特許第6624065号(P6624065)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立化成株式会社の特許一覧

特許6624065半導体装置及びその製造方法、並びに可撓性樹脂層形成用樹脂組成物
<>
  • 特許6624065-半導体装置及びその製造方法、並びに可撓性樹脂層形成用樹脂組成物 図000004
  • 特許6624065-半導体装置及びその製造方法、並びに可撓性樹脂層形成用樹脂組成物 図000005
  • 特許6624065-半導体装置及びその製造方法、並びに可撓性樹脂層形成用樹脂組成物 図000006
  • 特許6624065-半導体装置及びその製造方法、並びに可撓性樹脂層形成用樹脂組成物 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624065
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法、並びに可撓性樹脂層形成用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20191216BHJP
   H01L 23/14 20060101ALI20191216BHJP
   H01L 25/04 20140101ALI20191216BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20191216BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   H01L21/56 R
   H01L23/14 R
   H01L25/04 Z
   H05K3/28 G
   H05K3/28 F
【請求項の数】17
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-560208(P2016-560208)
(86)(22)【出願日】2015年11月16日
(86)【国際出願番号】JP2015082123
(87)【国際公開番号】WO2016080346
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2018年9月14日
(31)【優先権主張番号】特願2014-233699(P2014-233699)
(32)【優先日】2014年11月18日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-14511(P2015-14511)
(32)【優先日】2015年1月28日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-94942(P2015-94942)
(32)【優先日】2015年5月7日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-206365(P2015-206365)
(32)【優先日】2015年10月20日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-206367(P2015-206367)
(32)【優先日】2015年10月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 智章
(72)【発明者】
【氏名】頼 華子
(72)【発明者】
【氏名】峯岸 知典
(72)【発明者】
【氏名】阿部 秀則
(72)【発明者】
【氏名】増子 崇
(72)【発明者】
【氏名】大竹 俊亮
【審査官】 小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−142247(JP,A)
【文献】 特開平08−023156(JP,A)
【文献】 特開平04−034958(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3145886(JP,U)
【文献】 国際公開第2012/090356(WO,A1)
【文献】 特開2004−051935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 23/14
H01L 25/04
H01L 25/18
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性基板と、前記可撓性基板上に実装された回路部品と、前記回路部品を封止する可撓性樹脂層とを有する回路基板を備える半導体装置を製造する方法であって、
封止材を前記可撓性基板に積層することにより前記回路部品を前記封止材で封止する工程と、
前記封止材を硬化させることにより、前記可撓性樹脂層を形成させる工程と、を備え
前記封止材が(A)熱可塑性ポリウレタン又はスチレン系エラストマーのうち少なくともいずれか一方を含むエラストマー、(B)重合性化合物及び(C)重合開始剤を含有し、
(A)エラストマーの含有量が、(A)エラストマー及び(B)重合性化合物の総量に対して50〜90質量%である、方法。
【請求項2】
可撓性基板と、前記可撓性基板上に実装された回路部品と、前記回路部品を封止する可撓性樹脂層とを有する回路基板を備える半導体装置を製造する方法であって、
封止材を前記可撓性基板に印刷することにより前記回路部品を前記封止材で封止する工程と、
前記封止材を硬化させることにより、前記可撓性樹脂層を形成させる工程と、を備え 前記封止材が(A)熱可塑性ポリウレタン又はスチレン系エラストマーのうち少なくともいずれか一方を含むエラストマー、(B)重合性化合物及び(C)重合開始剤を含有し、
(A)エラストマーの含有量が、(A)エラストマー及び(B)重合性化合物の総量に対して50〜90質量%である、方法。
【請求項3】
可撓性基板と、前記可撓性基板上に実装された回路部品と、前記回路部品を封止する可撓性樹脂層とを有する回路基板を備える半導体装置を製造する方法であって、
封止材に前記可撓性基板を浸漬し、乾燥することにより前記回路部品を前記封止材で封止する工程と、
前記封止材を硬化させることにより、前記可撓性樹脂層を形成させる工程と、を備え 前記封止材が(A)熱可塑性ポリウレタン又はスチレン系エラストマーのうち少なくともいずれか一方を含むエラストマー、(B)重合性化合物及び(C)重合開始剤を含有し、
(A)エラストマーの含有量が、(A)エラストマー及び(B)重合性化合物の総量に対して50〜90質量%である、方法。
【請求項4】
前記回路基板を切断する工程を更に備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記可撓性樹脂層が、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエチレングリコール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記可撓性基板及び前記可撓性樹脂層が可視域で透明である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記回路部品が2種類以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法により得られる、半導体装置。
【請求項9】
(A)熱可塑性ポリウレタン又はスチレン系エラストマーのうち少なくともいずれか一方を含むエラストマー、(B)重合性化合物及び(C)重合開始剤を含有し
(A)エラストマーの含有量が、(A)エラストマー及び(B)重合性化合物の総量に対して50〜90質量%である、
可撓性樹脂層形成用樹脂組成物。
【請求項10】
(A)エラストマーが前記熱可塑性ポリウレタンを含む、請求項9に記載の可撓性樹脂層形成用樹脂組成物。
【請求項11】
(A)エラストマーが前記スチレン系エラストマーを含む、請求項9に記載の可撓性樹脂層形成用樹脂組成物。
【請求項12】
(B)重合性化合物が、エチレン性不飽和基を含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の可撓性樹脂層形成用樹脂組成物。
【請求項13】
(C)重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤である、請求項9〜12のいずれか一項に記載の可撓性樹脂層形成用樹脂組成物。
【請求項14】
B)重合性化合物の含有量が、(A)エラストマー及び(B)重合性化合物の総量に対して10〜50質量%であり、
(C)重合開始剤の含有量が、(A)エラストマー及び(B)重合性化合物の総量100質量部に対して0.1〜10質量部である、
請求項9〜13のいずれか一項に記載の可撓性樹脂層形成用樹脂組成物。
【請求項15】
当該樹脂組成物が封止材である、請求項9〜14のいずれか一項に記載の可撓性樹脂層形成用樹脂組成物。
【請求項16】
請求項9〜15のいずれか一項に記載の可撓性樹脂層形成用脂組成物からなる樹脂フィルム。
【請求項17】
可撓性基板と、該可撓性基板上に実装された回路部品と、該回路部品を封止する可撓性樹脂層と、を有する回路基板を備え、
前記可撓性樹脂層が、請求項9〜14のいずれか一項に記載の可撓性樹脂層形成用樹脂組成物を硬化した層である、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。本発明はまた、可撓性樹脂層を形成するために用いられる樹脂組成物及び樹脂フィルム、並びにこれらを用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウェアラブル機器に関して、小型化への要望に加え、身体に装着しやすいように、身体のような曲面に沿って配置した状態で使用できると共に脱着しても接続不良が生じにくいフレキシブル性及び伸縮性が求められている。
【0003】
特許文献1には、IC等の部品を実装したプリント配線基板と、長繊維強化樹脂とを用いて電子部品構成物内蔵インモールド品を得る方法が開示されている。この方法は、複数の部品内蔵モジュールを樹脂に内蔵することで小型化を可能にしている。また、曲面において使用するウェアラブル機器として、硬質部と可撓部とが混成している機器も開発されている。さらに、特許文献2には、フレキシブル基板に凹部を形成し、凹部の内部に実装した電子部品を長繊維強化樹脂を用いて封止し、フレキシブルな部品内蔵モジュールを得る方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−229293号公報
【特許文献2】特開2012−134272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
長繊維強化樹脂を用いて電子部品構成物を内蔵するインモールド品を得る場合、電子機器を小型化することは可能であるが、電子部品を曲げることが困難であるため、電子機器を曲面に沿って配置しながら使用することは困難である。また、長繊維強化樹脂を用いて製造した樹脂は透明性に劣るため、透明性が求められる用途には不利である。さらに、硬質部と可撓部とが混成している電子機器の場合、硬質部の占める割合が大きい傾向があることから、使用できる曲面に制限があると共に、脱着を繰り返すと接続不良を起こす懸念がある。さらに、フレキシブル基板に凹部を形成し電子部品を内蔵させる方法では、凹部を形成する必要があるため製造工程数が増える課題がある。
【0006】
一つの側面において、本発明の目的は、曲面に沿って使用できると共に脱着しても接続不良が生じにくいような十分なフレキシブル性を有する半導体装置を効率よく得ることが可能な方法、及び、当該方法により得られる半導体装置を提供することにある。
【0007】
別の側面において、本発明の主な目的は、可撓性及び透明性に優れた可撓性樹脂層を、良好な段差埋め込み性で形成することのできる樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面は、可撓性基板と、前記可撓性基板上に実装された回路部品と、前記回路部品を封止する可撓性樹脂層(可撓性部材)とで構成される回路基板を備える半導体装置を製造する方法を提供する。この方法は、封止材(封止部材)を前記可撓性基板に積層することにより前記回路部品を前記封止材で封止する工程と、前記封止材を硬化させることにより、前記可撓性樹脂層(可撓性部材)を形成させる工程と、を備える。
【0009】
本開示の別の一側面に係る方法は、封止材(封止部材)を前記可撓性基板に印刷することにより前記回路部品を前記封止材で封止する工程と、前記封止材を硬化させることにより、前記可撓性樹脂層(可撓性部材)を有する前記回路基板を得る工程と、を備える。
【0010】
本開示の別の一側面に係る方法は、封止材(封止部材)に前記可撓性基板を浸漬し、乾燥することにより前記回路部品を前記封止材で封止する工程と、前記封止材を硬化させることにより、前記可撓性部材を有する前記回路基板を得る工程と、を備える。
【0011】
これら方法において、封止材を、加熱及び/又は露光によって硬化させることができる。
【0012】
本開示に係る方法により得られる半導体装置は、可撓性基板及び可撓性樹脂層(可撓性部材)を用いていることにより、曲面に沿って設置しながら使用できる(例えば、身体等の曲面に装着できる)と共に脱着しても接続不良が生じにくいフレキシブル性を有することができる。本開示に係る方法によれば、このような半導体装置を効率よく得ることが可能であり、例えば、少ない製造工程数で半導体装置を得ることができる。さらに、いくつかの形態に係る方法によれば、複数の回路部品を用いる場合、複数の回路部品を可撓性樹脂層(可撓性部材)で封止することによって電子部品を小型化することもできる。
【0013】
本開示に係る半導体装置の製造方法は、前記回路基板を切断する工程を更に備えていてもよい。この工程を行うことによって、一度に複数の半導体装置を大面積で製造することが可能であり、製造工程を更に減らすことができる。
【0014】
前記可撓性樹脂層(可撓性部材)は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエチレングリコール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0015】
前記可撓性基板及び前記可撓性樹脂層が、可視域で透明であってもよい。可撓性基板及び可撓性樹脂層が可視域で透明であることで、適用デバイスのデザイン性を大きく損なわない半導体装置を得ることができる。例えば、透明な筐体を用いたデバイス中で特に基板面がそのまま見えてしまい大きくデザイン性を損ねる問題を回避することができる。ウェアラブル機器に使用される電子部品としては、適用されるデバイスを身につけていても身体及び周囲に溶け込む自然なものが望ましい。そのため、デバイス自体の設計、及びデザインを損なわない電子部品が求められている。
【0016】
前記回路部品は、2種類以上であってもよい。2種以上の回路部品によって回路基板の中に様々な機能を持たせることで、電子部品の小型化が容易である。
【0017】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、(A)熱可塑性ポリウレタン又はスチレン系エラストマーのうち少なくともいずれか一方を含むエラストマー、(B)重合性化合物及び(C)重合開始剤を含有する樹脂組成物、及びこれから製造される樹脂フィルムを用いることにより、段差埋め込み性に関連する上記課題を解決することができることを見出した。すなわち、本発明の別の側面は、係る樹脂組成物、樹脂フィルム、並びにこれらを用いて作製した可撓性樹脂層を有する半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、曲面に沿って使用できると共に脱着しても接続不良が生じにくいフレキシブル性を有し、かつ、電子部品を極力透明とすることで、適用デバイスのデザイン性を大きく損なわない半導体装置を効率よく得ることが可能な半導体装置の製造方法、及び、当該製造方法により得られる半導体装置を提供することができる。いくつかの形態に係る方法により得られる半導体装置は、優れた伸縮性を有し得る。
【0019】
本発明の樹脂組成物及び樹脂フィルムは、可撓性に優れ、高い透明性を有する可撓性樹脂層を良好な段差埋め込み性で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】半導体装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図2】可撓性基板及び回路部品の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3】複数の半導体装置を得る工程の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図4】回復率の測定例を示す応力−ひずみ曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0022】
<半導体装置>
図1は、本実施形態に係る半導体装置を模式的に示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置100は、可撓性を有する可撓性基板1と、回路部品2と、可撓性を有する可撓性樹脂層(可撓性層、又は可撓性部材ということもある。)3とで構成される回路基板を備える。可撓性基板1は、可視域で透明であってもよい。可撓性基板1は、例えば、可視域で透明であってもよいフレキシブル基板である。回路部品2は、可撓性基板1上に実装されている。可撓性樹脂層3は、可撓性基板1及び回路部品2を封止しており、回路基板の表面を保護している。
【0023】
ここで、可視域で透明であるとは、可視光領域400nm〜750nmにおける光線透過率が、50μm厚に換算したときに、90%以上であることを意味する。硬化性を有する封止材の場合に関しては、可視域で透明であるとは、硬化した後の状態において前記光線透過率を満足することを意味する。
【0024】
可視域で透明であってもよい可撓性基板1の構成材料としては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール樹脂等が目的に応じて用いられる。これらは可視域で透明な材料であることができる。可撓性基板1の構成材料は、伸縮性に更に優れる観点から、シロキサン構造又は脂肪族エーテル構造又はジエン構造を有するポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、長鎖アルキル鎖(例えば、炭素数1〜20のアルキル鎖)を有するビスマレイミド樹脂、エポキシ樹脂、及び、ロタキサン構造を有するポリエチレングリコール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよく、シロキサン構造又は脂肪族エーテル構造又はジエン構造を有するポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、及び、長鎖アルキル鎖を有するビスマレイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。これらは1種を単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。可撓性基板1が配線部を有している場合、配線部である導電材料は必ずしも可視域で透明である必要はない。
【0025】
可撓性基板1の構成材料は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、エポキシ樹脂及びポリエチレングリコール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。この中でも、伸縮性に更に優れる観点から、可撓性基板1の構成材料は、シロキサン構造又は脂肪族エーテル構造又はジエン構造を有するポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、長鎖アルキル鎖(例えば、炭素数1〜20のアルキル鎖)を有するビスマレイミド樹脂、エポキシ樹脂、及び、ロタキサン構造を有するポリエチレングリコール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。伸縮性に更に優れる観点から、可撓性基板1の構成材料は、シロキサン構造又は脂肪族エーテル構造又はジエン構造を有するポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、及び、長鎖アルキル鎖を有するビスマレイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。可撓性基板1の構成材料は、1種を単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
回路部品2は、例えば、メモリーチップ、発光ダイオード(LED)、RFタグ(RFID)、温度センサ、加速度センサ等の、半導体素子を含む実装部品である。1種類の回路部品2が実装されていてもよく、2種類以上の回路部品2が混在して実装されていてもよい。1個の回路部品2が実装されていてもよく、複数個の回路部品2が実装されていてもよい。
【0027】
可撓性樹脂層3は、例えば樹脂硬化物層であり、封止材を硬化させることにより得られる。可撓性樹脂層3は、例えば、後述の樹脂組成物又はこれから作製される樹脂フィルムを封止材として用いて、これらを硬化させることで形成させることができる。
【0028】
あるいは、可撓性樹脂層(可撓性層)3、及び、可撓性樹脂層3を形成する封止材の構成材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール樹脂等が目的に応じて用いられ得る。これらは可視域で透明な材料であることができる。可撓性樹脂層3の構成材料は、伸縮性に更に優れる観点から、シロキサン構造又は脂肪族エーテル構造又はジエン構造を有するポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、長鎖アルキル鎖(例えば、炭素数1〜20のアルキル鎖)を有するビスマレイミド樹脂、エポキシ樹脂、及び、ロタキサン構造を有するポリエチレングリコール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよく、シロキサン構造又は脂肪族エーテル構造又はジエン構造を有するポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、及び、長鎖アルキル鎖を有するビスマレイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。これらは1種を単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
可撓性樹脂層3となる封止材の形状としては、フィルム状、液状等が挙げられる。封止のための埋め込み時の取り扱い性、及び段差を埋め込みながら形成される可撓性樹脂層の平坦性に優れる観点から、封止材はフィルム状であってもよい。
【0030】
硬化後の可撓性樹脂層3は、低い弾性率及び高伸び特性を示し、また、高い耐屈曲性を有していてもよい。これにより、可撓性が更に良好となるため、曲面に沿って使用できると共に脱着しても接続不良が生じにくいフレキシブル性を更に容易に得ることができる。可撓性樹脂層3は、身体に装着し易い観点から、耐水性及び耐汗性に優れることが望ましい。
【0031】
<半導体装置を製造する方法>
本実施形態に係る半導体装置を製造する方法は、例えば、実装工程と、封止工程と、硬化工程と、切断工程とをこの順に備える。
【0032】
(工程1:実装工程)
まず、図2に示すように、可撓性基板1の上に回路部品2を実装する。実装される複数の回路部品2は、1種類でも、2種類以上の組み合わせであってもよい。実装される回路部品2は、1個でも複数個でもよい。
【0033】
(工程2:封止工程)
次に、可撓性基板1、及び、回路部品2を封止材としての樹脂組成物又は樹脂フィルムで封止する。可撓性基板1及び回路部品2は、例えば、フィルム状の封止材(樹脂フィルム)を可撓性基板1に積層すること、封止材(樹脂組成物)を可撓性基板1に印刷すること、又は、封止材(樹脂組成物)に可撓性基板1を浸漬し、乾燥することにより封止することができる。封止は、加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート、印刷法又はディッピング法等によって行うことができる。この中でも、Roll to Rollのプロセスで使用できる方法は、製造工程を短縮できる。
【0034】
加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート等による封止工程では、減圧下で封止材(樹脂フィルム)を積層することが好ましい。積層のための圧着圧力は、0.1〜150MPa程度(1〜1500kgf/cm2程度)であってもよい。封止のために、封止材(封止樹脂)を50〜170℃に加熱してもよい。これらの条件には特に制限はない。
【0035】
(工程3:硬化工程)
封止工程において可撓性基板1及び回路部品2を封止材で封止した後、封止材を硬化させることにより可撓性樹脂層3を形成し、可撓性樹脂層3を有する回路基板を得る。これにより、図1に示される半導体装置100が得られる。加熱による熱硬化、露光による光硬化、又はこれらの組み合わせにより、封止材を硬化させることができる。封止材は、回路部品2の耐熱性の観点から、熱硬化性であれば低温で硬化する材料(樹脂組成物)であってもよい。封止材は、室温で硬化できる観点から、光硬化する材料(樹脂組成物)であってもよい。
【0036】
(工程4:切断工程)
半導体装置の製造方法は、必要に応じて、例えば、図3に示すように、回路基板を切断し分離することにより、回路部品を有する複数の半導体装置を得る工程を備えることができる。これにより、複数の半導体装置を一度に大面積で製造することが可能となり、容易に製造工程を減らすことができる。
【0037】
<可撓性樹脂層形成用樹脂組成物>
一実施形態に係る樹脂組成物は、(A)熱可塑性ポリウレタン又はスチレン系エラストマーのうち少なくとも一方を含むエラストマー、(B)重合性化合物及び(C)重合開始剤を含有し、可撓性樹脂層を形成するために用いられる。この樹脂組成物は、活性光線の照射及び/又は加熱によって硬化することができる。
【0038】
熱可塑性ポリウレタンとして、一般にエラストマー又は熱可塑性エラストマーとして用いられているものを使用することができる。熱可塑性ポリウレタンの市販品としては、例えばBASFジャパン(株)「エラストンシリーズ」、東ソー(株)「ミラクトランシリーズ」、ディーアイシーバイエルポリマー(株)「PANDEXシリーズ」、「Desmopanシリーズ」、「Texinシリーズ」が挙げられる。
【0039】
熱可塑性ポリウレタンは、耐水性の観点から、ポリエーテルジオールとジイソシアネートとの反応生成物であるポリエーテル系の熱可塑性ポリウレタンであってもよい。ポリエーテル系の熱可塑性ポリウレタンの市販品の例としては、BASFジャパン(株)「エラストンET385」が挙げられる。透明性及び耐候性の観点からいわゆる無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタンを用いてもよい。無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタンの市販品の例としては、ヘキサメチレンジイソシアネートとポリカーボネートジオールとの反応生成物である、東ソー(株)「ミラクトランXN−2001」が挙げられる。
【0040】
熱可塑性ポリウレタンの重量平均分子量は、塗膜性の観点から、10,000〜200,000、20,000〜175,000、又は30,000〜150,000であってもよい。本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値をであってもよい。
【0041】
スチレン系エラストマーとは、ハードセグメントとしてのポリスチレンと、ソフトセグメントとしてのポリエチレン、ポリブチレン、及びポリイソプレン等から選ばれる不飽和二重結合を含むジエン系エラストマーとを含む共重合体を基本単位構造として有するエラストマーである。
【0042】
スチレン系エラストマーの市販品としては、例えばJSR(株)「ダイナロンSEBSシリーズ」、クレイトンポリマージャパン(株)「クレイトンDポリマーシリーズ」、アロン化成(株)「ARシリーズ」が挙げられる。
【0043】
水素添加型スチレン系エラストマーは、ソフトセグメントとしてのジエン系エラストマーの不飽和二重結合に水素を付加反応させて生成するものである。水素添加型スチレン系エラストマーによれば耐候性向上などの効果が期待できる。
【0044】
水素添加型スチレン系エラストマーの市販品としては、例えばJSR(株)「ダイナロンHSBRシリーズ」、クレイトンポリマージャパン(株)「クレイトンGポリマーシリーズ」、旭化成ケミカルズ(株)「タフテックシリーズ」が挙げられる。
【0045】
スチレン系エラストマーの重量平均分子量は、塗膜性の観点から、30,000〜200,000、50,000〜150,000、又は75,000〜125,000であってもよい。
【0046】
(A)成分(エラストマー)の含有量は、(A)成分及び(B)成分(重合性化合物)の総量に対して、50〜90質量%であってもよい。(A)成分の含有量が50質量%以上であると、特に良好な可撓性が得られ易い。(A)成分の含有量が90質量%以下であると、硬化時にエラストマーが重合性化合物によって絡め込まれ易いことから、樹脂組成物を特に容易に硬化させることができる。同様の観点から、(A)成分の含有量は60〜85質量%、又は70〜80質量%であってもよい。
【0047】
(B)成分の重合性化合物は、加熱又は紫外線などの照射によって重合する化合物であれば特に制限はないが、材料の選択性及び入手の容易さの観点から、例えばエチレン性不飽和基などの重合性置換基を有する化合物であってもよい。
【0048】
重合性化合物の具体例としては、(メタ)アクリレート、ハロゲン化ビニリデン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルピリジン、ビニルアミド、及びアリール化ビニルが挙げられる。透明性の観点から、重合性化合物は(メタ)アクリレート及び/又はアリール化ビニルを含んでいてもよい。(メタ)アクリレートは、1官能、2官能又は多官能(3官能以上)のいずれでもよいが、十分な硬化性を容易に得るために、2官能又は多官能の(メタ)アクリレートであってもよい。
【0049】
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−N−カルバゾールなどの複素環式(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体が挙げられる。これらの中でも脂肪族(メタ)アクリレート及び芳香族(メタ)アクリレートは、熱可塑性ポリウレタン及びスチレン系エラストマーとの相溶性、透明性及び耐熱性の観点で特に優れる。
【0050】
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;ネオペンチルグリコール型エポキシ(メタ)アクリレートなどの脂肪族エポキシ(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレートなどの脂環式エポキシ(メタ)アクリレート;レゾルシノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAF型エポキシ(メタ)アクリレート、フルオレン型エポキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも脂肪族(メタ)アクリレート及び芳香族(メタ)アクリレートは、熱可塑性ポリウレタン及びスチレン系エラストマーとの相溶性、透明性及び耐熱性の観点で特に優れる。
【0051】
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族エポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも脂肪族(メタ)アクリレート及び芳香族(メタ)アクリレートは、熱可塑性ポリウレタン及びスチレン系エラストマーとの相溶性、透明性及び耐熱性の観点で特に優れる。
【0052】
これらの化合物は、単独または2種類以上組み合わせて使用することができ、その他の重合性化合物と組み合わせて使用することもできる。
【0053】
(B)成分の重合性化合物の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量に対して、10〜50質量%であってもよい。(B)成分の含有量が10質量%以上であると、(A)エラストマーとともに硬化することが特に容易である。(B)成分の含有量が50質量%以下であると、硬化物の十分な強度及び可撓性が得られ易い。同様の観点から、(B)成分の含有量が15〜40質量%であってもよい。
【0054】
(C)成分の重合開始剤としては、加熱又は紫外線などの照射によって重合を開始させる化合物であれば特に制限はない。例えば(B)成分の重合性化合物としてエチレン性不飽和基を有する化合物を用いる場合、重合開始剤は熱ラジカル重合開始剤、又は光ラジカル重合開始剤であることができる。硬化速度が速く常温硬化が可能なことから、(C)成分は光ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。
【0055】
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキサノンパーオキシドなどのケトンパーオキシド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケタール;p−メンタンヒドロパーオキシドなどのヒドロパーオキシド;α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシドなどのジアルキルパーオキシド;オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシカーボネートなどのパーオキシカーボネート;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテートなどのパーオキシエステル;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2’−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。これらの中で、ジアシルパーオキシド、パーオキシエステル、及びアゾ化合物は、硬化性、透明性、及び耐熱性の観点で特に優れる。
【0056】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのベンゾインケタール;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンなどのα−ヒドロキシケトン;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどのα−アミノケトン;1−[(4−フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタジオン−2−(ベンゾイル)オキシムなどのオキシムエステル;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体などの2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノンなどのキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタールなどのベンジル化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニルヘプタン)などのアクリジン化合物:N−フェニルグリシン、クマリンなどが挙げられる。
【0057】
前記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つのトリアリールイミダゾール部位のアリール基の置換基は、同一で対称な化合物を与えてもよく、相違して非対称な化合物を与えてもよい。ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン化合物と3級アミンとを組み合わせてもよい。
【0058】
これらの中で、、α−ヒドロキシケトン及びホスフィンオキシドは、硬化性、透明性、及び耐熱性の観点で特に優れる。
【0059】
これらの熱及び光ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。さらに、適切な増感剤と組み合わせることもできる。
【0060】
(C)成分の重合開始剤の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部であってもよい。(C)成分の含有量が0.1質量部以上であると、樹脂組成物を十分に硬化させ易い傾向がある。(C)成分の含有量が10質量部以下であると十分な光透過性を有する可撓性樹脂層が形成され易い傾向がある。同様の観点から、(B)成分の含有量は0.3〜7質量部、又は0.5〜5質量部であってもよい。
【0061】
この他に必要に応じて、樹脂組成物中には、酸化防止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、可視光吸収剤、着色剤、可塑剤、安定剤、充填剤などのいわゆる添加剤を本発明の効果を実質的に損なわない範囲で添加してもよい。
【0062】
一実勢形態に係る樹脂組成物を、有機溶剤を用いて希釈し、樹脂ワニスとして使用してもよい。ここで用いる有機溶剤としては、該樹脂組成物を溶解しえるものであれば特に制限はない。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p−シメンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの炭酸エステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミドなどが挙げられる。これらの中で、トルエン、及びN,N−ジメチルアセトアミドは、溶解性及び沸点の観点から選択することができる。これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。樹脂ワニス中の固形分濃度は、20〜80質量%であってもよい。
【0063】
(A)エラストマー、(B)重合性化合物及び(C)重合開始剤を含有する樹脂組成物を硬化して形成される可撓性樹脂層の弾性率は、0.1MPa以上1000MPa以下であってもよい。弾性率が0.1MPa以上1000MPa以下であれば、フィルムとしての扱い性及び可撓性を得ることができる。この観点から、弾性率が0.3MPa以上100MPa以下、又は0.5MPa以上50MPa以下であってもよい。
【0064】
可撓性樹脂層の破断伸び率は、100%以上であってもよい。破断伸び率が100%以上であればより優れた伸縮性を得ることができる。同様の観点から、破断伸び率は300%以上、又は500%以上であってもよい。
【0065】
可撓性樹脂層の測定サンプルを用いた引っ張り試験において、1回目の引っ張り試験で加えたひずみ(変位量)をX、次に初期位置に戻し再度引っ張り試験を行ったときに荷重が掛かり始めるときの位置をYとし、式:R=Y/Xで計算されるRを回復率と定義したときに、この回復率が80%以上であってもよい。回復率は、Xを50%として測定することができる。図4は、回復率の測定例を示す応力−ひずみ曲線である。回復率が80%以上であれば繰り返しの使用に対する耐性をより一層高めることができる。同様の観点から、回復率は、85%以上、又は90%以上であってもよい。
【0066】
樹脂組成物から形成される可撓性樹脂層は、80%以上の全光線透過率、5.0以下のYellowness Index、及び5.0%以下のヘイズから選ばれるいずれか1つ以上の特性を有していてもよい。これらは、例えば分光ヘイズメータ(日本電色工業(株)製分光ヘイズメータ「SH7000」)を用いて測定することができる。これら特性が上記の範囲にあれば十分な透明性が得られ易い。同様の観点から、全光線透過率が85%以上、Yellowness Indexが4.0以下、ヘイズが4.0%以下であってもよく、全光線透過率が90%以上、Yellowness Indexが3.0以下、ヘイズが3.0%以下であってもよい。
【0067】
一実施形態に係る樹脂フィルムは、上記樹脂成物からなる。言い換えると、樹脂フィルムは、(A)エラストマー、(B)重合性化合物、及び(C)重合開始剤を含むことができる。この樹脂フィルムは、例えば、(A)エラストマー、(B)重合性化合物、(C)重合開始剤、及びこれらを溶解する有機溶剤を含有する樹脂ワニスを基材フィルムに塗布し、塗膜から溶媒を除去することにより容易に製造することができる。
【0068】
基材フィルムとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、又は液晶ポリマのフィルムが挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、又はポリスルホンのフィルムであってもよい。
【0069】
基材フィルムの厚みは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、3〜250μmであってもよい。基材フィルムの厚みが3μm以上であると十分なフィルム強度が得られ易く、基材フィルムの厚みが250μm以下であると十分な柔軟性が得られ易い。同様の観点から、基材フィルムの厚みは5〜200μm、又は7〜150μmであってもよい。樹脂フィルムとの剥離性向上の観点から、基材フィルムの表面が、シリコーン系化合物、含フッ素化合物などにより離型処理が施されていてもよい。
【0070】
必要に応じて保護フィルムを樹脂フィルム上に貼り付け、基材フィルム、樹脂フィルム及び保護フィルムからなる3層構造の積層フィルムを形成してもよい。保護フィルムとしては、ブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンのフィルムが挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、保護フィルムは、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンのフィルムであってもよい。樹脂フィルムとの剥離性向上の観点から、保護フィルムンの表面が、シリコーン系化合物、含フッ素化合物などにより離型処理が施されていてもよい。
【0071】
保護フィルムの厚みは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、10〜250μmであってもよい。保護フィルムの厚みが10μm以上であると十分なフィルム強度が得られ易く、保護フィルムの厚みが250μm以下であると十分な柔軟性が得られ易い。同様の観点から、保護フィルムの厚みは15〜200μm、又は20〜150μmであってもよい。
【0072】
樹脂フィルムの乾燥後の厚みは、特に限定されないが、5〜1000μmであってもよい。樹脂フィルムの厚みが5μm以上であると、樹脂フィルム又はその硬化物(可撓性樹脂層)が十分な強度を有し易い傾向がある。樹脂フィルムの厚みが1000μm以下であると、乾燥によって容易に樹脂フィルム中の残留溶媒量を十分に減らすことができる。残留溶媒量が少ないと、樹脂フィルムの硬化物を加熱したときに発泡することが少ない。
【0073】
樹脂フィルムは、例えばロール状に巻き取ることによって容易に保存することができる。または、ロール状のフィルムを好適なサイズに切り出して、シート状の状態で保存することもできる。
【0074】
一実施形態に係る樹脂組成物は、ウェアラブル機器の可撓性封止部材を形成するための封止材として用いることができる。同様に一実施形態に係る樹脂フィルムは、ウェアラブル機器の可撓性封止部材を形成するための樹脂封止フィルムとして用いることができる。
【実施例】
【0075】
以下の本発明の実施例をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
【0076】
実施例1
[樹脂ワニスVU1の調合]
(A)成分として、ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン(BASFジャパン(株)「エラストンET385A」)80質量部、(B)成分として、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジメタクリレート(日立化成(株)製「ファンクリルFA−321M」)20質量部、(C)成分として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF社製「イルガキュア819」)1.5質量部、及び溶剤としてトルエン125質量部を攪拌しながら混合し樹脂ワニスVU1を得た。
【0077】
[樹脂フィルムFU1の作製]
基材フィルムとして表面離型処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「ピューレックスA31」、厚み25μm)を準備した。このPETフィルムの離型処理面上にナイフコータ((株)康井精機製「SNC−350」を用いて樹脂ワニスVU1を塗布した。次いで乾燥機((株)二葉科学製「MSO−80TPS」)中100℃で20分乾燥して、樹脂フィルムを形成させた。形成された樹脂フィルムに、基材フィルムと同じ表面離型処理PETフィルムを、離型処理面が樹脂フィルム側になるよう貼付けて、積層フィルムFU1を得た。このとき樹脂フィルムの厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能である。本実施例では硬化後の樹脂フィルムの膜厚が100μmとなるように調節した。
【0078】
実施例2〜5、及び比較例1〜2
実施例1と同様の方法で、表1に示す配合比に従って樹脂ワニスVU2〜VU6を調合し、樹脂フィルムFU2〜FU6を作製した。比較例2としてシリコーンゴム製のシート状フィルムFS1(厚さ200μm)を準備した。
【0079】
[弾性率、伸び率の測定]
各樹脂フィルムに、紫外線露光機(ミカサ(株)「ML−320FSAT」)によって紫外線(波長365nm)を5000mJ/cm2照射して樹脂フィルムを硬化させることで、可撓性樹脂層を形成させた。次いで、長さ40mm、幅10mmの積層フィルムを切り出し、基材フィルム及び保護フィルムを除去して、可撓性樹脂層の測定用サンプルを得た。測定用サンプルの応力−ひずみ曲線を、オートグラフ((株)島津製作所「EZ−S」)を用いて測定し、その応力−ひずみ曲線から弾性率及び伸び率を求めた。測定時のチャック間距離は20mm、引っ張り速度は50mm/minとした。なおここでは、弾性率として荷重0.5から1.0Nにおける値を、伸び率としてサンプルが破断した際の値(破断伸び率)を測定した。
【0080】
[回復率の測定]
各樹脂フィルムに、紫外線露光機(ミカサ(株)「ML−320FSAT」)によって紫外線(波長365nm)を5000mJ/cm2照射して樹脂フィルムを硬化させることで、可撓性樹脂層を形成させた。その後、長さ70mm、幅5mmの積層フィルムを切り出し、基材フィルム及び保護フィルムを除去して、測定用サンプルを得た。測定用サンプルの回復率を、マイクロフォース試験機(IllinoisTool Works Inc「Instron 5948」)を用いて測定した。
【0081】
回復率とは、1回目の引っ張り試験で加えた変位量(ひずみ)をX、次に初期位置に戻し再度引っ張り試験を行ったときに荷重が測定サンプルに掛かり始めるときの位置(変位量)をYとしたときに、式:R=Y/Xで計算されるRを指す。本測定では初期長さ(チャック間の距離)を50mm、Xを25mm(ひずみ50%)とした。
【0082】
[全光線透過率、YI、ヘイズの測定]
積層フィルムから保護フィルムを除去し、樹脂フィルムを、スライドガラス(松浪硝子工業(株)「S1111」)上に真空加圧式ラミネータ(ニチゴー・モートン(株)「V130」)を用いて、圧力0.5MPa、温度60℃及び加圧時間60秒の条件でラミネートした。ラミネートされた樹脂フィルムに、前記紫外線露光機にて紫外線(波長365nm)を5000mJ/cm2照射して、可撓性樹脂層を形成させた。その後、基材フィルムを剥がし、可撓性樹脂層の全光線透過率、YI及びヘイズを分光ヘイズメータ(日本電色工業(株)「SH7000」)を用いて測定した。
【0083】
[段差埋め込み性の評価]
シリコンウェハを厚さ0.1mm、10mm×10mmのサイズに加工し、これを上記実施例及び比較例で作製した樹脂フィルム(厚さは、実施例1〜5及び比較例1が100μm、比較例2が200μm)によって埋め込み可能か試験した。前記真空加圧式ラミネータを用い、圧力0.8MPa、温度90℃及び加圧時間60秒の条件で樹脂フィルムをシリコンウェハにラミネートし、そのときの埋め込みの状態を観察した。100μmの高さを有する段差を、ボイド等なく埋め込みが可能であった場合はA、埋め込みができなかった場合はCとして評価した。
【0084】
実施例1〜5及び比較例1〜2の評価結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
1)ポリエーテル系熱可塑性ポリウレタン、BASFジャパン(株)「エラストンET385A」、重量平均分子量:1.3×10
2)ポリエステル系熱可塑性ポリウレタン、BASFジャパン(株)「エラストンC85A」、重量平均分子量:1.2×10
3)無黄変タイプ熱可塑性ポリウレタン、東ソー(株)「ミラクトランXN−2001」、重量平均分子量:8.1×10
4)ゴム変性ポリアミド、日本化薬(株)「カヤフレックスBPAM−155」、重量平均分子量: 3.1×10
5)シリコーンゴムシート、タイガースポリマー(株)「SR−50」
6)エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジメタクリレート(日立化成(株)「ファンクリルFA−321M」)
7)ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASFジャパン(株)「イルガキュア819」)
【0086】
熱可塑性ポリウレタンを含む実施例1〜5の樹脂組成物によって形成された可撓性樹脂層は、弾性率が低く高い可撓性を有するとともに、透明性並びに段差埋め込み性に優れていることが分かる。一方、熱可塑性ポリウレタン以外のエラストマーを含む比較例1、2の樹脂組成物によって形成された可撓性樹脂層は、可撓性、透明性または段差埋め込み性に劣ることが分かる。
【0087】
実施例6
[樹脂ワニスVA1の調合]
(A)成分として、スチレンイソプレン共重合ポリマー(クレイトンポリマージャパン(株)「クレイトンD1117」)80質量部、(B)成分として、ブタンジオールジアクリレート(日立化成(株)製「ファンクリルFA−124AS」)20質量部、(C)成分として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF社製「イルガキュア819」)1.5質量部、及び溶剤としてトルエン125質量部を攪拌しながら混合し樹脂ワニスVA1を得た。
【0088】
[樹脂フィルムFA1の作製]
基材フィルムとして表面離型処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「ピューレックスA31」、厚み25μm)を準備した。このPETフィルムの離型処理面上にナイフコータ((株)康井精機製「SNC−350」を用いて樹脂ワニスVA1を塗布した。次いで乾燥機((株)二葉科学製「MSO−80TPS」)中100℃で20分乾燥して、樹脂フィルムを形成させた。形成された樹脂フィルムに、基材フィルムと同じ表面離型処理PETフィルムを、離型処理面が樹脂フィルム側になる向きで保護フィルムとして貼付けて、積層フィルムFA1を得た。樹脂フィルムの厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能である。本実施例では硬化後の樹脂フィルムの膜厚が100μmとなるように調節した。
【0089】
実施例7〜13、及び比較例1〜2
実施例6と同様の方法で、表2に示す配合比に従って樹脂ワニスVA2〜VA8を調合し、積層フィルムFA2〜FA8を作製した。比較例2としてシリコーンゴム製のシート状フィルムFS1(厚さ200μm)を準備した。
【0090】
各樹脂フィルムを実施例1〜5と同様の方法で評価した。実施例7〜13及び比較例1〜2の評価結果を表1に示す。
【0091】
【表2】
1)スチレンイソプレン共重合ポリマー、クレイトンポリマージャパン(株)「クレイトン D1117、重量平均分子量:1.6×10
2)水素添加型スチレンブタジエンラバー、JSR(株)「ダイナロン2324P、重量平均分子量:1.0×10
3)ゴム変性ポリアミド(日本化薬(株)「カヤフレックスBPAM−155」、重量平均分子量: 3.1×10
4)シリコーンゴムシート、タイガースポリマー(株)「SR−50」
5)ブタンジオールジアクリレート(日立化成(株)「ファンクリルFA−124AS6)ヘキサンジオールジアクリレート(日立化成(株)「ファンクリルFA−126AS
7)ノナンジオールジアクリレート(日立化成(株)「ファンクリルFA−129AS8)エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジメタクリレート(日立化成(株)「ファンクリルFA−321M」)
9)ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASFジャパン(株)「イルガキュア819」)
【0092】
スチレン系エラストマーを含む実施例7〜13の樹脂組成物によって形成された可撓性樹脂層は、弾性率が低く高い可撓性を有するとともに、透明性並びに段差埋め込み性に優れていることが分かる。一方、スチレン系エラストマー以外のエラストマを含む比較例1、2の樹脂組成物によって形成された可撓性樹脂層は、可撓性、透明性または段差埋め込み性に劣ることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の可撓性樹脂組成物及び樹脂フィルムは、可撓性及び透明性、さらには段差埋め込み性に優れ、これらはウェアラブル機器の回路基板を保護するための封止層として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0094】
1…可撓性基板、2…回路部品、3…可撓性樹脂層(可撓性部材)、100…半導体装置。
図1
図2
図3
図4