(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
DBG法の研削工程は、処理時間を短縮するためには、ウェーハの裏面が表面の切削溝に到達する直前までは単位時間当たりの研削量をできるだけ大きくした粗研削を行う必要がある。一方、チップの損傷を防止するためには、ウェーハの裏面をウェーハの表面の切削溝に到達させる際には、単位時間当たりの研削量を小さくした精研削を行うことが好ましい。
【0010】
ここで、研削前のウェーハの裏面と切削溝の底との距離は、ダイシング工程において形成した切削溝の深さとウェーハの初期の厚さから推定することができる。したがって、粗研削を行いながらウェーハの厚さを測定することで、切削溝の底とウェーハの裏面との残りの距離を推定することができる。
【0011】
しかしながら、ダイシング工程で形成される切削溝の深さにはばらつきが存在し、切削溝の底とウェーハの裏面との距離を適切に推定することはできなかった。このため、粗研削から精研削への切り替えは、ある程度の余裕をもって早目に行う必要があり、研削工程の処理時間が長くなるという問題点があった。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、DBG法における研削処理時間を短縮するウェーハ研削方法及びウェーハ研削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るウェーハ研削方法は、表面に切削溝が形成されたウェーハの裏面に対して単位時間当たりの研削量が相対的に大きい粗研削を行う粗研削工程と、粗研削を行いながら切削溝の底と裏面との距離を非接触で測定する測定工程と、測定した距離と閾値とを比較する比較工程と、測定した距離が閾値以下になると裏面に対して単位時間当たりの研削量が相対的に小さい精研削を行う精研削工程と、を備えた。
【0014】
本態様によれば、ウェーハの表面に形成された溝の底とウェーハの裏面との距離が閾値以下になるまで粗研削を行うことができるので、DBG法における研削処理時間を短縮することができる。
【0015】
本発明の他の態様に係るウェーハ研削方法において、測定工程は、レーザ光の干渉を用いるレーザ干渉計によって切削溝の底と裏面との距離を測定することができる。これにより、溝の底と裏面との距離を適切に非接触で測定することができる。
【0016】
本発明の他の態様に係るウェーハ研削方法において、測定工程は、レーザ干渉計から裏面までの第1の距離と、レーザ干渉計から切削溝の底までの第2の距離と、を測定し、第2の距離と第1の距離との差分から切削溝の底と裏面との距離を算出することができる。これにより、溝の底と裏面との距離を適切に算出することができる。
【0017】
本発明の他の態様に係るウェーハ研削方法において、粗研削工程は、裏面を一定の方向に向けてウェーハを回転させ、測定工程は、レーザ干渉計の測定位置をウェーハの面内で走査することができる。これにより、溝の底と裏面との距離の面内ばらつきを測定することができる。
【0018】
本発明の他の態様に係るウェーハ研削方法において、測定工程は、ウェーハにおける切削溝の底と裏面との距離の面内分布を算出し、粗研削工程は、面内分布を低減するように粗研削を行うことができる。これにより、切削溝の底と裏面との距離をウェーハの面内で均一にすることができる。
【0019】
本発明の他の態様に係るウェーハ研削方法において、ウェーハを可視光で照射する照射工程と、照射した可視光のうちウェーハを透過した可視光を受光する受光工程と、を備え、測定工程は、受光工程において受光した光に基づいて切削溝の底と裏面との距離を測定することができる。これにより、溝の底と裏面との距離を適切に非接触で測定することができる。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るウェーハ研削装置は、表面に切削溝が形成されたウェーハの裏面に対して単位時間当たりの研削量が相対的に大きい粗研削を行う粗研削部と、粗研削を行いながら切削溝の底と裏面との距離を測定する測定部と、測定した距離と閾値とを比較する比較部と、測定した距離が閾値以下になると裏面に対して単位時間当たりの研削量が相対的に小さい精研削を行う精研削部と、を備えた。
【0021】
本態様によれば、ウェーハの表面に形成された溝の底とウェーハの裏面との距離が閾値以下になるまで粗研削を行うことができるので、DBG法における研削処理時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、DBG法における研削処理時間を短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に従って本発明に係るウェーハ研削方法及びウェーハ研削装置の好ましい実施形態について説明する。
【0025】
〔ウェーハ研削装置〕
図1は、本実施形態のウェーハ研削装置10の斜視図であり、
図2はウェーハ研削装置10の平面図である。また、
図3は、ウェーハ研削装置10の構成を示したブロック図である。
【0026】
図1、
図2に示すように、ウェーハ研削装置10の本体12には、カセット収納部14、ウェーハ搬送装置16、アライメント部18、インデックステーブル20、粗研削部22、及び精研削部24が所定の位置に設けられている。これらの装置及び各部は、
図3に示すコントローラ26によって統括制御されている。コントローラ26は、入力装置28から入力されるウェーハWの品種等を示す情報に基づいてこれらの装置及び各部を制御する。制御内容については後述する。なお、
図1、
図2の粗研削部22及び精研削部24は、不図示のカバーによって覆われており、粗研削部22、精研削部24で使用した加工液が外部に飛散するのを防止している。
【0027】
〈カセット収納部〉
カセット収納部14には、裏面研削前の複数枚のウェーハWが収納されたカセット30と、裏面研削終了後のウェーハWが収納されるカセット32が着脱自在に装着される。
【0028】
裏面研削前のウェーハWの表面には、不図示のダイシング装置による溝加工工程を経ることによって、半導体素子を分離するための深さdの切削溝2(
図11参照)が形成されている。すなわち、ウェーハWの表面には、複数の半導体素子を区画するダイシングラインに沿ってウェーハWの表面側からウェーハWの初期厚さD0よりも浅い切削溝2が加工されている。そして、そのウェーハWの表面には、半導体素子を保護するBGテープ3(
図11参照)が貼り付けられている。
【0029】
カセット30に収納されたウェーハWは、ウェーハ搬送装置16の吸着部34によって1枚ずつ吸着保持されて、アライメント部18に搬送される。ウェーハ搬送装置16は、汎用の6軸関節ロボットであり、その構成は周知であるので、ここではその説明を省略する。
【0030】
〈アライメント部〉
アライメント部18は、カセット30から搬出されたウェーハWを所定の位置に位置合わせする装置である。アライメント部18で位置合わせされたウェーハWは、ウェーハ搬送装置16の吸着部34に再度吸着保持された後、空のテーブル36に搬送され、テーブル36の上面の吸着面にウェーハWの表面側が吸着保持される。テーブル36は、インデックステーブル20の上面に設置され、また、同機能を備えたテーブル38、40、42がインデックステーブル20の上面に設置されている。
【0031】
〈インデックステーブル〉
インデックステーブル20は円盤状に構成され、
図2の破線で示す回転軸44を介して本体12に回転自在に支持されている。また、回転軸44には、
図2の破線で示すモータ46の回転軸(不図示)が連結されている。よって、インデックステーブル20はモータ46の動力によって回転され、このモータ46が
図3に示すコントローラ26によって制御されている。なお、前述した4台のテーブル36〜42は、インデックステーブル20の回転軸44を中心とする同心円上に90度の間隔をもって設置されている。
【0032】
〈テーブル〉
図1、
図2において、テーブル36はウェーハWの受取位置に、テーブル38は粗研削部22による粗研削位置に、テーブル40は精研削部24による精研削位置に、テーブル42はウェーハWの受渡位置にそれぞれ配置される。
【0033】
ウェーハWは、受取位置に位置するテーブル36に保持された後、インデックステーブル20の90度の間欠的な回動によって粗研削位置に移動され、ここで粗研削加工される。粗研削加工が終了するとウェーハWは、インデックステーブル20の同方向の90度の間欠的な回動によって精研削位置に移動され、ここで精研削加工及びスパークアウト加工される。精研削加工が終了するとウェーハWは、インデックステーブル20の同方向の90度の間欠的な回動によって受渡位置に移動され、ここでウェーハ搬送装置16に保持された後、カセット32に収納される。
【0034】
テーブル36〜42は、インデックステーブル20の下面に支持された不図示のモータの回転軸に連結され、モータの駆動力によって回転される。
【0035】
テーブル36〜42の吸着面は、セラミックス等の焼結体からなるポーラス材で構成され、不図示のサクションポンプに連結されている。サクションポンプの吸引力を吸着面に作用させることにより、ウェーハWの表面側が吸着面に吸着保持される。
【0036】
〈粗研削部〉
粗研削部22は、ウェーハWの裏面を粗研削するカップ型砥石48、モータ50、送込装置52、非接触式厚さ測定手段であるノンコンタクトインプロセスゲージ(Non Contact In Process Gage。以下、「NCIG」と言う。)54を備える。
【0037】
カップ型砥石48は
図1に示すように、モータ50の不図示の回転軸に連結され、モータ50の駆動力によって回転される。また、カップ型砥石48は、モータ50及びモータ支持部56を介して送込装置52に取り付けられている。
【0038】
送込装置52は、カップ型砥石48をモータ50とともに、粗研削位置に対して昇降移動させる装置であり、下降移動による送込移動によってカップ型砥石48をウェーハWの裏面に押し付ける。カップ型砥石48のモータ50による回転と送込装置52による押し付けによって、ウェーハWの裏面粗研削加工を行うことができる。
【0039】
送込装置52によるカップ型砥石48の送込速度は、カップ型砥石48の砥粒の番手等の砥石の仕様及びウェーハWの材質等の研削条件に基づいて一定速度に設定される。また、送込装置52によるカップ型砥石48の送込量は、ウェーハWの裏面から切削溝2の底までの距離(切削溝2の底の厚さ)Dxに応じて、
図3に示すコントローラ26によって制御される。
【0040】
NCIG54は、本実施形態では、レーザ光を用いてNCIG54との間の距離を測定するレーザ干渉計が適用される。
図4は、NCIG54の構成を示すブロック図である。同図に示すように、NCIG54は、レーザ光源57、分岐部58、参照部59、出射部60、入射部61、合成部62、及び演算部63を備えている。
【0041】
レーザ光源57は、測定光であるレーザ光を生成する。レーザ光源57から出力された測定光は分岐部58に入力されて2つに分岐される。分岐部58から出力された2つの測定光は、参照部59及び出射部60に入力される。
【0042】
参照部59は、入力された測定光から参照光を生成する。参照光とは、測定光の戻り光である反射光から干渉信号を抽出するための基準となる光である。参照部59から出力された参照光は、合成部62に入力される。
【0043】
また、出射部60に入力された測定光は、出射部60からウェーハWに向けて出射される。測定光のうち、ウェーハWによって反射された反射光はNCIG54に戻り、入射部61から入射する。入射部61から出力された反射光は、合成部62に入力される。
【0044】
合成部62は、参照部59から出力された参照光と入射部61から出力された反射光とを合成し、合成光を生成する。合成部62から出力された合成光は、演算部63に入力される。演算部63は、入力された合成光の干渉に基づいて、NCIG54からウェーハWまでの距離を算出する。
【0045】
図5は、粗研削部22の拡大概略図である。ウェーハWを載置するテーブル36は、吸着面を中心として、吸着面を一定の方向に向けて回転可能に構成されている。また、NCIG54は、不図示の走査手段によりウェーハWの面内方向に走査されることで、NCIG54の測定位置が走査される。
【0046】
図6は、ウェーハWに入射した測定光B0に対する反射光を示す図である。また、
図7は、NCIG54からの距離とその距離における反射光の光量との関係を示す図である。粗研削部22では、ウェーハWが回転し、NCIG54がウェーハWの面内方向に走査される。したがって、NCIG54の出射部60からウェーハWに向けて出射された測定光B0のうち入射部61に入射する反射光には、
図6に示すように、ウェーハWの裏面で反射する反射光B1と、切削溝2の底で反射する反射光B2と、ウェーハWの表面で反射する反射光B3とが存在する。このうち、反射光B1は常に入射部61に入射する。また、測定光B0の入射位置に切削溝2が存在する場合は反射光B2が、切削溝2が存在しない場合は反射光B3が、入射部61に入射する。
【0047】
したがって、演算部63には、参照光と反射光B1との合成光、さらに参照光と反射光B2又は反射光B3の合成光が入力される。演算部63は、参照光と反射光B1の合成光の干渉に基づいて、NCIG54からウェーハWの裏面までの距離L1(第1の距離の一例)を算出し、参照光と反射光B2との合成光の干渉に基づいて、NCIG54から切削溝2の底までの距離L2(第2の距離の一例)を算出する。切削溝2の底の厚さDxは、距離L2と距離L1との差分から算出することができる。
【0048】
図8は、粗研削部22における経過時間と演算部63によって算出される距離との関係を示す図である。同図に示す距離L3は、NCIG54からウェーハWの表面までの距離である。同図に示すように、ウェーハWの回転とNCIG54の走査によって、測定光B0が切削溝2に入射するタイミングにおいて切削溝2の底の厚さDxを算出する。コントローラ26は、回転するウェーハWの向き及びNCIG54の走査位置を検出することで、算出された切削溝2の底の厚さDxがウェーハWのどの位置の切削溝2の値であるかを検出することができる。
【0049】
粗研削部22にて粗研削工程が行われたウェーハWは、ウェーハWからカップ型砥石48が上方に退避移動した後、インデックステーブル20の90度の回動で精研削部24に移動される。
【0050】
〈精研削部〉
図1、
図2に示すように、精研削部24は、ウェーハWの裏面を精研削するカップ型砥石64、モータ66、送込装置68、NCIG70を備える。
【0051】
カップ型砥石64は、モータ66の不図示の回転軸に連結され、モータ66の駆動力によって回転される。また、カップ型砥石64は、モータ66及びモータ支持部72を介して送込装置68に取り付けられている。
【0052】
送込装置68は、カップ型砥石64をモータ66とともに、精研削位置に対して昇降移動させる装置であり、下降移動による送込移動によってカップ型砥石64をウェーハWの裏面に押し付ける。カップ型砥石64のモータ66による回転と送込装置68による押し付けによって、ウェーハWの裏面粗研削加工を行うことができる。
【0053】
送込装置68によるカップ型砥石64の送込速度は、カップ型砥石64の砥粒の番手等の砥石の仕様及びウェーハWの材質等の研削条件に基づいて設定される。また、送込装置68によるカップ型砥石64の送込量は、切削溝2の底の厚さDxに応じて、
図3に示すコントローラ26によって制御される。
【0054】
NCIG70の構成は、NCIG54の構成と同様である。
【0055】
また、精研削部24においては、カップ型砥石64による精研削工程の後、カップ型砥石64によるスパークアウト工程に移行することもできる。スパークアウト工程とは、研削の最終段階で行われる工程であり、カップ型砥石64の送り込みを停止し、カップ型砥石64を回転させて、研削による火花や研削音がなくなるまでウェーハWの裏面を加工する工程である。
【0056】
精研削部24にて裏面がスパークアウトされたウェーハWは、ウェーハWからカップ型砥石64が上方に退避移動した後、インデックステーブル20の同方向の90度の回動で受渡位置に移動される。
【0057】
〔ウェーハ研削方法〕
図9は、粗研削部22による粗研削工程(ステップS10、S20)、精研削部24による精研削工程(ステップS40、S50、S60、S70)を含むウェーハ研削方法の処理の一例を示すフローチャートである。また、
図10は、粗研削工程及び精研削工程における経過時間と切削溝2の底の厚さDxとの関係を示す図であり、
図11(A)〜(E)は、粗研削部22及び精研削部24の研削加工動作を示した説明図である。
【0058】
以下、
図9〜
図11を参照しながら説明する。
【0059】
〈粗研削工程〉
ウェーハWの表面には、不図示のダイシング装置により切削溝2が形成されている。ウェーハWは、ウェーハWの表面をテーブル36の吸着面側に向けて、テーブル36に吸着保持される。
【0060】
図11(A)は、テーブル36が粗研削位置に移動した図である。この後、
図11(B)に示すように、ウェーハWの上方からカップ型砥石48を下降移動させ、ウェーハWの裏面にカップ型砥石48が当接したところで粗研削を開始する(ステップS10、粗研削工程の一例)。
【0061】
粗研削工程では、カップ型砥石48による送込速度を第1送込速度V1に制御して、ウェーハWの裏面を粗研削する。第1送込速度V1は、ウェーハWの裏面にカップ型砥石48によるダメージを与えることなく、裏面研削工程に費やす処理時間を短縮し、裏面研削工程を効率よく実施することを優先して設定された速度である。
【0062】
ここでは、カップ型砥石48によってウェーハWの裏面を粗研削しながら、ウェーハWの裏面から離れた位置に配置されたNCIG54(測定部の一例)によって距離L1及び距離L2を測定する。コントローラ26は、測定された距離L1及び距離L2に基づいて、ウェーハWの裏面から切削溝2の底までの距離である切削溝2の底の厚さDxを算出する(測定工程の一例)。そして、コントローラ26(比較部の一例)は、ステップS20(比較工程の一例)において、切削溝2の底の厚さDxと第1厚さD1(閾値の一例)とを比較し、切削溝2の底の厚さDxが第1厚さD1に到達したか否かを判定する。第1厚さD1に到達した場合(切削溝2の底の厚さDxが閾値以下の場合)はステップS30に移行し、到達していない場合はステップS10に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0063】
ステップS30では、カップ型砥石48を上方に退避移動させて、インデックステーブル20を90度回動させる。さらに、
図11(C)に示すように、テーブル36を精研削位置に移動させ、精研削工程に移行する。
【0064】
前述のように、粗研削部22では、テーブル36によるウェーハWの回転と、NCIG54の走査により、ウェーハWの任意の位置の切削溝2の底の厚さDxを算出することができる。したがって、切削溝2の底の厚さDxのウェーハWにおける面内分布を算出することが可能である。
【0065】
ウェーハWに切削溝2の底の厚さDxの面内分布が存在する場合には、コントローラ26は切削溝2の底の厚さDxが厚い領域の研削量を増やして、切削溝2の底の厚さDxを均一化し、面内分布を低減することも可能である。研削量の増減は、テーブル36の回転速度やモータ50の回転速度、第1送込速度V1を変更することで行うことができる。
【0066】
〈精研削工程〉
精研削工程は、第1精研削工程(ステップS40、S50)と第2精研工程(ステップS60、S70)との2つの工程に分けて実施する。
【0067】
ステップS40(精研削工程の一例)では、
図11(D)に示すように、カップ型砥石64による第1精研削工程を開始する。
【0068】
第1精研削工程では、カップ型砥石64による送込速度を第1送込速度V1よりも低速な第2送込速度V2に制御する。第2送込速度V2は、ウェーハWの裏面にカップ型砥石64によるダメージを与えることなく、粗面であったウェーハWの裏面を鏡面化することを優先して設定された速度である。そのため、第1送込速度V1よりも低速に第2送込速度V2を設定し、
図10に示すように、粗研削工程よりも単位時間当たりの研削量を低減させている(単位時間当たりの研削量が相対的に小さい)。よって、第1精研削工程において、ウェーハWの裏面が鏡面に研削される。
【0069】
ここでは、カップ型砥石64によってウェーハWの裏面を精研削しながら、ウェーハWの裏面から離れた位置に配置されたNCIG70によって距離L1及び距離L2を測定する。そして、コントローラ26(比較部の一例)は、測定された距離L1及び距離L2に基づいて切削溝2の底の厚さDxを算出し、ステップS50において、切削溝2の底の厚さDxが第2厚さD2に到達したか否かを判定する。第2厚さD2に到達した場合はステップS60に移行し、到達していない場合はステップS40に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0070】
ステップS60では、
図11(E)に示すように、カップ型砥石64による第2精研削工程を開始する。
【0071】
第2精研削工程では、カップ型砥石64による送込速度を第2送込速度V2よりも低速な第3送込速度V3に制御してウェーハWを精研削する。
【0072】
ここでは、カップ型砥石64によってウェーハWの裏面を精研削しながら、ウェーハWの裏面から離れた位置に配置されたNCIG70によって距離L1及び距離L2を測定する。そして、コントローラ26は、測定された距離L1及び距離L2に基づいて切削溝2の底の厚さDxを算出し、ステップS70において、切削溝2の底の厚さDxが第3厚さD3(D3=0)に到達したか否かを判定する。第3厚さD3に到達した場合はステップS80に移行し、到達していない場合はステップS60に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0073】
第3送込速度V3は、ウェーハWの裏面にカップ型砥石64によるダメージを与えない速度であることはもちろんであるが、切削溝2の底の厚さDxが第3厚さD3まで研削された直後、すなわち切削溝2がウェーハWの裏面に到達してウェーハWがチップに分割された直後に、送込装置68によるカップ型砥石64の下降移動を直ちに停止させることを優先して設定された速度である。つまり、ウェーハWがチップに分割された時間とカップ型砥石64の下降移動の停止時間の僅かな差に起因する、裏面研削量の過多を防止するために設定された速度である。
【0074】
第2精研削工程のウェーハWは、第2送込速度V2よりも低速な第3送込速度V3に制御されたカップ型砥石64によって、第2厚さD2から第3厚さD3まで時間をかけて徐々に研削されていく。したがって、第2精研削工程では、
図10に示すように、第1精研削工程よりも単位時間当たりの研削量を低減されている。
【0075】
そして、NCIG70によって切削溝2の底の厚さDx=0が検出されると、コントローラ26は送込装置68によるカップ型砥石64の下降移動を直ちに停止する。
【0076】
これにより、研削加工によって生じたスラッジが隣接するチップTの間の隙間に入り込み、チップTの側面にスラッジが付着するという問題を軽減することができる。また、個片化された直後のチップTのずれも抑制できるので、チップT同士の接触によるチップTの損傷を防止することができる。
【0077】
<スパークアウト工程>
ステップS80では、カップ型砥石64の送り込みを停止して、カップ型砥石64によってスパークアウトを設定時間S1だけ実行する。これにより、ウェーハW(チップ)の裏面の切り残しを除去し、ウェーハWの仕上げ面である裏面の品質が向上する。
【0078】
その後、インデックステーブル20を90度回動させてテーブル36を受渡位置に移動させる。
【0079】
このように、本実施形態のウェーハ研削装置10によれば、粗研削工程においてウェーハWの研削を適切な量だけ行ってから精研削工程へ切り替えることができる。これにより、ウェーハWを個片化するまでの研削処理時間を短縮することができる。また、切削溝2の底の厚さDxの面内分布を検出し、面内分布を低減することができるので、ダイシング工程において切削溝2の深さdにばらつきが存在しても、均一に個片化することができる。
【0080】
ウェーハWの表面にウェーハWを貫通しない溝を加工する溝入れ工程と、溝入れ工程によって溝が形成されたウェーハWを本実施形態に係る研削方法によってチップに個片化する工程を組み合わせることで、ダイシング方法を構成する態様も可能である。
【0081】
また、本実施形態に係る研削方法は、コンピュータに上記の各工程を実行せるためのプログラムとして構成し、当該プログラムを記憶したCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)等の非一時的な記録媒体を構成することも可能である。
【0082】
〔切削溝の底の厚さの算出の他の態様〕
上記の実施形態では、NCIG54を用いて切削溝2の底の深さDxを算出したが、切削溝2の底の深さDxを算出する方法はこれに限定されない。
【0083】
図12は、粗研削部22において切削溝2の底の深さDxを算出するための他の態様を示す図である。ここでは、光源80、分光器82、及び受光部84を備えている。
【0084】
光源80は、テーブル36の吸着面とは反対面側に配置され、所定範囲の波長の光を含む可視光をテーブル36の吸着面の反対面に向けて照射する。テーブル36は光源80が照射した可視光を透過する素材で構成されている。
【0085】
テーブル36の吸着面側であって、テーブル36に吸着保持されたウェーハWから離れた位置には、分光器82及び受光部84が配置される。分光器82は、所定の波長成分を含む光を波長毎に分光する光学素子であり、例えばプリズムや回折格子を用いることができる。分光器82は、入射した光を波長毎に分光させ、受光部84に入射させる。受光部84は、入射した光の量に応じた電気信号を出力する光学素子である。受光部84は、波長毎に分光されて入射した光から、波長毎の強度を検出する。
【0086】
このように構成された粗研削部22は、カップ型砥石48によってウェーハWの裏面を粗研削しながら、切削溝2の底の深さDxを算出する。切削溝2の底の深さDxの算出は、光源80によりテーブル36を介してウェーハWの表面に可視光を照射する(照射工程の一例)。このとき、ウェーハWの裏面側には、切削溝2の底から底の深さDxに応じた波長の光が透過する。この透過した光を分光器82によって分光し、受光部84で受光する(受光工程の一例)ことで、切削溝2の底の深さDxを算出する(算出工程の一例)。
【0087】
図13は、切削溝2の底の深さDxと、光源80が照射する可視光に含まれる波長λ1、λ2、及びλ3の透過光量との関係を示す図である。同図に示すように、波長によって切削溝2の底を透過する臨界厚みが異なっており、波長λ1は臨界厚みD4、波長λ2は臨界厚みD5、波長λ3は臨界厚みD6を有している(λ1>λ2>λ3、D4>D5>D6)。したがって、受光部84において検出した波長毎の強度をコントローラ26において解析することで、切削溝の2の底の深さDxを算出することができる。
【0088】
なお、ここでは光源80と分光器82及び受光部84とをウェーハWを挟んで対向するように配置したが、光源80の配置はこれに限定されず、光源80から出射した光によってウェーハWの表面側又を照射できればよい。例えば、
図14に示すように、ウェーハWの表面側に対向しない位置に光源80を配置し、光源80から出射した光を導光板86によりウェーハWの表面側に導いて、ウェーハWの表面側を照射してもよい。
【0089】
また
図12、
図14に示した例では、ウェーハWの表面側から照射した光を裏面側で受光したが、ウェーハWの裏面側に光源80を、表面側に分光器82及び受光部84を配置してもよい。
【0090】
本発明の技術的範囲は、上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。各実施形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態間で適宜組み合わせることができる。