特許第6624076号(P6624076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624076
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】カルバメート化合物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 239/30 20060101AFI20191216BHJP
   A01N 47/20 20060101ALI20191216BHJP
   A01N 47/22 20060101ALI20191216BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20191216BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   C07D239/30CSP
   A01N47/20 Z
   A01N47/22 C
   A01P3/00
   A01N25/02
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-569304(P2016-569304)
(86)(22)【出願日】2016年1月5日
(86)【国際出願番号】JP2016050075
(87)【国際公開番号】WO2016114164
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2018年11月30日
(31)【優先権主張番号】特願2015-3944(P2015-3944)
(32)【優先日】2015年1月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】秋岡 由貴
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−255191(JP,A)
【文献】 特表2004−531551(JP,A)
【文献】 特表平07−502747(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103910670(CN,A)
【文献】 国際公開第2015/005499(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A01N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

〔式中、
1は水素原子又はC1−C3アルキル基を表し;
2、R3、R4及びR5は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルキル基、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC3−C4シクロアルキル基又は1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルコキシ基を表し;
1はハロゲン原子を表し;
2はハロゲン原子又はC1−C3アルキル基を表し;
mは0から2のいずれかの整数
を表す。〕
で示されるカルバメート化合物。
【請求項2】
1が水素原子であり、R2、R3、R4及びR5が水素原子又はメチル基であり、Z2がメチル基であり、mが1である請求項1に記載のカルバメート化合物。
【請求項3】
1が水素原子であり、R2が水素原子又はメチル基であり、R3、R4及びR5が水素原子であり、Z2がメチル基であり、mが1である請求項1に記載のカルバメート化合物。
【請求項4】
1が水素原子であり、R2が水素原子又はメチル基であり、R3、R4及びR5が水素原子であり、Z1がフッ素原子であり、Z2がメチル基であり、mが1である請求項1に記載のカルバメート化合物。
【請求項5】
1が水素原子であり、R2、R3、R4及びR5が水素原子又はメチル基であり、mが0である請求項1に記載のカルバメート化合物。
【請求項6】
1が水素原子であり、R2が水素原子又はメチル基であり、R3、R4及びR5が水素原子であり、mが0である請求項1に記載のカルバメート化合物。
【請求項7】
1が水素原子であり、R2が水素原子又はメチル基であり、R3、R4及びR5が水素原子であり、Z1がフッ素原子であり、mが0である請求項1に記載のカルバメート化合物。
【請求項8】
式(I)

〔式中、
1は水素原子又はC1−C3アルキル基を表し;
2、R3、R4及びR5は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルキル基、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC3−C4シクロアルキル基又は1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルコキシ基を表し;
1はハロゲン原子を表し;
2はハロゲン原子又はC1−C3アルキル基を表し;
mは0から2のいずれかの整数を表す。〕
で示されるカルバメート化合物を有効成分として含有する植物病害防除剤。
【請求項9】
式(I)

〔式中、
1は水素原子又はC1−C3アルキル基を表し;
2、R3、R4及びR5は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルキル基、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC3−C4シクロアルキル基又は1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルコキシ基を表し;
1はハロゲン原子を表し;
2はハロゲン原子又はC1−C3アルキル基を表し;
mは0から2のいずれかの整数
を表す。〕
で示されるカルバメート化合物の有効量を植物又は植物の栽培地に処理することによる植物病害の防除方法。
【請求項10】
植物病害を防除するための、式(I)

〔式中、
1は水素原子又はC1−C3アルキル基を表し;
2、R3、R4及びR5は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルキル基、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC3−C4シクロアルキル基又は1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルコキシ基を表し;
1はハロゲン原子を表し;
2はハロゲン原子又はC1−C3アルキル基を表し;
mは0から2のいずれかの整数を表す。〕
で示されるカルバメート化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカルバメート化合物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
植物病害を防除するために使用できる化合物として、例えば下記式(X)
【0003】
で示される化合物が知られている。(米国特許第5824705号参照。)
【発明の概要】
【0004】
本発明は植物病害に対して優れた防除効力を有する化合物を提供する。
本発明によれば、式(I)
【0005】
〔式中、
1は水素原子又はC1−C3アルキル基を表し;
2、R3、R4及びR5は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルキル基、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC3−C4シクロアルキル基又は1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルコキシ基を表し;
1はハロゲン原子を表し;
2はハロゲン原子又はC1−C3アルキル基を表し;
mは0から2のいずれかの整数(ここで、mが2の場合、2つのZ2は同一でも異なっていてもよい。)を表す。〕
で示されるカルバメート化合物が植物病害に対して優れた防除効力を有する。
【発明を実施するための態様】
【0006】
本明細書中の「1以上のハロゲン原子を有していてもよい」という表現において、2以上のハロゲン原子を有する場合、それらのハロゲン原子は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0007】
本明細書において、「C1−C3」、「C3−C4」及び「C1−C5」の表記は、各々炭素原子数が1乃至3、3乃至4及び1乃至5であることを意味する。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
【0008】
本発明のカルバメート化合物の態様としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
【0009】
本発明のカルバメート化合物において、
1が水素原子又はメチル基であるカルバメート化合物、
1が水素原子であるカルバメート化合物、
1がメチル基であるカルバメート化合物、
2、R3、R4及びR5が水素原子であるカルバメート化合物、
2がハロゲン原子、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルキル基、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC3−C4シクロアルキル基又は1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルコキシ基であり、R3、R4及びR5が水素原子であるカルバメート化合物、
2がハロゲン原子であり、R3、R4及びR5が水素原子であるカルバメート化合物、
2が1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルキル基であり、R3、R4及びR5が水素原子であるカルバメート化合物、
2が1以上のハロゲン原子を有していてもよいC3−C4シクロアルキル基であり、R3、R4及びR5が水素原子であるカルバメート化合物、
2が1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルコキシ基であり、R3、R4及びR5が水素原子であるカルバメート化合物、
5がハロゲン原子、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルキル基、1以上のハロゲン原子を有していてもよいC3−C4シクロアルキル基又は1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルコキシ基であり、R2、R3及びR4が水素原子であるカルバメート化合物、
5がハロゲン原子であり、R2、R3及びR4が水素原子であるカルバメート化合物、
5が1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルキル基であり、R2、R3及びR4が水素原子であるカルバメート化合物、
5が1以上のハロゲン原子を有していてもよいC3−C4シクロアルキル基であり、R2、R3及びR4が水素原子であるカルバメート化合物、
5が1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルコキシ基であり、R2、R3及びR4が水素原子であるカルバメート化合物、
1が水素原子であり、R2が水素原子又は1以上のハロゲン原子を有していてもよいC1−C3アルキル基であり、R3、R4及びR5が水素原子であり、mが1であり、Z2がC1−C3アルキル基であるカルバメート化合物、
1が水素原子であり、R2が水素原子、C1−C3アルキル基、C3−C4シクロアルキル基又はC1−C3アルコキシ基であり、R3、R4及びR5が水素原子であり、Z2がC1−C3アルキル基であり、mが0又は1であるカルバメート化合物、
1が水素原子であり、R2が水素原子又はC1−C3アルキル基であり、R3、R4及びR5が水素原子であり、Z2がC1−C3アルキル基であり、mが0又は1であるカルバメート化合物、
1が水素原子であり、R2、R3、R4及びR5が水素原子又はメチル基であり、Z2がメチル基であり、mが1であるカルバメート化合物、
1が水素原子であり、R2が水素原子又はメチル基であり、R3、R4及びR5が水素原子であり、Z2がメチル基であり、mが1であるカルバメート化合物、
1が水素原子であり、R2が水素原子又はメチル基であり、R3、R4及びR5が水素原子であり、Z1がフッ素原子であり、Z2がメチル基であり、mが1であるカルバメート化合物、
1が水素原子であり、R2、R3、R4及びR5が水素原子又はメチル基であり、mが0であるカルバメート化合物、
1が水素原子であり、R2が水素原子又はメチル基であり、R3、R4及びR5が水素原子であり、mが0であるカルバメート化合物。
1が水素原子であり、R2が水素原子又はメチル基であり、R3、R4及びR5が水素原子であり、Z1がフッ素原子であり、mが0であるカルバメート化合物。
【0010】
本発明のカルバメート化合物は、例えば以下の製造法により製造することができる。
製造法A
本発明のカルバメート化合物は、式(A1)で示される化合物(以下、化合物(A1)と記す。)と式(A2)で示される化合物(以下、化合物(A2)と記す。)とを塩基及びパラジウム触媒の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0011】

〔式中、X3は塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、Z10はジC1−C3アルコキシボラニル基又は4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル基を表し、R1、R2、R3、R4、R5、Z1、Z2及びmは前記と同じ意味を有する。〕
反応は通常溶媒中で行われる。溶媒としては例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコ−ルジメチルエ−テル、アニソール、メチルtert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の酸アミド、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、水及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0012】
パラジウム触媒としては例えば、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物が挙げられる。
【0013】
塩基としては例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢酸塩及びリン酸三カリウムが挙げられる。
【0014】
反応には、通常化合物(A1)1モルに対して、化合物(A2)が1〜10モルの割合、パラジウム触媒が0.0001〜1モルの割合、塩基が1〜10モルの割合で用いられる。
【0015】
反応温度は通常0〜150℃の範囲内であり、反応時間は通常0.1〜24時間の範囲内である。
【0016】
反応終了後は、反応混合物を有機溶媒で抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより本発明化合物を単離することができる。
製造法B
本発明のカルバメート化合物は、式(B1)で示される化合物(以下、化合物(B1)と記す。)とクロロギ酸メチルとを反応させることにより製造することができる。
【0017】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、Z1、Z2及びmは前記と同じ意味を有する。〕
反応は通常溶媒中で行われる。溶媒としては、製造法Aで述べた炭化水素、エーテル、ハロゲン化炭化水素、酸アミド、エステル、スルホキシド、ケトン、ニトリル、水及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0018】
反応には化合物(B1)1モルに対して、クロロギ酸メチルが通常1〜10モルの割合で用いられる。
【0019】
反応温度は通常−20〜150℃の範囲内であり、反応時間は通常0.1〜24時間の範囲内である。
【0020】
反応は必要に応じて、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩等の塩基を加えてもよく、塩基は通常化合物(B1)1モルに対して、0.05〜5モルの割合で用いられる。
【0021】
反応終了後は反応混合物を有機溶媒で抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、本発明のカルバメート化合物を単離することができる。
【0022】
以下に中間体化合物の合成方法を記載する。
参考製造法A−1
化合物(A1)は、パラジウム触媒の存在下、式(A3)で示される化合物(以下、化合物(A3)と記す。)とホウ素化合物とを、宮浦-石山ホウ素化反応(Miyaura-Ishiyama Borylation)にしたがって反応させることにより製造することができる。また、Angewandte Chemie, International Edition, 46, 5359-5363 (2007)を参考にすることもできる。
【0023】
〔式中、X1は塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、R1、R2、R3、R4、R5及びZ10は前記と同じ意味を有する。〕
参考製造法A−2
化合物(A3)は、式(A4)で示される化合物(以下、化合物(A4)と記す。)とクロロギ酸メチルとを製造法Bに記載の方法と同様に反応させることにより製造することができる。
【0024】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5及びX1は前記と同じ意味を有する。〕
参考製造法A−3
化合物(A4)は、式(A5)で示される化合物(以下、化合物(A5)と記す。)と還元剤とを触媒の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0025】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5及びX1は前記と同じ意味を有する。〕
反応は通常溶媒中で行われる。溶媒としては例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコ−ルジメチルエ−テル、アニソール、メチルtert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
還元剤としては例えば、水素化ホウ素カリウム及び水素化ホウ素ナトリウムが挙げられる。
【0027】
触媒としては例えば、塩化銅(I)、鉄粉及びパラジウムが挙げられる。
【0028】
反応には化合物(A5)1モルに対して、還元剤が通常1〜10モルの割合、触媒が通常0.5モル〜10モルの割合で用いられる。
【0029】
反応温度は通常−20〜150℃の範囲内であり、反応時間は通常0.1〜24時間の範囲内である。
【0030】
反応終了後は、反応混合物を有機溶媒で抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、化合物(A4)を単離することができる。
参考製造法A−4
化合物(A5)は、式(A6)で示される化合物(以下、化合物(A6)と記す。)と式(A7)で示される化合物(以下、化合物(A7)と記す。)とを塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0031】
〔式中、X2は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メシルオキシ基及びトシルオキシ基等の脱離基を表し、R1、R2、R3、R4、R5及びX1は前記と同じ意味を有する。〕
反応は米国特許公開第2015/203511号の製造法Nに記載の方法に準じて実施することができる。
参考製造法B−1
化合物(B1)は式(B2)で示される化合物(以下、化合物(B2)と記す。)と還元剤とを触媒の存在下で、参考製造法A−3に記載の方法と同様に反応させることにより製造することができる。
【0032】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、Z1、Z2及びmは前記と同じ意味を有する。〕
参考製造法B−2
化合物(B2)は化合物(A7)と式(B3)で示される化合物(以下、化合物(B3)と記す。)とを塩基の存在下で参考製造法A−4に記載の方法と同様に反応させることにより製造することができる。
【0033】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、X2、Z1、Z2及びmは前記と同じ意味を有する。〕
参考製造法B−3
化合物(B3)は式(B4)で示される化合物(以下、化合物(B4)と記す。)とプロトン酸とを反応させることにより製造することができる。
【0034】
〔式中、R11はC1−C5アルキル基を表し、R1、Z1、Z2及びmは前記と同じ意味を有する。〕
反応は、通常溶媒中で行われる。溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、水、酢酸及びこれらの混合物が挙げられる。
【0035】
プロトン酸としては例えば、塩酸、臭化水素酸及び硫酸が挙げられる。
【0036】
反応には通常、大過剰量のプロトン酸を使用する。
【0037】
反応温度は通常−20〜150℃の範囲内であり、反応時間は通常0.1〜100時間の範囲内である。
【0038】
反応終了後は、反応混合物を有機溶媒で抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより化合物(B3)を単離することができる。
参考製造法B−4
化合物(B4)は式(B5)で示される化合物(以下、化合物(B5)と記す。)と化合物(A2)とを塩基及びパラジウム触媒の存在下で製造法Aに記載の方法と同様に反応させることにより製造することができる。
【0039】
〔式中、Z11は、ジアルコキシボラニル基、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル基又はボロノ基を表し、R1、R11、X3、Z1、Z2及びmは前記と同じ意味を有する。〕
上記の製造法及び参考製造法により製造される各化合物は、公知の手段、例えば結晶化、再結晶化、クロマトグラフィー等の方法により精製することができる。
【0040】
本発明のカルバメート化合物は、そのまま使用することもできるが、通常は固体担体、液体担体、界面活性剤等と混合し、必要により固着剤、分散剤、安定剤等の製剤用補助剤を添加して、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、粒剤、ドライフロアブル剤、乳剤、水性液剤、油剤、くん煙剤、エアゾ−ル剤、マイクロカプセル剤等に製剤化して用いる。これらの製剤には本発明のカルバメート化合物が通常0.1〜99重量%、好ましくは0.2〜90重量%含有される。
【0041】
固体担体としては例えば、粘土類(例えば、カオリン、珪藻土、合成含水酸化珪素、フバサミクレ−、ベントナイト、酸性白土)、タルク、パイロフィライト、その他の無機鉱物(例えば、セリサイト、石英粉末、硫黄粉末、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ)等の微粉末あるいは粒状物が挙げられ、液体担体としては例えば、水、アルコ−ル、ケトン、炭化水素、エステル、ニトリル、エ−テル、酸アミド、ハロゲン化炭化水素が挙げられる。
【0042】
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリ−ルスルホン酸塩、アルキルアリ−ルエ−テル及びそのポリオキシエチレン化物、ポリオキシエチレングリコ−ルエ−テル、多価アルコ−ルエステル、糖アルコ−ル誘導体が挙げられる。
【0043】
その他の製剤用補助剤としては、例えば固着剤、分散剤、安定剤があげられ、具体的にはカゼイン、ゼラチン、多糖類(例えば、デンプン、アラビヤガム、セルロ−ス誘導体、アルギン酸)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖、合成水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸)、PAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノ−ル)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノ−ルと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノ−ルとの混合物)、植物油、鉱物油、脂肪酸及び脂肪酸エステルが挙げられる。
上述の製剤化された本発明のカルバメート化合物は、施用の際に水等で希釈されることがあるが、その際、鉱物油、植物油などの各種オイル又は界面活性剤等の展着剤と混合して施用してもよい。混合して用いられる具体的な展着剤の例としてはNimbus(登録商標)、Assist(登録商標)、Aureo(登録商標)、Iharol(登録商標)、Silwet L−77(登録商標)、BreakThru(登録商標)、SundanceII(登録商標)、Induce(登録商標)、Penetrator(登録商標)、AgriDex(登録商標)、Lutensol A8(登録商標)、NP−7(登録商標)、Triton(登録商標)、Nufilm(登録商標)、Emulgator NP7(登録商標)、Emulad(登録商標)、TRITON X 45(登録商標)、AGRAL 90(登録商標)、AGROTIN(登録商標)、ARPON(登録商標)、EnSpray N(登録商標)、BANOLE(登録商標)が挙げられる。
【0044】
本発明のカルバメート化合物を施用する方法は特に限定されないが、例えば茎葉散布等の植物体への処理、種子消毒等の種子への処理などの植物への処理、土壌処理などの植物の栽培地への処理が挙げられる。
【0045】
本発明のカルバメート化合物は、畑、水田、芝生、果樹園等の農耕地における植物病害の防除剤として使用することができ、以下に挙げられる植物を栽培する農耕地等において、病害を防除することができる。
農作物;トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、ピ−ナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等、野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピ−マン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキ−ニ、スイカ、メロン等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コ−ルラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリ−、カリフラワ−等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、ア−ティチョ−ク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等、
花卉、観葉植物、
果樹;仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プル−ン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレ−プフル−ツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、ア−モンド、ピスタチオ、カシュ−ナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブル−ベリ−、クランベリ−、ブラックベリ−、ラズベリ−等)、ブドウ、カキ、オリ−ブ、ビワ、バナナ、コ−ヒ−、ナツメヤシ、ココヤシ等、
果樹以外の樹;チャ、クワ、花木、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユ−カリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ)等。
【0046】
上記の植物には遺伝子組換え作物も含まれる。
【0047】
本発明化合物により防除することができる植物病害としては、例えば糸状菌、細菌、ウイルス等による植物病害が挙げられ、具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
イネのいもち病(Magnaporthe grisea)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)、黄化萎縮病(Sclerophthora macrospora);コムギのうどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum、F. avenaceum、F. culmorum、Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis、P. graminis、P. recondita)、紅色雪腐病(Micronectriella nivale, M.majus)、雪腐小粒菌核病(Typhula sp.)、裸黒穂病(Ustilago tritici)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries、T.controversa)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Stagonospora nodorum)、黄斑病(Pyrenophora tritici-repentis)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)、立枯病(Gaeumannomyces graminis);オオムギのうどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum、F. avenaceum、F. culmorum、Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis、P.graminis、P.hordei)、裸黒穂病(Ustilago nuda)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、網斑病(Pyrenophora teres)、斑点病(Cochliobolus sativus)、斑葉病(Pyrenophora graminea)、ラムラリア病(Ramularia collo−cygni)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani);トウモロコシのさび病(Puccinia sorghi)、南方さび病(Puccinia polysora)、すす紋病(Setosphaeria turcica)、熱帯性さび病)(Physopella zeae)、ごま葉枯病(Cochliobolus heterostrophus)、炭そ病(Colletotrichum graminicola)、グレーリーフスポット病(Cercospora zeae−maydis)、褐斑病(Kabatiella zeae)、ファエオスファエリアリーフスポット病(Phaeosphaeria maydis)、ディプローディア病(Stenocarpella maydis、Stenocarpella macrospora)、ストークロット病(Fusarium graminearum、Fusarium verticilioides、Colletotrichum graminicola)、黒穂病(Ustilago maydis);ワタの炭そ病(Colletotrichum gossypii)、白かび病(Ramuraria areola)、黒斑病(Alternaria macrospora、A.gossypii)、Thielaviopsis属菌によるBlack root rot病 (Thielaviopsis basicola);コーヒーのさび病(Hemileia vastatrix)、リーフスポット病(Cercospora coffeicola);ナタネの菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、黒斑病(Alternaria brassicae)、根朽病(Phoma lingam);サトウキビのさび病 (Puccinia melanocephela、Puccinia kuehnii)、黒穂病 (Ustilago scitaminea);ヒマワリさび病 (Puccinia helianthi)、べと病(Plasmopara halstedii);カンキツ類の黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitatum、P. italicum)、疫病 (Phytophthora parasitica、Phytophthora citrophthora);リンゴのモニリア病(Monilinia mali)、腐らん病(Valsa ceratosperma)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria alternata apple pathotype)、黒星病(Venturia inaequalis)、炭そ病(Glomerella cingulata)、褐斑病(Diplocarpon mali)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)、疫病 (Phytophtora cactorum);ナシの黒星病(Venturia nashicola、V. pirina)、黒斑病(Alternaria alternata Japanese pear pathotype)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum);モモの灰星病(Monilinia fructicola)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.);ブドウの黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii)、べと病(Plasmopara viticola);カキの炭そ病(Gloeosporium kaki)、落葉病(Cercospora kaki、Mycosphaerella nawae);ウリ類の炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Didymella bryoniae)、褐斑病(Corynespora cassiicola)、つる割病(Fusarium oxysporum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病(Phytophthora sp.)、苗立枯病(Pythium sp.);トマトの輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、すすかび病(Pseudocercospora fuligena)、疫病(Phytophthora infestans)、うどんこ病(Leveillula taurica);ナスの褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum);アブラナ科野菜の黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae)、根こぶ病(Plasmodiophora brassicae)、べと病(Peronospora parasitica);ネギのさび病(Puccinia allii);ダイズの紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var. sojae)、さび病(Phakopsora pachyrhizi)、褐色輪紋病(Corynespora cassiicola)、炭疽病(Colletotrithum glycines、C.truncatum)、葉腐病(Rhizoctonia solani)、褐紋病(Septoria glycines)、斑点病(Cercospora sojina)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、うどんこ病(Microspaera diffusa)、茎疫病 (Phytophthora sojae)、べと病(Peronospora manshurica)、突然死病(Fusarium virguliforme);インゲンの菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、さび病(Uromyces appendiculatus)、角斑病(Phaeoisariopsis griseola)、炭そ病(Colletotrichum lindemuthianum)、;ラッカセイの黒渋病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola)、白絹病(Sclerotium rolfsii);エンドウのうどんこ病(Erysiphe pisi);ジャガイモの夏疫病(Alternaria solani)、疫病(Phytophthora infestans)、緋色腐敗病 (Phytophthora erythroseptica)、粉状そうか病 (Spongospora subterranean f. sp. subterranea)、半身萎凋病(Verticillium albo−atrum、V. dahliae、V. nigrescens);イチゴのうどんこ病(Sphaerotheca humuli);チャの網もち病(Exobasidium reticulatum)、白星病(Elsinoe leucospila)、輪斑病(Pestalotiopsis sp.)、炭そ病(Colletotrichum theae−sinensis);タバコの赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum)、べと病(Peronospora tabacina)、疫病(Phytophthora nicotianae);テンサイの褐斑病(Cercospora beticola)、葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、根腐病(Thanatephorus cucumeris)、黒根病(Aphanomyces cochlioides);バラの黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa);キクの褐斑病(Septoria chrysanthemi−indici)、白さび病(Puccinia horiana);タマネギの白斑葉枯病(Botrytis cinerea、B. byssoidea、B. squamosa)、灰色腐敗病(Botrytis allii)、小菌核性腐敗病(Botrytis squamosa);種々の作物の灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum);ダイコン黒斑病(Alternaria brassicicola);シバのダラ−スポット病(Sclerotinia homoeocarpa)、シバのブラウンパッチ病及びラ−ジパッチ病(Rhizoctonia solani)並びにバナナのシガトカ病(Mycosphaerella fijiensis、Mycosphaerella musicola)。
Aspergillus属、Penicillium属、Fusarium属、Gibberella属、Tricoderma属、Thielaviopsis属、Rhizopus属、Mucor属、Corticium属、Phoma属、Rhizoctonia属及びDiplodia属菌により引き起こされる各種作物の種子病害及び生育初期の病害。
イネの苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii);キュウリの斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv. Lachrymans);ナスの青枯病(Ralstonia solanacearum)、カンキツのかいよう病(Xanthomonas citiri)及びハクサイの軟腐病(Erwinia carotovora)。
Polymixa属及びOlpidium属により媒介される各種作物のウイルス病。
【実施例】
【0048】
以下、製造例、参考製造例、製剤例及び試験例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
【0049】
1H−NMRはプロトン核磁気共鳴スペクトルであり、内部標準物質としてテトラメチルシランを用い、ケミカルシフト(δ)をppmで表記した。
製造例1
後述する参考製造例4に記載の中間体(16A)0.42g、2−クロロ−5−フルオロピリミジン0.18ml、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン付加物0.02g、リン酸三カリウム0.64g、1,2−ジメトキシエタン4ml及び水0.4mlの混合物を85℃で4時間攪拌した。冷却後、反応混合物を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、下記で示される本発明化合物1を0.25g得た。
【0050】
製造例1に記載の方法に準じて製造した化合物及びその物性値を以下に示す。
式(a)
【0051】
で示される化合物において、Z21、Z22、Z23及びR21が[表1]で示される化合物。
【0052】
【表1】
【0053】

本発明化合物1
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.62 (2H, d), 8.25 (1H, dd), 8.22 (1H, d), 7.79 (1H, brs), 7.48 (1H, brs), 7.29 (1H, t), 7.09 (1H, d), 7.01 (1H, d), 5.17 (2H, s), 3.75 (3H, s), 2.43 (3H, s), 2.30 (3H, s)
本発明化合物2
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.61 (2H, s), 8.23-8.21 (2H, m), 8.01 (1H, brs), 7.64 (1H, brs), 7.42-7.37 (1H, m), 7.35-7.32 (1H, m), 7.12-7.10 (1H, m), 7.06-7.05 (1H, m), 5.17 (2H, s), 3.77 (3H, s), 2.34 (3H, s)
本発明化合物3
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.46 (1H, d), 8.25-8.21 (2H, m), 7.78 (1H, brs), 7.49 (1H, brs), 7.28 (1H, t), 7.07 (1H, d), 7.00 (1H, d), 5.17 (2H, s), 3.75 (3H, s), 2.59 (3H, d), 2.43 (3H, s), 2.29 (3H, s)
本発明化合物4
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.45 (1H, d), 8.22-8.21 (2H, m), 8.02 (1H, brs), 7.67 (1H, brs), 7.41-7.38 (1H, m), 7.34-7.32 (1H, m), 7.10 (1H, td), 7.04 (1H, d), 5.16 (2H, s), 3.77 (3H, s), 2.58 (3H, d), 2.33 (3H, s)
次に、上記の本発明化合物の製造中間体の参考製造例を示す。
参考製造例1
2−(ブロモメチル)−3−メチルニトロベンゼン4.0g、4−ブロモ−2−メチルフェノール2.4g、炭酸カリウム4.8g及びアセトニトリル40mlの混合物を5時間加熱還流した。反応液をセライト(登録商標)でろ過した後、ろ液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、下記で示される中間体(1A)3.2gを得た。
【0054】
参考製造例1に記載の方法に準じて製造した化合物及びその物性値を以下に示す。
式(aA)
【0055】
で示される化合物において、R21、R31、R41及びR51が[表2]で示される化合物。
【0056】
【表2】
【0057】

中間体(1A)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 7.74 (1H, d), 7.62 (1H, d), 7.53 (1H, t), 7.39-7.32 (2H, m), 7.04 (1H, d), 5.20 (2H, s), 2.50 (3H, s), 2.03 (3H, s)
中間体(2A)
1H NMR (CDCl3) δ: 8.17 (1H, d), 7.87 (1H, d), 7.70 (1H, t), 7.51 (1H, t), 7.31 (1H, d), 7.24 (1H, d), 6.74 (1H, d), 5.46 (2H, s), 2.31 (3H, s)
中間体(3A)
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.10 (1H, d), 7.65 (1H, s), 7.34-7.21 (3H, m), 6.75 (1H, d), 5.44 (2H, s), 2.47 (3H, s), 2.31(3H, s).
中間体(4A)
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.98 (1H, s), 7.71 (1H, d), 7.49 (1H, d), 7.32-7.18 (2H, m), 6.72 (1H, d), 5.41 (2H, s), 2.46 (3H, s), 2.29 (3H, s)
中間体(5A)
1H NMR (CDCl3) δ: 7.50-7.38 (2H, m), 7.32-7.18 (3H, m), 6.67 (1H, d), 5.09 (2H, s), 2.39 (3H, s), 2.22 (3H, s)
参考製造例2
中間体(1A)3.2g、塩化銅(I)2.9g及びメタノール50mlの混合物に氷冷下、水素化ホウ素カリウム3.3gを加え、氷冷下で1時間攪拌した。反応液をセライト(登録商標)でろ過した後、ろ液を減圧濃縮して得られた残渣に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で濃縮して、下記で示される中間体(6A)2.0gを得た。
【0058】
参考製造例2に記載の方法に準じて製造した化合物及びその物性値を以下に示す。
式(bA)
【0059】
で示される化合物において、R21、R31、R41及びR51が[表3]で示される化合物。
【0060】
【表3】
【0061】

中間体(6A)
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.32-7.25 (2H, m), 7.07 (1H, t), 6.88 (1H, d), 6.68-6.56 (2H, m), 5.03 (2H, s), 3.96 (2H, brs), 2.34 (3H, s), 2.16 (3H, s)
中間体(7A)
1H NMR (DMSO-d6) δ: 7.36-7.7.28 (2H, m), 7.22-7.7.16 (1H, m), 7.06-6.97 (2H, m), 6.67 (1H, d), 6.60-6.54 (1H, m), 5.05 (2H, brs), 4.96 (2H, s), 2.17 (3H, s)
中間体(8A)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 7.33-7.20 (2H, m), 6.99 (2H, d), 6.79-6.88 (1H, m), 6.65 (1H, d), 4.97 (2H, s), 3.91 (2H, brs), 2.26 (3H, s), 2.19 (3H, s)
中間体(9A)
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.30-7.21 (2H, m), 7.07 (1H, d), 6.83 (1H, d), 6.62-6.49 (2H, m), 4.98 (2H, s), 3.95 (2H, brs), 2.27 (3H, s), 2.18 (3H, s)
中間体(10A)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 7.26-7.21 (2H, m), 7.21-7.01 (2H, m), 6.90-6.81 (1H, s), 6.70 (1H, t), 5.02 (2H, s), 4.05 (2H, brs), 2.20 (3H, s), 2.19 (3H, s)
参考製造例3
中間体(6A)を2.0g、クロロホルム25ml及びピリジン1.1mlの混合溶液に、氷冷下でクロロギ酸メチルを0.5ml加え、室温下で30分間攪拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、下記で示される中間体(11A)を1.7g得た。
【0062】
参考製造例3に記載の方法に準じて製造した化合物及びその物性値を以下に示す。
式(cA)
【0063】
で示される化合物において、R21、R31、R41及びR51が[表4]で示される化合物。
【0064】
【表4】
【0065】

中間体(11A)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 9.07 (1H, brs), 7.30-7.38 (2H, m), 7.25 (2H, d), 7.12-6.96 (2H, m), 5.05 (2H, s), 3.60 (3H, s), 2.35 (3H, s), 2.06 (3H, s)
中間体(12A)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 9.0 (1H, brs), 7.47 (2H, t), 7.40-7.22 (3H, m), 7.25-7.16 (1H, m), 6.92 (1H, d), 5.12 (2H, s), 3.65 (3H, s), 2.17 (3H, s)
中間体(13A)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 8.89 (1H, brs), 7.38-7.23 (4H, m), 7.16-7.08 (1H, m), 6.92 (1H, d), 5.07 (2H, s), 3.63 (3H, s), 2.28 (3H, s), 2.16 (3H, s)
中間体(14A)
1H NMR (DMSO-d6) δ: 8.93 (1H, brs), 7.35-7.30 (4H, m), 6.98 (1H, d), 6.90 (1H, d), 5.07 (2H, s), 3.64 (3H, s), 2.29 (3H, s), 2.15 (3H, s)
中間体(15A)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 8.80 (1H, brs), 7.34 (1H, d), 7.31-7.25 (2H, m), 7.26-7.17 (2H, m), 6.86 (1H, d), 5.05 (2H, s), 3.62 (3H, s), 2.20 (3H, s), 2.18 (3H, s)
参考製造例4
中間体(11A)0.50g、ビス(ピナコラト)ジボロン0.42g、酢酸カリウム0.40g、1,4−ジオキサン10ml及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン付加物0.06gの混合物を16時間加熱還流した。反応液をセライト(登録商標)でろ過した後、ろ液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、下記で示される中間体(16A)0.35gを得た。
【0066】
参考製造例4に記載の方法に準じて製造した化合物及びその物性値を以下に示す。
式(dA)
【0067】

で示される化合物において、R21、R31、R41及びR51が[表5]で示される化合物。
【0068】
【表5】
【0069】

中間体(16A)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 9.08 (1H, brs), 7.51 (1H, d), 7.44 (1H, s), 7.25 (2H, t), 7.12-7.02 (2H, m), 5.09 (2H, s), 3.61 (3H, s), 2.35 (3H, s), 2.07 (3H, s), 1.27 (12H, s)
中間体(17A)
1H NMR (DMSO-d6) δ: 9.01 (1H, brs), 7.42-7.56 (4H, m), 7.38-7.26 (1H, m), 7.24-7.13 (1H, m), 6.97 (1H, d), 5.17 (2H, s), 3.66 (3H, s), 2.19 (3H, s), 1.27 (12H, s)
中間体(18A)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 8.89 (1H, brs), 7.48 (2H, d), 7.24-7.36 (2H, m), 7.11 (1H, dd), 6.96 (1H, d), 5.10 (2H, s), 3.63 (3H, s), 2.28 (3H, s), 2.18 (3H, s), 1.27 (12H, s)
中間体(19A)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 8.93 (1H, brs), 7.47 (2H, d), 7.32 (2H, t), 6.97 (2H, t), 5.11 (2H, s), 3.64 (3H, s), 2.29 (3H, s), 2.16 (3H, s), 1.27 (12H, s)
中間体(20A)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 8.8 (1H, brs), 7.46 (2H, d), 7.31 (1H, dd), 7.25-7.17 (2H, m), 6.91 (1H, d), 5.09 (2H, s), 3.62 (3H, s), 2.20 (3H, s), 2.19 (3H, s), 1.27 (12H, s)
上記の方法に準じて化合物HA1001−1〜化合物HA1036−50を得ることができる。化合物HA1001−1〜化合物HA1036−50は、下記で示されるカルバメート化合物〔式中、Eは、以下に示す置換基番号1〜50のいずれかを表す。〕である。下記の[置換基番号;E]において、Meはメチルを表し、Etはエチルを表し、Fはフルオロを表し、Clはクロロを表し、Brはブロモを表し、Iはヨードを表し、PYR2はピリミジン−2−イル基を表す。
【0070】

【0071】

[置換基番号;E]
[1;4-F-PYR2], [2;4-Cl-PYR2], [3;4-Br-PYR2], [4;4-I-PYR2], [5;5-F-PYR2], [6;5-Cl-PYR2], [7;5-Br-PYR2], [8;5-I-PYR2], [9;4-Me-5-F-PYR2], [10;4-Me-5-Cl-PYR2], [11;4-Me-5-Br-PYR2], [12;4-Me-5-I-PYR2], [13;4-Et-5-F-PYR2], [14;4-Et-5-Cl-PYR2], [15;4-Et-5-Br-PYR2], [16;4-Et-5-I-PYR2], [17;4-F-5-F-PYR2], [18;4-F-5-Cl-PYR2], [19;4-F-5-Br-PYR2], [20;4-F-5-I-PYR2], [21;4-F-5-Me-PYR2], [22;4-Cl-5-F-PYR2], [23;4-Cl-5-Cl-PYR2], [24;4-Cl-5-Br-PYR2], [25;4-Cl-5-I-PYR2], [26;4-Cl-5-Me-PYR2], [27;4-Cl-5-Et-PYR2], [28;4-Br-5-F-PYR2], [29;4-Br-5-Cl-PYR2], [30;4-Br-5-Br-PYR2], [31;4-Br-5-I-PYR2], [32;4-Br-5-Me-PYR2], [33;4-Br-5-Et-PYR2], [34;4-I-5-F-PYR2], [35;4-I-5-Cl-PYR2], [36;4-I-5-Br-PYR2], [37;4-I-5-I-PYR2], [38;4-I-5-Me-PYR2], [39;4-I-5-Et-PYR2], [40;4-F-5-F-6-F-PYR2], [41;4-Me-5-F-6-Me-PYR2], [42;4-Et-5-F-6-Me-PYR2], [43;4-F-5-F-6-Me-PYR2], [44;4-Cl-5-F-6-Me-PYR2], [45;4-Me-5-Cl-6-Me-PYR2], [46;4-Et-5-Cl-6-Me-PYR2], [47;4-Me-5-Br-6-Me-PYR2], [48;4-Et-5-Br-6-Me-PYR2], [49;4-Me-5-I-6-Me-PYR2], [50;4-Et-5-I-6-Me-PYR2]
例えばHA1001-20とは、式(HA1001)で示される化合物において、置換基番号が20である化合物であり、下記構造の化合物である。
【0072】

次に製剤例を示す。以下の製剤例において、部は重量部を意味する。
製剤例1
化合物HA1001−1〜化合物HA1036−50のいずれか50部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸マグネシウム2部及び合成含水酸化珪素45部をよく粉砕混合することにより製剤を得る。
製剤例2
化合物HA1001−1〜化合物HA1036−50のいずれか20部とソルビタントリオレエ−ト1.5部とを、ポリビニルアルコ−ル2部を含む水溶液28.5部と混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中に、キサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケ−ト0.1部を含む水溶液40部を加え、さらにプロピレングリコ−ル10部を加えて攪拌混合して製剤を得る。
製剤例3
化合物HA1001−1〜化合物HA1036−50のいずれか2部、カオリンクレ−88部及びタルク10部をよく粉砕混合することにより製剤を得る。
製剤例4
化合物HA1001−1〜化合物HA1036−50のいずれか5部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ−テル14部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部及びキシレン75部をよく混合することにより製剤を得る。
製剤例5
化合物HA1001−1〜化合物HA1036−50のいずれか2部、合成含水酸化珪素1部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、ベントナイト30部及びカオリンクレ−65部をよく粉砕混合した後、水を加えてよく練り合せ、造粒乾燥することにより製剤を得る。
製剤例6
化合物HA1001−1〜化合物HA1036−50のいずれか20部、ホワイトカ−ボンとポリオキシエチレンアルキルエ−テルサルフェ−トアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部及び水45部を混合し、粉砕機で処理することにより製剤を得る。
次に、試験例を示す。
試験例1
プラスチックポットに土壌を詰め、そこにオオムギ(品種;ミカモゴールデン)を播種し、温室で7日間生育させた。製剤例6に準じて製剤化された本発明化合物1、3又は4に水を加えて所定濃度(500ppm)に調製した液を、上記オオムギの葉面に充分付着するように、各々茎葉散布した。散布後植物を風乾し、2日後にオオムギ網斑病菌(Pyrenophora teres)胞子の水懸濁液を噴霧接種した。接種後植物を昼間23℃、夜間20℃の温室内で多湿下に3日間置き、次に温室内で7日間栽培した後、病斑面積を調査した。その結果、本発明化合物1、3又は4を処理した植物における病斑面積はいずれも、無処理の植物における病斑面積の30%以下であった。
試験例2
プラスチックポットに土壌を詰め、そこにコムギ(品種;シロガネ)を播種し、温室内で9日間生育させた。製剤例6に準じて製剤化された本発明化合物1、3又は4に水を加えて所定濃度(500ppm)に調製した液を、上記コムギの葉面に充分付着するように各々茎葉散布した。散布後植物を風乾し、20℃、照明下で5日間栽培した後、コムギのさび病菌(Puccinia recondita)の胞子をふりかけ接種した。接種後植物を23℃、暗黒多湿下に1日間置いた後、20℃、照明下で8日間栽培し、病斑面積を調査した。その結果、本発明化合物1、3又は4を処理した植物における病斑面積はいずれも、無処理の植物における病斑面積の30%以下であった。
試験例3
プラスチックポットに土壌を詰め、そこにイネ(品種;日本晴)を播種し、温室内で20日間生育させた。その後、製剤例6に準じて製剤化された本発明化合物1又は3に水を加えて所定濃度(500ppm)に調製した液を、上記イネの葉面に充分付着するように各々茎葉散布した。散布後、植物を風乾し、昼間24℃、夜間20℃多湿下で、前記散布処理をしたイネと、イネいもち病菌(Magnaporthe grisea)に罹病したイネ苗(品種;日本晴)とを接触させながら6日間置いた後、病斑面積を調査した。その結果、本発明化合物1又は3を処理した植物における病斑面積はいずれも、無処理の植物における病斑面積の30%以下であった。
試験例4
プラスチックポットに土壌を詰め、インゲン(品種;長鶉菜豆)を播種し、温室内で8日間生育させた。製剤例6に準じて製剤化された本発明化合物1、3又は4に水を加えて所定濃度(500ppm)に調製した液を、上記インゲン葉面に充分付着するように各々茎葉散布した。散布後植物を風乾し、インゲン菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)の菌糸含有PDA培地をインゲン葉面上に置いた。接種後全てのインゲンは夜間のみ多湿下におき、接種4日後に病斑面積を調査した。その結果、本発明化合物1、3又は4を処理した植物における病斑面積はいずれも、無処理の植物における病斑面積の30%以下であった。
試験例5
プラスチックポットに土壌を詰め、そこにコムギ(品種;アポジ−)を播種し、温室内で10日間生育させた。製剤例6に準じて製剤化された本発明化合物1又は3に水を加えて所定濃度(500ppm)に調製した液を、上記コムギの葉面に充分付着するように各々茎葉散布した。散布後植物を風乾し、4日後にコムギ葉枯病菌(Septoria tritici)胞子の水懸濁液を噴霧接種した。接種後植物を18℃多湿下に3日間置き、次に照明下に14日から18日間置いた後、病斑面積を調査した。その結果、本発明化合物1又は3を処理した植物における病斑面積はいずれも、無処理の植物における病斑面積の30%以下であった。
試験例6
プラスチックポットに土壌を詰め、そこにキュウリ(品種;相模半白)を播種し、温室内で12日間生育させた。製剤例6に準じて製剤化された本発明化合物1、2、3又は4に水を加えて所定濃度(500ppm)に調製した液を、上記キュウリ葉面に充分付着するように各々茎葉散布した。散布後植物を風乾し、キュウリうどんこ病菌(Sphaerotheca fuliginea、チトクロームbをコードする遺伝子のうち、チトクロームbの143番目のアミノ酸残基がグリシンからアラニンに変異したQoI耐性株)胞子をふりかけ接種した。植物を昼間24℃、夜間20℃の温室で8日間栽培した後、病斑面積を調査した。その結果、本発明化合物1、2、3又は4を処理した植物における病斑面積はいずれも、無処理の植物における病斑面積の30%以下であった。
【0073】
一方、上記の本発明化合物に代えてN−(2−{[4−(ピリミジン−2−イル)フェノキシ]メチル}フェニル)カルバミン酸メチルを用いた同じ試験の結果は、無処理のコムギにおける病斑面積の70%以上であった。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明のカルバメート化合物は、植物病害に対して防除効力を有し、植物病害防除剤の有効成分として有用である。