特許第6625208号(P6625208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6625208-経皮製剤 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6625208
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】経皮製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20191216BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20191216BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20191216BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20191216BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20191216BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20191216BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   A61K31/496
   A61K9/08
   A61P25/18
   A61P25/24
   A61K47/20
   A61K47/14
   A61K47/12
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-517098(P2018-517098)
(86)(22)【出願日】2017年5月12日
(86)【国際出願番号】JP2017018086
(87)【国際公開番号】WO2017195897
(87)【国際公開日】20171116
【審査請求日】2018年9月12日
(31)【優先権主張番号】特願2016-96178(P2016-96178)
(32)【優先日】2016年5月12日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-245702(P2016-245702)
(32)【優先日】2016年12月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米山 聡
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 泰輔
【審査官】 谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/146872(WO,A1)
【文献】 米国特許第03551554(US,A)
【文献】 特表2015−508821(JP,A)
【文献】 特表2008−515815(JP,A)
【文献】 特開2015−110603(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0342949(US,A1)
【文献】 MAEDA Kenji et al.,Brexpiprazole 2: Antipsychotic-Like Procognitive Effects of a Novel Serotonin-Dopamine Activity Modu,THE JOURNAL OF PHARMACOLOGY AND EXPERIMENTAL THERAPEUTICS,2014年 9月 1日,Vol.350, No.3,p.605-614, Abstract, 表1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/496
A61K 9/08
A61K 47/12
A61K 47/14
A61K 47/20
A61P 25/18
A61P 25/24
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY
/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アリピプラゾールおよびブレクスピプラゾールから選ばれる少なくとも一種のフェニルピペラジン誘導体と、有機酸と、エステル系溶媒と、有機スルホキシドと、を含有し、
有機酸:エステル系溶媒:有機スルホキシドの含有比率が、質量比で、5〜10:10〜35:60〜80である経皮製剤。
【請求項2】
有機酸と、エステル系溶媒と、有機スルホキシドとの総含有量100質量部に対し、有機酸を5質量部〜10質量部、エステル系溶媒を15質量部〜30質量部、有機スルホキシドを60質量部〜80質量部含有する請求項1に記載の経皮製剤。
【請求項3】
フェニルピペラジン誘導体と、有機酸と、エステル系溶媒と、有機スルホキシドとの総含有量100質量部に対し、フェニルピペラジン誘導体を5質量部〜11質量部含有する請求項1または請求項2に記載の経皮製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経皮製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
フェニルピペラジン誘導体は、抗精神病薬として広く用いられている。アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール等のフェニルピペラジン誘導体は、具体的には、統合失調症、双極性障害における躁症状、またはうつ病、若しくはうつ状態の改善に効果を有する。
なかでも、フェニルピペラジン誘導体の一つであるアリピプラゾールは、統合失調症薬としての利用が提案されている。(例えば、特許第2608788号公報参照)。
特許第2608788号公報には有効成分としてのフェニルピペラジン誘導体が記載される。しかし、投与方法については、経口投与、注射、および座薬の検討に留まる。
【0003】
統合失調症、双極性障害における躁症状、またはうつ病若しくはうつ状態を発症している者に対し、定期的に薬剤を経口投与することは困難な場合がある。このため、近年では、経口投与に代えて、フェニルピペラジン誘導体を経皮吸収させる剤型が検討されている。経皮製剤であれば、統合失調症の適用対象者に対し、治療者あるいは介護者が容易に投与でき、皮膚上に経皮製剤が存在することを容易に確認することができるという利点を有する。
【0004】
しかしながら、フェニルピペラジン誘導体は、比較的分子量が大きく、経皮製剤化が困難であり、経皮製剤として適用するために種々の試みがなされている。
【0005】
例えば、アリピプラゾール1モルに対し、0.5倍モル〜5倍モルの芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸、芳香族カルボン酸又は脂肪族カルボン酸である有機酸を含有し、アリピプラゾールを有機酸塩として製剤系中に含有する経皮吸収性が良好な外用剤組成物が提案されている(例えば、国際公開第2010/146872号参照)。
【0006】
また、有効成分を高濃度で経皮吸収させ得る製剤として、有効成分に対し、有機スルホキシドと、脂肪酸エステルおよび脂肪酸から選ばれる1種以上を含有する経皮製剤が提案されている(例えば、国際公開第2007/16766号参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
国際公開第2010/146872号に記載の外用剤組成物は、アリピプラゾールを、角質を介して経皮吸収させることができる。しかし、角質下へ浸透した後は、共存する溶媒が真皮あるいは表皮中に速やかに拡散してしまい、治療に有効な濃度のアリピプラゾールを長時間に亘って、一定期間、持続的に供給することは困難な場合がある。
また、国際公開第2007/16766号には、経皮吸収に有効とされる化合物として、有機スルホキシド、脂肪酸エステルおよび脂肪酸として、種々の化合物が並列に記載される。しかし、経皮吸収後の有効成分としてのフェニルピペラジン誘導体について特に着目してはおらず、フェニルピペラジン誘導体の経皮吸収効果および効果の持続性に関しては、何らの検討はなされていない。
【0008】
本発明の一実施形態の課題は、有効成分であるフェニルピペラジン誘導体を、高透過率で経皮吸収させることができ、生体内への有効成分の供給濃度、および供給時間を維持し得る経皮製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決手段は、以下の実施形態を含む。
[1] フェニルピペラジン誘導体と、有機酸と、エステル系溶媒と、有機スルホキシドと、を含有する経皮製剤。
[2] フェニルピペラジン誘導体が、アリピプラゾールおよびブレクスピプラゾールから選ばれる少なくとも一方である[1]に記載の経皮製剤。
[3] 有機酸と、エステル系溶媒と、有機スルホキシドとの総含有量に対し、有機酸を5質量部〜10質量部、エステル系溶媒を15質量部〜30質量部、有機スルホキシドを60質量部〜80質量部含有する[1]または[2]に記載の経皮製剤。
[4] フェニルピペラジン誘導体と、有機酸と、エステル系溶媒と、有機スルホキシドとの総含有量に対し、フェニルピペラジン誘導体を5質量部〜11質量部含有する[1]〜[3]のいずれか1つに記載の経皮製剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、有効成分であるフェニルピペラジン誘導体を、高透過率で経皮吸収させることができ、生体内への有効成分の供給濃度、および供給時間を維持し得る経皮製剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1〜実施例3の経皮製剤の経皮吸収性試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されず、本発明の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
【0013】
本開示の経皮製剤(以下、経皮製剤と称することがある)は、フェニルピペラジン誘導体と、有機酸と、エステル系溶媒と、有機スルホキシドと、を含有する経皮製剤である。
【0014】
本開示の経皮製剤は、有効成分であるフェニルピペラジン誘導体を、高透過率で経皮吸収させることができ、生体内への有効成分の供給濃度、および供給時間を維持し得る経皮製剤である。
なお、本明細書において「生体内への有効成分の供給」とは、皮下、好ましくは血中への有効成分の供給を指す。
【0015】
本開示の経皮製剤の作用効果は明確ではないが、以下の如く推定される。
経皮製剤に含まれる有効成分であるフェニルピペラジン誘導体は、統合失調症、双極性障害における躁症状、またはうつ病若しくはうつ状態(以下、統合失調症等と称することがある)の治療薬として有用である。フェニルピペラジン誘導体は、体内に取り込まれると血中半減期が他の薬剤に比較して長いことが知られている。フェニルピペラジン誘導体は、薬効を持続させるという観点から、血液中において、有効性を担保するのに十分な濃度を持続させることが望まれている。
既述の国際公開第2010/146872号には、有機酸はフェニルピペラジン誘導体の溶解性が高いことが記載され、フェニルピペラジン誘導体の溶解に、所定の有機酸と他の溶媒とを併用することが検討されてはいる。しかし、有機酸と共存する溶媒の浸透速度が、有機酸よりも高い場合、共存する他の溶媒のみが先に真皮、表皮等の皮下の深部へ浸透してしまい、たとえ有機酸が残存したとしても、フェニルピペラジン誘導体の溶解性を適正な範囲で、適正な時間維持することは困難である。したがって、公知の技術では、必要な有効成分濃度を必要時間、生体内、具体的には、皮下、好ましくは血中へ持続的に供給することが困難であった。
【0016】
本開示の経皮製剤は、フェニルピペラジン誘導体の溶媒の一つとしてエステル系溶媒を含有する。エステル系溶媒を含むことにより、フェニルピペラジン誘導体、有機スルホキシドおよび有機酸の3成分の皮下への透過性が向上する。
皮下へ浸透した有機酸と有機スルホキシドとの混合溶媒は、フェニルピペラジン誘導体の溶解性が良好であり、溶解によりフェニルピペラジン誘導体は有機酸塩の状態で溶液中に存在する。このため、フェニルピペラジン誘導体の析出が抑制され、有効成分の体内、好ましくは血管中への浸透性が良好となる。ここで、溶媒として含まれる有機スルホキシドは、真皮、表皮への浸透速度が、例えば、公知のアミド系溶媒等のように速すぎず、比較的緩やかであり、浸透速度が適正な範囲である。よって、有機スルホキシドが有機酸と共存することで、得られるフェニルピペラジン誘導体の高い溶解性が維持され、かつ、経皮製剤を皮膚に適用した際、皮下へ浸透した後も、生体内、好ましくは血中において、必要な有効成分濃度が必要時間持続すると考えられる。
また、上記組成により、生体内への有効成分の供給濃度、および供給時間を適正水準で持続し得るため、皮膚に貼付する経皮製剤の厚みおよび面積をより小さくすることができるという利点をも有することになる。
なお、本開示は上記の推定機構に何ら制限されない。
【0017】
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
更に、本明細書において組成物に含まれる各成分の量は、組成物中に、各成分に該当する物質が複数含まれる場合、特に断らない限り、当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
以下、本実施形態の経皮製剤に含まれる各成分について、詳細に説明する。
【0018】
〔フェニルピペラジン誘導体〕
本開示の経皮製剤は、有効成分としてフェニルピペラジン誘導体を含む。
経皮製剤に用いうるフェニルピペラジン誘導体は、統合失調症等の治療に有効であれば特に制限はない。
フェニルピペラジン誘導体は、分子量が300以上であることが好ましく、分子量400以上であることがより好ましい。
分子量の上限には特に制限はないが、共存する溶媒への溶解性の観点からは、分子量は600以下とすることができる。
本開示の経皮製剤に好適に使用されるフェニルピペラジン誘導体を、分子量と共に例示する。各成分名の後ろの( )内の数値は、併記された成分の分子量を表す。
分子量が400以上のフェニルピペラジン誘導体としては、例えば、アリピプラゾール(分子量:448.38)、ブレクスピプラゾール(433)、エトペリドン(414.37)、ネファゾドン(506.46)、トラゾドン(371.8)、ビラゾドン(441.52)等が挙げられる。
なかでも、フェニルピペラジン誘導体としては、アリピプラゾール(以下、ARPと称することがある)およびブレクスピプラゾールから選ばれる少なくとも一方が好ましい。
【0019】
本開示の経皮製剤に含まれるフェニルピペラジン誘導体は1種でもよく、2種以上でもよい。
本開示の経皮製剤におけるフェニルピペラジン誘導体は、共存する溶媒との総含有量、即ち、フェニルピペラジン誘導体と、有機酸と、エステル系溶媒と、有機スルホキシドとの総含有量100質量部に対し、3質量部以上含有することが効果の観点から好ましく、5質量部〜11質量部含有することがより好ましく、6質量部〜11質量部含有することがさらに好ましく、8質量部〜11質量部含有することが特に好ましい。
フェニルピペラジン誘導体の含有量が既述の範囲において、本開示の経皮製剤を皮膚に適用した場合に、皮下、好ましくは血中において、フェニルピペラジン誘導体を、薬効を得ることができる有効濃度で、所望の時間維持することが期待できる。
フェニルピペラジン誘導体の含有量の測定は、高速液体クロマトグラフィ(以下、HPLCと称することがある。)により行うことができる。使用するHPLC測定装置などは以下に詳述するとおりの装置等が使用できる。
【0020】
〔有機酸〕
本開示の経皮製剤に含まれる有機酸は、特に限定されない。有機酸としては、フェニルピペラジン誘導体(以下、有効成分と称することがある)の溶媒として機能する有機酸が好ましい。詳細には、有効成分は、有機酸の存在により、経皮製剤中で有機酸の塩の形態となり得ることが好ましい。
例えば、フェニルピペラジン誘導体が有機酸の塩として存在する場合、経皮製剤中における有効成分の溶解性がより向上する。さらに、経皮製剤が角質下に浸透した後も、体内において結晶の析出が抑制され、有効成分が長期間に亘り有効な濃度で持続的に存在することができる。
有機酸としては、水酸基、アルコキシ基、アシル基、およびケトン基から選ばれる少なくとも一つを置換基として有する、置換された脂肪族カルボン酸または置換された芳香族カルボン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸に導入される既述の置換基の中でも、有効成分の溶解性がより良好である観点から、水酸基が好ましい。
【0021】
以下、既述の置換基を導入しうる脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸の例を挙げる。
脂肪族カルボン酸としては、脂肪族モノカルボン酸、および脂肪族ジカルボン酸のいずれであってもよい。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数2〜7の短鎖脂肪族モノカルボン酸、炭素数8〜11の中鎖脂肪族モノカルボン酸、炭素数12以上の長鎖脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。
炭素数2〜7の短鎖脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、酪酸、ヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。炭素数8〜11の中鎖脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、オクタン酸、デカン酸等が挙げられる。炭素数12以上の長鎖脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。
【0022】
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、セバシン酸、アジピン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができる。
【0023】
芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、桂皮酸等が挙げられる。
置換基を有する芳香族カルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸等を挙げることができる。
【0024】
なかでも、既述の置換基を有する脂肪族モノカルボン酸が好ましく、既述の置換基を有する炭素数が2〜7の短鎖脂肪族モノカルボン酸がより好ましい。より具体的には、例えば、グリコール酸、乳酸、メトキシ酢酸、マンデル酸、レブリン酸、3−ヒドロキシ酪酸等を挙げることができる。有効成分の溶解性、生体適合性などの観点からは、置換基として水酸基を有する炭素数が2〜7の短鎖脂肪族モノカルボン酸がより好ましく、なかでも、乳酸、グリコール酸がさらに好ましい。
【0025】
本開示の経皮製剤に含まれうる有効成分の溶媒は、有機酸と以下に詳述するエステル系溶媒と、有機スルホキシドと、を含有することにより、既述の如く有効成分の溶解性、安定性、経皮吸収における吸収速度などが好ましい範囲となる。
有機酸とエステル系溶媒と有機スルホキシドとの総含有量100質量部に対し、有機酸は、5質量部〜10質量部の範囲で含有することが好ましく、7質量部〜10質量部の範囲で含有することがより好ましく、8質量部〜10質量部の範囲で含有することがさらに好ましい。
本開示の経皮製剤は、有機酸を1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
経皮製剤における有機酸の含有量は、公知の方法で測定できる。
例えば、有機酸の含有量は、イオンクロマトグラフィーにより測定を行うことができる。イオンクロマトグラフィーの測定には、例えば、Dionex社製、ICS−2000が使用できる。溶離液として1mM KOHを使用し、調製した経皮製剤を希釈してイオンクロマトグラフィーの測定を行うことができる。
【0026】
〔エステル系溶媒〕
本開示の経皮製剤がエステル系溶媒を含むことで、経皮製剤中における有効成分、共存する溶媒である有機酸、および有機スルホキシドの角質下への浸透性をより向上させ、角質下である真皮および表皮中における溶媒分配性をより良好にすることができる。
エステル系溶媒としては、脂肪族ジカルボン酸のアルキルエステルなどが挙げられる。具体的には、エステル系溶媒としては、例えば、トリアセチン、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミスチリン酸イソプロピル等が挙げられる。エステル系溶媒のなかでも、有効成分等の角質下への浸透性がより良好であるという観点からは、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル等が好ましく、セバシン酸ジエチルがより好ましい。
【0027】
本開示の経皮製剤は、エステル系溶媒を1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
本開示の経皮製剤におけるエステル系溶媒は、角質下への浸透性と溶媒分配性をより向上させるという観点から、有機酸とエステル系溶媒と有機スルホキシドとの総含有量100質量部に対し、15質量部〜30質量部の範囲で含有することが好ましく、20質量部〜30質量部の範囲で含有することがより好ましく、25質量部〜30質量部の範囲で含有することがさらに好ましい。
なお、経皮製剤におけるエステル系溶媒の含有量は、公知の方法により測定することができる。
例えば、経皮製剤におけるエステル系溶媒の含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)により測定することができる。GC−MSとしては、例えば、(株)島津製作所のGCMS−QP2010が使用できる。希釈液としてエタノール等を使用し、調製した経皮製剤をエタノール等にて希釈して測定を行なうことができる。
【0028】
〔有機スルホキシド〕
本開示の経皮製剤は、有機スルホキシドを含む。
有機スルホキシドを含むことで、経皮製剤中における有効成分の溶解性がより向上し、かつ、真皮および表皮中における浸透性が適切な速度に維持される有効成分を必要な濃度で必要な時間に亘り、経皮製剤における有効成分を持続的に真皮および表皮中、さらには、皮下、好ましくは血中に供給すると推測される。
本開示における有機スルホキシドとして、例えば、下記一般式(I)で表される化合物、スルホラン、ジメチルスルホン等が挙げられる。
【0029】
一般式(I)で表される化合物について説明する。
【0030】
【化1】
【0031】
一般式(I)中、RおよびRはそれぞれ独立に1価の有機基を表す。RおよびRは互いに結合して環構造を形成してもよい。
およびRにおける1価の有機基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられる。有効成分の溶解性がより良好となり、浸透速度がより適切な範囲に制御されるという観点からは、一般式(I)における1価の有機基としては炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
一般式(I)で表される化合物のなかでも、RおよびRの双方がメチル基であるジメチルスルホキシド(以下、DMSOと称することがある)等がより好ましい。
【0032】
本開示の経皮製剤に用い得る有機スルホキシドとしては、ジメチルスルホキシド、スルホラン、およびジメチルスルホンから選ばれる1種以上が好ましく、ジメチルスルホキシドがより好ましい。
本開示の経皮製剤は、有機スルホキシドを1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
本開示の経皮製剤における有機スルホキシドは、有効成分の溶解性と有効成分の浸透性をより適切な範囲に維持させるという観点から、有機酸とエステル系溶媒と有機スルホキシドとの総含有量100質量部に対し、有機スルホキシドを60質量部〜80質量部の範囲で含有することが好ましく、60質量部〜70質量部の範囲で含有することがより好ましく、60質量部〜65質量部の範囲で含有することがさらに好ましい。
有機スルホキシドの含有量は、特に限定されず、公知の方法により測定できる。
【0033】
有機スルホキシドの含有量は、例えば、GC−MSにより測定することができる。GC−MSとしては、例えば、(株)島津製作所のGCMS−QP2010が使用できる。GC−MSを用いた有機スルホキシドの含有量の測定に際しては、希釈液としてエタノール等を使用し、調製した経皮製剤をエタノール等にて希釈して測定を行なうことができる。
【0034】
本開示の経皮製剤は、有機酸と、エステル系溶媒と、有機スルホキシドとの総含有量100質量部に対し、有機酸を5質量部〜10質量部、エステル系溶媒を15質量部〜30質量部、有機スルホキシドを60質量部〜80質量部含有することが好ましい。
【0035】
経皮製剤に含まれる溶媒の含有比率のバランスとしては、有機酸:エステル系溶媒:有機スルホキシドの含有比率は、質量比で、5〜10:10〜35:60〜80が好ましく、5〜10:15〜35:60〜80がより好ましい。また、より具体的には、有機酸:エステル系溶媒:有機スルホキシドの含有比率は、例えば、5:35:60、10:30:60、5:15:60、10:10:80とすることができる。
【0036】
〔経皮製剤が含みうる他の成分〕
本開示の経皮製剤は、既述の有効成分および溶媒に加え、効果を損なわない限りにおいて、経皮製剤の剤型に応じて公知の添加物を目的に応じて含有することができる。
本開示の経皮製剤に使用し得る添加物として、例えば、経皮吸収促進剤、湿潤剤、皮膚軟化剤、皮膚保護剤、基剤、界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤、軟化剤、充填剤、有機粒子、無機粒子、緩衝剤、pH調整剤、着色剤、香料等を挙げることができる。また、経皮製剤の安定性向上を目的として、公知の安定化剤、抗酸化剤を含有してもよい。
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、低分子ポリブテン等の石油系軟化剤、例えば、ヤシ油、ひまし油等の脂肪酸系軟化剤、精製ラノリン等が挙げられる。
充填剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ酸類等が挙げられる。
ゲル化剤、増粘剤等、製剤の粘度調整に用い得る成分としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等が挙げられる
【0037】
〔経皮製剤の調製〕
本開示の経皮製剤は、常法により製造することができる。以下に経皮製剤の製造方法の一例を挙げる。
有機スルホキシド、エステル系溶媒、および有機酸を容器に秤量し、十分に撹拌して混合溶媒を調製する。
その後、フェニルピペラジン誘導体を必要量秤量し、既述の方法で得た混合溶媒に加えてさらに撹拌を行って十分に溶解させることで経皮製剤を得ることができる。撹拌による製剤の調製は室温(25℃)で行なうことができる。
なお、フェニルピペラジン誘導体等の溶解速度が遅い組成の製剤を調製する場合には、例えば、混合溶媒にフェニルピペラジン誘導体を加えた後、40℃〜70℃に加熱して撹拌してもよく、超音波処理による溶解促進を行なってもよく、加熱と超音波処理の双方を行なってもよい。溶解促進処理を行って製造された経皮製剤は、室温にて一日静置し、一日静置後も、不溶物、析出物等が認められず、有効成分が溶解していることを目視にて確認することが好ましい。
経皮製剤が、他の成分を含む場合、それぞれの成分に適する段階で常法により製剤中に含有させることができる。
【0038】
液状の経皮製剤にゲル化剤、増粘剤、軟化剤、充填剤等を含有させて、経皮製剤の粘性を調整することができる。
液状の経皮製剤の粘度調整は、常法により行うことができる。粘度の調製方法としては、例えば、既述の如くして得られた液状の経皮製剤に対し、目的とする粘度に応じて既述の粘度調整に用い得る成分から選ばれる少なくとも1種加え、加熱しなから充分に混合し、放冷する方法が挙げられる。
【0039】
〔経皮製剤の剤型〕
本開示の経皮製剤は、既述の有効成分を皮膚上に所望の時間保持できる限り、剤型には特に制限はない。
本開示の経皮製剤の剤型としては、液剤、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤、リザーバー型貼付剤等が挙げられる。リザーバー型貼付剤の形状には特に制限はない。
液剤、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤等は、目的に応じた粘度に調整され、皮膚にそのまま塗布して使用することができる。また、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤等は、不織布、包帯などの支持体に塗布して、塗布面を皮膚に接触させて使用することができる。
【0040】
液剤およびゲル剤等の皮膚製剤の別の使用態様として、リザーバー型貼付剤が挙げられる。
即ち、経皮製剤が、液剤、ゲル剤、軟膏剤、またはクリーム剤であって比較的粘度が低く、流動性を有する剤型である場合、流動性を有する剤型の製剤を不織布、織布、連通気泡を有するスポンジ等の基材に含浸させて薬物貯蔵層を形成し、薬物貯蔵層を支持体上に配置し、薬物貯蔵層の、支持体とは反対側の面を、経皮製剤の放出を制御しうる膜で被覆して、リザーバー型貼付剤とすることができる。
【0041】
経皮製剤が、ゲル剤、軟膏剤等の如く、液剤等と比較して粘度がより高く、流動性がより低い製剤の場合には、支持体上に経皮製剤を直接付与して経皮製剤層を形成し、形成された経皮製剤層の支持体とは反対側の面を、経皮製剤の放出を制御しうる膜で被覆して、リザーバー型貼付剤とすることができる。
リザーバー型貼付剤では、薬物貯蔵層または経皮製剤層の表面、即ち、皮膚と接する面に位置する膜の微細な開孔部から、経皮製剤が皮膚へと徐々に放出される。
既述のリザーバー型貼付剤の構成の例は、例えば、特開2003−063954号公報の段落〔0007〕〜段落〔0022〕および図1に記載されており、本開示において参照することができる。
【0042】
(経皮製剤におけるフェニルピペラジン誘導体の経皮吸収性)
本開示の経皮製剤は、有効成分であるフェニルピペラジン誘導体の経皮吸収性に優れ、かつ、フェニルピペラジン誘導体の持続的な投与が可能となり、優れた薬効を所望の時間持続することができる。
経皮吸収性を評価する方法の一つとして、公知の皮膚透過性評価法が挙げられる。皮膚透過性は、以下に記載するin vitro皮膚透過実験法で評価することができる。
なお、公知の皮膚透過性実験法で評価される皮膚透過性は、本明細書において、経皮製剤の経皮吸収性と同義である。
in vitro皮膚透過実験法としては、例えば拡散セルを用いる方法が挙げられる。拡散セルとしては、フランツ型拡散セル等の垂直型セル、水平型セルなどが挙げられる。拡散セルは2つのセルパーツからなり、2つのセルパーツの間に透過性を測定する膜を挟んで用いる。膜としては、ヒト皮膚、動物皮膚、三次元培養皮膚モデル、人工膜などが挙げられる。
本明細書では、皮膚透過性の評価方法の例として、以下に示すラット摘出皮膚を用いた皮膚透過性試験にて評価を行なう。
【0043】
(評価方法の例)
例えば、試験温度32℃でフランツ拡散セル(透過面積:1cm、レセプター液容量:8mL)を用いて、以下の条件で経皮吸収性の評価試験を行うことができる。
8週齢のSPF(Specific Pathogen Free:特定病原体不在)ラットの腹部摘出皮膚を膜として用いる。
レセプター液としては、ポリエチレングリコール400:PBS pH7.4 (6:4)を用いる。
透過する有効成分の濃度測定は高速液体クロマトグラフィ(HPLC:prominence、(株)島津製作所)を用いて行なう。
既述の市販のラット腹部摘出皮膚を縦型拡散セル(有効拡散面積:1cm)に挟み、角質側に被検体である経皮製剤を適用し、真皮側に既述のレセプター液を適用する。
実験開始後、4時間目、7時間目、10時間目、(22時間目)、24時間目にレセプター液を300μLサンプリングし、皮膚を透過して溶出したフェニルピペラジン誘導体濃度を既述のHPLCにより測定し、各時間における薬物の累積透過量を測定する。
【0044】
なお、in vivo皮膚透過実験法としては、皮膚薬物動態学的試験、生物学的試験、残存量試験、動態学的試験、臨床試験、動物試験および曝露量試験等が挙げられる。
【0045】
<経皮製剤の使用>
本開示の経皮製剤は、適用対象者の皮膚に投与して使用される。
通常は、経時的に所望の量の有効成分を皮膚へ浸透させるため、既述の如く、基材に含浸させた経皮製剤を皮膚上に固定して適用するか、或いは、リザーバー型貼付剤として適用する。リザーバー型貼付剤において、支持体として用い得る基材としては、通気性を有する樹脂フィルム、不織布、布、通気性を有しないフィルム等が挙げられる。
支持体の片面に本開示の経皮製剤を配置してリザーバー型貼付剤とする場合には、経皮製剤を配置した側が皮膚に接着する面となる。
【0046】
経皮製剤に含まれるフェニルピペラジン誘導体の1回の投与量、一日あたりの投与回数は、目的に応じて適宜選択することができる。即ち、適用対象者に対し、必要な量のフェニルピペラジン誘導体を皮膚吸収させることができる量と回数が選択される。一般的には、1回の投与量は、経皮製剤として3mg〜6mg程度であり、1日の投与回数は、1回〜2回程度である。なお、投与量および投与回数は、既述の範囲には制限されない。
【0047】
本開示の経皮製剤は、高透過率で経皮吸収されて、角質下に速やかに浸透し、真皮および表皮における浸透速度が適切な範囲であるため、生体内(皮下、好ましくは血中)への有効成分の供給濃度および供給時間を適正水準で維持し得る。このため、有効成分であるフェニルピペラジン誘導体を、例えば、貼付剤を固定した領域から、一定の期間、持続的に皮膚に浸透させて体内に供給することができる。
【0048】
<治療方法>
本開示の他の実施形態は、有効成分としてフェニルピペラジン誘導体を含む既述の経皮製剤を、既述の統合失調症等の治療対象となる適用対象者へ経皮投与することを含む統合失調症の治療方法も包含する。
【実施例】
【0049】
以下、本開示の経皮製剤について、実施例を挙げて詳細に説明する。しかしながら、本開示の経皮製剤は以下の実施例に何ら限定されず、本発明の主旨を逸脱しない限り、種々の実施形態をとることが可能である。
【0050】
[実施例1]
下記表1に示す組成に従い、有機スルホキシドであるジメチルスルホキシド(DMSO)、エステル系溶媒であるセバシン酸エチル(DES)、および有機酸である乳酸(LA)を容器に秤量し、十分に撹拌して混合溶媒を調製した。なお、下記表1〜表2における溶媒の含有比率は質量基準である。
その後、フェニルピペラジン誘導体であるアリピプラゾール(ARP)を秤量し、既述の方法で得た混合溶媒に加えてさらに撹拌を行って十分に溶解させることで実施例1の経皮製剤を得た。撹拌による製剤の調製は室温(25℃)で行なった。
得られた経皮製剤は、目視による観察では、不溶物、析出物等が認められず、有効成分が均一に溶解していることが確認された。
【0051】
【表1】
【0052】
[実施例2〜4]
下記表2に示す組成に従い、実施例1と同様にして、実施例2〜実施例4の経皮製剤を調製した。いずれの経皮製剤も、目視による観察では、不溶物、析出物等が認められず、有効成分が均一に溶解していることが確認された。
なお、表2に記載のARP、DMSO、DESおよびLAの分子量は、全て表1に記載した分子量と同じである。
【0053】
【表2】
【0054】
表1、表2および表4中に記載された各成分の詳細は以下の通りである。
・アリピプラゾール(東京化成工業(株))
・ジメチルスルホキシド(和光純薬工業(株)、分子生物学用)
・セバシン酸ジエチル(日光ケミカルズ(株)、NIKKOL(登録商標) DES−SP)
・乳酸(メルク(株))
【0055】
[評価]
上記で得られた実施例1〜実施例4の経皮製剤について、経皮吸収性を以下の方法で評価した。
試験温度32℃でフランツ拡散セル(透過面積:1cm、レセプター液容量:8mL)を用いて、以下の条件で経皮吸収性の評価試験を行った。
8週齢のSPF(Specific Pathogen Free:特定病原体不在)ラットの腹部摘出皮膚を膜として用いた。
レセプター液としては、ポリエチレングリコール400:PBS pH7.4 (6:4)を用いた。
透過する有効成分の濃度測定は高速液体クロマトグラフィ(HPLC:prominence、(株)島津製作所)を用いて行なった。
既述の市販のラット腹部摘出皮膚を縦型拡散セル(有効拡散面積:1cm)に挟み、角質側に被検体である経皮製剤をそれぞれ113mg/cm適用し、真皮側に既述のレセプター液を適用した。
【0056】
実験開始後、4時間目、7時間目、10時間目、(22時間目)、24時間目にレセプター液を300μLサンプリングし、皮膚を透過して溶出したアリピプラゾール濃度を既述のHPLCにより測定し、各時間におけるARPの累積透過量を測定した。結果を下記表3に示す。表3中、「−」は、未測定であることを示す。また、これらのうちARPの含有量が同水準である実施例1〜実施例3の皮膚透過量の測定結果を図1にグラフで示す。
【0057】
【表3】
【0058】
表3の結果より、実施例1〜実施例4の経皮製剤は、いずれも有効成分であるARPの皮膚透過性(経皮吸収性)が良好であり、適用後24時間まで、ARPの皮膚透過累積量が経時により増加している。また、図1においても、各グラフが一定の傾きを持って、累積量が増加していることが確認できる。これらの結果より、各実施例の経皮製剤は、少なくとも24時間に亘り、ARPの皮膚透過により、所定量のARPの皮下への供給が維持されていることがわかる。
【0059】
[実施例5、比較例1、2]
本開示の経皮製剤において、溶媒の効果を確認する目的で、ARPの含有量を3.75質量%とし、異なる溶媒を用いた実施例5、比較例1、および比較例2を、下記表4に記載の処方により、実施例1と同様にして調製した。
得られた実施例5の経皮製剤は、目視による観察では、不溶物、析出物等が認められず、有効成分が均一に溶解していることが確認された。
比較例1および比較例2の経皮製剤も、目視による観察では、不溶物、析出物等が認められず、有効成分が均一に溶解していることが確認された。
【0060】
【表4】
【0061】
上記で得られた実施例5、比較例1および比較例2の経皮製剤について、経皮吸収性を実施例1と同様にして評価し、24時間後のARPの皮膚透過累積量を測定した。
結果を下記表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
表5に示されるとおり、実施例5では、ARPの含有率が少ない皮膚製剤であっても、24時間後のARPの皮膚透過累積量は十分な量を示した。他方、ARPの溶解性に優れることが知られている乳酸(LA)を溶媒に含んでいても、DMSO、DES、LAの3種のいずれかを含まない比較例1および比較例2では、皮膚透過累積量が実施例5に対し、著しく低いことがわかる。
【0064】
2016年5月12日に出願された日本国特許出願2016−096178、及び2016年12月19日に出願された日本国特許2016−245702の開示は参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図1