特許第6623511号(P6623511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623511
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20191216BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20191216BHJP
   C23C 16/507 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   H05H1/46 L
   H01L21/302 101C
   H05H1/46 R
   C23C16/507
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-225230(P2014-225230)
(22)【出願日】2014年11月5日
(65)【公開番号】特開2016-91811(P2016-91811A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】特許業務法人弥生特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091513
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162008
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 宣明
(72)【発明者】
【氏名】山涌 純
(72)【発明者】
【氏名】松土 龍夫
(72)【発明者】
【氏名】輿水 地塩
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−156261(JP,A)
【文献】 特開2011−119659(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0247679(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/30
H05H 1/46
H01L 21/3065
C23C 16/505
H01J 37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器内で被処理基板に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置において、
前記処理容器内に設けられ、被処理基板が載置される載置台と、
前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記処理容器内の真空排気を行う排気部と、
前記載置台に対向して誘電体窓を介して配置され、前記処理容器内に供給された処理ガスを誘導結合によってプラズマ化するための高周波アンテナを備えたプラズマ発生部と、
前記高周波アンテナが配置される空間を囲むシールド部材と、
高周波電力を供給すると共に、前記高周波電力の周波数を変化させることが可能な高周波電源と、を備え、
前記プラズマ発生部は、
両端に開放端を持つ渦巻きコイルからなり、これら開放端の間の線路の中央部に、前記高周波電源から供給される前記高周波電力の供給点と、接地点と、を備え、前記高周波電力の周波数に対応する共振周波数を持つ高周波アンテナと、
前記高周波アンテナにも前記高周波電源にも接続されることなく配置される環状コイルと、
前記高周波電力の周波数を変化させながらインピーダンス調整を行うように構成されたインピーダンス調整部と、を備え、
前記高周波アンテナは、一方の開放端から前記高周波電力の供給点までの第1の高周波アンテナ素子と、他方の開放端から前記接地点までの第2の高周波アンテナ素子とを有し、
前記環状コイルは、前記第1の高周波アンテナ素子と前記第2の高周波アンテナ素子との間に配置され、
前記インピーダンス調整部は、前記環状コイルに挿入された第1の可変コンデンサを有する、プラズマ処理装置。
【請求項2】
処理容器内で被処理基板に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置において、
前記処理容器内に設けられ、被処理基板が載置される載置台と、
前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記処理容器内の真空排気を行う排気部と、
前記載置台に対向して誘電体窓を介して配置され、前記処理容器内に供給された処理ガスを誘導結合によってプラズマ化するための高周波アンテナを備えたプラズマ発生部と、
前記高周波アンテナが配置される空間を囲むシールド部材と、
高周波電力を供給すると共に、前記高周波電力の周波数を変化させることが可能な高周波電源と、を備え、
前記プラズマ発生部は、
両端に開放端を持つ渦巻きコイルからなり、これら開放端の間の線路の中央部に、前記高周波電源から供給される前記高周波電力の供給点と、接地点と、を備え、前記高周波電力の周波数に対応する共振周波数を持つ高周波アンテナと、
前記高周波アンテナにも前記高周波電源にも接続されることなく配置される環状コイルと、
前記高周波電力の周波数を変化させながらインピーダンス調整を行うように構成されたインピーダンス調整部と、を備え、
前記高周波アンテナは、一方の開放端から前記高周波電力の供給点までの第1の高周波アンテナ素子と、他方の開放端から前記接地点までの第2の高周波アンテナ素子とを有し、
前記環状コイルは、前記第1の高周波アンテナ素子、前記第2の高周波アンテナ素子との相互作用によって、前記第1の高周波アンテナ素子、前記第2の高周波アンテナ素子、及び前記環状コイルに前記高周波電源から供給される前記高周波電力が分配されることが可能な位置に配置され、
前記インピーダンス調整部は、前記環状コイルに挿入された第1の可変コンデンサを有する、プラズマ処理装置。
【請求項3】
前記高周波電源から前記高周波アンテナ側を見たときの回路は、前記高周波電力の周波数を変えていったときに、前記第1の可変コンデンサの調整に応じた第1の共振周波数及び第2の共振周波数が現れるように構成されている、請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第1の高周波アンテナ素子と、第2の高周波アンテナ素子とは、{λ(λは前記高周波電力の波長)/4}+{n(nは自然数)λ/2}に短縮率を乗じた線路長を有する、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記インピーダンス調整部は、更に前記高周波電源に接続される第2の可変コンデンサを含み、
前記高周波電源から前記高周波アンテナ側を見たときの回路は、前記高周波電力の周波数を変えていったときに、前記第1の可変コンデンサ及び/又は前記第2の可変コンデンサの調整に応じた第1の共振周波数及び第2の共振周波数が現れるように構成される、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記環状コイルは、前記高周波アンテナと同じ高さ位置に配置されている、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記環状コイルは、前記高周波アンテナと異なる高さ位置に配置されている、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理ガスを励起させて被処理基板に対して処理を行うプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスの一つとして処理ガスをプラズマ化してエッチング、成膜処理などを行うプラズマ処理がある。例えば枚葉式のプラズマ処理装置においては、その処理種別により、基板の面方向におけるプラズマ密度分布を適切なものに調整できるようにすることが要求されている。この要求は具体的には処理容器内の構造に基づく場合や後処理における基板面内の処理の偏りに対応する場合などがあり、このため、プラズマ密度分布を基板の面内全体で均一に処理することに限らず、基板の中央部と周縁部との間でプラズマ密度分布に差をつけることなども挙げられる。
【0003】
プラズマ処理装置におけるプラズマの発生手法の一つとしては、例えばアンテナに高周波電力を供給し、処理容器内に誘導電界を発生させて処理ガスを励起させる手法がある。例えば特許文献1には、高周波を出力する高周波アンテナとしてコイル状の内側アンテナと、内側アンテナと同心となるコイル状の外側アンテナとを設け、各アンテナを夫々高周波の1/2波長の周波数で共振させる構成が記載されている。このプラズマ処理装置によれば、各アンテナにより夫々円形電場が形成されるため、プラズマの密度の面内分布をきめ細かく調整することができるが、内側アンテナと外側アンテナとに夫々高周波電源を設ける必要がある。
【0004】
また、特許文献2には、プラズマを発生させるための平面コイル状のRFアンテナと、このRFアンテナと電磁誘導により結合可能な位置に、RFアンテナの発生するRF磁界に対して電磁界的な補正をかけるためのフローティングコイルを設けたプラズマ処理装置が記載されている。しかしながら、特許文献2には、共通の高周波電源に対して互いに並列に接続されたモノポールアンテナに対する高周波電力の分配を調整する技術は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5227245号公報:段落0055〜0062、図3〜6
【特許文献2】特開2011−119659号公報:段落0045、図1、2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高周波アンテナを利用してプラズマを発生させ、被処理基板に対して処理を行うプラズマ処理装置において、プラズマ密度の面内分布を調整することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプラズマ処理装置は、処理容器内で被処理基板に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置において、
前記処理容器内に設けられ、被処理基板が載置される載置台と、
前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記処理容器内の真空排気を行う排気部と、
前記載置台に対向して誘電体窓を介して配置され、前記処理容器内に供給された処理ガスを誘導結合によってプラズマ化するための高周波アンテナを備えたプラズマ発生部と、
前記高周波アンテナが配置される空間を囲むシールド部材と、
高周波電力を供給すると共に、前記高周波電力の周波数を変化させることが可能な高周波電源と、を備え、
前記プラズマ発生部は、
両端に開放端を持つ渦巻きコイルからなり、これら開放端の間の線路の中央部に、前記高周波電源から供給される前記高周波電力の供給点と、接地点と、を備え、前記高周波電力の周波数に対応する共振周波数を持つ高周波アンテナと、
前記高周波アンテナにも前記高周波電源にも接続されることなく配置される環状コイルと、
前記高周波電力の周波数を変化させながらインピーダンス調整を行うように構成されたインピーダンス調整部と、を備え、
前記高周波アンテナは、一方の開放端から前記高周波電力の供給点までの第1の高周波アンテナ素子と、他方の開放端から前記接地点までの第2の高周波アンテナ素子とを有し、
前記環状コイルは、前記第1の高周波アンテナ素子と前記第2の高周波アンテナ素子との間に配置され、
前記インピーダンス調整部は、前記環状コイルに挿入された第1の可変コンデンサを有する。
また、他の発明に係るプラズマ処理装置は、処理容器内で被処理基板に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置において、
前記処理容器内に設けられ、被処理基板が載置される載置台と、
前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記処理容器内の真空排気を行う排気部と、
前記載置台に対向して誘電体窓を介して配置され、前記処理容器内に供給された処理ガスを誘導結合によってプラズマ化するための高周波アンテナを備えたプラズマ発生部と、
前記高周波アンテナが配置される空間を囲むシールド部材と、
高周波電力を供給すると共に、前記高周波電力の周波数を変化させることが可能な高周波電源と、を備え、
前記プラズマ発生部は、
両端に開放端を持つ渦巻きコイルからなり、これら開放端の間の線路の中央部に、前記高周波電源から供給される前記高周波電力の供給点と、接地点と、を備え、前記高周波電力の周波数に対応する共振周波数を持つ高周波アンテナと、
前記高周波アンテナにも前記高周波電源にも接続されることなく配置される環状コイルと、
前記高周波電力の周波数を変化させながらインピーダンス調整を行うように構成されたインピーダンス調整部と、を備え、
前記高周波アンテナは、一方の開放端から前記高周波電力の供給点までの第1の高周波アンテナ素子と、他方の開放端から前記接地点までの第2の高周波アンテナ素子とを有し、
前記環状コイルは、前記第1の高周波アンテナ素子、前記第2の高周波アンテナ素子との相互作用によって、前記第1の高周波アンテナ素子、前記第2の高周波アンテナ素子、及び前記環状コイルに前記高周波電源から供給される前記高周波電力が分配されることが可能な位置に配置され、
前記インピーダンス調整部は、前記環状コイルに挿入された第1の可変コンデンサを有する。
【0008】
前記プラズマ処理装置は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記高周波電源から前記高周波アンテナ側を見たときの回路は、前記高周波電力の周波数を変えていったときに、前記第1の可変コンデンサの調整に応じた第1の共振周波数及び第2の共振周波数が現れるように構成されていること。
(b)前記第1の高周波アンテナ素子と、第2の高周波アンテナ素子とは、{λ(λは前記高周波電力の波長)/4}+{n(nは自然数)λ/2}に短縮率を乗じた線路長を有すること。
(c)前記インピーダンス調整部は、更に前記高周波電源に接続される第2の可変コンデンサを含み、前記高周波電源から前記高周波アンテナ側を見たときの回路は、前記高周波電力の周波数を変えていったときに、前記第1の可変コンデンサ及び/又は前記第2の可変コンデンサの調整に応じた第1の共振周波数及び第2の共振周波数が現れるように構成されること。
(d)前記環状コイルは、前記高周波アンテナと同じ高さ位置に配置されていること。または前記環状コイルは、前記高周波アンテナと異なる高さ位置に配置されていること。
【発明の効果】
【0009】
高周波電源から高周波が供給される高周波アンテナと、前記高周波アンテナにも前記高周波電源にも接続されることなく配置され、両端に第1の可変コンデンサが接続される環状コイルとをいることにより、高周波アンテナに高周波電力分配することができる。この結果、処理容器内に形成されるプラズマ密度分布を調整し、ウエハWの処理の進行を面内で調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係るプラズマ処理装置の縦断側面図である。
図2】前記プラズマ処理装置に設けられているプラズマ発生部の模式図である。
図3】吸収コイルを備えないヘリカルアンテナの説明図である。
図4】前記プラズマ発生部の変形例を示す模式図である。
図5】プラズマ発生部の周波数特性図である。
図6】プラズマ発生部を用いて発生させたプラズマの密度分布を示す説明図である。
図7】プラズマ発生部を用いて発生させたプラズマの状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態におけるプラズマ処理装置について説明する。図1には、被処理基板であるウエハWのエッチングを行うプラズマエッチング装置に、本発明のプラズマ処理装置を適用した例を示している。
プラズマエッチング装置は、接地されたアルミニウムやステンレスなどの導電体製の処理容器10を備え、処理容器10の側面にはゲートバルブ102によって開閉され、ウエハWの搬入出が行われる搬入出口101が設けられている。
【0012】
処理容器10の底面側の中央部には、処理対象のウエハWが載置される載置台と、プラズマ中のイオンの引き込み用(バイアス用)の電極とを兼ねる円板形状のサセプタ21が設けられている。サセプタ21は、絶縁体からなる円筒形状のサセプタ支持部22によって支持されると共に、給電棒31及び整合器32を介してバイアス用の高周波電源30が接続されている。高周波電源30からは、例えば13.56MHzの高周波電力が供給される。
【0013】
サセプタ21の上面には、ウエハWを静電吸着力で保持するための静電チャック23が設けられ、静電チャック23の外周側には、ウエハWの周囲を囲むフォーカスリング24が設けられている。
【0014】
またサセプタ21の内部には、冷媒たとえば冷却水(C.W.)を通流させてウエハWの温度制御を行うための冷媒流路212が設けられている。冷媒流路212は、配管213を介して不図示のチラーユニットと接続され、当該チラーユニットから温度調節された冷却水が供給される。さらにサセプタ21の内部には、静電チャック23とウエハWとの間に、伝熱ガスとして例えばHeガスを供給するためのガス供給路214が設けられている。ガス供給路214は静電チャック23を貫通し、その末端は静電チャック23の上面に開口している。
これらに加え、サセプタ21には、サセプタ21を上下方向に貫通し、静電チャック23の上面から突没して外部の搬送アーム(不図示)との間でウエハWの受け渡しを行うための不図示の昇降ピンが設けられている。
【0015】
またバッフル板11の周囲と処理容器10の内壁との間には、多数のパンチ孔が形成されたパンチングプレートからなる環状のバッフル板11が設けられている。このバッフル板11の下方側に位置する処理容器10の底面には排気口12が形成され、排気口12は排気管13を介して真空排気機構14に接続されている。これら排気口12や排気管13、真空排気機構14は、本実施の形態の排気部を構成する。
【0016】
次いで、搬入出口101の上方側の処理容器10の側壁内には、当該側壁の周方向に沿って処理ガス供給路41が形成されている。処理ガス供給路41が形成されている領域の処理容器10の内壁面には、当該処理ガス供給路41に連通する複数の処理ガス供給孔42が、互いに間隔を開けて形成されている。さらに前記処理ガス供給路41には、処理ガス供給管43を介して、例えばCFガスやCガス、塩素ガスなどのエッチングガスである処理ガスを供給するための処理ガス供給機構44が接続されている。処理ガス供給路41、処理ガス供給孔42、処理ガス供給管43や処理ガス供給機構44は、本実施の形態の処理ガス供給部に相当する。
【0017】
処理容器10の天板部分には、例えば石英板などの誘電体で構成された誘電体窓53が気密に設けられている。誘電体窓53の上方側の空間は、導電体製の容器であるシールドボックス51によって覆われ、これら誘電体窓53とシールドボックス51とで囲まれた空間は、プラズマ発生用のアンテナ541、542を収容するアンテナ室52となる。処理容器10上に配置されたシールドボックス51は、当該処理容器10を介して接地されている。
【0018】
以下、図2を参照しながら、処理ガスをプラズマ化するアンテナ541、542を備えたプラズマ発生部の構成について説明する。
周波アンテナであるヘリカルアンテナ541は、同一平面内で導線を渦巻き状(図2の例では上面側から見て反時計回り)に捲回してなる面状の渦巻きコイルから構成される。
【0019】
図3(a)、(b)を参照しながら前記ヘリカルアンテナ541の構成、及び作用の概略について説明しておく。図3(a)は、後述するインピーダンス調整用の可変コンデンサ62〜64を省略したヘリカルアンテナ541の模式図を示している。
ヘリカルアンテナ541は、渦巻きコイルの内側部分を成す内側アンテナ素子541aと、上面側から見たとき内側アンテナ素子541aの外側に配置され、前記渦巻きコイルの外側部分を成す外側アンテナ素子541bとを接続した構造となっている。
【0020】
内側アンテナ素子541aの内終端を一端部と呼ぶとき、当該一端部は開放端となっている一方、外側アンテナ素子541bと接続される他端部側には高周波電源61が接続されている。これに対して外側アンテナ素子541bの外周端を一端部と呼ぶとき、当該一端部は開放端となっている一方、内側アンテナ素子541aと接続される他端部側は接地されている(図3においては、シールドボックス51を介して接地された状態を示している)。
【0021】
これら内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bは、高周波電源61から印加される周波数fの高周波の波長λに対し、「(λ/4)+n・(λ/2)、但し、nは0を含む自然数」の線路長を有している。なお、図2図3(a)などにおいては、図示の便宜上、内側アンテナ素子541aと外側アンテナ素子541bとの線路長が異なって見えるが、実際には上述の要件を満たす線路長となっている。
また、内側アンテナ素子541aと外側アンテナ素子541bとの他端部側同士は、渦巻きコイルの一部を構成する導線である接続部541cを介して接続されている。
【0022】
上述の構成を備えたヘリカルアンテナ541に対して、高周波電源61から波長λの高周波を印加すると、内側アンテナ素子541aとシールドボックス51との間、外側アンテナ素子541bとシールドボックス51との間に各々容量結合Cが発生する。この結果、高周波電源61から供給される高周波電力の波長λ(周波数f)の近傍に共振周波数を持ち、高周波電源61に対して並列接続されたモノポールアンテナが構成される(図3(b)、同図にはn=0の場合(λ/4)を示してある)。
【0023】
ここで、実際のアンテナ素子541a、541bの線路長は、厳密にλ/4の値と一致していなくてもよい。アンテナ設計において、モノポールアンテナの線路長は、電磁波の波長に対して短縮率を乗じた値に設定される。本実施の形態において、短縮率は、渦巻きコイルの巻き方やアンテナ素子541a、541bが配置される周囲の状況の影響を受けて変化する。従って、本実施の形態においてアンテナ素子541a、541bが「λ/4に対応する線路長を有する」とは、短縮率の影響を考慮して線路長が概ねλ/4に設定された結果、アンテナ素子541a、541bが、波長λに対応する共振周波数を有している場合を含んでいる。
【0024】
ここで、内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bと、接地板を成すシールドボックス51との距離(例えばシールドボックス51の天板との距離)hは、モノポールアンテナである内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bの短縮率を調整する変数となる。従って、この距離hを調節することにより、内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bの共振周波数を変化させることができる。
また、高周波電源61と接地端との間に配置される接続部541cの線路長は、反射率を調整する変数となる。従って、接続部541cは、整合回路としての役割を果たしている。
【0025】
そして、真空排気された処理容器10内に処理ガスを供給し、高周波電源61からヘリカルアンテナ541(内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541b)に高周波電力を印加すると、共振周波数にて内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bに効率よく高周波電力が供給される。この結果、誘電体窓53を介して処理容器10内に高周波磁界が形成され、この磁界の形成に伴って誘起される高周波電界によって処理ガスがプラズマ化する。
以上に説明した観点において、ヘリカルアンテナ541は本実施の形態の高周波アンテナを構成する。また内側アンテナ素子541aは、第1の高周波アンテナ素子を構成し、外側アンテナ素子541bは第2の高周波アンテナ素子を構成している。
【0026】
以上に説明した構成によれば、並列接続されたモノポールアンテナとしてヘリカルアンテナ541を作用させ、処理容器10内にプラズマを形成することができる。一方で、ヘリカルアンテナ541においては内側アンテナ素子541a及び外側アンテナ素子541bへの高周波電力の分配比が固定されてしまうので、サセプタ21上に載置されたウエハWに対して、プラズマ密度の分布を調節することができない。
【0027】
ここで発明者らは、並列接続されたモノポールアンテナである内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bの間に、電気的に浮いた状態の吸収アンテナ(吸収コイル)542を配置し、インピーダンス調整を行うことにより、これら内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bへの高周波電力の分配を変化させることが可能となることを見出した。
以下、吸収アンテナ542及びインピーダンス調整用の可変コンデンサ群を備えるプラズマ発生部の構成について図2を参照しながら説明する。
【0028】
図2に示すように、本例のヘリカルアンテナ541においては、高周波電源61に接続された内側アンテナ素子541aの他端部と、接地された外側アンテナ素子541bの他端部とが、渦巻きの径方向にずれた位置に配置されている。この結果、内側アンテナ素子541aと外側アンテナ素子541bとは、径方向に離れた位置に配置され、その間には吸収アンテナ542を配置するためのスペースが形成される。そして、これらの他端部同士は、前記径方向に伸びる線路部を有する接続部541cによって接続されている。
【0029】
高周波電源61は、例えば中心周波数が27MHzであり、インピーダンス調整に応じて±1MHzの範囲で周波数を変化させることができる。さらに高周波電源61側には、高周波電源61と内側アンテナ素子541aとの間に直列に接続された可変コンデンサ62、及び高周波電源61の接地端と可変コンデンサ62との間に、高周波電源61と並列に接続された可変コンデンサ63とが設けられている。
【0030】
また、外側アンテナ素子541bの他端は、図3(a)に示したシールドボックス51に替えて、可変コンデンサからなる可変コンデンサ64を介して接地されている。
以上に説明した可変コンデンサ62〜64(可変コンデンサ群)は、本実施の形態の第2の可変コンデンサを構成している。本例においては、インピーダンス調整部を構成する可変コンデンサ62〜64は、主として反射調整用の整合回路として用いられる。
【0031】
前記高周波電源61の中心周波数の波長λに対応して、各アンテナ素子541a、541bは、λ/4に対応する線路長を備える。アンテナ素子541a、541bの巻き数は、各アンテナ素子541a、541bの配置領域の面積などに応じて、適宜、調整してよい。
以上の説明をまとめておくと、ヘリカルアンテナ541は内側と外側とに開放端を持ち、高周波電源61から供給される高周波の周波数に対応する共振周波数を持つ渦巻きコイルから構成される。そして高周波電源61からの高周波の供給点と、可変コンデンサ64を介して接地される接地点とは、2つの開放端の間の線路の中央部に設けられている。
【0032】
またヘリカルアンテナ541を上面側から見たとき、内側の開放端から高周波の供給点までの内側アンテナ素子541aは第1の高周波アンテナ素子に相当し、外側の開放端から接地点までの外側アンテナ素子541bは第2の高周波アンテナ素子に相当する。
なお、第1、第2の高周波アンテナ素子の配置は、この例に限定されるものではない。例えば、図2において高周波の供給点と接地点とを入れ替え、外側の開放端から高周波の供給点までの外側アンテナ素子541bを第1の高周波アンテナ素子、内側の開放端から接地点までの内側アンテナ素子541aを第2の高周波アンテナ素子としてもよい。
【0033】
径方向に離れた位置に配置された内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bの間には、これらのアンテナ素子541a、541bへの高周波電力の分配を調節するための吸収アンテナ542が配置されている。吸収アンテナ542は、同一平面内で導線を円環状に捲回してなる環状コイルから構成される。
【0034】
上述の吸収アンテナ542を構成する環状コイルの一端及び他端は、当該環状コイルの中心からの距離がほぼ等しくなるように構成されている。
但し、本実施の形態において吸収アンテナ542として利用可能なコイルは、巻き数が1の環状コイルに限定されるものではない。巻き数が1より大きい渦巻き状(例えば上面側から見て時計回り)に導線を捲回してなる面状の渦巻きコイルを用いてもよい。
本発明における「面状の渦巻きコイル」には、巻き数が1の環状コイル及び巻き数が1より大きい渦巻きコイルの双方を含んでいる。
【0035】
吸収アンテナ542の一端及び他端は、共通の可変コンデンサ65(第1の可変コンデンサ)に接続されている。そして、これら吸収アンテナ542及び可変コンデンサ65によって形成される回路は、ヘリカルアンテナ54び可変コンデンサ64を含む回路とは回路上の接点を持たず、電気的に浮いた状態となっている。可変コンデンサ65はプラズマ発生部のインピーダンス調整部の一部を構成している。本例においては、インピーダンス調整部を構成する可変コンデンサ65は、主として共振周波数調整用に用いられる。
【0036】
上述の構成を備えたプラズマ発生部において、インピーダンス調整部を成す可変コンデンサ62〜65の各容量を適切に調節し、共通の高周波電源61から供給される高周波電力の周波数を変化させていくと、互いに異なる2つの共振周波数が現れることが分かった(後述の実施例参照)。これらの共振周波数が現れる位置は、インピーダンス調整部の各容量の設定によって調整することができる。
【0037】
これらの共振周波数につき、内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bに供給される高周波電力の損失を少なくする観点では、共振周波数間の周波数差を小さくすることが好ましい。また、各内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bへの高周波電力の分配比は、例えば接続部541cにおける反射率を調整することによって制御できる。さらに、吸収アンテナ542に設けられた可変コンデンサ65は、吸収アンテナ542を流れる電流の大きさや流れる向きを調整する役割を果たす。内側アンテナ素子541aと外側アンテナ素子541bとにおいては、電流の大きさに若干の差異があるため、吸収アンテナ542を流れる電流との相互作用により、これらのアンテナ素子541a、541bによって形成されるプラズマ密度分布を変化させることもできる。
【0038】
以上に述べた吸収アンテナ542を利用すれば、共通の高周波電源61に接続されたヘリカルアンテナ541を構成する内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541b、及び吸収アンテナ542に対して分配される高周波電力を変化させ、処理容器10内に形成されるプラズマ密度分布を調節することができる。
【0039】
ここで、高周波電源61から供給された高周波電力が内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541b、及び吸収アンテナ542へ分配される原理の詳細は明らかでないが、内側アンテナ素子541aと吸収アンテナ542との間や、外側アンテナ素子541bと吸収アンテナ542との間に容量結合が形成される結果ではないかと考えられる。
なお実験結果でも説明するように、2つの共振周波数のうち、いずれの共振周波数が2つのアンテナ素子541a、541bのどちらに対応するものであるかを特定することはできない。
【0040】
例えば、高周波電源61から周波数27±1MHzの高周波電力を供給するとき、可変コンデンサ62〜65(インピーダンス調整部)の各容量を調整することにより、2つの共振周波数が現れる位置を調節することが可能となる。これらの可変コンデンサ62〜65の調整法としては、吸収アンテナ542側の可変コンデンサ65の容量を変化させて共振周波数を変化させつつ、可変コンデンサ62〜64にて反射を調節する例が挙げられる。
またここで、2つの共振周波数が現れる位置を調整することが可能であれば、インピーダンス調整部の構成は上述の例に限られない。例えばヘリカルアンテナ541(内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541b)とシールドボックス51との距離を変えることで両者間の容量が変わるので、これらの距離を変化させることにより2つの共振周波数を調整してもよい。その場合には、昇降機構を含むヘリカルアンテナ541の高さ調整機構を設けてこれらの距離を変化させてもよい。また、シールドボックス51に電気的に接続された昇降機構付きのプレートを付設し、当該プレートとヘリカルアンテナ541との距離を変化させてもよい。
【0041】
プラズマエッチング装置の説明に戻ると、図1に示すようにプラズマエッチング装置は、全体の動作を統括制御する制御部7と接続されている。制御部7は不図示のCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部にはプラズマエッチング装置の作用、即ち処理容器10内へのウエハWの搬入出や真空排気、処理ガスの供給量調節や、高周波電源61からの高周波電力の供給、インピーダンス調整部の容量設定などの動作についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0042】
以上の構成を備えたプラズマエッチング装置の作用について説明する。
例えば処理容器10に隣接して設けられた真空搬送室内の搬送アームにより、搬入出口101を介して処理対象のウエハWが処理容器10内に搬入されると、不図示の昇降ピンを上昇させて、搬送アームから昇降ピンにウエハWを受け取る。処理容器10内から搬送アームが退避すると、ゲートバルブ102が閉じられ、また昇降ピンを降下させて静電チャック23にウエハWが載置される。
【0043】
静電チャック23に直流電力を供給すると、ウエハWが吸着保持される。このとき、冷媒流路212には温度調節された冷却水が通流しており、ガス供給路214からウエハWの裏面に供給された伝熱ガスを介してウエハWの温度調整が実行される。また、処理容器10内は、真空排気機構14によって排気口12を介して真空排気が行われる。
【0044】
処理容器10内が所定の圧力となったら、真空排気機構14による真空排気を継続しつつ、処理ガス供給機構44から処理容器10内に処理ガスを供給する。また、高周波電源61からヘリカルアンテナ541に高周波電力を供給する。さらに、サセプタ21に対しては、高周波電源30からバイアス用の高周波電力を供給する。
ヘリカルアンテナ541に高周波電力を供給すると、吸収アンテナ542の作用を受けつつ内側アンテナ素子541aと外側アンテナ素子541bとに電力が分配され、誘電体窓53を介して、これら内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541b、吸収アンテナ542の下方側にICPプラズマが形成される。
【0045】
このとき、高周波電源61からヘリカルアンテナ541に供給される高周波電力の周波数、可変コンデンサ62〜65の容量は、処理レシピなどによって予め設定されている。この結果、内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541b、及び吸収アンテナ542の下方側には、これらの設定値に対応した所望のプラズマ密度分布が形成され、当該プラズマ密度分布に対応して、処理ガスのイオンなどの活性種の濃度分布が形成される。
【0046】
こうして得られた活性種が、バイアス電力の作用により、サセプタ21上のウエハWに引き込まれ、ウエハWの表面に到達してエッチング処理が実行される。このとき、上述のプラズマ密度分布に対応する活性種の供給濃度分布が形成されていることにより、ウエハWの面内でエッチング処理の進行度合いを変化させることができる。
【0047】
なお、内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541b、及び吸収アンテナ542により形成されるプラズマ密度分布は、ウエハWの面内で不均一になるように調節する場合に限定されない。例えば、モノポールアンテナを並列接続した、内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bによって形成されるICPプラズマのプラズマ密度がウエハWの中央部側と外周側との間で不均一になる場合に、吸収アンテナ542を用いて各プラズマ素子541a、541b間の高周波電力の分配を調節することにより、内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bのみを用いた場合のプラズマ密度分布の不均一さを解消して、ウエハWの面内で均一な処理を行ってもよいことは勿論である。
【0048】
所定の時間だけウエハWのエッチング処理を実行したら、処理ガス供給孔42からの処理ガスの供給、及び高周波電源61、30からの高周波電力の供給を停止する。しかる後、処理容器10内の圧力調整を行い、次いでゲートバルブ102を開いて搬入時とは反対の順序で搬送アームにウエハWを受け渡し、処理後のウエハWを処理容器10から搬出する。
【0049】
本実施の形態に係るプラズマエッチング装置(プラズマ処理装置)によれば以下の効果がある。ヘリカルアンテナ(高周波アンテナ)541を構成する内側アンテナ素子541aと外側アンテナ素子541bとの間に吸収アンテナ(環状コイル)542配置し、これらのアンテナ素子541a、541bが互いに異なる共振周波数を持つように、インピーダンス調整部を用いて調節することにより、各高周波アンテナ素子541a、541bに供給される高周波電力の分配を変化させることができる。この結果、処理容器10内に形成されるプラズマ密度分布を変化させ、ウエハWの処理の進行を面内で調整することができる。
【0050】
ここでヘリカルアンテナ541(内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541b)と吸収アンテナ542とは、同じ高さ位置に配置する場合に限定されない。例えば図4に示すように、ヘリカルアンテナ541の上方側に吸収アンテナ542を配置してもよいし、図4に示す例とは反対にヘリカルアンテナ541の下方側に吸収アンテナ542を配置してもよい。このように、ヘリカルアンテナ541と吸収アンテナ542とを上下にずらして、互いに干渉せずに配置する場合には、吸収アンテナ542を配置するスペースを設けることも必須ではない。例えば内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bの各他端部が径方向にずれることなく、接続部541cを介して連続的に接続された渦巻きコイルからなるヘリカルアンテナ541の上方側、または下方側に吸収アンテナ542を配置してもよい。
【0051】
また、吸収アンテナ542をヘリカルアンテナ541の下方側に配置する場合には、誘電体窓53とシールドボックス51とで囲まれたアンテナ室52内に吸収アンテナ542を設けることは必須の要件ではなく、例えば処理容器10内に吸収アンテナ542を配置してもよい。この場合には、吸収アンテナ542と同じ材料からなる導電体製、または石英やアルミナなどの誘電体製、フッ素樹脂や芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えばPEEK(polyetheretherketone))などの樹脂製のカバー内に吸収アンテナ542を収容してもよい。このとき、電位の高い箇所での異常放電の発生を抑えるため、カバー内は誘電体や樹脂を充填することが好ましい。この例においては、ヘリカルアンテナ541を収容する金属製の処理容器10もシールドボックスとしての機能を果たしている。
【0052】
ここで、図1〜3を用いて説明した各実施の形態においては、面状の渦巻きコイルにより、ヘリカルアンテナ541や吸収アンテナ542を構成した実施の形態について説明したが、これらのアンテナ541、542を構成する渦巻きコイルは面状に限定されない。
他の例を挙げると、軸線方向に伸びる、つる巻き線状の渦巻きコイルにて構成される内側アンテナ素子541aを設け、この内側アンテナ素子541aの外周側を囲むようにして、同じくつる巻き線状の外側アンテナ素子541bを二重管状に配置する。そして内側アンテナ素子541a側に設けられた高周波の供給点と、外側アンテナ素子541b側に設けられた接地点との間を接続部541cにて接続してヘリカルアンテナ541を構成する。
【0053】
このように、内外二重管状に配置された内側アンテナ素子541aと外側アンテナ素子541bとの間の空間に、つる巻き線状の渦巻きコイルにより構成された吸収アンテナ542が挿入される。この吸収アンテナ542において、可変コンデンサ65は、軸方向に伸びるつる巻き線の一端と他端との間を繋ぐ位置に設けられる。
【0054】
また図1においては、本発明のプラズマ発生部をプラズマエッチング装置に適用した実施の形態について説明したが、当該プラズマ発生部を利用可能なプラズマ処理装置は、エッチング処理を行うものに限定されないことは勿論である。例えば、酸素ガスなどの処理ガスをプラズマによって活性化させて、ウエハWに形成されたレジスト膜を除去するプラズマアッシング装置や、プラズマにより活性化させた成膜ガス(処理ガス)をウエハWの表面で反応させてCVD(Chemical Vapor Deposition)やALD(Atomic Layer Deposition)などの成膜を行うプラズマ成膜装置などにも、本発明のプラズマ発生部は適用することができる。
【実施例】
【0055】
(実験1)
図1図2を用いて説明したプラズマ発生部を用い、高周波電源61から供給する高周波電力の周波数を変化させて共振周波数を調べた。
A.実験条件
巻き数2、共振周波数が27MHzとなる線路長を有する内側アンテナ素子541aと外側アンテナ素子541bとを備えたヘリカルアンテナ541を用い、シールドボックス51内の同じ高さ位置にヘリカルアンテナ541と吸収アンテナ542とを配置した。可変コンデンサ62〜65の容量を所定の値に固定した条件下で高周波電源61から供給される高周波電力の周波数を10〜60MHzの範囲で変化させ、高周波電源61側から見た回路の反射率を観測した。
【0056】
B.実験結果
実験結果を図5に示す。図5の横軸は高周波電力の周波数、縦軸は高周波電源61側から見た高周波電力の反射率を示している。図5によれば、内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bの共振周波数である27MHzの近傍の2箇所に、反射率が急激に小さくなる周波数が観察された。これらは内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bを含む回路の共振周波数である。これら共振周波数が発生する位置は、各可変コンデンサ62〜65の容量によって種々、変化し、いずれの共振周波数が2つの高周波アンテナ素子541a、541bのどちらに対応するものであるか、特定することはできない。なお、30MHzより高周波領域に現れている反射率の小さな低下は、周辺回路の固定パラメータ間での共振の影響と考えられ、ヘリカルアンテナ541、吸収アンテナ542を用いたICPプラズマ形成の観点においては無視できる。
【0057】
(実験2)
実験1と同様のプラズマ発生部を用い、可変コンデンサ65の容量を変化させたときに内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541b及び吸収アンテナ542によって形成されるICPプラズマの状態を観察した。
A.実験条件
吸収アンテナ542に設けられた可変コンデンサ65の容量を次第に大きくする一方、高周波電源61から見た反射率が小さくなるように、可変コンデンサ62〜64の容量を調節してプラズマの状態を観察した。このとき、高周波電源61から供給される高周波電力の周波数は、27±1MHz程度の範囲で変化した。プラズマの状態の観察は、プラズマ密度分布の計測、及び写真撮影(目視)により行った。
【0058】
B.実験結果
図6にウエハWの径方向に見たプラズマ密度の分布を示す。図6の横軸は、ウエハWの中心に対応する位置からの径方向の距離を示し、縦軸は電子密度Neを電子密度の最大値NeMaxで規格化した値を示している。図6において、黒塗りの丸のプロットは、吸収アンテナ542側の可変コンデンサ65の容量(C4)が最も小さく、アスタリスクのプロットの可変コンデンサ65の容量は最も大きく、バツ印のプロットの可変コンデンサ65の容量は前2条件の中間状態となっている。また、図7(a)〜(c)に示した写真においては、図7(a)は可変コンデンサ65の容量が最も小さく、図7(b)が中程度である。また、図7(c)は、他の可変コンデンサ62〜64の調整と合わせて、プラズマを広げた状態を探索した結果となっている。なお、図6図7との間で、可変コンデンサ65の容量など、実験条件は同じではない。
【0059】
図6に示した結果によれば、可変コンデンサ65の容量を大きくするにつれて、規格化電子密度の高い領域がウエハWの周縁部側へ移動する一方、中央部側では規格化電子密度が次第に小さくなっている。この傾向は、写真撮影の結果においても観察され、可変コンデンサ65の容量を大きくするにつれて、プラズマの発光領域が周縁部側へ移動する一方、中央部側のプラズマは弱く(暗く)なっていることが分かる。
このように、高周波電源61に並列に接続されたモノポールアンテナを構成する内側アンテナ素子541a、外側アンテナ素子541bの間に電気的に浮いた状態の吸収アンテナ542を配置したことにより、2つの共振周波数を持つ回路を構成するプラズマ発生部を用いることにより、高周波電源61が1つしかない場合であってもプラズマ密度分布を調整することが可能であることを確認できた。
【符号の説明】
【0060】
W ウエハ
10 処理容器
12 排気口
14 真空排気機構
21 サセプタ
44 処理ガス供給機構
51 シールドボックス
53 誘電体窓
541 ヘリカルアンテナ
541a 内側アンテナ素子
541b 外側アンテナ素子
541c 接続部
542 吸収アンテナ
61 高周波電源
62 変コンデンサ
63 変コンデンサ
64 変コンデンサ
65 変コンデンサ
7 制御部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7