(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6630103
(24)【登録日】2019年12月13日
(45)【発行日】2020年1月15日
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
B65D 77/04 20060101AFI20200106BHJP
B65D 21/032 20060101ALI20200106BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20200106BHJP
【FI】
B65D77/04 A
B65D21/032
B65D25/20 B
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-193798(P2015-193798)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-65735(P2017-65735A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大田原 正光
(72)【発明者】
【氏名】磯 一樹
(72)【発明者】
【氏名】森繁 直樹
【審査官】
塩見 篤史
(56)【参考文献】
【文献】
韓国登録特許第10−1389954(KR,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0257559(US,A1)
【文献】
実開昭57−188673(JP,U)
【文献】
特開平09−065981(JP,A)
【文献】
特開2004−338764(JP,A)
【文献】
特開2014−133576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D21/00−21/08
B65D23/00−25/56
B65D67/00−79/02
B65D81/18−81/30
B65D81/38
B65D85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が充填される第1開口部が形成されるとともに、前記第1開口部がシート部材によってシールされ、前記シート部材とで密閉空間を形成する内側容器と、
第2開口部が形成され前記内側容器が収容される外側容器とを備え、
前記内側容器および外側容器は、互いに一体とされた状態で互いの深さ方向の位置が可変に設けられている
ことを特徴とする二重容器。
【請求項2】
請求項1に記載の二重容器において、
前記内側容器の外周面部と前記外側容器の内周面部とが摺接する
ことを特徴とする二重容器。
【請求項3】
請求項2に記載の二重容器において、
前記内側容器の外周面部および前記外側容器の内周面部のうちの一方の面部には、他方の面部に向けて突出した係合突部が設けられ、他方の面部には、前記係合突部が係合する係合溝部が設けられ、
前記係合溝部は、前記深さ方向に向かって延びた第1溝部と、前記第1溝部の端部に設けられ当該第1溝部に対して折曲した第2溝部とを備える
ことを特徴とする二重容器。
【請求項4】
請求項2に記載の二重容器において、
前記内側容器の外周面部には雄ねじ部が設けられ、
前記外側容器の内周面部には雌ねじ部が設けられる
ことを特徴とする二重容器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の二重容器において、
前記内側容器の前記第1開口部周りの周縁部、および前記外側容器の前記第2開口部周りの周縁部のうち、少なくもいずれか一方の周縁部には、前記内側容器および外側容器の深さ方向の位置変更操作時に操作される操作補助部が設けられる
ことを特徴とする二重容器。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の二重容器において、
前記シート部材は、前記内側容器よりも前記外側容器の外壁が高く位置するように前記内側容器が収容された状態で開封可能に設けられている
ことを特徴とする二重容器。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の二重容器において、
少なくとも前記内側容器は、浅皿状である
ことを特徴とする二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マヨネーズや、タルタルソース、ケチャップなど、各種ドレッシング等の内容物を収容する容器として、カップ状の容器本体の開口部をシート部材でヒートシールしたものが知られている。このような内容物は、シート部材を剥がした後、別の皿やボール等の器に盛られた食材にかけられたり、容器本体中にある状態で食材がつけられたり(ディップされたり)する。
【0003】
また、内側容器と、この内側容器を収容する外側容器とで構成される二重容器も一般的に知られている。二重容器としては、内側容器および外側容器の間に存在する空気層により、耐熱性および耐寒衝撃性などを向上させたものが多い。一方、内側容器および外側容器の大きさを大きく異ならせ、各容器に別々の内容物を収容するとともに、各容器を互いの開口部の高さ位置がほぼ揃った状態で接合した二重容器が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載の二重容器によれば、例えばドレッシング等の内容物と同時に野菜等の食材をも提供する場合、小さな内側容器にドレッシングを充填し、大きな外側容器に野菜を盛り付けることができ、消費者としては新たに別の容器を用意する必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−222269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ドレッシングなどの内容物は、小さな内側容器に満注充填されることが常であるため、内側容器から蓋体等を外す際や、内側容器の内容物に外側容器の内容物をつけた際にこぼれ易い。特許文献1に記載の二重容器では、内側容器が外側容器の内部に位置していることから、内側容器からこぼれた内容物を外側容器で受けることが可能であるが、各容器の開口部がほぼ同じ高さ位置に揃っていることで、内側容器からこぼれた内容物が全て外側容器内で受けられるとは限らず、周囲を内容物で汚してしまうという課題がある。
【0007】
これに対して、内側容器の開口部を外側容器の開口部より低い位置になるように設けることにより、内側容器からこぼれた内容物を外側容器で確実に受けるようにすることも考えられる。
しかしながらそれでは、内側容器に内容物を満注充填した後に、内側容器の開口部を蓋体等で密閉することが困難になるという課題が生じる。
【0008】
本発明の目的は、異なる内容物を別々の器で提供する必要がなかったり、内側容器からこぼれた内容物で周囲が汚れることを防止したりでき、かつ内容物が満注充填された内側容器を確実に密閉できる二重容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の二重容器は、第1開口部が形成され内容物が充填される内側容器と、第2開口部が形成され前記内側容器が収容される外側容器とを備え、前記内側容器および外側容器は、互いに一体とされた状態で互いの深さ方向の位置が可変に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の二重容器によれば、各容器の第1、第2開口部を十分に大きな開口面積とすることにより、二重容器全体を浅皿状に設けることができる。この結果、例えば内側容器の内容物がドレッシングなどの場合、二重容器全体を内側容器の内容物とは異なる野菜等の食材を盛る器としても利用でき、その食材のための別の器を用意する必要がない。
また、そのような食材を盛り付ける際、内側容器に対して外側容器を高く位置させることで、内側容器にもともと満注充填された内容物がこぼれても、こぼれた内容物を外側容器で確実に受けることができ、二重容器の周囲を内容物で汚す心配がない。
しかも、第1、第2開口部が揃うように各容器を位置させておけば、内側容器の第1開口部を外側容器と干渉することなく適宜な蓋体等で密閉可能である。
【0011】
加えて、本発明の二重容器を専ら、内側容器にのみ内容物を収容させるものとして使用する場合でも、内側容器の第1開口部を開ける際や、内容物とは異なる例えば野菜等の食材を内容物につける際にはやはり、内側容器に対して外側容器を高く位置させることで、内容物が二重容器の外部にまでこぼれることを防止でき、周囲を汚す心配がない。
また、前述同様、第1、第2開口部が揃うように各容器を位置させることにより、内側容器の第1開口部を外側容器と干渉することなく適宜な蓋体等で密閉可能である。
【0012】
前記内側容器の外周面部は、前記外側容器の内周面部と摺接することが好ましい。
各容器が互いに摺接する構造にすることにより、それらの間でのがたつきを防止でき、一体の状態に確実に維持できる。
【0013】
前記内側容器の外周面部および前記外側容器の内周面部のうちの一方の面部には、他方の面部に向けて突出した係合突部が設けられ、他方の面部には、前記係合突部が係合する係合溝部が設けられ、前記係合溝部は、前記深さ方向に向かって延びた第1溝部と、前記第1溝部の端部に設けられ当該第1溝部に対して折曲した第2溝部とを備えてもよい。
係合突部と係合溝部の第1溝部とを係合させた状態で一方の容器を他方の容器に対して深さ方向に移動させた後、各容器を互いに周方向の反対側に回動させる等して係合突部を第2溝部に係合させることにより、変更した位置で各容器を安定して保持できる。
【0014】
前記内側容器の外周面部には雄ねじ部が設けられ、前記外側容器の内周面部には雌ねじ部が設けられてもよい。
各容器が雄ねじ部および雌ねじ部を介して螺合されると、回転操作によって深さ方向の位置調整を容易にできる。
【0015】
前記内側容器の前記第1開口部周りの周縁部、および前記外側容器の前記第2開口部周りの周縁部のうち、少なくもいずれか一方の周縁部には、前記内側容器および外側容器の深さ方向の位置変更操作時に操作される操作補助部が設けられることが好ましい。
操作補助部を設けることにより、各容器の少なくとも一方を把持しながら、操作補助部を利用して他方の位置を変更でき、位置変更操作を容易にできる。
【0016】
少なくとも前記内側容器の前記第1開口部は、シート部材によってシールされることが好ましい。
内側容器の第1開口部をシート部材でシールすることにより、流動性のある液状の内容物を内側容器に充填しておいても、第1開口部を開ける前に内容物が漏れ出す心配がなく、容器としての商品価値を向上させることができる。
【0017】
少なくとも前記内側容器は、浅皿状であることが好ましい。
内側容器を浅皿状にすると、本来なら第1開口部を開ける際には、内容物がこぼれ易いのであるが、こぼれる内容物を外側容器にて受けることが可能であるから、何ら気にかけることなく、内側容器ひいては外側容器、さらには二重容器全体の薄型化を十分に促進できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る二重容器の全体を示す分解斜視図。
【
図2】第1実施形態の二重容器を示す断面図であり、上段は位置変更前であって密閉状態を示す断面図、下段は位置変更後であって開放途中を示す断面図。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る二重容器を示す平面図。
【
図4】本発明の第3実施形態に係る二重容器を示す断面図であり、(A)は(B)のA−A断面図。
【
図5】本発明の第4実施形態に係る二重容器を示す斜視図。
【
図6】本発明の第5実施形態に係る二重容器を示す図であり、(A)は斜視図、(B)はその断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の各実施形態に係る二重容器について図面を参照して説明する。
なお、第2実施形態以降の説明において、第1実施形態と同一構成要素または同一機能要素については同一符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0020】
[第1実施形態]
(二重容器全体の概略説明)
図1および
図2に基づいて第1実施形態に係る二重容器1を説明する。
図1には、本実施形態の二重容器1全体の分解斜視図が示されている。
図2には、二重容器1を示す断面図が示されており、上段は位置変更前であって密閉状態を示す断面図、下段は位置変更後であって開放途中を示す断面図である。
【0021】
二重容器1は、例えばマヨネーズや、タルタルソース、ケチャップの他、イタリアンドレッシング、和風ドレッシング、フレンチドレッシングといった流動性のあるドレッシング等を内容物として収容する容器である。
【0022】
二重容器1は、上面に第1開口部21が形成され上記の内容物が充填される円筒浅皿状の内側容器2と、上面に第2開口部31が形成され内側容器2が収容される円筒浅皿状の外側容器3と、内側容器2の第1開口部21周りの上端面21Aにヒートシールされ当該第1開口部21を密閉するシート部材4とを備え、薄型化されている。ただし、
図1では、シート部材4がシールされる内側容器2の上端面21Aをハッチングで示してある。他の実施形態での断面部分以外のハッチングも同様である。
【0023】
内側容器2および外側容器3としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレン、PET(ポリエチレンテレフタラート)などの樹脂原料により、射出成形にて形成される。シート部材4としては、例えばアルミニウム箔がラミネートされた合成樹脂フィルムの他、ヒートシール可能な適宜な原料の合成樹脂フィルムを利用でき、特にイージーピール性を有する合成樹脂フィルが望ましい。
【0024】
(各容器の詳細説明)
内側容器2の高さ寸法hは、
図2上段に示すように、外側容器3の高さ寸法Hよりも小さく、限定する訳ではないが、ほぼ1/2〜1/3程度であってよい。内側容器2の外径寸法dは、外側容器3の内径寸法Dとほぼ同じである。内側容器2が外側容器3内に収容された状態では、
図2に示すように、内側容器2の外周面部22と外側容器3の内周面部32とが全体的に摺接しており、所定の摩擦力によってがたつくことなく互いの位置が保持されている。
【0025】
また、各容器2,3は、そのような摩擦力に抗することで、互いに一体とされた状態で互いの深さ方向の位置や周方向の位置が可変に設けられている。従って、
図2の上段には、各容器2,3が第1,第2開口部21,31を揃えた位置で維持された状態が、
図2の下段には、外側容器3に対して内側容器2が底側に最後まで押し込まれた状態がそれぞれ示されているが、その途中位置で内側容器2を外側容器3に対して保持させることも可能である。
【0026】
(製作方法と使用例の説明)
本実施形態の二重容器1では先ず、内側容器2、外側容器3、およびシート部材4をそれぞれ個別に製作しておく。続いて、内側容器2内にドレッシング等の収容物を満注充填する。この後、内側容器2の上端面21Aにシート部材4をヒートシールにより取り付け、第1開口部21をシールして密閉する。そして、
図2の上段に示すように、内側容器2を外側容器3内に第1、第2開口部21,31が揃った状態で位置させ、この状態で消費者に提供する。
【0027】
なお、内側容器2への収容物の充填、およびシート部材4のヒートシールについては、内側容器2を外側容器3内に第1、第2開口部21,31が揃った状態で位置させてから実施してもよいし、内側容器2を外側容器3に収容する前段階にて実施してもよい。
【0028】
一方、消費者としては、
図2の上段に示した状態で内側容器2からシート部材4を剥離すると、満注充填された収容物が内側容器2、ひいては二重容器1全体からこぼれる心配がある。このために消費者は、
図2の下段に示すように、内側容器2を外側容器3の底側に押しやり、内側容器2の外側に外側容器3にて一層高い外周壁を形成しておく。次に、シート部材4の外縁の一部から延設された把持部41を把持し、シート部材4を剥がして第1開口部21を開ける。
【0029】
ここで、内側容器2を外側容器3の底側に押し込むことでシート部材4の把持部41も同時に押し込まれ、把持しにくくなる可能性がある場合には、把持部41の大きさ等を予め大きめに設けておく等すればよい。
【0030】
次いで、消費者は、二重容器1に野菜等を盛り付け、二重容器1全体をドレッシングおよび野菜が入った浅皿として使用したり、別の器に盛り付けられた野菜等を二重容器1内のドレッシングにつけるようにして(ディップするようにして)使用したりする。
【0031】
(実施形態の効果)
以上に説明した本実施形態の二重容器1によれば、野菜をも二重容器1全体を利用して盛り付けることで野菜およびドレッシングを別々の器で提供する必要がなかったり、ドレッシングが内側容器2からこぼれたとしても、二重容器1全体からこぼれる心配がなく、ドレッシングで周囲が汚れることを防止したりできる。また、外側容器3と干渉することなく、ドレッシングが満注充填された内側容器2を確実に密閉できる。従って、本発明の目的を達成できる。
【0032】
[第2実施形態]
図3には、本発明の第2実施形態が示されている。
図3において、本実施形態の内側容器2のシール面部21Aは、シール4との接触面の外周形状が平面視で全体王冠状、具体的には外周方向に連続した波状とされている。そのため、シート部材4を波状の端点のどの部分からも剥がすことができるため、多方向から少ない負担で容易に剥がすことができる。なお、そのような波状部分は、内側容器2の厚み部分の形状であってもよいし、内側容器2の上端にフランジ部分を設け、このフランジ部分の形状であってもよい。あるいは、内側容器2の外周形状を円形としたうえで、王冠状とするのはシート部材の外周形状であったり、シート部材に塗布する接着剤の形状であったりしてもよい。
【0033】
[第3実施形態]
図4には、本発明の第3実施形態が示されている。
図4(A)、(B)に示すように、本実施形態の二重容器1において、外側容器3の内周面部32には、内側容器2の外周面部22に向けて突出した一対の係合突部33が径方向に対向した位置に設けられている。また、内側容器2の外周面部22には、係合突部33と係合する一対の係合溝部23が径方向に対向した位置に設けられている。係合溝部23は、深さ方向に沿って延びた第1溝部231と、第1溝部231の上端部に設けられ当該第1溝部231に対して周方向に折曲した第2溝部232とを備えている。
【0034】
本実施形態によれば、
図4(A)、(B)中に実線で示すように、各容器2,3が第1、第2開口部21,31を揃えた位置にあるとき、係合突部33と係合溝部23の第1溝部231とが一致しないよう、各容器2,3の周方向の位置をずらしておく。こうすることで、内側容器2は全体として、外側容器3の係合突部33上に載置されることとなり、外側容器3に対する深さ方向の位置が
図4(A)、(B)の位置に保持される。
【0035】
一方、
図4(B)中に2点鎖線および2点鎖線矢印で示すように、外側容器3に対して内側容器2を周方向に回動させ、係合突部33に係合溝部23の第1溝部231の下端を一致させ、この位置で内側容器2を深さ方向に押し込めば、第1溝部231が係合突部33にガイドされるようにして内側容器2が外側容器3の底面まで沈み込む。この後、外側容器3に対して内側容器2を周方向にさらに回動させると、係合突部33が第2溝部232内に入り込み、内側容器2の深さ方向の位置を保持できる。勿論、内側容器2に対して外側容器3を操作し、移動させてもよい。
【0036】
[第4実施形態]
図5には、本発明の第4実施形態が示されている。
図5に示す本実施形態の二重容器1では、内側容器2の第1開口部21周りの周縁部21Bにおいて、その径方向に対向した位置には、内方に膨出した操作補助部としての一対の内側操作補助部24が設けられている。また、外側容器3の第2開口部31周りの周縁部31Bにおいて、その径方向に対向した位置には、外方に膨出した操作補助部としての一対の外側操作補助部34が設けられている。
【0037】
外側容器3に対して内側容器2を深さ方向に押し込む場合、内側容器2の内側操作補助部24を上方から押圧すれば、内側容器2をより押し込み易くできる。この際、二重容器1の径寸法が格段に大きく、片方の手の指だけでは、一対の内側操作補助部24を押圧できない場合には、例えば、一方の手の人差し指の腹にて一方の外側操作補助部34の下面を抱えつつ、親指にて一方の内側操作補助部24を押圧し、他方の手の人差し指の腹にて他方の外側操作補助部34の下面を抱えつつ、親指にて他方の内側操作補助部24を押圧すれば、外側容器3を両手で押さえながら内側容器2を確実に押し込むことができる。
【0038】
なお、そのような操作補助部は、内側容器2および外側容器3の少なくとも一方に設けられていればよく、必ずしも両方に設けられる必要はない。
【0039】
[第5実施形態]
図6には、本発明の第3実施形態が示されている。
図6(A)、(B)に示すように、本実施形態での二重容器1において、内側容器2の外周面部22には雄ねじ部25が設けられ、外側容器3の内周面部32には雄ねじ部25と螺合する雌ねじ部35が設けられ、各容器2,3が互いに回転自在に螺設されている。加えて、内側容器2の周縁部21Bには、内方に膨出した操作補助部としての内側操作補助部24が設けられている。本実施形態において、この内側操作補助部24には、所定の深さを有する挿入孔24Aが設けられている。
【0040】
本実施形態によれば、各容器2,3が雄ねじ部25および雌ねじ部35を介して螺合しているので、回転操作によって深さ方向の位置調整を容易にできる。しかも、この回転操作時には、内側操作補助部24に設けられた挿入孔24Aに対して、箸やフォーク・スプーンの柄などをシート部材4を突き破って挿入することで、内側容器2を一方の手で容易に把持でき、そのまま把持した状態から内側容器2あるいは外側容器3を回転させることができて、使い勝手を良好にできる。
【0041】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形例等は、本発明に含まれる。
例えば各実施形態の特徴的な構成は、任意に組み合わせて用いられてよく、どのような構成を組み合わせるかは、その実施にあたって適宜決められてよい。
【0042】
各実施形態では、内側容器2に収容する内容物として、ドレッシングなどの食材としたが、内容物としてはこれに限定されない。例えば化粧クリームや、グリースなどの潤滑油、ペンキなどの塗料などであってもよい。
【0043】
各実施形態では、各容器2,3は円筒状とされ、平面視した形状が円形であったが、各容器の平面視の形状としてはこれに限定されない。例えば、その構成によっては、三角形以上の多角形、あるいは楕円形や長円形であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、食品、化粧品、工業品、玩具や文房具等の各種内容物を収容する二重容器に最適である。
【符号の説明】
【0045】
1…二重容器、2…内側容器、3…外側容器、4…シート部材、21…第1開口部、21B,31B…周縁部、22…外周面部、23…係合溝部、24…操作補助部である内側操作補助部、25…雄ねじ部、31…第2開口部、32…内周面部、33…係合突部、34…操作補助部である外側操作補助部、35…雌ねじ部、231…第1溝部、232…第2溝部。