特許第6626814号(P6626814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626814
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】光ファイバカッタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/25 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   G02B6/25
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-227161(P2016-227161)
(22)【出願日】2016年11月22日
(65)【公開番号】特開2018-84658(P2018-84658A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2018年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 貴治
(72)【発明者】
【氏名】藤原 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】木原 満
(72)【発明者】
【氏名】小山 良
【審査官】 佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−023807(JP,A)
【文献】 特開2005−096004(JP,A)
【文献】 特開2014−238574(JP,A)
【文献】 中国実用新案第203444135(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/25
B26D 1/00
B26D 3/00
B26D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、前記ベース部材に取り付けられ光ファイバが当接されるファイバ受け台と、前記ファイバ受け台に向かって移動させて前記光ファイバに当接させることで前記光ファイバに初期傷を形成する刃体が取り付けられた初期傷形成部材と、前記ベース部材に前後方向に移動可能に設けられたスライダ本体に前記スライダ本体との間に前記光ファイバをクランプするスライダ蓋部が設けられた構成の移動部材と、前記移動部材を前方へ付勢する付勢部材とを備え、
前記ファイバ受け台における、前記光ファイバとの当接位置にあるときの前記刃体に対向する位置に空間が確保され、前記空間は前記ファイバ受け台の前記光ファイバが当接されるファイバ受け面から窪む凹所であり、
前記ベース部材には前記光ファイバを保持するファイバホルダを設置可能とされた凹部であるファイバホルダ設置部と、記スライダ本体を前後方向にスライド移動自在に案内するスライダ搭載部と、前記スライダ本体を係止して前記スライダ本体の前方への移動を規制する係止爪を含む係止部とが形成され、
前記ファイバ受け台は前記ベース部材における前記ファイバホルダ設置部とその前方の前記スライダ搭載部との間に設けられ、
前記初期傷形成部材は前記ベース部材の側部に枢着されたカッタ支持体に、前記刃体と、前記係止部の前記係止爪による前記スライダ本体の係止を解除するロック解除用突起とが設けられた構成であり、
前記初期傷形成部材を前記ベース部材に対して回動させて刃体が光ファイバに初期傷を形成する作動位置以外の非作動位置から前記作動位置へ移動させる過程において、前記ロック解除用突起によって前記係止部を押し下げて前記係止爪による前記移動部材の係止状態を解放した後に、前記刃体を前記ファイバ受け台の前記ファイバ受け面に載置された前記光ファイバに到達させることが可能とされている光ファイバカッタ。
【請求項2】
前記ファイバ受け台の前記ファイバ受け面は、その延在方向中央部を頂部とする凸曲面状に延在形成され、前記空間は前記ファイバ受け面の頂部に前記ファイバ受け面の延在方向に直交する幅方向全体にわたって延在する溝状に形成されている請求項1に記載の光ファイバカッタ。
【請求項3】
記ファイバ受け台は前記ベース部材の上面側に突出する部分に前記ファイバ受け面を有し、前記ファイバ受け台の前記ファイバ受け面は、前記初期傷形成部材の前記カッタ支持体の前記ベース部材に対する回転軸線に沿う方向に延在し、しかも前記カッタ支持体の前記回転軸線側へ行くにしたがって前記ベース部材上面に対する離隔距離が小さくなるように傾斜されている請求項2に記載の光ファイバカッタ。
【請求項4】
前記ファイバ受け台は、前記ファイバ受け面の前記空間に臨む端と前記空間内側面との間に面取り部を有する請求項1〜3のいずれかに記載の光ファイバカッタ。
【請求項5】
前記ファイバ受け台の前記空間は前記刃体の先端を挿入可能に形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の光ファイバカッタ。
【請求項6】
前記ファイバ受け台は前記ベース部材に対して脱着可能である請求項1〜5のいずれかに記載の光ファイバカッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバカッタに関し、切断対象の光ファイバを載置するファイバ載置台を有する光ファイバカッタに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを切断する光ファイバカッタは、光ファイバに刃具を接触させて初期傷を形成し、光ファイバに与えた張力あるいは曲げ荷重によって初期傷を成長させて劈開によって光ファイバを切断する構成のものが多く提供されている(例えば特許文献1参照)。
光ファイバカッタには、切断対象の光ファイバを載置するファイバ載置台(いわゆる枕)を有するものがある。例えば特許文献1の図1図3のように、この光ファイバカッタのファイバ載置台には光ファイバの長手方向の一部が載置される。この光ファイバカッタは、光ファイバのファイバ載置台上に載置された部分にファイバ載置台とは反対の側から刃具を押圧、接触させて初期傷を形成するものが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−238574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、ファイバ載置台上に載置された光ファイバにファイバ載置台とは反対の側から刃具を押圧、接触させて初期傷を形成する構成の光ファイバカッタでは、刃具を光ファイバに押圧、接触させる際の光ファイバの変位をファイバ載置台によって防止できる。しかしながら、この光ファイバカッタでは、光ファイバに押圧、接触させた刃具の刃先部にファイバ載置台が無い場合に比べて強い力が作用する。このため、この光ファイバカッタでは、初期傷の形成に繰り返し使用することで、刃具の刃先部の一部に光ファイバとの接触により凹形の窪みが形成(局所的変形)され、刃具の寿命が短くなってしまうことがあった。
【0005】
本発明の幾つかの実施形態が解決しようとする課題は、ファイバ受け台との接触による刃体刃先部の局所的変形を防ぎ、刃体の寿命延長を実現できる光ファイバカッタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では以下の態様を提供する。
第1の態様は、 ベース部材と、前記ベース部材に取り付けられ光ファイバが当接されるファイバ受け台と、前記ファイバ受け台に向かって移動させて前記光ファイバに当接させることで前記光ファイバに初期傷を形成する刃体が取り付けられた初期傷形成部材と、前記ベース部材に前後方向に移動可能に設けられたスライダ本体に前記スライダ本体との間に前記光ファイバをクランプするスライダ蓋部が設けられた構成の移動部材と、前記移動部材を前方へ付勢する付勢部材とを備え、前記ファイバ受け台における、前記光ファイバとの当接位置にあるときの前記刃体に対向する位置に空間が確保され、前記空間は前記ファイバ受け台の前記光ファイバが当接されるファイバ受け面から窪む凹所であり、前記ベース部材には前記光ファイバを保持するファイバホルダを設置可能とされた凹部であるファイバホルダ設置部と、記スライダ本体を前後方向にスライド移動自在に案内するスライダ搭載部と、前記スライダ本体を係止して前記スライダ本体の前方への移動を規制する係止爪を含む係止部とが形成され、前記ファイバ受け台は前記ベース部材における前記ファイバホルダ設置部とその前方の前記スライダ搭載部との間に設けられ、前記初期傷形成部材は前記ベース部材の側部に枢着されたカッタ支持体に、前記刃体と、前記係止部の前記係止爪による前記スライダ本体の係止を解除するロック解除用突起とが設けられた構成であり、前記初期傷形成部材を前記ベース部材に対して回動させて刃体が光ファイバに初期傷を形成する作動位置以外の非作動位置から前記作動位置へ移動させる過程において、前記ロック解除用突起によって前記係止部を押し下げて前記係止爪による前記移動部材の係止状態を解放した後に、前記刃体を前記ファイバ受け台の前記ファイバ受け面に載置された前記光ファイバに到達させることが可能とされている光ファイバカッタである。
第2の態様は、前記ファイバ受け台の前記ファイバ受け面は、その延在方向中央部を頂部とする凸曲面状に延在形成され、前記空間は前記ファイバ受け面の頂部に前記ファイバ受け面の延在方向に直交する幅方向全体にわたって延在する溝状に形成されている第1の態様の光ファイバカッタである。
第3の態様は、前記ファイバ受け台は前記ベース部材の上面側に突出する部分に前記ファイバ受け面を有し、前記ファイバ受け台の前記ファイバ受け面は、前記初期傷形成部材の前記カッタ支持体の前記ベース部材に対する回転軸線に沿う方向に延在し、しかも前記カッタ支持体の前記回転軸線側へ行くにしたがって前記ベース部材上面に対する離隔距離が小さくなるように傾斜されている第2の態様の光ファイバカッタである。
第4の態様は、前記ファイバ受け台は、前記ファイバ受け面の前記空間に臨む端と前記空間内側面との間に面取り部を有する第1〜3のいずれかの態様の光ファイバカッタである。
第5の態様は、前記ファイバ受け台の前記空間は前記刃体の先端を挿入可能に形成されている第1〜4のいずれかの態様の光ファイバカッタである。
第6の態様は、前記ファイバ受け台は前記ベース部材に対して脱着可能である第1〜5のいずれかの態様の光ファイバカッタである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の幾つかの実施形態に係る光ファイバカッタによれば、刃体刃先部の局所的変形を防ぐことができ、刃体の寿命延長を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の幾つかの実施形態に係る光ファイバカッタの斜視図である。
図2図1の光ファイバカッタの分解斜視図である。
図3図1の光ファイバカッタの初期傷形成部材を作動位置に配置したときの状態を示す断面図である。
図4図1の光ファイバカッタのベース部材の上面図である。
図5図1の光ファイバカッタのベース部材の下面図である。
図6図1の光ファイバカッタの移動部材をその下方から見た斜視図である。
図7図1の光ファイバカッタのロック部材付近を示す図であり、(a)はロック部材近傍の拡大分解斜視図、(b)はロック部材近傍の側面図である。
図8】光ファイバを切断する工程を簡略化して説明する説明図である。
図9図1の光ファイバカッタのファイバ受け台付近を示す拡大斜視図である。
図10図1の光ファイバカッタのファイバ受け台と、光ファイバに対する当接位置(作動位置)に配置した初期傷形成部材の刃体との関係を示す拡大断面図である。
図11図1の光ファイバカッタのファイバ受け台の空間と刃体との関係を説明する図であり、(a)は刃体を光ファイバに対する当接位置(作動位置)よりも上方に配置した状態、(b)は図11の位置から下降させた刃体の先端をファイバ受け台の空間に挿入した状態を示す。
図12】対比例のファイバ受け台の受け台部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の幾つかの実施形態の光ファイバカッタについて、図面を参照して説明する。
次に、本発明の幾つかの実施形態に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の幾つかの実施形態に係る光ファイバカッタの斜視図、図2は、その分解斜視図、図3は、その背面図である。なお、以下の説明では、発明を理解し易くするために、適宜構成部品の一部を省略したり、形状を単純化したり、縮尺を変更したりする等、図示を簡略化していることがある。また、XYZ直交座標系を設定して各構成の位置関係を説明する。また、XYZ直交座標系において、X方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向として説明する。また、+X側を前側、−X側を後側、+Y側を左側、−Y側を右側、+Z側を上側、−X側を下側として説明する。なお、光ファイバの延出方向は、X軸に沿った方向となる。
【0010】
図1図3に示すように、本発明の幾つかの実施形態に係る光ファイバカッタ1は、ベース部材10と、移動部材20を備えている。移動部材20は、スライダ本体20Aと、スライダ蓋部20Bとを備えている。図2に示すように、スライダ蓋部20Bには、光ファイバ保持部材34が取り付けられている。
【0011】
また、移動部材20の後方には、初期傷形成部材40が設けられており、初期傷形成部材40には刃体45が取り付けられている。さらに、移動部材20の後端部とベース部材10との間にスプリング50が配設されている。ベース部材10における初期傷形成部材40の後方において、光ファイバ2を保持するファイバホルダ70がベース部材10に載置されている。なお、図2及び図3においては、ファイバホルダ70の図示を省略している。
【0012】
光ファイバカッタ1におけるベース部材10、移動部材20、初期傷形成部材40、及びファイバホルダ70は、樹脂を主材料として設けられている。光ファイバカッタ1は、金属製のベース部材を有する光ファイバカッタと比較して軽量かつ部品点数が少なくて済む簡易な光ファイバカッタである。
【0013】
スライダ蓋部20Bは、光ファイバ2をクランプするクランプ状態と、図1に実線で示すように、光ファイバ2のクランプを解除した非クランプ状態とになることがある。スライダ蓋部20Bがクランプ状態となると、スライダ本体20Aとスライダ蓋部20Bによって光ファイバ2をクランプする。初期傷形成部材40は、初期傷形成部材40に設けられた刃体45が光ファイバ2に初期傷を形成する初期傷形成位置に到達している作用位置と、図1に実線で示すように、作用位置以外の非作用位置に位置することがある。刃体45は、光ファイバ2におけるファイバホルダ70と移動部材20との間に初期傷を形成可能である。
【0014】
移動部材20は、前進位置と後退位置との間でベース部材10に対して前後方向に移動可能とされている。スライダ蓋部20Bは、移動部材20の左端部に取り付けられており、移動部材20の移動方向に沿った軸周りに回動可能とされている。初期傷形成部材40は、ベース部材10の左端部に取り付けられており、移動部材20の移動方向に沿った軸周りに回動可能とされている。
【0015】
次に、ベース部材について説明する。図4はベース部材の上面図、図5はベース部材の下面図である。図4及び図5に示すように、ベース部材10は、平面視した形状が全体として略矩形をなす板状のベース部材本体11を有する。ベース部材本体11における前後方向略中央部には、スライダ搭載部13が形成されている。スライダ搭載部13は、ベース部材本体11を上下方向に貫通する貫通部13Aと、図4に示すように、ベース部材本体11の下面側に形成され、下側から見たときに貫通部13Aよりも一回り大きい凹部13Bと、によって構成されている。また、スライダ搭載部13における後部の内壁の下面側には、スプリング50に反力を付与する反力壁13Cが形成されている。
【0016】
ベース部材本体11におけるスライダ搭載部13の後方の左側端部には、カッタ支持体支持部14が形成されている。カッタ支持体支持部14は、ベース部材本体11よりも左側に突出した位置において、左右方向に延びる一対のブラケット14A,14Bを備えている。ブラケット14A,14Bの間には、カッタ軸部材14C(図3参照)が架け渡されている。カッタ軸部材14Cは、左右方向(光ファイバの延在方向)に沿って配置されている。このカッタ軸部材14Cに初期傷形成部材40(具体的には後述のカッタ支持体41)が回動可能に取り付けられている(ベース部材10に対して枢着されている)。
【0017】
また、ベース部材本体11におけるカッタ支持体支持部14が設けられた位置の右側方には、第1係止部15が形成されている。第1係止部15は、支持板15Aと、支持板15Aの先端に設けられた第1係止爪15B及びロック解除用受側突起15Cと、を備えている。
【0018】
支持板15Aは、基端部がベース部材本体11から前方へ突出する弾性変形可能な板状体である。図示例の支持板15Aは、ベース部材本体11に一体に形成されている。但し、支持板15Aはベース部材本体11に固定したベース部材本体11とは別体の部材であっても良い。第1係止爪15Bは、支持板15Aの先端における上面に設けられている。第1係止爪15Bは、側面視した形状が略三角形状を成しており、上下方向に沿った後面部と、後面部の前側に形成された傾斜部とを備えて構成されている。
【0019】
ロック解除用受側突起15Cは、第1係止爪15Bにおける幅方向(左右方向)略中央位置に配置され、上下方向において第1係止爪15Bよりも高い位置まで延在する棒状の部材である。ロック解除用受側突起15Cが上方から押圧されることにより、支持板15Aが、ベース部材本体11に固定された基端部を基点として撓むようにされている。第1係止部15は、ベース部材本体11に設けられており、ファイバホルダ70はベース部材本体11におけるファイバホルダ設置部19に脱着可能に設置されることから、第1係止部15は、ファイバホルダ70に対して相対移動不能とされている。
【0020】
ベース部材本体11における第1係止部15が形成された位置の右側方には、光ファイバ位置決め部材16が形成されている。図2に示すように、光ファイバ位置決め部材16は、ベース部材本体11に対して上下方向に沿って立設された板状体16Aを備えている。板状体16Aには、V溝16Bが形成されている。光ファイバ2を切断する際には、V溝16Bの底部に光ファイバ2が収められることによって、光ファイバ2が位置決めされる。
【0021】
光ファイバ位置決め部材16の右側には、カッタ支持体受部18が設けられている。カッタ支持体受部18は、ベース部材本体11の右端部に設けられており、一対の柱状体を備えて構成されている。カッタ支持体受部18によって作動位置に近い位置にある初期傷形成部材40の移動を案内している。
【0022】
光ファイバ位置決め部材16の後方にはファイバホルダ設置部19が形成されている。ファイバホルダ設置部19は、図1に示す光ファイバ2を保持するファイバホルダ70を設置可能とされた凹部である。ファイバホルダ70は、ファイバホルダ設置部19に設置されることで、ベース部材本体11に対して位置決めされて載置される。
【0023】
次に、移動部材20のスライダ本体20Aについて説明する。移動部材20のスライダ本体20Aは、ベース部材本体11に形成されたスライダ搭載部13に搭載されている。ベース部材本体11に形成されたスライダ搭載部13における貫通部13Aの前後方向の長さは、スライダ本体20Aの前後方向の長さよりも長い。このため、スライダ本体20Aは、ベース部材本体11の貫通部13Aにおいて、前進位置及び後退位置の間でスライド移動可能とされている。ベース部材10のスライダ搭載部13は、スライダ本体20Aを前後方向にスライド移動自在に案内するガイド部の役割を果たす。移動部材20は、その全体が、ベース部材10に対するスライダ本体20Aの前後方向へのスライド移動に伴いベース部材10に対して前後方向に移動する。
【0024】
図6は移動部材を下方から見た斜視図である。移動部材20におけるスライダ本体20Aは、図6にも示すように、平面視した形状が略矩形のスライダ本体ベース部21を備えている。スライダ本体ベース部21の上面側における左側端部には、スライダ蓋部支持部22が形成されている。スライダ蓋部支持部22は、スライダ本体ベース部21の左端部を切り欠いた凹部22Aと、凹部22Aにおける前壁と後壁をつなぐスライダ蓋部軸部材22Bとによって構成されている。スライダ蓋部軸部材22Bは、前後方向(光ファイバの延在方向)に沿って配置されている。このスライダ蓋部軸部材22Bにスライダ蓋部20Bが回動可能に取り付けられている。
【0025】
スライダ本体ベース部21上面の左右方向中央部には、前後方向に延在する光ファイバ載置溝24が形成されている。光ファイバ載置溝24は、切断の対象となる光ファイバ2を載置するための溝であり、断面形状が略V字形状とされている。
【0026】
光ファイバ載置溝24の右側には、スライダ蓋部受部25が形成されている。スライダ蓋部受部25は、スライダ本体ベース部21の右端部に形成されている。スライダ蓋部受部25は、スライダ蓋部受凹部と、スライダ蓋部受凹部における右外側壁に形成された係止板によって構成されている。係止板は、スライダ蓋部受部25における右側の内側面から内側方向に突出して形成された板状の部材である。この係止板によってスライダ蓋部20Bの端部が保持されてスライダ蓋部20Bが固定される。
【0027】
スライダ本体ベース部21の下面側には、図6に示すように、係合部材26A〜26Dが設けられている。係合部材26A〜26Dは、上下方向に延在し弾性を有する支持部と、支持部の下端部に取り付けられた係合部とを備えて構成されており、ベース部材本体11の下面側に形成された凹部13Bと係合する。
【0028】
係合部材26A〜26Dにおける支持部の上端は、スライダ本体ベース部21に一体的に取り付けられている。係合部材26A〜26Dにおける係合部は、支持部から外側方向に向けて突出して形成されており、この突出した部分とベース部材の下面側に形成された凹部13Bとが係合する。移動部材20が移動する際には、スライダ本体ベース部21に設けられた係合部材26A〜26Dがベース部材本体11に形成された凹部13Bに沿って移動することにより、移動部材20が前後方向に沿って移動する。
【0029】
スライダ本体ベース部21における後面には、第2係止部27が設けられている。第2係止部27は、支持ブロック27A及び支持ブロック27Aの下面に形成された第2係止爪27Bを備えている。スライダ本体ベース部21がベース部材本体11に組み付けられた状態で、支持ブロック27Aの下面は、支持板15Aの上面と略同じ高さ位置に配置される。
【0030】
支持ブロック27Aは、基端部がスライダ本体ベース部21から後方へ突出する前後方向に沿って長いブロック体である。第2係止爪27Bは、支持ブロック27Aの下面に設けられている。第2係止爪27Bは、側面視した形状が略三角形状を成しており、上下方向に沿った前面部と、前面部の後側に形成された傾斜部とを備えて構成されている。
【0031】
支持ブロック27Aにおける幅方向(左右方向)中央位置には、貫通孔27Cが形成されている。貫通孔27Cは、支持ブロック27Aを上下方向に貫通している。貫通孔27Cは、前後方向に沿って長く形成されており、支持ブロック27Aの下面における貫通孔27Cの左右両側にそれぞれ第2係止爪27Bが設けられている。また、貫通孔27Cには、第1係止部15におけるロック解除用受側突起15Cが下側から挿入されている。ロック解除用受側突起15Cの高さ位置は、支持ブロック27Aの上面の高さ位置と略同じとされている。
【0032】
図7(a)はロック部材近傍の拡大分解斜視図、(b)はロック部材近傍の側面図である。図7(a)に示すように、第2係止爪27Bは、第1係止爪15Bに対して係止可能となる位置に配置されている。移動部材20が前進位置にあるときには、図7(b)に仮想線で示すように、第2係止爪27Bが第1係止爪15Bよりも前方に配置されており、第1係止爪15Bと第2係止爪27Bとは係止されておらず、移動部材20はロック解除状態となっている。また、移動部材20が後退位置にあるときには、図7(b)に実線で示すように、第2係止爪27Bが第1係止爪15Bよりも後方に配置されており、第1係止爪15Bと第2係止爪27Bとが係止されて、移動部材20はロックされて前方への移動が規制された状態であるロック状態となっている。
【0033】
第2係止部27の後端部には、ストッパ28が設けられている。ストッパ28は、支持ブロック27Aの後端部において、上方に向けて突出する突起状に形成されている。ストッパ28は、移動部材20が後退位置よりも前方に配置されているときの初期傷形成部材40の回動を規制し、光ファイバ2に対する刃体45の当接を抑制している。ストッパ28は、移動部材20に設けられていることから、移動部材20の移動に伴って移動可能とされている。
【0034】
図6に示すように、スライダ本体ベース部21の後面部における左右方向略中央部には、スプリング収容孔29が形成されている。スプリング収容孔29は、断面円形状の凹部であり、ベース部材10に移動部材20を組み付けたときに、スプリング収容孔29がベース部材10における反力壁13Cと向き合う位置に配置されている。スプリング収容孔29には、スプリング50が収容されている。
【0035】
図1に示すように、移動部材20は、スライダ本体20Aのほかにスライダ蓋部20Bを備えている。スライダ蓋部20Bは、図1及び図2に示すように、長尺状のスライダ蓋部本体31を備えている。スライダ蓋部本体31は、クランプ状態で左右方向に沿って配設されている。クランプ状態のスライダ蓋部本体31における左端部には、スライダ蓋部把持部32が設けられている。スライダ蓋部把持部32は、移動部材20におけるスライダ蓋部軸部材22Bを把持している。スライダ蓋部本体31は、スライダ本体ベース部21に対して、スライダ蓋部把持部32が把持したスライダ蓋部軸部材22B周りに回動可能とされている。スライダ蓋部本体31がスライダ蓋部軸部材22B周りに回動することで、スライダ蓋部20Bがクランプ状態と非クランプ状態とに変化する。
【0036】
スライダ蓋部本体31における長手方向略中央位置には光ファイバ保持部材34が取り付けられている。光ファイバ保持部材34は、スライダ蓋部本体31における長手方向略中央位置に形成された保持部材収容凹部に収容されて、スライダ蓋部本体31に取り付けられている。光ファイバ保持部材34は、ケース34Aを備えており、ケース34Aの下面側に保持部材本体34Bが取り付けられている。また、ケース34Aには、押付スプリング(図示略)が収容されている。
【0037】
ケース34Aは、係止爪を備えており、スライダ蓋部本体31における保持部材収容凹部の上面側に形成された係止孔に係止爪を係止することにより、光ファイバ保持部材34がスライダ蓋部本体31に取り付けられる。保持部材本体34Bは、弾力性を有する部材、例えばゴムによって形成されており、スライダ本体20Aとスライダ蓋部20Bによって光ファイバ2をクランプする際に、光ファイバ2に当接する部材である。押付スプリングは、圧縮スプリングであり、保持部材本体34Bをスライダ蓋部本体31の上面から離反する方向に付勢している。
【0038】
クランプ状態のスライダ蓋部本体31における右端部には、スライダ蓋部固定部材35が設けられている。スライダ蓋部固定部材35は、つまみ部35Aと係止部35Bとを備えて構成されている。つまみ部35Aは、X軸に沿った軸を中心として板状体を折り返した形状をなしており、内側片と外側片との間における折り返し部分が弾性を有している。また、外側片の外側面に係止部35Bが設けられている。
【0039】
スライダ蓋部固定部材35は、スライダ本体ベース部21に形成されたスライダ蓋部受部25のスライダ蓋部受凹部に収容可能とされている。スライダ蓋部固定部材35がスライダ蓋部受凹部に収容されると、つまみ部35Aの内側片と外側片とが折り返し部の弾力によって離反する。つまみ部35Aの内側片と外側片とが離反すると、スライダ蓋部固定部材35の係止部35Bがスライダ蓋部受部25の係止板に係止された係止状態となり、スライダ蓋部20Bが固定され、スライダ蓋部20Bは、光ファイバ2をクランプするクランプ状態となる。
【0040】
また、つまみ部35Aを作業員等がつまむことにより、つまみ部35Aの内側片と外側片とが近接し、スライダ蓋部固定部材35の係止部35Bとスライダ蓋部受部25の係止板との係止状態が解除される。このとき、つまみ部35Aをつまんだまま引き上げることにより、スライダ蓋部本体31が回動して、スライダ蓋部20Bのクランプ状態が解除されてスライダ蓋部20Bは非クランプ状態となる。
【0041】
図1に示すように、ベース部材本体11におけるスライダ搭載部13の後方には、初期傷形成部材40が取り付けられている。初期傷形成部材40は、図1図3に示すように、細長形状のカッタ支持体41を備えている。カッタ支持体41は、作動位置にある状態で左右方向に沿って配設されている。
【0042】
作動位置のカッタ支持体41における左端部には、カッタ部材把持部42が設けられている。カッタ部材把持部42は、ベース部材本体11に設けられたカッタ支持体支持部14におけるカッタ軸部材14Cを把持している。カッタ支持体41は、ベース部材本体11に対して、カッタ部材把持部42が把持したカッタ軸部材14C周りに回動可能とされている。このため、カッタ支持体41に取り付けられた刃体45は、光ファイバ2の延在方向(前後方向)に交差する方向、例えば直交する面に沿った方向に移動可能とされている。
【0043】
作動位置のカッタ支持体41の下面41Aには、ロック解除用突起43が設けられている。ロック解除用突起43は、支持ブロック27Aに形成された貫通孔27Cの形状を一回り小さくした形状とされている。移動部材20が後退位置に配置されているときには、ロック解除用突起43が貫通孔27Cに進入可能とされている。また、移動部材20が後退位置よりも前方に配置されているときには、ロック解除用突起43は、ストッパ28と当接して貫通孔27Cには進入不能とされている。
【0044】
ロック解除用突起43は、支持ブロック27Aの貫通孔27Cに対して上側から進入可能とされている。ロック解除用突起43は、支持ブロック27Aの貫通孔27Cに進入すると、ロック解除用受側突起15Cを上方から押圧して、第1係止部15の支持板15を図7(b)において下方へ弾性変形させ、第1係止爪15Bと第2係止爪27Bによるロック状態を解除する。
【0045】
図3に示すように、作動位置にあるカッタ支持体41の下面41Aにおけるロック解除用突起43の外側には、刃体保持部44が設けられており、刃体保持部44に刃体45の刃先部45aが支持されている。刃体45の刃先部45aはその先端の稜線側に行くにしたがって厚みが小さくなる先細りのテーパ状に形成されている。刃体保持部44は刃体45の刃先部45aの延在方向(刃先部45a稜線の延在方向)両端部を支持している。刃体45の刃先部45aの延在方向両端部の刃体保持部44に支持された部分の間に位置する部分は、刃体保持部44の下面側を切り欠いた切欠き部44Aに露呈されている。
刃体45の刃先部45a以外の部分はカッタ支持体41に形成された刃体孔内に固定されている。
【0046】
刃体45は、例えば金属製の板状片であるが、これ以外に、プラスチック製の刃体本体にその先端に形成されたテーパ状の刃先部を覆う砥粒付きシートを固定した構成のものも好適に用いることができる。
砥粒付きシートは、布、紙等のシート基材に砥粒を設けた構成のものである。砥粒としては、例えばダイヤモンド砥粒・アルミナ系砥粒等のように石英系ガラスの硬度以上の砥粒が用いられる。砥粒付きシートは砥粒が露呈する面が外側となるようにして刃体本体に固定される。
【0047】
刃体45は板状であり、その厚み方向が、光ファイバカッタ1前後方向(初期傷形成部材40のベース部材10に対する回転軸線方向に一致)に沿う向きでカッタ支持体41に設けられている。
図3に示すように、カッタ支持体41の延在方向は、初期傷形成部材40が作動位置にあるときに左右方向に沿った方向となる。刃体45の刃先部45a先端の稜線は、初期傷形成部材40が作動位置にあるときに、初期傷形成部材40のベース部材10に対する回転軸線側に行くほど下側(ベース部材10側)に位置するように、左右方向に対して傾斜されている。
【0048】
作動位置のカッタ支持体41の右端部近傍における下側面には、嵌合突起47が設けられている。嵌合突起47は、ベース部材本体11に形成されたカッタ支持体受部18における一対の柱状体の離間距離と略同一の幅を有している。嵌合突起47は、初期傷形成部材40が作動位置または作動位置に近い位置にあるときにカッタ支持体受部18に嵌合する。カッタ支持体41に設けられた嵌合突起47と、ベース部材本体11に設けられたカッタ支持体受部18とによって、刃体45が光ファイバ2に当接する際のカッタ支持体41の移動を案内する。また、嵌合突起47がカッタ支持体受部18に嵌合することにより初期傷形成部材40の高さ位置に規制され、初期傷形成部材40の刃体保持部44がベース部材10に取り付けられているファイバ受け台17(後述)に衝突することが防止される。初期傷形成部材40は、ベース部材10に対する回転によって刃体45を初期傷形成位置まで移動させる。
【0049】
また、カッタ支持体41には、作業者が手指で初期傷形成部材40をベース部材10に対して回転操作するための把手48が設けられている。把手48は、作動位置にあるときのカッタ支持体41における右端部に設けられている。
【0050】
図1図3に示すように、ファイバ受け台17は、ベース部材本体11におけるファイバホルダ設置部19とスライダ搭載部13との間、より詳細にはファイバホルダ設置部19と板状体16Aとの間に設けられている。
ファイバ受け台17は、ベース部材10に取り付けられる板状の受け台ベース部17aと、この受け台ベース部17aの片面側に突設された受け台部17bとを有する。受け台部17bは、受け台ベース部17aの片面側にリブ状に延在する細長形状に形成されている。
【0051】
受け台部17bは、ベース部材10のベース部材本体11に取り付けられた受け台ベース部17a上に位置する。ファイバ受け台17は、受け台ベース部17a上の受け台部17bの延在方向をベース部材10の前後方向に一致させてベース部材本体11に取り付けられている。
【0052】
図2に示すように、ベース部材本体11には、ファイバ受け台17をベース部材本体11にねじ止めするためのねじが挿通されるねじ挿通孔17Aが形成されている。ファイバ受け台17は、ねじ挿通孔17Aに挿通したねじの受け台ベース部17aへのねじ込みによってベース部材本体11に固定して取り付けることができる。ベース部材本体11に取り付け状態のファイバ受け台17は、ねじの締め付け時とは逆向きの回転操作によってベース部材本体11から取り外して、交換等を行える。ファイバ受け台17は、ねじの回転操作によってベース部材本体11に対して脱着できる。
【0053】
ねじは、ファイバ受け台17をベース部材本体11に脱着可能に取り付けるための取付用部材として機能する。
ファイバ受け台17をベース部材本体11に脱着可能に取り付けるための取付用部材としては、ねじに限定されず、例えばベース部材本体11に係脱可能に係合させてファイバ受け台17をベース部材本体11に押さえ込む弾性部材等も採用可能である。ファイバ受け台17をベース部材本体11に押さえ込む弾性部材は、ベース部材本体11に対する係合を解除することでファイバ受け台17のベース部材本体11への押さえ込みを解除し、ファイバ受け台17のベース部材本体11からの取り外しを許可する。
【0054】
図9に示すように、受け台部17bのベース部材10とは反対側の突端面は、切断対象の光ファイバ2が当接されるファイバ受け面17cを形成している。ファイバ受け面17cはベース部材本体11上面よりも上方に位置する。
図9図11(a)、(b)に示すように、ファイバ受け面17cはベース部材10の前後方向に沿って延在形成されている。図示例のファイバ受け台17のファイバ受け面17cは、その延在方向中央部を頂部とする凸曲面状に延在形成されている。
【0055】
但し、図3図10に示すように、ファイバ受け面17cは、カッタ支持体41の回転軸線側へ行くにしたがって高さが低くなるようにベース部材10左右方向に対して傾斜されている。つまり、ファイバ受け面17cは、カッタ支持体41の回転軸線側へ行くにしたがって、ベース部材本体11上面及びその仮想延長に対する離隔距離が小さくなるようにベース部材本体11上面に対して傾斜されている。
【0056】
図11(a)、(b)に示すように、受け台部17bにおける、作動位置にあるときの初期傷形成部材40の刃体45に対向する位置には空間17dが形成されている。
図9図11(a)、(b)に示すように、空間17dは、受け台部17bの延在方向漏端部の間に位置する部分を左右方向(ベース部材10左右方向)に貫通する溝状に形成されている。空間17dは、ファイバ受け面17cから窪む凹所である。
【0057】
図9図11(a)、(b)に示すように、空間17dは、凸曲面状のファイバ受け面17cの頂部にファイバ受け面17cの延在方向に直交する幅方向全体にわたって延在する溝状に形成されている。
ファイバ受け面17cは空間17dを介して空間17dの前後方向両側に延在している。受け台部17bの空間17dを、以下、受け面分断空間、とも言う。
【0058】
受け面分断空間17dは、非作動位置からの回転によって作動位置に配置した初期傷形成部材40の刃体45が光ファイバ2を押圧する押圧力を、受け台部17bの受け面分断空間17dを介して前後方向両側の部分に分散負担させる機能を果たす。
初期傷形成部材40の刃体45によって押圧された光ファイバ2は、受け面分断空間17dを介して前後方向両側のファイバ受け面17cの空間17d側端部に押圧される。
【0059】
移動部材20におけるスプリング収容孔29に収容されたスプリング50は、圧縮スプリングである。スプリング50の長さは、移動部材20が後退位置にあるときのスプリング収容孔29の奥壁面と、ベース部材本体11に設けられた反力壁13Cとの間の距離よりも長くされている。このため、スプリング50は、後退位置にある移動部材20を前方に付勢している。なお、付勢部材としては、移動部材20を前方から付勢する引張スプリングを用いてもよい。また、光ファイバ2に張力を付与する張力付加部材としては、スプリングに代えて、モータやシリンダなどを用いてもよい。
【0060】
ファイバホルダ70は、ベース部材本体11におけるファイバホルダ設置部19に設置可能とされている。光ファイバ2を切断する際には、光ファイバ2を延出状態で保持したファイバホルダ70をファイバホルダ設置部19に設置する。
【0061】
次に、光ファイバカッタ1によって光ファイバ2を切断する手順について説明する。 図8は、光ファイバを切断する工程を簡略化して説明する説明図である。光ファイバ2を切断する際には、まず、図8(a)に示すように、前進位置にある移動部材20を後退位置まで移動させ、ベース部材本体11に設けられた第1係止爪15Bと、スライダ本体ベース部21に設けられた第2係止爪27Bとを係止させ、移動部材20の前方への移動を規制する。こうして、移動部材20がロックされる。
前方への移動を規制した移動部材20のスライダ蓋部20Bは非クランプ状態とし、初期傷形成部材40は非作位置に配置する。
【0062】
次に、ベース部材本体11におけるファイバホルダ設置部19に対して、光ファイバ2を延出した状態で保持したファイバホルダ70を載置する。そして、光ファイバ2のファイバホルダ70から延出された部分を、スライダ本体ベース部21上面の光ファイバ載置溝24とファイバ受け台17のファイバ受け面17cとに載置する。
【0063】
また、光ファイバ2の光ファイバ載置溝24よりも前方に突出された部分は、ベース部材本体11に組み付けられた廃材収納ケース60のケース本体61後側に設けられた下ローラ63上に配置し、下ローラ63からさらに前方に突出する部分をケース本体61に配置する。そして、ケース本体61上に被せたケース蓋62後端部に設けられた上ローラ64と既述の下ローラ63との間に光ファイバ2を挟み込む。
廃材収納ケース60は、光ファイバ2の切断後の先端側部分(廃材)を収納する。また、図1図2等に示す廃材収納ケース60は、ケース蓋62外側に設けられたダイヤル65の回転操作に伴いダイヤル65と同方向に回転する上ローラ64によって切断後の光ファイバ2先端側部分を前方へ送り出して、ケース60内に確実に回収できる。このとき、下ローラ63は、上ローラ64の回転による、切断後の光ファイバ2先端側部分の前方移動に伴い、上ローラ64に従動回転する。
【0064】
次に、続いて、非クランプ状態のスライダ蓋部20Bをスライダ蓋部軸部材22B周りに回動させて非クランプ状態からクランプ状態として、スライダ蓋部20Bによって光ファイバ2をクランプする。
【0065】
この実施形態において、光ファイバ2は、単心光ファイバ心線、光ファイバ素線といった単心の被覆付き光ファイバである。
ファイバホルダ70に保持された光ファイバ2のファイバホルダ70から延出された部分の先端部には、光ファイバ2の被覆2bを除去した裸光ファイバ2aが露出されている。スライダ本体ベース部21上面の光ファイバ載置溝24、及びファイバ受け台17のファイバ受け面17cには、光ファイバ2先端部の裸光ファイバ2aを載置する。移動部材20には光ファイバ2の裸光ファイバ2aをクランプする。
また、この実施形態において、光ファイバ2の切断は、具体的には裸光ファイバ2aの切断を意味する。
【0066】
移動部材20に光ファイバ2をクランプしたら、図8(b)に示すように、非作動位置にある初期傷形成部材40をカッタ軸部材14C周りに回動させて非作動位置から作動位置に移動させる。初期傷形成部材40の回動動作によって初期傷形成部材40を非作動位置から作動位置に移動させる過程において、刃体45が光ファイバ2に到達する前に、カッタ支持体41に設けられたロック解除用突起43が、第1係止部15に設けられたロック解除用受側突起15Cを押圧する。その結果、第1係止部15がロック解除用突起43に押し下げられ、第1係止爪15Bと第2係止爪27Bとの係止状態が解放され、移動部材20に対する前方への移動の規制が解除される。
【0067】
また、移動部材20におけるスプリング収容孔29には、圧縮スプリングであるスプリング50が収容されており、スプリング50は、ベース部材10における反力壁13Cに反力を得て移動部材20を前方に付勢している。このため、移動部材20には、前方に移動する力が作用するが、移動部材20に設けられたスライダ蓋部20Bが光ファイバ2をクランプしていることから、移動部材20は前方へ移動することなく停止した状態を維持している。このとき、光ファイバ2には、スプリング50の付勢力によって張力を加えた状態となる。
【0068】
続いて、初期傷形成部材40をさらに回動させると、図8(c)に示すように、初期傷形成部材40における刃体45が光ファイバ2(裸光ファイバ2a)に到達し、刃体45が光ファイバ2に対して初期傷を形成する。張力を加えた状態の光ファイバ2に初期傷が形成されると、光ファイバ2は、初期傷が形成された部分から劈開して切断される。こうして、光ファイバ2の切断作業が終了する。
【0069】
初期傷形成部材40における刃体45は、光ファイバ2(裸光ファイバ2a)に初期傷を形成する際に光ファイバ2に押圧される。既述のように、初期傷形成部材40の刃体45によって押圧された光ファイバ2は、ファイバ受け台17における受け面分断空間17dを介して前後方向両側のファイバ受け面17cの空間17d側端部に押圧される。
【0070】
図11(a)、(b)に示すように、ファイバ受け台171は、受け面分断空間17dを介して両側のファイバ受け面17b(その受け面分断空間17dに臨む端)と受け面分断空間17d内側面との間に面取り部17eを有する。
図11(a)、(b)に示すファイバ受け台171の面取り部17eは、受け面分断空間17dを介して両側のファイバ受け面17bから受け面分断空間17d側へ行くにしたがってファイバ受け面17bからの窪み深さが大きくなる湾曲面である。
面取り部17eは、受け面分断空間17dを介して両側のファイバ受け面17bから受け面分断空間17d側へ行くにしたがってファイバ受け面17bからの窪み深さが大きくなる面であれば良く、湾曲面に限定されない。
ファイバ受け台171は、受け面分断空間17dを介して両側のファイバ受け面17bと受け面分断空間17d内側面との間に面取り部17eを有することで、初期傷形成時に刃体45によって受け台部17bのファイバ受け面17bに押圧される裸光ファイバ2aを、ファイバ受け面17bと受け面分断空間17d内側面との間の境界部でのマイクロベンディング等によって傷めることを回避できる。
【0071】
ファイバ受け台17において、光ファイバ2の裸光ファイバ2aを介して裸光ファイバ2aを押圧する刃体45と対向する位置には受け面分断空間17dが形成されており、ファイバ受け面17cが存在しない。このため、光ファイバ2の裸光ファイバ2aを押圧する刃台45の刃先部45A先端に、光ファイバ2を支持するファイバ受け台17から裸光ファイバ2aを介して作用する反力が緩和される。その結果、刃太45の刃先部45A先端に局所的変形を生じにくく、刃体45の寿命を延長できる。
【0072】
図12は対比例のファイバ受け部の受け台部171を示す。
図12の受け台部171には受け面分断空間は存在しない。図12の受け台部171は、前後方向に連続する凸曲面のファイバ受け面171bを形成している。図12の受け台部171の場合は、切断対象の裸光ファイバ2aは、初期傷形成部材40の刃体45によってファイバ受け面171bの頂部に押圧される。初期傷形成部材40の刃体45には、ファイバ受け面171bの頂部に支持された裸光ファイバ2aから、刃体45が光ファイバ2を押圧する押圧力に対する反力が作用する。刃体45の刃先部先端には、刃体45を裸光ファイバ2aに当接した瞬間の衝撃力にほぼ対応する大きさの反力が裸光ファイバ2aから作用する。
【0073】
これに対して、図11(a)、(b)に示すように、受け面分断空間17dが形成された受け台部17bでは、既述のように、裸光ファイバ2aを押圧する刃体45と対向する位置にファイバ受け面が存在しない。刃体45は、裸光ファイバ2aの受け台部17bによって支持されていない箇所に押圧、接触されて、裸光ファイバ2aに初期傷を形成する。このため、刃体45を裸光ファイバ2aに当接した瞬間の衝撃力は、裸光ファイバ2aにおいて、空間17dを介して前後方向両側のファイバ受け面17cの空間17d側端部間に架設状態の部分の微小変形等によって緩和される。その結果、刃体45を裸光ファイバ2aに当接した瞬間の衝撃力に対して裸光ファイバ2aから刃体45に作用する反力も緩和され、裸光ファイバ2aからの反力による刃体45の刃先部先端の局所的変形を防止できる。
【0074】
また、図11(a)、(b)に示す受け面分断空間17dは、刃体45の刃先部45aの先端(稜線)付近を挿入可能なサイズに形成されている。
初期傷形成部材40は、その回転操作によって、図11(b)に示す位置まで受け面分断空間17dに刃体45を挿入可能である。但し、図11(b)に示すように、初期傷形成部材40のベース部材10に接近させる方向への回転操作は、刃体45が受け台部17bに当接しない位置で限界位置となる。
刃体45の刃先部45aの先端(稜線)付近を挿入可能な受け面分断空間17dは、万一、作業者が手指で、初期傷形成部材40に不用意に過剰な操作力を作用させた場合であっても、刃体45の刃先部45a先端を受け台部17bとの当接によって傷める心配が無い。このため、刃体45の刃先部45aの先端(稜線)付近を挿入可能な受け面分断空間17dも、刃体45の寿命延長に有効に寄与する構成である。
【0075】
また、図12の受け台部171の場合は、初期傷形成部材40の刃体45が光ファイバ2を押圧する押圧力がファイバ受け面の頂部に集中的に作用する。このため、ファイバ受け面171bの頂部の光ファイバ2(裸光ファイバ2a)当接部分に窪みが形成される可能性がある。受け台部171のファイバ受け面171bの窪みは、裸光ファイバ2aの切断面の乱れ等の切断不良の原因になり得る。
これに対して、受け面分断空間17dが形成された受け台部17bはその空間17dを介して前後方向両側の部分によって光ファイバ2から作用する押圧力を分散負担する。その結果、受け台部17bは、光ファイバ2から作用する押圧力によるファイバ受け面17bの窪み形成を防ぐことができ、ファイバ受け部材17の寿命延長にも有効に寄与する。
【0076】
上記の光ファイバカッタ1では、刃体45刃先部45aの局所的な変形を防止でき、刃体45の寿命を延長できる。
また、この光ファイバカッタ1は、既述のように、刃体45の刃先部45a先端の稜線が、初期傷形成部材40が作動位置にあるときに、初期傷形成部材40のベース部材10に対する回転軸線側に行くほど下側(ベース部材10側)に位置するように左右方向に対して傾斜されている構成である。このため、この光ファイバカッタ1は、初期傷形成のために初期傷形成部材40をベース部材10に対して非作動位置から回転していくに伴い、切断対象の裸光ファイバ2aに対する刃体45の刃先部45a先端(稜線)の接触位置が変動する。このことも、刃体45の刃先部45a先端の局所的変形の防止に有効であり、刃体45の寿命延長に有効に寄与する。
【0077】
なお、光ファイバカッタ1の刃体45の刃先部45a先端の稜線は、初期傷形成部材40が作動位置にあるときに、ファイバ受け台17のファイバ受け面17cと概ね平行である。
光ファイバカッタは、刃体45の刃先部45a先端の稜線及びファイバ受け台17のファイバ受け面17cが左右方向に対して傾斜されている構成に限定されない。刃体45の刃先部45a先端の稜線は、初期傷形成部材40が作動位置にあるときにファイバ受け台17のファイバ受け面17cに対して概ね平行であれば良く、例えば、初期傷形成部材40が作動位置にあるときの刃体刃先部45a先端の稜線がベース部材10左右方向に延在し、ファイバ受け台17のファイバ受け面17cがベース部材10上下方向に垂直の面である構成も採用可能である。
【0078】
その他、上記した幾つかの実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した幾つかの実施形態を適宜組み合わせてもよい。
ファイバ受け台17の受け台部17bはこれ自体もファイバ受け台として機能し得る。ファイバ受け台は受け台ベース17aを省略した構成も採用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…光ファイバカッタ、2…光ファイバ、10…ベース部材、11…ベース部材本体、17…ファイバ受け台、17a…受け台ベース部、17b…受け台部、17c…ファイバ受け面、17d…(受け台部の)空間(受け面分断空間)、17e…面取り部、40…初期傷形成部材、41…カッタ支持体、45…刃体。
図1
図2
図3
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図5
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図12