特許第6623943号(P6623943)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6623943半導体装置の製造方法、熱処理装置及び記憶媒体。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623943
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、熱処理装置及び記憶媒体。
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/20 20060101AFI20191216BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   H01L21/20
   H01L21/205
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-118196(P2016-118196)
(22)【出願日】2016年6月14日
(65)【公開番号】特開2017-224684(P2017-224684A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2018年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】特許業務法人弥生特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091513
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133776
【弁理士】
【氏名又は名称】三井田 友昭
(72)【発明者】
【氏名】岡田 充弘
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−033201(JP,A)
【文献】 特開2009−295837(JP,A)
【文献】 特開2011−211200(JP,A)
【文献】 特開2009−246368(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/115002(WO,A1)
【文献】 特開2015−115443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/20
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に半導体装置を形成する半導体装置の製造方法において、
基板上の凹部内に形成されたシリコン膜の一部をドライエッチングした後の当該基板を処理容器内に搬入する工程と、
次いで前記基板を加熱しながら臭化水素ガス及びヨウ化水素ガスから選ばれるエッチングガスを真空雰囲気の処理容器内に供給して、前記凹部内の側壁に残っているシリコン膜の一部または全部を除去するエッチング工程と、
続いて、前記凹部内にシリコン膜を成膜する成膜工程と、
その後、前記シリコン膜のグレインサイズを増大させるために基板を加熱する加熱工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記処理容器内に搬入される基板は、シリコン酸化膜の一部が露出していることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記処理容器内に搬入される基板は、シリコン窒化膜の一部が露出していることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記処理容器に搬入される基板の凹部の底面には、単結晶シリコンが露出し、当該単結晶シリコンは前記シリコン膜と共に導電路を形成するものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記エッチング工程、成膜工程及び加熱工程は、同一の処理容器内にて順次行われることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記エッチング工程の前に、前記同一の処理容器内にて前記シリコン膜の表面に形成された酸化膜の除去処理を行う工程を行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記エッチング工程のプロセス温度は、250℃〜750℃に設定されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
真空雰囲気を形成するための処理容器内に設けられた載置部に半導体装置製造用の基板を載置し、処理容器内を真空排気すると共に基板を加熱しながら処理ガスを供給して基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
基板上の凹部内に形成されたシリコン膜の一部をドライエッチングした後の当該基板を前記処理容器内に搬入するステップと、次いで前記基板を加熱しながら臭化水素ガス及びヨウ化水素ガスから選ばれるエッチングガスを真空雰囲気の処理容器内に供給して、前記凹部内の側壁に残っているシリコン膜の表面部のエッチング残渣あるいは当該シリコン膜を除去するエッチングステップと、続いて、前記凹部内にシリコン膜を成膜する成膜ステップと、その後、前記シリコン膜のグレインサイズを増大させるために基板を加熱する加熱ステップと、を実行するように制御信号を出力する制御部を備えたことを特徴とする熱処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記基板を前記処理容器内に搬入するステップを実行した後、更に前記シリコン膜の表面に形成された酸化膜の除去を行うステップを前記エッチングステップの前に実行することを特徴とする請求項8に記載の熱処理装置。
【請求項10】
真空雰囲気を形成するための処理容器内に設けられた載置部に半導体装置製造用の基板を載置し、処理容器内を真空排気すると共に基板を加熱しながら処理ガスを供給して基板に対して熱処理を行う熱処理装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項1ないし7のいずれか一項に記載された半導体装置の製造方法を実行するようにステップ群が組み込まれていることを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面に形成された凹部内にシリコンからなる導電路を形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年半導体デバイスの立体化に対応するため、半導体製造プロセスについても種々の工夫が要求されている。例えば3DNANDのチャンネルを形成する工程として、高いアスペクト比の凹部内に導電路をなすシリコン(例えばポリシリコン)膜を成膜し、このシリコン膜をドライエッチングする工程がある。具体例としては、シリコン酸化層に凹部が形成され、凹部の底部に単結晶シリコン層が形成され、凹部内をシリコン膜で被覆した後、ドライエッチングである異方性エッチングにより底部のシリコン膜を除去して単結晶シリコン層を露出させる工程である。
【0003】
ドライエッチングの後には、ドライエッチング時の残渣を除去する必要があるが、例えば特許文献1、2に示すようなウエットエッチングでは、高いアスペクト比で、しかも凹部の断面が微小であると、凹部内のシリコン膜を深さ方向に高い均一性をもってエッチングし、エッチング残渣を除去することが難しい。このためエッチング残渣を残したままシリコン膜の表面に更に同じシリコン(例えばポリシリコン)膜を積層し、単結晶シリコン層に電気的に接続されるシリコン膜を形成するが、シリコン膜の導電性を良好にするためにはアニールを行ってシリコンのグレインサイズを増大させる必要がある。
グレインサイズはシリコン膜の膜厚が大きいほど増大するが、エッチング残渣などの不純物が付着しているシリコン膜の表面に更にシリコン膜を形成すると、不純物が介在している分だけ膜厚が小さくなり、結果としてグレインサイズの増大が抑えられてしまう。
【0004】
特許文献3には、塩素(Cl)ガスを用いたシリコンのドライエッチングプロセスが記載されている。しかしながらウエハに形成した凹部の内面のエッチングにClガスを用いた場合には、凹部の開口付近のエッチング量が大きくなり、V字状に削れてしまい、深さ方向に高い均一性を持たせることが難しくなる。さらにエッチングガスとして用いられる塩素が壁面に付着すると、エッチング後にさらにシリコン膜を成膜したときにシリコンがエッチングされてしまい、成膜速度が低下したり、成膜後の表面粗さが劣化する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5813495号公報
【特許文献2】特開2008―166513号公報
【特許文献3】特許第5514162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、基板に形成した凹部にシリコンからなる導電路を形成するにあたって、導電性に優れたシリコン膜を成膜する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体装置の製造方法は、基板上に半導体装置を形成する半導体装置の製造方法において、
基板上の凹部内に形成されたシリコン膜の一部をドライエッチングした後の当該基板を処理容器内に搬入する工程と、
次いで前記基板を加熱しながら臭化水素ガス及びヨウ化水素ガスから選ばれるエッチングガスを真空雰囲気の処理容器内に供給して、前記凹部内の側壁に残っているシリコン膜の一部または全部を除去するエッチング工程と、
続いて、前記凹部内にシリコン膜を成膜する成膜工程と、
その後、前記シリコン膜のグレインサイズを増大させるために基板を加熱する加熱工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の熱処理装置は、真空雰囲気を形成するための処理容器内に設けられた載置部に半導体装置製造用の基板を載置し、処理容器内を真空排気すると共に基板を加熱しながら処理ガスを供給して基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
基板上の凹部内に形成されたシリコン膜の一部をドライエッチングした後の当該基板を前記処理容器内に搬入するステップと、次いで前記基板を加熱しながら臭化水素ガス及びヨウ化水素ガスから選ばれるエッチングガスを真空雰囲気の処理容器内に供給して、前記凹部内の側壁に残っているシリコン膜の表面部のエッチング残渣あるいは当該シリコン膜を除去するエッチングステップと、続いて、前記凹部内にシリコン膜を成膜する成膜ステップと、その後、前記シリコン膜のグレインサイズを増大させるために基板を加熱する加熱ステップと、を実行するように制御信号を出力する制御部を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の記憶媒体は、真空雰囲気を形成するための処理容器内に設けられた載置部に半導体装置製造用の基板を載置し、処理容器内を真空排気すると共に基板を加熱しながら処理ガスを供給して基板に対して熱処理を行う熱処理装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上述の半導体装置の製造方法を実行するようにステップ群が組み込まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、基板上の凹部内に形成されたシリコン膜の一部をドライエッチングすることにより、凹部内の側壁に残っているシリコン膜であって、表面にエッチング残渣が付着しているシリコン膜の一部または全部を臭化水素ガス及びヨウ化水素ガスから選ばれるエッチングガスにより除去するようにしている。そのため表面に不純物が付着しているシリコン膜が深さ方向に高い均一性で除去されるので、続く成膜工程にてシリコン膜を凹部の内面に厚い膜厚で形成することができる。従って基板を加熱してシリコン膜をアニールしたときにシリコン膜の粒子のサイズが大きくなり、導電性が良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態に係るウエハの表面付近を示す断面図である。
図2】異方性エッチング後のウエハの表面付近を示す説明図である。
図3】凹部内における自然酸化膜の除去を模式的に示す説明図である。
図4】第1のSi膜の除去を模式的に示す説明図である。
図5】第1のSi膜の除去を行ったウエハの表面付近を示す断面図である。
図6】第2のSi成膜後のウエハの表面付近を示す断面図である。
図7】アニール処理後のウエハの表面付近を示す断面図である。
図8】縦型熱処理装置を示す断面図である。
図9】第2の実施の形態に係る縦型熱処理装置を示す断面図である。
図10】凹部の深さ方向におけるエッチング量を示す特性図である。
図11】HBrガスによるエッチング速度を示す特性図である。
図12】Si膜の膜厚と粒子サイズとの関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法に使用される半導体装置製造用の基板であるウエハWの表面構造の一例について説明する。図1は半導体装置の製造工程の途中段階におけるウエハWの表面構造を示す。この表面構造は、シリコン酸化層(SiO層)100に凹部110が形成され、凹部110の下方には、単結晶シリコン層101が位置している。凹部110の内周面には、シリコン窒化膜(SiN膜)102、シリコン酸化膜(SiO膜)103及びポリシリコンである第1のシリコン(Si)膜104が下層側からこの順に成膜されている。
【0013】
さらにウエハWの表面は、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)により研磨され、表面のSiN膜102、SiO膜103及び第1のSi膜104が除去されてSiO層100が露出している。図1は研磨後のウエハWの表面構造を示している。なおウエハWにおける凹部110の形成されていない領域には、SiN層105が埋め込まれている。シリコン窒化膜は、理論的には、Siで表わされるが、本願明細書では、「SiN膜」と略記する。こうして形成された凹部110(第1のSi膜104に囲まれた部分)のアスペクト比(深さ/線幅)は、例えば50〜150である。
【0014】
上記のウエハWは、ドライエッチング装置に搬送される。ドライエッチング装置においては、図2に示すように凹部110の底部に形成された第1のSi膜104、SiO膜103及びSiN膜102が真空雰囲気下で処理ガスのプラズマにより順次エッチングされ、凹部110の下方に形成された単結晶シリコン層101が露出する。一連のエッチングは異方性エッチングとして行われるため凹部110の側壁に形成された第1のSi膜104は除去されずに残る。また凹部110の側面(第1のSi膜104の表面)には、エッチング時に発生した残渣107が付着しており、また凹部110の底面(単結晶シリコン層101の露出面)には、エッチング処理後に大気雰囲気に接触するために自然酸化膜が形成される。そこでウエハWは、後述の縦型熱処理装置にウエハWが搬入される所定時間内に、例えば公知のウエットエッチングを行う液処理装置に搬入される。
【0015】
液処理装置に搬入されたウエハWは、図3に示すように、例えば希フッ酸液(HF)が供給され、これにより凹部110の内面に形成された自然酸化膜、特に導電路の抵抗となる単結晶シリコン層101の表面の自然酸化膜がHFによりエッチングされて除去される。エッチング処理の手法としては、スピンチャックにウエハWを吸着させて回転させながら上方のノズルからエッチング液をウエハWに供給する手法、あるいはHFを貯留したエッチング槽に複数枚のウエハWを一括して浸漬する手法などが挙げられる。
【0016】
その後ウエハWを例えば後述の縦型熱処理装置に搬送し、第1のSi膜104のエッチング、第2のSi膜の成膜及び加熱アニールの各プロセスを行うが、各プロセスの詳しい条件については、縦型熱処理装置の動作説明の箇所にて詳述することとする。まず図4に示すようにウエハWにHBrガスを供給すると共に例えば550℃で加熱する。後述の検証試験1に示すようにHBrは凹部110の側壁に形成された第1のSi膜104を凹部110の深さ方向に高い均一性でエッチングする。従って凹部110の側壁に付着しているエッチング残渣107や表面に近いエッチング時のダメージ層(エッチングガス成分に曝されることにより粗くなった層)が凹部110の深さ方向に高い均一性で除去される。また後述の検証試験2に示すようにHBrガスは、SiをSiO及びSiNに対して高い極めて選択性でエッチングすることができる。そのため第1のSi膜104の下層のSiO膜103、あるいはSiN膜102については、実質エッチングされない。これにより図5に示すように凹部110においては、第1のSi膜104が除去された状態になる。
【0017】
その後真空雰囲気下で、例えば450℃以上のプロセス温度でポリシリコンである第2のSi膜111を成膜する。凹部101の側面は、SiO膜103が露出し、凹部110の底面は、単結晶シリコン層101が露出している。図6に示すように第2のSi膜111は、SiO膜103及び単結晶シリコン層101に密着して成膜される。
【0018】
さらにウエハWを例えば450〜950℃に加熱して、図7に示すように第2のSi膜111内のSiのグレインサイズを増大させる。図7中の符号112で示す部分は加熱後のグレインサイズが増大した状態である第2のSi膜を示す。こうして凹部110内にて、ポリシリコン(第2のSi膜112)からなる、例えばNAND回路のチャンネル(導電路)が構成される。なおその後ウエハWは例えばCMP装置に搬送され、ウエハWの表面のSi膜が除去されSiO層100が露出する。
【0019】
本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、例えば既述の液処理装置と、第1のSi膜104のエッチング、第2のSi膜111の成膜及び第2のSi膜111のアニール化を行う縦型熱処理装置とを含む半導体製造システムにより行われる。ここで縦型熱処理装置及びこの装置を用いたプロセスの例について述べておく。図8に示すように縦型熱処理装置1は、垂直方向に伸びる有天井の円筒形に構成された、石英製の反応容器2を備えている。反応容器2は、円筒状の内管3と、内管3を覆うように設けられ、内管3と隙間を介して配置された有天井の円筒形の外管4とを備えている。また反応容器2の周囲は、断熱体12により囲われており、断熱体12の内面には、ウエハWを加熱するための昇温用ヒータ13が全周に亘って設けられている。
【0020】
外管4の下方には、外管4と気密に接続されたステンレス製の筒状のマニホールド5が設けられ、マニホールド5の下端は、フランジ7が形成されている。またマニホールド5の内側には、リング状の支持部6が形成され、既述の内管3の下端が接続されている。フランジ7に囲まれる領域は、基板搬入出口8として開口されており、石英製の円形の蓋体9により、気密に閉じられる。蓋体9の中央部には、ウエハWが垂直方向に間隔を置いて載置される棚状に構成された基板保持部であるウエハボート10が垂直方向(縦方向)に延びるように支持されている。
【0021】
蓋体9は、ボートエレベータ11により昇降自在に構成されており、ボートエレベータ11を下降させると蓋体9がフランジ7から離れて、基板搬入出口8が開放されると共に、ウエハボート10がウエハWを収容する高さ位置まで下降する。そしてウエハボート10にウエハWを収容した後、ボートエレベータ11を上昇させることにより、ウエハボート10が図8に示す反応容器2内の高さ位置まで上昇すると共に、蓋体9がフランジ7に接触し、基板搬入出口8が気密に塞がれる。
【0022】
マニホールド5における支持部6の上方側の側面には、排気口15が開口しており、排気口15には、排気管17を介して真空排気部19に接続されている。なお排気管17に介設された18はバルブである。
またマニホールド5における支持部6の下方側の側面には、エッチングガス供給管20、3本の成膜ガス供給管21〜23及びパージガス供給管33の一端が接続されている。エッチングガス供給管20の他端側には、エッチングガスであるHBrガス供給源24が接続されており、成膜ガス供給管21〜23の他端側には、夫々ジプロピルアミノシラン(DIPAS)ガス供給源25、ジシラン(Si)供給源26及びモノシラン(SiH)ガス供給源27が接続されている。またパージガス供給管33の他端側には、パージガスである窒素(N)ガス供給源34が接続されている。なお図8中の29〜32及び36は流量調整部であり、V1〜V5はバルブである。
【0023】
また縦型熱処理装置1には、例えばコンピュータからなる制御部90が設けられている。この制御部90は、プログラム、メモリ、CPUからなるデータ処理部などを備えており、プログラムには、制御部90から縦型熱処理装置1の各部に制御信号を送り、例えばエッチング処理や、成膜処理を実行する各ステップを進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。このプログラムは、コンピュータ記憶媒体、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)などの記憶部に格納されて制御部90にインストールされる。
【0024】
上述の縦型熱処理装置1の作用について説明する。例えばウエットエッチングにより自然酸化膜が除去されたウエハWは、例えばウエットエッチングされた後、予め設定された時間内にウエハボート10に載置され、反応容器2内に搬入される。次いでウエハWを250〜750℃、例えば550℃に加熱すると共に、反応容器2内の圧力を0.1〜400Torr、例えば20Torr(2666Pa)に設定し、HBrガスを50〜5000sccm、例えば500sccmの流量で供給する。HBrガスは、支持部6の下方から内管3の内側を上昇してウエハWに供給され、内管3と外管4との隙間を介して、排気口15から排気される。この結果ウエハW上の第1のSi膜104がエッチングされて除去される。
【0025】
続いてHBrガスの供給を停止すると共に不活性ガス、例えば窒素ガスを供給して、反応容器2内を不活性ガス例えば窒素ガスに置換する。またウエハWの温度を380℃に設定すると共に反応容器2内の圧力を1Torr(133Pa)に設定する。その後Nガスの供給を停止し、反応容器2内にアミノシラン系ガス、例えばDIPASガスを200sccmの流量で供給する。これによりウエハWの表面にSiの核であるシード層が形成される。
【0026】
次いでDIPASガスの供給を停止し、反応容器2内にSiガスを350sccmの流量で供給する。これによりウエハWの表面に形成されたシード層が成長し、第2のSi膜111が例えば20Åの膜厚に成長する。続いてSiガスの供給を停止し、ウエハWの温度を470℃、反応容器2内の圧力を0.45Torr(60Pa)に設定した後、SiHガスを1500sccmの流量で供給する。これによりウエハWの表面に形成された第2のSi膜111にさらにSiが積層され、第2のSi膜111の膜厚が例えば150Åまで成長する。
そしてSiHガスの供給を停止し、反応容器2内にNガスを流し、Si膜の成膜を停止すると共に、ウエハWを450〜950℃、例えば550℃で加熱する。これにより第2のSi膜112においては、Siのグレインサイズが増大する。
【0027】
上述の実施形態によれば、図2に示す膜構造に対してHBrガスによりポリシリコンである第1のSi膜104をエッチングしているため、高いアスペクト比の凹部110であっても、深さ方向に高い均一性でエッチングを行うことができる。そして既述のようにHBrガスは、SiをSiO及びSiNに対して高い極めて選択性でエッチングすることができる。そのため第1のSi膜104の下層のSiO膜103、あるいはSiN膜102のエッチングが抑えられる(実質エッチングされない)。
また後述の検証試験3にて示すように第2のSi膜111の膜厚が厚くなることにより、Siの結晶のサイズが大きくなる傾向にある。上述の実施の形態においては、エッチング残渣などの不純物層が介在しないのでその分第2のSi膜111の膜厚が厚くなり、ウエハWを加熱したときに加熱後の結晶化した第2のSi膜112においては、Siの結晶のサイズが大きくなる。そのため高い導電性が得られる。
【0028】
さらに検証試験4に示すようにHBrガスにより第1のSi膜104を除去した後、第2のSi膜111を成膜したときに第2のSi膜111の成膜速度が遅くなったり、第2のSi膜111の表面粗さが悪くなることもない。
また第1のSi膜104の表面の不純物107及びダメージ層を除去する除去する工程、第2のSi膜111を成膜する工程及びウエハWを加熱して第2のSi膜112を結晶化させる工程を同じ縦型熱処理装置1において行うことができる。そのためウエハWの搬送の際の有機物の付着や自然酸化膜の生成を抑制することができる。
【0029】
[第2の実施の形態]
また第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法として、第1のSi膜104の表面の自然酸化膜をドライエッチングにより除去してもよく、さらにドライエッチングを縦型熱処理装置1内において行うようにしてもよい。例えば図9に示すように縦型熱処理装置1にHFガス及びNHガスを供給するように構成する。なお図9は、図8に示す縦型熱処理装置1を略記しており、HFガス及びNHガスは、例えば図8に示すマニホールド5における支持部6の下方側に供給される。
【0030】
第2の実施の形態においては、図2に示す異方性エッチング後のウエハWを図9に示す縦型熱処理装置1に搬入する。そして反応容器2内にHFガス及びNHガスを供給する。これによりウエハWにおける凹部110内の自然酸化膜の表面にHF及びNHが吸着する。これらのガスは自然酸化膜(SiO)と反応し(NHSiF(珪フッ化アンモニウム)を生成させるので、この(NHSiFを、ウエハWを加熱して昇華させることにより自然酸化膜が除去される。その後HBrガスの供給による第1のSi膜104のダメージ層のエッチングと、その後第2のSi膜111の成膜を行うようにすればよい。第2の実施の形態においては、自然酸化膜の除去を行った後、ウエハWを装置から取り出すことなく、続けてHBrガスの供給による第1のSi膜104のダメージ層のエッチングと、その後第2のSi膜111の成膜を行うことができる。そのためウエハWを装置間を搬送する際の有機物の付着や、自然酸化膜の生成を抑制することができる。
【0031】
更にSiの自然酸化膜は、窒素、水素、フッ素を含む化合物を含む処理ガス、例えばフッ化アンモニウム(NHF)ガスを用いてエッチングすることができ、この場合にもこのガスがSiの自然酸化膜と反応して(NHSiFを生成する。従って、Siの自然酸化膜をエッチングするにあたってフッ化アンモニウム(NHF)(または、NHFHF)ガスを供給してもよい。なお、処理ガスがNHガス、HFガス及びNHFガス(または、NHFHF)の混合ガスであってもよい。
【0032】
さらにHBrの供給による第1のSi膜104の除去については、第1のSi膜104においてエッチング残渣107が付着し、異方性エッチングによりダメージを受けたダメージ層を含む表層部分のみを除去し、第1のSi膜104の一部を残すようにしてもよい。また第1のSi膜104におけるダメージ層及び不純物を含む層を除去するにあたっては、HBrガスに代えてヨウ化水素(HI)ガスを用いても同様の効果が期待できる。
【0033】
[検証試験1]
本発明の効果を検証するためウエハWのSiO層100に形成された凹部110内に成膜された第1のSi膜104をHBrガスを用いてエッチングしたときの凹部110の深さ方向におけるエッチング量の均一性について調べた。図10(a)に示すようにウエハWに深さ1500nm、幅40nmの大きさの凹部110を形成し、表面に第1のSi膜104成膜したウエハWを用いた。
【0034】
ウエハWに対して第1の実施の形態に示した縦型熱処理装置1を用いて、HBrガスを用いてエッチングを行い高さ位置P1〜P5の5地点においてエッチング量を測定した。P1は、の表面、P2〜P4は、夫々凹部110の側壁におけるウエハWの表面の高さから、凹部110の深さ方向に300nm、600nm、900nm及び1200nmの高さ位置を示す。
図10(b)はこの結果を示し、各ウエハWにて測定されたP1〜P5の各高さ位置におけるエッチング量をP1〜P5ごとに平均した値を示す。この結果に寄れば、ウエハWの表面のP1におけるエッチング量は、4.25Åであり、P1のエッチング量を100とすると、凹部110の内部のP2〜P4のエッチング量は、95.3〜110.9であった。
【0035】
この結果からわかるように、凹部110の側壁に形成されたSi膜104をHBrガスを用いてエッチングすることにより、凹部110の深さ方向に均一にエッチングすることができると言える。
【0036】
[検証試験2]
また本発明の効果を検証するためHBrガスによるSi膜、SiO膜及びSiN膜のエッチングの選択比を調べた。まず検査用ウエハの表面に、Si膜、SiO膜及びSiN膜を夫々成膜し、第1の実施の形態に示した縦型熱処理装置1を用い550℃で加熱してHBrガスを供給してエッチングを行った。またSi膜を形成した検査用ウエハを530℃で加熱し、HBrガスを供給してエッチングを行った。
【0037】
図11はこの結果を示し、検査用ウエハの加熱温度に対するSi膜、SiO膜及びSiN膜のエッチング速度(Å/分)を示す。検査用ウエハを550℃で加熱して、エッチングを行った場合にSi膜はエッチングされていたが、SiO膜及びSiN膜は、ほとんどエッチングされなかった(実質エッチングされていなかった)。また検査用ウエハを550℃で加熱した場合においてもSi膜は、大きくエッチングされていた。
この結果によればウエハWを加熱して、HBrガスを供給した時にSiO膜及びSiN膜に対してSi層を高い選択比でエッチングすることができると言える。
【0038】
[検証試験3]
さらに検査用ウエハにSi膜を成膜し加熱を行いSiを結晶化させたときのSi膜の膜厚と結晶の大きさとの関係を調べた。第1の実施の形態に示した縦型熱処理装置1により、400Å及び1500Åに成膜した検査用ウエハを各々550℃で加熱し、各々流離サイズを調べた。図12はこの結果を示し、成膜したSi膜の膜厚とSiの結晶の大きさとの関係を示す特性図である。図12に示すようにSi膜の膜厚が厚くなるに従い、Siの結晶のサイズが大きくなることが分かる。
【0039】
[検証試験4]
ドライエッチングガスの種類によっては、エッチング後にウエハWに残存するガスの成分により、エッチング後に成膜される膜に表面の粗さの劣化やなどの劣化が見られることがある。そこで検査用のウエハに1回目のSi膜を成膜した後、HBrガスにより、すべてのSi膜をエッチングした後、2回目のSi層の成膜を行い表面粗さ及び成膜されたSi膜の膜厚について調べた。
1回目のSi層の成膜は、第1の実施の形態に示した縦型熱処理装置1を用い、5.0nmを目標膜厚に設定して成膜した。次いで同じ縦型熱処理装置1内において、HBrガスを供給してSi層をすべて除去した後、同じ縦型熱処理装置1内において、Si膜を3.5nmを目標膜厚に設定して成膜した。
【0040】
1回目のSi膜の成膜においては、Si膜は5.1nm成膜されており、表面粗さRaは、0.167であった。そして1回目のSi膜をエッチングした後の表面粗さRaは、0.198であり、2回目のSi膜の成膜においては、Si膜は3.62nm成膜されており、表面粗さRaは、0.141であった。
この結果によれば、HBrによるエッチングを行い再度Siを成膜したときに表面粗さRaは、低下していなかった。またSi層の膜厚もほぼ目標膜厚で成膜されており、HBrにより、Si膜をエッチングした後も成膜効率が低下しなかった。
【符号の説明】
【0041】
1 縦型熱処理装置
2 反応容器
3 内管
4 外管
9 蓋体
10 ウエハボート
11 ボートエレベータ
13 昇温用ヒータ
90 制御部
100 SiO
101 単結晶シリコン
102 SiN膜
103 SiO
104 第1のSi膜
107 残渣
110 凹部
111 第2のSi膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12