特許第6626734号(P6626734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6626734基板処理装置、基板処理方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626734
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20191216BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20191216BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20191216BHJP
   B05D 1/40 20060101ALI20191216BHJP
   G03F 7/16 20060101ALI20191216BHJP
   G03F 7/30 20060101ALN20191216BHJP
【FI】
   B05C11/10
   B05C5/00 101
   B05D3/00 A
   B05D1/40 A
   B05D3/00 D
   G03F7/16 501
   !G03F7/30 501
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-31046(P2016-31046)
(22)【出願日】2016年2月22日
(65)【公開番号】特開2017-148690(P2017-148690A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】宮本 健一
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−030043(JP,A)
【文献】 特開平06−208948(JP,A)
【文献】 特開平06−250380(JP,A)
【文献】 特開平06−124887(JP,A)
【文献】 特開2004−128251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00−21/00
B05D 1/00−7/26
G03C 3/00
G03F 7/00−7/18
7/26−7/42
H01L21/027
21/30
21/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に形成された塗布膜のうち前記基板の周縁領域に位置する周縁部に有機溶剤を吐出可能に構成された第1及び第2の吐出ノズルを有する溶剤供給部と、
前記第1及び第2の吐出ノズルから吐出された有機溶剤及び前記塗布膜の溶解物を吸引可能に構成され、前記基板の周縁よりも外側に位置する吸引ノズルを有する吸引部と、
制御部とを備え、
前記第1の吐出ノズルの吐出口の開口面積は、前記第2の吐出ノズルの吐出口の開口面積よりも小さく、
前記制御部は、前記吸引部を制御して前記吸引ノズルを動作させつつ前記溶剤供給部を制御して、
前記塗布膜の前記周縁部において凸状に盛り上がった隆起部のうち頂部よりも内側に位置する内側裾野部に対して前記第1の吐出ノズルから有機溶剤を吐出させる第1の処理と、
前記第1の処理の後に、前記隆起部の前記頂部に対して前記第2の吐出ノズルから有機溶剤を吐出させる第2の処理とを実行する、基板処理装置。
【請求項2】
前記溶剤供給部は、前記塗布膜の前記周縁部に有機溶剤を吐出可能に構成された第3の吐出ノズルを更に有し、
前記第3の吐出ノズルは、前記第1及び第2の吐出ノズルよりも前記吸引ノズル寄りに位置し、
前記制御部は、前記吸引部を制御して吸引ノズルを動作させつつ前記溶剤供給部を制御して、前記第2の処理の後に、前記隆起部のうち前記頂部よりも外側に位置する外側裾野部に対して前記第3の吐出ノズルから有機溶剤を吐出させる第3の処理を更に実行する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板は矩形状を呈する角形基板である、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1又は第2の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の温度を調節可能に構成された温調部を更に備え、
前記制御部は、前記第1の処理において前記第1の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の温度が、前記第2の処理において前記第2の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の温度よりも高くなるように、前記温調部を制御する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の吐出ノズルは第1の有機溶剤を吐出可能であり、
前記第2の吐出ノズルは第2の有機溶剤を吐出可能であり、
前記第2の有機溶剤における前記塗布膜の構成成分に対する溶解性は、前記第1の有機溶剤における前記塗布膜の構成成分に対する溶解性よりも高い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の処理における前記第1の吐出ノズルからの吐出量が、前記第2の処理における第2の吐出ノズルからの吐出量よりも小さくなるように、前記溶剤供給部を制御する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板の表面に形成された塗布膜のうち前記基板の周縁領域に位置する周縁部に対して第1の吐出ノズルから有機溶剤を吐出しつつ、前記第1の吐出ノズルから吐出された有機溶剤及び前記塗布膜の溶解物を前記基板の周縁よりも外側に位置する吸引ノズルによって吸引する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記塗布膜の前記周縁部に対して第2の吐出ノズルから有機溶剤を吐出しつつ、前記第2の吐出ノズルから吐出された有機溶剤及び前記塗布膜の溶解物を前記吸引ノズルによって吸引する第2の工程とを含み、
前記第1の工程において前記第1の吐出ノズルから有機溶剤が吐出される位置は、前記塗布膜の前記周縁部において凸状に盛り上がった隆起部のうち頂部よりも内側に位置する内側裾野部であり、
前記第2の工程において前記第2の吐出ノズルから有機溶剤が吐出される位置は、前記隆起部の前記頂部であり、
前記第1の吐出ノズルの吐出口の開口面積は、前記第2の吐出ノズルの吐出口の開口面積よりも小さい、基板処理方法。
【請求項8】
前記第2の工程の後に、前記塗布膜の前記周縁部に対して第3の吐出ノズルから有機溶剤を吐出しつつ、前記第3の吐出ノズルから吐出された有機溶剤及び前記塗布膜の溶解物を前記吸引ノズルによって吸引する第3の工程を更に含み、
前記第3の吐出ノズルは、前記第1及び第2の吐出ノズルよりも前記吸引ノズル寄りに位置し、
前記第3の工程において前記第3の吐出ノズルから有機溶剤が吐出される位置は、前記隆起部のうち前記頂部よりも外側に位置する外側裾野部である、請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記基板は矩形状を呈する角形基板である、請求項7又は8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記第1の工程において前記第1の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の温度は、前記第2の工程において前記第2の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の温度よりも高い、請求項7〜9のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記第2の工程において前記第2の吐出ノズルから吐出される有機溶剤における前記塗布膜の構成成分に対する溶解性は、前記第1の工程において前記第1の吐出ノズルから吐出される有機溶剤における前記塗布膜の構成成分に対する溶解性よりも高い、請求項7〜10のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記第1の工程において前記第1の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の吐出量は、前記第2の工程において前記第2の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の吐出量よりも小さい、請求項7〜11のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項13】
請求項7〜12のいずれか一項に記載の基板処理方法を基板処理装置に実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、基板処理方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、基板(例えば、半導体ウエハ)を微細加工して半導体デバイスを製造するにあたり、フォトリソグラフィ技術を用いて凹凸パターンを基板に形成することが広く行われている。例えば、基板に凹凸パターンを形成する工程は、ウエハの表面にレジスト膜を形成することと、このレジスト膜を所定のパターンに沿って露光することと、露光後のレジスト膜を現像液で現像してレジストパターンを形成することと、レジストパターンを介して基板をエッチングすることを含む。
【0003】
ウエハの表面にレジスト膜を形成する際には、例えば、スピンコート法が採用されている。スピンコート法は、回転している基板の表面にレジスト液を吐出することで、遠心力によりレジスト液を拡散し、基板の全面にわたってレジスト液を塗布する方法である。しかしながら、スピンコート法では、基板の周縁領域において、凸状に盛り上がった隆起部(いわゆるハンプ)が生じてレジスト膜が厚くなりうる。ハンプが生ずると、レジスト膜の面内均一性が低下するので凹凸パターンの精度に影響を与えたり、基板の表面に残存したレジスト膜からパーティクルが発生して装置や後続の基板が汚染される場合がある。
【0004】
そこで、特許文献1は、レジスト膜のうち基板の周縁領域に位置する部分(レジスト膜の周縁部)をハンプと共に除去する薄膜除去装置を開示している。当該薄膜除去装置は、基板の周縁部に溶剤を供給すると共に溶剤によって溶解したレジスト膜等の溶解物を吸引する薄膜除去手段を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−198515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、凹凸パターンの更なる微細化を図り、半導体デバイスの電気回路の更なる高集積化が求められている。そのため、基板の周縁領域をもできる限り半導体デバイスとして利用するために、レジスト膜の周縁部をより高精度に除去し、周縁部が除去された後のレジスト膜の周縁がより高品質であることが望ましい。
【0007】
そこで、本開示は、基板の周縁部における塗布膜の除去を極めて良好な状態に行うことが可能な基板処理装置、基板処理方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一つの観点に係る基板処理装置は、基板の表面に形成された塗布膜のうち基板の周縁領域に位置する周縁部に有機溶剤を吐出可能に構成された第1及び第2の吐出ノズルを有する溶剤供給部と、第1及び第2の吐出ノズルから吐出された有機溶剤及び塗布膜の溶解物を吸引可能に構成され、基板の周縁よりも外側に位置する吸引ノズルを有する吸引部と、制御部とを備え、第1の吐出ノズルの吐出口の開口面積は、第2の吐出ノズルの吐出口の開口面積よりも小さく、制御部は、吸引部を制御して吸引ノズルを動作させつつ溶剤供給部を制御して、塗布膜の周縁部において凸状に盛り上がった隆起部のうち頂部よりも内側に位置する内側裾野部に対して第1の吐出ノズルから有機溶剤を吐出させる第1の処理と、第1の処理の後に、隆起部の頂部に対して第2の吐出ノズルから有機溶剤を吐出させる第2の処理とを実行する。
【0009】
本開示の一つの観点に係る基板処理装置では、制御部は、開口面積が第2の吐出ノズルよりも小さい第1の吐出ノズルから隆起部のうち頂部よりも内側に位置する内側裾野部に対して有機溶剤を吐出させる第1の処理を実行する。そのため、第1の処理では、内側裾野部に対して第1の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の吐出量(流量)が相対的に少ない。従って、有機溶剤の液圧によって塗布膜が変形して盛り上がり難いので、周縁部が除去された後の塗布膜の周縁にハンプが生じ難くなる。また、基板の内側に位置する塗布膜に有機溶剤が飛散し難いので、その後に形成されるレジストパターンに欠陥が生じ難くなる。一方、本開示の一つの観点に係る基板処理装置では、制御部は、第1の処理の後に、開口面積が第1の吐出ノズルよりも大きい第2の吐出ノズルから隆起部の頂部に対して有機溶剤を吐出させる第2の処理を実行する。そのため、第2の処理では、頂部に対して第2の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の吐出量(流量)が相対的に多い。従って、有機溶剤によって頂部が効率的に除去されるので、処理時間の短縮化が図られる。また、第1の処理において内側裾野部の少なくとも一部が除去された後に第2の処理において頂部の除去が行われるので、第2の処理において比較的高い液圧の有機溶剤によって塗布膜が変形しても、内側裾野部において塗布膜が盛り上がり難く、周縁部が除去された後の塗布膜の周縁にハンプが生じ難くなる。以上より、基板の周縁部における塗布膜の除去を極めて良好に行うことが可能となる。
【0010】
溶剤供給部は、塗布膜の周縁部に有機溶剤を吐出可能に構成された第3の吐出ノズルを更に有し、第3の吐出ノズルは、第1及び第2の吐出ノズルよりも吸引ノズル寄りに位置し、制御部は、吸引部を制御して吸引ノズルを動作させつつ溶剤供給部を制御して、第2の処理の後に、隆起部のうち頂部よりも外側に位置する外側裾野部に対して第3の吐出ノズルから有機溶剤を吐出させる第3の処理を更に実行してもよい。この場合、第3の吐出ノズルと吸引ノズルとの距離が比較的近くなるので、第3の吐出ノズルから吐出された有機溶剤を吸引ノズルによって吸引しやすくなる。そのため、基板の周縁近傍に塗布膜が残らないよう外側裾野部に向けてより多くの有機溶剤を第3の吐出ノズルから吐出しても、有機溶剤は、吸引ノズルで吸引され、基板の内側に位置する塗布膜に向けて流れ難い。従って、基板の周縁近傍から塗布膜をより確実に除去することができる。
【0011】
基板は矩形状を呈する角形基板であってもよい。
【0012】
本開示の一つの観点に係る基板処理装置は、第1又は第2の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の温度を調節可能に構成された温調部を更に備え、制御部は、第1の処理において第1の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の温度が、第2の処理において第2の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の温度よりも高くなるように、温調部を制御してもよい。この場合、第1の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の温度が比較的高いので、当該有機溶剤が内側裾野部における塗布膜と化学変化を生じ易い。そのため、内側裾野部が比較的速く溶解するので、周縁部が除去された後の塗布膜の周縁の形状が整い易くなる。
【0013】
第1の吐出ノズルは第1の有機溶剤を吐出可能であり、第2の吐出ノズルは第2の有機溶剤を吐出可能であり、第2の有機溶剤における塗布膜の構成成分に対する溶解性は、第1の有機溶剤における塗布膜の構成成分に対する溶解性よりも高くてもよい。この場合、第2の有機溶剤によって頂部がより効率的に除去されるので、処理時間の更なる短縮化が図られる。
【0014】
制御部は、第1の処理における第1の吐出ノズルからの吐出量が、第2の処理における第2の吐出ノズルからの吐出量よりも小さくなるように、溶剤供給部を制御してもよい。この場合、有機溶剤によって頂部がさらに効率的に除去されるので、処理時間のいっそうの短縮化が図られる。
【0015】
本開示の他の観点に係る基板処理方法は、基板の表面に形成された塗布膜のうち基板の周縁領域に位置する周縁部に対して第1の吐出ノズルから有機溶剤を吐出しつつ、第1の吐出ノズルから吐出された有機溶剤及び塗布膜の溶解物を基板の周縁よりも外側に位置する吸引ノズルによって吸引する第1の工程と、第1の工程の後に、塗布膜の周縁部に対して第2の吐出ノズルから有機溶剤を吐出しつつ、第2の吐出ノズルから吐出された有機溶剤及び塗布膜の溶解物を吸引ノズルによって吸引する第2の工程とを含み、第1の工程において第1の吐出ノズルから有機溶剤が吐出される位置は、塗布膜の周縁部において凸状に盛り上がった隆起部のうち頂部よりも内側に位置する内側裾野部であり、第2の工程において第2の吐出ノズルから有機溶剤が吐出される位置は、隆起部の頂部であり、第1の吐出ノズルの吐出口の開口面積は、第2の吐出ノズルの吐出口の開口面積よりも小さい。
【0016】
本開示の他の観点に係る基板処理方法では、第1の工程において、開口面積が第2の吐出ノズルよりも小さい第1の吐出ノズルから隆起部のうち頂部よりも内側に位置する内側裾野部に対して有機溶剤を吐出している。そのため、第1の工程では、内側裾野部に対して第1の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の吐出量(流量)が相対的に少ない。従って、有機溶剤の液圧によって塗布膜が変形して盛り上がり難いので、周縁部が除去された後の塗布膜の周縁にハンプが生じ難くなる。また、基板の内側に位置する塗布膜に有機溶剤が飛散し難いので、その後に形成されるレジストパターンに欠陥が生じ難くなる。一方、本開示の他の観点に係る基板処理方法では、第2の工程において、第1の工程の後に、開口面積が第1の吐出ノズルよりも大きい第2の吐出ノズルから隆起部の頂部に対して有機溶剤を吐出する。そのため、第2の工程では、頂部に対して第2の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の吐出量(流量)が相対的に多い。従って、有機溶剤によって頂部が効率的に除去されるので、処理時間の短縮化が図られる。また、第1の工程において内側裾野部の少なくとも一部が除去された後に第2の工程において頂部の除去が行われるので、第2の工程において比較的高い液圧の有機溶剤によって塗布膜が変形しても、内側裾野部において塗布膜が盛り上がり難く、周縁部が除去された後の塗布膜の周縁にハンプが生じ難くなる。以上より、基板の周縁部における塗布膜の除去を極めて良好に行うことが可能となる。
【0017】
本開示の他の観点に係る基板処理方法は、第2の工程の後に、塗布膜の周縁部に対して第3の吐出ノズルから有機溶剤を吐出しつつ、第3の吐出ノズルから吐出された有機溶剤及び塗布膜の溶解物を吸引ノズルによって吸引する第3の工程を更に含み、第3の吐出ノズルは、第1及び第2の吐出ノズルよりも吸引ノズル寄りに位置し、第3の工程において第3の吐出ノズルから有機溶剤が吐出される位置は、隆起部のうち頂部よりも外側に位置する外側裾野部であってもよい。この場合、第3の吐出ノズルと吸引ノズルとの距離が比較的近くなるので、第3の吐出ノズルから吐出された有機溶剤を吸引ノズルによって吸引しやすくなる。そのため、基板の周縁近傍に塗布膜が残らないよう外側裾野部に向けてより多くの有機溶剤を第3の吐出ノズルから吐出しても、有機溶剤は、吸引ノズルで吸引され、基板の内側に位置する塗布膜に向けて流れ難い。従って、基板の周縁近傍から塗布膜をより確実に除去することができる。
【0018】
基板は矩形状を呈する角形基板であってもよい。
【0019】
第1の工程において第1の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の温度は、第2の工程において第2の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の温度よりも高くてもよい。この場合、第1の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の温度が比較的高いので、当該有機溶剤が内側裾野部における塗布膜と化学変化を生じ易い。そのため、内側裾野部が比較的速く溶解するので、周縁部が除去された後の塗布膜の周縁の形状が整い易くなる。
【0020】
第2の工程において第2の吐出ノズルから吐出される有機溶剤における塗布膜の構成成分に対する溶解性は、第1の工程において第1の吐出ノズルから吐出される有機溶剤における塗布膜の構成成分に対する溶解性よりも高くてもよい。この場合、第2の有機溶剤によって頂部がより効率的に除去されるので、処理時間の更なる短縮化が図られる。
【0021】
第1の工程において第1の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の吐出量は、第2の工程において第2の吐出ノズルから吐出される有機溶剤の吐出量よりも小さくてもよい。この場合、有機溶剤によって頂部がさらに効率的に除去されるので、処理時間のいっそうの短縮化が図られる。
【0022】
本開示の他の観点に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記の基板処理方法を基板処理装置に実行させるためのプログラムを記録している。本開示の他の観点に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体では、上記の基板処理方法と同様に、塗布膜の周縁部の除去を極めて良好に行うことが可能となる。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な記録媒体には、一時的でない有形の媒体(non-transitory computer recording medium)(例えば、各種の主記憶装置又は補助記憶装置)や、伝播信号(transitory computer recording medium)(例えば、ネットワークを介して提供可能なデータ信号)が含まれる。
【発明の効果】
【0023】
本開示に係る基板処理装置、基板処理方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、基板の周縁部における塗布膜の除去を極めて良好に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、基板処理システムを示す斜視図である。
図2図2は、図1のII−II線断面図である。
図3図3は、処理モジュール(BCTモジュール、HMCTモジュール及びCOTモジュール)を示す上面図である。
図4図4は、塗布ユニットを示す模式図である。
図5図5は、塗布膜除去部を示す上面図である。
図6図6は、塗布膜除去部を示す斜視図である。
図7図7は、図5のVII−VII線断面図である。
図8図8は、図5のVIII部を拡大して示す上面図である。
図9図9は、塗布膜除去部のうち主として給排液治具を示す斜視図である。
図10図10は、主として給排液治具を側方から見た断面図である。
図11図11は、図10のXI−XI線断面図である。
図12図12は、有機溶剤の滴下試験の結果を示す図である。
図13図13は、基板処理システムの主要部を示すブロック図である。
図14図14は、コントローラのハードウェア構成を示す概略図である。
図15図15は、塗布膜の処理手順を説明するためのフローチャートである。
図16図16は、塗布膜の処理手順を説明するための模式図である。
図17図17(a)は本実施形態に係る給排液治具を用いて塗布膜を処理した場合のウエハ周縁近傍を示す断面図であり、図17(b)は従来の給排液治具を用いて塗布膜を処理した場合のウエハ周縁近傍を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0026】
[基板処理システム]
図1に示されるように、基板処理システム1(基板処理装置)は、塗布現像装置2(基板処理装置)と、露光装置3と、コントローラ10(制御部)とを備える。露光装置3は、ウエハW(基板)の表面Wa(図7等参照)に形成された感光性レジスト膜の露光処理(パターン露光)を行う。具体的には、液浸露光等の方法により感光性レジスト膜(感光性被膜)の露光対象部分に選択的にエネルギー線を照射する。エネルギー線としては、例えばArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、g線、i線、又は極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)が挙げられる。
【0027】
塗布現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、感光性レジスト膜又は非感光性レジスト膜をウエハWの表面Waに形成する処理を行う。塗布現像装置2は、露光装置3による感光性レジスト膜の露光処理後に、当該感光性レジスト膜の現像処理を行う。ウエハWは、円板状を呈してもよいし、円形の一部が切り欠かれていてもよいし、矩形、多角形など円形以外の形状を呈していてもよい。本実施形態では、ウエハWとして、矩形状を呈する角形基板を例にとって説明する。ウエハWは、例えば、半導体基板、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)基板その他の各種基板であってもよい。マスク基板は、例えば露光装置3のレチクルとして用いられる。ウエハWの直径は、例えば200mm〜450mm程度であってもよい。
【0028】
図1図3に示されるように、塗布現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インターフェースブロック6とを備える。キャリアブロック4、処理ブロック5及びインターフェースブロック6は、水平方向に並んでいる。
【0029】
キャリアブロック4は、図1及び図3に示されるように、キャリアステーション12と、搬入搬出部13とを有する。キャリアステーション12は複数のキャリア11を支持する。キャリア11は、少なくとも一つのウエハWを密封状態で収容する。キャリア11の側面11aには、ウエハWを出し入れするための開閉扉(図示せず)が設けられている。キャリア11は、側面11aが搬入搬出部13側に面するように、キャリアステーション12上に着脱自在に設置される。
【0030】
搬入搬出部13は、キャリアステーション12及び処理ブロック5の間に位置している。搬入搬出部13は、複数の開閉扉13aを有する。キャリアステーション12上にキャリア11が載置される際には、キャリア11の開閉扉が開閉扉13aに面した状態とされる。開閉扉13a及び側面11aの開閉扉を同時に開放することで、キャリア11内と搬入搬出部13内とが連通する。搬入搬出部13は、受け渡しアームA1を内蔵している。受け渡しアームA1は、キャリア11からウエハWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からウエハWを受け取ってキャリア11内に戻す。
【0031】
処理ブロック5は、図1及び図2に示されるように、処理モジュール14〜17を有する。処理モジュール14〜17は、床面側から処理モジュール17、処理モジュール14、処理モジュール15、処理モジュール16の順に並んでいる。処理モジュール14〜16は、図3に示されるように、塗布ユニットU1(基板処理装置)と、熱処理ユニットU2とを有する。処理モジュール17は、現像ユニット(図示せず)と、熱処理ユニットU2とを有する。
【0032】
塗布ユニットU1は、各種の塗布液をウエハWの表面Waに供給するように構成されている(詳しくは後述する。)。熱処理ユニットU2は、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。現像ユニットは、現像液をウエハWの表面Waに供給するように構成されている。
【0033】
処理モジュール14は、ウエハWの表面Wa上に下層膜を形成するように構成された下層膜形成モジュール(BCTモジュール)である。処理モジュール14は、各ユニットU1,U2にウエハWを搬送する搬送アームA2を内蔵している(図2参照)。処理モジュール14の塗布ユニットU1は、下層膜形成用の塗布液をウエハWの表面Waに塗布して塗布膜を形成する。処理モジュール14の熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させて下層膜とするための加熱処理が挙げられる。下層膜としては、例えば、反射防止(SiARC)膜が挙げられる。
【0034】
処理モジュール15は、下層膜上に中間膜を形成するように構成された中間膜(ハードマスク)形成モジュール(HMCTモジュール)である。処理モジュール15は、各ユニットU1,U2にウエハWを搬送する搬送アームA3を内蔵している(図2参照)。処理モジュール15の塗布ユニットU1は、中間膜形成用の塗布液を下層膜上に塗布して塗布膜を形成する。処理モジュール15の熱処理ユニットU2は、中間膜の形成に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させて中間膜とするための加熱処理が挙げられる。中間膜としては、例えば、SOC(Spin On Carbon)膜、アモルファスカーボン膜が挙げられる。
【0035】
処理モジュール16は、熱硬化性を有するレジスト膜を中間膜上に形成するように構成されたレジスト膜形成モジュール(COTモジュール)である。処理モジュール16は、各ユニットU1,U2にウエハWを搬送する搬送アームA4を内蔵している(図2参照)。処理モジュール16の塗布ユニットU1は、レジスト膜形成用の塗布液(レジスト液)を中間膜上に塗布して塗布膜を形成する。処理モジュール16の熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させてレジスト膜とするための加熱処理(PAB:Pre Applied Bake)が挙げられる。
【0036】
処理モジュール17は、露光されたレジスト膜の現像処理を行うように構成された現像処理モジュール(DEVモジュール)である。処理モジュール17は、現像ユニット及び熱処理ユニットU2にウエハWを搬送する搬送アームA5と、これらのユニットを経ずにウエハWを搬送する直接搬送アームA6とを内蔵している(図2参照)。処理モジュール17の現像ユニットは、露光後のレジスト膜に現像液を供給してレジスト膜を現像する。処理モジュール17の現像ユニットは、現像後のレジスト膜にリンス液を供給して、レジスト膜の溶解成分を現像液と共に洗い流す。これにより、レジスト膜が部分的に除去され、レジストパターンが形成される。処理モジュール16の熱処理ユニットU2は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0037】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には、図2及び図3に示されるように、棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、床面から処理モジュール15にわたって設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームA7が設けられている。昇降アームA7は、棚ユニットU10のセル同士の間でウエハWを昇降させる。
【0038】
処理ブロック5内におけるインターフェースブロック6側には、棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は床面から処理モジュール17の上部にわたって設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0039】
インターフェースブロック6は、受け渡しアームA8を内蔵しており、露光装置3に接続される。受け渡しアームA8は、棚ユニットU11のウエハWを取り出して露光装置3に渡し、露光装置3からウエハWを受け取って棚ユニットU11に戻すように構成されている。
【0040】
コントローラ10は、基板処理システム1を部分的又は全体的に制御する。コントローラ10の詳細については後述する。
【0041】
[塗布ユニットの構成]
続いて、図4図11を参照して、塗布ユニットU1についてさらに詳しく説明する。以下では、BCTモジュール、HMCTモジュール及びCOTモジュールの塗布ユニットU1でそれぞれ形成される下層膜、中間膜及びレジスト膜をまとめて「塗布膜R」(図7等参照)と称する。
【0042】
塗布ユニットU1は、図4に示されるように、筐体100と、塗布膜形成部200と、塗布膜除去部300とを備える。筐体100内には、塗布膜形成部200と塗布膜除去部300とが筐体100の底壁100a上において隣り合うように配置されている。筐体100内には、塗布膜形成部200と塗布膜除去部300とが並ぶ方向に沿って延びる一対の搬送レール101が底壁100a上に設けられている。各搬送レール101にはそれぞれ、搬送アーム102が取り付けられている。搬送アーム102は、搬送レール101に沿って移動可能であり、塗布膜形成部200と塗布膜除去部300との間でウエハWを搬送可能に構成されている。
【0043】
塗布膜形成部200は、回転カップ201と、スピンチャック202と、ノズル203とを有する。回転カップ201は、図示しない電動モータ等の駆動源によって回転駆動される。回転カップ201は、ウエハWよりも大きく、ウエハWの周囲を取り囲むことができる。スピンチャック202は、例えば吸着等によりウエハWを略水平に保持する保持部と、例えば電動モータ等を動力源として保持部を回転させる回転部とを含む。スピンチャック202は、ウエハWの姿勢が略水平の状態で、ウエハWの表面Waに対して垂直な軸(回転軸)周りでウエハWを回転させる。
【0044】
ノズル203は、図示しない駆動部によって水平方向及び上下方向に移動可能に構成されている。ノズル203は、図示しない液源から塗布液をウエハWの表面Waに供給するように構成されている。処理モジュール14〜16において、塗布液は、下層膜、中間膜又はレジスト膜を形成するための各種液である。
【0045】
塗布膜形成部200においては、スピンチャック202の保持部に保持されたウエハWの表面Waの上方にノズル203を移動させる工程と、ウエハWの表面Waにノズル203から塗布液を供給する工程と、スピンチャック202を高速で回転させる工程とが実行される。これにより、塗布液に遠心力が作用してウエハWの表面Waの全体に塗布膜が形成される。なお、スピンチャック202の回転時には、回転カップ201も共に高速で回転される。これにより、塗布液中に含まれる溶剤の揮発とウエハWの周囲における乱気流の発生とが抑制される。
【0046】
塗布膜除去部300は、図4及び図5に示されるように、保持部310と、助走部320と、給排液部330とを有する。保持部310は、図5図7に示されるように、支持ステージ311と、回転部312と、昇降部313とを含む。
【0047】
支持ステージ311は、中心部311aと、4本の腕部311bと、外枠部311cとで構成されている。中心部311aは、矩形状を呈する。各腕部311bは、矩形状を呈し、各角部から外方に向けて放射状に延びる。外枠部311cは、各腕部311bの先端同士を連結して全体として矩形状を呈している。外枠部311cの各角部は、面取り(例えば45°面取り)されている。外枠部311cの各角部には、支持ピン311d及び位置決めピン311eが突設されている。支持ピン311dは、支持ステージ311との間に僅かな隙間をもって、ウエハWの姿勢が略水平の状態でウエハWを支持する。位置決めピン311eは、ウエハWの側縁における端面と当接又は近接し、ウエハWが支持ステージ311に対して位置ずれしないように支持ステージ311の面内における移動を規制する。
【0048】
回転部312は、上方に突出したシャフト314を有する。回転部312は、例えば電動モータ等を動力源としてシャフト314を回転させる。シャフト314の先端は、支持ステージ311の中心部311aに接続されている。そのため、回転部312が動作すると、支持ステージ311上において略水平の姿勢で支持されたウエハWは、シャフト314の軸周り(ウエハWの表面Waに対して垂直な軸周り)で回転される。本実施形態において、シャフト314の軸は、ウエハWの略中心を通っているので、中心軸でもある。
【0049】
昇降部313は、回転部312の下方において回転部312に接続されている。昇降部313は、回転部312及びシャフト314を介して支持ステージ311を鉛直方向に沿って昇降させる。
【0050】
助走部320は、図5図7に示されるように、4本の支持棒321と、4つの載置台322と、2つの助走ステージ323とを有する。各支持棒321は、底壁100a上に立設されている。保持部310を間において支持棒321が2本ずつ位置している。
【0051】
各載置台322はそれぞれ、各支持棒321の先端に設けられている。載置台322のうち保持部310側の上面には、薄板322aと、位置決めピン322bとが設けられている。薄板322aは、載置台322の上面との間に僅かな隙間(例えば0.2mm程度)をもって、ウエハWの姿勢が略水平の状態でウエハWを支持する。位置決めピン322bは、ウエハWの側縁における端面と当接又は近接し、ウエハWが助走ステージ323に対して位置ずれしないように助走ステージ323の面内における移動を規制する。
【0052】
一の助走ステージ323は、保持部310の一方側に位置する2つの載置台322に接続されている。他の助走ステージ323は、保持部310の他方側に位置する2つの載置台に接続されている。各助走ステージ323は、所定の方向に沿って略平行に延びている。各助走ステージ323の上面は、載置台322に載置されたウエハWの表面Waと略同一平面となるように設定されている。各助走ステージ323の内側面とウエハWの端面との隙間は、1.0mm以下となるように設定されている。
【0053】
図5図6及び図9に示されるように、ウエハWの角部Wbが面取りされている場合には、各助走ステージ323の内側面における端部に、ウエハWの角部Wbと対応する形状の突起部323aが設けられていてもよい。これにより、ウエハWの角部Wbについても、各助走ステージ323の内側面とウエハWの端面との隙間を一定に保つことができる。
【0054】
助走ステージ323の表面には、撥水性の被膜が形成されていてもよい。この場合、塗布膜Rを形成するための塗布液及び塗布膜Rを除去するための有機溶剤が助走ステージ323に付着し難くなる。そのため、有機溶剤が乾燥してパーティクルが発生することを抑制できる。
【0055】
給排液部330は、給排液治具331と、ガス供給部332と、溶剤供給部333〜335と、吸引部336と、駆動部337とを有する。給排液治具331は、図9及び図10に示されるように、ウエハWの周縁領域Wcを覆う略U字形状を呈する。給排液治具331は、側壁部331aと、側壁部331aの両端からそれぞれ同じ方向に突出して延びる天壁部331b及び底壁部331cとで構成されている。給排液治具331の大きさはウエハWの厚さに応じて適宜設定してよいが、ウエハWと各壁部331a〜331cとの間に僅かな隙間(例えば1mm程度)が設けられていてもよい。給排液治具331の先端側及び側端側は開放されている。
【0056】
天壁部331bには、図10及び図11に示されるように、ガス供給部332の配管332d(後述する)と流体的に接続される複数のノズル孔331dが設けられている。天壁部331bには、溶剤供給部333の配管333d(後述する)と流体的に接続される一対のノズル孔331e(第2の吐出ノズル)が設けられている。天壁部331bには、後述する溶剤供給部334の配管334d(後述する)と流体的に接続されるノズル孔331f(第1の吐出ノズル)が設けられている。天壁部331bには、溶剤供給部335の配管335d(後述する)と流体的に接続されるノズル孔331g(第3の吐出ノズル)が設けられている。
【0057】
ノズル孔331d〜331gはそれぞれ、各壁部331a〜331cで囲まれる空間V(図9及び図10参照)と天壁部331bの外表面との間を延びるように天壁部331bを貫通している。ノズル孔331dの下端部は、空間Vに向かうにつれて側壁部331a側に向かうように傾斜している。ノズル孔331e〜331gはいずれも、鉛直方向に沿って延びている。
【0058】
図11に示されるように、ノズル孔331fの開口面積は、ノズル孔331eの開口面積よりも小さくてもよい。ノズル孔331fの開口面積は、ノズル孔331gの開口面積よりも小さくてもよい。ノズル孔331eの直径は、例えば70μm〜100μm程度であってもよい。ノズル孔331fの直径は、例えば50μm〜70μm程度であってもよい。ノズル孔331gの直径は、例えば70μm〜100μm程度であってもよい。
【0059】
図11に示されるように、複数のノズル孔331dは、天壁部331bの先端寄りに位置している。複数のノズル孔331dは、一対の助走ステージ323の対向方向(各助走ステージ323の延在方向に略直交する方向)であるY方向(図6参照)に沿って一列に並んでいる。一対のノズル孔331e及びノズル孔331fは、複数のノズル孔331dよりも側壁部331a寄りに位置している。一対のノズル孔331e及びノズル孔331fは、Y方向(図6参照)に沿って一列に並んでいる。ノズル孔331f及びノズル孔331gは、各助走ステージ323の延在方向であるX方向(図6参照)に沿って一列に並んでいる。ノズル孔331gは、一対のノズル孔331e及びノズル孔331fよりも側壁部331a寄りに位置している。
【0060】
側壁部331aには、後述する吸引部336の配管336c(後述する)と流体的に接続されるノズル孔331h(吸引ノズル)が設けられている。ノズル孔331hは、水平方向に沿って延びている。
【0061】
ガス供給部332は、図9及び図10に示されるように、ガス源332aと、ポンプ332bと、バルブ332cと、配管332dとを有する。ガス源332aは、不活性ガス(例えばNガス)の供給源として機能する。ポンプ332bは、ガス源332aから不活性ガスを吸引し、バルブ332c及び配管332dを介して給排液治具331のノズル孔331dに送り出す。そのため、ノズル孔331dは、ポンプ332bから送り出された不活性ガスをウエハWの表面Waのうち周縁領域Wcに供給可能である。ノズル孔331dから供給される不活性ガスは、有機溶剤が空間Vの外に漏出することを抑制する機能を有する。配管332dは、上流側から順に、ガス源332a、ポンプ332b、バルブ332c及びノズル孔331dを接続している。
【0062】
溶剤供給部333は、図9に示されるように、液源333aと、ポンプ333bと、バルブ333cと、配管333dと、温調部333eを有する。液源333aは、有機溶剤L1(第2の有機溶剤)の供給源として機能する。ポンプ333bは、液源333aから有機溶剤L1を吸引し、バルブ333c及び配管333dを介して給排液治具331の一対のノズル孔331eにそれぞれ送り出す。そのため、ノズル孔331eは、ポンプ333bから送り出された有機溶剤L1をウエハWの表面Waのうち周縁領域Wcに吐出可能である。配管333dは、上流側から順に、液源333a、ポンプ333b、バルブ333c及び一対のノズル孔331eを接続している。温調部333eは、配管333dを流通する有機溶剤L1を所定の温度に調節可能に構成されている。温調部333eとしては、例えば熱交換器、ヒータ等を用いてもよい。
【0063】
溶剤供給部334は、図9及び図10に示されるように、液源334aと、ポンプ334bと、バルブ334cと、配管334dと、温調部334eを有する。液源334aは、有機溶剤L2(第1の有機溶剤)の供給源として機能する。ポンプ334bは、液源334aから有機溶剤L2を吸引し、バルブ334c及び配管334dを介して給排液治具331のノズル孔331fにそれぞれ送り出す。そのため、ノズル孔331fは、ポンプ334bから送り出された有機溶剤L2をウエハWの表面Waのうち周縁領域Wcに吐出可能である。配管334dは、上流側から順に、液源334a、ポンプ334b、バルブ334c及びノズル孔331fを接続している。温調部334eは、配管334dを流通する有機溶剤L2を所定の温度に調節可能に構成されている。温調部334eとしては、例えば熱交換器、ヒータ等を用いてもよい。
【0064】
溶剤供給部335は、図9及び図10に示されるように、液源335aと、ポンプ335bと、バルブ335cと、配管335dと、温調部335eを有する。液源335aは、有機溶剤L3の供給源として機能する。ポンプ335bは、液源335aから有機溶剤L3を吸引し、バルブ335c及び配管335dを介して給排液治具331のノズル孔331gにそれぞれ送り出す。そのため、ノズル孔331gは、ポンプ335bから送り出された有機溶剤L3をウエハWの表面Waのうち周縁領域Wcに吐出可能である。配管335dは、上流側から順に、液源335a、ポンプ335b、バルブ335c及びノズル孔331gを接続している。温調部335eは、配管335dを流通する有機溶剤L3を所定の温度に調節可能に構成されている。温調部335eとしては、例えば熱交換器、ヒータ等を用いてもよい。
【0065】
吸引部336は、図9及び図10に示されるように、ポンプ336aと、バルブ336bと、配管336cとを有する。ポンプ336aは、ノズル孔331hを介して空間V内の液体(有機溶剤L1〜L3と、有機溶剤L1〜L3によって溶解した塗布膜Rの溶解物)を吸引し、バルブ336b及び配管336cを介して空間Vの外部(給排液治具331の外部)に排出する。配管336cは、上流側から順に、ノズル孔331h、バルブ336b及びポンプ336aを接続している。
【0066】
有機溶剤L1〜L3としては、各種のシンナーを用いることができるが、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)70質量%及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)30質量%が混合されたシンナー(OK73シンナー:東京応化工業株式会社製)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)70質量%及びシクロヘキサノン(CHN)30質量%が混合されたシンナー(JSR株式会社製)、α−ブチロラクトン95質量%及びアニソール5質量%が混合されたシンナー、シクロヘキサノン、アセトン、C−260(Merck KGaA社製)、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0067】
有機溶剤L1〜L3は、いずれも同じであってもよいし、異なっていてもよい。有機溶剤L1〜L3が異なっている場合、有機溶剤L1における塗布膜Rの構成成分に対する溶解性は、有機溶剤L2における塗布膜Rの構成成分に対する溶解性よりも高くてもよい。有機溶剤L3における塗布膜Rの構成成分に対する溶解性は、有機溶剤L2における塗布膜Rの構成成分に対する溶解性よりも高くてもよい。有機溶剤の溶解性は、ウエハWの表面Waに形成された塗布膜Rに対して実際に有機溶剤を滴下する滴下試験を実施し、塗布膜の溶解のしやすさ(塗布膜の単位時間あたりの溶解量を示す溶解度)に基づいて評価してもよい。あるいは、有機溶剤の溶解性は、上記の溶解度に加えて、有機溶剤の染み込みやすさ(有機溶剤が塗布膜を溶解したときの端面が滑らかか否か)及び有機溶剤の広がりやすさ(有機溶剤が塗布膜を溶解したときの溶解面積)を総合的に考慮して評価してもよい。
【0068】
ここで、以下の3つの有機溶剤A,B,Cを例にとって、滴下試験及び溶解性の評価手
法の概要を説明する。
有機溶剤A:シクロヘキサノンとノルマルブチルとが所定割合で混合されたシン
ナー
有機溶剤B:シクロヘキサノン
有機溶剤C:PGMEとOK73シンナーとが所定割合で混合されたシンナー
【0069】
具体的には、まず、ウエハWの表面Waに塗布液(非感光性ポリイミド溶液)を供給し、ウエハWの表面Waに塗布膜(非感光性ポリイミド膜)を形成した。塗布膜の厚さは60μmであった。次に、塗布膜(加熱による固化前の未固化膜)のうちそれぞれ異なる箇所に、有機溶剤A,B,Cをそれぞれ1滴(10ml)ずつ滴下した。その後、塗布膜の構成成分に対する溶解度、染み込みやすさ、広がりやすさをそれぞれ観察した。なお、図12(a)は有機溶剤Aを塗布膜に滴下した後の様子を示す模式図であり、図12(b)は有機溶剤Bを塗布膜に滴下した後の様子を示す模式図であり、図12(c)は有機溶剤Cを塗布膜に滴下した後の様子を示す模式図である。
【0070】
以上の滴下試験の結果、有機溶剤Aは直ちに塗布膜を溶解したのに対し、有機溶剤Cは塗布膜を溶解するのに時間を要した。そのため、塗布膜の構成成分に対する溶解度は、有機溶剤A、有機溶剤B、有機溶剤Cの順に大きかった(溶解度:有機溶剤A>有機溶剤B>有機溶剤C)。有機溶剤Bが塗布膜を溶解したときの端面は極めて滑らかであったのに対し(図12(b)参照)、有機溶剤Bが塗布膜を溶解したときの端面には多数の凹凸が生じた(図12(c)参照)。そのため、塗布膜の構成成分に対する染み込みやすさは、有機溶剤C、有機溶剤A、有機溶剤Bの順に高かった(染み込みやすさ:有機溶剤C>有機溶剤A>有機溶剤B)。有機溶剤Aを滴下したときに塗布膜に生じた穴の径は約52.2mmであり(図12(a)参照)、有機溶剤Bを滴下したときに塗布膜に生じた穴の径は約27.4mmであり(図12(b)参照)、有機溶剤Cを滴下したときに塗布膜に生じた穴の径は約42.4mmであった(図12(c)参照)。そのため、塗布膜の構成成分に対する広がりやすさは、有機溶剤A、有機溶剤C、有機溶剤Bの順に高かった(広がりやすさ:有機溶剤A>有機溶剤C>有機溶剤B)。以上より、溶解度のみの観点からは、塗布膜の構成成分に対する溶解性は、有機溶剤Aが最も高く、有機溶剤Cが最も低かった。一方、塗布膜の構成成分に対する溶解度、染み込みやすさ及び広がりやすさを総合的に考慮すると、塗布膜の構成成分に対する溶解性は、有機溶剤Bが最も高く、有機溶剤Cが最も低かった。
【0071】
駆動部337は、給排液治具331をウエハWの側縁及び助走ステージ323の側縁に沿って水平方向に移動させるように構成されている。駆動部337は、ボールねじ337aと、ナット部材337bと、回転部337cと、アクチュエータ337dとを含む。ボールねじ337aは、ウエハWの側縁及び助走ステージ323の側縁に沿って水平に延びている。換言すれば、ボールねじ337aは、Y方向(図6参照)に沿って水平に延びている。
【0072】
ナット部材337bは、ボールねじ337aと螺合しており、ボールねじ337aの回転に伴いボールねじ337aの延在方向に移動する。ナット部材337bには、給排液治具331が取り付けられている。回転部337cは、例えば電動モータ等を動力源としてボールねじ337aを回転させる。従って、回転部337cがボールねじ337aを回転駆動させると、ナット部材337bを介して給排液治具331が一方の助走ステージ323と他方の助走ステージ323との間で水平に移動する。なお、ボールねじ337a及びナット部材337bに代えて、ステッピングモータ及びタイミングベルトによって構成されていてもよい。アクチュエータ337dは、ボールねじ337a、ナット部材337b及び回転部337cをX方向(図6参照)に移動させるように構成されている。
【0073】
[コントローラの構成]
コントローラ10は、図13に示されるように、機能モジュールとして、読取部M1と、記憶部M2と、処理部M3と、指示部M4とを有する。これらの機能モジュールは、コントローラ10の機能を便宜上複数のモジュールに区切ったものに過ぎず、コントローラ10を構成するハードウェアがこのようなモジュールに分かれていることを必ずしも意味するものではない。各機能モジュールは、プログラムの実行により実現されるものに限られず、専用の電気回路(例えば論理回路)、又は、これを集積した集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)により実現されるものであってもよい。
【0074】
読取部M1は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体RMからプログラムを読み取る。記録媒体RMは、基板処理システム1の各部を動作させるためのプログラムを記録している。記録媒体RMとしては、例えば、半導体メモリ、光記録ディスク、磁気記録ディスク、光磁気記録ディスクであってもよい。
【0075】
記憶部M2は、種々のデータを記憶する。記憶部M2は、例えば、読取部M1において記録媒体RMから読み出したプログラムの他、ウエハWに塗布液及び有機溶剤L1〜L3を供給する際の各種データ(いわゆる処理レシピ)、外部入力装置(図示せず)を介してオペレータから入力された設定データ等を記憶する。
【0076】
処理部M3は、各種データを処理する。処理部M3は、例えば、記憶部M2に記憶されている各種データに基づいて、塗布ユニットU1(例えば、回転カップ201、スピンチャック202、ノズル203、回転部312、昇降部313、ガス供給部332、溶剤供給部333〜335、吸引部336、駆動部337等)及び熱処理ユニットU2を動作させるための動作信号を生成する。
【0077】
指示部M4は、処理部M3において生成された動作信号を各種装置に送信する。
【0078】
コントローラ10のハードウェアは、例えば一つ又は複数の制御用のコンピュータにより構成される。コントローラ10は、ハードウェア上の構成として、例えば図14に示される回路10Aを有する。回路10Aは、電気回路要素(circuitry)で構成されていてもよい。回路10Aは、具体的には、プロセッサ10Bと、メモリ10C(記憶部)と、ストレージ10D(記憶部)と、ドライバ10Eと、入出力ポート10Fとを有する。プロセッサ10Bは、メモリ10C及びストレージ10Dの少なくとも一方と協働してプログラムを実行し、入出力ポート10Fを介した信号の入出力を実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。メモリ10C及びストレージ10Dは、記憶部M2として機能する。ドライバ10Eは、基板処理システム1の各種装置をそれぞれ駆動する回路である。入出力ポート10Fは、ドライバ10Eと基板処理システム1の各種装置(例えば、回転カップ201、スピンチャック202、ノズル203、回転部312、昇降部313、ポンプ333b,334b,335b,336a、バルブ333c,334c,335c,336b、回転部337c、アクチュエータ337d、熱処理ユニットU2等)との間で、信号の入出力を行う。
【0079】
本実施形態では、基板処理システム1は、一つのコントローラ10を備えているが、複数のコントローラ10で構成されるコントローラ群(制御部)を備えていてもよい。基板処理システム1がコントローラ群を備えている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコントローラ10によって実現されていてもよいし、2個以上のコントローラ10の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラ10が複数のコンピュータ(回路10A)で構成されている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコンピュータ(回路10A)によって実現されていてもよいし、2つ以上のコンピュータ(回路10A)の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラ10は、複数のプロセッサ10Bを有していてもよい。この場合、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのプロセッサ10Bによって実現されていてもよいし、2つ以上のプロセッサ10Bの組み合わせによって実現されていてもよい。
【0080】
[ウエハ処理方法]
続いて、図15を参照して、塗布ユニットU1によるウエハWの処理方法について説明する。
【0081】
まず、コントローラ10は、基板処理システム1の各部を制御して、ウエハWをキャリア11から塗布ユニットU1に搬送する。次に、コントローラ10は、回転カップ201及びスピンチャック202を制御して、ウエハWをスピンチャック202に保持させると共に、所定の回転数で回転カップ201及びスピンチャック202を回転させる。この状態で、コントローラ10は、ノズル203(より詳しくはノズル203を駆動する駆動部)を制御して、ウエハWの表面Waに対して塗布液をノズル203から吐出し、ウエハWの表面Waに塗布膜Rを形成する(図15のステップS11参照)。このとき、図16(b)に示されるように、塗布膜Rの周縁部R1において、凸状に盛り上がった隆起部R2(いわゆるハンプ)が生ずる。そのため、隆起部R2は、頂部R2aと、頂部R2aよりも内側に位置する内側裾野部R2bと、頂部R2aよりも外側に位置する外側裾野部R2cとを有する。
【0082】
次に、コントローラ10は、搬送アーム102を制御して、ウエハWを塗布膜形成部200から塗布膜除去部300に搬送する。具体的には、コントローラ10は、昇降部313を制御して、支持ステージ311にウエハWが載置された後に支持ステージ311を下降させる。これにより、ウエハWが各載置台322の薄板322aに載置される。このとき、ノズル孔331fが塗布膜Rの周縁部R1のうち内側裾野部R2bに対向した状態となる。
【0083】
この状態で、コントローラ10は、回転部337cを制御してボールねじ337aを回転させて、給排液治具331を一方の助走ステージ323と他方の助走ステージ323との間で水平に移動させる。ノズル孔331fのウエハWに対する位置は、例えばウエハWの周縁から内側に2mm程度の位置であってもよい。給排液治具331の移動速度は、例えば40mm/sec程度であってもよい。給排液治具331が一対の助走ステージ323間を往復する回数としては、例えば1回であってもよい。
【0084】
このとき同時に、コントローラ10は、ポンプ332b,334b,336a、バルブ332c,334c,336b及び温調部334eを制御して、ノズル孔331dからの不活性ガスの供給と、ノズル孔331fからの有機溶剤L2の吐出(図16(a)参照)と、有機溶剤L2の温度調節とを行う。このときの有機溶剤L2の温度は、例えば、25℃〜35℃程度の範囲で設定されてもよく、33℃程度であってもよい。これにより、ノズル孔331fから内側裾野部R2bに向けて有機溶剤L2が吐出される(図15のステップS2、図16(a)及び図16(b)参照)。その結果、内側裾野部R2bが溶解する(図16(d)参照)。
【0085】
次に、コントローラ10は、アクチュエータ337dを制御して、給排液治具331をウエハWから離れる側に移動させる。このとき、ノズル孔331fが塗布膜Rの周縁部R1のうち内側裾野部R2bに対向した状態となる。この状態で、コントローラ10は、回転部337cを制御してボールねじ337aを回転させて、給排液治具331を一方の助走ステージ323と他方の助走ステージ323との間で水平に移動させる。ノズル孔331fのウエハWに対する位置は、例えばウエハWの周縁から内側に1.80mm程度の位置であってもよい。給排液治具331の移動速度は、例えば40mm/sec程度であってもよい。給排液治具331が一対の助走ステージ323間を往復する回数としては、例えば3回であってもよい。
【0086】
このとき同時に、コントローラ10は、ポンプ332b,334b,336a、バルブ332c,334c,336b及び温調部334eを制御して、ノズル孔331dからの不活性ガスの供給と、ノズル孔331fからの有機溶剤L2の吐出(図16(c)参照)と、有機溶剤L2の温度調節とを行う。このときの有機溶剤L2の温度は、例えば、25℃〜35℃程度の範囲で設定されてもよく、33℃程度であってもよい。これにより、ノズル孔331fから内側裾野部R2bに向けて有機溶剤L2が吐出される(図15のステップS2、図16(c)及び図16(d)参照)。その結果、内側裾野部R2bがさらに溶解する(図16(f)参照)。
【0087】
次に、コントローラ10は、アクチュエータ337dを制御して、給排液治具331をウエハWから離れる側に移動させる。これにより、一対のノズル孔331eが塗布膜Rの周縁部R1のうち頂部R2aに対向した状態となる。この状態で、コントローラ10は、回転部337cを制御してボールねじ337aを回転させて、給排液治具331を一方の助走ステージ323と他方の助走ステージ323との間で水平に移動させる。各ノズル孔331eのウエハWに対する位置は、例えばウエハWの周縁から内側に1.65mm程度の位置であってもよい。給排液治具331の移動速度は、例えば40mm/sec程度であってもよい。給排液治具331が一対の助走ステージ323間を往復する回数としては、例えば25回であってもよい。
【0088】
このとき同時に、コントローラ10は、ポンプ332b,333b,336a、バルブ332c,333c,336b及び温調部333eを制御して、ノズル孔331dからの不活性ガスの供給と、一対のノズル孔331eからの有機溶剤L1の吐出(図16(e)参照)と、有機溶剤L1の温度調節とを行う。このときの有機溶剤L1の温度は、ステップS12における有機溶剤L2の温度よりも低くてもよい。有機溶剤L1の温度は、例えば、20℃〜30℃程度の範囲で設定されてもよく、25℃程度であってもよい。これにより、一対のノズル孔331eから頂部R2aに向けて有機溶剤L1が吐出される(図15のステップS3、図16(e)及び図16(f)参照)。その結果、頂部R2aの大部分がさらに溶解する(図16(h)参照)。
【0089】
次に、コントローラ10は、アクチュエータ337dを制御して、給排液治具331をウエハWから離れる側に移動させる。これにより、ノズル孔331gが塗布膜Rの周縁部R1のうち外側裾野部R2cに対向した状態となる。この状態で、コントローラ10は、回転部337cを制御してボールねじ337aを回転させて、給排液治具331を一方の助走ステージ323と他方の助走ステージ323との間で水平に移動させる。ノズル孔331gのウエハWに対する位置は、例えばウエハWの周縁から内側に1.00mm程度の位置であってもよい。給排液治具331の移動速度は、例えば40mm/sec程度であってもよい。給排液治具331が一対の助走ステージ323間を往復する回数としては、例えば25回であってもよい。
【0090】
このとき同時に、コントローラ10は、ポンプ332b,335b,336a、バルブ332c,335c,336b及び温調部335eを制御して、ノズル孔331dからの不活性ガスの供給と、ノズル孔331gからの有機溶剤L3の吐出(図16(g)参照)と、有機溶剤L3の温度調節とを行う。このときの有機溶剤L3の温度は、ステップS12における有機溶剤L2の温度よりも低くてもよい。有機溶剤L3の温度は、例えば20℃〜30℃程度の範囲で設定されてもよく、22℃程度であってもよい。。これにより、ノズル孔331gから外側裾野部R2cに向けて有機溶剤L3が吐出される(図15のステップS4、図16(g)及び図16(h)参照)。その結果、周縁部R1が除去された後の塗布膜Rの周縁にハンプがあまり生ずることなく、ウエハWの周縁領域Wcから塗布膜Rがほとんど残らない状態で、ウエハWの処理が完了する(図17(a)参照)。なお、一対のノズル孔331eを用いて他のノズル孔331f,331gを用いずに塗布膜Rの周縁部R1を有機溶剤L1で除去すると、周縁部R1が除去された後の塗布膜Rの周縁に比較的大きなハンプが生ずる傾向にある(図17(b)参照)。
【0091】
[作用]
以上のような本実施形態では、開口面積がノズル孔331eよりも小さいノズル孔331fから内側裾野部R2bに対して有機溶剤L2を吐出している(ステップS12)。そのため、内側裾野部R2bに対してノズル孔331fから吐出される有機溶剤L2の吐出量(流量)が相対的に少ない。従って、有機溶剤L2の液圧によって塗布膜Rが変形して盛り上がり難いので、周縁部R1が除去された後の塗布膜Rの周縁にハンプが生じ難くなる。また、塗布膜RのうちウエハWの内側に位置する部分に有機溶剤L2が飛散し難いので、その後に形成されるレジストパターンに欠陥が生じ難くなる。
【0092】
本実施形態では、ノズル孔331fから有機溶剤L2を吐出した後(ステップS12の後)に、開口面積がノズル孔331fよりも大きい一対のノズル孔331eから頂部R2aに対して有機溶剤L1を吐出している(ステップS13)。そのため、頂部R2aに対して一対のノズル孔331eから吐出される有機溶剤L1の吐出量(流量)が相対的に多い。従って、有機溶剤L1によって頂部R2aが効率的に除去されるので、処理時間の短縮化が図られる。また、ステップS12において内側裾野部R2bの少なくとも一部が除去された後にステップS13において頂部R2aの除去が行われるので、ステップS13において比較的高い液圧の有機溶剤L1によって塗布膜Rが変形しても、内側裾野部R2bにおいて塗布膜Rが盛り上がり難く、周縁部R1が除去された後の塗布膜Rの周縁にハンプが生じ難くなる。以上より、塗布膜Rの周縁部R1の除去を極めて良好に行うことが可能となる。
【0093】
本実施形態では、ステップS13の後に、外側裾野部R2cに対してノズル孔331gから有機溶剤L3を吐出している。そのため、ノズル孔331gとノズル孔331hとの距離が比較的近くなるので、ノズル孔331gから吐出された有機溶剤L3をノズル孔331hから吸引しやすくなる。従って、ウエハWの周縁近傍に塗布膜Rが残らないよう外側裾野部R2cに向けてより多くの有機溶剤L3をノズル孔331gから吐出しても、有機溶剤L3は、ノズル孔331hで吸引され、塗布膜RのうちウエハWの内側に位置する部分に向けて流れ難い。その結果、ウエハWの周縁近傍から塗布膜Rをより確実に除去することができる。
【0094】
本実施形態では、ステップS12においてノズル孔331fから吐出される有機溶剤L2の温度が、ステップS13において一対のノズル孔331eから吐出される有機溶剤L1の温度よりも高くなるように、コントローラ10が温調部333e,334eを制御しうる。この場合、ノズル孔331fから吐出される有機溶剤L2の温度が比較的高いので、有機溶剤L2が内側裾野部R2bと化学変化を生じ易い。そのため、内側裾野部R2bが比較的速く溶解するので、周縁部R1が除去された後の塗布膜Rの周縁の形状が整い易くなる。
【0095】
本実施形態では、有機溶剤L1における塗布膜Rの構成成分に対する溶解性が、有機溶剤L2における塗布膜Rの構成成分に対する溶解性よりも高く設定されうる。この場合、有機溶剤L1によって頂部R2aがより効率的に除去されるので、処理時間の更なる短縮化が図られる。
【0096】
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、給排液治具331の底壁部331cにもノズル孔を設けて、当該ノズル孔からウエハWの裏面に対して有機溶剤を供給してもよい。
【0097】
コントローラ10は、ポンプ333b,334bを制御して、ステップS13において一対のノズル孔331eから吐出される有機溶剤L1の吐出量を、ステップS12においてノズル孔331fから吐出される有機溶剤L2の吐出量よりも多くしてもよい。この場合、有機溶剤l1によって頂部R2aがさらに効率的に除去されるので、処理時間のいっそうの短縮化が図られる。
【符号の説明】
【0098】
1…基板処理システム(基板処理装置)、2…塗布現像装置(基板処理装置)、10…コントローラ(制御部)、300…塗布膜除去部、330…給排液部、331…給排液治具、331f…ノズル孔(第1の吐出ノズル)、331e…ノズル孔(第2の吐出ノズル)、331g…ノズル孔(第3の吐出ノズル)、331h…ノズル孔(吸引ノズル)、333〜335…溶剤供給部、333e〜335e…温調部、336…吸引部、L1…有機溶剤(第2の有機溶剤)、L2…有機溶剤(第1の有機溶剤)、L3…有機溶剤、R…塗布膜、R1…周縁部、R2…隆起部、R2a…頂部、R2b…内側裾野部、R2c…外側裾野部、U1…塗布ユニット(基板処理装置)、W…ウエハ(基板)、Wa…表面、Wb…角部、Wc…周縁領域。
図1
図2
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