特許第6624503号(P6624503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624503
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】シート材判別装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   B65H7/14
【請求項の数】10
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-225975(P2015-225975)
(22)【出願日】2015年11月18日
(65)【公開番号】特開2017-95197(P2017-95197A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】小林 幸文
(72)【発明者】
【氏名】牧野 英世
(72)【発明者】
【氏名】大渕 哲也
(72)【発明者】
【氏名】西村 和之
(72)【発明者】
【氏名】松本 到
(72)【発明者】
【氏名】尺長 憲昭
(72)【発明者】
【氏名】中山 聡
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−199578(JP,A)
【文献】 特開2015−108659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00 − 7/20
B65H 43/00 − 43/08
B65H 5/08 − 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材の表面に発光手段を発光させて照射した光を受光手段で受光して該シート材の情報を検出する情報検出手段と、該情報検出手段が検出した前記シート材の情報に基づいてシート材の判別を行う判別手段と、を備えたシート材判別装置であって、
シート材が載置されるシート材載置部と、載置したシート材を前記シート材載置部に向けて押圧でき、前記シート材載置部に対して接離可能なシート材押圧部とを備え、
前記シート材載置部と前記シート材押圧部とが、前記シート材を把持した状態で前記情報検出手段に対して移動可能なことを特徴とするシート材判別装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート材判別装置において、
前記シート材が検出開始位置にあることを検出するシートセット検出手段を有することを特徴とするシート材判別装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシート材判別装置において、
前記情報検出手段を保持する保持部を備え、
前記シート材載置部は、前記保持部に対して、載置部初期位置規制手段により初期位置が規制されていることを特徴とするシート材判別装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシート材判別装置において、
前記シート材押圧部は、前記シート材載置部に対して、押圧部初期位置保持手段により初期位置が保たれていることを特徴とするシート材判別装置。
【請求項5】
請求項3に記載のシート材判別装置において、
前記シート材押圧部は、前記保持部に対して、押圧部初期位置保持手段により初期位置が保たれていることを特徴とするシート材判別装置。
【請求項6】
請求項5に記載のシート材判別装置において、
前記シート材載置部は、前記シート材載置部に載置するときのシート材の移動方向であるシートセット方向およびこれとは逆方向のシート材の移動方向であるシート検出方向に移動可能に設けられ、
前記シート材押圧部と前記シート材載置部との間隔が所定の距離以内となった場合に、前記シート材押圧部に対する前記シート材載置部の前記シートセット方向への相対移動を、少なくとも規制することを特徴とするシート材判別装置。
【請求項7】
請求項6に記載のシート材判別装置において、
前記シート材押圧部と前記シート材載置部との間隔が、所定の距離以内となったことを検出する押圧部セット検出センサを有することを特徴とするシート材判別装置。
【請求項8】
請求項7に記載のシート材判別装置において、
前記シート材がシートセット位置にあることを検出するシートセット検出手段を有し、
前記押圧部セット検出センサで、前記シート材押圧部と前記シート材載置部との間隔が、所定の距離以内となったことを検出した後、前記シートセット検出手段が前記シート材を検出している状態から前記シート材を検出していない状態に切り替わったら、前記情報検出手段によるシート材の情報の検出を開始することを特徴とするシート材判別装置。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか一に記載のシート材判別装置において、
前記押圧部初期位置保持手段は、前記シート材押圧部の初期位置を所定の位置に規制する押圧部初期位置規制手段を有し、
前記押圧部初期位置規制手段による前記シート材押圧部の位置の規制は、前記シート材押圧部が前記シート材載置部に接する方向に移動することにより解除されることを特徴とするシート材判別装置。
【請求項10】
シート材に画像を形成する画像形成手段と、前記シート材の情報を検出し該シート材の判別を行うシート材判別装置と、を備えた画像形成装置において、
前記シート材判別装置として、請求項1乃至9のいずれか一に記載のシート材判別装置を画像形成装置外部に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材の判別を行うシート材判別装置、及びこのシート材判別装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷物の高画質化のために、用紙等のシート材の種類を自動的に判別し、判別されたシート材の種類に応じて画像形成条件を設定する画像形成装置が知られている。
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置には、シート材搬送路で搬送されているシート材の情報(以下、シート材情報という。)を判別するシート材判別装置が画像形成装置の内部に設けられている。
【0003】
このシート材判別装置は、シート材報を検出する情報検出手段である、発光手段と受光手段(読取手段)とを有する光学センサからなるシート材情報を検出する情報検出手段(記録材判別センサ)を備えている。この情報検出手段では、発光手段からシート材に向けて照射した光のうち、シート材(記録材)表面で反射した反射光を受光可能な位置に受光手段が設けられている。
そして、情報検出手段の発光手段を発光させて、シート材搬送路で搬送されているシート材に向けて光を照射し、シート材表面で反射した反射光を受光手段で受光して、その受光した反射光の光量などの光学的情報からシート材情報を検出する。
【0004】
また、このシート材判別装置では、上記検出を、搬送されているシート材の複数の個所において複数回にわたり行い、光学センサが検出したシート材情報に基づき、シート材の判別を行う判別手段である制御部によりシート材の判別を行っている。すなわち、このシート材判別装置は、情報検出手段に対して相対移動しているシート材の複数個所のシート材情報を、情報検出手段で検出したシート材情報に基づき、シート材の判別を行う判別手段である制御部によりシート材の判別を行っている。
そして、このシート材判別装置を内部に設けた画像形成装置では、シート材判別装置の判別結果、つまり、シート材の種類に応じた画像形成条件を設定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、画像形成装置の内部(シート材搬送路)にシート材判別装置を設ける構成には、次のような問題があった。
搬送時にカールや波打ちなどの変形が引き起こされたシート材の変形箇所に、光学センサの発光手段から光を照射した場合には、変形の状態に応じてシート材表面での光の反射のされ方が違うので、受光手段で受光される光の光学的情報が異なる。このため、正確なシート材情報が検出できずに、シート材の判別精度が低下してしまうおそれがある。
【0006】
一方、発明者らは、画像形成装置の内部ではなく画像形成装置の外部に設け、情報検出手段に対してシート材を相対移動させるために、シート材を載置する移動可能なシート材載置部を備えるシート材判別装置の開発を行っている。このシート材判別装置では、シート材情報を検出するときに、利用者(ユーザ)がシート材を載置したシート材載置部を情報検出手段に対して相対移動させて、シート材の複数箇所の情報を検出する。
【0007】
ところが、このシート判別装置では、次のような不具合が生じるおそれがあることが分かった。
利用者が、シート材を載置したシート材載置部を、情報検出手段に対して相対移動させてシート材情報を検出するときに、シート材載置部上に載置したシート材の被検出範囲がズレたり、バタついたりして情報検出手段による検出精度が低下するおそれである。
このようにシート材情報の検出精度が低下してしまうと、シート材の判別精度も低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、シート材の表面に発光手段を発光させて照射した光を受光手段で受光して該シート材の情報を検出する情報検出手段と、該情報検出手段が検出した前記シート材の情報に基づいてシート材の判別を行う判別手段と、を備えたシート材判別装置であって、シート材が載置されるシート材載置部と、載置したシート材を前記シート材載置部に向けて押圧でき、前記シート材載置部に対して接離可能なシート材押圧部とを備え、前記シート材載置部と前記シート材押圧部とが、前記シート材を把持した状態で前記情報検出手段に対して移動可能なことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シート材載置部上に載置したシート材の被検出範囲がズレたり、バタついたりして情報検出手段による検出精度が低下することを抑制できるシート材判別装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】構成例1に係るシート材判別装置の概要説明図。
図2】一実施形態に係る画像形成システムの概略構成図。
図3】画像形成装置について説明する図。
図4】シート後処理装置について説明する図。
図5】構成例1に係るシート材判別装置のシート材情報を検出する手順の説明図。
図6】光学センサ及び処理装置を説明するための図。
図7】面発光レーザーアレイを説明するための図。
図8】シート材への照射光の入射角を説明するための図。
図9】第一受光器と第二受光器の配置位置を説明するための図。
図10】(a)表面正反射光を説明するための図、(b)表面拡散反射光を説明するための図、(c)内部反射光を説明するための図。
図11】第一受光器と第二受光器で受光される光を説明するための図。
図12】第一偏光フィルタに入射する光を説明するための図。
図13】第三受光器と第四受光器の配置位置を説明するための図。
図14】構成例2に係るシート材判別装置の概要説明図。
図15】構成例2に係るシート材をシート材載置部上に載置してシート材情報を検出する手順の説明図。
図16】構成例3に係るシート材判別装置の概要説明図。
図17】構成例3に係るシート材をシート材載置部上に載置してシート材情報を検出する手順の説明図。
図18】構成例4に係るシート材判別装置の、シート材の情報を検出するときにシート材押圧部を移動させる力をシート材載置部に伝達し、シート材押圧部の移動とシート材載置部の移動とを同期させる移動同期手段の説明図。
図19】構成例4に係る移動同期手段の状態変化の説明図。
図20】構成例5に係るシート材判別装置の、シート材押圧部の初期位置を所定の位置に規制する押圧部初期位置規制手段の説明図。
図21】構成例5に係る押圧部初期位置規制手段の状態変化の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用したシート材判別装置を備える画像形成システム(画像形成装置)の一実施形態について、図を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係る画像形成システムの概略構成図である。
図2に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置2と、シート材処理装置としてのシート後処理装置3と、シート材の種類を判別するシート材判別装置100と、を備えている。
【0012】
画像形成装置2とシート後処理装置3とは、相互に通信可能に接続されている。そして、画像形成システム1では、画像形成装置2が記録媒体である用紙等のシート材に画像を形成した後、シート後処理装置3が画像形成装置2からシート材を受け入れ、受け入れたシート材に各種の後処理を施す。
各種の後処理は、例えば、端部綴じ処理、中折り処理等である。中折り処理は、中綴じ処理を含む。このような各種の後処理を行うシート後処理装置3は、動作モードとして、排出モードと、端部綴じモードと、中折りモードと、を有している。
【0013】
図3は、画像形成装置2について説明する図である。
画像形成装置本体400は、画像形成部の下部に、シート材を収納する給送カセットが配置されている。給送カセットに収納されたシート材は、それぞれ、給送ローラ414a,414bによって給送された後、所定の搬送路に沿って上方へ搬送され、レジストローラ対413へ到達する。
【0014】
画像形成部は、像担持体としての感光体ドラム401と、帯電装置402と、露光装置410と、現像装置404と、転写装置405と、クリーニング装置406とを備えている。
【0015】
帯電装置402は、感光体ドラム401の表面を一様に帯電する帯電手段である。露光装置410は、画像読取装置300で読み取った画像情報に基づいて感光体ドラム401上に静電潜像を形成する潜像形成手段である。現像装置404は、感光体ドラム401上の静電潜像にトナーを付着させて可視像化する現像手段である。転写装置405は、感光体ドラム401上のトナー画像をシートに転写する転写手段である。クリーニング装置406は、転写後の感光体ドラム401上に残留したトナーを除去するクリーニング手段である。
【0016】
また、画像形成部のシート搬送方向下流側には、トナー画像をシート材に定着する定着手段としての定着装置407が配置されている。
【0017】
露光装置410は、制御部の制御の下で画像情報に基づくレーザー光を発射するレーザーユニット411と、レーザーユニット411からのレーザー光を感光体ドラム401の回転軸方向(主走査方向)に走査するポリゴンミラー412を具備する。
【0018】
また、画像読取装置300の上部には、自動原稿搬送装置500が接続されている。この自動原稿搬送装置500は、原稿テーブル501、原稿分離給送ローラ502、搬送ベルト503、原稿排紙トレイ504を具備している。
【0019】
原稿テーブル501に原稿がセットされて読み取り開始指示を受けると、自動原稿搬送装置500では、原稿テーブル501上の原稿が原稿分離給送ローラ502により1枚ずつ送り出される。そして、その原稿は搬送ベルト503によりプラテンガラス309上に案内され、一時停止する。
そして、プラテンガラス309上に一時停止した原稿は、画像読取装置300によりその画像情報が読み取られる。その後、搬送ベルト503が原稿の搬送を再開し、その原稿は原稿排紙トレイ504に排出される。
【0020】
次に、画像読取動作と画像形成動作について説明する。
自動原稿搬送装置500によりプラテンガラス309上に原稿が搬送されるか、作業者によりプラテンガラス309上に原稿が載置されて、操作パネル4にコピー開始操作がなされると、第一走行体303上の光源301が点灯する。また、これとともに、第一走行体303及び第二走行体306を、ガイドレールに沿って移動させる。
【0021】
そして、プラテンガラス309上の原稿に光源301からの光が照射され、その反射光が、第一走行体303上のミラー302、第二走行体306上のミラー304,305、レンズ307に案内されて、CCD308で受光される。これにより、CCD308は原稿の画像情報を読み取り、その画像情報はA/D変換回路によってアナログデータからデジタルデータに変換される。この画像情報は、情報出力部から画像形成装置本体400の制御部へ送られる。
【0022】
一方、画像形成装置本体400は、感光体ドラム401の駆動を開始し、感光体ドラム401が所定速度で回転したら、帯電装置402により感光体ドラム401の表面を一様に帯電させる。そして、この帯電した感光体ドラム401の表面に、画像読取装置で読み取った画像情報に基づいた静電潜像が露光装置410により形成する。
【0023】
その後、感光体ドラム401の表面上の静電潜像は、現像装置404により現像されてトナー画像となる。また、給送カセットに収納されたシート材は、給送ローラ414a,414bによって給送され、レジストローラ対413で一時停止させる。
【0024】
そして、感光体ドラム401の表面に形成されたトナー画像の先端部分が転写装置405と対向する転写部に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対413により転写部に送り込まれる。転写部をシート材が通過する際、転写電界の作用によって感光体ドラム401の表面に形成されたトナー像がシート上に転写される。
【0025】
その後、トナー像を載せたシート材は、定着装置407に搬送され、定着装置407により定着処理を受けた後、後段のシート後処理装置3に排出される。なお、転写部においてシート材に転写されることなく感光体ドラム401の表面に残留した転写残トナーは、クリーニング装置406により除去される。
【0026】
図4は、シート後処理装置3について説明する図である。
シート後処理装置3には、画像形成装置2から排出されたシート材を受け入れて当該シート材を第一排紙トレイ10に排出するための第一搬送経路Pt1が設けられている。また、第一搬送経路Pt1から分岐してシート束に端部綴じ処理等を施すための第二搬送経路Pt2と、第二搬送経路Pt2と接続していてシート束に中綴じ中折り処理を施すための第三搬送経路Pt3とが設けられている。
【0027】
第一搬送経路Pt1、第二搬送経路Pt2及び第三搬送経路Pt3は、例えばガイド部材等によって形成されている。
【0028】
第一搬送経路Pt1には、入口ローラ11、第一搬送ローラ12、第二搬送ローラ13及び第一排紙ローラ14が、第一搬送経路Pt1のシート送方向上流部から下流部に向けて順に配置されている。
そして、入口ローラ11、第一搬送ローラ12、第二搬送ローラ13、及び第一排紙ローラ14は、駆動源であるモータによって回転駆動されてシート材を搬送する。
【0029】
入口ローラ11のシート搬送方向上流側には、入口センサ15が配置されている。この入口センサ15は、シート材がシート後処理装置3内へ搬入されたことを検知する。
第一搬送ローラ12のシート搬送方向下流側には、第一分岐爪17が配置されている。第一分岐爪17は、回動してその位置を切替えすることにより、第一搬送経路Pt1における第一分岐爪17のシート搬送方向下流側の部分と、第二搬送経路Pt2とのいずれか一方へ、シート材を選択的に案内する。第一分岐爪17は、例えばモータやソレノイドなどで駆動される。
【0030】
排出モードでは、画像形成装置2から第一搬送経路Pt1に搬入されたシート材は、入口ローラ11、第一搬送ローラ12、第二搬送ローラ13、及び第一排紙ローラ14によって搬送されて、第一排紙トレイ10に排出される。
一方、端部綴じモード及び中折りモードでは、第一搬送経路Pt1に搬入されたシート材は、入口ローラ11及び第一搬送ローラ12によって搬送され、第一分岐爪17で進行方向を変えられて第二搬送経路Pt2へ搬送される。
【0031】
第二搬送経路Pt2には、第三搬送ローラ20、第四搬送ローラ21、及び第五搬送ローラ22と、シート積載トレイ23と、第一シート揃え部24と、端部綴じ処理部(第一綴じ処理部)25とが配置されている。
第三搬送ローラ20、第四搬送ローラ21、及び第五搬送ローラ22は、モータによって駆動されてシート材を搬送する。また、第一シート揃え部24も、モータによって駆動される。
【0032】
また、シート積載トレイ23のシート搬送方向下流側には、第二分岐爪26及び第三分岐爪27が配置されている。第二分岐爪26及び第三分岐爪27は、回動してその位置を切替えすることにより、シート材を、第一搬送経路Pt1における第一分岐爪17のシート搬送方向下流側の部分と、第三搬送経路Pt3とのいずれか一方へ、シート材を選択的に案内する。第二分岐爪26及び第三分岐爪27は、例えばモータやソレノイドなどによって駆動される。
【0033】
端部綴じモードでは、順次、シート積載トレイ23上に積載される。これにより、複数のシート材が積層されたシート束が形成される。この際、シート材は、その後端がシート積載トレイ23に設けられた第一可動基準フェンスに当接し、シート搬送方向位置が揃えられるとともに、第一シート揃え部24によって幅方向位置が揃えられる。
ここで、シート積載トレイ23、第一シート揃え部24、及び第一可動基準フェンスは、複数のシート材を重ねてシート束とする束化部としての第一束化部28を構成している。また、第一束化部28は、第一シート揃え部24を駆動するモータや、第一可動基準フェンスを駆動するモータも含む。
【0034】
端部が綴じられたシート束は、第一可動基準フェンスによって第一搬送経路Pt1に搬送され、その後、第二搬送ローラ13及び第一排紙ローラ14によって搬送されて第一排紙トレイ10に排出される。
ここで、第一排紙ローラ14は、端部綴じ処理部25によって綴じられたシート束を排出する排紙部の一例である。一方、中折りモードでは、第二搬送経路Pt2に搬送されたシート材は、第三搬送ローラ20、第四搬送ローラ21、第五搬送ローラ22、及び第一可動基準フェンスによって、第三搬送経路Pt3へ搬送される。
【0035】
第三搬送経路Pt3には、第六搬送ローラ31及び第七搬送ローラ32と、中綴じ折り部33とが配置されている。
第六搬送ローラ31及び第七搬送ローラ32は、モータで駆動されてシート材を搬送する。中綴じ折り部33は、中折り部34と、中綴じ処理部(第二綴じ処理部)35と、第二束化部36と、を有している。
【0036】
第三搬送経路Pt3に搬送されたシート材は、第六搬送ローラ31及び第七搬送ローラ32によって、順次、第二束化部36に積載される。これにより、複数のシート材が積層されたシート束が形成される。つまり、第二束化部36は、入口ローラ11、第一搬送ローラ12、第三搬送ローラ20、第四搬送ローラ21、第五搬送ローラ22、第六搬送ローラ31、及び第七搬送ローラ32から成る搬送部51によって搬送された複数のシート材を重ねてシート束とする。
このとき、各シート材は、その前端が第二可動基準フェンス37に当接し、シート搬送方向位置が揃えられるとともに、第二シート揃え部によって幅方向位置が揃えられる。
【0037】
そして、シート束は中綴じ処理部35により、シート搬送方向の中央部近傍が中綴じされる。中綴じされたシート束は、第二可動基準フェンス37によって中折り位置まで戻される。第二可動基準フェンス37は、モータによって駆動される。
【0038】
中折り位置に位置したシート束は、中折り部34によって、シート搬送方向の中央部で中折りされる。中折り部34では、中折り位置にあるシート束のシート搬送方向中央部と対向する折りブレード38が、図2図中、右から左へ移動して、シート束のシート搬送方向中央部を折り曲げながら、下押圧ローラ39と上押圧ローラ40との間に押し込む。折りブレード38は、モータによって駆動される。
【0039】
そして、折り曲げられたシート束は、下押圧ローラ39と上押圧ローラ40とによって上下から押圧される。下押圧ローラ39及び上押圧ローラ40は、モータによって駆動される。
このようにして折り曲げられたシート束は、下押圧ローラ39及び上押圧ローラ40と、第二排紙ローラ41とよって、第二排紙トレイ42上に排紙される。
【0040】
また、画像形成装置2と、シート材判別装置100とは、通信ケーブル60(図2参照)によって接続されており、シート材判別装置100と画像形成装置2との間で相互に通信可能になっている。
そして、本実施形態の画像形成システム1では、シート材判別装置100でシート材の種類を判別し、判別されたシート材の種類に応じて、画像形成装置2は画像形成条件を設定できる。
【0041】
ここで、画像形成装置2の外部にシート材判別装置100を設ける本実施形態の画像形成システム1とは異なり、特許文献1に記載の画像形成装置のように画像形成装置の内部(シート材搬送路)にシート材判別装置を設ける構成が知られている。この画像形成装置の内部に設けたシート材判別装置では情報検出手段に対して相対移動しているシート材の複数個所のシート材情報を、情報検出手段で検出したシート材情報に基づき、シート材の判別を行う判別手段である制御部によりシート材の判別を行っている。しかし、このように画像形成装置の内部に設けたシート材判別装置で、情報検出手段に対して相対移動しているシート材の複数個所のシート材情報を検出する構成には、次のような問題があった。
搬送時にカールや波打ちなどの変形が引き起こされたシート材の変形箇所に、光学センサの発光手段から光を照射した場合には、変形の状態に応じてシート材表面での光の反射のされ方が違うので、受光手段で受光される光の光学的情報が異なる。このため、正確なシート材情報が検出できずに、シート材の判別の精度が低下してしまうおそれがある。
【0042】
一方、発明者らは、画像形成装置の内部ではなく画像形成装置の外部に設け、情報検出手段に対してシート材を相対移動させるために、シート材を載置する移動可能なシート材載置部を備えるシート材判別装置の開発を行っている。
例えば、次のようにシート材判別装置の開発を行った。
シート材載置部に載置されたシート材の表面に発光手段を発光させて照射した光を受光手段で受光してシート材の情報を検出する情報検出手段と、情報検出手段が検出したシート材の情報に基づいてシート材の判別を行う判別手段とを備えた。そして、シート材情報を検出するときに、利用者(ユーザ)がシート材を載置したシート材載置部を情報検出手段に対して相対移動させて、シート材の複数箇所の情報を検出する。
【0043】
このようにシート判別装置を構成することで、画像形成装置のシート材搬送路に情報検出手段を設ける従来の構成とは異なり、温度や湿度といった機内環境の影響でシート材がカールや伸び縮みすることなく、情報検出手段でシート材のシート材情報を検出できる。
また、情報検出手段に対して相対移動させてシート材情報を検出するときに、利用者が直接、シート材に触れて移動させないので、利用者がシート材に直接、触れて移動させることに起因したシート材の変形等(ダメージ)を招くおそれもない。
【0044】
ところが、このシート判別装置では、次のような不具合が生じるおそれがあることが分かった。
利用者が、シート材を載置したシート材載置部を、情報検出手段に対して相対移動させてシート材情報を検出するときに、シート材載置部上に載置したシート材の被検出範囲がズレたり、バタついたりして情報検出手段による検出精度が低下するおそれである。
このようにシート材情報の検出精度が低下してしまうと、シート材の判別精度も低下してしまう。
【0045】
そこで、発明者らは、シート材載置部上に載置したシート材の被検出範囲がズレたり、バタついたりして情報検出手段による検出精度が低下することを抑制できるシート材判別装置を提供できないか検討した。
次に、本実施形態の画像形成システム1(画像形成装置2)に備えるシート材判別装置100について、複数の構成例を挙げて説明する。
【0046】
[構成例1]
まず、本実施形態の画像形成システム1に備えるシート材判別装置100の構成例1について、図を用いて説明する。
図1は、本構成例1に係るシート材判別装置100の概要説明図である。図5は、本構成例1に係るシート材判別装置100のシート材情報を検出する手順の説明図であり、図5(a)がシート材Pをセット(載置)する前の、シート材押圧部105をシート材載置部104から離間させた初期状態の説明図である。図5(b)がシート材Pを載置するシートセット位置に移動させた状態を示し、図5(c)がシート材押圧部105をシート材載置部104側に押圧してシート材Pを把持した状態を示している。そして、図5(d)がシート材押圧部105を移動させることで、シート材載置部104とで把持したシート材P、及びシート材載置部104をシート材情報検出センサ110に対して相対移動させるときの状態を示している。
【0047】
図1に示すように、本構成例1に係るシート材判別装置100は、装置本体の筐体部101、シート材情報検出センサ110等を保持するセンサ保持部材102、及び情報を検出するときにシート材Pを把持して移動させる把持移動機構103を備える。
筐体部101は、センサ保持部材102、及び把持移動機構103を支持(保持)する上部筐体101Aと下部筐体101Bとを備えており、下部筐体101Bは、把持移動機構103に有するシート材載置部104を移動可能に支持する。また、上部筐体101Aと下部筐体101Bは、シート材Pを初期位置にあるシート材載置部104上に載置するときの、図1図中、左から右方向のシート材Pの搬送方向(以下、適宜、シートセット方向という。)の下流側で連結されている。
【0048】
センサ保持部材102は、シート材Pの情報を検出するシート材情報検出センサ110等を保持しており、シート材情報検出センサ110は、上部センサユニット110A及び下部センサユニット110Bからなる。そして、シート材判別装置100は、シート材情報検出センサ110を用いて、シート材の種類等の判別(紙種判別)を行う。
ここで、上部センサユニット110Aはシート材Pの反射光成分を検出し、下部センサユニット110Bはシート材の透過光成分を検出する。
【0049】
また、上部センサユニット110Aは下部筐体101Bに対してシート材Pを挟んで対向する側に、下部センサユニット110Bは下部筐体101Bと同一面側になるようにセンサ保持部材102を介して上部筐体101Aと下部筐体101Bとに保持されている。そして、下部センサユニット110Bは、後述する把持移動機構103に有したシート材載置部104のシート載置面104Aより下方に設置されており、上部センサユニット110Aと下部センサユニット110Bは常に向かい合っている。
【0050】
把持移動機構103は、情報を検出するシート材Pを載置(支持)するシート材載置部104と、載置したシート材Pをシート材載置部104側へ押圧して、シート材載置部104とでシート材Pを把持して拘束(固定)するシート材押圧部105を有している。
シート材載置部104は、シートセット方向と、これとは逆方向にシート材Pを移動させてシート材情報を検出するときの移動方向であるシート検出方向とに平行な、一方向(以下、適宜、奥行き方向という。)に移動可能に下部筐体101Bで支持されている。このため、シート材載置部104は高さ方向と、シート材Pの幅方向の移動が制限されており、一方向の位置移動のみ可能になっている。また、載置部初期位置規制手段106としての弾性体である載置部押圧バネ106aにより、下部筐体101Bに対して位置が規制(拘束)されており、初期状態はシート材Pを突き当てる下部筐体101Bの位置と側面が接する初期位置にある。
【0051】
シート材押圧部105は、押圧部初期位置保持手段107としての弾性体である押圧部支持バネ107aにより、シート材載置部104に対する高さ方向の位置が、略一定な位置に保たれて(固定されて)いる。このため、初期状態ではシート材押圧部105とシート材載置部104との間に略一定な距離が開いた初期位置にあり、利用者は、シート材押圧部105とシート材載置部104との間に生じる間隙に、検出対象のシート材Pを挿入するようにしてセット(載置)する。
そして、シート材押圧部105とシート材載置部104とでシート材Pを把持し、把持した状態でシート材押圧部105をシート検出方向に移動させながらシート材情報検出センサ110により、シート材Pの情報を検出してシート材Pの判別を行う。
【0052】
上述したように、シート材Pのシート材載置部104上へのセットと把持を行うことで、セット位置を精度よく、且つ、利用者のシート材Pのセット動作が容易になる。また、シート材Pのシート材載置部に対する位置を規制した状態で検出動作を行うことが可能になるため、利用者による操作(ユーザ走査)のバラツキ無く、高精度なシート材Pの情報検出(紙種検知)を行うことができる。
【0053】
これは、シート材情報検出センサ110を保持した筐体部101に対し、シート材Pを上方から押圧し、奥行き方向に移動可能なシート押圧部105と、これのシート経路を挟んで下方にあり、奥行き方向に移動可能なシート材載置部104を設けているためである。
そして、シートセット時(載置時)には、シート押圧部105を離間させてシート材Pをセットするのに十分な間隙(空隙)を確保できる。また、シート情報検出時には、シート押圧部105とシート材載置部104とでシート材Pを把持し移動することで、シート材Pのシート材載置部104に対する固定が容易で、且つ、検出動作時のシート材Pのズレやバタつきによる検出誤差が発生しない。
【0054】
次に、図5を用いて、シート材載置部104上にシート材Pを載置してから、シート材情報検出センサ110でシート材Pの情報を検出するまでの手順について説明する。
シート材Pを載置する前は、図5(a)に示すように、シート材載置部104は移動範囲の一方の移動端位置である図中左側の初期位置にあり、シート押圧部105も同様にシート材載置部104から略一定距離だけ上方に離間した初期位置にある。
そして、シート材Pの情報の検出を開始する場合には、まず、図5(b)に示すように、略一定距離だけ離間したシート材押圧部105とシート材載置部104との間隙に挿入するようにして、シート材載置部104上にシート材Pを載置する。このとき、シート材押圧部105とシート材載置部104との間には十分な空隙があるため、シート材Pを挿入するときに抵抗は生じることなく、シート材Pの先端を、シート材Pの検出開始位置である下部筐体101Bの突き当て位置まで到達させることができる。
【0055】
シート材Pの先端が下部筐体101Bの突き当て位置まで到達したら、図5(c)に示すように、押圧部支持バネ107aの付勢力に抗してシート材押圧部105を押し下げてシート材Pと接触させてシート材載置部104側へ押圧するように把持する。その後、図5(d)に示すように、シート材押圧部105とシート材載置部104とでシート材Pを把持した状態で、シート材押圧部105を手前に引き下げるようにして、シート検出方向にシート材Pを移動させている間に、シート材Pの情報を検出する。
ここで、シート材Pを把持したシート材押圧部105とシート材載置部104にはいずれも、シート材押圧部105の押圧力に比例した摩擦力がシート材Pとの間に生じ、シート材押圧部105の移動に同期してシート材載置部104を移動させることができる。
また、シート材押圧部105を引き続けている間は、シート材情報検出センサ110は移動中のシート材Pを検出できるので、検出ポイントを増やすことができ、検出精度を向上させることが可能になる。
【0056】
次に、図6を用いて、シート材判別装置100に備えた情報検出手段としてのシート材情報検出センサ110及び判別手段としての処理装置130について説明する。
図6は、光学センサ及び処理装置を説明するための図である。
本構成例1のシート材情報検出センサ110は、図6に示すように、上部センサユニット110Aと、下部センサユニット110Bを備えている。
上部センサユニット110Aと下部センサユニット110Bの間には検出対象のシート材Pを収納可能な間隙があり、この隙間にあるシート材Pのシート情報を検出する。
【0057】
上部センサユニット110Aは、照射装置111、コリメートレンズ112、第一受光器113、第二受光器114、第三受光器115、第四受光器118、第一偏光フィルタ116、第二偏光フィルタ117、及びこれらが収納される上部暗箱119Aを有する。
下部センサユニット110Bは、第五受光器160と、第五受光器160が収納される下部暗箱119Bとを有している。
上部暗箱119Aと下部暗箱119Bは、金属製の箱部材、例えば、アルミニウム製の箱部材であり、外乱光及び迷光の影響を低減するため、表面に黒アルマイト処理が施されている。
【0058】
照射装置111は、複数の発光部を有している。各発光部は、垂直共振器型の面発光レーザー(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。すなわち、照射装置111は、面発光レーザーアレイ(VCSELアレイ)を含んでいる。ここでは、一例として図7に示されるように、9個の発光部が2次元配列されている。
【0059】
照射装置111は、シート材Pに対してS偏光の直線偏光が照射されるように配置されている。また、照射装置111からの光のシート材Pへの入射角θ(図8参照)は、80[°]である。この照射装置111は、処理装置130によって、発光及び消灯される。
【0060】
コリメートレンズ112は、照射装置111から射出された光の光路上に配置され、該光を略平行光とする。コリメートレンズ112を介した光は、上部暗箱119Aに設けられている開口部を通過してシート材Pを照明する。なお、以下では、シート材Pの表面における照明領域の中心を「照明中心」と略述する。また、コリメートレンズ112を介した光を「照射光」ともいう。
【0061】
ところで、光が媒質の境界面に入射するとき、入射光線と入射点に立てた境界面の法線とを含む面は「入射面」と呼ばれている。そこで、入射光が複数の光線からなる場合は、光線毎に入射面が存在することとなるが、ここでは、便宜上、照明中心に入射する光線の入射面を、記録紙における入射面ということとする。すなわち、照明中心を含みXZ面に平行な面がシート材Pにおける入射面である。
【0062】
なお、本構成例1では、シート材Pへの入射光だけでなく反射光に対してもS偏光及びP偏光という表現を用いるが、これは説明をわかりやすくするために、シート材Pへの入射光の偏光方向を基準とした表現である。そして、入射面内において入射光(ここでは、S偏光)と同一の偏光方向をS偏光、それに直交する偏光方向をP偏光と呼ぶこととする。
【0063】
第一偏光フィルタ116は、照明中心の+Z側に配置されている。この第一偏光フィルタ116は、P偏光を透過させ、S偏光を遮光する偏光フィルタである。なお、第一偏光フィルタ116に代えて、同等の機能を有する偏光ビームスプリッタを用いても良い。
【0064】
第二受光器114は、第一偏光フィルタ116の+Z側に配置され、第一偏光フィルタ116を透過した光を受光する。ここでは、図9に示されるように、照明中心と第一偏光フィルタ116の中心と第二受光器114の中心とを結ぶ線L1と、シート材Pの表面とのなす角度ψ1は90[°]である。
【0065】
第一受光器113は、X軸方向に関して、照明中心の+X側に配置されている。そして、図9に示されるように、照明中心と第一受光器113の中心とを結ぶ線L2と、シート材Pの表面とのなす角度ψ2は170[°]である。
【0066】
照射装置111の中心と、照明中心と、第一偏光フィルタ116の中心と、各受光器の中心は、ほぼ同一平面上に存在する。
【0067】
ところで、シート材Pを照明したときのシート材Pから反射光は、シート材Pの表面で反射された反射光と、シート材Pの内部で反射された反射光とに分けて考えることができる。また、シート材Pの表面で反射された反射光は、正反射された反射光と拡散反射された反射光とに分けて考えることができる。
【0068】
以下では、便宜上、シート材Pの表面で正反射された反射光を「表面正反射光」、拡散反射された反射光を「表面拡散反射光」ともいう(図10(a)及び図10(b)参照)。
【0069】
シート材Pの表面は、平面部と斜面部とで構成され、その割合でシート材P表面の平滑性が決定される。平面部で反射された光は表面正反射光となり、斜面部で反射された光は表面拡散反射光となる。表面拡散反射光は、完全に散乱反射された反射光であり、その反射方向は等方性があるとみなせる。そして、平滑性が高くなるほど表面正反射光の光量が増加する。
【0070】
一方、シート材Pの内部からの反射光は、該シート材Pが一般の印刷用紙である場合、その内部の繊維中で多重散乱するため拡散反射光のみとなる。以下では、便宜上、シート材Pの内部からの反射光を「内部反射光」ともいう(図10(c)参照)。この内部反射光も、表面拡散反射光と同様に、完全に散乱反射された反射光であり、その反射方向は等方性があるとみなせる。
【0071】
各受光器に向かう表面正反射光及び表面拡散反射光の偏光方向は、入射光の偏光方向と同じである。ところで、シート材Pの表面で偏光方向が回転するには、入射光がその入射方向に対して該回転の向きに傾斜した面で反射されなくてはならない。ここでは、照射装置111の中心と照明中心と各受光器の中心とが同一平面上にあるため、シート材Pの表面で偏光方向が回転した反射光は、いずれの受光器の方向にも反射されない。
【0072】
一方、内部反射光の偏光方向は、入射光の偏光方向に対して回転している。これは、シート材Pの内部に侵入した光は、繊維中を透過し、多重散乱される間に旋光し、偏光方向が回転するためと考えられる。
【0073】
第一偏光フィルタ116には、表面拡散反射光と内部反射光とが混在する反射光が入射する(図11参照)。
【0074】
表面拡散反射光は入射光と同じS偏光であるため、第一偏光フィルタ116で遮光される。一方、内部反射光はS偏光とP偏光とが混在しているため、P偏光成分が第一偏光フィルタ116を透過する。すなわち、内部反射光に含まれるP偏光成分が第二受光器114で受光される(図12参照)。
【0075】
なお、以下では、便宜上、内部反射光に含まれるP偏光成分を「P偏光内部反射光」ともいう。また、内部反射光に含まれるS偏光成分を「S偏光内部反射光」ともいう。
【0076】
P偏光内部反射光の光量は、記録紙の厚みや密度に相関を持つことが発明者らによって確認されている。これは、P偏光内部反射光の光量が、記録紙の繊維中を通過する際の経路長に依存するためである。
【0077】
第一受光器113には、表面正反射光と表面拡散反射光と内部反射光とが混在する反射光が入射する。この受光位置では、表面正反射光の光量に比べて表面拡散反射光及び内部反射光の光量は非常に小さいので、第一受光器113の受光光量は、表面正反射光の光量であるとみなすことができる(図11参照)。
【0078】
第三受光器115は、表面拡散反射光及び内部反射光を受光する位置に配置されている。例えば、図13に示す照明中心と第三受光器115の中心とを結ぶ線L3と、シート材Pの表面とのなす角度ψ3は120[°]である。照射装置111の中心と、照明中心と、第一偏光フィルタ116の中心と、各受光器の中心は、ほぼ同一平面上に存在する。
【0079】
第二偏光フィルタ117は、表面拡散反射光及び内部反射光の光路上に配置されている。この第二偏光フィルタ117は、P偏光を透過させ、S偏光を遮光する偏光フィルタである。第四受光器118は、第二偏光フィルタ117を透過した光の光路上に配置されている。そこで、第四受光器118は、内部反射光に含まれるP偏光成分を受光する。
【0080】
例えば、図13に示す照明中心と第二偏光フィルタ117の中心と第四受光器118の中心とを結ぶ線L4と、シート材Pの表面とのなす角度ψ4は150[°]である。照射装置111の中心と、照明中心と、第一偏光フィルタ116の中心と、第二偏光フィルタ117の中心と、各受光器の中心は、ほぼ同一平面上に存在する。
【0081】
第五受光器160は、照射装置111からシート材Pに照射された光のうち、シート材Pを透過する透過光を受光する位置に配置されている。
【0082】
各受光器は、それぞれ受光光量に対応する電気信号(電流信号)を、図6に示すように、処理装置130に出力する。
【0083】
図6に戻り、処理装置130は、照射装置111を駆動する光源駆動回路131、電流電圧変換回路132、AD変換回路133などを有しており、上部暗箱119Aに固定されている。
【0084】
各受光器は、それぞれ受光光量に対応する電気信号(電流信号)を処理装置130に出力する。
【0085】
また、処理装置130は、光源駆動回路131、電流電圧変換回路132、AD変換回路133などを有している。
【0086】
光源駆動回路131は、制御部600の指示に応じて、光源駆動信号を照射装置111に出力する。
【0087】
電流電圧変換回路132は、各受光器からの電流信号を電圧信号に変換する。AD変換回路133は、電流電圧変換回路132を介したアナログ信号をデジタル信号に変換し、制御部600に出力する。上部センサユニット110Aは照射装置111を有し、照射装置111からシート材Pの表面に光が照射されるようになっている。
【0088】
上述したように、上部センサユニット110Aには、反射光を受光する受光手段として、第一受光器113、第二受光器114、第三受光器115、第四受光器118があり、照射装置111からシート材Pに照射された光のうち反射成分の光を検知する。また、第二受光器114と第四受光器118には、反射光の偏向成分のみを抽出する偏向フィルタである第一偏光フィルタ116と第二偏光フィルタ117が、それぞれ設けられている。そして、反射光を受光する第一受光器113、第二受光器114、第三受光器115、第四受光器118で得た情報を元にシート材Pの紙種等を判別する。
なお、上述したようにシート材情報検出センサ110は受光手段を複数有しており、シート材Pにおいて反射された光の偏光成分を受光する第二受光器114や第四受光器118等の反射光偏光成分受光手段を少なくとも含む。これにより、さらに精度の高い検出結果を得ることができる。
【0089】
一方、下部センサユニット110Bには透過光を受光する受光手段である第五受光器160を有している。この第五受光器160では照射装置111からシート材Pに照射された光のうち、透過成分を抽出する。これにより、反射光を受光する反射光受光手段である第一受光器113、第二受光器114、第三受光器115、第四受光器118で得た情報に加え、透過光を受光する第五受光器160で得た情報も含めることで更に高精度な紙種等の判別が可能になる。
【0090】
また、照射装置111から照射された光のうち、シート材Pにおいて正反射された光を受光する正反射光受光器と、シート材Pにおいて拡散反射された光を受光する拡散反射光受光器とを少なくとも含むシート材情報検出センサ110を用いるのが良い。これにより、シート材Pに対する、反射光の拡散分子を複数の異なる角度に設置させたセンサで検出できるので、正反射のみの情報よりも、さらに精度の高い検出結果を得ることができる。
【0091】
また、シート材情報検出センサ110は、シート材Pを透過した光を受光する透過光受光手段である第五受光器160と、シート材Pにおいて反射された光を受光する反射光受光手段である第一受光器113等とを有している。そして、透過光受光手段と反射光受光手段との検出信号に基づいて、シート材Pの厚さ、表面性状、及び銘柄の少なくともいずれかを判定する。
これにより、シート材情報検出センサ110は、シート材の厚さ、表面性状、及び銘柄の少なくともいずれかを判定することができる。
【0092】
上述したように、本構成例1のシート材判別装置100では、シート材載置部104と、載置されたシート材Pの表面に照射装置111を発光させて照射した光を第一受光器113等で受光してシート材情報を検出するシート材情報検出センサ110を備えた。また、シート材情報検出センサ110が検出したシート材情報に基づいてシート材Pの判別を行う制御部600も備えた。
そして、シート材Pをシート材載置部104へ押圧でき、シート材載置部104に対して接離可能なシート材押圧部105とシート材載置部104とが、シート材情報検出センサ110に対して移動可能に構成した。
【0093】
上述したように、本構成例1のシート材判別装置100では、シート材Pの表面に照射装置111を発光させて照射した光を第一受光器113等で受光してシート材情報を検出するシート材情報検出センサ110を備えた。また、シート材情報検出センサ110が検出したシート材情報に基づいてシート材Pの判別を行う制御部600も備えた。
加えて、シート材Pが載置されるシート材載置部104と、シート材Pをシート材載置部104へ押圧でき、シート材載置部104に対して接離可能なシート材押圧部105も備えた。そして、シート材載置部104とシート材押圧部とが、シート材情報検出センサ110に対して移動可能に構成されている。
【0094】
このように構成することで、本構成例1のシート材判別装置100は、次のような効果を奏することができる。
検出するシート材Pの、少なくとも被検出範囲がズレたり、バタついたりしないようにシート材押圧部105とシート材載置部104とでシート材Pを把持した状態で、シート材Pをシート材情報検出センサ110に対して相対移動させることができる。
よって、シート材載置部104上に載置したシート材Pの被検出範囲がズレたり、バタついたりしてシート材情報検出センサ110による検出精度が低下することを抑制できるシート材判別装置100を提供できる。
【0095】
また、シート材情報検出センサ110を保持する筐体部101を備え、シート材載置部104は、筐体部101の下部筐体101Bに対して、載置部初期位置規制手段106により初期位置が規制されている。
これによれば、シート材Pを載置し易い一定の初期位置に、シート材載置部104の位置を規制することができ、シート材Pを載置するときの利用者の利便性を高めることができる。
【0096】
また、シート材押圧部105は、シート材載置部104に対して、押圧部支持バネ107aを有した押圧部初期位置保持手段107により初期位置が保たれている。
これによれば、次のような効果を奏することができる。シート材Pを載置し易い、シート材載置部104から所定距離以上、離間した初期位置にシート材押圧部105の位置を保つことができる。そして、シート材押圧部105とシート材載置部104との間にシート材を挿入して、シート材載置部上にシート材を載置するときの利用者の作業性を高めることができる。
【0097】
また、シート材押圧部105は、シート材情報検出センサ110でシート材Pの情報を検出するときに、シート材載置部104に載置するときに移動させるシート材Pの移動方向であるシートセット方向とは逆方向に移動させられる。
これによれば、次のような効果を奏することができる。シートセット方向と同じ方向に、シート材押圧部105とシート材載置部104とで把持したシート材Pをシート材情報検出センサ110に対して相対移動させる一連の動作を行うよりも、利用者の手元の動作範囲や、利用者の立ち位置等を容易に予測可能となる。これにより、把持したシート材Pをシート材情報検出センサ110に対して相対移動させるときの動作範囲が利用者の手元の動作範囲を超えてしまうことを抑制できる。
したがつて、利用者が立ち位置の修正を強いられたり、不安定な姿勢でのシート材押圧部の移動を強いられたりして、相対移動速度が変動してしまい、シート材情報検出センサ110による検出精度が低下することも抑制できる。
【0098】
また、本構成例1のシート材判別装置100を備えた画像形成装置2では、シート材判別装置100を画像形成装置2の外部(画像形成装置本体400外)に設けている。これにより、シート材Pの種類に応じていない不適切な画像形成条件が画像形成装置2で設定されてしまうのを抑制し、良好な画像形成を行うことが可能となる。
また、本構成例1のシート材判別装置100を備えた画像形成装置2では、本構成例1のシート材判別装置100の判別結果に基づいて画像形成条件を設定することで、シート材Pの判別結果に基づいた適切な画像形成条件で画像形成を行うことができる。
【0099】
[構成例2]
次に、本実施形態の画像形成システム1に備えるシート材判別装置100の構成例2について、図を用いて説明する。
図14は、本構成例2に係るシート材判別装置100の概要説明図である。図15は、本構成例2に係るシート材Pをシート材載置部104上に載置してシート材情報を検出する手順の説明図であり、図15(a)がシート材Pをセットする前の、シート材押圧部105をシート材載置部104から離間させた初期状態の説明図である。図15(b)がシート材Pを載置するシートセット位置に移動させた状態を示し、図15(c)がシート材押圧部105をシート材載置部104側に押圧してシート材Pを把持した状態を示している。そして、図15(d)がシート材押圧部105を移動させることで、シート材載置部104とで把持したシート材P、及びシート材載置部104をシート材情報検出センサ110に対して相対移動させるときの状態を示している。
【0100】
本構成例2と構成例1のシート材判別装置とでは、本構成例2のシート材判別装置100が、シート材載置部104に載置するシート材Pが検出開始位置まで到達しているか否かを検出するシートセット検出手段121を設けていることに係る点のみ異なる。
したがって、特に区別する必要が無い限り、同様な構成部材には同一の符号を付すとともに、同様な構成、及びその作用・効果については、適宜、省略して説明する。
【0101】
図14に示すように、本構成例2のシート材判別装置100は、構成例1のシート材判別装置とは異なり、シート材載置部104に載置するシート材Pが検出開始位置まで到達しているか否かを検出するシートセット検出手段121を設けている。
このシートセット検出手段121は、シート材Pが検出開始位置、例えば、シート材Pの先端が突き当て位置まで到達するとシート材Pを検出するため、シート材判別装置100の判断手段である制御部600は、シート材Pの情報を検出可能であると判断できる。
これにより、次のような効果を奏することができる。シート材Pが検出開始位置に到達したことを利用者に通知する等して、シート材Pが検出開始位置に到達していないままシート材Pの情報検出を開始してしまい、検出点数が不足する等してシート材Pの判別精度が低下することを抑制することができる。
【0102】
また、一旦、検出開始位置に到達したことを検出したシート材Pを移動させると、シートセット検出手段121からシート材Pが離れるため、このタイミングでシート材情報検出センサ110による検出動作を開始することもできる。このように開始することで、シート材押圧部105を移動させ続ければ、シート材情報検出センサ110は移動中のシート材Pを検出できるので、検出点(検出ポイント)を増やすことができ、検出精度を向上させることも可能となる。
【0103】
次に、図15を用いて、シート材載置部104上にシート材Pを載置してから、シート材情報検出センサ110でシート材Pの情報を検出するまでの具体的な手順を説明する。
シート材Pを載置する前は、図15(a)に示すように、シート材載置部104は移動範囲の一方の移動端位置である図中左側の初期位置にあり、シート押圧部105も同様にシート材載置部104から略一定距離だけ上方に離間した初期位置にある。
シート材Pの情報の検出を開始する場合には、まず、図15(b)に示すように、略一定距離だけ離間したシート材押圧部105とシート材載置部104との間隙に挿入するようにして、シート材載置部104上にシート材Pを載置する。そして、シート材Pの先端が突き当て位置まで到達すると、シートセット検出手段121がシート材Pを検出する。このとき、シート材Pが検出開始位置に到達したことを利用者に通知してもよいが、後述するようにシート材情報検出センサ110によるシート材Pの情報の検出を開始した方が、利用者の利便性を高めることができるとともに、検出精度を高めることもできる。
【0104】
その後、図15(c)に示すように、押圧部支持バネ107aの付勢力に抗してシート材押圧部105を押し下げてシート材Pと接触させてシート材載置部104側へ押圧するように把持する。そして、図15(d)に示すように、シート材押圧部105とシート材載置部104とでシート材Pを把持した状態で、シート材押圧部105を手前に引き下げるようにしてシート検出方向にシート材Pを移動させる。すると、一旦、検出開始位置に到達したことを検出したシート材Pがシートセット検出手段121から離れるため、このタイミングでシート材情報検出センサ110による検出動作を開始することもできる。
【0105】
[構成例3]
次に、本実施形態の画像形成システム1に備えるシート材判別装置100の構成例3について、図を用いて説明する。
図16は、本構成例3に係るシート材判別装置100の概要説明図である。図16は、本構成例3に係るシート材Pをシート材載置部104上に載置してシート材情報を検出する手順の説明図であり、図16(a)がシート材Pをセットする前の、シート材押圧部105をシート材載置部104から離間させた初期状態の説明図である。図16(b)がシート材Pを載置するシートセット位置に移動させた状態を示し、図16(c)がシート材押圧部105をシート材載置部104側に押圧してシート材Pを把持した状態を示している。そして、図16(d)がシート材押圧部105を移動させることで、シート材載置部104とで把持したシート材P、及びシート材載置部104をシート材情報検出センサ110に対して相対移動させるときの状態を示している。
【0106】
本構成例3と、構成例1、2のシート材判別装置とでは、次のことに係る点のみ異なる。
構成例1、2のシート材判別装置では、シート材押圧部は、シート材載置部に対して、押圧部支持バネ107aを有した押圧部初期位置保持手段により初期位置が保たれていた。これに対し、本構成例3のシート材判別装置100では、保持部である筐体部101(上部筐体101A)に対して、押圧部押上バネ107bを有した押圧部初期位置保持手段107により初期位置が保たれていることに係る点である。
したがって、特に区別する必要が無い限り、同様な構成部材には同一の符号を付すとともに、同様な構成、及びその作用・効果については、適宜、省略して説明する。
【0107】
図16に示すように、本構成例3のシート材判別装置100は、構成例1、2のシート材判別装置とは異なり、シート材押圧部105がシート材載置部104に対して、押圧部支持バネ107aを有した押圧部初期位置保持手段107により初期位置が保たれている。つまり、本構成例3のシート材押圧部105は、押圧部支持バネ107aを有した押圧部初期位置保持手段107を介して、筐体部101と接続されている。
このように構成することで、本構成例3のシート材判別装置100は、シート材Pを載置し易い、筐体部101を基準とした初期位置にシート材押圧部105の位置を保つことができ、シート材Pを載置するときの利用者の利便性を高めることができる。
【0108】
そして、図16に示すように、本構成例3の押圧部初期位置保持手段107は、弾性体である押圧部押上バネ107bと、押圧部支持台107cと、摺動部材としての複数の摺動ローラ107dとから構成されている。
押圧部押上バネ107bは、シート材押圧部105の天板下面と、上下に昇降可能に設けた押圧部支持台107cとの間に接続され、押圧部支持台107cの下面と上部筐体101Aの天板部上面との間に複数の摺動ローラ107dが配置されている。
このように構成することで、シート材押圧部105は、押圧部押上バネ107bの付勢力に抗して、シート材載置部104側に移動できるとともに、シート検出方向にも移動が可能となっている。
【0109】
また、シート材押圧部105は、押圧部押上バネ107bの付勢力により、略一定な位置(高さ)に保持(固定)されている。そして、検出対象のシート材Pを載置(セット)した後に検出動作を行うときには、シート材押圧部105をシート材載置104に接するように押し込むことでシート材Pを把持する。
その後、シート材押圧部105は、シート検出方向に移動させられることになる。
また、シート材押圧部105に十分な力がかかって入れば、シート材押圧部105及びシート材載置部104とシート材Pとの間に生じる摩擦力により、シート材Pとシート材載置部104とが同期して(連動して)動く。このため、シート材押圧部105を移動させることで、シート材Pが移動した状態で、シート材情報検出センサ110による検出動作が可能になる。
【0110】
次に、図17を用いて、シート材載置部104上にシート材Pを載置してから、シート材情報検出センサ110でシート材Pの情報を検出するまでの具体的な手順を説明する。
シート材Pを載置する前は、図17(a)に示すように、シート材載置部104は移動範囲の一方の移動端位置である図中左側の初期位置にあり、シート押圧部105も同様にシート材載置部104から略一定距離だけ上方に離間した初期位置にある。
シート材Pの情報の検出を開始する場合には、まず、図17(b)に示すように、略一定距離だけ離間したシート材押圧部105とシート材載置部104との間隙に挿入するようにして、シート材載置部104上にシート材Pを載置する。そして、シート材Pの先端が突き当て位置まで到達すると、シートセット検出手段121がシート材Pを検出する。
【0111】
その後、図17(c)に示すように、押圧部押上バネ107bの付勢力に抗してシート材押圧部105を押し下げてシート材Pと接触させてシート材載置部104側へ押圧するように把持する。そして、図17(d)に示すように、シート材押圧部105とシート材載置部104とでシート材Pを把持した状態で、シート材押圧部105を手前に引き下げるようにしてシート検出方向にシート材Pを移動させる。
【0112】
[構成例4]
次に、本実施形態の画像形成システム1に備えるシート材判別装置100の構成例4について、図を用いて説明する。
図18は、本構成例に係るシート材判別装置100の、シート材押圧部105に加えたシート検出方向への力をシート材載置部104に伝達し、シート材押圧部105の移動とシート材載置部104の移動とを同期させる移動同期手段125の説明図である。図19は、本構成例に係る移動同期手段125の状態変化の説明図であり、図18(a)がシート材押圧部105とシート材載置部104が離間した状態の説明図である。図18(b)がシート材押圧部105とシート材載置部104が所定の距離以内となって、シート材押圧部105に対するシートセット方向へのシート材載置部104の相対移動が規制されるときの説明図である。
そして、図18(c)がシート材押圧部105に対するシートセット方向へのシート材載置部104の相対移動を規制した状態を示し、図18(d)がシート材押圧部105のシート検出方向への移動に、シート材載置部104が同期して移動する状態を示している。
【0113】
本構成例4と、構成例1〜3のシート材判別装置とでは、次のことに係る点のみ異なる。
構成例1〜3のシート材判別装置では、シート材載置部とでシート材を把持した後、シート材をシート検出方向に移動させるときに、いずれも摩擦力を利用してシート材及びシート材載置部の移動を、シート材を押圧したシート材押圧部の移動に同期させていた。これに対し、本構成例4では、シート材押圧部105とシート材載置部104との間隔が所定の距離以内となったときに、シート材押圧部105に対するシート材載置部の相対移動方向を一方向の内、少なくとも片方向は規制して同期させることに係る点である。
【0114】
また、構成例1〜3のシート材判別装置では、シート材押圧部の押圧方向(高さ方向)の位置を検出する手段は特に設けていなかった。これに対し、本構成例4では、シート材押圧部105の押圧方向の位置を検出する押圧部位置検出センサ122を設け、この検出結果も用いてシート材情報検出センサ110によるシート情報検出を開始するタイミングを設定していることに係る点である。
したがって、特に区別する必要が無い限り、同様な構成部材には同一の符号を付すとともに、同様な構成、及びその作用・効果については、適宜、省略して説明する。
【0115】
まず、シート材及びシート材載置部の移動を、シート材Pを押圧したシート材押圧部の移動に同期させる構成について説明する。
上述した構成例1〜3のシート材判別装置のように、シート材押圧部の押圧力により、シート材載置部とで把持したシート材に生じる摩擦力でシート材押圧部の移動力をシート材及びシート材載置部に伝達する構成では、次のような不具合が生じるおそれがある。
シート材の摩擦係数によっては、シート材押圧部とシート材間、シート材とシート材載置部間でスリップが生じるおそれである。このようにスリップが生じてしまうと、シート材に負荷が掛かって変形したり、安定した移動できなかったりしてシート材情報検出センサ110によるシート材情報の検出が安定せず、シート材情報を検出できなかったり、検出精度が低下したりするおそれがある。
【0116】
一方、本構成例4では、シート材押圧部105とシート材載置部104との間隔が、所定の距離以内となった場合に、シート材押圧部105に対するシート材載置部の一方向における相対移動を、少なくとも片方向は規制する。このように構成することで、一方向の内、少なくとも片方向のスリップの発生を抑制できる。そして、上記少なくとも片方向の規制により、シート材載置部104は、少なくとも相対移動が規制された側とは反対側へ移動するシート材押圧部105の移動に同期して移動することになる。
したがって、シート材押圧部105とシート材載置部104とでシート材Pを把持した状態でシート材押圧部105を移動させるときに、一方向の内、少なくとも片方の方向はスリップが生じるおそれを低減できる。
よって、シート材情報検出センサ110で情報を検出するときに移動させるシート材Pの移動を、把持するシート材Pの摩擦係数によらず、シート材載置部104とでシート材Pを把持したシート材押圧部105を移動させることで安定して行うことが可能となる。
【0117】
具体的な構成としては、例えば、図18に示すような構成が挙げられる。
図18に示す構成では、上記少なくとも片方向の規制を、次のような移動同期手段125を設けることで実現している。
移動同期手段125は、シート材押圧部105に設けた移動同期軸124に、シート材載置部104に設けた同期アーム126の爪形状を、シート材押圧部105とシート材載置部104との間隔が、所定の距離以内となった場合に掛ける(係合させる)ことで行う。
【0118】
同期アーム126は、図18に示すように、シート材載置部104に設けた同期アーム回転軸127を中心に回転可能に設けられるとともに、下方を向く一端側が同期アームバネ128で、図中、時計回りに回転するように付勢されている。
同期アームバネ128の反力は、シート材載置部104に設けた同期アームバネ支持部129により得られるように構成され、移動同期軸124に接触していない状態では、同期アーム回転軸127の胴体部が、シート材押圧部105の押圧方向と略平行になる。
【0119】
また、同期アーム126の胴体部上部には、略二等辺三角形の形状をした接触部と爪部とが形成されており、胴体部からシートセット方向下流側へ直交するように爪部が突出するように形成されている。また、爪部の根元における胴体部の長手方向に沿った延長線上に略二等辺三角形の頂点部があるように形成されている。
そして、シート材押圧部105を下方に押圧すると、移動同期軸124が同期アーム126に有した略二等辺三角形の、爪部側の接触部の傾斜に接触しながら降下することで、同期アーム126が同期アーム回転軸127を中心に反時計回りに回転する。
移動同期軸124の降下が、シート材押圧部105とシート材載置部104との間隔が所定の距離以内となるまで続くと、略二等辺三角形の爪部側の傾斜を移動同期軸124が乗り越えるように同期アーム126が回転して、移動同期軸124に爪部が掛かる。
【0120】
このように掛かることで、シート材押圧部105(移動同期軸124)の押圧方向の位置が拘束され、一定以上、上昇することができなくなるともに、シート材押圧部105に対するシート材載置部104のシートセット方向下流側への相対移動が規制される。
この状態ではシート材押圧部105とシート材載置部104とが物理的に拘束されているため、シート材押圧部105のシートセット方向上流側(シート検出方向下流側)への移動に同期(追従)してシート材載置部104が移動可能になる。
この結果、シート材P表面の摩擦係数(紙種)によらず、シート材Pの情報検出動作が可能となる。
【0121】
次に、シート材押圧部105の押圧方向の位置を検出するために設けた、押圧部位置検出センサ122について説明する。
本構成例4のシート材判別装置は、上述したようにシート材押圧部105の押圧方向の位置を検出する押圧部位置検出センサ122を設けている。
これにより、シート材押圧部105とシート材載置部104との間隔が、所定の距離以内となったことを検出すること、つまり、シート材押圧部105が正常なセット位置まで到達したか否かを検出することが可能となる。
また、検出結果に基づいてエラー表示を行う等して、正常なセット位置(検出開始位置)までシート材押圧部105が到達していない状態でシート材Pのシート情報検出の動作が開始されてしまうことを防ぐことが可能となる。
また、押圧部位置検出センサ122でシート材押圧部が正常なセット位置に到達したことを検出したときに、シート材情報検出センサ110によるシート材Pの情報の検出を開始するように構成することもで、より安定したシート材の情報の検出が可能となる。
【0122】
また、次のタイミングでシート材情報検出センサ110によるシート材Pの情報の検出を開始することもできる。押圧部位置検出センサ122でシート材押圧部105とシート材載置部104との間隔が、所定の距離以内となったことを検出した後、シートセット検出手段121が一旦、検出したシート材Pを検出できなくなったときである。
このようなタイミングでシート材情報検出センサ110によるシート材Pの情報の検出を開始することで、次のような効果を奏することができる。
【0123】
シート材Pがシート材載置部104上の検出開始位置に正常にセットされ、シート材押圧部105が正常な検出開始位置まで押圧された後、シート材Pをシート材情報検出センサ110に対してシート検出方向に移動を開始するタイミングで検出開始できる。これにより、シート材載置部104上の正常な検出開始位置からシート材Pがズレてセットされていたり、シート材押圧部105が正常な検出開始位置まで押圧されておらず、シート情報検出を開始してからシート材Pがバタついたりすることを防ぐことができる。
よって、シート材情報検出センサ110による、より安定したシート材Pのシート材情報の検出が可能となる。
【0124】
ここで、本構成例4では、シート材押圧部105のシートセット方向下流側の上部筐体101Aに設けた押圧部位置検出センサ122で、シート材押圧部105の移動を検出する。このため、シート材押圧部105のシートセット方向下流側に被検出部材123を突出して設けている。
しかし、本構成例4の要旨は、このような構成に限定されるものではなく、例えば、突出した被検出部材123を設けず、直接、シート材押圧部105の適所に、被検出対象となり得る印等を形成しても良い。
【0125】
次に、図19を用いて、シート材載置部104上にシート材Pを載置してから、シート材情報検出センサ110でシート材Pの情報を検出するまでの具体的な手順を説明する。
シート材Pを載置する前は、シート材載置部104は移動範囲の一方の移動端位置である初期位置にあり、図19(a)に示すように、シート押圧部105もシート材載置部104から略一定距離だけ上方に離間した初期位置にある。
このとき、シート材押圧部105に設けた移動同期軸124は、シート材載置部104に設けた同期アーム126に接触おらず、シート材押圧部105に設けた被検出部材123も、上部筐体101Aに設けた押圧部位置検出センサ122に達していない。
【0126】
シート材Pの情報の検出を開始する場合には、構成例1〜3で説明したように、まず、シート材押圧部105とシート材載置部104との間隙に挿入するようにして、シート材載置部104上にシート材Pを載置し、シート材Pの先端が突き当て位置まで到達させる。すると、構成例2、3のようにシートセット検出手段121を設けた構成では、シートセット検出手段121がシート材Pを検出する。
【0127】
その後、構成例1〜3で説明したように、押圧部初期位置保持手段107に設けたバネ等の付勢力に抗してシート材押圧部105をさらに押し下げてシート材Pと接触させてシート材載置部104側へ押圧する把持を開始する。
このとき、図19(b)に示すように、シート材押圧部105に設けた移動同期軸124が略二等辺三角形の爪部側の傾斜を乗り越えるように同期アーム126が回転して、移動同期軸124に爪部が掛かり始める。また、シート材押圧部105に設けた被検出部材123も、上部筐体101Aに設けた押圧部位置検出センサ122に近接した状態となる。
【0128】
そして、シート材押圧部105が所定の位置まで押し下げられると、図19(c)に示すように、シート材押圧部105の移動同期軸124に同期アーム126の爪部が掛かるとともに、被検出部材123が押圧部位置検出センサ122に検出される。このとき
その後、構成例1〜3で説明したように、シート材押圧部105とシート材載置部104とでシート材Pを把持した状態で、シート材押圧部105を手前に引き下げるようにしてシート検出方向にシート材Pを移動させる。
このとき、図19(d)に示すように、シート材押圧部105の移動同期軸124に、シート載置部104側に設けた同期アーム126の爪部が掛かっており、シート材押圧部105とシート載置部104とが物理的に拘束されている。このため、シート材押圧部105とシート材載置部104とでシート材Pを把持した状態を維持したまま、シート材押圧部105のシートセット方向上流側(シート検出方向下流側)への移動に同期(追従)してシート材載置部104が移動可能になる。
【0129】
[構成例5]
次に、本実施形態の画像形成システム1に備えるシート材判別装置100の構成例5について、図を用いて説明する。
図20は、本構成例5に係るシート材判別装置100の、シート材押圧部105の初期位置を所定の位置に規制する押圧部初期位置規制手段142の説明図である。図21は、本構成例5に係る押圧部初期位置規制手段142の状態変化の説明図であり、図21(a)がシート材押圧部105を初期位置に規制した状態を示し、図21(b)が押圧部初期位置規制手段142によるシート材押圧部105の規制が解除されるときの説明図である。そして、図21(c)が押圧部初期位置規制手段142による規制が解除された状態を示している。
【0130】
本構成例5と、構成例1〜4のシート材判別装置とでは、次のことに係る点のみ異なる。
構成例1〜3のシート材判別装置では、シート材押圧部は、各押圧部初期位置保持手段により、シート材載置部又は筐体部との距離(間隔)を略一定な距離に保っていた。これに対し、本構成例4では、シート材押圧部105は、押圧部初期位置保持手段107に有した押圧部初期位置規制手段142で、初期位置が規制され、シート材押圧部105をシート材載置部に接する方向に移動させることで規制解除されることに係る点である。
したがって、特に区別する必要が無い限り、同様な構成部材には同一の符号を付すとともに、同様な構成、及びその作用・効果については、適宜、省略して説明する。
【0131】
構成例1〜3のシート材判別装置では、シート材押圧部は、各押圧部初期位置保持手段により、シート材載置部又は筐体部との距離を略一定な距離に保っていたため、シート材判別装置を使用していないときにシート材押圧部がガタつくおそれがあった。このようにガタつくと、騒音が発生したり、シート材押圧部の押圧方向の移動を案内するガイド部材が劣化したり、ガイド部材が破損したりするおそれがある。
【0132】
一方、本構成例5のシート材判別装置100では、押圧部初期位置保持手段107は、シート材押圧部105の初期位置を所定の位置に規制する押圧部初期位置規制手段142を有している。そして、押圧部初期位置規制手段142によるシート材押圧部105の位置の規制は、シート材押圧部105がシート載置部104に接する方向に移動することにより解除されるように構成している。
このような押圧部初期位置規制手段142を押圧部初期位置保持手段107に設けることで、次のような効果を奏することができる。
シート材押圧部105を押圧方向に移動させるまでは、シート材押圧部105を所定の位置に留め、押圧方向に移動させることで、押圧部初期位置規制手段142によるシート材押圧部105の位置の規制を解除することができる。
したがって、シート材判別装置100を使用していないときに、シート材押圧部105がガタついて、騒音が発生したり、シート材押圧部105の押圧方向の移動を案内するガイド部材が劣化したり、ガイド部材が破損したりするおそれを低減できる。
また、シート材押圧部105によるシート材Pの押圧から、シート材押圧部105とシート材載置部104とで把持したシート材Pの移動への移行がスムーズに行え、安定したシート材情報の検出が可能となるとともに、利用者の利便性を高めることができる。
【0133】
具体的な構成としては、例えば、図20に示すような構成が挙げられる。
図20に示す構成では、シート材押圧部105の初期位置の規制を、押圧部初期位置保持手段107に、次のような押圧部初期位置規制手段142を設けることで実現している。
押圧部初期位置規制手段142は、シート材押圧部105に設けた押圧部初期位置規制軸141に、上部筐体101Aに設けた規制アーム143の爪形状を掛ける(係合させる)ことで行う。
【0134】
規制アーム143は、図20に示すように、上部筐体101Aに設けた規制アーム回転軸144を中心に回転可能に設けられるとともに、上方を向く一端側が規制アームバネ145で、図中、反時計回りに回転するように付勢されている。
規制アームバネ145の反力は、上部筐体101Aに設けた規制アームバネ支持部146により得られるように構成され、押圧部初期位置規制軸141を爪部が乗り越えるときを除き、規制アーム143の胴体部が、シート材押圧部105の押圧方向と略平行になる。
【0135】
また、規制アーム143の胴体部下部には、略二等辺三角形の形状をした接触部と爪部とが形成されており、胴体部からシートセット方向下流側へ直交するように爪部が突出するように形成されている。また、爪部の根元における胴体部の長手方向に沿った延長線上に略二等辺三角形の頂点部があるように形成されている。
そして、構成例1〜3で説明した各押圧部初期位置保持手段でシート材押圧部105が上方に付勢されると、押圧部初期位置規制軸141が規制アーム143に有した胴体部に接触しながら上昇し爪部に掛かり、さらなる上昇が規制される。
【0136】
一方、シート材押圧部105をシート載置部104に向けて降下(押圧)させる場合には、降下する押圧部初期位置規制軸141を爪部が乗り越えるように、規制アーム143が規制アーム回転軸144を中心に時計回りに回転し、規制が解除される。
そして、規制が解除された状態から、再度、押圧部初期位置規制軸141が上昇すると、略二等辺三角形の爪部側の傾斜を押圧部初期位置規制軸141が乗り越えるように規制アーム143が回転して、押圧部初期位置規制軸141に爪部が掛かる。
このように掛かることで、シート材押圧部105(押圧部初期位置規制軸141)の上昇する方向の位置が拘束され、一定以上、上昇することができなくなる。
【0137】
次に、図21を用いて、シート材載置部104上にシート材Pを載置するとき、つまり、シート押圧部105の初期位置から上方への移動が規制された状態から、規制が解除されるまでの具体的な押圧部初期位置規制手段142の状態変化を説明する。
シート材Pを載置する前は、シート材載置部104は移動範囲の一方の移動端位置である初期位置にあり、図21(a)に示すように、シート押圧部105も同様にシート材載置部104から略一定距離だけ上方に離間した初期位置にある。
このとき、シート材押圧部105に設けた押圧部初期位置規制軸141は、上部筐体101Aに設けた規制アーム143の爪部で上昇する方向の位置が規制されている。
【0138】
シート材Pの情報の検出を開始する場合には、構成例1〜3で説明したように、まず、シート材押圧部105とシート材載置部104との間隙に挿入するようにして、シート材載置部104上にシート材Pを載置し、シート材Pの先端が突き当て位置まで到達させる。すると、構成例2、3のようにシートセット検出手段121を設けた構成では、シートセット検出手段121がシート材Pを検出する。
【0139】
その後、構成例1〜3で説明したように、押圧部初期位置保持手段107に設けたバネ等の付勢力に抗してシート材押圧部105をさらに押し下げてシート材Pと接触させてシート材載置部104側へ押圧する把持を開始する。
このとき、図21(b)に示すように、シート材押圧部105に設けた押圧部初期位置規制軸141が爪部を乗り越えるように規制アーム143が回転して、押圧部初期位置規制手段142による規制が解除され始める。
【0140】
そして、シート材押圧部105が更に押し下げられると、図21(c)に示すように、押圧部初期位置規制手段142による規制が完全に解除され、シート材押圧部105に設けた押圧部初期位置規制軸141が規制アーム143から離間する。
その後、構成例1〜3で説明したように、更にシート材押圧部105を降下させて、シート材押圧部105とシート材載置部104とでシート材Pを把持した状態で、シート材押圧部105を手前に引き下げるようにしてシート検出方向にシート材Pを移動させる。
【0141】
ここで、本構成例5のシート材判別装置100では、上述したように押圧部初期位置規制手段142による位置の規制が解除された状態で、シート材押圧部105がシートセット方向とは逆方向に移動可能になるように構成している。
これによれば、次のような効果を奏することができる。シートセット方向と同じ方向に、シート材押圧部105とシート材載置部104とで把持したシート材Pをシート材情報検出センサ110に対して相対移動させる一連の動作を行うよりも、利用者の手元の動作範囲や、利用者の立ち位置等を容易に予測可能となる。これにより、把持したシート材Pをシート材情報検出センサ110に対して相対移動させるときの動作範囲が利用者の手元の動作範囲を超えてしまうことを抑制できる。
したがつて、利用者が立ち位置の修正を強いられたり、不安定な姿勢でのシート材押圧部の移動を強いられたりして、相対移動速度が変動してしまい、シート材情報検出センサ110による検出精度が低下することも抑制できる。
【0142】
以上、本実施形態について、図面を参照しながら説明してきたが、具体的な構成は、上述した限られるものではなく、要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等を行っても良い。
【0143】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
シート材Pなどのシート材の表面に上部センサユニット110Aに有した照射装置111などの発光手段を発光させて照射した光を第一受光器113などの受光手段で受光して該シート材の情報を検出するシート材情報検出センサ110などの情報検出手段と、該情報検出手段が検出した前記シート材の情報に基づいてシート材の判別を行う制御部600などの判別手段と、を備えたシート材判別装置100などのシート材判別装置であって、シート材が載置されるシート材載置部104などのシート材載置部と、載置したシート材を前記シート材載置部に向けて押圧でき、前記シート材載置部に対して接離可能なシート材押圧部105などのシート材押圧部とを備え、前記シート材載置部と前記シート材押圧部とが、前記情報検出手段に対して移動可能なことを特徴とする。
【0144】
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
検出するシート材の、少なくとも被検出範囲がズレたり、バタついたりしないようにシート材押圧部とシート材載置部とでシート材を把持した状態で、シート材を情報検出手段に対して相対移動させることができる。
よって、シート材載置部上に載置したシート材の被検出範囲がズレたり、バタついたりして情報検出手段による検出精度が低下することを抑制できるシート材判別装置を提供できる。
【0145】
(態様B)
(態様A)において、前記シート材が検出開始位置にあることを検出するシートセット検出手段121などのシートセット検出手段を有することを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
シート材が検出開始位置に到達したことを利用者に通知する等して、シート材が検出開始位置に到達していないまま情報検出手段によるシート材の情報検出を開始してしまい、検出点数が不足する等してシート材の判別精度が低下することを抑制することができる。
また、一旦、検出開始位置に到達したことを検出したシート材を移動させると、シートセット検出手段からシート材が離れるため、このタイミングで情報検出手段による検出動作を開始することもできる。このように開始することで、シート材押圧部を移動させ続ければ、情報検出手段は移動中のシート材を検出できるので、検出点(検出ポイント)を増やすことができ、検出精度を向上させることも可能になる。
【0146】
(態様C)
(態様A)又は(態様B)において、前記情報検出手段を保持する筐体部101などの保持部を備え、前記シート材載置部は、前記保持部に対して、載置部初期位置規制手段106などの載置部初期位置規制手段により初期位置が規制されていることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
シート材を載置し易い一定の初期位置に、シート材載置部の位置を規制することができ、シート材を載置するときの利用者の利便性を高めることができる。
【0147】
(態様D)
(態様C)において、前記シート材押圧部は、前記シート材載置部に対して、押圧部支持バネ107aを有した押圧部初期位置保持手段107などの押圧部初期位置保持手段により初期位置が保たれていることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
シート材を載置し易い、シート材載置部から所定距離以上、離間した初期位置にシート材押圧部の位置を保ち、シート材押圧部とシート材載置部との間にシート材を挿入して、シート材載置部上にシート材を載置するときの利用者の作業性を高めることができる。
【0148】
(態様E)
(態様C)において、前記シート材押圧部は、前記保持部に対して、押圧部押上バネ107bを有した押圧部初期位置保持手段107などの押圧部初期位置保持手段により初期位置が保たれていることを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、シート材を載置し易い、保持部を基準とした初期位置にシート材押圧部の位置を保つことができ、シート材を載置するときの利用者の利便性を高めることができる。
【0149】
(態様F)
(態様E)において、前記シート材載置部は、シートセット方向及びシート検知方向に平行な奥行き方向などの一方向に移動可能に設けられ、前記シート材押圧部と前記シート材載置部との間隔が所定の距離以内となった場合に、前記シート材押圧部に対する前記シート材載置部の前記一方向における相対移動を、シートセット方向などの少なくとも片方向は規制することを特徴とする。
【0150】
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
シート材押圧部の押圧力により、シート材載置部とで把持したシート材に生じる摩擦力でシート材押圧部の移動力をシート材及びシート材載置部に伝達する構成では、次のような不具合が生じるおそれがある。シート材の摩擦係数によっては、シート材押圧部とシート材間、シート材とシート材載置部間でスリップが生じるおそれである。このようにスリップが生じてしまうと、シート材に負荷が掛かって変形したり、安定した移動できなかったりして材情報検出手段によるシート材情報の検出が安定せず、シート材情報を検出できなかったり、検出精度が低下したりするおそれがある。
【0151】
一方、シート材押圧部とシート材載置部との間隔が、所定の距離以内となった場合に、シート材押圧部に対するシート材載置部の一方向における相対移動を、少なくとも片方向は規制する。このように構成することで、一方向の内、少なくとも片方向のスリップの発生を抑制できる。そして、上記少なくとも片方向の規制により、シート材載置部は、少なくとも相対移動が規制された側とは反対側へ移動するシート材押圧部の移動に同期して移動することになる。
したがって、シート材押圧部とシート材載置部とでシート材を把持した状態でシート材押圧部を移動させるときに、一方向の内、少なくとも片方の方向はスリップが生じるおそれを低減できる。
よって、情報検出手段で情報を検出するときに移動させるシート材の移動を、把持するシート材の摩擦係数によらず、シート材載置部とでシート材を把持したシート材押圧部を移動させることで安定して行うことが可能となる。
【0152】
(態様G)
(態様F)において、前記シート材押圧部と前記シート材載置部との間隔が、所定の距離以内となったことを検出する押圧部位置検出センサ122などの押圧部セット検出センサを有することを特徴とする。
【0153】
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
押圧装置セット検出センサで、シート材押圧部とシート材載置部との間隔が、所定の距離以内となったことを検出すること、つまり、シート材押圧部が正常なセット位置まで到達したか否かを検出することが可能となる。
また、検出結果に基づいてエラー表示を行う等して、正常なセット位置(検出開始位置)までシート材押圧部105が到達していない状態でシート材Pのシート情報検出の動作が開始されてしまうことを防ぐことが可能となる。
【0154】
(態様H)
(態様G)において、前記シート材が検出開始位置にあることを検出するシートセット検出手段121などのシートセット検出手段を有し、前記押圧部セット検出センサで、前記シート材押圧部と前記シート材載置部との間隔が、所定の距離以内となったことを検出した後、前記検出開始位置にあったシート材をシートセット検出手段が検出できなくなったときに、前記情報検出手段によるシート材の情報の検出を開始することを特徴とする。
【0155】
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
シート材がシート材載置部上の検出開始位置に正常にセットされ、シート材押圧部が正常な検出開始位置まで押圧された後、シート材を情報検出手段に対してシート検出方向に移動を開始するタイミングで検出開始できる。これにより、シート材載置部上の正常な検出開始位置からシート材がズレてセットされていたり、シート材押圧部が正常な検出開始位置まで押圧されておらず、シート情報検出を開始してからシート材がバタついたりすることを防ぐことができる。
よって、情報検出手段による、より安定したシート材のシート材情報の検出が可能となる。
【0156】
(態様I)
(態様E)乃至(態様H)のいずれかにおいて、前記押圧部初期位置保持手段は、前記シート材押圧部の初期位置を所定の位置に規制する押圧部初期位置規制手段142などの押圧部初期位置規制手段を有し、前記押圧部初期位置規制手段による前記シート材押圧部の位置の規制は、前記シート材押圧部が前記シート材載置部に接する方向に移動することにより解除されることを特徴とする。
【0157】
これによれば、本実施形態で説明したように、次のような効果を奏することができる。
シート材押圧部を押圧方向などのシート材載置部に接する方向に移動させるまでは、シート材押圧部を所定の位置に留め、シート材載置部に接する方向に移動させることで、押圧部初期位置規制手段によるシート材押圧部の位置の規制を解除することができる。
したがって、シート材判別装置を使用していないときに、シート材押圧部がガタついて、騒音が発生したり、シート材押圧部の押圧方向の移動を案内するガイド部材が劣化したり、ガイド部材が破損したりするおそれを低減できる。
また、シート材押圧部によるシート材の押圧から、シート材押圧部とシート材載置部とで把持したシート材の移動への移行がスムーズに行え、安定したシート材情報の検出が可能となるとともに、利用者の利便性を高めることができる。
【0158】
(態様J)
シート材Pなどのシート材に画像を形成する画像形成手段と、前記シート材の情報を検出し該シート材の判別を行うシート材判別装置と、を備えた画像形成装置2などの画像形成装置において、前記シート材判別装置として、(態様A)乃至(態様I)のいずれかのシート材判別装置100などのシート材判別装置を画像形成装置本体400外などの画像形成装置外部に設けたことを特徴とする。
これによれば、本実施形態で説明したように、シート材の種類に応じていない不適切な画像形成条件が、画像形成装置で設定されてしまうのを抑制し、良好な画像形成を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0159】
1 画像形成システム
2 画像形成装置
3 シート後処理装置
100 シート材判別装置
101 筐体部
101A 上部筐体
101B 下部筐体
102 センサ保持部材
103 把持移動機構
104 シート材載置部
104A シート載置面
105 シート材押圧部
106 載置部初期位置規制手段
107 押圧部初期位置保持手段
110 シート材情報検出センサ
110A 上部センサユニット
110B 下部センサユニット
111 照射装置
113 第一受光器
121 シートセット検出手段
122 押圧部位置検出センサ
125 移動同期手段
141 押圧部初期位置規制軸
142 押圧部初期位置規制手段
143 規制アーム
144 規制アーム回転軸
145 規制アームバネ
146 規制アームバネ支持部
400 画像形成装置本体
600 制御部600
P シート材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0160】
【特許文献1】特開2007−233186号公報
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