特許第6623471号(P6623471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623471
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】光スイッチ
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/313 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   G02F1/313
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-158712(P2015-158712)
(22)【出願日】2015年8月11日
(65)【公開番号】特開2017-37215(P2017-37215A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】池田 和浩
(72)【発明者】
【氏名】河島 整
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恵治郎
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 健
【審査官】 廣崎 拓登
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−222033(JP,A)
【文献】 特開2010−276897(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0169964(US,A1)
【文献】 特開2010−079082(JP,A)
【文献】 特開2001−021928(JP,A)
【文献】 特開2001−324732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12− 6/14
G02F 1/00− 1/125
1/21− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの入力ポートと、
2つの出力ポートと、
前記入力ポートと前記出力ポートとの間に直列に配置された第1、第2、及び第3の3つの光方向性結合器と、
前記3つの光方向性結合器間を接続しながら並行して延びる第1及び第2の2つの光導波路と、
前記第1の光方向性結合器と前記第2の光方向性結合器との間の前記第1の光導波路に設けられた第1の位相制御器と
前記第2の光方向性結合器と前記第3の光方向性結合器との間の前記第2の光導波路に設けられた第2の位相制御器と、を備え
前記第2の位相制御器が前記第2の光導波路を伝播する光に与える位相差は、前記第1の位相制御器が前記第1の光導波路を伝播する光に与える位相差の2倍である、光スイッチ。
【請求項2】
前記第1の位相制御器と前記第2の位相制御器は、共通の電流源に接続し、同一の電流により1つの位相制御器として制御される、請求項1に記載の光スイッチ。
【請求項3】
前記第1の位相制御器は第1ヒータを含み、前記第2の位相制御器は第2ヒータを含む、請求項2に記載の光スイッチ。
【請求項4】
前記第1ヒータと前記第2ヒータは直列に接続され、前記第1ヒータの抵抗R1と前記第2ヒータの抵抗R2は、R1:R2=1:2の関係にある、請求項3に記載の光スイッチ。
【請求項5】
前記光スイッチは、マッハツェンダ干渉計(MZI)型素子からなる、請求項3または4に記載の光スイッチ。
【請求項6】
前記3つの光方向性結合器と、前記2つの光導波路は、いずれも基板上に形成された半導体材料からなり、
前記第1ヒータは前記第1の光導波路の近傍に配置された薄膜抵抗からなり、
前記第2ヒータは前記第2の光導波路の近傍に配置された薄膜抵抗からなる、請求項3から5のいずれかに記載の光スイッチ。
【請求項7】
アレイ状に複数配置された請求項6に記載の光スイッチを含む、光集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光スイッチに関し、より具体的には、光ネットワークのノードにおいて使用される、光の経路を切り替える光スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
光ネットワークのノードにおいて使用される、光の経路を切り替える光スイッチが従来からある。この光スイッチは、例えばマッハツェンダ干渉計(MZI)型素子を用いて構成することができる。図1に従来のマッハツェンダ干渉計(MZI)型の光スイッチの構成を示す。図1において、光スイッチ50は、入力ポート1と出力ポート1の間に設けられた第1の光導波路1と、入力ポート2と出力ポート2の間に設けられた第2の光導波路2を含む。光スイッチ50は、さらに2つの光方向性結合器(DC)3、4と、これらの間の光導波路(Ph)1、2に設けられたヒータ(抵抗R)からなる位相制御器5、6を含む。なお、位相制御器5、6はいずれか一方だけの場合もある。
【0003】
図2は、図1の従来の光スイッチ50のスイッチング動作例を示す図である。今、図1の入力ポート1に光入力(信号)が入ったとする。光スイッチ50は、位相制御器5、6のヒータパワー(mW)を制御することにより、光出力を出力ポート1または2の間で切り替える。具体的には、図2の例では、例えば位相制御器5のヒータパワーを45mW程度にして、2つの光導波路の光学的光路長差を半波長(λ/2、位相差π)にすることにより、光スイッチ50においてバー状態を形成して、光出力を出力ポート1から出力させる。また、位相制御器5のヒータパワーをゼロにして、2つの光導波路の光学的光路長差をゼロ(位相差0)にすることにより、光スイッチ50においてクロス状態を形成して、光出力を出力ポート2から出力させる。
【0004】
図1の従来の光スイッチ50は、例えば基板上に薄膜材料を用いて製造することができる。その場合、製造誤差等による極わずかな構造(サイズ)揺らぎにより2本の光導波路の光学的光路長が完全な等長ではなくなる。その結果、完全なクロス状態からずれ、バーポート(出力ポート1)から光が漏れることがある。図2のA、B、Cで指示される円の光出力は、ヒータパワーゼロ時での光漏れを示している。図2のDは完全なクロス状態がヒータパワーゼロからずれていることを表している。この光漏れを小さくするためには、完全なクロス状態にするためにヒータに微小なヒータパワー(mW)を与えて電流を流すこと(トリミング)が必要である。図2の場合、トリミングパワーとして2mW程度は必要となる。
【0005】
MZI型の光スイッチを多数使用する大規模スイッチでは、トリミングは本来制御しなくても良いヒータを制御しなければならないので、制御性、消費電力の点で不利となり望ましくない。また、2本の光導波路のどちらが長くなるかは、製造誤差によりばらつくため、製造後でないとわからない。したがって、例えば図1に示したように、2つの光導波路に予めヒータをつけて配線しておく必要があり、大規模スイッチではその実装が複雑かつ困難になる。
【0006】
特許文献1は、電極スイッチの切り替えの煩雑さを解消した、あるいは1方路当たり1つの駆動電極で切り替え動作が可能な多方路光スイッチを開示する。その多方路光スイッチでは、多方路光スイッチを構成する第1のスイッチ素子の駆動手段と第2のスイッチ素子の駆動手段が並列に共通駆動され、あるいは第3のスイッチ素子の駆動手段が第1のスイッチ素子の駆動手段と直列に駆動される。
【0007】
非特許文献1は、MZI型波長フィルタを開示する。そのMZI型波長フィルタでは、MZI型波長フィルタを構成する2つの遅延ライン(光導波路)の長さをΔLとΔ2Lとすることにより波長特性のフラット化を図っている。また、非特許文献2は、2重(段)の非同一/非対称なMZI型の光スイッチ構造を含む8×8マトリックス状の光スイッチを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−79082号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Folkert Horst, et al. ”Cascaded Mach-Zehnder wavelength filters in silicon photonics for low loss and flat pass-band WDM (de-)multiplexing”, Vol.21, No.10, OPTICS EXPRESS 11652, published 6 May 2013
【非特許文献2】Takashi Goh, et al. ” High-Extinction Ratio and Low-Loss Silica-Based 8x8 Strictly Nonblocking Thermooptic Matrix Switch”, Vol.17, No.7, Journal of Lightwave Technology 1192, published July 1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の多方路光スイッチ、非特許文献1のMZI型波長フィルタ、及び非特許文献2の光スイッチは、いずれもMZI型の光スイッチの製造誤差等に起因する2本の光導波路の構造上のずれ(位相ばらつき)に着目しておらず、クロス状態(位相差0)でのバーポートからの光漏れに対する対策を何ら考慮/検討していない。
【0011】
本発明の目的は、クロス状態(位相差0)でのバーポートからの光漏れをトリミングすることなく抑制/低減することが可能な光スイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、2つの入力ポートと、2つの出力ポートと、入力ポートと出力ポートとの間に直列に配置された第1、第2、及び第3の3つの光方向性結合器と、3つの光方向性結合器間を接続しながら並行して延びる第1及び第2の2つの光導波路と、第1の光方向性結合器と第2の光方向性結合器との間の第1の光導波路に設けられた第1の位相制御器であって、第1の光導波路を伝播する光に位相差ΔΦを与えることができる第1の位相制御器と、第2の光方向性結合器と第3の光方向性結合器との間の第2の光導波路に設けられた第2の位相制御器であって、第2の光導波路を伝播する光に位相差ΔΦの2倍の位相差2ΔΦを与えることができる第2の位相制御器と、を備える光スイッチを提供する。
【0013】
本発明の光スイッチによれば、2つの位相制御器により位相制御することにより、光出力を出力ポート1または2(2つの光導波路)の間で切り替える際に、クロス状態(位相差0)でのバーポート(出力ポート1または2の一方)からの光漏れをトリミングすることなく抑制/低減することが可能となる。
【0014】
本発明の一態様の光スイッチでは、第1の位相制御器と第2の位相制御器は、共通の電流源に接続し、同一の電流により1つの位相制御器として制御される。
【0015】
本発明の一態様の光スイッチによれば、2つの位相制御器の制御を容易にできかつその制御手段(回路、配線)を簡素化することが可能となる。
【0016】
本発明の一態様の光スイッチでは、第1の位相制御器は第1ヒータを含み、第2の位相制御器は第2ヒータを含む。
【0017】
本発明の一態様の光スイッチによれば、2つの位相制御器による位相差制御をヒータによる光導波路の加熱によって生ずる光導波路の光学的光路差の変化として制御することが可能となる。
【0018】
本発明の一態様の光スイッチでは、第1ヒータと第2ヒータは直列に接続され、第1ヒータの抵抗R1と第2ヒータの抵抗R2は、R1:R2=1:2の関係にある。
【0019】
本発明の一態様の光スイッチによれば、光導波路の光学的光路差の変化を2つのヒータに流す共通した1つの電流により抵抗値に応じた光導波路の加熱温度変化として得ることができる。
【0020】
本発明の一態様の光スイッチでは、3つの光方向性結合器と、2つの光導波路は、いずれも基板上に形成された半導体材料からなり、第1ヒータは第1の光導波路の近傍に配置された薄膜抵抗からなり、第2ヒータは前2の光導波路の近傍に配置された薄膜抵抗からなる。
【0021】
本発明の一態様の光スイッチによれば、汎用的な半導体(例えばシリコン)プロセスを用いて、光スイッチの形成及びその集積化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来のマッハツェンダ干渉計(MZI)型の光スイッチの構成を示す図である。
図2図1の従来のMZI型の光スイッチのスイッチング動作例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態の光スイッチの構成を示す図である。
図4】本発明の一実施形態の光スイッチのスイッチング特性の計算結果を示す図である。
図5】本発明の一実施形態の光スイッチの効果を説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態の光スイッチの効果を説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態の光スイッチの効果を説明するための図である。
図8】本発明の一実施形態の光スイッチの効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図3は、本発明の一実施形態の光スイッチの構成を示す図である。図3の光スイッチ100は、マッハツェンダ干渉計(MZI)型の光スイッチの一例である。図3において、光スイッチ100は、入力ポート1と出力ポート1の間に設けられた第1の光導波路11と、入力ポート2と出力ポート2の間に設けられた第2の光導波路12を含む。光スイッチ100は、さらに3つの光方向性結合器(DC)13、14、15と、これらの間の光導波路(Ph)11、12に設けられたヒータからなる位相制御器16、17を含む。
【0024】
3つの光方向性結合器13、14、15に順番に記載された数値0.5、0.34、0.166は、いずれも光方向性結合器での光の分岐比を示している。ただし、これらの値はあくまで一例であって、導波路構造、偏波、求める特性等により適宜設定することができる。
【0025】
2つの位相制御器のうち一方の位相制御器16は、2つの光方向性結合器13、14の間の光導波路11に設けられ、他方の位相制御器17は、2つの光方向性結合器14、15の間の光導波路12に設けられる。位相制御器17のヒータの抵抗値は、位相制御器16のヒータの抵抗値Rの2倍の2Rである。その結果、位相制御器16および17を直列に接続した場合、位相制御器17は、位相制御器16の駆動電力Wの2倍の駆動電力2Wを必要とするが、同時に光導波路12を伝播する光に位相制御器16の位相差ΔΦの2倍の位相差2ΔΦを与えることができる。
【0026】
位相制御器16、17の2つのヒータは直列に接続され、1つの電流原/制御器によりあたかも1つのヒータであるかのようにその電流(電力)が制御される。ヒータの抵抗値R、2Rは、ヒータを構成する抵抗体の長さを変える(Lと2L)、抵抗体の本数を変える(1本と2本並列)、あるいは抵抗体として抵抗率の異なる材料を選択する(抵抗率ρの材料と2ρの材料)等の任意の方法により得ることができる。
【0027】
上述した本発明の一実施形態の光スイッチ100の構成は、総括すると以下の特徴を備えている。
(1)3つの光方向性結合器を有する。
(2)隣接する2つの光方向性結合器の間にそれぞれ1つの位相制御器を有する。
(3)2つの位相制御器が異なる光導波路上に在る。
(4)2つの位相制御器のヒータの抵抗値が1:2の関係にある。言い換えれば、2つの位相制御器が伝播光に与える位相差が1:2の関係にある。
(5)2つの位相制御器のヒータが直列接続し、1つのヒータとしてその電力が制御される。
【0028】
図4は、図3に例示した本発明の一実施形態の光スイッチ100のスイッチング特性の計算結果を示す図である。図4の横軸は位相差ΔΦであり、縦軸は光出力(dBm)である。図4では、光スイッチ100のスイッチング特性として、位相制御器のヒータパワーゼロのクロス状態での出力ポート1からの光出力P2(dBm)の計算結果を示している。なお、比較のために、図1に例示した従来のMZI型の光スイッチの光出力P1(破線)の計算結果も併記している。この光出力P1、P2(dBm)の計算方法については後述する。
【0029】
本発明の一実施形態の光スイッチ100の光出力(dBm)P2の計算結果(実線)では、位相差ΔΦのゼロ近傍において、言い換えれば位相制御器のヒータパワーゼロ近傍において、光出力(dBm)に2つのピークが存在している。その結果、図2を参照しながら説明したように、製造誤差等による極わずかな構造(サイズ)揺らぎにより2本の光導波路の光学的光路長が完全な等長ではなくなる結果、例えば図4に例示される位相差ΔΦ1の0.07π(0.22)のずれが生じた場合でも、約−40dB程度の小さい光出力(光漏れ)レベルに抑えることができる。
【0030】
一方、従来の光スイッチの出力P1の場合(破線)では、同じ位相差ΔΦ1のずれにおいて、本発明(P2)の場合の100倍の約−20dB程度の比較的大きな光出力(光漏れ)となってしまう。これらの結果から、本発明の一実施形態の光スイッチは、従来の光スイッチに比べて構造(サイズ)揺らぎに起因する光漏れを大きく低減することが可能である。すなわち、本発明の一実施形態の光スイッチは、作製誤差があっても漏れ光が小さく、トリミング電流が不要となり、ヒータのオン電流を制御するだけで良い。
【0031】
図4の光出力P1、P2(dBm)の計算方法について以下に説明する。モード結合理論により、図1の従来のMZI型の光スイッチ50における対称型の方向性結合器(DC)3、4は下記の式(1)のマトリックスで表される。
【数1】
ただし、zは導波路方向の長さ、κは結合係数、Lcは結合長、すなわち一方の導波路から他方の導波路へ100%の光パワーが結合する長さである。ここで、κは下記の式(2)で表される。
【数2】
【0032】
次に、位相制御器5、6のヒータにより位相調整される2本の導波路部分(Ph)は下記の式(3)のマトリックスで表される。
【数3】
ただし、ΔΦは2本の導波路間の位相差である。
図1の従来のMZI型の光スイッチ50は、光の分岐比0.5の方向性結合器(DC)3、4と位相制御器5、6のヒータによって位相差ΔΦが与えられる構成であるから、そのマトリックスは下記の式(4)で表される。
【数4】
【0033】
今、入力1より光が入射した場合、MZI型の光スイッチの出力は下記の式(5)で表される。
【数5】
このとき、出力1の光出力P1は下記の式(6)で表される。
【数6】
【0034】
図3の本発明の一実施形態の光スイッチ100は、光の分岐比0.5、0.34、0.166の3つの方向性結合器(DC)13、14、15と2つの位相制御器16、17のヒータによって位相差ΔΦ、−2ΔΦが与えられる構成であるから、同様の計算を行う と、そのマトリックスは下記の式(7)で表される。
【数7】
同様に出力1の光出力P2は下記の式(8)で表される。
【数8】
式(6)のP1と式(8)のP2をプロットして得られたのが図4である。
【0035】
図3に例示される本発明の一実施形態の光スイッチは、いわゆる光回路、光集積回路の一部として形成することができ、より具体的には、基板上に複数(例えばn)の入出力ポートを持ちアレイ状(例えばn×n)に複数配置された構成として形成することができる。その場合、例えば、光方向性結合器と光導波路は、いずれも基板(Si基板等)上の半導体材料層(Si、SiO2等)からなり、位相制御器ヒータは光導波路の近傍に配置された薄膜抵抗からなるように形成することができる。それらの形成は、例えば従来からある半導体製造プロセスを用いて行うことができる。
【0036】
本発明の一実施形態の光スイッチの効果について説明する。図5から図8は、本発明の一実施形態の光スイッチの効果を説明するための図である。図5は、図1に例示される従来の光スイッチを実際に作成した場合における位相差のばらつき分布(発生した乱数分布)を示している。この場合、クロス状態からバー状態への切替え電力が35mW程度(位相π)、ばらつき(標準偏差)は5mW程度(π×5/35=0.14π)であった。
【0037】
図6は、図1に例示される従来の光スイッチにおけるヒータパワーゼロのクロス状態でのバーポートからの漏れ光の強度分布を示している。図7は、図3に例示される本発明の一実施形態の光スイッチにおけるクロス状態でのバーポートからの漏れ光の強度分布を示している。図6の従来の場合では、−20dB〜−10dB程度の比較的大きな漏れ光が多いのに対して、図7の本発明の場合では、−20dB〜−10dB程度の比較的大きな漏れ光が小さく、漏れ光が各出力(dB)レベルにおいて小さく抑えられており、漏れ光が全体的に大幅に減少していることがわかる。
【0038】
図8は、消費電力に対する効果を示す図である。図8の2つのグラフは、下記の条件において、下記の式(9)、(10)を用いて計算した消費電力を示している。Aが本発明の場合の計算結果であり、Bが従来の場合の計算結果である。
<条件>:
1.n×nスイッチにおけるONスイッチ数(35mW):n
2.従来のトリミングが必要なトリミングスイッチ数(5mW):n(n−1)
3.本発明のON電力:3倍、トリミング電力:ゼロ
<式>:
A=3×0.035×n (9)
B=0.035×n+0.005×n(n−1) (10)
図8からポート数n=15以上の大規模スイッチにおいて、特に本発明の消費電力の改善効果が大きいことがわかる。
【0039】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明をした。しかし、本発明はこれらの実施形態に限られるものではない。さらに、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施できるものである。例えば、非特許文献2に開示されているように、出力ポートを交差させたり、2段接続したりすることによって、広帯域化、高消光比化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の光スイッチは、光通信(ネットワーク)のノードにおいて使用される光スイッチとして、光回路、光集積回路の一部として利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1、2、11、12:光導波路
3、4、13、14、15:光方向性結合器
5、6、16、17:位相制御器(ヒータ)
50、100:光スイッチ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8