(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0010】
図1に示すように、処理炉1は第1加熱部としての円筒形状の側部ヒータ2を有する。側部ヒータ2の内側には、例えば、石英(SiO
2)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し、下端が開口した円筒形状である反応管5が、側部ヒータ2と同心に配設されている。
【0011】
反応管5は処理室6を内部に画成し、処理室6内には基板保持具であるボート7が収納される。ボート7は、基板としてのウェハ8を水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で保持するように構成されている。ボート7は、例えば、石英や炭化珪素等で構成される。
【0012】
本実施形態では、
図19に示すように、処理室6は、上から領域1、領域2、領域3および領域4の4つの領域に区分される。側部ヒータ2は、各領域に対応するように第1〜第4ヒータに分割されている。領域1の周囲には第1ヒータ2A、領域2の周囲には第2ヒータ2B、領域3の周囲には第3ヒータ2C、領域4の上方の周囲には第4ヒータ2Dがそれぞれ設置される。処理室6内のうち、ボート7は領域1〜3にわたって収納され、後述する断熱部31は領域4に収納される。第1ヒータ〜第3ヒータによってボート7が収納される領域(プロダクト領域)を加熱するため、第1ヒータ〜第3ヒータを総称してプロダクト領域を加熱する上部ヒータとしても良い。また、第4ヒータ2Dによって断熱部31が収納される領域(断熱領域)の上方を加熱するため、第4ヒータ2Dを、断熱領域を加熱する下部ヒータと称しても良い。
【0013】
図1に示すように、反応管5の下端部には、反応管5を貫通してガス導入部9が設けられている。ガス導入部9には、反応管5の内壁に添って立設されたガス導入管としてのノズル12が接続されている。ノズル12の側面であってウェハ8に面する方向には複数のガス導入孔16が設けられ、ガス導入孔16から処理ガスが処理室6に導入される。
【0014】
ガス導入部9の上流側には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)14を介して図示しない原料ガス供給源、キャリアガス供給源、反応ガス供給源、不活性ガス供給源が接続されている。MFC14には、ガス流量制御部15が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の量となるよう、所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0015】
反応管5の下端部のガス導入部9と異なる位置には、処理室6内の雰囲気を排気する排気部17が設けられ、排気部17には排気管18が接続されている。排気管18には、処理室6内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ19が設置され、圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ21を介して、真空排気装置としての真空ポンプ22が接続されている。
【0016】
APCバルブ21および圧力センサ19には、圧力制御部23が電気的に接続されており、該圧力制御部23は圧力センサ19により検出された圧力に基づいてAPCバルブ21により処理室6の圧力が所望の圧力となるよう、所望のタイミングにてAPCバルブ21を制御するように構成されている。
【0017】
反応管5の下端部には、反応管5の下端開口を気密に閉塞可能な保持体としてのベース24と、炉口蓋体としてのシールキャップ25が設けられている。シールキャップ25は、例えば、ステンレス等の金属から形成される。円盤状に形成されているベース24は、例えば、石英から形成され、シールキャップ25上に重合するように取付けられている。ベース24の上面には反応管5の下端と当接するシール部材としてのOリング26が設けられる。シールキャップ25の下側には、ボート7を回転させる回転機構27が設置されている。回転機構27の回転軸28の上端にはボート7の底板29が固定される。
【0018】
ボート7の下方には断熱部31が設けられている。断熱部31は底板32が石英製の押え板33により挾持される構成であり、底板32が押え板33間に拘束されることで、断熱部31の転倒が防止されるようになっている。断熱部31は、例えば、石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる円筒状に形成される。
【0019】
断熱部31の内部には、石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる断熱板(図示せず)が積層されている。内部の断熱板を断熱部31と称しても良い。第4のヒータは断熱部31の上方を加熱するように構成される。このような構成により、断熱部31の上方を加熱し、ボトム領域の温度制御性を確保できる。一方で、断熱部31の下方は直接的に加熱されない。そのため、側部ヒータ2およびキャップヒータ34からの熱が、断熱部31により断熱され、反応管5の下端側である炉口部に伝わり難くすることができる。
【0020】
断熱部31の中心部には上下方向全長に亘って孔30が貫通して形成されている。孔30には回転軸28が挿通され、回転軸28はシールキャップ25とベース24を貫通し、ボート7に連結される。回転軸28の回転によって、ボート7が断熱部31に対して独立して回転するようになっている。
【0021】
シールキャップ25は反応管5の外部に垂直に設備された昇降機構としてのボートエレベータ35によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これにより、ボート7を処理室6内外に搬入出できるようになっている。
【0022】
ボート7と断熱部31との間の空間には、後述する発熱部51を有する第2加熱部としてのキャップヒータ34が設けられている。少なくとも、第3ヒータと第4ヒータとの境界の高さ位置以上の高さに発熱部51が位置するように、キャップヒータ34が設置される。言い換えれば、少なくとも、プロダクト領域と断熱領域との境界の高さ位置以上の高さに発熱部51が位置するように、キャップヒータ34が設置される。このような位置にキャップヒータ34を設置することにより、プロダクト領域の下部(ボート7のボトムウエハが載置されているボトム領域)を効率的に加熱することが可能となる。
【0023】
キャップヒータ34は、保護管としての石英管内に、例えば、抵抗発熱体が気密に封入された構造となっている。キャップヒータ34の発熱部51は、平面視において、略環状に形成される。このような構成により、ボトム領域において、例えば、最下段のウェハ8の径方向を環状に加熱することができる。すなわち、最下段のウェハ8の径方向の一部分を重点的に加熱することができる。言い換えれば、最下段のウェハ8の中心領域を加熱することなく、中心領域よりも外方の領域を加熱することができる。尚、キャップヒータ34は、処理室6を減圧する際の圧力に耐え得る強度があればよい為、保護管の厚さを薄くすることができ、縦方向の厚さを薄くすることができる。
【0024】
側部ヒータ2と反応管5との間には、第1温度検出器としての第1温度センサ37が設置されている。又、キャップヒータ34の保護管表面に接触するように、第2温度検出器としての第2温度センサ39が設置されている。ここでは、保護管の上面に接触するように設置される(
図7参照)。第2温度センサ39は熱電対等の温度検出器が保護管に収納された構造となっている。
【0025】
温度制御部38は、第1温度センサ37により検出された温度情報に基づき側部ヒータ2への通電具合を調整し、第2温度センサ39により検出された温度情報に基づきキャップヒータ34への通電具合を調整することで、処理室6内の温度が所望の温度分布となるよう、所望のタイミングにて側部ヒータ2およびキャップヒータ34を制御するように構成されている。ガス流量制御部15、圧力制御部23、駆動制御部36、温度制御部38は基板処理装置全体を制御する主制御部としてのコントローラ42に電気的に接続されている。
【0026】
図2に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ42は、CPU(Central Processing Unit)43、RAM(Random Access Memory)44、記憶装置45、I/Oポート46を備えたコンピュータとして構成されている。RAM44、記憶装置45、I/Oポート46は、内部バス47を介してCPU43とデータ交換可能なように構成されている。コントローラ42には、例えばタッチパネル等で構成された入出力装置48が接続されている。
【0027】
記憶装置45は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置45内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が読出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理における各手順をコントローラ42に実行させ、所定の結果を得ることができるように組合わされたものであり、プログラムとして機能する。
【0028】
以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称し、単にプログラムとも言う。本明細書において、プログラムという言葉を用いた場合には、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。RAM44は、CPU43によって読出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0029】
I/Oポート46は、上述したガス流量制御部15、圧力制御部23、駆動制御部36、温度制御部38に接続されている。CPU43は、記憶装置45から制御プログラムを読出して実行すると共に、入出力装置48からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置45からレシピを読出すように構成されている。CPU43は、読出したレシピの内容に沿うように、ガス流量制御部15による各種ガスの流量調整動作、圧力制御部23による圧力調整動作、排気装置22の起動及び停止、温度制御部38による側部ヒータ2及びキャップヒータ34の温度調整動作、駆動制御部36によるボート7の回転並びに回転速度調節動作および昇降動作等を制御するように構成されている。
【0030】
コントローラ42は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)49に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置45や外部記憶装置49は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置45単体のみを含む場合、外部記憶装置49単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置49を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0031】
次に、上記構成に係る処理炉1を用いて、半導体デバイスの製造工程の一工程として、ウェハ8に酸化、拡散や、成膜等を行う基板処理(以下、成膜処理ともいう)を行う方法について説明する。ここでは、ウェハ8に対して、第1の処理ガス(原料ガス)と第2の処理ガス(反応ガス)とを交互に供給することで、ウェハ8上に膜を形成する例について説明する。尚、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ42により制御される。
【0032】
所定枚数のウェハ8がボート7に装填(ウェハチャージ)されると、ボート7は、ボートエレベータ35によって処理室6内に装入(ボートローディング)される。この状態で、シールキャップ25はベース24、Oリング26を介して反応管5の下端開口(炉口部)を気密に閉塞した状態となる。この際、キャップヒータ34を所定の温度(第1温度)に加熱維持させていても良い。この場合、第1温度は側部ヒータ2の温度(少なくとも、第4ヒータの温度)よりも低い温度に設定される。
【0033】
処理室6内が所望の圧力となるように排気装置22によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室6の圧力は、圧力センサ19で測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ21がフィードバック制御される。
【0034】
又、処理室6内のウェハ8が所望の温度となるように、側部ヒータ2およびキャップヒータ34によって加熱される。この際、処理室6内が所望の温度分布となるように、第1温度センサ37が検出した温度情報に基づき側部ヒータ2への通電具合がフィードバック制御され、第2温度センサ39が検出した温度情報に基づきキャップヒータ34への通電具合がフィードバック制御される。この時、キャップヒータ34の設定温度を、側部ヒータ2の温度(少なくとも、第4ヒータの温度)以下の温度とする。ここで、処理室6内のボトム領域のウェハ8が所望の温度となった時、キャップヒータ34による加熱を停止させても良い。
【0035】
続いて、回転機構27により、底板29を介してボート7が回転されることで、処理中ウェハ8が回転される。この時、回転軸28が孔30に挿通されているので、断熱部31に対してボート7のみが回転する。ボート7が回転することにより、略環状のキャップヒータ34であっても、ボトム領域の環状領域を均一に加熱することが可能となる。
【0036】
(原料ガス供給工程)
次いで、原料ガス供給源から原料ガスが処理室6内に供給される。原料ガスは、MFC14にて所望の流量となるように制御され、ガス導入部9からノズル12を流通し、ガス導入孔16から処理室6内に導入される。
【0037】
(原料ガス排気工程)
予め設定された原料ガス供給時間が経過すると、原料ガスの処理室6内への供給を停止し、排気装置22により処理室6内を真空排気する。この時、不活性ガス供給源から不活性ガスを処理室6内に供給しても良い(不活性ガスパージ)。
【0038】
(反応ガス供給工程)
予め設定された排気時間が経過すると、次に、反応ガス供給源から反応ガスが供給される。MFC14にて所望の流量となるように制御されたガスは、ガス導入部9からノズル12を流通し、ガス導入孔16から処理室6内に導入される。
【0039】
(反応ガス排気工程)
更に予め設定された処理時間が経過すると、反応ガスの処理室6内への供給を停止し、排気装置22により処理室6内を真空排気する。この時、不活性ガス供給源から不活性ガスを処理室6内に供給しても良い(不活性ガスパージ)。
【0040】
上述した4つの工程を非同時に、すなわち、同期させることなく行うサイクルを所定回数(n回)行うことにより、ウェハ8上に、所定組成および所定膜厚の膜を形成することができる。なお、上述のサイクルは複数回繰り返すのが好ましい。
【0041】
所定膜厚の膜を形成した後、不活性ガス供給源から不活性ガスが供給され、処理室6内が不活性ガスに置換されると共に、処理室6の圧力が常圧に復帰される。その後、ボートエレベータ35によりシールキャップ25が降下されて、炉口部が開口されると共に、処理済ウェハ8がボート7に保持された状態で反応管5から搬出(ボートアンローディング)される。その後、処理済ウェハ8はボート7より取出される(ウェハディスチャージ)。この際、キャップヒータ34による加熱を停止させる。
【0042】
尚、一例迄、本実施例の処理炉1にてウェハ8をに酸化膜を形成する際の処理条件として、原料ガスにDCS(SiH
2 Cl
2 :ジクロロシラン)ガスと、反応ガスにO
2 (酸素)ガスと、不活性ガスにN
2 (窒素)ガスを用いた場合においては、例えば、下記が例示される。
処理温度(ウェハ温度):300℃〜700℃、
処理圧力(処理室内亜圧力)1Pa〜4000Pa、
DCSガス:100sccm〜10000sccm、
O
2ガス:100sccm〜10000sccm、
N
2ガス:100sccm〜10000sccm、
それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内のある値に設定することで、成膜処理を適正に進行させることが可能となる。
【0043】
次に、例えば、ウェハ8の直径を300mmとした場合の、キャップヒータ34の径方向の加熱位置と、処理室6下部(ボトム領域)の温度分布との関係について説明する。
【0044】
図3(A)、(B)は、ボトム領域の全域を加熱した場合(従来例)の温度分布のシミュレーション結果を示している。ボトム領域の全域を加熱した場合として、キャップヒータ34を同心多重状に複数、例えば、3つ設けた構成でシミュレーションを行った。
【0045】
又、
図4は、ボトム領域の一部を環状に加熱した場合(本発明)の温度分布のシミュレーション結果を示している。尚、
図4では、一例として、加熱位置を処理室6の中心から70mmの位置、すなわち、キャップヒータ34の直径を140mmとした場合の温度分布を示している。
【0046】
図3(A)、(B)に示すように、ボトム領域において、キャップヒータ34a〜34cの温度を同等(615℃)とした場合、また、キャップヒータ34a〜34cの出力を同等(12W)とした場合のいずれも、ボトム領域の外周側の温度が高く、中心側の温度が低い温度分布を生じ、ウェハ8の面内温度差は最大で約4℃になった。すなわち、ボトム領域全域を加熱する様な構成のヒータの場合、ウェハ8の面内に大きな温度差が生じるため、成膜の面内均一性が悪化してしまうことがある。
【0047】
これに対し、発明者らは鋭意研究の結果、キャップヒータ34により、ボトム領域の全域ではなく、
図4に示すように、ボトム領域の径方向の一部である環状領域を中心に加熱した場合には、ボトム領域の外周側と中心側とで殆ど温度差がなくなり、ボトム領域の温度分布も緩やかにすることが可能であるという知見を得た。
【0048】
図5、
図6に示すように、キャップヒータ34による径方向の加熱位置(キャップヒータ34の半径)を、処理室6の中心から90mm、110mmとした場合、すなわち、ボトム領域のウェハ8aの半径の中間部(75mm)よりも外周側を加熱した場合には、ボトム領域全域を加熱した場合と比べると、ウェハ8aの面内温度差は小さくなり、改善している。しかしながら、最下段のウェハ8aの外周側の温度が高く、中心側の温度が低くなるという温度分布を生じる(
図5参照)。又、ウェハ8aの面内に於ける最大温度差が依然として大きく、面内温度が不均一となっている(
図6参照)。これは、ウェハ8aの中心側に熱源がないため、ウェハ8aの中心側が加熱され難く、かつ、ウェハ8aの外周側が側部ヒータ2とキャップヒータ34とで2重に加熱されたためと考えられる。
【0049】
また、キャップヒータ34による径方向の加熱位置を、処理室6の中心から30mm、50mmとした場合、すなわち、ボトム領域のウェハ8aの半径の中間部よりも中心側を加熱した場合についても、ボトム領域全域を加熱した場合と比べると、ウエハ8aの面内温度分布の改善はみられるものの、最下段のウェハ8a面内は外周側と中心側の温度が高くなる逆凸状の温度分布を生じる。この場合も、ウェハ8aの面内に於ける最大温度差が依然として大きく、面内温度が不均一となっている。これは、キャップヒータ34が中心側に寄りすぎることで、ウェハ8aの半径方向の中間部近傍への加熱が不足したためと考えられる。
【0050】
一方、キャップヒータ34による加熱位置を、処理室6の中心から60mm以上77.5mm以下とした場合、即ち最下段のウェハ8aの半径方向の略中間部付近を加熱した場合には、最下段のウェハ8aの外周側と中心側とで殆ど温度差が生じず、緩やかな温度分布となった。
【0051】
更に、ウェハ8aの面内に於ける温度差も0.6℃程度となっており、面内温度均一性が向上している。尚、ウェハ8a面内に於ける最大温度差が最も小さくなり、面内温度均一性が向上するのは、例えば、キャップヒータ34による径方向の加熱位置を、処理室6の中心(ウェハ8aの中心)から77.5mmとした場合、即ちキャップヒータ34の直径を155mmとし、ボトム領域を加熱した場合となっている。
【0052】
尚、ボトム領域の全域を加熱した場合に比べ、キャップヒータ34の直径が60mm以上180mm以下の範囲の環状領域内に収まるようにした場合で面内温度分布の改善が見られる。すなわち、ボトム領域のウェハ8aの中心を中心点として、ボトム領域の直径60mm以上180mm以下の環状領域内を中心に加熱することにより、面内温度分布を改善させることが可能となる。キャップヒータ34の直径を60mmより小さい円形領域の範囲内に収まるようにした場合、又は、180mmより大きくした場合、面内の温度差が約2.5℃となり、面内温度分布が悪化し、成膜の面内均一性が損なわれてしまう。
【0053】
更にキャップヒータ34の直径を90mm以上160mm以下とすることで、ウェハ8a面内の温度差を2℃より小さくすることができ、一層の温度分布の改善が見られた。すなわち、ボトム領域の直径90mm以上160mm以下の環状領域内を加熱することにより、一層の温度分布の改善をすることができる。又、基板処理に於ける面内均一性をより一層向上させるにはウェハ8aの面内に於ける温度差が0.6℃以内であることが好ましく、キャップヒータ34の直径を120mm以上155mm以下とするのが好ましい。すなわち、ボトム領域の直径120mm以上155mm以下の環状領域内を積極的に加熱するように、キャップヒータ34の直径を120mm以上155mm以下の環状領域に収まるようにすることが好ましい。
【0054】
上記においては、例えば、ウェハの直径を300mmとして説明したが、ウェハの直径は300mmに限らず、例えば、150mm、200mm及び450mmであっても同様の効果を得ることができる。すなわち、ウェハの直径に対し、ボトム領域の1/5以上3/5以下の範囲を積極的に加熱すると、面内温度分布の改善が見られる。つまり、キャップヒータ34の直径が、ウェハの直径の1/5以上3/5以下の環状領域内に収まるようにすると、面内温度分布の改善が見られる。好適には、ボトム領域の3/10以上8/15以下の範囲を積極的に加熱すると、面内温度分布をより改善させることができる。つまり、キャップヒータ34の直径が、ウェハの直径の3/10以上8/15以下の環状領域内に収まるようにすると、面内温度分布をより改善させることができる。より好適には、ボトム領域の2/5以上31/60以下の範囲を積極的に加熱すると、面内温度分布を更に改善させることができ、基板処理の均一性を向上させることができる。つまり、キャップヒータ34の直径を2/5以上31/60以下の環状領域内に収まるようにすると、面内温度分布を更に改善させることができ、基板処理の面内均一性を向上させることができる。
【0055】
上記したように、キャップヒータ34による径方向の加熱位置を、ボトム領域の外周側から中心側へと移動させる過程で、すなわち、最下段のウェハ8aの面内温度が外周側で高く中心側で低くなる温度分布と、最下段のウェハ8aの面内温度が外周側と中心側で高くその間で低くなる逆凸状の温度分布との間で、最下段のウェハ8aの面内温度が外周側と中心側とで殆ど温度差がない温度分布となる。
【0056】
装置等により差が存在する可能性はあるが、径方向の加熱位置を外周側から中心側へと変化させた場合に、最下段のウェハ8aの面内温度分布が均一となる位置が存在する。従って、実験等により最下段のウェハ8aの面内温度分布が均一となる加熱位置を求め、求めた加熱位置を加熱できるようキャップヒータ34の直径を求めることで、基板処理の均一性を向上させることができる。
【0057】
次に、
図7〜
図13において第1の実施例に於けるキャップヒータ34の一例について説明する。
図7に示されるように、キャップヒータ34の上端は略環状の発熱部51と発熱部51の両端から外周方向に向って突出するV字形の補強部52を有している。ここでは、発熱部51は、その一部が開放したリング形状であり、言い換えれば、円弧状(馬蹄形状)に形成される。又、キャップヒータ34は、
図8に示されるように、補強部52の根本部(外周側端部)で屈曲され、下方に向って垂直に延出する垂下部53を有している。
【0058】
断熱部31の周面には、上下方向全長に亘って第1切欠き部54が形成されている。第1切欠き部54に垂下部53が挿通され、垂下部53が断熱部31の周面から突出するのを防止又は略防止するようになっている。又、垂下部53は、ベース24及びシールキャップ25を気密に貫通し、図示しない給電部に接続されており、垂下部53の貫通部は真空用継手等所定のシール部材によりシールされている。
【0059】
尚、第1切欠き部54が形成される位置、即ち補強部52が形成される位置は、ガス排気部17の上方であり、補強部52とガス排気部17とは面方向が一致又は略一致している。
【0060】
断熱部31の上面には、発熱部51との間に所定角度ピッチで複数のスペーサ55が設けられ、スペーサ55と発熱部51との間には間隙が形成されている。スペーサ55は、石英等の断熱部材により形成され、キャップヒータ34が経年劣化により変形した際に、発熱部51が断熱部31と直接接触するのを防止するようになっている。
【0061】
又、熱電対等の第2温度センサ39が、発熱部51の上面に先端部が接触するように設けられる。第2温度センサ39は、発熱部51に設けられた温度測定部材支持部であるサポート部56により先端部の位置が固定されている。サポート部56は、発熱部51と第2温度センサ39との接触長(接触面積)が大きくなるよう、補強部52の根本部から90°変位した位置から、更に所定角度、例えば、5°変位した位置に設けられている。又、第2温度センサ39と発熱部51との関係は、平面視において発熱部51の中心線が形成する仮想円(中心円)に対して、第2温度センサ39の中心線が接線あるいは略接線となっている。
【0062】
第2温度センサ39の基端側は、断熱部31の周縁部に向って延出し、断熱部31の周縁部で垂直下方に向って屈曲されている。屈曲部は、断熱部31の周面に上下方向全長に亘って形成された第2切欠き部57に挿通され、真空用継手等所定のシール部材を介してベース24及びシールキャップ25を気密に貫通し、温度制御部38に電気的に接続されている。
【0063】
第2温度センサ39もキャップヒータ34の垂下部53と同様、第2切欠き部57に挿通されることで、断熱部31の周面から突出しないようになっている。
【0064】
次に、
図10〜
図13において、キャップヒータ34の詳細について説明する。補強部52のV字形の頂角は、例えば、60°となっている。又、
図10に示されるように、発熱部51と補強部52の境界間の距離(V字形の底辺の長さ)をD1とすると、発熱部51と補強部52の境界部に掛かる力は、断熱部31の周面に対する接線方向のモーメントM1については距離D1によって発生する反力が軽減される。又、補強部52の発熱部51からの突出距離(発熱部51の中心円からV字形の頂点迄の距離)をD2とすると、断熱部31から離反する方向のモーメント(半径方向のモーメント)M2については距離D2によって発生する反力が軽減されるようになっている。
【0065】
キャップヒータ34は、断面円形の枠体である石英製の保護部材58と、保護部材58内に挿入された導線59を有し、導線59は例えばニッケル製の1巻きの導線となっている。導線59は、発熱部51と補強部52の境界部を発熱点として、発熱部51内で発熱体、例えばコイル状の抵抗発熱体61を形成しており、抵抗発熱体61に通電させることで、キャップヒータ34が発熱するようになっている。
【0066】
発熱部51内を挿通された導線59は、補強部52内で合流され、束ねられた状態で垂下部53内に垂下される。更に、導線59は、補強部52内でそれぞれ絶縁部材である保護ガラス62が装着されており、保護ガラス62により互いに絶縁されている。
【0067】
保護ガラス62は、例えば、多数連結された円柱状のセラミックガラスにより構成され、セラミックガラスに導線59を挿通し、又、連結されたセラミックガラス間の間隔を狭くすることで、束ねられた導線59間の絶縁性を確保している。
【0068】
又、垂下部53内では、束ねられた導線59のうち、一方のみが保護ガラス62に挿通されている。尚、垂下部53の径が充分に確保できる場合には、束ねられた導線59の両方を保護ガラス62に挿通してもよい。
【0069】
垂下部53の下端は、シリコン等の絶縁部材により形成されたキャップ63により気密且つ電気的に絶縁された状態で封止される。即ち、抵抗発熱体61は、電気的に絶縁された状態で、保護部材58内に気密に封入される。又、導線59はテフロン(登録商標)等の絶縁部材により被覆された状態で垂下部53の下端より延出し、図示しない給電部に接続される。
【0070】
上述のように、本実施例では、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
(a)キャップヒータの発熱部をウェハの直径よりも小さい円弧状(馬蹄形状)とし、キャップヒータの保護部材を板厚の小さい石英製としているので、キャップヒータの昇温及び降温が容易であり、リカバリ時間が短縮され、スループットを向上させることができる。
(b)キャップヒータの直径がウェハの直径よりも小さくなっているので、ガス導入孔からガス排気部に向って流れるガスの流れを妨げることがなく、ガスがウェハの表面に均一に供給され、ウェハの面内均一性を向上させることができる。
(c)キャップヒータにより最下段のウェハの周縁部よりも中心側の環状領域を積極的に加熱するようになっているので、最下段のウェハの周縁部が側部ヒータとキャップヒータにより2重に加熱されることが防止され、温度の下がり易いボトム領域を効率的に均一に加熱することができ、ウェハの面内温度均一性を向上させることができる。
(d)キャップヒータは、発熱部から外周側に突出するV字形の補強部を有し、補強部の根本から下方に屈曲させて垂下部を形成しているので、別途補強部材を設けることなくキャップヒータの強度の確保が可能であり、部品点数の低減を図ることができる。
(e)補強部がガス排気部の上方に位置しているので、V字形の補強部によりガスに乱流が生じた場合でも乱流を速やかに排気することができ、乱流の発生が抑制され、ウェハに均一にガスが供給され面内均一性を向上させることができる。
(f)垂下部は断熱部の上下方向全長に亘って形成された第1切欠き部に挿通され、垂下部が断熱部の周面から突出しないようになっているので、垂下部によりガスの流れが妨げられるのを防止することができる。
(g)垂下部内では、束ねられた導線のうち、一方のみが保護ガラスに挿通されるようになっているので、垂下部の内径を小さくすることができ、キャップヒータの省スペース化を図ることができる。
(h)キャップヒータは固定的に設けられ、ボートがキャップヒータに対して独立して回転するようになっているので、キャップヒータを用いる際のウェハの加熱むらが抑制され、ウェハを均一に加熱することができる。
(i)断熱部の上面にスペーサを設けたので、キャップヒータが熱により変形し、垂れ下がった際に断熱部と直接接触することがなく、断熱部に熱を奪われることがなく、キャップヒータの耐久性を向上させることができる。
(j)第2温度センサをキャップヒータの発熱部の上面に接触するように設け、キャップヒータの温度を被加熱体であるウェハ側から計測することができるので、キャップヒータの温度の測定精度が向上し、加熱制御性が向上し、ウェハの面内均一性を向上させることができる。
(k)第2温度センサは、発熱部の、補強部の根本部から90°変位した位置から更に所定角度変位した位置に設けられたサポート部により固定されるので、第2温度センサと発熱部との接触面積が大きくなり、熱電対を保護する石英管を短時間で加熱することができ、測定誤差を小さくできると共に、第2温度センサを容易に位置合せすることができる。
(l)キャップヒータによる加熱位置を、ウェハの半径の中間又は中間近傍とすることで、処理室内のボトム領域に於ける外周側と中心側の温度差が小さくなり、ボトム領域が効率的に均一に加熱され、ウェハの温度の面内均一性を更に向上させることができる。
(m)キャップヒータにより処理室下部の温度が低下しやすい部分を加熱することにより、均熱長を処理室下方まで伸ばすことができるため、ダミーウェハを削減することができる。すなわち、製品ウェハの処理枚数を増やすことが可能となり、生産性を向上させることができる。
【0071】
図14は第1の実施例の変形例を示している。変形例では、キャップヒータ34と同心に、キャップヒータ34よりも直径の小さいキャップヒータ34′を設けている。尚、該キャップヒータ34′の構造はキャップヒータ34と同等であるので、説明は省略する。
【0072】
変形例の場合、第1切欠き部54の切欠き深さを深くし、キャップヒータ34の垂下部53(
図8参照)とキャップヒータ34′の垂下部(図示せず)を共に第1切欠き部54に挿通させることで、垂下部を断熱部31の周面から突出させることなく設けることができる。
【0073】
キャップヒータ34を環状領域内に複数設け、各キャップヒータ34を個別に制御可能とすることで、キャップヒータ34による加熱制御性が更に向上し、より効果的にボトム領域を加熱でき、ウェハ8の面内温度均一性を更に向上させることができる。尚、
図14中では、第2温度センサ39を1つのみ設けているが、第2温度センサ39を各キャップヒータ34に設けることで、より細やかな温度制御が可能となり、加熱制御性を更に向上させることができる。
【0074】
次に、
図15において、本発明の第2の実施例について説明する。尚、
図15中、
図7中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0075】
第2の実施例では、キャップヒータ34は外円部66aと内円部66bとが同心多重円状となった2重構造の発熱部66を有している。又、キャップヒータ34は、第1切欠き部54に挿通された垂下部53(
図8参照)が断熱部31の上面に沿って屈曲され、該断熱部31の中心に向って延出する延出部65を有している。
【0076】
外円部66aは、基端側で延出部65と溶接等により固着されている。又、外円部66aと内円部66bは、延出部65と略対向する位置、すなわち、先端側で溶接等により固着されている。尚、先端側では、外円部66a同士、及び内円部66b同士は接続されておらず、発熱部66の先端が離反した状態となっている。即ち、発熱部66は、外円部66aと内円部66bとが1巻きで一体化された2重構造となっている。尚、図示はしないが、第1の実施例と同様、延出部65と外円部66aとの境界部を発熱点として、発熱部66内にコイル状の抵抗発熱体が封入されている。
【0077】
第2の実施例においては、発熱部66が2重となっている。従って、キャップヒータ34の出力を増加させることができ、処理室6(
図1参照)下部のボトム領域をより効果的に加熱することができる。又、キャップヒータ34は1巻きの導線59(
図11参照)により作成可能であるので、2重の発熱部66を有するキャップヒータ34に対する給電部は1つでよく、制御系が簡略化できると共に、部品点数を削減することができる。
【0078】
図16は、本発明の第2の実施例の変形例を示している。変形例では、第2の実施例に於ける延出部65を、第1の実施例のV字形の補強部52(
図7参照)と同形状の補強部67としている。
【0079】
補強部67の根本部で下方に屈曲させ、垂下部(図示せず)を形成させるようにすることで、キャップヒータ34の断熱部31の周面に沿う方向、及び断熱部31から離反する方向に対する強度を向上させることができる。
【0080】
次に、
図17、
図18において、本発明の第3の実施例について説明する。尚、
図7中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
第3の実施例では、平面視において、垂下部53を発熱部51の中心に形成している。また、垂下部53の上方で水平方向に屈曲され、断熱部31の中心から外方に向って延出する延出部65を有している。延出部65は発熱部51の両端に接続するように一対のI字形状に形成されており、垂下部53の上端にて一本に合流される。第2温度センサ39は発熱部51の中心から断熱部31の上面に沿って延出部65とは反対方向に水平に屈曲され、発熱部51の側面に接続するよう形成されている。
図19に示すように、垂下部53の上端は一対の延出部65および第2温度センサ39が合流するため、垂下部53の下方よりも径が大きくなっている。第2温度センサ39は、発熱部51の温度を検出する第1温度センサ39Bとボトム領域の中心付近の温度を検出する第2センサ39Bとを封入している。
【0082】
発熱部51は略カージオイド形(心臓形)に形成されている。言い換えれば、発熱部51はカージオイド形の尖点を分離させた形状に形成されている。第1の実施例と同様に、延出部65と発熱部51との境界部を発熱点として、発熱部51内にコイル状の抵抗発熱体が封入されている。好ましくは、カージオイド形の曲線部分は真円状に形成される。 垂下部53は孔30、シールキャップ25およびベース24を貫通するように設置される。
【0083】
カージオイド形の尖点まで抵抗発熱体が封入されているため、発熱部51による環状領域内の加熱部分を増やすことができ、キャップヒータ34による加熱性能が向上させることができる。これにより、より効果的にボトム領域を加熱でき、ウェハ8の面内温度均一性を更に向上させることができる。また、平面視において発熱部51の中心位置に設置された垂下部53によって発熱部51を支持するため、経年劣化による発熱部51の垂れや歪みが生じにくい。長期的にキャップヒータ34を運用することができるため、生産性を向上させることができる。
【0084】
尚、第1の実施例、第2の実施例および第3実施例では、発熱体として、コイル状の抵抗発熱体を例示しているが、発熱体としてハロゲンランプ等のランプヒータを用いてもよいのは言う迄もない。
【0085】
上述で例示した酸化膜形成に限らず、窒化膜形成においても本発明は好適に適用可能である。例えば、上述で例示した原料ガスと、反応ガスとして、NH3 ガスを用いることにより、窒化膜を形成することができる。
【0086】
更に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属元素を含む金属系薄膜を形成する場合においても、本発明は好適に適用可能である。
【0087】
(本発明の好ましい態様)
以下、本発明の実施の好ましい態様について付記する。
【0088】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
複数枚の基板を保持する基板保持具と、
前記基板保持具の下方に設けられた断熱部と、
前記基板を処理する処理室を内部に有する反応管と、
前記反応管の周囲に設けられた第1加熱部と、
前記基板保持具と前記断熱部との間に設けられた第2加熱部と、を具備し、
前記第2加熱部は、
略環状の発熱部と、
前記発熱部より下方に延伸する垂下部と、を有し、
前記発熱部が前記基板より小さい径の環状領域に収まるように構成される基板処理装置が提供される。
【0089】
(付記2)
付記1に記載の装置であって、好ましくは、
前記環状領域は前記基板の直径の1/5以上3/5以下である。
【0090】
(付記3)
付記1または2に記載の装置であって、好ましくは、
前記発熱部の表面に温度測定部材が接続される。
【0091】
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載の装置であって、好ましくは、
前記第1加熱部は、
前記処理室内の前記基板保持具が収納される上部領域を加熱する上部ヒータと、
前記処理室内の前記断熱部が収納される下部領域を加熱する下部ヒータと、を備え、
前記発熱部は、少なくとも前記上部ヒータと前記下部ヒータとの境界の高さ位置以上の高さに設置される。
【0092】
(付記5)
付記4に記載の装置であって、好ましくは、
前記発熱部の温度は、前記下部ヒータの温度以下である。
【0093】
(付記6)
付記1乃至3に記載の装置であって、好ましくは、
前記発熱部は円弧状(馬蹄形状)に形成される。
【0094】
(付記7)
付記4に記載の装置であって、好ましくは、
前記第2加熱部は、前記発熱部から外周側に向って突出するV字形の補強部を有する。
【0095】
(付記8)
付記3に記載の装置であって、好ましくは、
前記発熱部に温度測定部材支持部が設けられ、前記温度測定部材支持部により温度検出器が前記発熱部の上面に接触した状態で支持される。
【0096】
(付記9)
付記8に記載の装置であって、好ましくは、
前記温度測定部材支持部は、前記発熱部の中心線が形成する仮想円に対して前記温度検出器の中心線が接線又は略接線となる位置に設けられる。
【0097】
(付記10)
付記7に記載の装置であって、好ましくは、
前記補強部の根本部と前記垂下部とが接続され、前記垂下部内では1対の発熱体のうち一方のみに絶縁部材が装着される。
【0098】
(付記11)
付記8に記載の装置であって、好ましくは、
前記断熱部上面の前記発熱部の下方にスペーサが設けられ、前記スペーサと前記発熱部との間に間隙が形成されている。
【0099】
(付記12)
付記11に記載の装置であって、好ましくは、
前記補強部は前記処理室の排気部の上方に設けられる。
【0100】
(付記13)
付記1または2に記載の装置であって、好ましくは、
前記第2加熱部は同心に複数設けられる。
【0101】
(付記14)
付記1または2に記載の装置であって、好ましくは、
前記発熱部は同心多重円状に設けられた外円部と内円部とを有し、前記外円部が基端側で前記補強部と接続され、前記外円部と前記内円部とが先端側で接続される。
【0102】
(付記15)
付記1乃至14に記載の装置であって、好ましくは、
前記断熱部の周面に上下方向全長に亘って切欠き部が形成され、前記切欠き部に前記垂下部が挿通される。
【0103】
(付記16)
付記1または2又に記載の装置であって、好ましくは、
前記発熱部はカージオイド形(心臓形)に形成される。
【0104】
(付記17)
付記16に記載の装置であって、好ましくは、
前記垂下部は、平面視において前記発熱部の中心位置に形成される。
【0105】
(付記18)
付記2に記載の装置であって、好ましくは、
前記環状領域は前記基板の直径の1/5以上3/5以下である。
【0106】
(付記19)
付記18に記載の装置であって、好ましくは、
前記環状領域は前記基板の直径の3/10以上8/15以下である。
【0107】
(付記20)
付記1乃至19に記載の装置であって、好ましくは、
前記発熱部の直径は、最下段の基板の面内温度分布が均一となる位置で加熱できる大きさである。
【0108】
(付記21)
本発明の他の態様によれば、
断熱部の上方に設置され、複数の基板を保持する基板保持具を処理室内に搬入する工程と、
前記処理室の周囲に設けられた第1加熱部および前記基板保持具と前記断熱部との間に設けられた略環状の第2加熱部が前記処理室内を加熱する工程と、
前記処理室内に処理ガスを供給する工程と、を有し、
前記処理室内を加熱する工程では、前記基板より小さい径の環状領域に収まるように形成された前記第2加熱部の前記発熱部が前記処理室内のボトム領域を加熱する基板処理方法、又は、半導体装置の製造方法が提供される。
【0109】
(付記22)
本発明の更に他の態様によれば、
断熱部の上方に設置され、複数の基板を保持する基板保持具を処理室内に搬入する手順と、
前記処理室の周囲に設けられた第1加熱部および前記基板保持具と前記断熱部との間に設けられた略環状の第2加熱部が前記処理室内を加熱する手順と、
前記処理室内に処理ガスを供給する手順と、を有し、
前記処理室内を加熱する手順では、前記基板より小さい径の環状領域に収まるように形成された前記第2加熱部の前記発熱部が前記処理室内のボトム領域を加熱するようにコンピュータに実行させるプログラム、又は、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0110】
(付記23)
本発明のさらに他の態様によれば、
複数の基板を保持する基板保持具と前記基板保持具の下方に設置された断熱部との間に設置される加熱部であって、
前記加熱部は、
略環状の発熱部と、
前記発熱部より下方に延伸する垂下部と、を有し、
前記発熱部が前記基板より小さい径の環状領域に収まるように、前記発熱部が構成される加熱部が提供される。
【0111】
(付記24)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板を保持する基板保持具と、該基板保持具の下方に設けられた断熱部と、基板を処理する処理室を画成する反応管と、該反応管の周囲を囲繞する様設けられた第1加熱部と、前記基板保持具と前記断熱部との間に設けられた第2加熱部とを具備し、該第2加熱部は基板よりも径の小さい環状であり、前記処理室下部の径方向の一部を加熱する様構成された基板処理装置が提供される。
【0112】
(付記25)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板を保持する基板保持具を処理室内に装入する工程と、第1加熱部及び第2加熱部が前記処理室内を加熱する工程と、該処理室内に処理ガスを供給し排気する工程と、前記処理室内から前記基板保持具を装脱する工程とを有し、前記処理室内を加熱する工程では、前記第2加熱部が前記基板保持具の下方から基板の周縁よりも中心側で径方向の一部を環状に加熱する基板処理方法、または、半導体装置の製造方法が提供される。