特許第6623921号(P6623921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623921
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】粘度測定装置および粘度測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 11/14 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   G01N11/14 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-89580(P2016-89580)
(22)【出願日】2016年4月27日
(65)【公開番号】特開2017-198543(P2017-198543A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2018年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】槙 孝一郎
(72)【発明者】
【氏名】土岡 和彦
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−011075(JP,A)
【文献】 特開昭60−027841(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01712890(EP,A1)
【文献】 特開昭61−240141(JP,A)
【文献】 実開平04−007351(JP,U)
【文献】 米国特許第05604300(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第102735588(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0157876(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0061451(US,A1)
【文献】 特開平11−211648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体粒子を含む被測定液体の回転抵抗トルクを検出するトルク検出手段が備えられている粘度測定装置であって、
前記トルク検出手段からの信号を受ける制御手段と、
該制御手段に入力信号を送信する操作手段と、を含んで構成されており、
前記操作手段には、前記トルク検出手段により検出される回転抵抗トルクの時間による二回微分の閾値の数値入力部が設けられ、
前記制御手段は、
前記回転抵抗トルクを検出するために、前記固体粒子を前記被測定液体内で均質に分散させる第1回転速度で分散工程を実施した後、
前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度でトルク検出工程を実施し、
前記トルク検出手段により検出された逐次回転抵抗トルクと、前記数値入力部に入力された閾値と、を用い、
さらに、制御手段は、前記数値入力部に入力された前記閾値を、
前記回転抵抗トルクの時間による二回微分の最大値、および最小値とし、
前記最小値となる時間での第1逐次回転抵抗トルクと、前記最大値となる時間での第2逐次回転抵抗トルクと、から導かれる時間と逐次回転抵抗トルクとの一次関数を用い、
第1回転速度が終わった時間を前記一次関数に代入することで求められた回転抵抗トルクから前記被測定液体の実質粘度を算出する、
ことを特徴とする粘度測定装置。
【請求項2】
前記被測定液体を貯える容器の一部または全部が、
透明な材質である、
ことを特徴とする請求項記載の粘度測定装置。
【請求項3】
前記粘度測定装置には、撮像手段が設けられている、
ことを特徴とする請求項記載の粘度測定装置。
【請求項4】
前記粘度測定装置には、
前記被測定液体を貯える容器と、
前記被測定液体に浸漬される撹拌翼を備えている回転軸と、が備えられており、
該回転軸には、前記トルク検出手段が備えられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の粘度測定装置。
【請求項5】
固体粒子を含む被測定液体に浸漬させられている撹拌翼を、第1回転速度で回転させることで、前記固体粒子を均質に分散させる分散工程と、
前記撹拌翼を、前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度で回転させ、逐次回転抵抗トルクを検出するトルク検出工程と、
あらかじめ与えられている、前記回転抵抗トルクの時間による二回微分の閾値と、検出された前記逐次回転抵抗トルクと、を用い
さらに、あらかじめ与えられている前記閾値を、
前記回転抵抗トルクの時間による二回微分の最大値、および最小値とし、
前記制御手段は、前記最小値となる時間での第1逐次回転抵抗トルクと、前記最大値となる時間での第2逐次回転抵抗トルクと、から導かれる時間と逐次回転抵抗トルクとの一次関数を用い、
第1回転速度が終わった時間を前記一次関数に代入することで求められた回転抵抗トルクから、被測定液体の実質粘度を算出する実質粘度算出工程と、
を含む、
ことを特徴とする粘度算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度測定装置および粘度算出方法に関する。さらに詳しくは、回転抵抗トルクから被測定液体の粘度を算出する粘度測定装置および粘度算出方法関する。
【背景技術】
【0002】
液体と固体の混合物であるスラリーを撹拌、混合する装置として、特許文献1や特許文献2のスラリー撹拌装置が開示されている。このような装置を設計する際には、処理対象となるスラリー(液体に、この液体と異なる密度の固体粒子を混合させたもの)の粘度を高精度に把握することが求められる。
【0003】
このスラリー撹拌装置はスラリーを収容する撹拌槽と、撹拌槽の収容空間に配置されていて、鉛直な軸線周りに回転する回転軸と、回転軸を駆動する駆動部と、回転軸に設けられ、スラリーを撹拌する撹拌翼から構成されている。スラリーを撹拌する際に撹拌翼に掛かる負荷は、スラリーの粘度に影響を受けるため、撹拌翼を運転させるために必要な動力を見積もるためには、スラリーの粘度を精度よく把握する必要がある。特に装置が大型化する場合、粘度の把握が不十分であると不必要に動力系統の容量を大きくせざるを得なくなったり、逆に動力が不足することになったりし、大きな問題を引き起こすことになる。
【0004】
スラリーは、せん断速度がせん断応力に正比例しない非ニュートン流体の1つであるため、その粘度は、せん断応力とせん断速度との関係を示す流動曲線により表されるのが一般的である。この流動曲線を示すグラフは、横軸をせん断速度、縦軸をせん断応力として表されるものであり、流動曲線は、一のせん断速度に対応する、一のせん断応力がプロットされることにより描かれる。そしてスラリーの粘度は、液体の中に固体粒子が均質に分散されている状態(本明細書ではこの状態の粘度を「実質粘度」と称する)における流動曲線として示され、この流動曲線で表される実質粘度が、シックナーなどの装置設計段階で用いられる。
【0005】
従来、スラリーの粘度の測定は、以下のような方法で行われていた。第1の方法は、容器に貯えられた被測定液体であるスラリーに、所定のせん断速度を発生させ、内部の固体粒子が均質に撹拌されている状態で、別途粘性測定具を容器に浸漬させて測定する方法である。しかし、この方法で得られる粘度は、固体粒子を均質に分散させた状態を維持するために、比較的大きなせん断速度を必要とするものであり、シックナーなどの設計で必要とされる、比較的低いせん断速度における粘度の計測には不向きという問題がある。
【0006】
第2の方法は、特許文献3に開示されている粘度測定装置を用いて測定する方法である。すなわち、撹拌翼を有する軸にトルクセンサを備え、通常の撹拌時には高速回転で撹拌を行い、撹拌される流体の粘度を測定する時には回転数を低くして回転駆動トルクを測定する方法である。この粘度測定装置を使用する場合は、内部の固体粒子が均質に撹拌された後、せん断速度を下降させながら、撹拌翼の回転軸に作用する被測定液体の回転抵抗トルクを逐次検出し、その逐次検出された回転抵抗トルクの値から、そのせん断速度に対応するせん断応力を算出し、流動曲線を描く。しかし、計測時間の経過とともに、スラリーの固体粒子が沈降あるいは浮上して、固体粒子の分散状態が変化してしまう。スラリーの粘度は、固体粒子の分散状態により大きく変動するため、得られる流動曲線、およびそこから求められる粘度の精度を上げることが困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−19317号公報
【特許文献2】特開2014−14447号公報
【特許文献3】特開昭60−27841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、スラリーの、比較的せん断速度が小さい状態での粘度を高精度に得ることができる粘度測定装置、および粘度算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の粘度測定装置は、固体粒子を含む被測定液体の回転抵抗トルクを検出するトルク検出手段が備えられている粘度測定装置であって、前記トルク検出手段からの信号を受ける制御手段と、該制御手段に入力信号を送信する操作手段と、を含んで構成されており、前記操作手段には、前記トルク検出手段により検出される回転抵抗トルクの時間による二回微分の閾値の数値入力部が設けられ、前記制御手段は、前記回転抵抗トルクを検出するために、前記固体粒子を前記被測定液体内で均質に分散させる第1回転速度で分散工程を実施した後、前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度でトルク検出工程を実施し、前記トルク検出手段により検出された逐次回転抵抗トルクと、前記数値入力部に入力された閾値と、を用い、さらに、制御手段は、前記数値入力部に入力された前記閾値を、前記回転抵抗トルクの時間による二回微分の最大値、および最小値とし、前記最小値となる時間での第1逐次回転抵抗トルクと、前記最大値となる時間での第2逐次回転抵抗トルクと、から導かれる時間と逐次回転抵抗トルクとの一次関数を用い、第1回転速度が終わった時間を前記一次関数に代入することで求められた回転抵抗トルクから被測定液体の実質粘度を算出することを特徴とする。
発明の粘度測定装置は、第1発明において、前記被測定液体を貯える容器の一部または全部が、透明な材質であることを特徴とする。
発明の粘度測定装置は、第発明において、前記粘度測定装置には、撮像手段が設けられていることを特徴とする。
発明の粘度測定装置は、第1発明から第発明において、前記粘度測定装置には、前記被測定液体を貯える容器と、前記被測定液体に浸漬される撹拌翼を備えている回転軸と、が備えられており、該回転軸には、前記トルク検出手段が備えられていることを特徴とする。
発明の粘度算出方法は、固体粒子を含む被測定液体に浸漬させられている撹拌翼を、第1回転速度で回転させることで、前記固体粒子を均質に分散させる分散工程と、前記撹拌翼を、前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度で回転させ、逐次回転抵抗トルクを検出するトルク検出工程と、あらかじめ与えられている、前記回転抵抗トルクの時間による二回微分の閾値と、検出された前記逐次回転抵抗トルクと、を用い、さらに、あらかじめ与えられている前記閾値を、前記回転抵抗トルクの時間による二回微分の最大値、および最小値とし、前記制御手段は、前記最小値となる時間での第1逐次回転抵抗トルクと、前記最大値となる時間での第2逐次回転抵抗トルクと、から導かれる時間と逐次回転抵抗トルクとの一次関数を用い、第1回転速度が終わった時間を前記一次関数に代入することで求められた回転抵抗トルクから、被測定液体の実質粘度を算出する実質粘度算出工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、粘度測定装置に設けられている操作手段には、トルク検出手段により検出される回転抵抗トルクの時間による二回微分の閾値の数値入力部が設けられ、制御手段は、検出された逐次回転抵抗トルクと、数値入力部に入力された閾値と、を用いて被測定液体の実質粘度を算出することにより、混合されている固体粒子が沈降するようなスラリーなどの液体であっても、比較的小さなせん断速度に対応する実質粘度を、高精度に求めることができる。
また、閾値は、回転抵抗トルクの時間による二回微分の最大値、および最小値であり、制御手段は、最小値となる時間での第1逐次回転抵抗トルクと、最大値となる時間での第2逐次回転抵抗トルクと、から導かれる時間と逐次回転抵抗トルクとの関数を用いて、被測定液体の、一のせん断速度における一の実質粘度を算出することにより、粘度測定装置の操作者が、2つの閾値を入力するだけで、粘度測定装置が実質粘度を高精度に求めることができる。
発明によれば、被測定液体を貯える容器の一部または全部が、透明な材質であることにより、操作者がスラリーに混合されている固体粒子が均質に分散されているのを目視で容易に確認できる。
発明によれば、粘度測定装置には、撮像手段が設けられていることにより、固体粒子が均質に分散しているか否かを画像処理により確認できる。
発明によれば、粘度測定装置には、被測定液体を貯える容器と、被測定液体に浸漬される撹拌翼を備えている回転軸と、が備えられており、回転軸には、トルク検出手段が備えられていることにより、容器を回転させたり、容器にトルク検出手段を備えたりした構成と比較して、粘度測定装置全体をシンプルな構成にできる。
発明によれば、粘度算出方法が、撹拌翼を第1回転速度で回転させることで、固体粒子を均質に分散させる分散工程と、撹拌翼を第2回転速度で回転させ、逐次回転抵抗トルクを検出するトルク検出工程と、あらかじめ与えられている、回転抵抗トルクの時間による二回微分の閾値と、逐次回転抵抗トルクと、を用いて被測定液体の実質粘度を算出する実質粘度算出工程と、を、含むことにより、固体粒子が沈降するようなスラリーなどの液体であっても、比較的小さなせん断速度に対応する実質粘度を、高精度に求めることができる。
また、閾値は、回転抵抗トルクの時間による二回微分の最大値、および最小値であり、最小値となる時間での第1逐次回転抵抗トルクと、最大値となる時間での第2逐次回転抵抗トルクと、から導かれる時間と逐次回転抵抗トルクとの関数を用いて、被測定液体の実質粘度が算出されることにより、粘度測定装置の操作者が、2つの閾値を入力するだけで、実質粘度を高精度に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る粘度測定装置の操作手段に表示された画面の説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る粘度測定装置の構成模式図である。
図3図2の粘度測定装置を用いた粘度算出方法のフロー図である。
図4図2の粘度測定装置での回転抵抗トルクの測定結果の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<粘度測定装置の構成>
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図2には、本発明の実施形態に係る粘度測定装置10の構成模式図を示す。本発明の実施形態に係る粘度測定装置10は、被測定液体を貯える容器11と、この被測定液体に浸漬される撹拌翼12を備えている回転軸13と、この回転軸13に備えられている被測定液体の回転抵抗トルクを検出するトルク検出手段14と、を有する。
【0013】
被測定液体は、液体に、この液体と異なる密度の固体粒子を混ぜたスラリーと呼ばれる液体が該当し、撹拌翼12を数百rpmで回転させることにより、固体粒子が液体全体に均質に分散する。
【0014】
容器11は、被測定液体を貯えることができる、底面がある有蓋円筒構造であり、材質は、ステンレスなど被測定液体の性質により様々なものが選択される。ただし、本実施形態では、被測定液体に混ぜられている固体粒子が分散している状態を目視で確認できるように、容器11の一部は、透明な材質、すなわちアクリルで構成されている。なお、透明な材質としては、ガラスなどを採用することも可能である。
【0015】
撹拌翼12は、被測定液体に浸漬されており、回転軸13の軸心を中心に回転する。撹拌翼12を構成する翼は、回転軸13の周りに4枚等分に配置されており、またそれぞれの翼は、回転軸心に対して同じ角度を持つように、斜めに取り付けられている。撹拌翼12を構成する翼が同じ角度を持つように取り付けられ、回転軸13を中心に回転することで、撹拌翼12の部分で上方向、または下方向の流れが生じ、被測定液体の固体粒子が均質に分散される。本実施形態では、撹拌翼12は回転軸13上に1つのみ設けられる構成であったが、特にこの形状に限定されるものではなく、撹拌翼12を回転軸13に複数設けても問題ないし、撹拌翼12の翼を増やしても問題ない。また材質は、ステンレスであるが、被測定液体に対する耐食性を有するものであれば特に限定されない。なおこの撹拌翼12の回転数に、被測定液体のせん断速度は依存することとなるため、撹拌翼12の回転数からせん断速度を算出するためのパラメータは事前に確定されている必要がある。
【0016】
撹拌翼12が取り付けられている回転軸13は、長手方向(図2の上下方向)の軸心を中心に回転し、撹拌翼12を回転させる。回転軸13の材質は、被測定液体に対する耐食性等を考慮し、ステンレスである。
【0017】
回転軸13は、容器11の上方に設けられている駆動手段により回転する。駆動手段は、モータ15とアンプ16により構成されている。本実施形態ではモータ15はサーボモータ単体であるが、被測定液体の粘度を考慮して、減速機を備えることも可能である。また、駆動手段は、誘導モータとインバータとの組み合わせ、ステッピングモータとアンプとの組み合わせであっても問題ないが、制御手段により、回転数やトルクを制御できる構成である必要がある。
【0018】
回転軸13には、トルク検出手段14が設けられている。このトルク検出手段14により、被測定液体の回転抵抗トルクを測定する。ここで回転抵抗トルクとは、ある一定の回転数で回転させたときに回転軸13に生じるトルクを言い、この回転抵抗トルクから被測定液体のせん断応力が算出される。なおせん断応力の算出方法は、容器11の寸法や、撹拌翼12の寸法や形状など、装置が持つ固有のパラメータに左右され、事前にこれらのパラメータが確定されている必要がある。本実施形態のトルク検出手段14は、ひずみゲージを含んで構成されており、撹拌翼12が被測定液体内を回転することで回転軸13に生じるねじりを検出することで、トルクの値に換算している。なおトルク検出手段14の構成はこの構成に限定されるものではなく、例えば、モータ15に供給される電力から求めることも可能である。
【0019】
本実施形態に係る粘度測定装置10は、制御手段を備えている。具体的に制御手段は、ノート型PC17であり、このノート型PC17は、駆動手段を構成するアンプ16や、トルク検出手段14に電気的に接続されている。そして、このノート型PC17は、指令信号により、アンプ16を介してモータ15を駆動したり、トルク検出手段14で検出されたトルクの値が変換された信号を受けたりする。
【0020】
また、このノート型PC17は、本実施形態に係る粘度測定装置10の操作手段を兼ねている。ノート型PC17のモニターに表示された画面から粘度測定装置10の運転等に必要なパラメータを入力することができる。例えば、図1には、粘度測定装置10のパラメータを入力するための操作画面21の1つの説明図であるが、画面上に設けられている数値入力部22に、粘度測定装置10の操作者が数値を入力することで、粘度測定装置10を操作者が操作できる。
【0021】
実施形態として、制御手段と操作手段とが一体となったノート型PC17を使用した構成について説明したが、本発明の構成はこの実施形態に限定されない。例えば、操作手段として、制御手段とは別にタッチパネルを設けることも可能である。
【0022】
本実施形態に係る粘度測定装置10には、撮像手段18が設けられている。この撮像手段18は、動画を撮影できる公知のものであり、容器11が透明な材質で構成されている場合、被測定液体の状態を撮影して、固体粒子が液体の中に均質に分散していることを確認することができる。撮像手段18は、粘度測定装置10の制御手段に電気的に接続することも可能である。この場合撮像手段18からの画像信号を基に、液体の中の固体粒子の運動状態を把握して、所定の状態にあるときを、固体粒子が液体の中で均質に分散しているとすると制御手段が判断することも可能である。
【0023】
<粘度測定装置を用いた実質粘度算出方法>
本実施形態に係る粘度測定装置10を用いて、スラリーの実質粘度を算出する方法について説明する。スラリーは、非ニュートン流体であるため、せん断応力がせん断速度に正比例せず、せん断速度とせん断応力の関係は、非線形の流動曲線により表される。スラリーは、液体と固体粒子の密度が異なる場合が多いので、比較的せん断速度が小さい場合には、時間とともに固体粒子が沈降または浮遊する。これにより、計測時間の経過とともに、粘度測定装置10の撹拌翼12の周りに存在するスラリーの固体粒子の濃度が、均質濃度からずれてしまうため、回転軸13では、均質状態とは異なる濃度のスラリーのトルクを検出することになり、計測誤差となる。このようなことから、シックナー等の装置で用いる実質粘度を精度よく測定するためには、スラリー内の固体粒子を均質に分散させた後、求めようとしている一のせん断速度を生じるように、一定の回転数で撹拌翼を回転させ、その後の検出された逐次回転抵抗トルクの値を用い、さらに粘度測定装置10の操作者により指定された閾値の値を用いて一の実質粘度を算出する。なお、本明細書では、トルク検出手段14により所定のサンプリング周期で検出されたトルクを逐次回転抵抗トルクと称する。
【0024】
図3は、本発明の実施形態に係る粘度測定装置10を用いた、実質粘度の算出方法のフロー図である。まず粘度測定装置10の操作者は、ステップ001(以下S001のように記載する)で、粘度測定装置の準備を行う。
【0025】
具体的には、S001で操作者は、粘度測定装置10のハード面の準備を行う。操作者は、容器11に被測定液体であるスラリーを適量注ぎ込む。そして撹拌翼12をこの被測定液体に浸漬させる。
【0026】
次に操作者は、粘度測定装置10のノート型PC17の入力画面から、第1回転速度とこの第1回転速度での運転時間、第2回転速度とこの第2回転速度での運転時間を入力する。第1回転速度は、スラリーの中の固体粒子を均質に撹拌するのに必要な回転数と時間を入力する。また、第2回転速度は、装置の設計等に必要とされるせん断速度に対応した回転数であり、運転時間は、固体粒子の大きさや形状を考慮して、以下の測定を行うのに十分な時間を入力する。
【0027】
さらに操作者は、回転抵抗トルクの時間による二回微分の閾値を入力する。回転抵抗トルクの時間による一回微分の値は、回転抵抗トルクの変化率であり、二回微分の値は、その変化率となる。この値は、固体粒子の沈降等により大きく変化するパラメータである。閾値は、最大値と最小値とをそれぞれ入力する。図1には、粘度測定装置10のモニターである操作手段に表示された操作画面21の説明図を示す。操作者は、操作画面21上の2つの数値入力部22に、閾値となる最大値と最小値とを入力する。この最大値と最小値の適切な値は、他のサンプルを測定した時の経験や、数度の測定の試行により決定されている。
【0028】
S002で、操作者が、操作手段により制御手段に測定開始の信号を送信すると、粘度測定装置10は、分散工程を実施する。分散工程で、制御手段は、撹拌翼12を第1回転速度で回転させ、スラリーの中の固体粒子を均質に分散させる。粘度測定装置10の容器11の一部または全部が透明な材質である場合は、目視で操作者が、固体粒子が均質に分散しているかどうかの確認を行うことができる。あわせて、撮像手段18が設けられている場合は、画像処理により均質な分散状態になっているかどうかを確認できる。なお、容器11が透明な材質でない場合でも、スラリーを構成する固体粒子や液体の種類を特定することで、十分に均質に分散させることができる第1回転速度と運転時間を入力することで、スラリー内の固体粒子を均質に分散させることができる。
【0029】
図4には、粘度測定装置10での測定結果である逐次回転抵抗トルクのグラフを示す。横軸が時間であり、縦軸が回転抵抗トルクを示している。なお、S002において、第1回転速度で数十秒回転した後を、このグラフの時間0としている。このグラフに示すように、分散工程では、逐次回転抵抗トルクは比較的高い、一定の値をとる。また図4の測定におけるスラリーの固体粒子は、被測定液体の液体単体での密度よりも重いため、時間の経過とともに固体粒子は沈降する。
【0030】
第1回転速度の運転時間が経過すると、S003のトルク検出工程に進む。S003で、粘度測定装置10は、撹拌翼12の回転数を第1回転速度から第2回転速度に落とす。第2回転速度は、第1回転速度よりも遅く、装置の設計等に必要とされるせん断速度に対応した回転数である。トルク検出工程の初期段階は、第1回転速度から第2回転速度に回転数を落とした直後である。このとき容器内のスラリーは、第1回転速度における流動の慣性が残っているため、第2回転速度で回転している撹拌翼12よりも速く回転運動している。このため、撹拌翼12にかかるトルクは、翼の回転に伴うトルクとは逆方向のトルクが作用することになり、計測される回転抵抗トルクはマイナスとなって検出不良となるか、あるいは非常に小さい値となる(図4のT0からT1の間の領域)。撹拌翼12が、第2回転速度で安定的に回転を始めると、回転抵抗トルクは、緩やかな傾きを保ちながら上昇する(図4のT1からT2で示す領域)。このとき、すでに固体粒子は徐々に沈降している。このときトルクは、経過時間とともにほぼ線形に変化すると見做すことができる。そして、固体粒子がさらに沈降して容器11の下方に溜まり、撹拌翼12がある部分までこの沈降層がかかり始めると、回転抵抗トルクが急激に非線形に上昇する(図3のT2より右の領域)。トルク検出工程では、所定のサンプリング周期で、第2回転速度の運転時間分、トルク検出手段14からの信号により逐次回転抵抗トルクを検出する。
【0031】
S004では、制御手段は、トルク検出手段14により検出された逐次回転抵抗トルクと、数値入力部22に入力された閾値と、を用いて被測定液体の実質粘度を算出する。まず、実質粘度は、固体粒子が均質に撹拌された状態であり、かつ、与えられたせん断速度での粘度となるので、理想的には、図4の黒丸で記した点、すなわち第2回転速度での運転が始まった直後の回転抵抗トルクから算出される逐次粘度の値が該当する。しかし、第1回転速度での運転が終わった直後の回転抵抗トルクを直接得ることは、スラリーが慣性で撹拌翼12よりも速く流動して、撹拌翼12に回転方向とは逆向きのトルクが作用することを考慮すると不可能である。
【0032】
制御手段は、操作者により入力された、回転抵抗トルクの時間による二回微分の最大値と最小値を用いて、最小値となる時間T1と最大値となる時間T2を抽出する。すなわちトルクが経過時間に対して線形に増加すると見做せる時間の範囲を抽出する。第1回転速度から第2回転速度に遷移する領域(図4のT0からT1で示す領域)では、逐次回転抵抗トルクの時間による二回微分は、負の値となるので、そこから図4のT1より右に移行するときに、操作者から与えられた最小値を超えることとなる。その超えたときの時間を、制御手段は時間T1と規定する。さらに時間が経過し、逐次回転抵抗トルクが急激に上昇し始めると、逐次回転抵抗トルクの時間による二回微分の値は大きくなり、操作者から与えられた最大値を超えることとなる。その超えたときの時間を、制御手段は時間T2と規定する。そしてこの時間T1のときに検出された逐次回転抵抗トルクを第1逐次回転抵抗トルクR1、時間T2のときの検出された逐次回転抵抗トルクを第2逐次回転抵抗トルクR2とし、もっともシンプルな形としてはこれらの2点(T1、R1)、(T2、R2)を通る一次関数を導き出す。そして制御手段は、その一次関数に、第1回転速度での運転が終わったときの時間を代入することで、第2回転速度に対応する実質粘度を算出する。
【0033】
本実施形態では、閾値として、回転抵抗トルクの時間による二回微分の最大値および最小値を入力する形態を説明したが、例えば最大値のみを入力することも可能である。この場合、入力された最小値を超える点を時間T1としたが、この時間T1については、操作者が別の操作画面から入力しておく。また、第1回転速度から第2回転速度に遷移したとき、一時的に回転抵抗トルクが小さくなるが、時間微分の時間幅を小さくし、その部分からの時間微分を行うと、見かけ上回転抵抗トルクの時間による二回微分は大きくなるので、操作者から与えられた最大値を下回る時間をT1とすることも可能である。
【0034】
本実施形態では、第1逐次回転抵抗トルク、第2逐次回転抵抗トルクを表す2点を結ぶ一次関数から実質粘度を求めたが、これに限定されない。なお、時間T1、T2における逐次回転抵抗トルクとして第1および第2逐次回転抵抗トルクとしたが、例えば、時間T1の前後のいくつかの逐次回転抵抗トルクの値を平均したものを第1逐次回転抵抗トルク、第2逐次回転抵抗トルクとしても問題ない。
【0035】
本実施形態では、被測定液体に浸漬されている撹拌翼12を回転させ、撹拌翼12を備えた回転軸13にトルク検出手段14を備える構成としたが、粘度測定装置はこの構成に限定されるものではない。例えば容器11を回転させる構成とすることも可能であり、容器側にトルク検出手段14を備える構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0036】
10 粘度測定装置
11 容器
12 撹拌翼
13 回転軸
14 トルク検出手段
18 撮像手段
22 数値入力部
図1
図2
図3
図4