面積を広く確保できないが、その分、本数が多く形成されている。
また、各凸条43Cも、その表面全体が内部被覆層41Cで被覆されている。
【0061】
従って、この第一のパイプスリーブ40Cは、前述した第一のパイプスリーブ40Aと同一の効果を有し、さらに、導体121を構成する複数の素線Sの内側に各凸条43Cが入り込み、導体の内側にある酸化皮膜が除去された新生面Lとの接触を図ることができ、第一のパイプスリーブ40Cと導体121の間を良好に導通させることが可能となる。
なお、凸条43Cも、アルミケーブル120の導体121の素線Sが螺旋状に撚られている場合には、素線Sの螺旋形状に沿うようにケーブル長手方向に傾斜させて形成することが望ましい。
また、図示はしないが、凸条43Cは、連続でなく、間隔を置いて断続的に配置しても良い。この凸条も、長手方向に沿った第一のパイプスリーブ40Cのケーブル長手方向のほぼ全長に渡る一本の凸条ではなく、より短い凸条がケーブル長手方向に沿って複数並ぶように構成しても良い。
【0062】
[第五の実施形態]
第五の実施形態として第一のパイプスリーブの他の例を
図10に基づいて説明する。
図10は第一のパイプスリーブ40Dの斜視図である。
この第一のパイプスリーブ40Dは、内角120度の扇形の筒状体を三つ合わせて円筒状を形成しており、当該円筒状の内部空間を三つに区画する隔壁43Dが凸部として機能する。
この第一のパイプスリーブ40Dは、三つの扇形の筒状体は、全体がアルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、その内部表面と外部表面には、それぞれ、錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる内部被覆層41Dと外部被覆層42Dとが形成されている。
また、隔壁43Dの内部表面と外部表面にも内部被覆層41Dと外部被覆層42Dとが形成されている。
【0063】
この第一のパイプスリーブ40Dも、前述した第一のパイプスリーブ40Aと同一の効果を有している。
そして、この第一のパイプスリーブ40Dは、複数の隔壁43Dを備えるので、導電性のコンパウンドの塗布とブラッシングによる酸化皮膜除去とが行われてからアルミケーブル120の導体121が挿入された場合に、導体121を構成する複数の素線Sの中心まで各隔壁43Dが入り込み、導体の内側の深い所にある酸化皮膜が除去された新生面Lとの接触を図ることができ、第一のパイプスリーブ40Dと導体121の間をより良好に導通させることが可能となる。
なお、第一のパイプスリーブ40Dは、三つの筒状体から形成する場合に限らず、これらを一体化させた一部材から形成しても良い。
【0064】
[第六の実施形態]
第六の実施形態として第一のパイプスリーブの他の例を
図11に基づいて説明する。
図11は第一のパイプスリーブ40Eの斜視図である。
この第一のパイプスリーブ40Eは、全体がアルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、その外部表面には、錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる外部被覆層42Dが形成されている。
さらに、この第一のパイプスリーブ40Eの内部表面には、ケーブルの長手方向に沿って凹凸構造44Eが繰り返して形成されている。凹凸構造44Eは、ケーブルの長手方向に対して直交する方向に沿った複数の溝がケーブルの長手方向に複数並んで形成され、溝と凸条とが交互に並んで形成された形状となっている。この凹凸構造44Eは周方向に沿った複数の凹部と凸部とが繰り返し並ぶ構造だが、凹部と凸部は一つの連続するらせん状としてもよい。
また、この凹凸構造44Eは、ケーブルの長手方向の全長に渡って形成されており、全ての凹凸構造44Eの表面全体に、錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる内部被覆層が形成されている。
【0065】
この第一のパイプスリーブ40Eも、前述した第一のパイプスリーブ40Aと同一の効果を有している。
そして、この第一のパイプスリーブ40Eは、内部表面に凹凸構造44Eを備えているので、酸化皮膜除去を行わずに(行っても良い)アルミケーブル120の導体121が挿入された場合に、素線の表面の酸化皮膜が凹凸構造との摺動により破壊され、ブラッシング等の酸化皮膜除去作業負担を低減しつつ第一のパイプスリーブ40Eと導体121の間を良好に導通させることが可能となる。
また、導体121に導電性のコンパウンドを塗布した場合には、当該コンパウンドを凹凸構造44Eの溝内に保持することができ、素線の表面の酸化皮膜の破壊をより効果的に促し、当該破壊効果と導通を維持することができる。
【0066】
[第七の実施形態]
第七の実施形態として第一のパイプスリーブの他の例を
図12に基づいて説明する。
図12は第一のパイプスリーブ40Fの斜視図である。
この第一のパイプスリーブ40Fは、全体がアルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、その外部表面には、錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる外部被覆層42Fが形成されている。
さらに、この第一のパイプスリーブ40Fは、内部表面に凸部(この例では羽根43Fを例示するが、前述した凸条や隔壁でも良い)を有し、内部表面と各羽根43Fの表面全体に凹凸構造44Fを形成している。
また、第一のパイプスリーブ40Fの内部表面全体と凸部と凹凸構造44Fの表面全体には、錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる内部被覆層が形成されている。
この第一のパイプスリーブ40Fは、前述した第一のパイプスリーブ40Eと同一の効果を有すると共に、各羽根43Fに設けた凹凸構造により、より内側の導体121の素線Sに対しても酸化皮膜の破壊を行うことができ、より内側の素線に対するブラッシングの作業負担を低減しつつも、第一のパイプスリーブ40Fと導体121の間をより良好に導通させることが可能となる。
【0067】
[第八の実施形態]
第八の実施形態として第一のパイプスリーブの他の例を
図13に基づいて説明する。
図13は第一のパイプスリーブ40Gの斜視図である。
この第一のパイプスリーブ40Gは、全体がアルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、その外部表面には、錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる外部被覆層42Gが形成され、内部表面には、錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる内部被覆層(図示略)が形成されている。
そして、この第一のパイプスリーブ40Gは、ケーブル長手方向における一端部が開口し、他端部は壁面45Gにより閉塞されている。
【0068】
この第一のパイプスリーブ40Gは、前述した第一のパイプスリーブ40Aと同一の効果を有すると共に、コンパウンドをパイプスリーブの内面に塗布してからアルミケーブル120の導体121を挿入する際、壁面45Gにより、コンパウンドが外部に押し出されることを防止し、パイプスリーブ40Gと導体121との間にコンパウンドを効果的に行き渡らせることが出来る。
なお、この壁面45Gは、前述した第一のパイプスリーブ40及び40A〜40Gの全てについて適用することが可能である。
【0069】
[その他]
前述した第二〜第八の実施形態における第一のパイプスリーブ40A〜40Gは、主要な材料をアルミニウム又はアルミニウム合金とする場合を例示したが、主要な材料を銅、銅合金、銀又は銀合金としてもよい。その場合、パイプスリーブの内部表面全体には錫若しくは錫合金又はニッケル若しくはニッケル合金のいずれかからなる内部被覆層を形成することが必須となるがパイプスリーブの外部表面の外部被覆層は不要とすることができる。
また、第二のジョイント部材をアルミケーブルに取り付ける際も、上述の説明における第一のジョイント部材で使用したパイプスリーブを用いることは自明である。
【0070】
また、上記各実施形態で示した、プラグ部22とソケット部32については、例示の構造に限定されない。即ち、プラグ部とソケット部は、相互に着脱可能な構造であれば良く、凹凸による嵌合方式以外の構造(例えばネジ式等)でも良い。但し、これらは相互に連結可能な構造であることを必須とする。
【0071】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。