(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1電池電圧測定部及び前記第2電池電圧測定部の各々は、前記第1電池電圧測定部の測定結果と前記第2電池電圧測定部の測定結果とを比較した比較結果に基づいて異常に関する診断を行う比較部に、測定結果を出力する、
請求項1に記載の半導体装置。
前記第2電池電圧測定部は、前記第1電池電圧測定部よりも動作速度が遅いレベルシフタ及び前記第1電池電圧測定部よりも分解能が低い変換部の少なくとも一方を備える、
請求項3に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照して、実施形態を詳細に説明する。
[第1実施形態]
まず、本実施形態の電池監視システムの構成について説明する。
図1には、本実施形態の電池監視システム1の一例の構成を表した回路図を示す。
【0018】
図1に示すように本実施形態の電池監視システム1は、組電池2、インタフェース4、制御装置6、及び電池監視IC10を備える。
【0019】
図1では電池セルVcn及びVcn−1のみを示しているが、組電池2は、電池セルVcnが最高電位側、電池セルVc1が最低電位側となるように直列に接続されたn個の電池セルVc1〜Vcnを含んでいる。本実施形態の電池監視システム1では、電池セルVc1の低電位側の電位は接地電位に等しい。なお、組電池2に含まれる電池セルVcの数、すなわち、nの数は限定されるものではない。
【0020】
以下では、電池セルVc1〜Vcnについて総称する場合は、「電池セルVc」という。また、電池セルVcに接続される均等化スイッチ20等、各部(詳細後述)についても同様に個々を特定して説明する場合には個々を特定するための符号1〜n+1の符号を付し、総称する場合は、当該符号を省略して記載する。
【0021】
制御装置6は、電池監視IC10とインタフェース4を介して接続される。制御装置6は、例えば、MCU(Micro Control Unit)等であり、電池監視IC10の端子50_1から電池セルVcの電池電圧に応じたデジタル信号がインタフェース4を介して入力される。制御装置6は、入力されたデジタル信号に基づいて電池セルVcの電池電圧に関する制御を行うための制御信号をインタフェース4を介して電池監視IC10の端子50_3に出力する。
【0022】
制御信号は、端子50_3から制御部12に入力される。制御部12は、当該制御信号に基づいて、均等化SW20、S/HSW22、セル選択SW24、及びセル選択SW26の各々に含まれる各スイッチのオン及びオフの制御を行う。
【0023】
本実施形態の電池監視IC10は、制御部12が制御信号に応じた制御を行うことにより組電池2の各電池セルVcの電池電圧を監視する半導体装置である。
【0024】
電池監視IC10は、制御部12と、均等化スイッチ20と、サンプルホールドスイッチ22と、セル選択スイッチ24と、セル選択スイッチ26と、を備える。
【0025】
均等化スイッチ20(以下「均等化SW20」という)は、
図1には均等化SW20n及び20n−1のみ記載しているが、均等化SW20
1〜20nを備えている。サンプルホールドスイッチ22(以下、「S/HSW22」という)は、
図1には22n−1〜22n+1のみ記載しているが、S/HSW22
1〜22n+1を備えている。また、セル選択スイッチ26(以下、「セル選択SW26」という)は、
図1にはセル選択SW24nA_R、24n+1A_R、24A_N、24n+1A_N、24n−1B_R、24nB_R、24n−1B_N、及び24nB_Nのみ記載しているが、セル選択SW24
1B_R〜24nB_R、24
1B_N〜24nB_N、24
2A_R〜24n+1A_R、及び24
2A_N〜24n+1A_Nを備えている。さらに、セル選択スイッチ26(以下、「セル選択SW26」という)は、
図1にはセル選択SW26n−1_R〜26n+1_R、及び26n−1_N〜26n+1_Nのみ記載しているが、セル選択SW26
1_R〜26n+1_R及び26
1_N〜26n+1_Nを備えている。
【0026】
また、本実施形態の電池監視IC10は、外部に備えられた容量素子Clpfに接続される端子C1〜Cn+1(以下、総称する場合は「端子C」という)を備える。また、抵抗素子Rlpfを介して電池セルVcに接続される端子V1〜Vn+1(以下、総称する場合は「端子V」という)を備える。本実施形態の電池監視システム1では、抵抗素子Rlpf及び容量素子Clpfによりローパスフィルタ(以下、「LPF」という)が構成される。
【0027】
また、抵抗素子RbalAを介して電池セルVcに接続される端子CB2A〜CBn+1A(以下、総称する場合は「端子CBA」という)を備える。また、抵抗素子RbalBを介して電池セルVcに接続される端子CB1B〜CBnB(以下、総称する場合は「端子CBB」という)を備える。
【0028】
さらに、本実施形態の電池監視IC10は、電圧測定回路30_1及び30_2を備える。電圧測定回路30_1及び30_2は同一の構成を有しているため、個々を区別せずに総称する場合は、「電圧測定回路30」という。なお、電圧測定回路30_1が本発明第1電池電圧測定部に対応し、電圧測定回路30_2が本発明の第2電池電圧測定部に対応する。
【0029】
電圧測定回路30は、バッファアンプ32、レベルシフタ34、ADC(Analog-to-digital converter)36、及び基準電源38を備えている。バッファアンプ32は、バッファアンプ32_n及び32_rを備えている。電圧測定回路30_1では、バッファアンプ32_nの入力端子は信号線46に接続されており、バッファアンプ32_rの入力端子は信号線47に接続されている。また、電圧測定回路30_2では、バッファアンプ32_nの入力端子は信号線44に接続されており、バッファアンプ32_rの入力端子は信号線45に接続されている。
【0030】
レベルシフタ34は、バッファアンプ32_nから入力された電圧とバッファアンプ32_rから入力された電圧との差をグランド(0V)を基準とした電圧として出力する。ADC36は、基準電源38から供給される基準電圧VREFに基づいてレベルシフタ34から出力された電圧をAD変換してデジタル信号を生成し、生成したデジタル信号を電圧測定回路30の外部に出力する。電圧測定回路30_1から出力されたデジタル信号は端子50_1を介して制御装置6に出力される。また、電圧測定回路30_2から出力されたデジタル信号は端子50_2を介して制御装置6に出力される。
【0031】
電池セルVcと電池監視IC10との接続及び電池監視IC10の内部回路(均等化SW20等)の接続について説明する。なお、
図1では電池セルVcn及びVcn−1のみを示しており、各電池セルVcに接続される電池監視IC10の構成も電池セルVcn及びVcn−1についてのみ記載しているが、電池セルVc1〜Vcn−2についても同様の構成を有している。そのため、具体例として電池セルVcnにかかわる電池監視IC10の接続に関して説明する。
【0032】
電池セルVcnの高電位側は、抵抗素子Rlpfを介して電池監視IC10の端子Vn+1に接続されている。端子Vn+1はS/HSW22n+1の一端に接続され、S/HSW22n+1の他端は信号線40n+1に接続されている。また、S/HSW22n+1の他端は、端子Cn+1を介して、電池監視IC10の外部に設けられた容量素子Clpfの一方の電極に接続されている。当該容量素子Clpfの他方の電極は、接地電位に固定されている。信号線40n+1は、セル選択SW26n+1_Nを介して信号線46に接続されている。また、信号線40n+1は、セル選択SW26n+1_Rを介して信号線47に接続されている。
【0033】
また、電池セルVcnの高電位側は、抵抗素子RbalAを介して電池監視IC10の端子CBn+1Aに接続されている。端子CBn+1Aには信号線41n+1が接続されている。信号線41n+1は、セル選択SW24n+1A_Nを介して信号線44に接続されている。また、信号線41n+1は、セル選択SW24n+1A_Rを介して信号線45に接続されている。
【0034】
また、電池セルVcnの低電位側は、抵抗素子RbalBを介して電池監視IC10の端子CBnBに接続されている。端子CBnBには信号線42nが接続されている。信号線42nは、セル選択SW24nB_Nを介して信号線44に接続されている。また、信号線42nは、セル選択SW24nB_Rを介して信号線45に接続されている。
【0035】
均等化スイッチ20nは、信号線41n+1と信号線42nとの間に接続されている。
【0036】
次に、本実施形態の電池監視システム1による組電池2の各電池セルVcの電池電圧の測定方法について説明する。電池セルVcの電池電圧の測定は、電圧測定回路30_1により行われる。
【0037】
まず、制御装置6は、制御部12によりS/HSW22を全てオン状態にさせ、セル選択SW24及びセル選択SW26を全てオフ状態にさせる。また、制御装置6は、制御部12により均等化SW20を全てオフ状態にさせる。
【0038】
この場合、電池セルVcの電池電圧は抵抗素子Rlpf及びS/HSW22を介して容量素子Clpfに印加される。容量素子Clpfには、電池セルVcの電池電圧に応じた電荷が蓄積される。
【0039】
各電池セルVcの電池電圧を測定する際には、制御装置6がS/HSW22を全てオフ状態にさせて、容量素子Clpfに蓄積された電荷を順次測定することにより、各電池セルVcの電池電圧を測定する。
【0040】
具体例として電池セルVcnの電池電圧を測定する場合について説明する。なお、均等化SW20は全てオフ状態のままとする。
【0041】
まず、S/HSW22n+1及び22nをオン状態にし、端子Cn+1に接続された容量素子Clpfに電池セルVcnの高電位側の電圧に応じた電荷を蓄積する。また、端子Cnに接続された容量素子Clpfに電池セルVcnの低電位側の電圧に応じた電荷を蓄積する。
【0042】
次に、S/HSW22をオフ状態にし、セル選択SW26n+1_N及びセル選択SW26n_Rをオン状態にする。これにより、電圧測定回路30_1のバッファアンプ32_nには端子Cn+1の電圧が印加され、バッファアンプ32_rには端子Cnの電圧が印加される。バッファアンプ32_nから出力された端子Cn+1の電圧と、バッファアンプ32_rから出力された端子Cnの電圧とが、レベルシフタ34に入力され、レベルシフタ34からは端子Cn+1の電圧と端子Cnの電圧との差が出力される。レベルシフタ34から出力された電圧差は、ADC36によりデジタル信号に変換されて制御装置6へ出力される。
【0043】
電池セルVc1〜セルVcn−1の電池電圧も、上述の電池セルVcと同様の測定方法により順次測定を行う。
【0044】
制御装置6は、電池監視IC10から入力されるデジタル信号に基づいて、各電池セルVcの電池電圧にばらつきが生じているか否かを判断する。ばらつきが生じている場合、制御装置6は、ばらつきに応じた電池セルVcの均等化SW20をオン状態にすることにより電池セルVcの電池電圧を放電して各電池セルVcの電池電圧を均等化する。
【0045】
次に、電池監視IC10の異常に関する診断方法について説明する。
図2には、電池監視IC10の異常に関する診断(以下、単に「診断」という)動作の流れの一例を表したフローチャートを示す。
【0046】
なお、電池監視IC10の異常に関する診断を行うタイミングは特に限定されないが、本実施形態の電池監視システム1では各容量素子Clpfに各電池セルVcの電池電圧に応じた電荷が蓄積された状態で診断を行う。そのため、各電池セルVcの電池電圧の測定後、引き続き診断を行うことにより、上述したように電池セルVcの電池電圧の測定に際して容量素子Clpfに蓄積した電荷を利用して診断を行うことができる。なお、電池セルVcの電池電圧の測定から診断を行うまでの時間が長い場合、容量素子Clpfに蓄積させた電荷が放電してしまう場合があるため、このような場合は、診断を行う前に新たに、容量素子Clpfに電池セルVcの電池電圧に応じた電荷を蓄積させることが好ましい。
【0047】
診断動作を開始する場合、制御装置6は、均等化SW20、S/HSW22、セル選択SW24及び26の全てのスイッチをオフ状態にさせておく。
【0048】
まず、ステップS100で制御装置6は、組電池2の電池セルVcの中から1つの電池セルVcを選択する。具体例として、電池セルVcnを選択した場合について以下に説明する。
【0049】
そして次のステップS102で制御装置6は、選択した電池セルVcに応じたS/HSW22と、セル選択SW24及び26をオン状態にさせる。
【0050】
電池セルVcnを選択した場合、
図3に示すようにS/HSW22n+1、22n及びセル選択SW26n+1_N、26n_Rをオン状態にさせる。これにより、
図3に示すように端子Cn+1の電圧が電圧測定回路30_1のバッファアンプ32_nに印加される。また、端子Cnの電圧が電圧測定回路30_1のバッファアンプ32_rに印加される。この際、端子Cn+1には電池セルVcの高電位側の電圧に応じて容量素子Clpfに蓄積された電荷に応じた電圧が印加されており、端子Cnには電池セルVcの低電位側の電圧に応じて容量素子Clpfに蓄積された電荷に応じた電圧が印加されている。なお、この場合では、
図3において示した容量素子Clpfから電圧測定回路30_1のバッファアンプ32に電流が流れる経路が本発明の第1経路に対応する。また、この場合では、端子Cn+1及び端子Cnが本発明の第1ノードに対応する。
【0051】
また、
図4に示すようにセル選択SW24n+1A_N、及びセル選択SW24nB_Rをオン状態にさせる。これにより、
図4に示すように端子CBn+1Aの電圧が電圧測定回路30_2のバッファアンプ32_nに印加される。また、端子CBnBの電圧が電圧測定回路30_2のバッファアンプ32_rに印加される。この際、端子CBn+1Aには電池セルVcの高電位側の電圧が印加されており、端子CBnBには電池セルVcの低電位側の電圧が印加されている。なお、この場合では、
図4において示した電池セルVcから電圧測定回路30_2のバッファアンプ32に電流が流れる経路が本発明の第2経路に対応する。また、この場合では、端子CBn+1A及び端子CBnBが本発明の第2ノードに対応する。
【0052】
そこで次のステップS104では、電圧測定回路30_1及び30_2から測定結果を制御部50_1及び50_2を介して制御装置6に出力する。
【0053】
電池セルVcnを選択した場合、電圧測定回路30_1は、端子Cn+1の電圧と端子Cnの電圧との差を測定結果として出力する。また、電圧測定回路30_2は、端子CBn+1Aの電圧と端子CBnBの電圧との差を測定結果として出力する。
【0054】
次のステップS106で制御装置6は、電圧測定回路30_1の測定結果と電圧測定回路30_2の測定結果とを比較して両測定結果の差分の絶対値が閾値以下(0V含む)であるか否かを判定する。正常である場合、電圧測定回路30_1の測定結果と電圧測定回路30_2の測定結果との差分は0Vとなる。そこで、本実施形態では、測定誤差等の影響を考慮した閾値を予め定めておき、電圧測定回路30_1の測定結果と電圧測定回路30_2の測定結果との差分が閾値以下であれば、正常であると判断する。
【0055】
従って、両測定結果の差分の絶対値が閾値以下の場合はステップS108に進み、制御装置6は測定結果が正常であると判断する。一方、両測定結果の差分の絶対値が閾値を越える場合はステップS110に進み、制御装置6は測定結果が異常であると判断する。
【0056】
測定結果について正常または異常と判断すると次のステップS112で制御装置6は、全ての電池セルVcを選択したか否か判定する。
【0057】
まだ選択していない電池セルVcがある場合はステップS100に戻り、上記動作を繰り返す。なお、この際、上記ステップS102でオン状態にした各スイッチをオフ状態にしてからステップS100に戻る。
【0058】
一方、全ての電池セルVcを選択した場合はステップS114へ移行する。
【0059】
ステップS114で制御装置6は、正常な測定結果が所定数以上あったか否かを判断する。上述したように測定結果が異常であると判断する場合(ステップS110)とは、電圧測定回路30_1及び30_2の少なくとも一方に異常が生じている場合、その他の電池監視IC10の回路の各部分(セル選択SW24や電流が流れる経路等)に異常が生じている場合、及びその両方の場合のいずれかが考えられる。
【0060】
電圧測定回路30_1及び30_2の少なくとも一方に異常が生じている場合、複数の測定結果の大部分が異常と判断されることが想定される。そこで本実施形態では、正常な測定結果が所定値以上の場合(ステップS114で肯定判定)は、ステップS116に示すように電圧測定回路30_1及び30_2は正常であると制御装置6が判断し、本診断動作を終了する。また、正常な測定結果が所定値未満の場合(ステップS114で否定判定)は、ステップS118に示すように電圧測定回路30_1及び30_2の少なくとも一方は異常であると制御装置6が判断し、本診断動作を終了する。
【0061】
なお、上述した診断動作のステップS114〜S118の各動作は特に限定されるものではない。例えば、正常な測定結果が所定値以上の場合、測定結果が異常であると判断した電池セルVcの診断の際にオン状態にしたS/HSW22、及びセル選択SW24、26や、電流の経路等に異常があると判断してもよい。
【0062】
また、制御装置6は、診断動作の結果に応じて予め定められた動作(例えば、診断結果の報知等)を行ってもよいことはいうまでもない。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の電池監視システム1では、電池監視IC10が、電池セルVcの電池電圧に応じた電荷が蓄積される容量素子Clpfに蓄積された電荷に応じた電圧が印加され端子Cと、第1経路を介して端子Cの電圧を測定する電圧測定回路30_1と、電池セルVcの電池電圧に応じた電圧が印加される、端子Cと異なる端子CBA及び端子CBBと、第1経路と異なる第2経路を介して端子CBA及び端子CBBの電圧を測定する電圧測定回路30_2と、を備える。
【0064】
電池監視IC10の診断を行う場合は、制御装置6は、電圧測定回路30_1の測定結果と電圧測定回路30_2の測定結果を比較して、両測定結果の差分が閾値以内の場合は正常であると判断し、差分が閾値を越える場合は異常であると判断する。
【0065】
このように本実施形態の電池監視システム1では、1つの電池監視IC10により、組電池2に含まれる各電池セルVcの電池電圧の測定、及び電池監視IC10の異常に関する診断の両方を行うことができる。
【0066】
これにより、
図20に示した従来技術の電池監視IC1000のように、2つの電池監視IC10を備えることを要しないため、電池監視システム1が備える電池監視IC10の数を削減するとともに、電池監視IC10の外付けとして必要な周辺部品(例えば、抵抗素子Rlpf、容量素子Clpf、及び外部の制御装置との間に介するインタフェース等)も削減することができる。
【0067】
従って、本実施形態の電池監視IC10によれば、小型の回路で電池監視精度を向上させることができる。
【0068】
なお、本実施形態では、診断動作のステップS102においてS/HSW22n+1及び22nをオン状態にさせているが、これらのスイッチはオン状態にさせず、オフ状態のままでもよい。なお、このようにこれらのスイッチをオン状態にさせることにより
図3に電池セルVcnの高電位側からS/HSW22n+1及び低電位側からS/HSW22nまで点線で示した経路を電流が流れることになる。そのため、端子Cn+1に接続された容量素子Clpf及び端子Cnに接続された容量素子Clpfの各々に蓄積された電荷に放電等が生じた場合でも、電池セルVcの電池電圧の測定精度が低下するのを抑制することができる。
[第2実施形態]
本実施形態の電池監視システム1は、電池監視IC10の構成が第1実施形態と異なっている。
図5には、本実施形態の電池監視システム1の一例の構成を表した回路図を示す。
【0069】
図5に示すように本実施形態の電池監視IC10は、第1実施形態の電池監視IC10(
図1参照)の電圧測定回路30_1に代わり電圧測定回路30_3を備えている他は、同様の構成を有している。
【0070】
電圧測定回路30_3は、バッファアンプ32、レベルシフタ35、ADC37、及び基準電源38を備えている。レベルシフタ35は、レベルシフタ34に比べて動作速度が低速なレベルシフタである。また、ADC37は、ADC36に比べて分解能のビット数が低い、すなわち低分解能のADCである。
【0071】
そのため、電圧測定回路30_3は、電圧測定回路30_1に比べて電池電圧の測定精度は低下する。一方、レベルシフタ35及びADC37のチップサイズは、各々レベルシフタ34及びADC36のチップサイズよりも小さくすることができる。そのため、電圧測定回路30_3は、電圧測定回路30_1に比べてサイズを小さくすることができる。
【0072】
従って、本実施形態の電池監視IC10は、全体のチップサイズを第1実施形態の電池監視IC10に比べて小さくすることができる。
【0073】
なお、本実施形態の電池監視システム1による電池セルVcの電池電圧の測定方法は第1実施形態の電池監視システム1と同様であるため説明を省略する。
【0074】
また、本実施形態の電池監視システム1による電池監視IC10の診断動作の全体の流れは第1実施形態の診断動作の流れ(
図2参照)と略同様であるがステップS106で判定に用いる閾値が異なっている。診断動作のステップS106では、測定結果の差分の絶対値が閾値以下であるか否かを判定している。
【0075】
上述したように、電圧測定回路30_1と電圧測定回路30_3とでは、測定精度が異なる。従って、正常であっても電圧測定回路30_1の測定結果と電圧測定回路30_3の測定結果とが一致しない場合がある。そのため、本実施形態では、測定精度の違いを考慮して、ステップS106で判定に用いる閾値を予め定めておく。そのため、ステップS106で用いる閾値は、第2実施形態の方が第1実施形態よりも大きい値となる。
【0076】
なお、上述したようにチップサイズの縮小と測定精度とは相反関係にあるため、所望のチップサイズ及び所望の測定精度等に応じて、レベルシフタ35の動作速度をどの程度レベルシフタ34に比べて低速とするか、及びADC37の分解能(ビット数)をどの程度ADC36に比べて低くするかを決定すればよい。
【0077】
このように本実施形態の電池監視システム1では、第1実施形態と同様に、1つの電池監視IC10により、組電池2に含まれる各電池セルVcの電池電圧の測定、及び電池監視IC10の異常に関する診断の両方を行うことができる。従って、本実施形態の電池監視IC10によれば、小型の回路で電池監視精度を向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態の電池監視IC10によれば、第1実施形態の電池監視IC10と比べて、チップサイズを小さくすることができる。
[第3実施形態]
本実施形態の電池監視システム1は、電池監視IC10の構成が上記各実施形態と異なっている。
図6には、本実施形態の電池監視システム1の一例の構成を表した回路図を示す。
【0079】
図6に示すように本実施形態の電池監視IC10は、第1実施形態の電池監視IC10(
図1参照)のS/HSW22に代わりS/HSW27を備えている。また、本実施形態の電池監視IC10は、第1実施形態の電池監視IC10が備えていたセル選択SW24、及び信号線44、45を備えていない。また、本実施形態の電池監視IC10は、均等化SW20の接続関係が第1実施形態の電池監視IC10と異なっている。
【0080】
具体例として、電池セルVcnにかかわる電池監視IC10の接続に関して説明する。端子CBnBは均等化SW20nの一端のみに接続されている。また、端子CBn+1A及び均等化SW20nの他端は、S/HSW27n+1を介して信号線41n+1に接続されている。端子Vn+1は、S/HSW27_n+1を介して信号線40n+1に接続されている。端子Cn+1は、S/HSW27_1_n+1と、S/HSW27_2_n+1との間に接続されている。
【0081】
また、
図6に示すように本実施形態の電池監視IC10は、第1実施形態の電池監視IC10(
図1参照)の電圧測定回路30_2の代わりに第1診断電圧発生回路60及び第2診断電圧発生回路62を備えている。
【0082】
電池監視IC10の診断を行う場合、制御装置6が出力した制御信号に基づいて制御部12が第1診断電圧発生回路60に第1診断電圧を発生させ、第2診断電圧発生回路62に第2診断電圧を発生させる。
【0083】
第1診断電圧発生回路60は、制御部12の制御に基づいて電池監視IC10の診断を行うための第1診断電圧を発生し、信号線46及び47に出力する。第1診断電圧は特に限定されないが、電池セルVcの電池電圧(電池セルVcの初期電圧)と同等であることが好ましい。
【0084】
また、第2診断電圧発生回路62は、制御部12の制御に基づいて電池監視IC10の診断を行うための第2診断電圧を発生し、信号線46及び47に出力する。第2診断電圧発生回路62が発生する第2診断電圧は第1診断電圧と等しい。なお、本実施形態に限定されず、第1診断電圧と第2診断電圧とが異なっていてもよい。
【0085】
次に、本実施形態の電池監視システム1による組電池2の各電池セルVcの電池電圧の測定方法について説明する。電池セルVcの電池電圧の測定は、電圧測定回路30_1により行われる。
【0086】
まず、制御装置6は、制御部12によりS/HSW27を全てオン状態にさせ、セル選択SW26を全てオフ状態にさせる。また、制御装置6は、制御部12により均等化SW20を全てオフ状態にさせる。
【0087】
この場合、電池セルVcの電池電圧は抵抗素子Rlpf及びS/HSW27を介して容量素子Clpfに印加される。容量素子Clpfには、電池セルVcの電池電圧に応じた電荷が蓄積される。
【0088】
各電池セルVcの電池電圧を測定する際には、制御装置6がS/HSW27を全てオフ状態にさせて、容量素子Clpfに蓄積された電圧を順次測定することにより、各電池セルVcの電圧を測定する。
【0089】
具体例として電池セルVcnの電池電圧を測定する場合について説明する。なお、均等化SW20は全てオフ状態のままとする。
【0090】
まず、S/HSW27のS/HSW27_1_n+1及び27_1_nをオン状態にし、端子Cn+1に接続された容量素子Clpfに電池セルVcnの高電位側の電圧に応じた電荷を蓄積する。また、端子Cnに接続された容量素子Clpfに電池セルVcnの低電位側の電圧に応じた電荷を蓄積する。
【0091】
次に、S/HSW27をオフ状態にした後、容量素子Clpfに蓄積された電荷に基づいて電池セルVcnの電池電圧の測定を電圧測定回路30_1により行うが、第1実施形態と同様の動作のため説明を省略する。
【0092】
次に、本実施形態の電池監視システム1における電池監視IC10の診断方法について説明する。
図7には、電池監視IC10の診断動作の流れの一例を表したフローチャートを示す。
【0093】
本実施形態の電池監視システム1では、第1診断電圧発生回路60及び第2診断電圧発生回路62で発生させた第1診断電圧及第2診断電圧を用いて電池監視IC10の診断を行うため、容量素子Clpfに電荷を蓄積することを要しない。そのため、診断動作を行うタイミングは、上記各実施形態と異なっていてもよいし、同一であってもよい。なお、当該診断動作を行い、電圧測定回路30_1が正常であると判断した後に、電池セルVcの電池電圧の測定を行うことが好ましい。
【0094】
診断動作を開始する場合、制御装置6は、均等化SW20、セル選択SW26、及びS/HSW27の全てのスイッチをオフ状態にさせておく。
【0095】
まず、ステップS300で制御装置6は、第1診断電圧発生回路60により第1診断電圧を発生させる。これにより、
図8に示すように第1診断電圧がバッファアンプ32_n及び32_rに印加される。
【0096】
そこで次のステップS302で電圧測定回路30_1が第1診断電圧を測定する。電圧測定回路30_1からは、レベルシフタ34から出力されたバッファアンプ32_nの出力電圧とバッファアンプ32_rの出力電圧との差分に応じたデジタル信号が出力される。
【0097】
次のステップS304で制御装置6は、第1診断電圧発生回路60を停止させ、第2診断電圧発生回路62により第2電圧を発生させる。これにより、
図9に示すように第2診断電圧がバッファアンプ32_n及び32_rに印加される。
【0098】
そこで次のステップS306で電圧測定回路30_1が第2診断電圧を測定する。電圧測定回路30_1からは、レベルシフタ34から出力されたバッファアンプ32_nの出力電圧とバッファアンプ32_rの出力電圧との差分に応じたデジタル信号が出力される。
【0099】
次のステップS308で制御装置6は、電圧測定回路30_1で測定した第1診断電圧と第2診断電圧とを比較して第1診断電圧と第2診断電圧との差分の絶対値が閾値以下(0V含む)であるか否かを判定する。異常が生じていない場合、電圧測定回路30_1で測定した第1診断電圧と第2診断電圧との差分は0Vとなる。そこで、本実施形態では、測定誤差等の影響を考慮した閾値を予め定めておき、第1診断電圧と第2診断電圧との差分が閾値以下であれば、電圧測定回路30_1が正常であると判断する。
【0100】
従って、差分の絶対値が閾値以下の場合はステップS310に進み、制御装置6は電圧測定回路30_1が正常であると判断した後、本診断動作を終了する。一方、差分の絶対値が閾値を越える場合はステップS110に進み、制御装置6は電圧測定回路30_1が異常であると判断した後、本診断動作を終了する。また、制御装置6は、診断動作の結果に応じて予め定められた動作(例えば、診断結果の報知等)を行ってもよいことはいうまでもない。
【0101】
なお、電池監視IC10、または電池監視IC10が搭載されたモジュールの出荷時に第1診断電圧及び第2診断電圧の測定結果を電池監視IC10内部または外部等に記憶しておくことが好ましい。この場合、診断動作を行う際に電圧測定回路30_1により測定された第1診断電圧及び第2診断電圧と、記憶されている第1診断電圧及び第2診断電圧とを比較することにより、より診断精度を高めることができる。
【0102】
このように本実施形態の電池監視システム1では、第1実施形態と同様に、1つの電池監視IC10により、組電池2に含まれる各電池セルVcの電池電圧の測定、及び電池監視IC10の異常に関する診断の両方を行うことができる。従って、本実施形態の電池監視IC10によれば、小型の回路で電池監視精度を向上させることができる。
【0103】
また、本実施形態の電池監視IC10によれば、第1診断電圧発生回路60が発生した第1診断電圧及び第2診断電圧発生回路62が発生した第2診断電圧に応じて電圧測定回路30_1の診断を行うことができる。本実施形態の電池監視IC10では、上記第1実施形態の電圧測定回路30_2または第2実施形態の電圧測定回路30_3に代わり、第1診断電圧発生回路60及び第2診断電圧発生回路62を用いるため、電池監視IC10のチップサイズを上記各実施形態の電池監視IC10に比べて小さくすることができる。
[第4実施形態]
本実施形態の電池監視システム1は、電池監視IC10の構成が上記第3実施形態と異なっている。
図10には、本実施形態の電池監視システム1の一例の構成を表した回路図を示す。
【0104】
図10に示すように、本実施形態の電池監視IC10は、端子C(
図10では端子Cn−2〜Cn+1)と、端子CBA(
図10では端子CBn−1A〜CBn+1A)の接続が第3実施形態の電池監視IC10(
図6参照)と異なっている。本実施形態の電池監視IC10の端子CBAは、上段(1つ上)の電池セルVcに対応する端子CnとS/HSW27を介して接続されている。例えば、
図10に示すように端子Cn+1と端子CBnAは、S/HSW27_2_nを介して接続されている。また、端子Cnと端子CBn−1Aは、S/HSW27_2_n−1を介して接続されている。
【0105】
次に、本実施形態の電池監視システム1による組電池2の各電池セルVcの電池電圧の測定方法について説明する。電池セルVcの電池電圧の測定は、電圧測定回路30_1により行われる。
【0106】
本実施形態の電池監視システム1における電池電圧の測定方法は、容量素子Clpfに電池セルVcの電池電圧に応じた電荷を蓄積させる方法が第3実施形態の電池監視システム1における電池電圧の測定方法と異なる。
【0107】
容量素子Clpfに電池セルVcの電池電圧に応じた電荷を蓄積させる際、制御装置6は、制御部12によりS/HSW27のS/HSW27_1を全てオン状態にさせ、S/HSW27_2は全てオフ状態にさせ、さらにセル選択SW26を全てオフ状態にさせる。また、制御装置6は、制御部12により均等化SW20を全てオフ状態にさせる。
【0108】
この場合、電池セルVcの電池電圧は抵抗素子Rlpf及びS/HSW27_1を介して容量素子Clpfに印加される。容量素子Clpfには、電池セルVcの電池電圧に応じた電荷が蓄積される。
【0109】
容量素子Clpfに電池セルVcの電池電圧に応じた電荷を蓄積させた後の測定動作は第3実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0110】
次に、本実施形態の電池監視システム1における電池監視IC10の診断方法について説明する。本実施形態の電池監視システム1では、電池監視IC10の電圧測定回路30_1の異常の診断(以下、「第1診断」という)と、各電池セルVcに接続される端子からセル選択SW26までの間における異常の診断(以下、「第2診断」という)と、2種類の異常について診断を行うことができる。このうち第1診断は、第3実施形態の診断動作(
図7等参照)と同様であるため、説明を省略し、第2診断について説明する。
【0111】
図11には、本実施形態の電池監視IC10における第2診断動作の流れの一例を表したフローチャートを示す。
【0112】
なお、第2診断動作を行うタイミングは、第1診断動作を行うタイミングと同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、第1診断動作を行っている間に第2診断動作のステップS402(詳細後述)の動作を行ってもよい。
【0113】
第2診断動作を開始する場合、制御装置6は、均等化SW20、S/HSW27、セル選択SW26の全てのスイッチをオフ状態にさせておく。
【0114】
まず、ステップS400で制御装置6は、組電池2の電池セルVcの中から1つの電池セルVcx(xは1〜nの整数)を選択する。具体例として、電池セルVcn−1を選択した場合について以下に説明する。
【0115】
次のステップS402で制御装置6は、選択した電池セルVcxの高電位側の電圧に応じた電荷を端子Cx+1に接続された容量素子Clpf及び端子Cx+2に接続された容量素子Clpfに蓄積させる。さらに、制御装置6は、電池セルVcxの低電位側の電圧に応じた電荷を端子Cxに接続された容量素子Clpfに蓄積させる。
【0116】
電池セルVcn−1を選択した場合、
図12に示すように制御装置6はS/HSW27_2_n及び27_1_nをオン状態にさせる。これにより電池セルVcn−1の高電位側の電圧に応じた電荷が、端子Cn+1に接続された容量素子Clpf及び端子Cnに接続された容量素子Clpfに蓄積される。また、
図12に示すように制御装置6はS/HSW27_1_n−1をオン状態にさせる。これにより電池セルVcn−1の低電位側の電圧に応じた電荷が、端子Cn−1に接続された容量素子Clpfに蓄積される。
【0117】
なお、上記ステップS400で最上段の電池セルVc(本実施形態ではVcn)を選択した場合、端子Cx+2に相当する端子が存在しない。そのため、最上段の電池セルVcを選択した場合は、端子Cx+1及び端子Cx以外の端子Cのいずれか(任意)を端子Cx+2に代わりとし、当該端子Cに接続された容量素子Clpfに電池セルVcの高電位側の電池に応じた電荷を蓄積させる。そして、上記ステップS408では電圧測定回路30_1が当該端子Cの電圧と端子Cxの電圧との電圧差を測定する。
【0118】
例えば、電池セルVcnの高電位側の電圧を容量素子Clpfに蓄積させる場合は、S/HSW27_1_n+1をオンさせて端子Cn+1に接続された容量素子Clpfに電荷を蓄積させ、また、セル選択SW26n+1_N及び26n−2_Nをオン状態にさせて端子Cn−2に接続された容量素子Clpfに電荷を蓄積させる。
【0119】
容量素子Clpfに電荷が蓄積された後、次のステップS404で制御装置6は、S/HSW22の全てのスイッチをオフ状態にさせる。
【0120】
そして次のステップS406で電圧測定回路30_1が端子Cx+1の電圧と端子Cxの電圧との電圧差を測定する。
【0121】
電池セルVcn−1を選択した場合、
図13に示すように制御装置6は、セル選択SW26n_N及び26n−1Rをオン状態にさせる。これにより、
図13に示すように端子Cnの電圧が電圧測定回路30_1のバッファアンプ32_nに印加される。また、端子Cn−1の電圧が電圧測定回路30_1のバッファアンプ32_rに印加される。電圧測定回路30_1は、端子Cnの電圧と端子Cn−1の電圧との電圧差を測定結果として制御装置6に出力する。
【0122】
そして次のステップS408で電圧測定回路30_1が端子Cx+2の電圧と端子Cxの電圧との電圧差を測定する。
【0123】
電池セルVcn−1を選択した場合、
図14に示すように、制御装置6は、セル選択SW26n_Nをオフ状態にし、セル選択SW26n+1Nをオン状態にさせる。これにより、
図14に示すように電圧測定回路30_1のバッファアンプ32_nには、端子Cnの電圧に代わり端子Cn+1の電圧が印加される。電圧測定回路30_1は、端子Cn+1の電圧と端子Cn−1の電圧との電圧差を測定結果として制御装置6に出力する。
【0124】
次のステップS410で制御装置6は、上記ステップS406における測定結果とステップS408における測定結果とを比較して両測定結果の差分の絶対値が閾値以下(0V含む)であるか否かを判定する。
【0125】
正常である場合、端子Cn+1に接続された容量素子Clpfに蓄積された電荷量と、端子Cnに接続された容量素子Clpfに蓄積された電荷量とが等しいため、端子Cn+1の電圧と端子Cnの電圧とは等しい。従って、正常である場合、測定結果の差分は0Vとなる。そこで、本実施形態では、測定誤差等の影響を考慮した閾値を予め定めておき、測定結果の差分が閾値以下であれば正常であると判断する。
【0126】
従って、両測定結果の差分の絶対値が閾値以下の場合はステップS412に進み、制御装置6は選択した電池セルVcxに接続される端子からセル選択SW26までの間は正常であると診断する。一方、両測定結果の差分の絶対値が閾値を越える場合はステップS414に進み、制御装置6は選択した電池セルVcxに接続される端子からセル選択SW26までの間に異常が生じていると診断する。
【0127】
次のステップS416で制御装置6は、全ての電池セルVcを選択したか否か判定する。
【0128】
まだ選択していない電池セルVcがある場合はステップS400に戻り、上記動作を繰り返す。なお、この際、上記ステップS408でオン状態にした各スイッチをオフ状態にしてからステップS400に戻る。
【0129】
一方、全ての電池セルVcを選択した場合は本第2診断動作を終了する。
【0130】
なお、制御装置6は、第2診断動作の結果に応じて予め定められた動作(例えば、診断結果の報知等)を行ってもよいことはいうまでもない。
【0131】
このように本実施形態の電池監視システム1では、第1実施形態と同様に、1つの電池監視IC10により、組電池2に含まれる各電池セルVcの電池電圧の測定、及び電池監視IC10の異常に関する診断の両方を行うことができる。従って、本実施形態の電池監視IC10によれば、小型の回路で電池監視精度を向上させることができる。
【0132】
また、本実施形態の電池監視IC10によれば、電圧測定回路30_1の異常の診断と、各電池セルVcに接続される端子からセル選択SW26までの間における異常の診断という2種類の異常について診断を行うことができる。
[第5実施形態]
本実施形態の電池監視システム1は、電池監視IC10の構成が上記各実施形態と異なっている。
図15には、本実施形態の電池監視システム1の一例の構成を表した回路図を示す。
【0133】
図15に示すように本実施形態の電池監視IC10は、第1実施形態の電池監視IC10(
図1参照)のS/HSW22、及び信号線44、45の代わりにS/HSW28、及び信号線48、49を備えている。また、本実施形態の電池監視IC10は、第1実施形態の電池監視IC10が備えていたセル選択SW24を備えていない。
【0134】
具体例として、電池セルVcnにかかわる電池監視IC10の接続に関して説明する。電池セルVcnの高電位側は、抵抗素子Rlpfを介して電池監視IC10の端子Vn+1に接続されている。端子Vn+1はS/HSW28n+1の一端に接続され、S/HSW28n+1の他端は信号線40n+1に接続されている。また、S/HSW28n+1の他端は、端子Cn+1を介して、電池監視IC10の外部に設けられた容量素子Clpfの一方の電極に接続されている。
【0135】
また、電池セルVcnの高電位側は、抵抗素子RbalAを介して電池監視IC10の端子CBn+1Aに接続されている。端子CBn+1Aには信号線41n+1が接続されている。信号線41n+1は、セル選択SW28CBn+1Aを介して信号線48に接続されている。
【0136】
また、電池セルVcnの低電位側は、抵抗素子RbalBを介して電池監視IC10の端子CBnBに接続されている。端子CBnBには信号線42nが接続されている。信号線42nは、セル選択SW28CBnBを介して信号線49に接続されている。
【0137】
また、
図15に示すように本実施形態の電池監視IC10は、第3実施形態及び第4実施形態の電池監視IC10(
図6及び10参照)と同様に第1診断電圧発生回路60及び第2診断電圧発生回路62を備えている。
【0138】
さらに、
図15に示すように本実施形態の電池監視IC10は、電池監視IC10の外部に備えられた容量素子Clpfに接続される端子CD1及び、容量素子Clpfに接続される端子CD2を備えている。また、セル選択SW26が、セル選択SW29_SD1_N、29_SD1_R、29_SD2_N、及び29_SD2_Rをさらに備えている。
【0139】
端子CD1は、信号線48に接続されている。また、端子CD1は、セル選択SW29_SD1_Nを介して信号線46に接続され、セル選択SW29_SD1_Rを介して信号線47に接続されている。一方、端子CD2は、信号線49に接続されている。また、端子CD2は、セル選択SW29_SD2_Nを介して信号線46に接続され、セル選択SW29_SD2_Rを介して信号線47に接続されている。
【0140】
次に、本実施形態の電池監視システム1による組電池2の各電池セルVcの電池電圧の測定方法及び本実施形態の電池監視システム1における電池監視IC10の診断方法について説明する。
【0141】
本実施形態の電池監視システム1における電池電圧の測定方法は、第1実施形態の電池監視システム1における電池電圧測定方法と同様であるため説明を省略する。
【0142】
本実施形態の電池監視システム1における電池監視IC10の診断方法は、第4実施形態と同様に2種類の異常に対して診断を行うための第1診断及び第2診断の2つの診断方法がある。このうち第1診断の診断方法は、第3実施形態の診断動作(
図7等参照)と同様であるため、説明を省略し、第2診断の診断方法について説明する。
【0143】
図16には、本実施形態の電池監視IC10における第2診断動作の流れの一例を表したフローチャートを示す。
【0144】
なお、第2診断動作を行うタイミングは、第3実施形態で説明したのと同様に、第1診断動作を行うタイミングと同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、第1診断動作を行っている間に第2診断動作のステップS502(詳細後述)の動作を行ってもよい。
【0145】
第2診断動作を開始する場合、制御装置6は、均等化SW20、セル選択SW26、S/HSW28の全てのスイッチをオフ状態にさせておく。
【0146】
まず、ステップS500で制御装置6は、組電池2の電池セルVcの中から1つの電池セルVcx(xは1〜nの整数)を選択する。具体例として、電池セルVcnを選択した場合について以下に説明する。
【0147】
次のステップS502で制御装置6は、選択した電池セルVcxの高電位側及び低電位側に接続されるS/HSW28を全てオン状態にさせる。これにより、選択した電池セルVcxの高電位側の電圧に応じた電荷を端子Cx+1に接続された容量素子Clpf及び端子CD1に接続された容量素子Clpfに蓄積させる。さらに、制御装置6は、電池セルVcxの低電位側の電圧に応じた電荷を端子Cxに接続された容量素子Clpf及び端子CD2に接続された容量素子Clpfに蓄積させる。
【0148】
電池セルVcnを選択した場合、
図17に示すように制御装置6は電池セルVcnの高電位側に接続されたS/HSW28n+1をオン状態にさせる。これにより端子Vn+1及びS/HSW28n+1を介して、電池セルVcnの高電位側の電圧に応じた電荷が端子Cn+1に接続された容量素子Clpfに蓄積される。また、制御装置6は電池セルVcnの高電位側に接続されたS/HSW28CBn+1Aをオン状態にさせる。これにより端子CBn+1A、信号線41n+1、及び信号線48を介して、電池セルVcnの高電位側の電圧に応じた電荷が、端子CD1に接続された容量素子Clpfに蓄積される。
【0149】
また、
図17に示すように制御装置6はS/HSW28nをオン状態にさせる。これにより端子Vn及びS/HSW28nを介して、電池セルVcnの低電位側の電圧に応じた電荷が端子Cnに接続された容量素子Clpfに蓄積される。また、制御装置6は電池セルVcnの低電位側に接続されたS/HSW28CBnBをオン状態にさせる。これにより端子CBnB、信号線42n、及び信号線49を介して、電池セルVcnの低電位側の電圧に応じた電荷が、端子CD2に接続された容量素子Clpfに蓄積される。
【0150】
容量素子Clpfに電荷が蓄積された後、次のステップS504で制御装置6は、S/HSW28の全てのスイッチをオフ状態にさせる。
【0151】
そして次のステップS506で電圧測定回路30_1が端子Cx+1の電圧と端子Cxの電圧との電圧差を測定する。
【0152】
電池セルVcnを選択した場合、
図18に示すように制御装置6は、セル選択SW26n+1_N及び26nRをオン状態にさせる。これにより、
図18に示すように端子Cn+1の電圧が電圧測定回路30_1のバッファアンプ32_nに印加される。また、端子Cnの電圧が電圧測定回路30_1のバッファアンプ32_rに印加される。電圧測定回路30_1は、端子Cn+1の電圧と端子Cnの電圧との電圧差を測定結果として制御装置6に出力する。
【0153】
そして次のステップS508で電圧測定回路30_1が端子CS1の電圧と端子CD2の電圧との電圧差を測定する。
【0154】
電池セルVcnを選択した場合、
図19に示すように、制御装置6は、S/HSW28を全てオフ状態にし、セル選択SW29_SD1_N及び29_SD2_Rをオン状態にさせる。これにより、
図19に示すように電圧測定回路30_1のバッファアンプ32_nには端子CD1の電圧が印加され、またバッファアンプ32_rには端子CD2の電圧が印加される。電圧測定回路30_1は、端子CD1の電圧と端子CD2の電圧との電圧差を測定結果として制御装置6に出力する。
【0155】
次のステップS510で制御装置6は、上記ステップS506における測定結果とステップS508における測定結果とを比較して両測定結果の差分の絶対値が閾値以下(0V含む)であるか否かを判定する。
【0156】
正常である場合、端子Cn+1に接続された容量素子Clpfに蓄積された電荷量と、端子CD1に接続された容量素子Clpfに蓄積された電荷量とが等しいため、端子Cn+1の電圧と端子CD1の電圧とは等しい。また、端子Cnに接続された容量素子Clpfに蓄積された電荷量と、端子CD2に接続された容量素子Clpfに蓄積された電荷量とが等しいため、端子Cn+1の電圧と端子CD1の電圧とは等しい。従って、正常である場合、測定結果の差分は0Vとなる。そこで、本実施形態では、測定誤差等の影響を考慮した閾値を予め定めておき、測定結果の差分が閾値以下であれば正常であると判断する。
【0157】
従って、両測定結果の差分の絶対値が閾値以下の場合はステップS512に進み、制御装置6は選択した電池セルVcxに接続される端子からセル選択SW26までの間は正常であると診断する。一方、両測定結果の差分の絶対値が閾値を越える場合はステップS514に進み、制御装置6は選択した電池セルVcxに接続される端子からセル選択SW26までの間に異常が生じていると診断する。
【0158】
次のステップS516で制御装置6は、全ての電池セルVcを選択したか否か判定する。
【0159】
まだ選択していない電池セルVcがある場合はステップS500に戻り、上記動作を繰り返す。なお、この際、上記ステップS508でオン状態にした各スイッチをオフ状態にしてからステップS500に戻る。
【0160】
一方、全ての電池セルVcを選択した場合は本第2診断動作を終了する。
【0161】
なお、制御装置6は、第2診断動作の結果に応じて予め定められた動作(例えば、診断結果の報知等)を行ってもよいことはいうまでもない。
このように本実施形態の電池監視システム1では、第1実施形態と同様に、1つの電池監視IC10により、組電池2に含まれる各電池セルVcの電池電圧の測定、及び電池監視IC10の異常に関する診断の両方を行うことができる。従って、本実施形態の電池監視IC10によれば、小型の回路で電池監視精度を向上させることができる。
【0162】
このように本実施形態の電池監視IC10によれば、第4実施形態と同様に電圧測定回路30_1の異常の診断と、各電池セルVcに接続される端子からセル選択SW26までの間における異常の診断という2種類の異常について診断を行うことができる。
【0163】
また、本実施形態の電池監視IC10では、第2診断専用の端子CD1に接続された容量素子Clpf、及び端子CD2に接続された容量素子Clpfを用いている。そのため、第4実施形態の電池監視IC10と異なり、最上段の電池セルVcを選択した場合も、他の電池セルVcを選択した場合と同様の方法で診断を行うことができる。従って、第4実施形態よりも第2診断の診断方法が簡便になる。
【0164】
また、抵抗素子RLpf及び容量素子Clpfにより構成されるLPFの時定数を小さくすることができるため、診断時間を短縮することができる。
【0165】
以上説明したように上記各実施形態の電池監視システム1では、1つの電池監視IC10により、組電池2に含まれる各電池セルVcの電池電圧の測定、及び電池監視IC10の異常に関する診断の両方を行うことができる。
【0166】
従って、本実施形態の電池監視IC10を備えた電池監視システム1によれば、小型の回路で電池監視精度を向上させることができる。
【0167】
なお、上記各実施形態では、電池セルVcの電池電圧の測定及び診断の際において、測定方法及び診断方法の各々において上述した端子間の電圧を1回測定する場合について説明したが、測定精度及び診断精度を向上させるために、各々について電圧の測定を複数回行ってもよい。
【0168】
例えば、電池セルVcnの電圧を測定する際には端子Cn+1の電圧と端子Cnの電圧との電圧差を測定するが、1回目の測定ではセル選択SW26n+1_N及び26n_Rをオン状態にさせて電圧測定回路30_1で電圧差を測定する。さらに、2回目の測定ではセル選択SW26n+1_R及び26n_Nをオン状態にさせて電圧測定回路30_1で電圧差を測定する。そして、制御装置6では、1回目の測定結果と2回目の測定結果の絶対値との平均値を算出し、算出した平均値を端子Cn+1の電圧と端子Cnの電圧との電圧差(電池セルVcの電池電圧)としてもよい。
【0169】
また、上記各実施形態では、診断動作において正常であるか否かを判断するにあたり制御装置6が、測定結果の差分が閾値以内であるか否かを判断していたが、判断方法はこれに限定されない。例えば、測定結果同士の比に基づいて正常であるか否かを判断してもよい。
【0170】
また、上記各実施形態では、電圧測定回路30のレベルシフタ34が、バッファアンプ32_nから入力された電圧とバッファアンプ32_rから入力された電圧との差をグランドを基準とした電圧として出力する場合について説明したが、レベルシフタ34はこれに限らず、例えば、グランドを基準としないものであってもよい。
【0171】
また、その他の上記各実施の形態で説明した電池監視システム1、電池監視IC10、及び制御装置6等の構成及び動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。