(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化した
ことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドについて
図1ないし
図4を参照して説明する。
図1は同ヘッドのノズル配列方向に沿う方向の断面説明図、
図2は
図1のA−A線に沿うノズル配列方向と直交する方向の断面説面図、
図3は
図1のB−B線に沿うノズル配列方向と直交する方向の断面説面図である。
図4は同ヘッドのダンパ部材を除いた状態の要部平面説明図である。なお、
図4のハッチングは分かり易く図示するためのもので断面を示すものではない。
【0013】
この液体吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、振動板部材3と、圧力発生素子(圧力発生手段)である圧電素子11と、保持基板50と、共通液室部材70と、ハウジング80と、駆動IC509などを備えている。
【0014】
なお、流路板2、振動板部材3及び圧電素子11などのノズル板1と保持基板50との間に介在する部材全体を「アクチュエータ基板20」と総称する。ただし、アクチュエータ基板20として独立の部材が形成された後にノズル板1や保持基板50と接合される場合に限定されるものではない。
【0015】
ノズル板1には、液体を吐出する複数のノズル4が配列された2つのノズル列が配置されている。なお、ノズル列は2列に限らず、1列、あるいは、3列以上でもよい。
【0016】
流路板2は、ノズル板1及び振動板部材3とともに、ノズル4が通じる個別液室6、個別液室6に通じる流体抵抗部7、導入口部8などを形成している。個別液室6には、流体抵抗部7及び導入口部8と、振動板部材3の貫通口部31、保持基板50の貫通口部51を通じて、共通液室10から液体が供給される。
【0017】
振動板部材3は、個別液室6の壁面の一部をなす変形可能な振動板(振動領域)30を形成している。
【0018】
この振動板部材3の振動板30の個別液室6と反対側の面には、振動板30と一体的に圧電素子11が設けられ、振動板30と圧電素子11によって圧電アクチュエータを構成している。圧電素子11は、振動板30側から下部電極13、圧電層(圧電体層)12及び上部電極14を順次積層形成して構成したものである。
【0019】
ここで、駆動IC509から圧電素子11の上部電極14と下部電極13の間に電圧を与えることで、圧電層12が電極積層方向、すなわち、電界方向に伸張し、振動板30と平行な方向に収縮する。このとき、下部電極13側は振動板30で拘束されているため、振動板30の下部電極13側に引っ張り応力が発生し、振動板30が個別液室6側に撓み、内部の液体を加圧することで、ノズル4から液体が吐出される。
【0020】
保持基板50は、圧電素子11を収容する凹部(振動室ともいう。)52を有し、アクチュエータ基板20の振動板部材3上に接合されて、アクチュエータ基板20と共通液室部材70との間に配置されている。
【0021】
保持基板50には、共通液室10から個別液室6への流路の一部となる貫通口部51が形成されている。また、保持基板50には、圧電素子11を収容する凹部52と、駆動IC509を収容する開口部53が形成されている。
【0022】
保持基板50には振動板部材3と反対側に共通液室部材70が接合され、この共通液室部材70で保持基板50を一部の壁面とする共通液室10が形成されている。
【0023】
共通液室部材70は、保持基板50側から第1共通液室部材71と、第1共通液室部材71に接合された第2共通液室部材72とで構成されている。第2共通液室部72にはノズル配列方向における中央部に外部から共通液室10に液体を供給する液体供給口部73が設けられている。
【0024】
共通液室10は、
図1に示すように、ノズル配列方向の両端部の高さ(積層方向の高さ)が漸次低くなる狭窄部10aを有している。なお、狭窄部10aはノズル配列方向と直交する方向の幅をノズル配列方向中央部よりも狭くして形成することもできるし、高さ及び幅をノズル配列方向中央部よりも小さく(狭く)して形成することもできる
【0025】
そして、本実施形態においては、保持基板50に共通液室10の一部の壁面を形成する復元可能に変形可能なダンパ91を有するダンパ部材90を設けている。保持基板50には、ダンパ91を挟んで共通液室10と反対側にダンパ室92を設けている。
【0026】
なお、保持基板50にダンパ91を形成するダンパ部材90を直接接合してもよいし、ダンパ91を形成する部材に補強部材などを接合してダンパ部材90として保持基板50に接合してもよい。なお、ダンパ91としては薄膜フィルムなどを使用することができる。
【0027】
ここで、ノズル配列方向において、ダンパ室92のノズル配列方向と直交する方向の幅は、ノズル配列方向端部側の幅W2をノズル配列方向中央部側の幅W1よりも広くしている。なお、ノズル配列方向端部側の幅W2は、
図4に示すように、ノズル配列方向端に向かって漸次増加しており、一定幅に限定されるものではない。
【0028】
また、ダンパ91のノズル配列方向と直交する方向の幅はダンパ室92と同じにしている。つまり、ノズル配列方向において、ダンパ91のノズル配列方向と直交する方向の幅は、共通液室10への液体供給口部73側の幅W1(
図2)よりも共通液室10の端部側の幅W2(
図3)を広くしている。
【0029】
なお、ダンパ室92の幅とダンパ91の幅は同じにしているが、異ならせることもできる。すなわち、ダンパ室92に対向するダンパ部材90の一部にダンパ91として機能しない部分を設けることもできる。
【0030】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、圧電素子11を駆動することで、圧電素子11が振動板30の変形を伴って変形して、前述したように個別液室6内の液体が加圧されてノズル4から液体が吐出される。
【0031】
ここで、保持基板50は、アクチュエータ基板20と共通液室部材70によって、共通液室長手方向(ノズル配列方向)に沿ってほぼ片持ち状態で拘束されるとともに、ノズル配列方向の端部では短手方向(ノズル配列方向と直交する方向)でも拘束されている。
【0032】
そのため、保持基板50の拘束状態は共通液室長手方向の端部側の方が強く、ダンパ室92がない状態では、保持基板50は共通液室長手方向(ノズル配列方向)の端部側が変形しにくくなる。
【0033】
このように、保持基板50のノズル配列方向端部側が変形しにくくなることに起因して、ノズル配列方向端部側の振動板30は保持基板50による拘束力を強く受けることになる。したがって、圧電素子11を駆動するとき、ノズル配列方向において、端部側の振動板30の方が中央部側の振動板30に比べて相対的に変形しにくくなる。その結果、ノズル配列方向において、液体吐出特性にばらつきが発生することがある。
【0034】
そこで、本実施形態では、
図4にも示すように、保持基板50にダンパ室92を設けるとともに、ノズル配列方向において、ノズル配列方向端部における短辺方向の幅W2を、ノズル配列方向中央部(液体供給口部73側)での短辺方向の幅W1よりも広くしている。
【0035】
これにより、保持基板50は、ノズル配列方向端部側がノズル配列方向中央部側に比べて剛性が下がり、ノズル配列方向端部側の変形のしにくさを緩和することができる。したがって、振動板30の変形のしにくさも緩和することができ、吐出特性のばらつきも低減できる。
【0036】
また、圧電素子11を駆動したとき、共通液室10内にも個別液室6の圧力変動が伝搬される。このときに共通液室10内に生じる圧力は、共通液室10における各個別液室当りの液体体積が少ない(液体のコンプライアンスが小さい)ほど、また、共通液室部材70及びダンパ91の構造のコンプライアンスが小さいほど大きくなる。
【0037】
ここで、ノズル配列方向において、個別液室当たりの液体体積は、両端部に狭窄部10aがあることで、ノズル配列方向中央部側(
図2)に比べてノズル配列方向端部側(
図3)の方が少なくなっている。これに対し、ダンパ91のコンプライアンスは、ノズル配列方向中央部側(
図2)に比べてノズル配列方向端部側(
図3)の方が大きくなっている。
【0038】
したがって、ダンパ91のコンプライアンスを、断面積に応じて適切に設定することで、ノズル配列方向において、中央部と両端部での液体のコンプライアンスと構造のコンプライアンスの和の差を低減することができる。
【0039】
これにより、一滴を吐出するときの吐出特性のばらつきが低減する。
【0040】
ここで、ダンパ91による圧力の吸収率は、ダンパ91の質量が小さいほどダンパ効果が高くなるので、ダンパ91の厚みは狭窄部10aの方が薄い方が好ましい。
【0041】
これにより、ノズル配列方向中央部側とノズル配列方向端部側との圧力差をより低減できる。
【0042】
また、ダンパ91のコンプライアンス値は短手方向の幅(ノズル配列方向と直交する方向の幅)で制御しているので、連続的なコンプライアンス値の変化もし易く、単位長さ当たりの共通液室10の長手方向(ノズル配列方向)における液体のコンプライアンスと構造のコンプライアンスの和の差をより低減することができる。
【0043】
これにより、一滴を吐出するときの吐出特性のばらつきが低減する。
【0044】
また、圧電素子11を駆動したときの共通液室10内に発生するノズル配列方向中央部側(
図2)とノズル配列方向端部側(
図3)との圧力差が低減されていることで、コンプライアンスの和の差によって発生した圧力差が時間とともに他の部分に伝搬したときでも、その影響は低減される。
【0045】
これにより、複数滴をマージさせて1つの滴を形成する場合でも、1つの滴を形成するための後行の滴におけるばらつきが小さくなるので、複数滴をマージさせて1つの滴を形成する場合でもばらつきが低減される。
【0046】
また、本実施形態では、ダンパ91は、共通液室10を形成する壁部の内で、個別液室6に液体を供給する側に近い壁部である保持基板50の共通液室10側にダンパ91を配置している。
【0047】
圧電素子11の駆動によって個別液室6から発生する圧力に対するダンパの圧力減衰の効果は、圧力発生源からダンパまでの距離が近いほど早く発生するので、他の壁部(保持基板50以外の壁部)にダンパを配置する場合よりもダンパ機能を効率よく発揮できる。
【0048】
また、保持基板50にダンパ91を設けてダンパ室92を形成することで、圧電素子11と共通液室10との間に気体部が介在することになる。この気体部(ダンパ室92)は圧電素子11で発生する熱が共通液室10に伝わるときの熱伝達経路の一部に位置しており、圧電素子11から共通液室10への熱伝達効率を下げている。
【0049】
これにより、多数の圧電素子11を同時駆動しても、共通液室10の長手方向における液体の温度差を低減することができ、液体の温度差による吐出特性ないし吐出滴のばらつきが低減される。
【0050】
また、保持基板50のダンパ室92は、駆動IC509が発生する熱が共通液室10に伝わる経路の一部にも介在することになり、駆動IC509で発生した熱が共通液室10に伝わるときの熱伝達効率も下げている。
【0051】
この点でも、多数の圧電素子11を同時駆動しても、共通液室10の長手方向における液体の温度差を低減することができ、液体の温度差による吐出特性ないし吐出滴のばらつきが低減される。
【0052】
また、
図4に示すように、ダンパ室92のノズル配列方向端部側の共通液室10の狭窄部10aに対応する部分93において、ダンパ91のノズル配列方向と直交する方向である共通液室短手方向の幅W2は、共通液室10の狭窄部10aの開口断面積が小さくなるほど広く形成されている。
【0053】
これにより、ダンパ91の厚みが一定であっても共通液室10の狭窄部10aに対応するダンパ91の部分のコンプライアンスを増加することができる。
【0054】
次に、本発明の第2実施形態について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は同実施形態の説明に供する説明に供する
図4と同様な要部平面説明図、
図6は
図5のC−C線に沿う断面説明図である。
【0055】
本実施形態では、ノズル配列方向において、ダンパ室92は、ダンパ91を設ける側と反対側の面から立ち上がるリブ94によって複数の領域92aに区画している。リブ94の先端部はダンパ91に接合されている。
【0056】
ここで、リブ94が設けられた部分はダンパの機能がないので、リブ94近傍の個別液室6においてはダンパ91のコンプライアンスが小さくなる。
【0057】
したがって、リブ94の位置は、リブ94によるダンパ91のコンプライアンが小さくなる影響を抑えため、液体のコンプライアンスが大きい断面領域に設置すること方が好ましい。つまり、共通液室10の狭窄部10aにはリブ94を設けないで、狭窄部10aを除く部分にリブ94を設けることが好ましい。
【0058】
また、リブ94を設ける位置は、ダンパ91の共通液室短手方向が一定の領域でも、共通液室長手方向(ノズル配列方向)では、リブ間隔が不等間隔になる(例えば、
図5において長さL2とL1が異なる)位置に設けることが好ましい。
【0059】
これにより、区画化された領域92aに対応するダンパ91の共振周波数が領域92aによって異なり、ダンパ91の共振によって特定の周波数成分の圧力が共通液室10内に残留する影響を軽減できるので、より安定した吐出を行うことができる。
【0060】
次に、本発明の第3実施形態について
図7を参照して説明する。
図7は同実施形態の説明に供する
図4と同様な要部平面説明図である。
【0061】
本実施形態では、ダンパ室92に設けるリブ94は、平面視で、共通液室短手方向に対して斜めに配置している。
【0062】
これにより、いずれの個別液室に対してもダンパ91を有している構造となるので、リブ94を設けることによる影響を低減できる。
【0063】
次に、本発明の第4実施形態について
図8を参照して説明する。
図8は同実施形態の説明に供する
図4と同様な要部平面説明図である。
【0064】
本実施形態では、ダンパ室92に設けるリブとして、ノズル配列方向に沿って共通液室短手方向を区画するリブ94bと、ノズル配列方向と直交する方向に沿って共通液室長手方向を区画するリブ94aとを設けている。
【0065】
これにより、いずれの個別液室に対してもダンパ91を有している構造となるので、リブ94を設けることによる影響を低減できる。
【0066】
次に、本発明の第5実施形態について
図9を参照して説明する。
図9は同実施形態の説明に供するノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【0067】
本実施形態では、保持基板50は、2枚(3枚以上でもよい。)の第1基板50aと第2基板50bとを積層して構成している。
【0068】
第1基板50aは、アクチュエータ基板20に接合され、前記第1実施形態の保持基板50と同様な構成を有している。第2基板50bは、ダンパ基板を兼ねており、第1基板50bに接合されるとともに、共通液室部材70に接合されている。
【0069】
また、第1基板50aには貫通口部51aが形成され、第2基板50bには貫通口部51bが形成されている。これらの貫通口部51a、51bによって共通液室10と液導入部8とを通じる流路を形成している。
【0070】
そして、第2基板50bには、共通液室10の壁面の一部を形成する復元可能に変形可能なダンパ91が設けられ、ダンパ91を介して共通液室10と反対側にダンパ室92が形成されている。なお、ダンパ室92などのノズル配列方向と直交する方向に幅前記第1実施形態と同様な構成としている。
【0071】
この構成でも、保持基板50は、前記第1実施形態で説明したと同様に、共通液室部材70とアクチュエータ基板20との間で片持ち状態で拘束保持されることになる。そのため、ノズル配列方向端部における拘束がノズル配列方向中央部における拘束よりも強くなり、前記第1実施形態で説明したと同様に、ノズル配列方向において液体吐出特性にばらつきが生じることがある。
【0072】
したがって、保持基板50を構成する第2基板50bにダンパ91を形成してダンパ室92を設けることで、前記第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0073】
さらに、第2基板50bが共通液室10のノズル板側の一面を形成することで、保持基板50と共通液室部材70との接合面を前記第1実施形態よりも広くすることができ、接合位置ずれの精度が低くても確実に接合できるようになる。
【0074】
次に、本発明の第6実施形態について
図10を参照して説明する。
図10は同実施形態の説明に供するノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【0075】
本実施形態では、共通液室部材70は1つの部材で形成している。
【0076】
これにより、部品点数が前記第1ないし第4実施形態よりも少なくなる。
【0077】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について
図11及び
図12を参照して説明する。
図11は同装置の要部平面説明図、
図12は同装置の要部側面説明図である。
【0078】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0079】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0080】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0081】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0082】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0083】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0084】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0085】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0086】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0087】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0088】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0089】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
【0090】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0091】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について
図13を参照して説明する。
図13は同ユニットの要部平面説明図である。
【0092】
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
【0093】
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0094】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について
図14を参照して説明する。
図14は同ユニットの正面説明図である。
【0095】
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0096】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0097】
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0098】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0099】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0100】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0101】
上記「液体が付着可能もの」とは液体が一時的にでも付着可能なものを意味する。「液体が付着するもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0102】
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液なども含まれる。
【0103】
また、「液体を吐出する装置」には、特に限定しない限り、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
【0104】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0105】
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0106】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0107】
例えば、液体吐出ユニットとして、
図12で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0108】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0109】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、
図13で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0110】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0111】
また、液体吐出ユニットとして、
図14で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
【0112】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0113】
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
【0114】
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。