特許第6625005号(P6625005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6625005
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】温度測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/00 20060101AFI20191216BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20191216BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   G01J5/00 101C
   C23C16/52
   H01L21/31 B
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-84733(P2016-84733)
(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公開番号】特開2017-15689(P2017-15689A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2017年10月27日
【審判番号】不服-161(P-161/J1)
【審判請求日】2019年1月8日
(31)【優先権主張番号】特願2015-130756(P2015-130756)
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】和田 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】吉井 弘治
(72)【発明者】
【氏名】小原 一輝
【合議体】
【審判長】 森 竜介
【審判官】 信田 昌男
【審判官】 ▲高▼見 重雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平3−265152(JP,A)
【文献】 特開平9−246200(JP,A)
【文献】 特開2009−302177(JP,A)
【文献】 特開2012−193985(JP,A)
【文献】 特開2012−248634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 5/00- 5/62
G01K 13/00-13/12
C23C 16/46
C23C 16/52
H01L 21/31
H01L 21/64-21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器内に設けられた回転テーブルの表面に複数の基板を載置し、回転テーブルを回転させながら複数の基板に熱処理を行う熱処理装置における温度測定方法であって、
前記回転テーブルの表面に室温(20℃)における抵抗率が0.02Ω・cm以下である製造履歴が異なる複数の低抵抗シリコンウエハを載置する載置ステップと、
前記複数の低抵抗シリコンウエハが載置された前記回転テーブルを回転させる回転ステップと、
前記回転テーブルが回転している状態で、前記複数の低抵抗シリコンウエハの各々の表面から放射される赤外線を検出することで前記低抵抗シリコンウエハの温度を測定する測定ステップと
を含み、
前記複数の低抵抗シリコンウエハの抵抗率は同じである、
温度測定方法。
【請求項2】
前記測定ステップは、前記回転テーブルの径方向に沿った方向の複数の領域における温度を測定する、
請求項1に記載の温度測定方法。
【請求項3】
前記低抵抗シリコンウエハは、不純物として三価元素又は五価元素が添加されたシリコンウエハである、
請求項1又は2に記載の温度測定方法。
【請求項4】
前記測定ステップは、前記低抵抗シリコンウエハの温度をヒータにより加熱した状態で、前記低抵抗シリコンウエハの温度を測定する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の温度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、処理容器内に設けられた回転テーブルの回転方向に複数の基板である半導体ウエハ(以下、「ウエハ」という。)が載置される熱処理装置が知られている。この熱処理装置は、回転テーブルの径方向に沿って設けられ、処理ガスを供給するガス供給部と、回転テーブルの下部に設けられ、ウエハを加熱するヒータとを備える。そして、ガス供給部によるガスの吐出及びヒータによるウエハの加熱を行いながら、回転テーブルを回転させることでウエハに成膜処理が行われる。
【0003】
この熱処理装置では、ウエハが適切な温度に加熱されているかを確認するための温度測定が行われる。温度測定の方法としては、熱電対を備えた温度測定用ウエハを回転テーブルに載置した後、ヒータの温度を上昇させて、温度測定用ウエハの温度を熱電対により測定する。この方法では、温度測定用ウエハに熱電対が接続されているため、回転テーブルを回転させた状態で温度測定を行うことができない。
【0004】
そこで、処理容器内に設けられた回転テーブルが回転している状態で回転テーブルの一面側を、径方向に沿って繰り返し走査して複数のスポット領域の温度を測定する放射温度測定部を備えた温度測定装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この温度測定装置では、回転テーブルにSiC(炭化シリコン)により構成されたウエハ(以下、「SiCウエハ」という。)を載置し、SiCウエハの表面から放射される赤外線を検出することで、温度測定が行われる。
【0005】
また、従来、放射温度測定部により温度を測定する際のターゲットとしては、SiC以外にも、シリコン、石英等が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−248634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の装置では、処理容器内の温度が安定した状態で、回転テーブルに載置された複数のSiCウエハの温度を測定した場合であっても、複数のSiCウエハの各々が異なる温度を示し、正確な温度測定が困難であるという課題があった。これは、複数のSiCウエハの各々が異なるインゴットから製造されている等、ウエハの製造履歴が異なる場合、ウエハ毎の放射率にバラツキが生じるためであると考えられる。
【0008】
また、放射温度測定部により温度を測定する際のターゲットとしてシリコンを用いる場合、低温領域(例えば、200℃〜400℃の範囲)における詳細な温度測定が困難である。これは、低温領域においてシリコンが赤外線を透過するためである。また、SiC及び石英は、シリコンとは熱容量や熱挙動が異なるため、シリコンに代えてSiC及び石英を用いてシリコンの温度を推定することは困難であった。
【0009】
そこで、上記課題に鑑み、製造履歴が異なるウエハを用いる場合であっても、高い精度でウエハの温度を測定することが可能な温度測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、一実施形態において、温度測定方法は、処理容器内に設けられた回転テーブルの表面に複数の基板を載置し、回転テーブルを回転させながら複数の基板に熱処理を行う熱処理装置における温度測定方法であって、前記回転テーブルの表面に室温(20℃)における抵抗率が0.02Ω・cm以下である製造履歴が異なる複数の低抵抗シリコンウエハを載置する載置ステップと、前記複数の低抵抗シリコンウエハが載置された前記回転テーブルを回転させる回転ステップと、前記回転テーブルが回転している状態で、前記複数の低抵抗シリコンウエハの各々の表面から放射される赤外線を検出することで前記低抵抗シリコンウエハの温度を測定する測定ステップとを含み、前記複数の低抵抗シリコンウエハの抵抗率は同じである
【発明の効果】
【0011】
本実施形態によれば、高い精度でウエハの温度を測定することが可能な温度測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る熱処理装置の概略縦断面図である。
図2】第1実施形態に係る熱処理装置の概略斜視図である。
図3】第1実施形態に係る熱処理装置の概略平面図である。
図4】第1実施形態に係る熱処理装置における温度測定部を説明する一部断面図である。
図5】放射温度測定部の動作を説明する図である。
図6】回転テーブルと温度測定領域との関係を説明する図である。
図7】第2実施形態に係る熱処理装置の概略縦断面図である。
図8】第3実施形態に係る熱処理装置の一例を示す概略縦断面図である。
図9】第3実施形態に係る熱処理装置の他の例を示す概略縦断面図である。
図10】第4実施形態に係る熱処理装置の概略縦断面図である。
図11】第5実施形態に係る熱処理装置の概略縦断面図である。
図12】実施例1における回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフである。
図13】実施例2における回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフである。
図14】実施例3における回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフである。
図15】実施例4における回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフである。
図16】比較例1における回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフである。
図17】比較例2における回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0014】
本実施形態の温度測定方法は、対象物から放射される赤外線を検出して温度を測定する放射温度測定部により、半導体製造装置における処理容器内の温度を測定する温度測定方法であって、放射温度測定部により温度を測定する対象物として、室温(20℃)における抵抗率が0.02Ω・cm以下である低抵抗シリコンウエハを使用するものである。これにより、低温領域(例えば、200℃〜400℃の範囲)においても高い精度で処理容器内の温度を測定することができる。また、低抵抗シリコンウエハでは、ウエハ毎の放射率のバラツキが小さいため、ウエハの製造履歴が異なる場合であっても、高い精度で処理容器内の温度を測定することができる。
【0015】
以下では、本実施形態の温度測定方法を半導体製造装置の一例である熱処理装置に適用する場合を例に挙げて説明するが、これに限定されず、他の各種の半導体製造装置に適用可能である。
【0016】
〔第1実施形態〕
第1実施形態では、処理容器内に設けられた回転テーブルの回転方向に沿って載置される複数のウエハに対し、互いに反応する複数の反応ガスを供給することにより、ウエハに成膜処理を行うセミバッチ式の熱処理装置における温度測定方法について説明する。
【0017】
(熱処理装置の構成)
【0018】
図1は、第1実施形態に係る熱処理装置の概略縦断面図である。図2は、第1実施形態に係る熱処理装置の概略斜視図である。図3は、第1実施形態に係る熱処理装置の概略平面図である。
【0019】
本実施形態の熱処理装置1は、概ね円形状の扁平な処理容器11と、処理容器11内に水平に設けられた円板状の回転テーブル12とを備えている。処理容器11は大気雰囲気に設けられ、天板13と、処理容器11の側壁及び底部をなす容器本体14とにより構成されている。図1中11aは、処理容器11内を気密に保つためのシール部材であり、14aは容器本体14の中央部を塞ぐカバーである。図1中12aは回転駆動機構であり、回転テーブル12を周方向に回転させる。
【0020】
回転テーブル12の表面には、回転テーブル12の回転方向に沿って5つの凹部16が形成されている。図中17は搬送口である。図3中18は搬送口17を開閉自在なシャッタである(図2では省略している)。搬送口17から搬送機構2AがウエハWを保持した状態で処理容器11内に進入すると、搬送口17に臨む位置における凹部16の孔16aから回転テーブル12上に不図示の昇降ピンが突出してウエハWを突き上げ、凹部16と搬送機構2Aとの間でウエハWが受け渡される。
【0021】
このような搬送機構2A、昇降ピン及び回転テーブル12による一連の動作が繰り返されて、各凹部16にウエハWが受け渡される。処理容器11からウエハWが搬出される時には、昇降ピンが凹部16内のウエハWを突き上げ、搬送機構2Aが突き上げられたウエハWを受け取り、処理容器11の外に搬出する。
【0022】
回転テーブル12上には、各々回転テーブル12の外周から中心へ向かって伸びる棒状の第1の反応ガスノズル21、分離ガスノズル22、第2の反応ガスノズル23及び分離ガスノズル24が、この順で周方向に配設されている。これらのガスノズル21〜24は下方に開口部を備え、回転テーブル12の径に沿って各々ガスを供給する。第1の反応ガスノズル21はBTBAS(ビスターシャルブチルアミノシラン)ガスを、第2の反応ガスノズル23はO(オゾン)ガスを各々吐出する。分離ガスノズル22、24はN(窒素)ガスを吐出する。
【0023】
処理容器11の天板13は、下方に突出する扇状の2つの突状部25を備え、突状部25は周方向に間隔をおいて形成されている。分離ガスノズル22、24は、各々突状部25にめり込むと共に、突状部25を周方向に分割するように設けられている。第1の反応ガスノズル21及び第2の反応ガスノズル23は、各突状部25から離れて設けられている。
【0024】
各凹部16にウエハWが載置されると、容器本体14の底面において突状部25の下方の分離領域D1と分離領域D2との間の領域から回転テーブル12の径方向外側へ向かった位置に開口した排気口26から排気されて、処理容器11内が真空雰囲気になる。そして、回転テーブル12が回転すると共に、回転テーブル12の下方に設けられるヒータ20により回転テーブル12を介してウエハWが例えば760℃に加熱される。図3中の矢印27は回転テーブル12の回転方向を示している。
【0025】
続いて、各ガスノズル21〜24からガスが供給され、ウエハWは第1の反応ガスノズル21の下方の第1の処理領域P1と第2の反応ガスノズル23の下方の第2の処理領域P2とを交互に通過する。これにより、ウエハWにBTBASガスが吸着し、次いでOガスが吸着してBTBAS分子が酸化されて酸化シリコンの分子層が1層あるいは複数層形成される。こうして酸化シリコンの分子層が順次積層されて所定膜厚のシリコン酸化膜が成膜される。
【0026】
この成膜処理時に分離ガスノズル22、24から分離領域D1、D2に供給されたNガスが、分離領域D1、D2を周方向に広がり、回転テーブル12上でBTBASガスとOガスとが混合されることを抑制する。また、余剰のBTBASガス及びOガスを、排気口26へ押し流す。また、この成膜処理時には、回転テーブル12の中心部領域上の空間28にNガスが供給される。天板13において、リング状に下方に突出した突出部29の下方を介して、このNガスが回転テーブル12の径方向外側に供給され、中心部領域CでのBTBASガスとOガスとの混合が防がれる。図3では矢印により成膜処理時の各ガスの流れを示している。また、図示は省略しているが、カバー14a内及び回転テーブル12の裏面側にもNガスが供給され、反応ガスがパージされるようになっている。
【0027】
続いて、天板13及び回転テーブル12の縦断側面を拡大して示す図4も参照しながら説明する。図4は、第1実施形態に係る熱処理装置における温度測定部を説明する一部断面図である。具体的には、図4は、第1の反応ガスノズル21が設けられる第1の処理領域P1と、第1の処理領域P1の回転方向上流側に隣り合う分離領域D2との間の断面を示している。
【0028】
天板13には、図3に鎖線で示す位置に、回転テーブル12の径方向に伸びたスリット31が開口しており、このスリット31の上下を覆うように下側窓32、上側窓33が設けられている。これら下側窓32、上側窓33は回転テーブル12の表面側から放射される赤外線を透過させて、後述の放射温度測定部3による温度測定ができるように例えばサファイアにより構成されている。なお、回転テーブル12の表面側とはウエハWの表面側も含む。
【0029】
スリット31の上方には非接触温度計の一例である放射温度測定部3が設けられている。図4中の回転テーブル12の表面から放射温度測定部3の下端までの高さHは、例えば500mmである。この放射温度測定部3は、回転テーブル12の温度測定領域から放射される赤外線を後述の検出部301に導き、検出部301がその赤外線の量に応じた温度測定値を取得する。従って、この温度測定値は取得された箇所の温度により異なり、取得された温度測定値は、順次後述の制御部5に送信される。
【0030】
次に、放射温度測定部3について、図5を参照しながら説明する。図5は、放射温度測定部の動作を説明する図である。
【0031】
図5に示すように、放射温度測定部3は、50Hzで回転するサーボモータからなる回転体302を備えている。この回転体302は平面視において三角形状に構成され、回転体302の3つの各側面は反射面303〜305として構成されている。図5に示すように、回転体302が回転軸306の周りに回転することで、ウエハWを含む回転テーブル12における温度測定領域40の赤外線を、図中矢印で示すように反射面303〜305のいずれかで反射させて検出部301に導くと共に温度測定領域40の位置を回転テーブル12の径方向に移動させてスキャン(走査)する。
【0032】
検出部301は1つの反射面から連続して所定回数(例えば128回)赤外線を取り込むことにより、回転テーブル12の径方向の所定箇所(例えば128箇所)の温度を検出できるように構成されている。そして、回転体302の回転により反射面303〜305が順次赤外線の光路上に位置することによりスキャンは回転テーブル12の内側から外側方向へ向けて繰り返し行うことができ、このスキャン速度は150Hzである。すなわち、放射温度測定部3は、1秒間に150回のスキャンを行うことができる。また、温度測定領域40はその径が5mmのスポットである。スキャンは、回転テーブル12においてウエハWが載置される凹部16よりも更に内側の位置から、回転テーブル12の外周端に至る範囲で行われる。なお、図4中の鎖線34、35は回転テーブル12の最も内周側、最も外周側に各々移動した温度測定領域40から放射温度測定部3に向かう赤外線を示している。
【0033】
放射温度測定部3によるスキャンは、回転テーブル12が回転している状態で行われる。回転テーブル12の回転速度は、この例では240回転/分である。図6は、回転テーブル12と温度測定領域40との関係を示した平面図である。なお、図中41は、回転テーブル12が回転している状態で、回転テーブル12の内側から外側へ向かってn回目(nは整数)にスキャンを行ったときの温度測定領域40の列(スキャンライン)を示している。図中42はn+1回目(nは整数)にスキャンを行ったときのスキャンラインを示している。回転テーブル12の回転により、回転テーブル12の回転中心Pを中心として、スキャンライン41、42は回転テーブル12の回転速度に応じた角度θ1だけ中心角が互いにずれる。このように回転テーブル12を回転させながらスキャンを繰り返すことで、回転テーブル12の多数の位置の温度測定値を順次取得する。
【0034】
また、熱処理装置1には、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部5が設けられている。この制御部5のメモリ内には、後述の温度測定を行うためのプログラムが格納されている。このプログラムは、装置の各種動作を実行するようにステップ群が組まれており、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスク等の記憶媒体から制御部5内にインストールされる。
【0035】
(温度測定方法)
本実施形態の熱処理装置1における温度測定方法の一例について説明する。
【0036】
本実施形態の温度測定方法は、前述した熱処理装置における温度測定方法であって、回転テーブルの表面に室温(20℃)における抵抗率が0.02Ω・cm以下である複数の低抵抗シリコンウエハを載置する載置ステップと、複数の低抵抗シリコンウエハが載置された回転テーブルを回転させる回転ステップと、回転テーブルが回転している状態で、複数の低抵抗シリコンウエハの各々の表面から放射される赤外線を検出することで低抵抗シリコンウエハの温度を測定する測定ステップとを含む。
【0037】
以下、各々のステップについて説明する。
【0038】
載置ステップは、回転テーブル12の表面に室温における抵抗率が0.02Ω・cm以下である複数の低抵抗シリコンウエハを載置するステップである。
【0039】
具体的には、まず、搬送口17に設けられたシャッタ18を開き、処理容器11の外部から搬送機構2Aにより搬送口17を介して低抵抗シリコンウエハを回転テーブル12の凹部16内に受け渡す。この受け渡しは、凹部16が搬送口17に臨む位置に停止したときに凹部16の底面の貫通孔を介して処理容器11の底部側から不図示の昇降ピンが昇降することにより行われる。このような低抵抗シリコンウエハの受け渡しを、回転テーブル12を間欠的に回転させて行い、回転テーブル12の5つの凹部16内に各々低抵抗シリコンウエハを載置する。
【0040】
回転ステップは、複数の低抵抗シリコンウエハが載置された回転テーブル12を回転させるステップである。
【0041】
具体的には、回転テーブル12の5つの凹部16内に各々低抵抗シリコンウエハが載置された後、シャッタ18を閉じ、排気口26に接続された不図示の真空ポンプにより処理容器11内を引き切りの状態にする。次いで、分離ガスノズル22、24から分離ガスであるNガスを所定流量で吐出し、回転テーブル12の中心部領域上の空間28にNガスを所定流量で供給する。これに伴い、排気口26に接続された不図示の圧力調整手段により処理容器11内を予め設定した圧力(例えば、ウエハWに熱処理を行うときと同様の圧力)に調整する。次いで、回転テーブル12を時計回りに回転させながらヒータ20により低抵抗シリコンウエハを例えば所定温度(例えば760℃)に加熱する。
【0042】
測定ステップは、回転テーブル12が回転している状態で、複数の低抵抗シリコンウエハの各々の表面から放射される赤外線を検出することで低抵抗シリコンウエハの温度を測定するステップである。
【0043】
具体的には、回転テーブル12が回転している状態で、放射温度測定部3の回転体302を回転軸306の周りに回転することで、低抵抗シリコンウエハを含む回転テーブル12における温度測定領域40の赤外線を、反射面303〜305のいずれかで反射させて検出部301に導くと共に温度測定領域40の位置を回転テーブル12の径方向に移動させてスキャンする。このとき、検出部301により1つの反射面から連続して所定回数(例えば128回)赤外線を取り込むことにより、回転テーブル12の径方向の所定箇所(例えば128箇所)の温度を検出する。このように、回転テーブル12を回転させながら放射温度測定部3によるスキャンを繰り返すことで、回転テーブル12に載置された複数の低抵抗シリコンウエハの各々の表面から放射される赤外線を検出し、複数の低抵抗シリコンウエハの温度を順次測定する。
【0044】
なお、第1実施形態では、放射温度測定部3が温度測定領域40の位置を回転テーブル12の径方向に移動させてスキャンすることで温度を測定する形態について説明したが、これに限定されない。例えば、放射温度測定部3が温度測定領域40の位置を回転テーブル12の径方向に移動させることなく、回転テーブル12の径方向の任意の1点の温度を測定する形態であってもよい。また、放射温度測定部3としては、公知の赤外線放射温度計、熱画像計測装置(サーモグラフィ)を用いてもよい。
【0045】
〔第2実施形態〕
第2実施形態では、ウエハボートに載置された多数枚のウエハにより1つのバッチを構成し、バッチ単位で処理容器内において成膜処理を行うバッチ式の熱処理装置における温度測定方法について説明する。
【0046】
(熱処理装置の構成)
図7は、第2実施形態に係る熱処理装置の概略縦断面図である。
【0047】
図7に示すように、第2実施形態の熱処理装置は、長手方向が鉛直方向である略円筒形の処理容器104を有する。処理容器104は、円筒体の内筒106と、内筒106の外側に同心的に配置された天井を有する外筒108とを備える2重管構造を有する。内筒106及び外筒108は、例えば石英等の耐熱性材料により形成されている。
【0048】
内筒106及び外筒108は、ステンレス鋼等により形成されるマニホールド110によって、その下端部が保持されている。マニホールド110は、例えば図示しないベースプレートに固定されている。なお、マニホールド110は、内筒106及び外筒108と共に略円筒形の内部空間を形成しているため、処理容器104の一部を形成しているものとする。即ち、処理容器104は、例えば石英等の耐熱性材料により形成される内筒106及び外筒108と、ステンレス鋼等により形成されるマニホールド110とを備え、マニホールド110は、内筒106及び外筒108を下方から保持するように処理容器104の側面下部に設けられている。
【0049】
マニホールド110は、処理容器104内に、成膜処理に用いられる成膜ガス、添加ガス等の処理ガス、パージ処理に用いられるパージガス等の各種ガスを導入するガス導入部120を有する。図7では、ガス導入部120が1つ設けられる形態を示しているが、これに限定されず、使用するガスの種類等に応じて、ガス導入部120が複数設けられていてもよい。
【0050】
処理ガスの種類としては、特に限定されず、成膜する膜の種類等に応じて適宜選択することができる。パージガスの種類としては特に限定されず、例えば窒素(N)ガス等の不活性ガスを用いることができる。
【0051】
ガス導入部120には、各種ガスを処理容器104内に導入するための導入配管122が接続される。なお、導入配管122には、ガス流量を調整するためのマスフローコントローラ等の流量調整部124や図示しないバルブ等が介設されている。
【0052】
また、マニホールド110は、処理容器104内を排気するガス排気部130を有する。ガス排気部130には、処理容器104内を減圧制御可能な真空ポンプ132、開度可変弁134等を含む排気配管136が接続されている。
【0053】
マニホールド110の下端部には、炉口140が形成されており、炉口140には、例えばステンレス鋼等により形成される円盤状の蓋体142が設けられている。蓋体142は、例えばボートエレベータとして機能する昇降機構144により昇降可能に設けられており、炉口140を気密に封止可能に構成されている。
【0054】
蓋体142の上には、例えば石英製の保温筒146が設置されている。保温筒146の上には、例えば50枚から175枚程度のウエハWを水平状態で所定の間隔で多段に保持する、例えば石英製のウエハボート148が載置されている。ウエハボート148は、蓋体142に設けられている図示しない回転機構により保温筒146を介して回転可能に構成されている。
【0055】
ウエハボート148は、昇降機構144を用いて蓋体142を上昇させることで処理容器104内へと搬入され、ウエハボート148内に保持されたウエハWに対して各種の成膜処理が行われる。各種の成膜処理が行われた後には、昇降機構144を用いて蓋体142を下降させることで、ウエハボート148は処理容器104内から下方のローディングエリアへと搬出される。ウエハボート148に載置された多数枚のウエハWは1つのバッチを構成し、バッチ単位で各種の成膜処理が行われる。
【0056】
処理容器104の外周側には、処理容器104を所定の温度に加熱制御可能な、例えば円筒形状のヒータ160が設けられている。ヒータ160は、7つのゾーンに分割されており、鉛直方向の上側から下側に向かって、ヒータ160a〜160gが設けられている。ヒータ160a〜160gは、それぞれ電力制御機162a〜162gによって独立して発熱量を制御できるように構成される。また、内筒106の内壁及び/又は外筒108の外壁には、ヒータ160a〜160gに対応して、図示しない温度センサが設置されている。なお、図7では、ヒータ160が7つのゾーンに分割されている場合を示しているが、ヒータ160のゾーンの分割数はこれに限定されず、例えば6つ以下であってもよく、8つ以上であってもよい。また、ヒータ160は、複数のゾーンに分割されていなくてもよい。
【0057】
処理容器104の上方には非接触温度計の一例である放射温度測定部3Aが設けられている。放射温度測定部3Aは、ウエハボート148内に保持される低抵抗シリコンウエハから放射される赤外線を検出することにより、低抵抗シリコンウエハの温度を測定する。放射温度測定部3Aとしては、例えば第1実施形態で説明した放射温度測定部3と同様の構成であってもよく、公知の赤外線放射温度計、サーモグラフィであってもよい。
【0058】
熱処理装置には、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部190が設けられている。制御部190のメモリ内には、温度測定を行うためのプログラムが格納されている。プログラムは、装置の各種動作を実行するようにステップ群が組まれており、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスク等の記憶媒体から制御部190内にインストールされる。
【0059】
また、制御部190は、放射温度測定部3Aにより測定された低抵抗シリコンウエハの温度に基づいて、ヒータ160をフィードバック制御してもよい。なお、低抵抗シリコンウエハが設けられる位置の温度と、処理容器104内の温度との差が大きい場合には、低抵抗シリコンウエハの温度を補正し、補正された温度に基づいて、ヒータ160をフィードバック制御してもよい。
【0060】
(温度測定方法)
第2実施形態の熱処理装置における温度測定方法の一例について説明する。
【0061】
第2実施形態の温度測定方法は、前述した熱処理装置における温度測定方法であって、載置ステップと、搬入ステップと、回転ステップと、測定ステップとを含む。
【0062】
以下、各々のステップについて説明する。
【0063】
載置ステップでは、ウエハボート148内に室温(20℃)における抵抗率が0.02Ω・cm以下である低抵抗シリコンウエハを載置する。ウエハボート148内における低抵抗シリコンウエハを載置する位置は、ウエハボート148の最上段の位置(図7の位置A1)であることが好ましい。これにより、ウエハボート148内の他の位置に製品ウエハ、ダミーウエハ等を保持した状態であっても、放射温度測定部3Aにより低抵抗シリコンウエハから放射される赤外線を検出できる。なお、低抵抗シリコンウエハを載置する位置については、放射温度測定部3Aが低抵抗シリコンウエハから放射される赤外線を検出可能な位置であれば、他の位置であってもよい。
【0064】
搬入ステップでは、低抵抗シリコンウエハが載置されたウエハボート148を処理容器104内に搬入する。
【0065】
回転ステップでは、回転機構により処理容器104内に搬入されたウエハボート148を回転させ、ヒータ160により低抵抗シリコンウエハを所定温度に加熱する。
【0066】
測定ステップでは、ウエハボート148が回転している状態で、放射温度測定部3Aにより低抵抗シリコンウエハの表面から放射される赤外線を検出することで低抵抗シリコンウエハの温度を測定する。
【0067】
〔第3実施形態〕
第3実施形態では、ウエハボートに載置された多数枚のウエハによりに1つのバッチを構成し、バッチ単位で処理容器内において成膜処理を行うバッチ式の熱処理装置における処理容器内の温度を測定する温度測定方法の他の例について説明する。
【0068】
第3実施形態の熱処理装置は、放射温度測定部が処理容器の下方に設けられている点で、第2実施形態の熱処理装置と異なる。なお、その他の構成については、第2実施形態の熱処理装置と同様とすることができる。
【0069】
図8は、第3実施形態に係る熱処理装置の一例を示す概略縦断面図である。
【0070】
図8に示すように、放射温度測定部3Bは、処理容器104の下方、例えば昇降機構144の上面に取り付けられている。蓋体142には、放射温度測定部3Bが設けられている位置と対応する位置に、スリット150が開口しており、スリット150の上下を覆うように下側窓152、上側窓154が設けられている。下側窓152、上側窓154は低抵抗シリコンウエハの表面から放射される赤外線を透過させて、放射温度測定部3Bによる温度測定ができるように例えばサファイアにより構成されている。
【0071】
本実施形態のように放射温度測定部3Bが処理容器104の下方に設けられている場合、低抵抗シリコンウエハを載置する位置は、ウエハボート148の最下段の位置(図8の位置A2)であることが好ましい。これにより、ウエハボート148内の他の位置に製品ウエハ、ダミーウエハ等を保持した状態であっても、放射温度測定部3Bにより低抵抗シリコンウエハから放射される赤外線を検出できる。なお、低抵抗シリコンウエハを載置する位置については、放射温度測定部3Bが低抵抗シリコンウエハから放射される赤外線を検出可能な位置であれば、他の位置であってもよい。
【0072】
図9は、第3実施形態に係る熱処理装置の他の例を示す概略縦断面図である。
【0073】
図9に示すように、放射温度測定部3Cは、処理容器104の下方、例えば昇降機構144の上面に取り付けられている。放射温度測定部3Cの上方には、蓋体142の下方から蓋体142を貫通して処理容器104の内部に差し込まれ、その先端部がウエハボート148の外周側に配置された管状部材156が設けられている。管状部材156は、赤外線を伝送する伝送路として機能するものである。
【0074】
本実施形態のように放射温度測定部3Cが処理容器104の下方に設けられ、管状部材156が設けられている場合、低抵抗シリコンウエハを載置する位置は、管状部材156の内部における先端部の近傍(図9の位置A3)であることが好ましい。このとき、低抵抗シリコンウエハは、管状部材156の内部に収容可能な大きさに加工されて管状部材156の内部における先端部に取り付けられている。なお、管状部材156を複数設け、複数の管状部材156の各々に対応して放射温度測定部3Cを複数設けてもよい。この場合、管状部材156の先端部の位置が鉛直方向において異なるように設けられることが好ましい。これにより、鉛直方向の異なる位置における温度を測定できる。
【0075】
〔第4実施形態〕
第4実施形態では、ウエハボートに載置された多数枚のウエハによりに1つのバッチを構成し、バッチ単位で処理容器内において成膜処理を行うバッチ式の熱処理装置における処理容器内の温度を測定する温度測定方法の他の例について説明する。
【0076】
第4実施形態の熱処理装置は、放射温度測定部が処理容器の側方に設けられている点で、第2実施形態の熱処理装置と異なる。なお、その他の構成については、第2実施形態の熱処理装置と同様とすることができる。
【0077】
図10は、第4実施形態に係る熱処理装置の概略縦断面図である。
【0078】
図10に示すように、放射温度測定部3Dは、処理容器104の側方に設けられている。具体的には、複数の放射温度測定部3D−a〜3D−gが、それぞれヒータ160a〜160gの外部からヒータ160a〜160gを貫通するように処理容器104に向かって差し込まれ、その先端部(温度検知部)が外筒108の外壁の近傍に配置されている。なお、放射温度測定部3Dは1つであってもよい。
【0079】
本実施形態のように放射温度測定部3Dの先端部が外筒108の外壁の近傍に配置される場合、低抵抗シリコンウエハを載置する位置は、外筒108の外壁における放射温度測定部3Dが設けられた位置と対応する位置であることが好ましい。即ち、図10に示すように、低抵抗シリコンウエハは、放射温度測定部3D−a〜3D−gが設けられた位置と対応する位置A4−a〜A4−gに取り付けられることが好ましい。これにより、鉛直方向の異なる位置における温度を測定できる。低抵抗シリコンウエハを外筒108の外壁に取り付ける方法は特に限定されず、例えば低抵抗シリコンウエハをホルダに保持させた状態で外筒108の外壁に取り付けることができる。なお、低抵抗シリコンウエハを載置する位置は、ウエハボート148内における放射温度測定部3Dが設けられた位置と対応する位置であってもよい。
【0080】
〔第5実施形態〕
第5実施形態では、ウエハボートに載置された多数枚のウエハによりに1つのバッチを構成し、バッチ単位で処理容器内において成膜処理を行うバッチ式の熱処理装置における処理容器内の温度を測定する温度測定方法の他の例について説明する。
【0081】
第5実施形態の熱処理装置は、放射温度測定部の先端部(温度検知部)が処理容器の内部に設けられている点で、第2実施形態の熱処理装置と異なる。なお、その他の構成については、第2実施形態の熱処理装置と同様とすることができる。
【0082】
図11は、第5実施形態に係る熱処理装置の概略縦断面図である。
【0083】
図11に示すように、放射温度測定部3Eは、その先端部が処理容器104の内部に設けられている。具体的には、放射温度測定部3Eは、蓋体142の下方から蓋体142を貫通して処理容器104の内部に差し込まれ、その先端部がウエハボート148の最下段の位置の近傍に配置された光ファイバ部3E1を有する。放射温度測定部3Eは、光ファイバ部3E1の先端部から入射した赤外線を検出可能に構成されている。
【0084】
本実施形態のように放射温度測定部3Eの先端部がウエハボート148の最下段の位置の近傍に配置されている場合、低抵抗シリコンウエハを載置する位置は、ウエハボート148の最下段の位置(図10の位置A5)であることが好ましい。
【実施例】
【0085】
以下、実施例において本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。
【0086】
[実施例1]
実施例1では、前述した第1実施形態の温度測定方法により温度測定を行った。なお、本実施例では、回転テーブル12の回転方向に沿って6つの凹部16(Slot1、Slot2、Slot3、Slot4、Slot5、Slot6)が形成された回転テーブル12を用いた。
【0087】
まず、回転テーブル12の6つの凹部16の各々に低抵抗シリコンウエハを載置した。本実施例では、低抵抗シリコンウエハとして、B(ボロン)が不純物として添加され、室温における抵抗率が0.02Ω・cm未満である6枚のP型のシリコンウエハを用いた。また、6枚のシリコンウエハは、異なるインゴットから製造されたものを用いた。
【0088】
次いで、複数の低抵抗シリコンウエハが載置された回転テーブル12を回転させながらヒータ20により低抵抗シリコンウエハを加熱した。本実施例では、回転テーブル12を20rpmの回転速度で時計回りに回転させ、ヒータ20の設定温度を760℃にして低抵抗シリコンウエハの加熱を行った。
【0089】
次いで、処理容器11内の温度が安定した状態で、6枚の低抵抗シリコンウエハの各々の表面から放射される赤外線を検出することで6枚の低抵抗シリコンウエハの温度を測定した。
【0090】
図12は、実施例1における回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフである。図12のグラフにおいて、横軸は回転テーブル12の回転中心Pからの距離(mm)であり、縦軸は温度(℃)である。また、低抵抗シリコンウエハが載置された範囲(ウエハ範囲)は、回転テーブル12の回転中心Pからの距離が160mm以上460mm以下の範囲である。
【0091】
具体的には、図12には、回転テーブル12の6つの凹部16の各々に低抵抗シリコンウエハを載置したときの回転テーブル12の径方向における6枚の低抵抗シリコンウエハの温度分布を示している。なお、図中、実線、点線、破線、一点鎖線、長破線及び二点鎖線は、各々、Slot1、Slot2、Slot3、Slot4、Slot5及びSlot6に載置された低抵抗シリコンウエハの回転テーブル12の回転中心Pからの距離と温度との関係を示している。
【0092】
図12に示すように、6枚の低抵抗シリコンウエハは、回転テーブル12の径方向におけるいずれの位置においても、ほとんど同じ温度であり、最も温度差が大きい位置(図中、約420mmの位置)でもその温度差は、1.2℃であった。
【0093】
[実施例2]
実施例2では、ヒータ20の設定温度を620℃にして低抵抗シリコンウエハの加熱を行った点以外は、実施例1と同様の温度測定方法により温度測定を行った。
【0094】
図13は、実施例2における回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフである。図13のグラフにおいて、横軸は回転テーブル12の回転中心Pからの距離(mm)であり、縦軸は温度(℃)である。また、低抵抗シリコンウエハが載置された範囲は、回転テーブル12の回転中心Pからの距離が160mm以上460mm以下の範囲である。
【0095】
具体的には、図13には、回転テーブル12の6つの凹部16の各々に低抵抗シリコンウエハを載置したときの回転テーブル12の径方向における6枚の低抵抗シリコンウエハの温度分布を示している。なお、図中、実線、点線、破線、一点鎖線、長破線及び二点鎖線は、各々、Slot1、Slot2、Slot3、Slot4、Slot5及びSlot6に載置された低抵抗シリコンウエハの回転テーブル12の回転中心Pからの距離と温度との関係を示している。
【0096】
図13に示すように、6枚の低抵抗シリコンウエハは、回転テーブル12の径方向におけるいずれの位置においても、ほとんど同じ温度であり、最も温度差が大きい位置(図中、420mmの位置)でもその温度差は、0.9℃であった。
【0097】
[実施例3]
実施例3では、ヒータ20の設定温度を155℃にして低抵抗シリコンウエハの加熱を行った点以外は、実施例1と同様の温度測定方法により温度測定を行った。
【0098】
図14は、実施例3における回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフである。図14のグラフにおいて、横軸は回転テーブル12の回転中心Pからの距離(mm)であり、縦軸は温度(℃)である。また、低抵抗シリコンウエハが載置された範囲は、回転テーブル12の回転中心Pからの距離が160mm以上460mm以下の範囲である。
【0099】
具体的には、図14には、回転テーブル12の6つの凹部16の各々に低抵抗シリコンウエハを載置したときの回転テーブル12の径方向における6枚の低抵抗シリコンウエハの温度分布を示している。なお、図中、実線、点線、破線、一点鎖線、長破線及び二点鎖線は、各々、Slot1、Slot2、Slot3、Slot4、Slot5及びSlot6に載置された低抵抗シリコンウエハの回転テーブル12の回転中心Pからの距離と温度との関係を示している。
【0100】
図14に示すように、6枚の低抵抗シリコンウエハは、回転テーブル12の径方向におけるいずれの位置においても、ほとんど同じ温度であり、最も温度差が大きい位置(図中、約340mmの位置)でもその温度差は、0.5℃であった。
【0101】
[実施例4]
実施例4では、低抵抗シリコンウエハとして、Sb(アンチモン)が不純物として添加され、室温における抵抗率が0.02Ω・cmである6枚のN型のシリコンウエハを用いた点以外は、実施例3と同様の温度測定方法により温度測定を行った。なお、6枚のシリコンウエハは、異なるインゴットから製造されたものを用いた。
【0102】
図15は、実施例4における回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフである。図14のグラフにおいて、横軸は回転テーブル12の回転中心Pからの距離(mm)であり、縦軸は温度(℃)である。また、低抵抗シリコンウエハが載置された範囲は、回転テーブル12の回転中心Pからの距離が160mm以上460mm以下の範囲である。
【0103】
具体的には、図15には、回転テーブル12の6つの凹部16の各々に低抵抗シリコンウエハを載置したときの回転テーブル12の径方向における6枚の低抵抗シリコンウエハの温度分布を示している。なお、図中、実線、点線、破線、一点鎖線、長破線及び二点鎖線は、各々、Slot1、Slot2、Slot3、Slot4、Slot5及びSlot6に載置された低抵抗シリコンウエハの回転テーブル12の回転中心Pからの距離と温度との関係を示している。
【0104】
図15に示すように、6枚の低抵抗シリコンウエハは、回転テーブル12の径方向におけるいずれの位置においても、ほとんど同じ温度であり、最も温度差が大きい位置(図中、約440mmの位置)でもその温度差は、0.7℃であった。
【0105】
また、図15に示すように、回転テーブル12の回転中心Pからの距離が370mmの位置(図中)において、図14では見られなかった温度の変動が確認された。これは、Sbを不純物として添加した低抵抗シリコンウエハは、低温で僅かに赤外線を透過するため、低抵抗シリコンウエハの下部に配置された昇降ピン、ヒータ20等から放射される赤外線が僅かに低抵抗シリコンウエハを透過して放射温度測定部3に入射するためと考えられる。
【0106】
[比較例1]
比較例1では、低抵抗シリコンウエハの代わりに、SiCウエハを用いた点以外は実施例2と同様の温度測定方法により温度測定を行った。なお、6枚のSiCウエハは、異なるインゴットから製造されたものを用いた。
【0107】
図16は、比較例1における回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフである。図16のグラフにおいて、横軸は回転テーブル12の回転中心Pからの距離(mm)であり、縦軸は温度(℃)である。また、SiCウエハが載置された範囲は、回転テーブル12の回転中心Pからの距離が160mm以上460mm以下の範囲である。
【0108】
具体的には、図16には、回転テーブル12の6つの凹部16の各々にSiCウエハを載置したときの回転テーブル12の径方向における6枚のSiCウエハの温度分布を示している。なお、図中、実線、点線、破線、一点鎖線、長破線及び二点鎖線は、各々、Slot1、Slot2、Slot3、Slot4、Slot5及びSlot6に載置されたSiCウエハの回転テーブル12の回転中心Pからの距離と温度との関係を示している。
【0109】
図16に示すように、回転テーブル12の径方向のほとんどすべての位置において、6枚のSiCウエハにより測定された温度差が大きく、回転テーブル12の回転中心Pからの距離が420mmの位置では、その温度差は12℃であった。この温度差は、実施例2の0.9℃と比較して10倍以上大きい値であった。
【0110】
[比較例2]
比較例2では、低抵抗シリコンウエハの代わりに、高抵抗シリコンウエハを用いた点以外は実施例3と同様の温度測定方法により温度測定を行った。高抵抗シリコンウエハとしては、Bが添加され、室温における抵抗率が1Ω・cm以上50Ω・cm以下である6枚のP型のシリコンウエハを用いた。なお、6枚のシリコンウエハは、異なるインゴットから製造されたものを用いた。
【0111】
図17は、比較例2における回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフである。図17のグラフにおいて、横軸は回転テーブル12の回転中心Pからの距離(mm)であり、縦軸は温度(℃)である。また、高抵抗シリコンウエハが載置された範囲は、回転テーブル12の回転中心Pからの距離が160mm以上460mm以下の範囲である。
【0112】
具体的には、図17には、回転テーブル12の6つの凹部16の各々に高抵抗シリコンウエハを載置したときの回転テーブル12の径方向における6枚の高抵抗シリコンウエハの温度分布を示している。なお、図中、実線、点線、破線、一点鎖線、長破線及び二点鎖線は、各々、Slot1、Slot2、Slot3、Slot4、Slot5及びSlot6に載置された高抵抗シリコンウエハの回転テーブル12の回転中心Pからの距離と温度との関係を示している。
【0113】
図17に示すように、高抵抗シリコンウエハを用いた場合、回転テーブル12の径方向のほとんどすべての位置において、ヒータ20の設定温度(155℃)に対し、測定される温度が全体的に低くなることが確認された。これは、高抵抗シリコンウエハは、低温で赤外線を放射しないため、高抵抗シリコンウエハから放射され放射温度測定部3に入射する赤外線量が少ないためと考えられる。また、図17に示すように回転テーブル12の回転中心Pからの距離によって、測定される温度が大きく異なることが確認された。これは、高抵抗シリコンウエハは、低温では赤外線を透過するため、高抵抗シリコンウエハの下部に配置された昇降ピン、ヒータ20等から放射される赤外線が高抵抗シリコンウエハを透過して放射温度測定部3に入射するためと考えられる。
【0114】
以上に説明した実施例2及び比較例1の結果並びに実施例3、実施例4及び比較例2の結果により、十分に低い抵抗率を有する低抵抗シリコンウエハを用いることで、異なるインゴットから製造されたウエハを用いた場合であっても、複数のウエハの各々によって測定される温度のばらつきを抑制可能であることが確認できた。すなわち、製造履歴が異なるウエハを用いる場合であっても、高い精度でウエハの温度を測定することができる。
【0115】
また、実施例1〜3の結果により、低温(例えば155℃)から高温(例えば760℃)に至る温度範囲において、複数のウエハの各々によって測定される温度のばらつきを抑制可能であることが確認できた。すなわち、低温から高温に至る温度範囲において、高い精度でウエハの温度を測定することができる。
【0116】
以上に説明したように、本実施形態の温度測定方法及び熱処理装置によれば、製造履歴が異なるウエハを用いる場合であっても、高い精度でウエハの温度を測定することができる。
【0117】
なお、上記の各実施形態において、ウエハは基板の一例であり、ウエハボートは基板保持具の一例である。
【0118】
以上、温度測定方法及び熱処理装置を実施例によって説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【0119】
上記の各実施形態では、低抵抗シリコンウエハとして、Bが不純物として添加されたP型のシリコンウエハ、Sbが不純物として添加されたN型のシリコンウエハについて説明したが、本発明はこれに限定されない。低抵抗シリコンウエハとしては、不純物として三価元素又は五価元素が添加されたシリコンウエハであればよい。三価元素としては、例えばAl(アルミニウム)を用いることができ、五価元素としては、例えばP(リン)、As(ヒ素)を用いることができる。
【0120】
また、上記の第2実施形態から第5実施形態では、放射温度測定部が設けられる位置等が異なる場合について説明したが、本発明は第2実施形態から第5実施形態の構成に限定されず、これらの実施形態の放射温度測定部を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 熱処理装置
3 放射温度測定部
5 制御部
11 処理容器
12 回転テーブル
W ウエハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17