特許第6626206号(P6626206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6626206光送信機、光受信機、光データ伝送システム、光送信方法及び光受信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626206
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】光送信機、光受信機、光データ伝送システム、光送信方法及び光受信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/077 20130101AFI20191216BHJP
   H04B 10/516 20130101ALI20191216BHJP
   H04J 14/08 20060101ALI20191216BHJP
   H04B 1/707 20110101ALI20191216BHJP
【FI】
   H04B10/077
   H04B10/516
   H04J14/08
   H04B1/707
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-530351(P2018-530351)
(86)(22)【出願日】2017年7月26日
(86)【国際出願番号】JP2017027031
(87)【国際公開番号】WO2018021403
(87)【国際公開日】20180201
【審査請求日】2018年8月15日
(31)【優先権主張番号】特願2016-148460(P2016-148460)
(32)【優先日】2016年7月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀越 建吾
(72)【発明者】
【氏名】岡本 聖司
(72)【発明者】
【氏名】松下 明日香
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光輝
(72)【発明者】
【氏名】濱岡 福太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 義朗
(72)【発明者】
【氏名】木坂 由明
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−188165(JP,A)
【文献】 特表2015−530773(JP,A)
【文献】 特開2014−191534(JP,A)
【文献】 特開2012−105351(JP,A)
【文献】 特開2006−254443(JP,A)
【文献】 Georges Kaddoum and Ebrahim Soujeri,NR-DCSK: A Noise Reduction Differential Chaos Shift Keying System,IEEE TRANSACTIONS ON CIRCUITS AND SYSTEMS II: EXPRESS BRIEFS,2016年,VOL. 63, NO. 7,pp. 648 - 652
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/077
H04B 10/516
H04J 14/08
H04B 1/707
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ伝送路を介してデータを伝送する光データ伝送システムの光送信機であって、
第1の送信データを所定の信号フォーマットに変換して第1の信号を生成する主信号生成部と、
前記第1の信号を生成した際の第1のボーレートより低いボーレートで変調された第2の送信データを、前記第1のボーレートの疑似ランダム系列を用いたDCSK(Differential Code Shift Keying)変調により前記第1の信号と同様のパワースペクトルを有する第2の信号を生成するDCSK変調部と、
前記第1の信号と前記第2の信号とを時分割多重する信号多重部と、
前記信号多重部による時分割多重で得られた多重信号を電気信号から光信号に変換し、前記光信号を前記光ファイバ伝送路へ出力する電気光変換部と、
を備える光送信機。
【請求項2】
信号空間ダイアグラム上の点に前記第2の送信データをマッピングしてシンボルを生成するマッピング部、をさらに備え、
前記DCSK変調部は、
参照用疑似ランダム系列を生成する参照用疑似ランダム系列生成回路と、
信号用疑似ランダム系列を生成する信号用疑似ランダム系列生成回路と、
前記参照用疑似ランダム系列と前記信号用疑似ランダム系列とを時分割多重した単一の時系列信号を前記第2の信号として生成する時系列信号生成部と、
を備え、
前記信号用疑似ランダム系列は、前記参照用疑似ランダム系列と前記シンボルとの積に一致する、
請求項1に記載の光送信機。
【請求項3】
信号空間ダイアグラム上の点に前記第2の送信データをマッピングしてシンボルを生成するマッピング部、をさらに備え、
前記DCSK変調部は、
疑似ランダム系列を生成する疑似ランダム系列生成部と、
前記疑似ランダム系列と前記シンボルとを乗算し、乗算結果を信号用疑似ランダム系列として出力する乗算器と、
前記疑似ランダム系列と前記信号用疑似ランダム系列とを時分割多重した単一の時系列信号を前記第2の信号として生成する時系列信号生成部と、
を備える請求項1に記載の光送信機。
【請求項4】
光ファイバ伝送路を介してデータを伝送する光データ伝送システムの光受信機であって、
前記光ファイバ伝送路を介して受信した光信号を電気信号に変換する光電気変換部と、
前記電気信号から時分割多重された第1の信号と第2の信号とを分離する信号分離部と、
前記信号分離部で分離された前記第1の信号を復調して第1の送信データを再生する主信号復調部と、
前記信号分離部で分離された前記第2の信号に含まれ前記第1の信号を生成した際の第1のボーレートと同じボーレートの疑似ランダム系列を用いた前記第2の信号に対するDCSK(Differential Code Shift Keying)復調により、前記第1のボーレートより低いボーレートで変調された第2の送信データを再生するDCSK復調部と、
を備える光受信機。
【請求項5】
前記DCSK復調部は、
前記第2の信号から参照用疑似ランダム系列と信号用疑似ランダム系列とを同定して抽出する信号系列抽出部と、
前記参照用疑似ランダム系列と前記信号用疑似ランダム系列との内積を算出し、前記内積を前記第2の送信データとして出力する内積算出部と、
を備える請求項4に記載の光受信機。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光送信機と、
請求項4又は5に記載の光受信機と、
を備える光データ伝送システム。
【請求項7】
光ファイバ伝送路を介してデータを伝送する光データ伝送システムの光送信機が行う光送信方法であって、
第1の送信データを所定の信号フォーマットに変換して第1の信号を生成する主信号生成ステップと、
前記第1の信号を生成した際の第1のボーレートより低いボーレートで変調された第2の送信データを、前記第1のボーレートの疑似ランダム系列を用いたDCSK(Differential Code Shift Keying)変調により前記第1の信号と同様のパワースペクトルを有する第2の信号を生成するDCSK変調ステップと、
前記第1の信号と前記第2の信号とを時分割多重する信号多重ステップと、
前記信号多重ステップにおける時分割多重で得られた多重信号を電気信号から光信号に変換し、前記光信号を前記光ファイバ伝送路へ出力する電気光変換ステップと、
を有する光送信方法。
【請求項8】
光ファイバ伝送路を介してデータを伝送する光データ伝送システムの光受信機が行う光受信方法であって、
前記光ファイバ伝送路を介して受信した光信号を電気信号に変換する光電気変換ステップと、
前記電気信号から時分割多重された第1の信号と第2の信号とを分離する信号分離ステップと、
前記信号分離ステップにおいて分離された前記第1の信号を復調して第1の送信データを再生する主信号復調ステップと、
前記信号分離ステップにおいて分離された前記第2の信号に含まれ前記第1の信号を生成した際の第1のボーレートと同じボーレートの疑似ランダム系列を用いた前記第2の信号に対するDCSK(Differential Code Shift Keying)復調により、前記第1のボーレートより低いボーレートで変調された第2の送信データを再生するDCSK復調ステップと、
を有する光受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信の技術に関する。
本願は、2016年7月28日に、日本に出願された特願2016−148460号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルコヒーレント光伝送技術の進展により、波長チャネルあたり100Gbit/sの容量を有する高速長距離光データ伝送が商用化されている。しかしながら、増大を続けるネットワークトラフィック転送需要に対応する目的で、さらなる大容量の光データ伝送システムの研究開発が盛んに行われており、多値化や高ボーレート化による伝送容量の拡大が提案されている。
【0003】
光データ伝送では光ファイバを介してデータ通信を行う。光ファイバ中で生じる非線形光学効果による信号歪を避ける必要性から、光ファイバに入力可能な信号電力は10dBm以下程度に抑える必要がある。多値化や高ボーレート化による伝送容量の拡大を行うと、ビットあたりに分配されるエネルギーが低下する。そのため、ビット誤りが発生しやすくなり、伝送可能距離が低下する傾向にある。近年では、複数の変調方式をサポートし、変調方式を切り替えて運用可能な通信システムも提案されている。
【0004】
複数の変調方式を切り替えて運用する通信システムでは、端局間で変調方式等を設定する必要がある。このような変調方式の設定は自動的に行われることが運用性を改善する点からは望ましい。
また、別の課題として、100Gbit/sを超えるような大容量光伝送チャネルでは、伝送路周波数特性を予め等化するなど、送信側で信号処理を実施する場合がある。送信側で適切な信号処理を実施するためには、受信側で得られる伝送路情報や受信信号品質などのパラメータを送信側へフィードバックする必要がある。
【0005】
上述のような変調方式の自動設定や、送信側信号処理のためのパラメータフィードバックを実現するためには、制御チャネルを端局間に用意する必要がある。変調方式の自動設定を実現するため、制御チャネルは、主信号の導通に先立って通信を確立される必要がある。また、送信側信号処理のためのパラメータフィードバックを実現するため、制御チャネルは、主信号で誤りが頻発し安定した通信を確立できない場合でも、高い信頼性を提供する必要がある。
【0006】
このような要件を満たす制御チャネルの既存の技術例としては、特許文献1に示すものがあげられる。特許文献1の技術では、周波数領域でエネルギーの局在した波形を制御信号の伝送に使用し、主信号に時間多重している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−187525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に示されるように、主信号と大きく異なる信号波形の制御信号を主信号に時間多重すると、隣接する波長チャネルの信号に光ファイバの非線形性を介して悪影響を与える可能性がある。将来の1Tbit/s級の超大容量光データ伝送においては、この悪影響が無視できない可能性がある。そのため、主信号に近い特性を持つ波形を利用して制御用チャネルを構築することが望ましい。
【0009】
上記事情に鑑み、本発明は、主信号への悪影響を抑制するとともに、高い信頼性で主信号に制御用の信号を多重化できる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の実施態様における光送信機は、光ファイバ伝送路を介してデータを伝送する光データ伝送システムの光送信機であって、第1の送信データを所定の信号フォーマットに変換して第1の信号を生成する主信号生成部と、第2の送信データをDCSK(Differential Code Shift Keying)変調して第2の信号を生成するDCSK変調部と、前記第1の信号と前記第2の信号とを時分割多重する信号多重部と、前記信号多重部による時分割多重で得られた多重信号を電気信号から光信号に変換し、前記光信号を前記光ファイバ伝送路へ出力する電気光変換部と、を備える。
【0011】
本発明の第2の実施態様によれば、上記第1の実施態様の光送信機において、信号空間ダイアグラム上の点に前記第2の送信データをマッピングしてシンボルを生成するマッピング部、をさらに備え、前記DCSK変調部は、参照用疑似ランダム系列を生成する参照用疑似ランダム系列生成回路と、信号用疑似ランダム系列を生成する信号用疑似ランダム系列生成回路と、前記参照用疑似ランダム系列と前記信号用疑似ランダム系列とを時分割多重した単一の時系列信号を前記第2の信号として生成する時系列信号生成部と、を備え、前記信号用疑似ランダム系列は、前記参照用疑似ランダム系列と前記シンボルとの積に一致する。
【0012】
本発明の第3の実施態様によれば、上記第1の実施態様の光送信機において、信号空間ダイアグラム上の点に前記第2の送信データをマッピングしてシンボルを生成するマッピング部、をさらに備え、前記DCSK変調部は、疑似ランダム系列を生成する疑似ランダム系列生成部と、前記疑似ランダム系列と前記シンボルとを乗算し、乗算結果を信号用疑似ランダム系列として出力する乗算器と、前記疑似ランダム系列と前記信号用疑似ランダム系列とを時分割多重した単一の時系列信号を前記第2の信号として生成する時系列信号生成部と、を備える。
【0013】
本発明の第4の実施態様における光受信機は、光ファイバ伝送路を介してデータを伝送する光データ伝送システムの光受信機であって、前記光ファイバ伝送路を介して受信した光信号を電気信号に変換する光電気変換部と、前記電気信号から時分割多重された第1の信号と第2の信号とを分離する信号分離部と、前記信号分離部で分離された前記第1の信号を復調して第1の送信データを再生する主信号復調部と、前記信号分離部で分離された前記第2の信号をDCSK(Differential Code Shift Keying)復調して第2の送信データを再生するDCSK復調部と、を備える。
【0014】
本発明の第5の実施態様によれば、上記第4の実施態様の光受信機において、前記DCSK復調部は、前記第2の信号から参照用疑似ランダム系列と信号用疑似ランダム系列とを同定して抽出する信号系列抽出部と、前記参照用疑似ランダム系列と前記信号用疑似ランダム系列との内積を算出し、前記内積を前記第2の送信データとして出力する内積算出部と、を備える。
【0015】
本発明の第6の実施態様における光データ伝送システムは、上記の第1から第3の実施態様のいずれかの光送信機と、上記の第4又は第5の実施態様の光受信機とを備える。
【0016】
本発明の第7の実施態様における送信方法は、光ファイバ伝送路を介してデータを伝送する光データ伝送システムの光送信機が行う光送信方法であって、第1の送信データを所定の信号フォーマットに変換して第1の信号を生成する主信号生成ステップと、第2の送信データをDCSK(Differential Code Shift Keying)変調して第2の信号を生成するDCSK変調ステップと、前記第1の信号と前記第2の信号とを時分割多重する信号多重ステップと、前記信号多重ステップにおける時分割多重で得られた多重信号を電気信号から光信号に変換し、前記光信号を前記光ファイバ伝送路へ出力する電気光変換ステップと、を有する。
【0017】
本発明の第8の実施態様における受信方法は、光ファイバ伝送路を介してデータを伝送する光データ伝送システムの光受信機が行う光受信方法であって、前記光ファイバ伝送路を介して受信した光信号を電気信号に変換する光電気変換ステップと、前記電気信号から時分割多重された第1の信号と第2の信号とを分離する信号分離ステップと、前記信号分離ステップにおいて分離された前記第1の信号を復調して第1の送信データを再生する主信号復調ステップと、前記信号分離ステップにおいて分離された前記第2の信号をDCSK(Differential Code Shift Keying)復調して第2の送信データを再生するDCSK復調ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、主信号への悪影響を抑制するとともに、高い信頼性で主信号に制御用の信号を多重化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光データ伝送システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態におけるDCSK変調部の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態における主/副信号多重部で時間多重された信号の構造を示す図である。
図4】第1の実施形態におけるDCSK復調部の構成を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る光データ伝送システムにおける2シンボル一括型DCSK変調部の構成を示す図である。
図6】第2の実施形態において時間多重された信号の構造を示す図である。
図7】第2の実施形態における2シンボル一括型DCSK復調部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光データ伝送システム1の全体構成を示すブロック図である。光データ伝送システム1は、光送信機10と、光受信機30と、光送信機10と光受信機30とを接続する光ファイバ伝送路13とを備えている。光送信機10は、送信側信号処理装置11と、電気光変換装置12とを備えている。送信側信号処理装置11は、電気段において送信対象の信号を生成する。送信側信号処理装置11は、主信号生成部21と、誤り訂正/検出符号化部22と、同期パタン挿入部23と、BPSK( Binary Phase Shift Keying)マッピング部24と、差動エンコード部25と、DCSK(Differential Code Shift Keying)変調部26と、主/副信号多重部27とを有している。
【0021】
主信号生成部21は、主信号データを光伝送に適した形式の信号にマッピングする。誤り訂正/検出符号化部22、同期パタン挿入部23、BPSKマッピング部24、及び差動エンコード部25は、副信号データに対して、誤り訂正符号化、同期パタン挿入、BPSKシンボルマッピング、及び差動符号化を順に行う。DCSK変調部26は、副信号データの差動符号化されたシンボルに対して、DCSK変調を行う。主/副信号多重部27は、主信号データをマッピングした主信号(第1の信号)と、副信号データの差動符号化されたシンボルをDCSK変調して得られた副信号(第2の信号)とを時分割多重する。電気光変換装置12は、主/副信号多重部27による時分割多重で得られた多重信号を電気信号から光信号に変換して、光ファイバ伝送路13を介して、光信号を光受信機30に送信する。
【0022】
光受信機30は、光電気変換装置31と、受信側信号処理装置32とを備えている。光電気変換装置31は、光ファイバ伝送路13を介して受信した光信号を電気信号に変換する。受信側信号処理装置32は、電気段において電気信号から主信号データ及び副信号データを再生する。受信側信号処理装置32は、主/副信号分離部41と、主信号復調部42と、DCSK復調部43と、位相オフセット補償部44と、差動デコード部45と、BPSKデマッピング部46と、同期パタン検出・フレーム同期部47と、誤り訂正復号部48とを有している。
【0023】
主/副信号分離部41は、光信号から変換された電気信号から、時分割多重された主信号(第1の信号)と副信号(第2の信号)とを分離する。主信号復調部42は、主信号を復調して主信号データを再生する。DCSK復調部43は、主/副信号分離部41で分離された副信号に対して、DCSK復調を行い、副信号データのシンボルを復調する。位相オフセット補償部44、差動デコード部45、BPSKデマッピング部46、同期パタン検出・フレーム同期部47、及び誤り訂正復号部48は、副信号データの復調されたシンボルに対して、位相オフセット補償、差動デコード、BPSKデマッピング、フレーム同期、及び誤り訂正処理を順に行って、副信号データを再生する。
【0024】
光送信機10が行う処理について説明する。図1において、主信号データは主信号生成部21に送られる。主信号生成部21は、光伝送に適した形式(所定の信号フォーマット)で主信号データを信号空間ダイアグラム上にマッピングし、マッピングにより得られた主信号を主/副信号多重部27に送る。
【0025】
主信号データ(第1の送信データ)は、ペイロードデータを想定している。第1の実施形態において、主信号は、偏波多重QAM(Quadrature Amplitude Modulation)変調の信号形式を想定しているが、符号可変長やハイブリッド変調等、他の信号形式であっても良い。また、主信号生成部21は、主信号データに対して誤り訂正符号を用いることもできる。
【0026】
副信号データ(第2の送信データ)は、光データ伝送システム1全体の制御用データを想定している。誤り訂正/検出符号化部22は、副信号データを誤り訂正符号化する。同期パタン挿入部23は、誤り訂正符号化された副信号データに同期パタンを挿入する。BPSKマッピング部24は、同期パタンが挿入された副信号データを、信号空間ダイアグラム上のシンボルにマッピングする。差動エンコード部25は、副信号データのシンボルに対して差動エンコードを行う。
【0027】
誤り訂正/検出符号化部22での誤り訂正符号化は特に規定していないが、信頼性の観点では実装することが望ましい。同期パタン挿入部23で挿入する同期パタンは、後述するように、受信側信号処理装置32において誤り訂正ブロックの検出等に必要である。また、第1の実施形態では、受信側の回路に位相オフセット補償部44が含まれており、位相サイクルスリップが受信側で生じうる。そのため、差動符号化を実施する必要があり、差動エンコード部25で差動エンコードを行っている。また、第1の実施形態では、副信号データに対する変調方式としてBPSKを用いているが、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)や、PSKあるいはQAMなどを用いることもできる。副信号データに対する変調速度は、主信号データに対する変調速度より遅くてもよい。
【0028】
差動エンコード部25により得られる副信号データの差動符号化されたシンボルは、DCSK変調部26に入力される。DCSK変調部26は、副信号データの差動符号化されたシンボルに対して、DCSK変調を行う。DCSK変調は、参照用疑似ランダム系列と信号用疑似ランダム系列との一対の疑似ランダム系列の内積に信号を乗せる変調方式である。DCSK変調部26は、副信号データの差動符号化されたシンボルに対するDCSK変調により得られるシンボル列を副信号として出力する。第1の実施形態では、水平偏波の疑似ランダム系列で副信号データの差動符号化されたシンボルをDCSK変調した信号と、垂直偏波の疑似ランダム系列で副信号データの差動符号化されたシンボルをDCSK変調した信号とを偏波多重して、偏波ダイバーシティを行うことを前提にしている。
【0029】
DCSK変調部26は、DCSK変調により得られた副信号を主/副信号多重部27に送る。主/副信号多重部27は、主信号と副信号とを時分割多重する。主/副信号多重部27は、時分割多重により得られた多重信号を電気光変換装置12に送る。電気光変換装置12は、多重信号を電気信号から光信号に変換し、光信号を光ファイバ伝送路13へ出力する。光信号は、光ファイバ伝送路13を介して光受信機30へ送信される。
【0030】
電気光変換装置12は、直交する2つの偏波方向で偏波多重ダイバーシティに対応できるように、CW(Continuous Wave)光とX偏波側電気信号とY偏波側電気信号とを入力し、偏波多重された光信号を生成する。主信号をQAM変調して伝送する場合、電気光変換装置12は、X偏波側QAM変調器とY偏波側QAM変調器とを備えている。
【0031】
図2は、DCSK変調部26の構成を示すブロック図である。DCSK変調部26は、疑似ランダム系列生成部51及び52と、乗算器53及び54と、X側時系列信号生成部55及びY側時系列信号生成部56とを有する。疑似ランダム系列生成部51及び52は、参照用疑似ランダム系列生成回路の一例である。乗算器53及び54は、信号用疑似ランダム系列生成回路の一例である。
【0032】
疑似ランダム系列生成部51及び52は、X偏波側とY偏波側とのそれぞれについて、疑似ランダム系列を出力する。疑似ランダム系列生成部51及び52により生成される疑似ランダム系列の見かけ上のボーレートは、主信号のボーレートと一致させておく。例えば、疑似ランダム系列生成部51及び52は、主信号生成部21が主信号データから主信号を生成する際の変調レートと同じレートで疑似ランダムのシンボルを生成することにより、疑似ランダム系列を生成する。光信号の偏波のランダム性を確保するため、疑似ランダム系列生成部51及び52は、互いに無相関な疑似ランダム系列をX偏波側及びY偏波側の疑似ランダム系列として生成する。
【0033】
疑似ランダム系列生成部51からのX偏波側の疑似ランダム系列は、参照用疑似ランダム系列P0と信号用疑似ランダム系列P1用の系列とに2分岐される。参照用疑似ランダム系列P0はX側時系列信号生成部55に送られる。信号用疑似ランダム系列P1用の系列は乗算器53に送られる。乗算器53には、差動エンコード部25から副信号データの差動符号化されたシンボルが送られる。乗算器53は、副信号データの差動符号化されたシンボルと信号用疑似ランダム系列P1用の系列とを乗算する。乗算器53は、乗算結果を信号用疑似ランダム系列P1としてX側時系列信号生成部55に送る。X側時系列信号生成部55は、X偏波側の参照用疑似ランダム系列P0と、X偏波側の信号用疑似ランダム系列P1とを時分割多重し、単一の時系列信号をX偏波側のDCSK変調信号として生成する。
【0034】
疑似ランダム系列生成部52からのY偏波側の疑似ランダム系列は、参照用疑似ランダム系列P0と信号用疑似ランダム系列P1用の系列に2分岐される。参照用疑似ランダム系列P0はY側時系列信号生成部56に送られる。信号用疑似ランダム系列P1用の系列は乗算器54に送られる。乗算器54には、差動エンコード部25から副信号データの差動符号化されたシンボルが送られる。乗算器54は、副信号データの差動符号化されたシンボルと、Y偏波側の信号用疑似ランダム系列P1用の系列とを乗算する。乗算器54は、乗算結果を信号用疑似ランダム系列P1としてY側時系列信号生成部56に送る。Y側時系列信号生成部56は、Y偏波側の参照用疑似ランダム系列P0と、Y偏波側の信号用疑似ランダム系列P1とを時間多重し、単一の時系列信号をY偏波側のDCSK変調信号として生成する。
【0035】
X側時系列信号生成部55で生成されたDCSK変調信号と、Y側時系列信号生成部56で生成されたDCSK変調信号は、副信号として主/副信号多重部27に送られる。主/副信号多重部27で、主信号と副信号とが時分割多重され、時分割多重により多重信号が生成される。
【0036】
図3は、主/副信号多重部27で生成される多重信号の構造を示す。主/副信号多重部27から出力される多重信号は、主信号の期間と副信号の期間とに分けられ、それぞれの期間に主信号と副信号とが時分割で多重化される。副信号の期間には、DCSK変調信号が割り当てられる。副信号に割り当てられた部分には、参照用疑似ランダム系列P0と、信号用疑似ランダム系列P1とが時分割多重で割り当てられる。参照用疑似ランダム系列P0と信号用疑似ランダム系列P1との間や、参照用疑似ランダム系列P0と信号用疑似ランダム系列P1との前後に、バッファ系列が挿入されてもよい。
【0037】
光受信機30での処理について説明する。光ファイバ伝送路13には、主信号と副信号とを多重した光信号が伝送される。光受信機30において、光ファイバ伝送路13を介して受信された光信号は光電気変換装置31により電気信号に変換され、電気信号は受信側信号処理装置32に入力される。
【0038】
光電気変換装置31は、偏波ダイバーシティコヒーレント光電変換装置を想定している。そのため、光信号は、光電気変換装置31により水平偏波・垂直偏波に対応する少なくとも2系統の電気信号に変換される。その際、水平偏波及び垂直偏波の偏波軸は、送信側におけるX偏波及びY偏波とは必ずしも一致しない。光電気変換装置31は、主信号をQAM変調して伝送する場合、X偏波側QAM復調器とY偏波側QAM復調器とを備えている。
【0039】
受信側信号処理装置32に入力された電気信号を、主/副信号分離部41は主信号と副信号とに分離する。主信号復調部42は、主信号に対して復調処理を行う。DCSK復調部43は、副信号を入力する。主/副信号分離部41は、主信号又は副信号に含まれるヘッダの情報を利用して、主信号と副信号とを分離してもよい。光送信機10と光受信機30とが同期して動作し、多重信号における主信号及び副信号のフレーム長が予め定められている場合、主/副信号分離部41は予め定められているフレーム長に応じたタイミングにて主信号と副信号とを分離してもよい。
【0040】
DCSK復調部43は、副信号に対してDCSK復調を行う。前述したように、送信側では、副信号データに対して、BPSKマッピング、差動エンコード、DCSK変調を順に行って得られた副信号と、主信号との時分割多重が行われている。したがって、主/副信号分離部41で分離された副信号をDCSK復調部43が復調することで、DCSK復調部43は、副信号データの差動エンコードされたシンボルを取得する。
【0041】
図4は、DCSK復調部43の構成を示す。DCSK復調部43は、信号系列抽出部61及び62と、内積算出部63及び64と、加算器65とを有する。
【0042】
主/副信号分離部41で分離された副信号のうち、水平偏波の副信号は信号系列抽出部61に送られ、垂直偏波の副信号は信号系列抽出部62に送られる。信号系列抽出部61は、水平偏波の副信号から、参照用疑似ランダム系列P0と、信号用疑似ランダム系列P1とに対応する系列を同定して抽出する。信号系列抽出部62は、垂直偏波の副信号から、参照用疑似ランダム系列P0と、信号用疑似ランダム系列P1とに対応する系列を同定して抽出する。信号系列抽出部61は、副信号に含まれるヘッダの情報を利用して、疑似ランダム系列P0、P1を抽出してもよい。光送信機10と光受信機30とが同期して動作し、多重信号における主信号及び副信号のフレーム長が予め定められている場合、信号系列抽出部61は、予め定められているフレーム長に応じたタイミングにて疑似ランダム系列P0、P1を抽出してもよい。
【0043】
信号系列抽出部61は、抽出した参照用疑似ランダム系列P0及び信号用疑似ランダム系列P1を内積算出部63に送る。信号系列抽出部62は、抽出した参照用疑似ランダム系列P0及び信号用疑似ランダム系列P1を内積算出部64に送る。
【0044】
内積算出部63は、信号系列抽出部61で抽出された参照用疑似ランダム系列P0と信号用疑似ランダム系列P1との内積を算出する。内積を算出することにより、水平偏波の副信号から、副信号データのシンボルが取得される。
【0045】
内積算出部64は、信号系列抽出部62で抽出された参照用疑似ランダム系列P0と信号用疑似ランダム系列P1との内積を算出する。内積を算出することにより、垂直偏波の副信号から、副信号データのシンボルが取得される。
加算器65は、内積算出部63の出力信号と内積算出部64の出力信号とを加算する。加算により水平偏波及び垂直偏波のシンボルが合成され、シンボルの信頼性が向上する。なお、加算は、シンボルを合成する一例であり、他の演算を用いてシンボルを合成してもよい。
【0046】
DCSK復調部43は、DCSK復調により得られた副信号データのシンボルを位相オフセット補償部44に送る。DCSK復調部43の復調出力は、差動エンコードされたBPSKシンボルで構成されているが、位相オフセットが乗っている場合がある。位相オフセット補償部44は、このような位相オフセットを補償する。位相オフセット補償部44は、図4に示すように、CPR(Carrier Phase Recovery)部71と乗算器72とを備える。CPR部71は、入力される各シンボルを2乗した結果の平均を算出し、平均化されたシンボルの位相を算出する。算出された位相の2分の1の値が位相オフセットの推定値である。CPR部71は、推定した位相オフセットを打ち消す回転を与える複素数を出力する。乗算器72は、CPR部71から出力される複素数と、副信号データのシンボルとを乗算することにより、副信号データのシンボルにおける位相オフセットを補償する。
【0047】
位相オフセット補償部44が出力するシンボルは、差動デコード部45で差動デコードされ、BPSKデマッピング部46でバイナリデータ系列に復調される。さらに、同期パタン検出・フレーム同期部47で、バイナリデータ系列における同期パタンを基に誤り訂正符号ブロックが検出される。誤り訂正復号部48で、バイナリデータ系列に対する誤り訂正符号の復号が実施され、副信号データが再生される。
【0048】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態に係る光データ伝送システム1では、主信号データを変調して得られる主信号に、副信号データをDCSK変調して得られる副信号が時分割多重された光信号が送信されている。副信号データには、光データ伝送システム1全体の制御用データが含まれる。すなわち、光データ伝送システム1は、制御用データとしての副信号データを伝送する制御チャネルを提供するために、コヒーレント光差動符号化変調方式(Coherent Optical differential Code Shift Keying:CO−DCSK)を用いて変調された副信号データと主信号データとを時分割多重して伝送している。CO−DCSK方式は、DCSK方式を光伝送に拡張した方式である。
DCSK変調信号は、参照用疑似ランダム系列と信号用疑似ランダム系列との組から構成され、一組で一つのシンボルをコードする。光ファイバ中を伝搬する光は、水平偏光と垂直偏光との二つの直交する偏波状態を有するため、光データ伝送ではこれらに対し偏波ダイバーシティ又は偏波多重を行うことで、受信信号品質の改善や伝送容量の拡大を行うことができる。なお、DCSK変調については、例えば、特許第3995601号公報に記載されている。第1の実施形態では、光信号の偏波状態をランダム化する必要性から、直交する二つの偏波状態に対しては、異なる疑似ランダム系列を適用し、光信号の偏波状態をランダム化している。光受信機30は、任意の偏波状態の光信号を、コヒーレント検波により二つの直交する偏波状態に分離して電気信号に変換している。
【0049】
第1の実施形態では、DCSK変調信号に含まれる参照及び信号用疑似ランダム系列の見かけ上のボーレートは、主信号のボーレートと一致している。これにより、制御信号のDCSK変調信号のスペクトルと主信号のスペクトルとは、同一となる。DCSK変調信号における副信号データの実質的なボーレートは、主信号のボーレートと比べて低いため、本質的にノイズ耐力が主信号と比べて高い。したがって、主信号が導通しない状況でも、副信号を利用する制御チャネルの通信を確立することができる。言い換えれば、主信号に先立って通信を確立するのに十分な信頼性を制御チャネルに持たせることができる。
【0050】
このように、第1の実施形態において、副信号を利用して実現される制御チャネルは、主信号と比べて雑音耐力が高いため、あらゆる状況下で主信号に先立って通信を確立し、主信号の通信確立に必要な情報を伝送することができる。制御チャネルは、主信号の光パワースペクトルと同一の光パワースペクトルを有し、また偏波状態のランダム性も有する。非線形性を介した隣接チャネルへの制御チャネルのクロストークは、主信号のクロストークと同様である。したがって、光データ伝送システム1は、制御チャネルを主信号に時分割多重する場合においても光伝送路の設計を見直す必要がないため、既存の光データ伝送システムの改善に好適である。光データ伝送システム1は、主信号への影響を抑えつつ、主信号に副信号を多重化できる。
【0051】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る光データ伝送システムについて説明する。本発明の第2の実施形態に係る光データ伝送システムは、全体の構成としては、図1に示した第1の実施形態に係る光データ伝送システム1と同様であるが、DCSK変調部26及びDCSK復調部43の構成が異なる。第1の実施形態に係る光データ伝送システム1では、DCSK変調部26及びDCSK復調部43は、1シンボルずつ変調及び復調を行う。これに対して、この第2の実施形態に係る光データ伝送システムでは、N(Nは整数)シンボル一括型DCSK変調部及びNシンボル一括型DCSK復調部を用いて、Nシンボルの変調及び復調を一括して行う。なお、第2の実施形態ではN=2の場合を記載する。
【0052】
図5は、第2の実施形態に係る光データ伝送システムにおける2シンボル一括型DCSK変調部26aの構成を示している。2シンボル一括型DCSK変調部26aは、疑似ランダム系列生成部151及び152と、乗算器153a及び153b、154a及び154bと、X側時系列信号生成部155及びY側時系列信号生成部156とを有する。
【0053】
疑似ランダム系列生成部151から出力されるX偏波側の疑似ランダム系列は、参照用疑似ランダム系列P0用の系列と、信号用疑似ランダム系列P1用の系列と、信号用疑似ランダム系列P2用の系列とに分岐される。参照用疑似ランダム系列P0はX側時系列信号生成部155に送られる。信号用疑似ランダム系列P1用の系列は乗算器153aに送られる。信号用疑似ランダム系列P2用の系列は乗算器153bに送られる。乗算器153aには、差動エンコード部25から出力される副信号データの差動符号化されたシンボル(第1のシンボル)が送られる。乗算器153bには、遅延部158から1シンボル分の遅延が加えられた副信号データの差動符号化されたシンボル(第2のシンボル)が送られる。乗算器153aは、第1のシンボルと信号用疑似ランダム系列P1用の系列とを乗算し、乗算結果を信号用疑似ランダム系列P1としてX側時系列信号生成部155に送る。乗算器153bは、第2のシンボルと信号用疑似ランダム系列P2用の系列とを乗算し、乗算結果を信号用疑似ランダム系列P2としてX側時系列信号生成部155へ送る。
【0054】
疑似ランダム系列生成部152から出力されるY偏波側の疑似ランダム系列は、参照用疑似ランダム系列P0と、信号用疑似ランダム系列P1用の系列と、信号用疑似ランダム系列P2用の系列とに分岐される。参照用疑似ランダム系列P0はY側時系列信号生成部156に送られる。信号用疑似ランダム系列P1用の系列は乗算器154aに送られる。信号用疑似ランダム系列P2用の系列は乗算器154bに送られる。乗算器154aには、差動エンコード部25から出力される副信号データのシンボル(第1のシンボル)が送られる。乗算器154bには、遅延部158から1シンボル分の遅延が加えられた副信号データのシンボル(第2のシンボル)が送られる。乗算器154aは、第1のシンボルと信号用疑似ランダム系列P1用の系列とを乗算し、乗算結果を信号用疑似ランダム系列P1としてY側時系列信号生成部156に送る。乗算器154bは、第2のシンボルと信号用疑似ランダム系列P2用の系列とを乗算し、乗算結果を信号用疑似ランダム系列P2としてY側時系列信号生成部156へ送る。
【0055】
第2の実施形態においては、副信号データのシンボル列における連続する2つのシンボルが単一の副信号フレームに格納されて送信される。疑似ランダム系列生成部151、乗算器153a及び乗算器153bにより、X偏波側の疑似ランダム系列P0,P1,P2が生成される。疑似ランダム系列生成部152、乗算器154a及び乗算器154bにより、Y偏波側の疑似ランダム系列P0,P1,P2が生成される。そのうち、疑似ランダム系列P0は参照用疑似ランダム系列であり、疑似ランダム系列P1は、参照用疑似ランダム系列P0に第1のシンボルを掛けたものと一致する。疑似ランダム系列P2は、参照用疑似ランダム系列P0に第2のシンボルを掛けたものと一致する。すなわち、第1のシンボルは参照用疑似ランダム系列P0と信号用疑似ランダム系列P1との差動情報にコードされる。第2のシンボルは参照用疑似ランダム系列P0と信号用疑似ランダム系列P2との差動情報にコードされる。
X側時系列信号生成部155は、X偏波側の参照用疑似ランダム系列P0、信号用疑似ランダム系列P1及び信号用疑似ランダム系列P2を時分割多重し、単一の時系列信号をX偏波側のDCSK変調信号として生成する。同様に、Y側時系列信号生成部156は、Y偏波側の参照用疑似ランダム系列P0、信号用疑似ランダム系列P1及び信号用疑似ランダム系列P2を時分割多重し、単一の時系列信号をY偏波側のDCSK変調信号として生成する。X偏波側及びY偏波側のDCSK変調信号は、副信号として主/副信号多重部27へ送られる。
【0056】
図6は、第2の実施形態において主/副信号多重部27で生成される多重信号の構造を示す。主/副信号多重部27から出力される多重信号は、主信号の期間と副信号の期間とに分けられ、それぞれの期間に主信号と副信号とが時分割で多重化される。副信号に割り当てられた部分には、参照用疑似ランダム系列P0と、信号用疑似ランダム系列P1と、信号用疑似ランダム系列P2とが時分割多重で割り当てられる。参照用疑似ランダム系列P0、信号用疑似ランダム系列P1及びP2の間や、参照用疑似ランダム系列P0、信号用疑似ランダム系列P1及びP2それぞれの前後に、バッファ系列が挿入されてもよい。
【0057】
図7は、第2の実施形態に係る光データ伝送システムにおける2シンボル一括型DCSK復調部43aの構成を示す。2シンボル一括型DCSK復調部43aは、信号系列抽出回路161及び162と、内積算出回路163a、163b、164a及び164bと、加算器165a及び165bとを有する。
【0058】
信号系列抽出回路161は、水平偏波の副信号から、参照用疑似ランダム系列P0と、信号用疑似ランダム系列P1及びP2とに対応する系列を抽出する。信号系列抽出回路162は、垂直偏波の副信号から、参照用疑似ランダム系列P0と、信号用疑似ランダム系列P1及びP2とに対応する系列を抽出する。
【0059】
内積算出回路163aは、水平偏波の信号から抽出された参照用疑似ランダム系列P0と信号用疑似ランダム系列P1との内積を算出することで、第1のシンボルを再生する。内積算出回路163bは、水平偏波の信号から抽出された参照用疑似ランダム系列P0と信号用疑似ランダム系列P2との内積を算出することで、第2のシンボルを再生する。同様に、内積算出回路164aは、垂直偏波の信号から抽出された参照用疑似ランダム系列P0と信号用疑似ランダム系列P1との内積を計算することで、第1のシンボルを再生する。内積算出回路164bは、垂直偏波の信号から抽出された参照用疑似ランダム系列P0と信号用疑似ランダム系列P2との内積を算出することで、第2のシンボルを再生する。
【0060】
加算器165aは、水平偏波の副信号に含まれる疑似ランダム系列P0,P1の内積から求められた第1のシンボルと、垂直偏波の副信号に含まれる疑似ランダム系列P0,P1の内積から求められた第1のシンボルとを加算する。加算器165bは、水平偏波の副信号に含まれる疑似ランダム系列P0,P2の内積から求められた第2のシンボルと、垂直偏波の副信号に含まれる疑似ランダム系列P0,P2の内積から求められた第2のシンボルとを加算する。それぞれの加算により、第1及び第2のシンボルがそれぞれ合成され、第1及び第2のシンボルの信頼性が向上する。
【0061】
第2の実施形態では、参照用疑似ランダム系列P0と信号用疑似ランダム系列P1との内積を算出することで、第1のシンボルが再生され、参照用疑似ランダム系列P0と信号用疑似ランダム系列P2との内積を算出することで、第2のシンボルが再生される。加算器165aからは、第1のシンボルの再生信号が出力され、加算器165bからは、第2のシンボルの再生信号が出力される。
【0062】
第2の実施形態における位相オフセット補償部44は、図7に示すように、第1のシンボルと第2のシンボルとに対する位相オフセット補償回路144a及び144bを独立に備える。位相オフセット補償回路144a及び144bは、第1の実施形態における位相オフセット補償部と同様に動作する。位相オフセット補償部44は、第1のシンボルと第2のシンボルとで協調して動作するように位相オフセット補償を行うようにしても良い。
【0063】
上述した実施形態における光送信機10又は光受信機30をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、主信号への悪影響を抑制するとともに、高い信頼性で主信号に制御用の信号を多重化することが必要な用途に適用できる。
【符号の説明】
【0065】
10…光送信機,11…送信側信号処理装置,12…電気光変換装置,13…光ファイバ伝送路,21…主信号生成部,26…DCSK変調部,27…主/副信号多重部,30…光受信機,31…光電気変換装置,32…受信側信号処理装置,41…主/副信号分離部,42…主信号復調部,43…DCSK復調部,44…位相オフセット補償部,51,52…疑似ランダム系列生成部,53,54…乗算器,55…X側時系列信号生成部,56…Y側時系列信号生成部,61,62…信号系列抽出部,63,64…内積算出部,65…加算器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7