(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光素子を準備する工程は、シート上に発光素子を載置する工程を含み、前記下金型の上面に、前記シートを介して前記発光素子を載置する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」および、それらの用語を含む別の用語)を用いる。それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。
【0009】
<実施形態1>
実施形態1に係る発光装置1を
図1(a)〜(c)に示す。発光装置1は、発光素子20と、発光素子20の上面に設けられた第1透光性部材30と、第1透光性部材30の側面を覆う被覆部材40とを含む。第1透光性部材30の上面は発光装置1の発光面(光取り出し面)12として機能する。
【0010】
図2〜
図4を参照しながら、実施形態1に係る発光装置の製造方法について説明する。
【0011】
(発光素子の準備)
発光素子20として、例えば発光ダイオード等の半導体発光素子を準備する。発光素子は、積層構造体(透光性基板と、半導体層)21と、電極25と、を備えている。電極25が供えられた側の面(電極形成面)とは反対側の面、すなわち、透光性基板の表面(半導体層が形成されていない側の面)が光の取り出し面23として用いられる。
【0012】
(金型の準備)
例えば、
図2(a)に示すように、上面に複数の凸部101を備えた金型(下金型)100を準備する。各凸部101は、発光素子を載置させるための上面101aを備える。凸部の上面101aは発光素子の下面(後述の光取り出し面)に合わせて、平坦な面を備えていることが好ましい。尚、この金型の凸部は、後の工程で金型を除去した後に第1透光性部材が配置される凹部となる部分である。
【0013】
例えば、1つの凸部に1つの発光素子を載置する場合、凸部の上面101aの大きさは、少なくとも発光素子の光取り出し面の面積の50%〜200%程度の大きさの面積とすることが好ましく、更に、100%〜120%程度の面積とすることが好ましい。また、1つの金型に設けられる複数の凸部は、全て同じ形状とすることが好ましい。さらに、隣接する凸部との距離が等しくなるように配置するのが好ましい。より好ましくは、縦方向及び横方向に規則正しく配列(行列状に配列)させることが好ましい。
【0014】
金型の凸部の上面101aの形状は、円形、楕円形、多角形(例えば、四角形、六角形)、もしくは、これらを組みあわせた形状とすることができる。また、凸部の側面101bは、凸部の上面101aに対して垂直又は傾斜した面とすることができる。つまり、凸部の側面101bを垂直とすると、凸部101の形状は円柱状、角柱状(例えば、四角柱状、六角柱状)などの柱状とすることができる。また、傾斜した面とする場合は、凸部の形状は、円錐台、角錐台などの錐台形とすることができる。尚、このとき凸部の側面101bを傾斜させる場合は、傾斜角は上面(水平面)に対して30度〜90度程度とすることができる。また、凸部101の高さは、例えば、0.1mm〜0.5mm程度とすることが好ましく、さらに、0.15mm〜0.25mm程度が好ましい。
【0015】
金型の凸部と凸部の間の面(上面)は、平坦な面とすることが好ましい。この金型の凸部と凸部の間の面は、発光装置の発光面となる第1透光性部材の周囲を取り囲む側壁の上面となる面を形成する面である。従って、平坦な面とすることが好ましいが、これに限らず、例えば、金型の凸部と凸部の間の面に、微細な凹部又は凸部を備えていてもよい。
【0016】
金型は、その凸部の上面、凸部と凸部の間の面等に、貫通孔を備えていてもよい(例えば、
図9(b)に示す貫通孔440)。貫通孔は、真空吸着用の貫通孔であり、例えば、シートや発光素子などを吸着して保持することができる。下金型400の上面に凸部を備える場合、その上にシートごと発光素子を載置する際に、凸部の位置が視認しにくくなる。そのため、凸部の形状に沿うようにシートを吸着することで、発光素子の載置位置(すなわち凸部の上面)が視認し易くすることができる。また、シートを吸着して金型の上面の形状に沿った形状としておくことで、金型の上面形状に近い形状となるように被覆部材を形成することができる。例えば、シートを金型に吸着させて、凸部に沿うようにあらかじめシートを変形させておくことで安定した形状の被覆部材を形成することができる。さらに、被覆部材を形成する際に、圧力によってシートを金型の凸部に沿った形状に変形させてもよい。
【0017】
金型は、上述のような、上面に凸部を備えた下金型のみを用いることができるほか、上金型を備えていてもよい。下金型のみの場合は、後述の被覆部材の形成を、ポッティング、印刷、スプレー等で行うことができる。下金型と上金型とを用いる場合は、後述の被覆部材の形成を、トランスファモールド、圧縮成形、射出成型などで行うことができる。上金型を用いる場合は、上金型の下面と、下金型の上面とが対向するように配置する。上金型の下面は、平坦面とすることができ、あるいは、微細な凹凸を設けてもよい。また、上金型の下面と、下金型の凸部の上面との間に被覆部材を注入可能な隙間を空けて、すなわち、離間するように配置させることが好ましい。
【0018】
(発光素子の固定)
図2(b)に示すように、下金型100の凸部の上面101aに発光素子20を配置する。このとき、例えば、発光素子20の光取り出し面を、凸部の上面101aと向かい合わせて配置する。換言すると、電極形成面(電極25が形成された側の面)を上側にし、積層構造体21側を下側にして配置する。発光素子20の固定は、接着剤を用いることができるほか、真空吸着してもよい。接着剤を用いる場合は、凸部の上面101aに接着剤を設けてもよく、または、発光素子の光取り出し面に接着剤を設けてもよい。真空吸着する場合は、下金型の凸部の上面に真空吸着用の貫通孔を設けておき、その上に載置した発光素子を吸引(吸着)することができる。この場合、貫通孔の開口径は、発光素子の面積(光取り出し面の面積)よりも大きくすることが好ましい。シートを用いる場合については後述する。
【0019】
(被覆部材の形成)
次いで、金型の凸部の側面101bと、発光素子20の側面とを覆うように被覆部材40を形成する。このとき、発光素子20の側面の全面を覆うように設けることが好ましい。さらに、発光素子の電極形成面も覆うように設けてもよい。例えば、
図2(c)に示すように、電極25の上面が埋設されるように被覆部材40を設けてもよい。このように電極25を埋設させる場合、
図2(d)に示すように、電極25の上面を露出させる工程が必要となる。
【0020】
被覆部材40は、例えば、下金型の凸部の上面に載置された発光素子を囲う型枠を設けて、被覆部材の原材料となる液状樹脂材料を型枠内に流し入れる。その後に、液状樹脂材料を加熱等によって硬化させた後、型枠及び下金型を外すことにより、被覆部材を形成することができる。
【0021】
図3(a)は、電極形成面側にシートS1を貼り付けた状態で金型100を外し、成形品を上下反転させた状態を示している。上述の方法によって形成された被覆部材40は、凹部50を備えた形状として形成される。
図4は、このようにして形成された凹部50を例示したものであり、1つの発光装置とした場合について例示している。凹部50は、発光素子20の光取り出し面23を底面とし、被覆部材40を側壁としている。凹部50の底面は、発光素子51の光取り出し面と、その周囲に設けられた被覆部材40と、から構成されている。金型の凸部の上面は、この、発光装置の凹部の底面に相当しており、発光素子の光取り出し面と、金型の凸部の上面との大きさによって、凹部の底面における被覆部材の割合や位置、形状等を変えることができる。
【0022】
被覆部材40は、下金型のみを用いてポッティング、スプレー塗布、印刷、等によって形成することができるほか、上金型を用いて圧縮成型、射出成型、トランスファモールド等の方法で形成してもよい。尚、発光素子の電極を埋めるようにして被覆部材を形成する場合は、被覆部材を形成後に、電極が露出するまで被覆部材を除去(研削、研磨、エッチング等)する必要がある。
【0023】
(第1透光性部材を形成)
上記のように、凸部を備えた金型を用いて形成された被覆部材40は、この凸部に対応するように凹部50が形成される。そして、この凹部内に第1透光性部材を充填する。透光性部材は、ポッティング、スプレー塗布、印刷等で設けることができ、特にポッティングが好ましい。例えば、
図3(b)に示す例では、被覆部材40の上端と同じ高さまで第1透光性部材30を充填している。
【0024】
以上のようにして得られた発光装置の集合体を、
図3(c)に示すように、発光素子と発光素子との間で切断して、
図3(d)に示すように、個片化された発光装置を得ることができる。
【0025】
上記のように説明した工程は、以下のような工程を含むことができる。
【0026】
(シート)
発光素子を準備する際に、シートを用いてもよい。例えば、
図9(a)に示すように、個片化された発光素子20を、光取り出し面をシートS1の上面に対向するようにして配置する。その後に、下金型400の上面にシートS2ごと発光素子20を配置することができる。これにより、下金型の凸部の上面に個別に発光素子を配置する場合に比して、短い時間で配置することができる。
【0027】
シートは、1つの下金型の上面の全体を1枚で覆うことができる大きさのシートが好ましく、下金型の凸部の形状に沿って変形可能な伸縮性のあるシートが好ましい。例えば、シリコーン、塩化ビニール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド等からなるシートが挙げられる。シートの厚みは、特には限定されないが、金型の凸部の高さよりも低い程度とすることが好ましい。また、発光素子の高さよりも低い程度とすることが好ましい。なお、この厚みは、シートを伸ばさない状態での厚みであり、下金型の凸部の形状に沿って伸ばした際には、0.06mm程度とすることが好ましい。また、シートは、その上面(発光素子が載置される面)は、粘着性を有することが好ましい。
【0028】
このシートは、被覆部材を形成する際にも、そのまま下金型の上面に配置されている。そのため、被覆部材は、下金型の上面とは、直接的には接していない。そして、下金型を除去後、又は下金型を除去する際に同時に、シートも除去することで、発光素子の光取り出し面側に凹部を備えた被覆部材を形成することができる。このように、シートを用いて形成された被覆部材は、実際には金型の凸部の大きさよりも、シートの厚み分だけ大きな凸部に対応した凹部として形成される。
【0029】
(波長変換部材)
第1透光性部材は、透光性材料と波長変換部材とを含有していてもよい。透光性材料を調整する際に波長変換部材を所定の割合で混合させた後に、発光素子の凹部内に充填することができる。このように、凹部内に波長変換部材を含む第1透光性部材を設けることで、発光素子と波長変換部材との混色光を発光可能な発光装置とすることができる。
【0030】
金型の一つの凸部の上面に一つの発光素子を載置してもよく、あるいは、1つの凸部に複数の発光素子を載置してもよい。
【0031】
例えば、
図5に示す例では、金型200の上面に形成された1つの凸部201の上面201aに、3つの発光素子を、横に並べて配置している。このような金型を用いることにより、1つの凹部に3つの発光素子が配置された凹部を形成することができる。例えば、
図6に示すように、被覆部材40で構成される1つ凹部の側壁で囲まれた領域に、3つの発光素子が配置された構成とすることができる。これにより第1透光性部材30を複数の発光素子20の上面に渡って一体的に設けることができ、複数の発光素子分の光を一体的に発光させ、見切りのよい発光装置とすることができる。また、1つの発光素子を備えた発光装置を3つ並べるのに比して、3つの発光素子分の出力を備えた発光装置を、より小型化することができる。さらに、3つの発光素子をより近接して配置することができるため、発光部が分断された領域を少なくし、一体的な発光面として視認することができる。
【0032】
また、複数の凸部に1つの発光素子を載置してもよい。例えば、
図7に示す例では、金型300の上面に形成された2つの凸部301a及び301bの上に、1つの発光素子20を配置している。これにより、例えば、
図8に示すような発光装置3とすることができる。凸部301aと凸部301bとの間の溝部340にも、被覆部材40が形成されることになるため、発光素子20の発光面側には、2つの凹部51、52が、壁部40aを隔てて形成されている。2つの凹部51、52には、それぞれ第1透光性部材が設けられるが、それぞれ同じ第1透光性部材を設けてもよく、異なる第1透光性部材性部材を設けてもよい。このような構造とすることで、異なる波長の光を同時に、あるいは交互に発光させることができる小型の発光装置とすることができる。
【0033】
<実施形態2>
実施形態2に係る発光装置4を
図10に示す。発光装置4は、発光素子20と、発光素子20の上面に設けられた第1透光性部材30と、発光素子20の側面24に設けられた第2透光性部材32と、第2透光性部材32の側面24を覆う被覆部材40とを含む。第1透光性部材30は発光装置4の発光面として機能する。実施形態2は、発光素子の側面に第2透光性部材32を備えるほかは、実施形態1と同様である。
【0034】
図11、
図12を参照しながら、実施形態2に係る発光装置の製造方法について説明する。尚、ここではシートを用いない場合について説明しているが、シートを用いてもよいことは言うまでもない。
【0035】
まず、
図11(a)に示すように、下金型500の凸部の上面501aに発光素子20を配置する。実施形態2では、下金型500の凸部の上面501aの大きさが、その上に載置される発光素子20の光取り出し面の面積よりも大きい。つまり、凸部の上面501aに、発光素子20が載置されていない、露出された上面があることが必要である。そして、この露出された上面501aに第2透光性部材32を設ける。第2透光性部材32は、流動性のある液体の状態で凸部の上面501aに設ける際に、発光素子20の側面を這い上がって、少なくとも発光素子の側面の一部を覆うように形成される。発光素子の側面のほぼ全面を覆うように設けてもよい。第2透光性部材32は、発光素子20の電極形成面には達しないように設けるのが好ましい。
【0036】
このように、発光素子20の側面を這い上がるようにして形成される第2透光性部材32は、例えば
図11(b)に示すように、その外面が傾斜しているように形成されている。この傾斜角は、凸部の上面501aに対して30度〜70度程度とすることができる。また、第2透光性部材32の外面は、断面視において直線でもよいし、曲線でもよい。その場合、凹状の曲線又は凸状の曲線とすることができる。
【0037】
第2透光性部材32は、下金型の上面501aのうち、発光素子20が載置されていない領域の全てを覆うように設けてもよく、あるいは、その一部を覆うように設けてもよい。尚、発光素子20を、シートを介して下金型の上面に配置させる場合、下金型の凸部の上面はシートで覆われているため凸部の上面上のシートの上に第2透光性部材32が設けられる。
【0038】
第2透光性部材32は、下金型の凸部の上面502a以外の領域、すなわち、凸部の側面501bや凸部501と凸部501の間の面(凹部の底面)には設けられないようにするのが好ましい。
【0039】
その後、
図11(c)に示すように、被覆部材40を用いて、発光素子20の側面に設けられた第2透光性部材32と、発光素子20と、下金型の凸部501とを埋設するように被覆部材40を設ける。
図11(d)に示すように、発光素子の電極を露出させた後に、成形品をシートS1に貼り付け、下金型500から取り外す。このようにして発光素子の光取り出し面側に凹部を備えた被覆部材40とすることができる。
【0040】
図12(a)は、シートS1に貼り付けた成形品を上下反転させた状態を例示している。凹部50の底面は、発光素子の光取り出し面と、第2透光性部材32と、被覆部材40と、から構成されている。
図10(b)は、このようにして形成された凹部50を例示したものであり、第1透光性部材を省略した状態で、1つの発光装置とした場合について例示している。凹部50内に設けられる第1透光性部材30は、発光素子の光取り出し面23から放出される光と、発光素子の側面から第2透光性部材32に放出され、さらにその第2透光性部材32から放出される光と、の両方の光が照射される。第2透光性部材32の外側側面が発光面方向を向いて傾斜した面の場合、その傾斜面を反射面として発光素子からの光が反射されるため、発光装置の光取り出し面方向への光の取り出し効率を向上させることができる。尚、
図10で示す例では、被覆部材40を側壁とする凹部は、上面視形状(開口形状)は四角形であり、第2透光性部材は32の外周(凹部の底面における外周)は、略円形に近い形状となっている。
【0041】
このように、凹部の開口形状と、第2透光性部材32の外周形状とは、異なるようにすることで、発光面積を広くすることができる。また、凹部の開口形状を、第2透光性部材の外周形状と相似形状、例えば、略円形とすることで、発光ムラを抑えることができる。凹部の開口形状は、金型の凸部の形状によって決められるため、目的や用途に応じて適した形状を選択することができる。また、第2透光性部材32の形状、すなわち、金型の凸部の上面と接する部分の形状や大きさ、あるいは、発光素子の側面を覆う面積などは、第2透光性部材32を設ける際に、粘度や量等を選択することで調整することができる。
【0042】
<実施形態3>
実施形態3に係る発光装置5を
図13に示す。発光装置5は、発光素子20と、発光素子20の上面に設けられた第1透光性部材30と、発光素子20の側面に設けられた第2透光性部材32と、第2透光性部材32の側面を覆う被覆部材40とを含む。第1透光性部材30は発光装置5の発光面として機能する。実施形態3は、発光素子の側面に設けられた第2透光性部材32が、発光素子の側面に加え、更に発光素子の光取り出し面23にも設けられている備えるほかは、実施形態1と同様である。
【0043】
図14、
図15を参照しながら、実施形態3に係る発光装置の製造方法について説明する。尚、ここではシートを用いた場合について説明しているが、シートを用いなくてもよいことは言うまでもない。
【0044】
まず、
図14(a)に示すように、シートS2の上面に、第2透光性部材32を形成する。ここでは、硬化前の液状の第2透光性部材32を、分離した複数の島状に塗布する。第2透光性部材32の形成位置は、この後の工程で使用される金型600の凸部601の位置に対応して設けられる。第2透光性部材32は、硬化前の状態において、平面視形状は例えば、円形、楕円形、正方形、長方形等が挙げられる。
【0045】
次いで、
図14(b)に示すように、硬化前の第2透光性部材32上に、発光素子20を配置する。発光素子を第2透光性部材上に配置するだけで、もしくは配置した上で発光素子を押圧することにより、表面張力によって第2透光性部材は発光素子の側面に這い上がり、第2透光性部材32の外側面は下向きに拡がった形状になる。その後に硬化することにより、発光素子の側面に接した第2透光性部材32を形成する。
【0046】
なお、この製造方法では、第2透光性部材32が、凸部の上面(シートを用いる場合はシートの上面)と発光素子との間に存在する。すなわち、第2透光性部材32はシートS2と発光素子との接着剤としても機能しうる。この位置に形成される第2透光性部材の厚さは、例えば2〜30μmとすることができ、4〜20μmが好ましく、5〜10μm程度が最も好ましい。
【0047】
次いで、
図14(c)に示すように、発光素子20を載せた状態のシートS2を、金型600の上面に配置させる。金型の凸部601の上面に、発光素子20と、第2透光性部材32とが、全て収まるように配置させる。シートS2は、金型に設けられた貫通孔によって真空吸着されることで金型の上面の凹凸形状に沿った形に変形される。このとき、第2透光性部材32がシートS2の変形に伴って変形しにくいよう(広がりにくいよう)にすることが好ましい。例えば、第2透光性部材32の直下の貫通孔の数を多くするなどにより、吸着力を強めにしておくことで、第2透光性部材32が載置されていない部分のシートS1を優先的に変形させる(伸ばす)などとすることができる。
【0048】
その後、
図14(d)に示すように、被覆部材40を用いて、発光素子20の表面の側面に設けられた第2透光性部材32と、発光素子20と、下金型の凸部601とを埋設するように被覆部材40を設ける。
図14(e)に示すように、発光素子の電極を露出させた後に、成形品をシートS1に貼り付け、下金型600から取り外す。このようにして発光素子の光取り出し面側に凹部を備えた被覆部材40とすることができる。
【0049】
図15(a)は、シートS1に貼り付けた成形品を上下反転させた状態を例示している。凹部50の底面は、発光素子の光取り出し面を覆う第2透光性部材32と、被覆部材40と、とから構成されている。
図15(b)は、このようにして形成された凹部50を例示したものであり、第1透光性部材を省略した状態で、1つの発光装置とした場合について例示している。第2透光性部材32は、発光素子の光取り出し面よりも大きな面積で形成されている。凹部50内に設けられる第1透光性部材30には、発光素子の光取り出し面及び側面から放出される光を、直接ではなく、第2透光性部材32を介して照射される。第2透光性部材32の外側側面が発光面方向を向いて傾斜した面の場合、その傾斜面を反射面として発光素子からの光が反射されるため、発光装置の光取り出し面方向への光の取り出し効率を向上させることができる。さらに、発光素子の光取り出し面が凹部の底面を構成していないことで、凸部上に発光素子を載置する際や、被覆部材40を成形する際、あるいは、金型から発光素子を取り外す際に発光素子を保護することができる。
【0050】
図16は、上記の各実施形態において説明された発光装置のバリエーションを例示したものである。
図16(a)、(d)は実施形態1で説明したような、被覆部材が発光素子の側面と接している発光装置を示す。
図16(a)は、第1透光性部材の側面の下端及び上端が曲面となっている。
図16(d)は、第1透光性部材の側面の角度が、発光素子の上面に対して傾斜している。
図16(b)、(e)は、実施形態2で説明したような、第2透光性部材が発光素子の側面を覆い、その外側に被覆部材を設けた発光装置を示す。
図16(b)は、透光性部材の側面の下端及び上端が曲面となっている。
図16(e)は、第1透光性部材の側面の角度が、発光素子の上面に対して傾斜している。第1透光性部材の側面の角度と、第2透光性部材の側面の角度とは、同じであってもよく、異なっていていても構わない。
図16(c)、(f)は、実施形態3で示したような、第2透光性部材が発光素子の上面及び側面を覆い、その外側に被覆部材を設けた発光装置を示している。また、
図16(c)は、第1透光性部材の側面の上端及び下端が曲面となっている。
図16(f)は、第1透光性部材の側面の角度が、発光素子の上面に対して傾斜している。第1透光性部材の側面の角度と、第2透光性部材の側面の角度とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
図16(a)、(b)、(c)は、それぞれ、下金型の上面上に、シートを介して載置された状態で被覆部材を形成した発光装置を示しており、被覆部材の凹部の側面の上端及び下端が、変形されたシート形状に沿って曲面(R面)が形成されている発光装置を示す。
図16(d)、(e)、(f)は、被覆部材の凹部の側面が傾斜している発光装置を示す。これは、下金型の凸部の側面を傾斜させることによって得られるものである。
【0051】
以下に、各実施形態の発光装置の各構成部材に適した材料等について説明する。
【0052】
(発光素子)
発光素子としては、例えば発光ダイオード等の半導体発光素子を用いることができ、青色、緑色、赤色等の可視光を発光可能な発光素子を用いることができる。半導体発光素子は、透光性基板と、その上に形成された半導体積層体とを含むことができる。また、半導体積層体は、透光性基板とは反対側(対向する面)に、電極を備えた電極形成面を備えている。透光性基板側は光の取り出し面として用いられる。
【0053】
(半導体積層体)
半導体積層体は、複数の半導体層を含む。半導体積層体の一例としては、第1導電型半導体層(例えばn型半導体層)、発光層(活性層)および第2導電型半導体層(例えばp型半導体層)の3つの半導体層を含むことができる。紫外光や、青色光から緑色光の可視光を発光可能な半導体層としては、例えば、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等の半導体材料から形成することができる。具体的には、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物系の半導体材料(例えばInN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等)を用いることができる。赤色を発光可能な半導体積層体としては、GaAs、GaAlAs、GaP、InGaAs、InGaAsP等を用いることができる。
【0054】
(透光性基板)
発光素子の透光性基板には、例えば、上記の窒化物系半導体材料の場合、サファイア(Al
2O
3)、スピネル(MgA1
2O
4)のような透光性の絶縁性材料や、半導体積層体からの発光を透過する半導体材料(例えば、窒化物系半導体材料)を用いることができる。また、GaAs等の半導体材料の場合、GaAlAs、InGaAs等が挙げられる。ここでの透光性とは、発光素子から出射される光の60%、65%、70%又は80%程度以上を透過し得る性質を指す。
【0055】
(電極)
発光素子が有する一対の電極は、半導体層の同一面側に配置されている。これらの一対の電極は、上述した第1導電型半導体層及び第2導電型半導体層と、それぞれ、電流−電圧特性が直線又は略直線となるようなオーミック接続されるものであれば、単層構造でもよいし、積層構造でもよい。このような電極は、当該分野で公知の材料及び構成で、任意の厚みで形成することができる。例えば、十数μm〜300μmが好ましい。また、電極としては、電気良導体を用いることができ、例えばCu、Au、Ag、AuSn等の金属が好適である。
【0056】
(第1透光性部材)
第1透光性部材は、透光性材料としては、透光性樹脂、ガラス等が使用できる。特に、透光性樹脂が好ましく、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂が好適である。
【0057】
第1透光性部材は、上記の透光性材料に加え、蛍光体を含んでもよい。蛍光体は、発光素子からの発光で励起可能なものが使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:YAG);セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:LAG);ユウロピウムおよび/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO−Al
2O
3−SiO
2);ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)
2SiO
4);βサイアロン蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体;KSF系蛍光体(K
2SiF
6:Mn);硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体などが挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、様々な色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。
また、第1透光性部材には、粘度を調整する等の目的で、各種のフィラー等を含有させてもよい。
【0058】
(第2透光性部材)
第2透光性部材は、透光性樹脂、ガラス等の透光性材料から形成することができる。透光性樹脂としては、特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂であるのが好ましい。第2透光性部材は発光素子の側面と接触しているので、点灯時に発光素子で発生する熱の影響を受けやすい。熱硬化性樹脂は、耐熱性に優れているので、第2透光性部材に適している。なお、第2透光性部材は、光の透過率が高いことが好ましい。そのため、通常は、第2透光性部材には、光を反射、吸収又は散乱する添加物は添加されないことが好ましい。しかし、望ましい特性を付与するために、第2透光性部材に添加物を添加するのが好ましい場合もある。例えば、第2透光性部材の屈折率を調整するため、または硬化前の第2透光性透光性部材の粘度を調整するために、各種フィラーを添加してもよい。
【0059】
(被覆部材)
被覆部材は、第1透光性部材の側面を覆うように設けられる。さらに、発光素子の側面も覆うように設けられることが好ましい。発光素子の側面に第2透光性部材が設けられる場合は、そのさらに外側に設けられる。
【0060】
被覆部材は、透光性部材および発光素子に対する熱膨張率の関係が、所定の関係となるような材料から形成される。すなわち、被覆部材は、被覆部材と発光素子との熱膨張率差ΔT
40が、透光性部材と発光素子との熱膨張率差ΔT
30よりも小さくなるように、材料が選択される。例えば、発光素子が、サファイアの透光性基板と、GaN系半導体から成る半導体積層体とを含む場合、発光素子の熱膨張率はおよそ5〜7×10
−6/Kとなる。一方、透光性部材を、シリコーン樹脂から形成した場合、透光性部材の熱膨張率は、2〜3×10
−5/Kとなる。よって、被覆部材は、シリコーン樹脂よりも熱膨張率の小さい材料から形成することにより、ΔT
40<ΔT
30とすることができる。
【0061】
被覆部材に樹脂材料を使用する場合、一般的に、熱膨張率は10
−5/Kオーダーとなり、一般的な発光素子の熱膨張率に比べて一桁大きい。しかしながら、樹脂材料にフィラー等を添加することにより、樹脂材料の熱膨張率を低減することができる。例えば、シリコーン樹脂に、シリカ等のフィラーを添加することにより、フィラーを添加する前のシリコーン樹脂に比べて、熱膨張率を低くすることができる。
【0062】
被覆部材に使用できる樹脂材料としては、特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂であるのが好ましい。
【0063】
被覆部材は、光反射性樹脂から形成することができる。光反射性樹脂とは、発光素子からの光に対する反射率が70%以上の樹脂材料を意味する。被覆部材に達した光が反射されて、発光装置の発光面に向かうことにより、発光装置の光取出し効率を高めることができる。
【0064】
光反射性樹脂としては、例えば透光性樹脂に、光反射性物質を分散させたものが使用できる。光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが好適である。光反射性物質は、粒状、繊維状、薄板片状などが利用できるが、特に、繊維状のものは被覆部材の熱膨張率を低下させる効果も期待できるので好ましい。
【0065】
以上、本発明に係るいくつかの実施形態について例示したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。