特許第6625447号(P6625447)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6625447
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】モータポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/02 20060101AFI20191216BHJP
   F04D 29/42 20060101ALI20191216BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   F04D13/02 E
   F04D29/42 F
   F04D29/58 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-41715(P2016-41715)
(22)【出願日】2016年3月4日
(65)【公開番号】特開2016-169734(P2016-169734A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2018年12月21日
(31)【優先権主張番号】特願2015-48836(P2015-48836)
(32)【優先日】2015年3月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】真武 幸三
(72)【発明者】
【氏名】黒沼 隆行
(72)【発明者】
【氏名】大石 洋平
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−106323(JP,A)
【文献】 特開2004−316548(JP,A)
【文献】 特開2011−196341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/02
F04D 29/42
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石が埋設された羽根車と、
複数の固定子コイルが巻回された固定子コアを有するモータ固定子と、
前記モータ固定子を収容するモータケーシングと、
前記モータケーシングに形成された液体流路に連結され、かつ金属からなる吸込ポートと、
前記固定子コアおよび前記吸込ポートに接触し、かつ前記モータケーシングよりも高い熱伝導率を有する材料からなる放熱部材と、を備え
前記吸込ポートは、円筒状の基部と、前記基部よりも小さい直径を有する、円筒状の軸部とを有し、
前記放熱部材は、前記基部と前記モータケーシングとに挟まれていることを特徴とするモータポンプ。
【請求項2】
前記放熱部材は、金属またはセラミックからなることを特徴とする請求項1に記載のモータポンプ。
【請求項3】
記軸部の外周面には、ねじ部が形成されており、
前記モータケーシングには、ねじ孔が形成されており、
前記ねじ部は前記ねじ孔に挿入されていることを特徴とする請求項1または2に記載のモータポンプ。
【請求項4】
冷却液が流れる冷却室が前記放熱部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモータポンプ。
【請求項5】
前記放熱部材は、前記モータ固定子を収容する収容空間を塞ぐモータカバーとして用いられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のモータポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石が埋設された羽根車を、モータ固定子が発生する磁界により回転させるモータポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石が埋設された羽根車を、モータ固定子が発生する磁界により回転させるモータポンプの従来例として、特許文献1に記載されているポンプが知られている。この特許文献1に記載のモータポンプは、永久磁石が埋設された羽根車と、羽根車に対向して配置されたモータ固定子とを有し、羽根車は1つの球面軸受により回転自在に支持されている。この球面軸受はいわゆる動圧軸受であり、羽根車を回転自在に支持しつつ、傾動自在に支持することが可能となっている。
【0003】
上記モータ固定子は、複数の固定子コイルを有しており、これら固定子コイルに三相電流を流すと回転磁界が発生する。この回転磁界は羽根車に埋設されている永久磁石に作用し、羽根車を回転駆動する。モータ固定子は、モータケーシングに収容されており、このモータケーシングは、一般に、樹脂からなる。樹脂製のモータケーシングは、固定子コイルがモータケーシングに接触しても該固定子コイルの電気的絶縁が保たれ、地絡のおそれがないという利点がある。
【0004】
固定子コイルに電流を流すと、固定子コイルが発熱する。モータケーシングが樹脂からなる場合、樹脂の熱伝導率は低いため、固定子コイルに発生した熱をモータケーシングから効率良く放散することが困難である。特に、固定子コイルに流れる電流が増大した場合に、固定子コイルの発熱量も増大するので、固定子コイルの温度が過度に上昇してしまう。固定子コイルの温度の過度な上昇は、固定子コイルの劣化や破損につながるので、固定子コイルを含むモータ固定子には、温度制限が設けられている。このモータ固定子の温度制限によって、モータポンプの運転範囲が制限されてしまう。したがって、モータポンプの運転範囲を拡大するために、モータ固定子の温度の上昇を効果的に抑制することができる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2544825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、モータ固定子の温度の上昇を効果的に抑制することができるモータポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、永久磁石が埋設された羽根車と、複数の固定子コイルが巻回された固定子コアを有するモータ固定子と、前記モータ固定子を収容するモータケーシングと、前記モータケーシングに形成された液体流路に連結され、かつ金属からなる吸込ポートと、前記固定子コアおよび前記吸込ポートに接触し、かつ前記モータケーシングよりも高い熱伝導率を有する材料からなる放熱部材と、を備え、前記吸込ポートは、円筒状の基部と、前記基部よりも小さい直径を有する、円筒状の軸部とを有し、前記放熱部材は、前記基部と前記モータケーシングとに挟まれていることを特徴とするモータポンプである。
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記放熱部材は、金属またはセラミックからなることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記軸部の外周面には、ねじ部が形成されており、前記モータケーシングには、ねじ孔が形成されており、前記ねじ部は前記ねじ孔に挿入されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい態様は、冷却液が流れる冷却室が前記放熱部材に取り付けられていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記放熱部材は、前記モータ固定子を収容する収容空間を塞ぐモータカバーとして用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モータ固定子で発生した熱は、放熱部材に伝達され、さらに、放熱部材から吸込ポートに伝達される。さらに、吸込ポートに伝達された熱は、吸込ポート内を流れる液体に伝達されるので、モータ固定子で発生した熱をモータポンプの外部に効率良く放散することができる。その結果、モータ固定子の温度の上昇を効率良く抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るモータポンプを示す断面図である。
図2図1に示すモータポンプを矢印A方向から観た図である。
図3】羽根車に埋設されている永久磁石を示す平面図である。
図4図4(a)はモータ固定子を示す平面図であり、図4(b)は図4(a)に示すB−B線断面図である。
図5図1に示すモータポンプに冷却室を設けた変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るモータポンプを示す断面図であり、図2図1に示すモータポンプを矢印A方向から観た図である。このモータポンプは、複数の永久磁石5が埋設された羽根車1と、これらの永久磁石5に作用する磁力を発生するモータ固定子6と、羽根車1を収容するポンプケーシング2と、モータ固定子6を収容するモータケーシング3と、羽根車1のラジアル荷重およびスラスト荷重を支持する軸受10とを備えている。モータ固定子6および軸受10は、羽根車1の吸込側に配置されている。
【0013】
ポンプケーシング2とモータケーシング3とは、図2に示す複数の連結ボルト8によって互いに固定されている。ポンプケーシング2とモータケーシング3との間にはシール部材としてのOリング9が設けられている。羽根車1とモータケーシング3とは微小な隙間を介して対向しており、羽根車1は、モータ固定子6により発生される回転磁界が永久磁石5に作用することによって回転する。羽根車1とモータケーシング3との隙間は、互いに接触しない程度でできるだけ小さいことが好ましく、具体的には、0.5mm〜1mmの範囲内で隙間を形成することが好ましい。
【0014】
羽根車1は単一の軸受10によって回転自在に支持されている。この軸受10は液体の動圧を利用した滑り軸受(動圧軸受)である。この軸受10は、互いに緩やかに係合する回転側軸受要素11と固定側軸受要素12の組み合わせから構成される。回転側軸受要素11は、羽根車1に固定されており、羽根車1の液体入口を囲むように配置されている。固定側軸受要素12はモータケーシング3に固定されており、回転側軸受要素11の吸込側に配置されている。この固定側軸受要素12は、羽根車1のラジアル荷重を支持するラジアル面12aと、羽根車1のスラスト荷重を支持するスラスト面12bとを有している。ラジアル面12aは羽根車1の軸心と平行であり、スラスト面12bは羽根車1の軸心に対して垂直である。
【0015】
回転側軸受要素11は環状の形状を有しており、回転側軸受要素11の内周面が固定側軸受要素12のラジアル面12aに対向し、回転側軸受要素11の側面が固定側軸受要素12のスラスト面12bに対向している。回転側軸受要素11の内周面とラジアル面12aとの間、および回転側軸受要素11の側面とスラスト面12bとの間には微小な隙間が形成されている。また、回転側軸受要素11の内周面および側面には、動圧を発生させるための図示しないスパイラル溝が形成されている。
【0016】
羽根車1から吐き出された液体の一部は、羽根車1とモータケーシング3との間の微小な隙間を通って軸受10に導かれる。回転側軸受要素11が羽根車1とともに回転すると、回転側軸受要素11と固定側軸受要素12との間に液体の動圧が発生し、これにより羽根車1が軸受10によって非接触に支持される。固定側軸受要素12は、直交するラジアル面12aおよびスラスト面12bにより回転側軸受要素11を支持しているので、羽根車1の傾動は軸受10により規制される。軸受10(回転側軸受要素11および固定側軸受要素12)は、セラミックまたはカーボンなどの耐摩耗性に優れた材料から形成されている。
【0017】
モータケーシング3には、吸込口15aを有する吸込ポート15が固定される。この吸込ポート15は、ステンレス鋼などの金属からなり、図示しない吸込ラインに接続される。吸込ポート15、モータケーシング3、および軸受10の中心部には、それぞれ液体流路15b,3a,10aが形成されている。これら液体流路15b,3a,10aは一列に連結され、吸込口15aから羽根車1の液体入口まで延びる1つの液体流路を構成する。
【0018】
吸込ポート15は、円筒状の基部15cと、該基部15cよりも小さい直径を有する、円筒状の軸部15dとを有する。基部15cと軸部15dとは、一体に構成されており、軸部15dは、基部15cからモータケーシング3内に延びている。基部15cおよび軸部15dの中心軸は、吸込ポート15の中心軸に一致し、基部15cおよび軸部15dの内周面によって、液体流路15bが形成されている。軸部15dの外周面の一部には、ねじ部15eが形成され、モータケーシング3には、ねじ孔3bが形成される。吸込ポート15のねじ部15eをモータケーシング3のねじ孔3bに係合させることにより、吸込ポート15がモータケーシング3に固定される。
【0019】
軸部15dの先端側の外周面には、ねじ部15eは形成されていない。ねじ部15eが形成されていない軸部15dの外周面には、環状溝15fが設けられる。この環状溝15f内には、モータケーシング3と吸込ポート15との間の隙間をシールするOリング13が配置される。
【0020】
ポンプケーシング2の側面には、吐出口16aを有する吐出ポート16が設けられており、回転する羽根車1によって昇圧された液体は、吐出口16aを通って吐き出される。なお、本実施形態に係るモータポンプは、吸込口15aと吐出口16aが直交する、いわゆるエンドトップ型モータポンプである。
【0021】
羽根車1は、滑りやすく、かつ摩耗しにくい非磁性材料から形成されている。例えば、テフロン(登録商標)やPPS(ポリフェニレンスルファイド)などの樹脂や、セラミックが好適に使用される。ポンプケーシング2も羽根車1と同じ材料から形成することができる。なお、軸受10の回転側軸受要素11を省略し、羽根車1の一部にスパイラル溝を形成し、固定側軸受要素12のラジアル面12aおよびスラスト面12bで羽根車1を支持してもよい。
【0022】
図3は羽根車1に埋設されている永久磁石5を示す平面図である。図3に示すように、複数の永久磁石5は環状に配列されており、S極とN極とが交互に配置されている。それぞれの永久磁石5は扇形の形状を有しており、本実施形態では、永久磁石5の数は8つ(すなわち8極)である。図1に示すように、羽根車1には複数の永久磁石5に隣接して環状のマグネットヨーク(磁性体)19が埋設されている。永久磁石5はマグネットヨーク19の吸込側に配置されている。永久磁石5とモータ固定子6とは互いに対向するように配置され、モータ固定子6は羽根車1の吸込側に配置されている。モータ固定子6はモータケーシング3内に配置されており、モータ固定子6が収容される収容空間は、後述する放熱部材20によって塞がれている。本実施形態では、複数の永久磁石5が設けられているが、本発明は本実施形態に限定されず、複数の磁極が着磁された1つの永久磁石を用いてもよい。具体的には、S極とN極とが交互に着磁された、複数の磁極を有する1つの環状の永久磁石を用いてもよい。
【0023】
図4(a)はモータ固定子6を示す平面図であり、図4(b)は図4(a)に示すB−B線断面図である。図4(a)および図4(b)に示すように、モータ固定子6は、複数の歯6aを有する固定子コア6Aと、これらの歯6aにそれぞれ巻回された固定子コイル6Bと、を有している。歯6aおよび固定子コイル6Bは環状に配列されている。本実施形態では、6つの歯6aにそれぞれ固定子コイル6Bが巻かれており、磁極数は6となっている。羽根車1およびモータ固定子6は、軸受10と同心状に配列されている。
【0024】
固定子コイル6Bには、3本のリード線17(図2参照)が接続されており、そのリード線17の端子は図示しない駆動回路に接続される。この駆動回路は、スイッチング素子を用いて各固定子コイル6Bに供給する電流のタイミングを制御する機器である。より具体的には、駆動回路は、回転する永久磁石5の位置に基づいて各固定子コイル6Bに供給する電流のタイミングを制御する。永久磁石5の位置を検出する方法としては、ホール素子などの位置センサを用いる方法や、位置センサを用いずに固定子コイル6Bに発生する逆起電力を利用した方法などが挙げられる。本実施形態に係るモータポンプは、位置センサを用いたセンサ駆動方式または位置センサを用いないセンサレス駆動方式のいずれを採用してもよい。
【0025】
上述した駆動回路は、永久磁石5の位置に基づいて固定子コイル6Bへの電流の通電を適宜切り替え、これによって永久磁石5、すなわち羽根車1が回転する。羽根車1が回転すると、液体はモータポンプの吸込口15aから羽根車1の液体入口に導入される。液体は羽根車1の回転によって昇圧され、吐出口16aから吐き出される。羽根車1が液体を移送している間、羽根車1の背面は昇圧された液体によって吸込側に(すなわち吸込口15aに向かって)押圧される。軸受10は、羽根車1の吸込側に配置されているので、羽根車1のスラスト荷重を吸込側から支持する。本実施形態に係る構成によれば、1つの軸受10により羽根車1のラジアル荷重およびスラスト荷重を非接触で支持することができるので、パーティクルを発生させることのないコンパクトなモータポンプを実現することができる。
【0026】
モータ固定子6の電気的絶縁を確保し、かつ渦電流の発生を防止する観点から、モータケーシング3は非金属材料から構成されている。モータケーシング3を構成する材料としては、樹脂が好ましく使用される。より具体的には、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などの安価な樹脂が使用される。樹脂製のモータケーシング3は、固定子コイル6Bがモータケーシング3に接触しても該固定子コイル6Bの電気的絶縁が保たれ、地絡のおそれがないという利点がある。樹脂でモータケーシング3を形成する方法としては、射出成形が挙げられる。
【0027】
図1に示すように、モータケーシング3の側壁部32は、羽根車1の吸込側の側面に対向して配置される。すなわち、側壁部32は、羽根車1と固定子コイル6Bとの間に位置しており、羽根車1とモータ固定子6とを仕切る隔壁として機能する。モータ固定子6が発生する回転磁界は、側壁部32を通って羽根車1の永久磁石5に到達する。したがって、モータケーシング3の側壁部32は、できるだけ薄いことが好ましい。例えば、モータケーシング3の側壁部32は、数mmの厚さとされる。
【0028】
本実施形態のモータポンプには、図1に示すように、モータ固定子6の固定子コア6Aおよび吸込ポート15に接触する放熱部材20が設けられている。放熱部材20は、モータケーシング3よりも高い熱伝導率を有する材料からなる。このような材料は、例えば、ステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属、またはセラミックである。
【0029】
モータ固定子6は、モータケーシング3内に形成された収容空間に収容されており、該収容空間は、図1に示すように放熱部材20により塞がれる。したがって、本実施形態の放熱部材20は、モータ固定子6の収容空間を塞ぐモータカバーとして用いられている。この放熱部材20は、モータ固定子6の収容空間を塞ぐカバープレート20aと、カバープレート20aの表面からモータ固定子6に向かって突出する固定リング20bとを備えている。これらのカバープレート20aと固定リング20bとは一体に形成されている。放熱部材20を構成するカバープレート20aと固定リング20bとを別部材としてもよい。この場合も、カバープレート20aと固定リング20bは、いずれもモータケーシング3よりも高い熱伝導率を有する材料からなる。
【0030】
カバープレート20aは、全体として円盤形状であり、その中央には吸込ポート15が挿入される孔が形成されている。吸込ポート15のねじ部15eはモータケーシング3のねじ孔3bに挿入されており、放熱部材20のカバープレート20aの一部が、吸込ポート15の基部15cとモータケーシング3との間に挟まれている。この状態で、放熱部材20の固定リング20bはモータ固定子6の固定子コア6Aに接触しており、モータ固定子6をモータケーシング3の側壁部32に対して押圧している。このように、本実施形態の放熱部材20は、固定子コア6Aおよび吸込ポート15に接触すると共に、モータ固定子6の位置を固定する固定部材としても機能する。
【0031】
モータ固定子6の固定子コイル6Bに電流を流すと、固定子コイル6Bが発熱する。熱の一部はモータケーシング3の側壁部32を介して液体に伝達され、他の一部はモータケーシング3および放熱部材20を介して外気に放散される。モータ固定子6で発生した熱は、モータ固定子6の固定子コア6Aに接触し、かつモータケーシング3よりも高い熱伝導率を有する放熱部材20に伝達され、この放熱部材20から効率良く外気に放散される。
【0032】
さらに、この放熱部材20は、吸込ポート15に接触している。吸込ポート15は金属からなるので、高い熱伝導率を有している。したがって、放熱部材20から吸込ポート15に伝達された熱は、吸込ポート15からも効率良く外気に放散される。さらに、吸込ポート15は、その液体流路15b内を流れる液体と接触している。したがって、吸引ポート15に伝達された熱は、液体流路15b内を流れる液体に伝達される。その結果、モータ固定子6で発生した熱をさらにモータポンプの外部に効率良く放散することができるので、モータ固定子6の温度の上昇を効率良く抑制することができる。
【0033】
上述したように、モータ固定子6で発生した熱は、放熱部材20および吸引ポート15を介してモータポンプ内を流れる液体に伝達されるため、モータポンプ内を流れる液体の温度が上昇する。したがって、モータポンプから吐出される液体は、該液体が供給される装置で温度調節されることが好ましい。このような装置は、例えば、半導体製造装置、加工機、または空調機器である。
【0034】
モータ固定子6の冷却効率をさらに向上させるために、図5に示すように、放熱部材20に冷却室40を設けてもよい。図5は、図1に示すモータポンプに冷却室40を設けた変形例を示す図である。図5に示すように、冷却室40は、放熱部材20の外側の表面に取り付けられている。この冷却室40は環状の形状を有しており、冷却液入口40Aと冷却液出口40Bとを有している。冷却液(例えば冷却水)は、図示しない冷却液供給源から冷却液入口40Aを通じて冷却室40に流入し、冷却室40の内部を流れて冷却液出口40Bから排出される。このような構成によれば、モータ固定子6で発生した熱は、放熱部材20を通じて冷却液に伝達されるので、モータ固定子6の熱をモータポンプの外部にさらに効率よく逃がすことができる。
【0035】
図1乃至図5を参照して説明したモータポンプは、吸込口と吐出口が直交する、いわゆるエンドトップ型モータポンプであるが、吸込側配管と吐出口と羽根車が直線上に並ぶインライン型モータポンプにも本発明は適用可能である。
【0036】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0037】
1 羽根車
2 ポンプケーシング
3 モータケーシング
5 永久磁石
6 モータ固定子
10 軸受
11 回転側軸受要素
12 固定側軸受要素
15 吸込ポート
16 吐出ポート
20 放熱部材
32 側壁部(隔壁)
40 冷却室
図1
図2
図3
図4
図5