(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る画像形成システム1の全体構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成システム1の全体構成を簡略化して示す図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る画像形成システム1は、画像形成装置2、給紙装置3、綴じ処理装置4、及び原稿読取装置5により構成されている。
【0011】
画像形成装置2は、入力された画像データに基づいてCMYK(Cyan Magenta Yellow Key Plate)の描画情報を生成し、生成された描画情報に基づいて、給紙装置3から給紙された用紙に対して画像形成出力を実行する。
【0012】
本発明の第1実施形態に係る画像形成装置2における画像形成機構の具体的態様としては、電子写真方式やインクジェット方式がある。画像形成装置2により画像が形成されたシートは、綴じ処理装置4に搬送され、若しくは排出トレイ6aに排出されて順次積載される。給紙装置3は、画像形成装置2に用紙を給紙する。
【0013】
綴じ処理装置4は、画像形成装置2から搬送されてきた画像形成済みの複数枚のシートをまとめて綴じる綴じ処理を実行する。また、本発明の第1実施形態に係る綴じ処理装置4は、スティプル針等の針を用いてシート束を綴じる針有綴じ処理を行う針有綴じ部としての針有綴じユニット420(
図4参照)と、針を用いずにシート束を綴じる針無綴じ処理を行う針無綴じ部としての針無綴じユニット430(
図4参照)とを備える。即ち、本発明の第1実施形態においては、綴じ処理装置4がシート処理装置として機能する。綴じ処理装置4により綴じられたシート束は、排出トレイ6bに排出されて順次積載される。
【0014】
原稿読取装置5は、複数のフォトダイオードが一列に並べられ、これに並列にCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の受光素子が配置されたリニアイメージセンサにより原稿を読み取ることで原稿を電子化する。また、原稿読取装置5は、読み取る対象となる原稿を自動搬送する原稿自動搬送装置を備え、その原稿自動搬送装置から自動搬送されてくる原稿を読み取ることも可能である。
【0015】
尚、本発明の第1実施形態に係る画像形成システム1は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能なMFP(MultiFunction Peripheral:複合機)である。
【0016】
次に、本発明の第1実施形態に係る画像形成システム1のハードウェア構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る画像形成システム1のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。
【0017】
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る画像形成システム1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40、専用デバイス50、操作装置60、表示装置70、及び通信I/F80がバス90を介して接続されて構成されている。
【0018】
CPU10は演算手段であり、画像形成システム1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。
【0019】
HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、画像データ等の各種データや、OS(Operating System)、各種制御プログラム、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。
【0020】
専用デバイス50は、画像形成システム1において専用の機能を実現するためのハードウェアである。即ち、専用デバイス50は、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機、綴じ処理機構において専用の機能を実現するためのハードウェアである。
【0021】
操作装置60は、画像形成システム1に情報を入力するためのユーザインタフェースであり、キーボードやマウス、入力ボタン、タッチパネル等の入力装置によって実現される。
【0022】
表示装置70は、ユーザが画像形成システム1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースであり、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置やLED(Light Emitting Diode)等の出力装置によって実現される。
【0023】
通信I/F80は、画像形成システム1が他の装置と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)、FeliCa(登録商標)、PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)規格等のインタフェースが用いられる。
【0024】
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がRAM20にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本発明の第1実施形態に係る画像形成システム1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0025】
次に、本発明の第1実施形態に係る画像形成システム1の機能構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、本発明の第1実施形態に係る画像形成システム1の機能構成を模式的に示すブロック図である。
【0026】
図3に示すように、本発明の第1実施形態に係る画像形成システム1は、コントローラ100、ディスプレイパネル110、操作ボタン120、ネットワークI/F130、駆動部140を備える。また、コントローラ100は、主制御部101、操作表示制御部102、入出力制御部103、画像処理部104、信号入力制御部105、設定情報記憶部106、及び駆動制御部107を備える。
【0027】
ディスプレイパネル110は、画像形成システム1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成システム1を直接操作し若しくは画像形成システム1に対して情報を入力する際の入力インタフェースでもある。即ち、ディスプレイパネル110は、ユーザによる操作を受けるための画像を表示する機能を含む。ディスプレイパネル110は、
図2に示す操作装置60及び表示装置70によって実現される。
【0028】
操作ボタン120は、ユーザが画像形成システム1を直接操作し若しくは画像形成システム1に対して情報を入力する際の入力インタフェースである。操作ボタン120は、
図2に示す操作装置60によって実現される。
【0029】
ユーザは、これらのディスプレイパネル110や操作ボタン120を操作することにより、シート情報等の設定情報を入力することができるようになっている。
【0030】
ネットワークI/F130は、ユーザが操作するPC(Personal Computer)等の情報処理装置と通信するためのインタフェースである。ネットワークI/F130は、
図2に示す通信I/F80によって実現される。画像形成システム1は、このネットワークI/F130を介して、シート情報等の設定情報や画像情報を含む印刷出力の命令(以降、「印刷ジョブ」とする)等の各種情報が上記情報処理装置から送られてくる。
【0031】
駆動部140は、画像形成装置2、給紙装置3、綴じ処理装置4、原稿読取装置5において動作するモータやセンサ等の駆動部である。
【0032】
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。即ち、コントローラ100は、CPU10がROM30やHDD40等の記憶媒体に格納されたプログラムをRAM20にロードし、そのプログラムに従って演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路等のハードウェアとによって構成される。
【0033】
主制御部101は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。
【0034】
操作表示制御部102は、ディスプレイパネル110に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル110を介して入力された情報を主制御部101に通知する。そして、主制御部101は、操作表示制御部102から通知された情報を設定情報記憶部106に記憶させ、若しくは操作表示制御部102から通知された情報に従ってコントローラ100の各部に命令を与える。
【0035】
入出力制御部103は、ネットワークI/F130を介して入力される情報を主制御部101に入力する。そして、主制御部101は、入出力制御部103から入力された情報を設定情報記憶部106に記憶させ、若しくは入出力制御部103から入力された情報に従ってコントローラ100の各部に命令を与える。
【0036】
このようにして、主制御部101は、操作表示制御部102、入出力制御部103により、シート情報等の設定情報や印刷ジョブ等の各種情報を取得する。
【0037】
画像処理部104は、主制御部101の制御に従い、PDL(Page Description Language)等により記述された画像情報、例えば、入力された印刷ジョブに含まれる文書データ若しくは画像データに基づいて、描画情報を出力情報として生成する。この描画情報とは、CMYK(Cyan Mgenta Yellow Black)のビットマップデータ等の情報であり、画像形成システム1が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。
【0038】
また、画像処理部104は、原稿読取装置5から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像形成システム1に格納され、若しくはネットワークI/F130を介して他の機器に送信される情報である。尚、本発明の第1実施形態に係る画像形成システム1は、画像情報の代わりに描画情報が直接入力され、直接入力された描画情報に基づいて画像形成出力を実行することも可能である。
【0039】
信号入力制御部105は、後述の針有綴じユニット検知センサ422(
図4参照)や針無綴じユニット検知センサ432(
図4参照)、エンコーダ(図示せず)等の各センサから入力された検知信号や計測信号を主制御部101に入力する。そして、主制御部101は、信号入力制御部105から入力された検知信号や計測信号を駆動制御部107に入力する。
【0040】
設定情報記憶部106は、シート情報等の設定情報を記憶する。駆動制御部107は、駆動部140の動作を制御する。
【0041】
次に、本発明の第1実施形態に係る綴じ処理装置4の構成について、
図4〜
図6を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に係る綴じ処理装置4の内部を示す斜視図である。
図5は、本発明の第1実施形態に係る綴じ処理装置4の内部を示す上面図である。
図6は、本発明の第1実施形態に係る綴じ処理装置4の内部を主走査方向から示す側面図である。
【0042】
図4〜
図6に示すように、本発明の第1実施形態に係る綴じ処理装置4は、後端揃えストッパ410、針有綴じユニット420、針有綴じユニット移動ガイドレール421、針有綴じユニット検知センサ422、針無綴じユニット430、針無綴じユニット移動ガイドレール431、針無綴じユニット検知センサ432、シート積載板440、ジョガーフェンス450、及び搬送ローラ470を備える。
【0043】
後端揃えストッパ410は、シート積載板440に積載されるシートのシート搬送方向先端が突き当てられることで、シート束Aのシート搬送方向を揃える。
【0044】
針有綴じユニット420は、綴じ処理の前においては基準位置となるホームポジションにて待機し、綴じ処理の段階になると、
図7に示すように、針有綴じユニット移動ガイドレール421に沿ってホームポジションから綴じ位置に移動する。
【0045】
そして、針有綴じユニット420は、複数の綴じ位置においてそれぞれ、シート束Aをシート面の上下から綴じ口で挟みながら、
図8、
図9に示すように、シート束Aに綴じ針Bを貫通させることでシート束Aを綴じる。
【0046】
その後、針有綴じユニット420は、綴じ処理を終えると、針有綴じユニット移動ガイドレール421に沿ってホームポジションに戻る。このとき、綴じ処理装置4は、針有綴じユニット検知センサ422により、針有綴じユニット420がホームポジションにて待機していることを検知し、若しくは針有綴じユニット420がホームポジションに戻ってきたことを検知する。尚、針有綴じユニット420は、シート搬送方向に直交する主走査方向に移動するだけでなく、シート搬送方向に沿う副走査方向に移動可能に構成されてもよい。
【0047】
針無綴じユニット430は、綴じ処理の前においては基準位置となるホームポジションにて待機し、綴じ処理の段階になると、
図10に示すように、針無綴じユニット移動ガイドレール431に沿ってホームポジションから綴じ位置に移動する。
【0048】
そして、針無綴じユニット430は、綴じ位置において、
図11(a)、(b)に示すように、上下に噛み合う凹凸形状を有する綴じ口でシート束Aを用紙面の上下から押圧することでシート束Aを綴じる。このようにして押圧されたシート束Aは、
図12、
図13に示すように、綴じ位置Cにおいて、シート間で繊維同士が絡み合うことで綴じられることになる。
【0049】
その後、針無綴じユニット430は、綴じ処理を終えると、針無綴じユニット移動ガイドレール431に沿ってホームポジションに戻る。このとき、綴じ処理装置4は、針無綴じユニット検知センサ432により、針無綴じユニット430がホームポジションにて待機していることを検知し、若しくは針無綴じユニット430がホームポジションに戻ってきたことを検知する。
【0050】
シート積載板440は、シート束Aを綴じ処理の対象となるシートが全て揃うまでシートを積載する。ジョガーフェンス450は、
図14、
図15に示すように、シート積載板440に積載されるシート束Aのシート幅方向両端においてそれぞれ互いに向き合う方向に移動しながらシート束Aのシート幅方向両端部に押し当たることで、シート束Aのシート幅方向端部を揃える。
【0051】
搬送ローラ470は、シート積載板440に搬送されてきたシートをさらにシート搬送方向下流側に搬送し、そのシートのシート搬送方向先端を後端揃えストッパ410に突き当てる。また、搬送ローラ470は、綴じ処理後のシート束Aを排出トレイ6bに排出する。
【0052】
そして、このように構成された綴じ処理装置4は、外部の情報処理装置等から印刷ジョブを受信すると、受信した画像情報に基づいて印刷出力を実行した後、印刷ジョブに含まれる綴じ処理の実行要求を受け付けて、針有綴じユニット420による針有綴じ処理若しくは針無綴じユニット430による針無綴じ処理を実行する。
【0053】
このとき、綴じ処理の実行要求において針有綴じ処理が指定された場合に、針有綴じユニット420が針を用いてシート束Aを綴じている途中で、綴じ処理装置4の内部の針用カートリッジ(図示せず)に予め収容された針が切れると、実行中の印刷ジョブや待機中の後続の印刷ジョブが処理を完了できずに滞留してしまう。
【0054】
そこで、本発明の第1実施形態に係る綴じ処理装置4は、針有綴じ処理に用いられる針の残存状態を取得する針残存状態取得部と、綴じ処理の実行要求において針有綴じ処理が指定された場合に、針残存状態取得部の取得結果に応じて、針有綴じユニット420による針有綴じ処理から針無綴じユニット430による針無綴じ処理に切替える制御を行う切替制御部とを備えている。
【0055】
また、本発明の第1実施形態に係る残存状態取得部は、例えば、針の有無を検出する針有無検出部から構成されている。この針を収容する針用カートリッジには、針が無くなった際に検知信号を出力する検知センサ(図示せず)が取り付けられており、信号入力制御部105が、当該検知センサから検知信号を入力することにより、針用カートリッジに針が無くなったかどうかを検出することができる。即ち、信号入力制御部105が残存状態取得部及び針有無検出部として機能する。
【0056】
次に、本発明の第1実施形態に係る切替制御部の具体的な構成、及び綴じ処理の実行要求において針有綴じ処理が指定されたときのコントローラ100の制御処理について、
図16を参照しながら詳細に説明する。
図16は、そのコントローラ100の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0057】
図16に示すように、まず、コントローラ100の主制御部101は、ユーザが画像形成装置2のディスプレイパネル110若しくは操作ボタン120を使用して選択された印刷モードを、操作表示制御部102を介して入力する(ステップ(以下、Sと記す)1601)。
【0058】
印刷モードとしては、例えば、印刷物であるシートの片面若しくは両面に印刷する「片面/両面」モード、1枚のシートに対して複数ページを縮小して印刷する「集約」モード、シート束Aを綴じる「スティプル」モード、及びシート束Aにパンチ穴を開ける「パンチ穴」モード等から選択することが可能である。
【0059】
また、印刷モードの「スティプル」モードには、綴じ処理の実行要求として、針有綴じユニット420による針有綴じ処理若しくは針無綴じユニット430による針無綴じ処理の指定を行うことが可能である。以下、ユーザが印刷モードの中から「スティプル」モードを選択し、さらに針有綴じユニット420による針有綴じ処理を指定したものとして説明する。
【0060】
次に、主制御部101は、入力した印刷モードや画像情報を含む印刷ジョブを生成し、この印刷ジョブを設定情報記憶部106に記憶すると共に、設定情報記憶部106に蓄積された印刷ジョブを順次読み込む。そして、主制御部101は、最初に読み込んだ印刷ジョブに従って、コントローラ100の各部に印刷命令を指示する(S1602)。尚、主制御部101は、印刷ジョブを直接生成する他、ユーザが外部の情報処理装置を使用して生成された印刷ジョブを、入出力制御部103を介して入力してもよい。
【0061】
次に、コントローラ100の信号入力制御部105は、針用カートリッジの検知センサからの検知信号を確認し、針切れが生じたかどうか、即ち、針用カートリッジに針が無くなったかどうかを検出する(S1603)。このとき、信号入力制御部105は、針がまだ残っていることを検出すると(S1603/NO)、その検出信号を主制御部101に入力する。
【0062】
そして、コントローラ100の駆動制御部107は、主制御部101の制御に従い、印刷ジョブに含まれる綴じ処理の実行要求において指定された針有綴じユニット420による針有綴じ処理を維持し、例えば、シート束Aを1部のみ綴じるように針有綴じユニット420を駆動して針有綴じ処理を実行する(S1604)。
【0063】
次に、主制御部101は、設定情報記憶部106に蓄積された全ての印刷ジョブの処理が完了したかどうかを判断する(S1605)。このとき、主制御部101は、全ての印刷ジョブの処理が完了していないと判断すると(S1605/NO)、S1603からの処理が繰り返される。S1605において、主制御部101は、全ての印刷ジョブの処理が完了したと判断すると(S1605/YES)、コントローラ100の制御処理を終了する。
【0064】
一方、S1603において、信号入力制御部105は、針が無くなったことを検出すると(S1603/YES)、その検出信号を主制御部101に入力する。そして、駆動制御部107は、主制御部101の制御に従い、針有綴じユニット420による針有綴じ処理から針無綴じユニット430による針無綴じ処理に切替える(S1606)。即ち、主制御部101及び駆動制御部107が切替制御部として機能する。
【0065】
その後、駆動制御部107は、主制御部101の制御に従い、全ての印刷ジョブに含まれる各綴じ処理の実行要求に対して、針無綴じユニット430を駆動して針無綴じ処理を実行し(S1607)、コントローラ100の制御処理を終了する。
【0066】
尚、S1603及びS1604の処理では、信号入力制御部105がシート束Aの1部のみに対して針の有無を検出し、針有綴じユニット420が、残っている針を用いてシート束Aを1部のみ綴じた場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではない。例えば、信号入力制御部105がシート束Aの複数部ごとに針の有無を検出し、針有綴じユニット420が、残っている針を用いてシート束Aを複数部ごとに綴じてもよい。
【0067】
以上、説明したように、本発明の第1実施形態に係る綴じ処理装置4によれば、印刷ジョブに含まれる綴じ処理の実行要求において針有綴じ処理が指定された場合に、針用カートリッジ内の針が無くなっても、駆動制御部107が、針無綴じユニット430による針無綴じ処理に切替えることにより、実行中の印刷ジョブの処理が途中で中断されることがなくなるので、実行中の印刷ジョブや待機中の後続の印刷ジョブが滞留するのを防止することができる。このように、本発明の第1実施形態に係る綴じ処理装置4は、針切れの状態が生じても綴じ処理を円滑に実行でき、綴じ処理の生産性を向上させることができる。
【0068】
また、本発明の第1実施形態に係る綴じ処理装置4は、針有綴じ処理に用いられる針の残存状態として、針の有無を検出するように構成されることにより、S1603の処理からS1604若しくはS1606の処理への移行を容易に行うことができるので、設定情報記憶部106に蓄積された全ての印刷ジョブの処理を迅速に完了することができる。
【0069】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る綴じ処理装置4は、上述した第1実施形態の構成に加え、針用カートリッジに針が無くなった際に、針有綴じ処理及び針無綴じ処理のうち実行させる綴じ処理を選択する選択部を備えている。この選択部は、例えば、ディスプレイパネル110から構成され、ユーザがディスプレイパネル110を使用して針有綴じ処理若しくは針無綴じ処理を選択することが可能である。
【0070】
尚、選択部は、ディスプレイパネル110の他、操作ボタン120から構成されてもよい。その他の第2実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じであり、同一又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0071】
以下、綴じ処理の実行要求において針有綴じ処理が指定されたときの本発明の第2実施形態に係るコントローラ100の制御処理について、
図17を参照しながら詳細に説明する。
図17は、そのコントローラ100の制御処理の流れを示すフローチャートである。尚、本発明の第2実施形態に係るコントローラ100の制御処理は、第1実施形態において説明した
図16に示すS1601〜S1607の処理と同様の処理を含むものであるため、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0072】
図17に示すS1603において、信号入力制御部105は、針が無くなったことを検出すると(S1603/YES)、その検出信号を主制御部101に入力する。次に、操作表示制御部102は、主制御部101の制御に従い、ユーザに対して綴じ処理を切替えるかどうかを確認する確認画面をディスプレイパネル110に表示する(S1701)。
【0073】
図18は、本発明の第2実施形態に係るディスプレイパネル110に表示される綴じ処理の切替の確認画面を示す図である。
図18に示すように、ディスプレイパネル110には、針が無くなったことを示すメッセージ、及び針有綴じ処理から針無綴じ処理への切替を確認するメッセージが表示される。
【0074】
また、ディスプレイパネル110には、ユーザが針を補充して針有綴じ処理を実行することを選択する選択ボタン110A、及びユーザが綴じ処理を切替えて針無綴じ処理を実行することを選択する選択ボタン110Bが、その機能の説明と共に表示される。したがって、ユーザは、ディスプレイパネル110の選択ボタン110A,110Bのいずれかに触れることにより、針有綴じ処理若しくは針無綴じ処理を選択することができる。
【0075】
次に、主制御部101は、操作表示制御部102から通知された情報を確認し、ユーザにより針無綴じ処理が選択されたかどうかを判断する(S1702)。このとき、主制御部101は、針無綴じ処理が選択されたと判断すると(S1702/YES)、S1606からの処理が行われる。
【0076】
一方、主制御部101は、針有綴じ処理が選択されたと判断すると(S1702/NO)、針用カートリッジに針が補充されるまで綴じ処理を中断する(S1703)。そして、操作表示制御部102は、主制御部101の制御に従い、ユーザに針の補充を促す画面をディスプレイパネル110に表示し、S1603からの処理が繰り返される。
【0077】
尚、S1701の処理では、針が無くなった際に、ユーザに対して綴じ処理を切替えるかどうかを確認した場合について説明したが、本発明はこの場合に限られず、針が無くなった際の綴じ処理の切替を、ユーザに対して事前に設定させるように構成してもよい。
【0078】
以上、説明したように、本発明の第2実施形態に係る綴じ処理装置4によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られる他、針用カートリッジ内の針が無くなった際に、ユーザがディスプレイパネル110を使用して針有綴じ処理若しくは針無綴じ処理を自由に選択できるので、ユーザの利便性を高めることができる。
【0079】
[第3実施形態]
本発明の第1実施形態に係る綴じ処理装置4においては、針有綴じ処理に用いられる針の残存状態を取得する針残存状態取得部が、針の有無を検出する針有無検出部から構成され、切替制御部が、印刷ジョブに含まれる綴じ処理の実行要求において針有綴じ処理が指定された場合に、針有無検出部によって針が無くなったことが検出されると、針有綴じユニット420による針有綴じ処理から針無綴じユニット430による針無綴じ処理に切替えた構成について説明した。
【0080】
これに対して、本発明の第3実施形態に係る綴じ処理装置4においては、針残存状態取得部が、針の残数Nを算出する針残数算出部から構成され、切替制御部が、針残数算出部によって算出された針の残数Nが綴じ処理の実行要求において指定された針有綴じ処理に必要な針数Naよりも少ない場合に、針有綴じユニット420による針有綴じ処理から針無綴じユニット430による針無綴じ処理に切替えるように構成されている。
【0081】
本発明の第3実施形態に係る針残数算出部の具体例として、綴じ処理装置4の内部の針用カートリッジには、針が予め設定された残数Nbになった際に検知信号を出力する検知センサ(図示せず)が取り付けられている。そして、信号入力制御部105が、当該検知センサから検知信号を主制御部101に入力すると、主制御部101は、例えば、設定情報記憶部106に記憶された情報を参照し、検知信号を入力した時点から処理が完了した印刷ジョブの実行に使用された針数を上記残数Nbから減算することにより、現在の針の残数Nを算出する。
【0082】
即ち、本発明の第3実施形態では、主制御部101が残存状態取得部及び針残数算出部として機能する。その他の第3実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じであり、同一又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0083】
次に、本発明の第3実施形態に係る切替制御部の具体的な構成、及び綴じ処理の実行要求において針有綴じ処理が指定されたときのコントローラ100の制御処理について、
図19を参照しながら詳細に説明する。
図19は、そのコントローラ100の制御処理の流れを示すフローチャートである。尚、本発明の第3実施形態に係るコントローラ100の制御処理は、第1実施形態において説明した
図16に示すS1601、S1602、S1604〜S1607の処理と同様の処理を含むものであるため、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0084】
図19に示すように、S1602の処理が行われると、主制御部101は、信号入力制御部105によって入力された検知信号、及び設定情報記憶部106に記憶された情報に基づいて、針用カートリッジ内の針の残数Nを算出する(S1901)。続いて、主制御部101は、S1901において算出した針の残数Nと、印刷ジョブに含まれる綴じ処理の実行要求において指定された針有綴じ処理に必要な針数Naとを比較し、針の残数Nが針有綴じ処理に必要な針数Na以上であるかどうかを判断する(S1902)。
【0085】
このとき、主制御部101は、針の残数Nが針有綴じ処理に必要な針数Na以上であると判断すると(S1902/YES)、S1604からの処理が行われる。一方、S1902において、主制御部101は、針の残数Nが針有綴じ処理に必要な針数Naよりも少ないと判断すると(S1902/NO)、S1606からの処理が行われる。したがって、本発明の第3実施形態においても、主制御部101及び駆動制御部107が切替制御部として機能する。
【0086】
尚、S1902の処理では、主制御部101は、針用カートリッジ内の針の残数Nと、針有綴じ処理に必要な針数Naとを、設定情報記憶部106に蓄積された印刷ジョブごとに比較した場合について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではない。例えば、主制御部101は、針用カートリッジ内の針の残数Nと、設定情報記憶部106に蓄積された全ての印刷ジョブにおける針有綴じ処理に必要な針数Naとを比較してもよい。このように構成されることで、S1605の処理を省くことができる。
【0087】
以上、説明したように、本発明の第3実施形態に係る綴じ処理装置4によれば、印刷ジョブに含まれる綴じ処理の実行要求に従って針有綴じ処理を実行する前に、針用カートリッジ内の針の残数Nと針有綴じ処理に必要な針数Naとを比較し、針の残数Nが針有綴じ処理に必要な針数Naよりも少なければ、駆動制御部107が、針無綴じユニット430による針無綴じ処理に切替えることにより、第1実施形態と同様に、実行中の印刷ジョブや待機中の後続の印刷ジョブが滞留するのを防止することができる。したがって、本発明の第3実施形態に係る綴じ処理装置4は、針切れの状態が生じても綴じ処理を円滑に実行でき、綴じ処理の生産性を向上させることができる。
【0088】
また、上述した第1実施形態と比較して、針用カートリッジ内の針が足りなくなった際に、設定情報記憶部106に蓄積された全ての印刷ジョブに含まれる綴じ処理の実行要求に対して、針無綴じ処理を実行することにより、印刷物の綴じ処理の形式を統一することができる。
【0089】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る綴じ処理装置4は、上述した第3実施形態の構成に加え、針の残数Nが綴じ処理の実行要求において指定された針有綴じ処理に必要な針数Naよりも少なくなった際に、針有綴じ処理、針無綴じ処理、及びこれらの針有綴じ処理と針無綴じ処理を混合して実行させる混合綴じ処理のいずれかを選択する選択部を備えている。
【0090】
この選択部は、例えば、ディスプレイパネル110から構成され、ユーザがディスプレイパネル110を使用して針有綴じ処理、針無綴じ処理、及び混合綴じ処理のいずれかを選択することが可能である。尚、選択部は、ディスプレイパネル110の他、操作ボタン120から構成されてもよい。その他の第4実施形態の構成は、第3実施形態の構成と同じであり、同一又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0091】
以下、綴じ処理の実行要求において針有綴じ処理が指定されたときの本発明の第4実施形態に係るコントローラ100の制御処理について、
図20を参照しながら詳細に説明する。
図20は、そのコントローラ100の制御処理の流れを示すフローチャートである。尚、本発明の第4実施形態に係るコントローラ100の制御処理は、第1、第3実施形態において説明した
図16に示すS1601、S1602、S1604〜S1607、S1901、S1902の処理と同様の処理を含むものであるため、第1、第3実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0092】
図20に示すS1902において、主制御部101は、針の残数Nが針有綴じ処理に必要な針数Naよりも少ないと判断すると(S1902/NO)、操作表示制御部102は、主制御部101の制御に従い、ユーザに対して実行させる綴じ処理の選択を確認する確認画面をディスプレイパネル110に表示する(S2001)。
【0093】
図21は、本発明の第4実施形態に係るディスプレイパネル110に表示される綴じ処理の選択の確認画面を示す図である。
図21に示すように、ディスプレイパネル110には、針が不足することを示すメッセージ、並びに針有綴じ処理、混合綴じ処理、及び針無綴じ処理のうち実行させる綴じ処理の選択を確認するメッセージが表示される。
【0094】
また、ディスプレイパネル110には、ユーザが針を補充して針有綴じ処理を実行することを選択する選択ボタン110A、ユーザが綴じ処理を切替えて針無綴じ処理を実行することを選択する選択ボタン110B、及び混合綴じ処理を実行することを選択する選択ボタン110Cが、その機能の説明と共に表示される。したがって、ユーザは、これらのディスプレイパネル110の選択ボタン110A〜110Cのいずれかに触れることにより、針有綴じ処理、針無綴じ処理、及び混合綴じ処理の中から1つを選択することができる。
【0095】
次に、主制御部101は、操作表示制御部102から通知された情報を確認し、ユーザにより針無綴じ処理が選択されたかどうかを判断する(S2002)。このとき、主制御部101は、針無綴じ処理が選択されたと判断すると(S2002/YES)、S1606からの処理が行われる。
【0096】
S2002において、主制御部101は、針無綴じ処理が選択されていないと判断すると(S2002/NO)、ユーザにより混合綴じ処理が選択されたかどうかを判断する(S2003)。このとき、主制御部101は、混合綴じ処理が選択されておらず、針有綴じ処理が選択されたと判断すると(S2003/NO)、針用カートリッジに針が補充されるまで綴じ処理を中断する。そして、操作表示制御部102は、主制御部101の制御に従い、ユーザに針の補充を促す画面をディスプレイパネル110に表示し、S1901からの処理が繰り返される。
【0097】
一方、主制御部101は、混合綴じ処理が選択されたと判断すると(S2003/YES)、駆動制御部107は、主制御部101の制御に従い、針有綴じユニット420による針有綴じ処理を実行させてから途中で針無綴じユニット430による針無綴じ処理に切替える。これ以降、駆動制御部107は、主制御部101の制御に従い、全ての印刷ジョブに含まれる各綴じ処理の実行要求に対して、針無綴じユニット430を駆動して針無綴じ処理を実行し(S2004)、コントローラ100の制御処理を終了する。
【0098】
尚、S1902の処理では、針の残数Nが針有綴じ処理に必要な針数Naよりも少なくなった際に、ユーザに対して実行させる綴じ処理の選択を確認した場合について説明したが、本発明はこの場合に限られず、針の残数Nが針有綴じ処理に必要な針数Naよりも少なくなった際の綴じ処理の選択を、ユーザに対して事前に設定させるように構成してもよい。また、綴じ処理の選択においては、混合綴じ処理を省くことにより、ユーザが針有綴じ処理及び針無綴じ処理のいずれかを選択するように構成してもよい。
【0099】
以上、説明したように、本発明の第4実施形態に係る綴じ処理装置4によれば、上述した第3実施形態と同様の作用効果が得られる他、針用カートリッジ内の針が針有綴じ処理に必要な針数Naと比べて不足した際に、ユーザがディスプレイパネル110を使用して針有綴じ処理、針無綴じ処理、及び混合綴じ処理のいずれかを自由に選択できるので、ユーザの利便性を高めることができる。
【0100】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に係る綴じ処理装置4は、上述した第1実施形態の構成に加え、針無綴じユニット430が一度に綴じることができるシート束Aの上限枚数(以下、綴じ可能枚数とする)Smaxを綴じ枚数Sが超えるか否かを判定する枚数判定部を備えている。一般に、針無綴じユニット430による針無綴じ処理においては、針有綴じユニット420による針有綴じ処理よりも綴じ可能枚数Smaxが少なくなる場合が多い。
【0101】
そこで、本発明の第5実施形態に係る綴じ処理装置4においては、このような場合、切替制御部が、針有綴じユニット420による針有綴じ処理から針無綴じユニット430による針無綴じ処理に切替えた際に、枚数判定部によって綴じ枚数Sが針無綴じユニット430の綴じ可能枚数Smaxを超えると判定された場合に、シート束Aを針無綴じユニット430の綴じ可能枚数Smax以下の複数のシート束Aに分割して針無綴じ処理を実行させるように構成されている。その他の第5実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じであり、同一又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0102】
次に、本発明の第5実施形態に係る枚数判定部及び切替制御部の具体的な構成、及び針有綴じ処理から針無綴じ処理に切替えられたときのコントローラ100の制御処理について、
図22を参照しながら詳細に説明する。
図22は、そのコントローラ100の制御処理の流れを示すフローチャートである。尚、本発明の第5実施形態に係るコントローラ100の制御処理は、第1実施形態において説明した
図16に示すS1601〜S1607の処理と同様の処理を含むものであるため、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
【0103】
図22に示すように、S1606の処理が行われると、主制御部101は、実行中の印刷ジョブを確認し、綴じ枚数Sが針無綴じユニット430の綴じ可能枚数Smaxを超えているかどうかを判定する(S2201)。即ち、主制御部101が枚数判定部として機能する。
【0104】
S2201において、主制御部101は、綴じ枚数Sが針無綴じユニット430の綴じ可能枚数Smaxを超えていないと判定すると(S2201/NO)、S1607からの処理が行われる。
【0105】
一方、S2201において、主制御部101は、綴じ枚数Sが針無綴じユニット430の綴じ可能枚数Smaxを超えていると判定すると(S2201/YES)、駆動制御部107は、主制御部101の制御に従い、シート束Aを針無綴じユニット430の綴じ可能枚数Smax以下の複数のシート束Aに分割した後、針無綴じユニット430を駆動して針無綴じ処理を実行し(S2202)、コントローラ100の制御処理を終了する。
【0106】
以上、説明したように、本発明の第5実施形態に係る綴じ処理装置4によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られる他、針有綴じユニット420による針有綴じ処理から針無綴じユニット430による針無綴じ処理に切替えた際に、綴じ枚数Sが針無綴じユニット430の綴じ可能枚数Smaxを超えている場合でも、綴じ処理の実行要求に従って印刷物を確実に綴じることができる。これにより、綴じ処理装置4に対して優れた信頼性を得ることができる。
【0107】
[第6実施形態]
本発明の第1実施形態に係る綴じ処理装置4においては、
図7、
図10に示すように、針有綴じユニット420及び針無綴じユニット430を案内する針有綴じユニット移動ガイドレール421及び針無綴じユニット移動ガイドレール431をシート搬送方向に直交する方向にそれぞれ配置し、針有綴じユニット420及び針無綴じユニット430が、これらの針有綴じユニット移動ガイドレール421及び針無綴じユニット移動ガイドレール431に沿って主走査方向に移動するように構成された場合について説明した。
【0108】
これに対して、本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4においては、針有綴じユニット420の構成は第1実施形態と同様であるが、針無綴じユニット移動ガイドレール431をシート搬送方向に平行な方向に配置し、針無綴じユニット430が、針無綴じユニット移動ガイドレール431に沿って副走査方向に移動するように構成されている。その他の第6実施形態の構成は、下記の内容を除いて第1実施形態の構成と同じであり、同一又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0109】
次に、本発明の第6実施形態の内容を分かり易く説明するために、まず、本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4の基本構成について、従来技術と比較しながら詳細に説明する。
図23は、本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4の比較例として挙げた従来技術の針有綴じユニット420及び針無綴じユニット430がホームポジションに位置する状態を示す図である。
図24は、本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4の針有綴じユニット420及び針無綴じユニット430がホームポジションに位置する状態を示す図である。尚、以下では、針無綴じユニット検知センサ432及びシート積載板440の図示を省略している。
【0110】
図23に示す従来技術では、針無綴じユニット430は、針有綴じユニット420によって針有綴じ処理が行われる際に、シート積載板440上に配置されて後端揃えストッパ410及びジョガーフェンス450で整合されるシート束Aの設置範囲(針有綴じ処理におけるシート束Aの整合範囲)の外側、かつ、針有綴じユニット420の移動範囲の外側に固定されている。そのため、針無綴じユニット430のホームポジションは、針無綴じユニット430が針有綴じユニット420と干渉しない位置に予め設定される。
【0111】
図24に示す本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4では、針無綴じユニット移動ガイドレール431は、シート積載板440に積載されるシート束Aのシート幅方向両端の側方に配置され、シート搬送方向に対して平行に設置されている。また、針無綴じユニット430のホームポジションは、針無綴じユニット430がシート束Aの角部を綴じることができるように、針有綴じユニット移動ガイドレール421の延長線上の位置に予め設定される。
【0112】
さらに、針無綴じユニット430のホームポジションは、従来技術に比べて、ジョガーフェンス450がシート束Aを整合した後にシート束Aを主走査方向に動かすのみで、針無綴じユニット430がシート束Aを綴じることができるように、主走査方向及び副走査方向において針有綴じユニット420側に近接した位置に予め設定される。
【0113】
本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4は、このように構成されることで、針有綴じユニット420の移動範囲と針無綴じユニット430のホームポジションとの余分なスペースを省くことができるので、綴じ処理装置4の内部の省スペース化を実現することができる。
【0114】
図25は、本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4の比較例として挙げた従来技術において針有綴じ処理中の針有綴じユニット420、針無綴じユニット430、及びジョガーフェンス450の動作を示す図、
図26は、本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4において針有綴じ処理中の針有綴じユニット420、針無綴じユニット430、及びジョガーフェンス450の動作を示す図である。
【0115】
図25、
図26に示すように、針有綴じ処理が開始されると、針有綴じユニット420は、針有綴じユニット移動ガイドレール421に沿ってホームポジションから主走査方向の針無綴じユニット430側へ移動する。このとき、
図25に示す従来技術においては、針無綴じユニット430は、針有綴じユニット420の移動範囲の外側の位置に固定されているので、針有綴じユニット420が、針無綴じユニット430に最近接する針有綴じユニット移動ガイドレール421の端部に到達しても、針無綴じユニット430と干渉することはないが、針有綴じユニット420と針無綴じユニット430が離れている分、装置全体が大きくなる。
【0116】
一方、
図26に示す本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4においては、針有綴じユニット420が、針無綴じユニット430に最近接する針有綴じユニット移動ガイドレール421の端部に到達すると、針無綴じユニット430を針無綴じユニット移動ガイドレール431に沿ってホームポジションから退避させるように構成しているため、針有綴じユニット420と針無綴じユニット430との干渉を防止できると共に、綴じ処理装置4の内部の省スペース化も実現できるので、装置全体の小型化に寄与することができる。
【0117】
図27は、本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4の比較例として挙げた従来技術において針無綴じ処理中の針有綴じユニット420、針無綴じユニット430、及びジョガーフェンス450の動作を示す図である。
図28は、本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4において針無綴じ処理中の針有綴じユニット420、針無綴じユニット430、及びジョガーフェンス450の動作を示す図である。
【0118】
図27に示すように、従来技術においては、針無綴じ処理が開始されると、針無綴じユニット430が固定されてホームポジションから動かないので、ジョガーフェンス450を駆動することにより、シート束Aを主走査方向及び副走査方向へ動かしてシート束Aの綴じ位置が針無綴じユニット430の上下の綴じ口間に移動する。
【0119】
これに対し、
図28に示すように、本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4においては、針無綴じユニット430がホームポジションに位置した状態で、ジョガーフェンス450によってシート束Aを主走査方向へ動かすだけでよい。しかも、針無綴じユニット430が、主走査方向及び副走査方向において針有綴じユニット420側に近接しているため、ジョガーフェンス450がシート束Aを移動させる距離を短くすることができる。これにより、本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4は、従来よりも針無綴じ処理を迅速に行うことが可能となり、綴じ処理の生産性を向上させることができる。
【0120】
本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4は、このような基本構成において、さらに針有綴じユニット420が主走査方向において針無綴じユニット430側へ移動したときに、針有綴じユニット420と針無綴じユニット430が接触しないように、針無綴じユニット430をホームポジションから退避させる針無綴じユニット退避装置を備えている。
【0121】
以下、本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4の具体的な構成について、
図29〜
図31に示す例を順に挙げながら詳細に説明する。
図29は、カム機構を用いた針無綴じユニット退避装置600の一例を示す図であり、(a)図は針有綴じユニット420がホームポジションに位置する状態を示す図、(b)図は針有綴じユニット420がホームポジションから移動した状態を示す図である。
【0122】
図29(a)、(b)に示すように、本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4は、針有綴じユニット420を針有綴じユニット移動ガイドレール421上で移動させるための駆動装置500を備えており、この駆動装置500は、例えば、駆動源としての駆動モータ501と、針有綴じユニット移動ガイドレール421のうち針無綴じユニット430のホームポジション側の端部の近傍に設けられ、駆動モータ501の駆動力によって回転する駆動ローラ502とを含んでいる。
【0123】
また、駆動装置500は、針有綴じユニット移動ガイドレール421のうち針有綴じユニット420のホームポジション側の端部の近傍に設けられ、駆動ローラ502に従動する従動ローラ(図示せず)と、これらの駆動ローラ502及び従動ローラに巻き掛けられ、駆動ローラ502及び従動ローラに摺接する無端状の移動ベルト503とを含んでいる。
【0124】
このように構成された駆動装置500では、針有綴じユニット420が移動ベルト503に係合しており、駆動モータ501の駆動力によって駆動ローラ502が回転することにより、移動ベルト503は、従動ローラにより張設された状態で駆動ローラ502との間の摩擦力を受けて回動する。これにより、移動ベルト503の回動に伴って、針有綴じユニット420が針有綴じユニット移動ガイドレール421に沿って移動することができる。尚、駆動モータ501の出力軸にはスプラインが形成されている。
【0125】
針無綴じユニット退避装置600は、外周側にスプラインが形成され、駆動モータ501の出力軸のスプラインと噛合うことで駆動モータ501の出力軸の周りを移動する円盤状の移動カム601と、一端が針無綴じユニット430に取付けられると共に、他端が固定され、針無綴じユニット移動ガイドレール431に沿って配置された移動バネ602とから構成されている。
【0126】
このように構成された針無綴じユニット退避装置600では、
図29(a)に示すように、針有綴じ処理において針有綴じユニット420がホームポジションに位置するとき、移動バネ602に荷重がかかっていない状態で、移動カム601と移動バネ602が離隔されている。
【0127】
そして、
図29(b)に示すように、駆動モータ501の出力軸が正転して針有綴じユニット420が針無綴じユニット430側へ近づくと、駆動モータ501の出力軸の回転に伴い、移動カム601が駆動モータ501の出力軸を中心として反時計周りに公転する。これにより、移動カム601が針無綴じユニット430を押圧しながら移動バネ602を圧縮することにより、針無綴じユニット430を針無綴じユニット移動ガイドレール431に沿ってホームポジションから副走査方向のシート排出側へ退避させることができる。
【0128】
一方、
図29(b)に示すように、駆動モータ501の出力軸が逆転して針有綴じユニット420が針無綴じユニット430側から離れると、駆動モータ501の出力軸の回転に伴い、移動カム601が駆動モータ501の出力軸を中心として時計周りに公転する。これにより、移動バネ602が移動カム601から解放されて圧縮されなくなるので、移動バネ602の復元力によって針無綴じユニット430を針無綴じユニット移動ガイドレール431に沿ってホームポジションへ戻すことができる。このように、針無綴じユニット退避装置600は、新たな駆動源を追加することなく、針無綴じユニット430を針無綴じユニット移動ガイドレール431に沿って円滑に移動させることができる。
【0129】
図30は、リンク機構を用いた針無綴じユニット退避装置610の一例を示す図であり、(a)図は針有綴じユニット420がホームポジションに位置する状態を示す図、(b)図は針有綴じユニット420がホームポジションから移動した状態を示す図である。
図30(a)、(b)に示す針無綴じユニット退避装置610は、針有綴じユニット移動ガイドレール421のうち針無綴じユニット430側の端部の近傍に配置され、主走査方向において移動可能に設けられた移動体611と、一端が針無綴じユニット430に取付けられ、針無綴じユニット移動ガイドレール431と平行に配置された移動バネ612と、移動体611と移動バネ612の両端とを連結する伸縮可能な一対のリンク613A,613Bとから構成されている。
【0130】
このように構成された針無綴じユニット退避装置610では、
図30(a)に示すように、針有綴じ処理において針有綴じユニット420がホームポジションに位置するとき、移動バネ612に荷重がかかっていない状態で、移動体611が針有綴じユニット420から離れている。
【0131】
そして、
図30(b)に示すように、駆動モータ501の出力軸が正転して針有綴じユニット420が針無綴じユニット430側へ近づくと、針有綴じユニット420が移動体611に接触し、移動体611が移動バネ612の中央側へ向かって押し出される。これにより、たたまれたリンク613A,613Bが移動バネ612を引き伸ばしながら伸長することにより、針無綴じユニット430を針無綴じユニット移動ガイドレール431に沿ってホームポジションから副走査方向のシート排出側へ退避させることができる。
【0132】
一方、駆動モータ501の出力軸が逆転して針有綴じユニット420が針無綴じユニット430側から離れると、移動体611がリンク613A,613Bを伸長させる力がなくなって押し戻されるので、移動バネ612がリンク613A,613Bと共に収縮し、移動バネ612の復元力によって針無綴じユニット430を針無綴じユニット移動ガイドレール431に沿ってホームポジションへ戻すことができる。このように、針無綴じユニット退避装置610は、新たな駆動源を追加することなく、針無綴じユニット430を針無綴じユニット移動ガイドレール431に沿って円滑に移動させることができる。
【0133】
図31は、モータ制御機構を用いた針無綴じユニット退避装置620の一例を示す図であり、(a)図は針有綴じユニットがホームポジションに位置する状態を示す図、(b)図は針有綴じユニットがホームポジションから移動した状態を示す図である。
図31(a)、(b)に示す針無綴じユニット退避装置620は、駆動源としての駆動モータ621と、針無綴じユニット移動ガイドレール431のうち搬送ローラ470側の端部の近傍に設けられ、駆動モータ621の駆動力によって回転する駆動ローラ622と、針無綴じユニット移動ガイドレール431のうち針無綴じユニット430のホームポジション側の端部の近傍に設けられ、駆動ローラ622に従動する従動ローラ(図示せず)とを含んでいる。
【0134】
また、針無綴じユニット退避装置620は、これらの駆動ローラ622及び従動ローラに巻き掛けられ、駆動ローラ622及び従動ローラに摺接する無端状の移動ベルト623と、針無綴じユニット430のホームポジションの近傍に設けられ、針有綴じユニット420が針無綴じユニット430に接近したことを検知する検知センサ624とを含んでいる。
【0135】
このように構成された針無綴じユニット退避装置620では、針無綴じユニット430が移動ベルト623に係合しており、
図31(b)に示すように、検知センサ624によって針有綴じユニット420が針無綴じユニット430に接近したことが検知された際に、駆動モータ621が動作して駆動ローラ622が回転することにより、移動ベルト623は、従動ローラにより張設された状態で駆動ローラ622との間の摩擦力を受けて回動する。これにより、移動ベルト623の回動に伴って、針無綴じユニット430を針無綴じユニット移動ガイドレール431に沿ってホームポジションから副走査方向のシート排出側へ退避させることができる。
【0136】
以上、説明したように、本発明の第6実施形態に係る綴じ処理装置4によれば、針有綴じユニット420が、針無綴じユニット430に最近接する針有綴じユニット移動ガイドレール421の端部に到達すると、針無綴じユニット430を針無綴じユニット移動ガイドレール431に沿ってホームポジションから退避させることにより、針有綴じユニット420と針無綴じユニット430との干渉を防止できると共に、綴じ処理装置4の内部の省スペース化も実現できるので、装置全体の小型化に寄与することができる。
【0137】
そして、針無綴じユニット430が針無綴じ処理を実行する際に、ホームポジションに位置したまま、ジョガーフェンス450によってシート束Aを主走査方向へ動かすだけ済むので、針無綴じ処理を短時間で終えることが可能となり、綴じ処理の生産性を向上させることができる。