【文献】
Han, Yong; Wu, Di-meng; Zeng, Ke; Zhao, Qing-lai; Miu, Pei-kai; Tang, Yan; Zhou, Ke; Tang, Wen-rui; Yang, Gang,Synthesis and properties of N-substituted phenyl maleimide with cyano-group,Gaofenzi Cailiao Kexue Yu Gongcheng,2007年,23(3),96-99
【文献】
Yao, Dan-shu; Zhang, Bao-yan; Sun, Qiu-ju; Zhang, Li-feng,Synthesis and properties of side-chain liquid-crystalline polysiloxanes containing hemiphasmidic mesogens,Journal of Applied Polymer Science ,2005年,95(4),946-952
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の化合物を用いた樹脂、樹脂添加剤、オイル、フィルター、接着剤、粘着剤、油脂、インキ、医薬品、化粧品、洗剤、建築材料、包装材、液晶材料、有機EL材料、有機半導体材料、電子材料、表示素子、電子デバイス、通信機器、自動車部品、航空機部品、機械部品、農薬及び食品並びにそれらを使用した製品。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願発明は一般式(I)で表される逆分散性化合物を提供し、併せて当該化合物を含有する重合性組成物、当該化合物を用いた樹脂、樹脂添加剤、オイル、フィルター、接着剤、粘着剤、油脂、インキ、医薬品、化粧品、洗剤、建築材料、包装材、液晶材料、有機EL材料、有機半導体材料、電子材料、表示素子、電子デバイス、通信機器、自動車部品、航空機部品、機械部品、農薬及び食品並びにそれらを使用した製品、重合性液晶組成物、当該重合性液晶組成物を重合させることにより得られる重合体及び当該重合体を用いた光学異方体を提供する。
【0015】
一般式(I)においてPは重合性基を表すが、下記の式(P−1)から式(P−20)
【0017】
から選ばれる基を表すことが好ましく、これらの重合性基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合及びアニオン重合により重合する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(P−1)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−4)、式(P−5)、式(P−7)、式(P−11)、式(P−13)、式(P−15)又は式(P−18)が好ましく、式(P−1)、式(P−2)、式(P−7)、式(P−11)又は式(P−13)がより好ましく、式(P−1)、式(P−2)又は式(P−3)がさらに好ましく、式(P−1)又は式(P−2)が特に好ましい。
【0018】
一般式(I)においてSpはスペーサー基又は単結合を表すが、Spが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。また、当該スペーサー基は無置換であっても、1つ以上の下記に示す置換基L
1によって置換されていても良い。スペーサー基としては、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表すことが好ましい。Spは原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10のアルキレン基又は単結合を表すことがより好ましく、各々独立して炭素原子数1から10のアルキレン基又は単結合を表すことがさらに好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く各々独立して炭素原子数1から8のアルキレン基を表すことが特に好ましい。
【0019】
一般式(I)においてXは−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Xが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い(ただし、P−(Sp−X)
k−には−O−O−結合を含まない。)。また、Xは、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−又は単結合を表すことが好ましく、各々独立して−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−又は単結合を表すことがより好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表すことが特に好ましい。
【0020】
一般式(I)においてkは、0から10の整数を表すが、0から5の整数を表すことが好ましく、0から2の整数を表すことがより好ましく、1を表すことが特に好ましい。
【0021】
一般式(I)においてA
1は1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、当該基は無置換であるか又は1つ以上の置換基L
1によって置換されても良く、A
1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。
【0022】
置換基L
1はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基又は炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、該アルキル基中、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良く、該アルキル基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されても良く、若しくは、L
1はP
L−(Sp
L−X
L)
kL−で表される基を表しても良く、ここでP
Lは重合性基を表し、Sp
Lはスペーサー基又は単結合を表すが、Sp
Lが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、X
Lは−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、X
Lが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、kLは0から10の整数を表すが、化合物内にL
1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い(ただし、P
L−(Sp
L−X
L)
kL−には−O−O−結合を含まない。)。液晶性、合成の容易さ、ヘイズ及びムラの観点から、L
1はフッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−から選択される基によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基、若しくは、P
L−(Sp
L−X
L)
kL−で表される基を表すことが好ましく、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は各々独立して−O−、−COO−又は−OCO−から選択される基によって置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖状又は分岐状アルキル基、若しくは、P
L−(Sp
L−X
L)
kL−で表される基を表すことが好ましく、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖状又は分岐状アルキル基若しくはアルコキシ基を表すことがより好ましく、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数2から8の直鎖状アルコキシ基を表すことがさらに好ましく、フッ素原子、炭素原子数2から8の直鎖状アルコキシ基を表すことがさらにより好ましく、フッ素原子を表すことが特に好ましい。
【0023】
原料の入手容易さ及び合成の容易さ、保存安定性、ヘイズ、ムラの観点から、A
1は無置換であるか又は1つ以上の置換基L
1によって置換されても良い1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、各々独立して下記の式(A1−1)から式(A1−11)
【0025】
から選ばれる基を表すことがより好ましく、各々独立して式(A1−1)から式(A1−8)から選ばれる基を表すことがさらに好ましく、各々独立して式(A1−1)から式(A1−4)から選ばれる基を表すことが特に好ましい。
【0026】
一般式(I)においてZ
1は−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z
1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。化合物の液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さ、保存安定性、ヘイズ、ムラの観点からZ
1は−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すことが好ましく、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−COO−、−OCO−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−CH=CH−、−C≡C−又は単結合を表すことがより好ましく、−CH
2CH
2−、−COO−、−OCO−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−又は単結合を表すことがさらに好ましく、各々独立して−COO−、−OCO−又は単結合を表すことが特に好ましい。
【0027】
一般式(I)においてmは1から5の整数を表すが、液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点からmは1から4の整数を表すことが好ましく、1から3の整数を表すことがより好ましく、1又は2を表すことがさらに好ましく、2を表すことが特に好ましい。
【0028】
一般式(I)においてA
2は下記の式(A2−1)から式(A2−9)
【0030】
(式(A2−1)から式(A2−9)で表される基は無置換又は1つ以上の置換基L
2によって置換されても良く、
Rはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、又は炭素原子数2から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、該アルキル基中1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良く、該アルキル基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されても良く、
L
2はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基又は炭素原子数2から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、該アルキル基中、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良く、該アルキル基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されても良く、若しくは、L
2はP
L2−(Sp
L2−X
L2)
kL2−で表される基を表しても良く、ここでP
L2は重合性基を表し、Sp
L2はスペーサー基又は単結合を表すが、Sp
L2が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、X
L2は−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、X
L2が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、kL2は0から10の整数を表す(ただし、P
L2−(Sp
L2−X
L2)
kL2−には−O−O−結合を含まない。)が、化合物内にL
2が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。)から選ばれる基を表す。原料の入手容易さ及び合成の容易さ、保存安定性、ヘイズ、ムラの観点からA
2は下記の式(A2−1−1)から式(A2−1−3)
【0032】
、下記の式(A2−2−1)又は式(A2−2−2)
【0034】
、下記の式(A2−3−1)から式(A2−3−3)
【0036】
、下記の式(A2−4−1)から式(A2−4−3)
【0038】
から選ばれる基を表すことがより好ましく、上記の式(A2−1−1)、式(A2−1−2)、式(A2−1−3)、式(A2−2−1)、式(A2−2−2)、式(A2−3−1)、式(A2−3−2)から選ばれる基を表すことがさらに好ましく、上記の式(A2−1−1)、式(A2−1−2)、式(A2−1−3)から選ばれる基を表すことがさらにより好ましく、上記の式(A2−1−3)で表される基を表すことが特に好ましい。
【0039】
Rは液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さ、保存安定性、ヘイズ、ムラの観点から、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、又は炭素原子数2から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましいが、該アルキル基中、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良く、該アルキル基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、又は炭素原子数2から10の直鎖状アルキル基を表すことがより好ましいが、該アルキル基中、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−によって置換されても良く、該アルキル基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、又は炭素原子数2から8の直鎖状アルコキシ基を表すことがさらに好ましく、フッ素原子、又は炭素原子数2から8の直鎖状アルコキシ基を表すことがさらにより好ましく、フッ素原子を表すことが特に好ましい。
【0040】
ホメオトロピック配向処理を行っていない基材に対して本願発明の化合物を含む組成物を塗布し、ホメオトロピック配向を有するフィルムを作製する場合、ホメオトロピック配向性の観点から、Rは孤立電子を有する基、分極性を有する基であることが好ましい。
【0041】
L
2は、液晶性、合成の容易さ、ヘイズ及びムラの観点から、L
2はフッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−から選択される基によって置換されても良い炭素原子数2から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は各々独立して−O−、−COO−又は−OCO−から選択される基によって置換されても良い炭素原子数2から12の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良い炭素原子数2から12の直鎖状又は分岐状アルキル基若しくはアルコキシ基を表すことがより好ましく、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数2から8の直鎖状アルコキシ基を表すことがさらに好ましく、フッ素原子、炭素原子数2から8の直鎖状アルコキシ基を表すことがさらにより好ましく、フッ素原子を表すことが特に好ましい。
【0042】
また、上記の式(A2−1−3)で表される基において、R及びL
2が同一の基を表すことが特に好ましい。さらに、ホメオトロピック配向性の観点から、R及びL
2がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、又は炭素原子数2から8の直鎖状アルコキシ基を表すことが好ましく、フッ素原子又は炭素原子数2から8の直鎖状アルコキシ基を表すことがより好ましく、フッ素原子を表すことが特に好ましい。
【0043】
一般式(I)で表される化合物として具体的には、下記の式(I−1)から式(I−58)で表される化合物が好ましい。
【0056】
本願発明の化合物は以下の製法で製造することができる。
(製法1)下記式(S−6)で表される化合物の製造
【0058】
(式中、P、Sp、X、L、Rは各々独立して一般式(I)で定義されたものと同一のものを表し、sは各々独立して0から4の整数を表し、halogenはハロゲン原子又はハロゲン等価体を表す。)
式(S−1)で表される化合物をホウ酸化する。ホウ酸化の方法としては、式(S−1)で表される化合物をマグネシウムと反応させグリニャール試薬を調製し、ホウ酸エステルと反応させた後、加水分解する方法、式(S−1)で表される化合物をリチオ化し、ホウ酸エステルと反応させた後、加水分解する方法等が挙げられる。ホウ酸エステルとしては、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリイソプロピル等が挙げられる。リチオ化剤としては、ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等が挙げられる。
【0059】
式(S−2)で表される化合物を式(S−3)で表される化合物と反応させることによって、式(S−4)で表される化合物を得ることができる。反応例として例えば金属触媒及び塩基存在下、クロスカップリングさせる方法が挙げられる。金属触媒としては例えば、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が挙げられる。塩基としては例えばトリエチルアミン等が挙げられる。反応条件としては例えばMetal−Catalyzed Cross−Coupling Reactions(Armin de Meijere、Francois Diedrich共著、Wiley−VCH)、Palladium Reagents and Catalysts:New Perspectives for the 21st Century(Jiro Tsuji著、Wiley & Sons,Ltd.)、Cross−Coupling Reactions:A Practical Guide(Topics in Current Chemistry)(S.L.Buchwald、K.Fugami、T.Hiyama、M.Kosugi、M.Miura、N.Miyaura、A.R.Muci、M.Nomura、E.Shirakawa、K.Tamao著、Springer)等の文献に記載の方法が挙げられる。
【0060】
式(S−4)で表される化合物を式(S−5)で表される化合物と反応させることによって、式(S−6)で表される化合物を得ることができる。反応条件としては例えば縮合剤を用いる方法若しくは式(S−5)で表される化合物を酸クロリド、混合酸無水物又はカルボン酸無水物とした後、一般式(S−4)で表される化合物と塩基存在下反応させる方法が挙げられる。縮合剤を用いる場合、縮合剤として例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩が挙げられる。塩基としては例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
(製法2)下記式(S−18)で表される化合物の製造
【0062】
(式中、Sp、L、Rは各々独立して一般式(I)で定義されたものと同一のものを表し、sは各々独立して0から4の整数を表し、halogenはハロゲン原子又はハロゲン等価体を表す。)
製法1と同様の方法によって式(S−10)で表される化合物を得る。式(S−10)で表される化合物を塩基存在下、トリフルオロメタンスルホン酸無水物と反応させることによって式(S−11)で表される化合物を得る。塩基としては例えば、ピリジン、トリメチルアミン等が挙げられる。
【0063】
式(S−12)で表される化合物を塩基存在下、式(S−13)で表される化合物と反応させることによって式(S−14)で表される化合物を得る。塩基としては例えば、炭酸カリウム、炭酸セシウム等が挙げられる。
【0064】
式(S−14)で表される化合物をパラジウム触媒及び塩基存在下式(S−15)で表される化合物と反応させることによって式(S−16)で表される化合物を得る。パラジウム触媒としては例えば、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、酢酸パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が挙げられる。塩基としては例えばトリエチルアミン、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
【0065】
式(S−16)で表される化合物を式(S−11)で表される化合物と反応させることによって、式(S−17)で表される化合物を得ることができる。反応例として例えば金属触媒及び塩基存在下、クロスカップリングさせる方法が挙げられる。触媒、塩基、条件としては製法1に記載のものが挙げられる。
【0066】
式(S−17)で表される化合物をアクリル化することによって式(S−18)で表される化合物を得る。方法としては、式(S−17)で表される化合物を塩基存在下、塩化アクリロイルと反応させる方法、式(S−17)で表される化合物とアクリル酸とを縮合剤を用いて反応させる方法が挙げられる。塩基としては例えばトリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、ピリジン等が挙げられる。縮合剤としては製法1に記載のものが挙げられる。
(製法3)下記式(S−24)で表される化合物の製造
【0068】
(式中、P、Sp、X、L、Rは各々独立して一般式(I)で定義されたものと同一のものを表し、sは各々独立して0から4の整数を表し、halogenはハロゲン原子又はハロゲン等価体を表す。)
式(S−19)で表される化合物を式(S−20)と反応させることによって式(S−21)で表される化合物を得る。反応条件としては例えば縮合剤を用いる方法若しくは式(S−19)で表される化合物を酸クロリド、混合酸無水物又はカルボン酸無水物とした後、一般式(S−20)で表される化合物と塩基存在下反応させる方法が挙げられる。縮合剤及び塩基としては製法1に記載のものが挙げられる。
【0069】
式(S−21)で表される化合物を酸化することによって式(S−22)で表される化合物を得る。酸化の方法としては例えば、亜塩素酸ナトリウム及び過酸化水素を用いる方法が挙げられる。
【0070】
式(S−22)で表される化合物を式(S−23)と反応させることによって式(S−24)で表される化合物を得る。反応条件としては例えば縮合剤を用いる方法若しくは式(S−22)で表される化合物を酸クロリド、混合酸無水物又はカルボン酸無水物とした後、一般式(S−23)で表される化合物と塩基存在下反応させる方法が挙げられる。縮合剤及び塩基としては製法1に記載のものが挙げられる。
【0071】
製法1から製法3の各工程において記載した以外の反応条件として、例えば実験化学講座(日本化学会編、丸善株式会社発行)、Organic Syntheses(A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)、Beilstein Handbook of Organic Chemistry(Beilstein−Institut fuer Literatur der Organischen Chemie、Springer−Verlag Berlin and Heidelberg GmbH & Co.K)、Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis(John Wiley & Sons,Inc.)等の文献に記載の条件又はSciFinder(Chemical Abstracts Service,American Chemical Society)又はReaxys(Elsevier Ltd.)等のオンライン検索サービスから提供される条件が挙げられる。
【0072】
また、各工程において適宜反応溶媒を用いることができる。溶媒としては目的の化合物を与えるものであれば制限は無いが、例えばtert−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メタノール、エタノール、プロパノール、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、二硫化炭素、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1−メチル−2−ピロリジノン、トルエン、ヘキサン、ベンゼン、メチルイソブチルケトン、tert−ブチルメチルエーテル、メチルエチルケトン、石油エーテル等が挙げられる。有機溶媒及び水の二相系で反応を行う場合、相間移動触媒を添加することも可能である。相間移動触媒としては、例えば、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート[Tween 20]、ソルビタンモノオレアート[Span 80]等が挙げられる。
【0073】
また、各工程において必要に応じて精製を行うことができる。精製方法としてはクロマトグラフィー、再結晶、蒸留、昇華、再沈殿、吸着、分液処理等が挙げられる。精製剤を用いる場合、精製剤としてシリカゲル、アルミナ、活性炭、活性白土、セライト、ゼオライト、メソポーラスシリカ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、備長炭、木炭、グラフェン、イオン交換樹脂、酸性白土、二酸化ケイ素、珪藻土、パーライト、セルロース、有機ポリマー、多孔質ゲル等が挙げられる。
【0074】
本願発明の化合物は、ネマチック液晶組成物、スメクチック液晶組成物、キラルスメクチック液晶組成物及びコレステリック液晶組成物に使用することが好ましい。本願発明の反応性化合物を用いる液晶組成物において本願発明以外の化合物を添加しても構わない。
【0075】
本願発明の重合性化合物と混合して使用される他の重合性化合物としては、具体的には一般式(X−11)
【0079】
(式中、P
11、P
12及びP
13は各々独立して重合性基を表し、Sp
11、Sp
12及びSp
13は各々独立して単結合又は炭素原子数1〜20個のアルキレン基を表すが、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−に置き換えられても良く、X
1、X
2及びX
3は各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、Z
11及びZ
12は各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CH
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、A
11、A
12、A
13及びA
14は各々独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、A
11、A
12、A
13及びA
14は各々独立して無置換であるか又は炭素原子数1から20のアルキル基、炭素原子数1から20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1から20のアルコキシ基、炭素原子数1から20のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、R
11は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、若しくは、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖又は分岐アルキル基を表し、m11及びm12は0、1、2又は3を表すが、m11及び/又はm12が2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するA
11、A
13、Z
11及び/又はZ
12は同一であっても異なっていても良いが、上記一般式(I)で表される化合物を除く。)で表される化合物が好ましく、P
11、P
12及びP
13がアクリル基又はメタクリル基である場合が特に好ましい。その他の重合性化合物を使用する場合の添加量は、組成物に対して質量1%から質量99%の範囲が好ましく、質量10%から質量90%がより好ましく、質量20%から質量80%がさらに好ましい。
【0080】
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物には、当該組成物の液晶性を大きく損なわない程度に、液晶性を示さない重合性化合物を添加することも可能である。具体的には、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識される化合物であれば特に制限なく使用可能である。具体例として例えば「光硬化技術データブック、材料編(モノマー,オリゴマー,光重合開始剤)」(市村國宏、加藤清視監修、テクノネット社)記載のものが挙げられる。
【0081】
また、本願発明の化合物は光重合開始剤を使用しなくても重合させることが可能であるが、目的により光重合開始剤を添加しても構わない。その場合は光重合開始剤の濃度は、本願発明の化合物に対し0.1質量%から15質量%が好ましく、0.2質量%から10質量%がより好ましく、0.4質量%から8質量%がさらに好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。光重合開始剤の具体例としては2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907)、安息香酸[1−[4−(フェニルチオ)ベンゾイル]ヘプチリデン]アミノ(IRGACURE OXE 01)等が挙げられる。熱重合開始剤としては、アゾ化合物、過酸化物等が挙げられる。熱重合開始剤の具体例としては2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)等が挙げられる。また、1種類の重合開始剤を用いても良く、2種類以上の重合開始剤を併用して用いても良い。
【0082】
また、本発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、組成物に対して0.005質量%から1質量%の範囲が好ましく、0.02質量%から0.8質量%がより好ましく、0.03質量%から0.5質量%がさらに好ましい。また、1種類の安定剤を用いても良く、2種類以上の安定剤を併用して用いても良い。安定剤としては、具体的には式(X−13−1)から式(X−13−35)
【0090】
(式中、nは0から20の整数を表す。)で表される化合物が好ましい。
【0091】
また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物をフィルム類、光学素子類、機能性顔料類、医薬品類、化粧品類、コーティング剤類、合成樹脂類等の用途に利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等を添加することもできる。
【0092】
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を重合することにより得られるポリマーは種々の用途に利用できる。例えば、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を、配向させずに重合することにより得られるポリマーは、光散乱板、偏光解消板、モアレ縞防止板として利用可能である。また、配向させた後に重合することにより得られるポリマーは、光学異方性を有しており有用である。このような光学異方体は、例えば、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を、布等でラビング処理した基板、有機薄膜を形成した基板又はSiO
2を斜方蒸着した配向膜を有する基板に担持させるか、基板間に挟持させた後、当該重合性液晶組成物を重合することによって製造することができる。
【0093】
重合性液晶組成物を基板上に担持させる際の方法としては、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法等を挙げることができる。またコーティングの際、重合性液晶組成物に有機溶媒を添加しても良い。有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、非プロトン性溶媒等を使用することができるが、例えば炭化水素系溶媒としてはトルエン又はヘキサンを、ハロゲン化炭化水素系溶媒としては塩化メチレンを、エーテル系溶媒としてはテトラヒドロフラン、アセトキシ−2−エトキシエタン又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、アルコール系溶媒としてはメタノール、エタノール又はイソプロパノールを、ケトン系溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチルラクトン又はN−メチルピロリジノン類を、エステル系溶媒としては酢酸エチル又はセロソルブを、非プロトン性溶媒としてはジメチルホルムアミド又はアセトニトリルを挙げることができる。これらは単独でも、組み合わせて用いても良く、その蒸気圧と重合性液晶組成物の溶解性を考慮し、適宜選択すれば良い。添加した有機溶媒を揮発させる方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥を用いることができる。重合性液晶材料の塗布性をさらに向上させるためには、基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けることや、重合性液晶材料にレベリング剤を添加する事も有効である。基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設ける方法は、重合性液晶材料を重合することにより得られるポリマーと基板との密着性を向上させるために有効である。
【0094】
上記以外の配向処理としては、液晶材料の流動配向の利用、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。基板の形状としては、平板の他に、曲面を構成部分として有していても良い。基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板の材料となる有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、また、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
【0095】
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を重合させる際、迅速に重合が進行することが望ましいため、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することにより重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良く、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性を有していなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。また、照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。活性エネルギー線の強度は、0.1mW/cm
2〜2W/cm
2が好ましい。強度が0.1mW/cm
2以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2W/cm
2以上の場合、重合性液晶化合物又は重合性液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
【0096】
重合によって得られた当該光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲であることが好ましく、熱処理時間は30秒〜12時間の範囲であることが好ましい。
【0097】
このような方法によって製造される当該光学異方体は、基板から剥離して単体で用いても、剥離せずに用いても良い。また、得られた光学異方体を積層しても、他の基板に貼り合わせて用いてもよい。
【実施例】
【0098】
以下、実施例を挙げて本発明を更に記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。各工程において酸素及び/又は水分に不安定な物質を取り扱う際は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中で作業を行うことが好ましい。通常の後処理とは、反応液から目的の化合物を得るために行う作業であり、反応のクエンチ、分液・抽出、中和、洗浄、乾燥、濃縮等の当業者間において通常行われている作業を意味する。
(実施例1)式(I−1)で表される化合物の製造
【0099】
【化34】
【0100】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−1−1)で表される化合物50.0g、式(I−1−2)で表される化合物20.9g、N,N−ジメチルアミノピリジン1.0g、ジクロロメタン300mLを加えた。ジイソプロピルカルボジイミド25.9gを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−1−3)で表される化合物57.0gを得た。
【0101】
反応容器に式(I−1−3)で表される化合物57.0g、リン酸二水素ナトリウム二水和物18.0g、亜塩素酸ナトリウム27.6g、過酸化水素水27.7g、メタノール570mL、水90mLを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−1−4)で表される化合物50.1gを得た。
【0102】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−1−4)で表される化合物30.0g、式(I−1−5)で表される化合物9.5g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.1g、ジクロロメタン210mLを加えた。ジイソプロピルカルボジイミド11.0gを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−1)で表される化合物25.2gを得た。
相転移温度(昇温速度5℃/分)C 125 I
1H NMR(CDCl
3)δ 1.51(m,4H),1.74(quin,2H),1.86(quin,2H),4.07(t,2H),4.19(t,2H),5.83(dd,1H),6.13(dd,1H),6.42(dd,1H),6.77(tt,1H),6.84(dd,2H),6.99(dt,2H),7.38(dt,2H),8.16(dt,2H),8.25(dt,2H)ppm.
(実施例2)式(I−2)で表される化合物の製造
【0103】
【化35】
【0104】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−2−1)で表される化合物50.0g、式(I−2−2)で表される化合物47.9g、炭酸カリウム59.9g、エタノール250mL、水250mL、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)3.3gを加え加熱還流させた。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−2−3)で表される化合物37.0gを得た。
【0105】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−2−3)で表される化合物15.0g、式(I−2−4)で表される化合物21.3g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.4g、ジクロロメタン200mLを加えた。ジイソプロピルカルボジイミド11.0gを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−2)で表される化合物29.3gを得た。
相転移温度(昇温速度5℃/分)C 99 I
1H NMR(CDCl
3)δ 1.51(m,4H),1.73(quin,2H),1.85(quin,2H),4.06(t,2H),4.19(t,2H),5.83(dd,1H),6.13(dd,1H),6.41(dd,1H),6.80(tt,1H),6.98(d,2H),7.11(m,2H),7.30(dt,2H),7.60(dt,2H),8.16(dt,2H)ppm.
(実施例3)式(I−3)で表される化合物の製造
【0106】
【化36】
【0107】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−3−1)で表される化合物50.0g、式(I−3−2)で表される化合物47.9g、炭酸カリウム59.9g、エタノール250mL、水250mL、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)3.3gを加え加熱還流させた。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−3−3)で表される化合物37.0gを得た。
【0108】
反応容器に式(I−3−3)で表される化合物22.0g、式(I−3−4)で表される化合物19.0g、ジメチルスルホキシド110mL、炭酸セシウム52.2gを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−3−5)で表される化合物29.8gを得た。
【0109】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−3−5)で表される化合物29.8g、N−エチルジイソプロピルアミン16.4g、ジクロロメタン250mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル10.6gを加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−3)で表される化合物25.2gを得た。
相転移温度(昇温速度5℃/分)C 45 I
1H NMR(CDCl
3)δ 1.50(m,4H),1.73(quin,2H),1.83(quin,2H),4.01(t,2H),4.18(t,2H),5.83(dd,1H),6.13(dd,1H),6.41(dd,1H),6.73(tt,1H),6.96(dt,2H),7.06(m,2H),7.48(dt,2H)ppm.
(実施例4)式(I−4)で表される化合物の製造
【0110】
【化37】
【0111】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−4−1)で表される化合物、式(I−4−2)で表される化合物、炭酸カリウム、エタノール、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え加熱還流させた。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−4−3)で表される化合物を得た。
【0112】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−4−3)で表される化合物、ジクロロメタン、ピリジンを加えた。氷冷しながらトリフルオロメタンスルホン酸無水物を加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−4−4)で表される化合物を得た。
【0113】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−4−4)で表される化合物、式(I−4−5)で表される化合物、炭酸カリウム、エタノール、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え加熱還流させた。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−4−6)で表される化合物を得た。
【0114】
反応容器に式(I−4−6)で表される化合物、式(I−4−7)で表される化合物、ジメチルスルホキシド、炭酸セシウムを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−4−8)で表される化合物を得た。
【0115】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−4−8)で表される化合物、N−エチルジイソプロピルアミン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイルを加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−4)で表される化合物を得た。
LCMS:455[M+1]
(実施例5)式(I−5)で表される化合物の製造
【0116】
【化38】
【0117】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−5−1)で表される化合物、式(I−5−2)で表される化合物、炭酸カリウム、エタノール、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え加熱還流させた。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−5−3)で表される化合物を得た。
【0118】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−5−3)で表される化合物、ジクロロメタン、ピリジンを加えた。氷冷しながらトリフルオロメタンスルホン酸無水物を加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−5−4)で表される化合物を得た。
【0119】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−5−4)で表される化合物、式(I−5−5)で表される化合物、炭酸カリウム、エタノール、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え加熱還流させた。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−5−6)で表される化合物を得た。
【0120】
反応容器に式(I−5−6)で表される化合物、式(I−5−7)で表される化合物、ジメチルスルホキシド、炭酸セシウムを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−5−8)で表される化合物を得た。
【0121】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−5−8)で表される化合物、N−エチルジイソプロピルアミン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイルを加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−5)で表される化合物を得た。
LCMS:455[M+1]
(実施例6)式(I−6)で表される化合物の製造
【0122】
【化39】
【0123】
反応容器に式(I−6−1)で表される化合物、1−ヨードプロパン、ジメチルスルホキシド、炭酸セシウムを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−6−2)で表される化合物を得た。
【0124】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−6−2)で表される化合物、式(I−6−3)で表される化合物、炭酸カリウム、エタノール、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え加熱還流させた。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−6−4)で表される化合物を得た。
【0125】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−6−4)で表される化合物、メタクリル酸、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−6)で表される化合物を得た。
LCMS:355[M+1]
(実施例7)式(I−7)で表される化合物の製造
【0126】
【化40】
【0127】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−7−1)で表される化合物、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながら3,4−ジヒドロ−2H−ピランを加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−2)で表される化合物を得た。
【0128】
反応容器に式(I−7−2)で表される化合物、メタノール、水酸化ナトリウム水溶液を加え加熱撹拌した。中和し、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−3)で表される化合物を得た。
【0129】
窒素雰囲気下、式(I−7−3)で表される化合物、式(I−7−4)で表される化合物、トリフェニルホスフィン、テトラヒドロフランを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピルを加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−5)で表される化合物を得た。
【0130】
反応容器に式(I−7−5)で表される化合物、メタノール、テトラヒドロフラン、濃塩酸を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−6)で表される化合物を得た。
【0131】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−7−6)で表される化合物、式(I−7−7)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−8)で表される化合物を得た。
【0132】
Journal of the American Chemical Society誌、2013年、135巻、45号、16766−16769頁に記載の方法によって、式(I−7−9)で表される化合物を得た。反応容器に式(I−7−9)で表される化合物、トリエチルアミン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイルを加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−10)で表される化合物を得た。
【0133】
反応容器に式(I−7−10)で表される化合物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素水、メタノール、水を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−7−11)で表される化合物を得た。
【0134】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−7−12)で表される化合物、式(I−7−8)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−7)で表される化合物を得た。
LCMS:683[M+1]
(実施例8)式(I−8)で表される化合物の製造
【0135】
【化41】
【0136】
窒素雰囲気下反応容器に式(I−8−1)で表される化合物、アクリル酸tert−ブチル、炭酸カリウム、N−メチルピロリジノン、酢酸パラジウム(II)を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−2)で表される化合物を得た。
【0137】
反応容器に式(I−8−2)で表される化合物、テトラヒドロフラン、エタノール、5%パラジウム炭素を加え水素圧0.5MPa下撹拌した。触媒を除去した後、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−3)で表される化合物を得た。
【0138】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−8−3)で表される化合物、3−クロロプロピルアミン、炭酸セシウム、ジメチルスルホキシドを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−4)で表される化合物を得た。
【0139】
反応容器に式(I−8−4)で表される化合物、無水マレイン酸、酢酸を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−5)で表される化合物を得た。
【0140】
反応容器に式(I−8−5)で表される化合物、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらトリフルオロ酢酸を加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−6)で表される化合物を得た。
【0141】
窒素雰囲気下反応容器に式(I−8−7)で表される化合物、トリメチルシリルアセチレン、ヨウ化銅(I)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミドを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−8)で表される化合物を得た。
【0142】
反応容器に式(I−8−8)で表される化合物、炭酸カリウム、メタノールを加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−9)で表される化合物を得た。
【0143】
窒素雰囲気下反応容器に式(I−8−9)で表される化合物、式(I−8−10)で表される化合物、ヨウ化銅(I)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミドを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−11)で表される化合物を得た。
【0144】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−8−11)で表される化合物、式(I−8−6)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8)で表される化合物を得た。
LCMS:537[M+1]
(実施例9)式(I−9)で表される化合物の製造
【0145】
【化42】
【0146】
窒素雰囲気下反応容器に式(I−9−1)で表される化合物、ヨウ化銅(I)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミドを加え1−ブチンを吹き込みながら加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−9−2)で表される化合物を得た。
【0147】
反応容器に式(I−9−2)で表される化合物、テトラヒドロフラン、エタノール、5%パラジウム炭素を加え水素圧0.5MPa下撹拌した。触媒を除去した後、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−9−3)で表される化合物を得た。
【0148】
窒素雰囲気下、式(I−9−3)で表される化合物、式(I−9−4)で表される化合物、トリフェニルホスフィン、テトラヒドロフランを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピルを加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−9−5)で表される化合物を得た。
【0149】
WO2008−064788A1号公報に記載の方法によって式(I−9−6)で表される化合物を得た。窒素雰囲気下、反応容器に式(I−9−6)で表される化合物、2−(トリフルオロメチル)アクリル酸、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−9−7)で表される化合物を得た。
【0150】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−9−7)で表される化合物、式(I−9−5)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−9)で表される化合物を得た。
LCMS:593[M+1]
(実施例10)式(I−10)で表される化合物の製造
【0151】
【化43】
【0152】
Macromolecular Chemistry and Physics誌、2009年、210巻、7号、531−541頁に記載の方法によって式(I−10−2)で表される化合物を得た。窒素雰囲気下、式(I−10−1)で表される化合物、式(I−10−2)で表される化合物、トリフェニルホスフィン、テトラヒドロフランを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピルを加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−10−3)で表される化合物を得た。
【0153】
反応容器に式(I−10−3)で表される化合物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素水、メタノール、水を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−10−4)で表される化合物を得た。
【0154】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−10−4)で表される化合物、式(I−10−5)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−10−6)で表される化合物を得た。
【0155】
反応容器に式(I−10−6)で表される化合物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素水、メタノール、水を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−10−7)で表される化合物を得た。
【0156】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−10−7)で表される化合物、式(I−10−8)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−10−9)で表される化合物を得た。
【0157】
反応容器に式(I−10−9)で表される化合物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素水、メタノール、水を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−10−10)で表される化合物を得た。
【0158】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−10−10)で表される化合物、式(I−10−11)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−10)で表される化合物を得た。
LCMS:742[M+1]
実施例1から実施例10と同様の方法、公知の方法と同様の方法を用いて、式(I−11)から式(I−58)で表される化合物を製造した。
(実施例11〜20、比較例1〜3)
実施例1から実施例10記載の式(I−1)から式(I−10)で表される化合物及び特許文献1記載の化合物(R−1)、非特許文献1記載の化合物(R−2)、非特許文献2記載の化合物(R−3)を評価対象の化合物とした。
【0159】
【化44】
【0160】
保存安定性を評価するために、評価対象の化合物の安定保存濃度を測定した。安定保存濃度は、母体液晶に評価対象となる化合物を5%から25%まで5%刻みで添加した組成物を各々調製し、調製した組成物を16.3℃で12週間放置した後に、結晶の析出が起こらない当該化合物の最大添加濃度と定義する。最大添加濃度が大きい化合物は安定保存濃度が大きく、長期間の保存によっても結晶の析出が発生しないことを意味する。
【0161】
安定保存濃度を測定するために、WO2009/122868A1号公報記載の化合物(X−1):50%、特表2002−542219号公報記載の化合物(X−2):25%、特開2005−015473号公報記載の化合物(X−3):25%からなる液晶組成物を母体液晶(X)とした。評価結果を下表に示す。
【0162】
【化45】
【0163】
【表1】
【0164】
表より、実施例11から実施例20の本願発明の化合物はいずれも結晶の析出の起こらない最大添加濃度が高いことから、高い保存安定性を示すことがわかる。
(実施例21〜30、比較例4〜6)
母体液晶(X)に評価対象となる化合物を25%添加することにより調製した組成物各々に対し、光重合開始剤Irgacure907(BASF社製)を1%、4−メトキシフェノールを0.1%及びシクロペンタノン75%添加し塗布液を調製した。この塗布液を、ホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を形成したガラス基板にスピンコート法で塗布し、65℃で3分乾燥した。得られた塗膜を60℃のホットプレート上に置き、紫外線を20mW/cm
2の強度で60秒間照射した。得られた重合体について、偏光顕微鏡を用いてクロスニコル状態で観察したところ暗視野であった。また、波長550nmの光を重合体面に対し90度から減少させながらリタデーションを測定した。これらの結果から、評価対象の式(I−1)から式(I−10)で表される化合物及び比較化合物(R−1)から比較化合物(R−3)を添加し作製した重合体はいずれもホメオトロピック配向を有していることを確認した。リタデーションの測定にはシンテック社製OPTIPRO偏光解析装置を使用した。フィルム実施例番号と評価対象の化合物の対応を下表に示す。
【0165】
【表2】
【0166】
評価対象の各フィルムについて、ヘイズ及びムラの評価を行った。評価結果を下表に示す。
《ヘイズ》
ヘイズ値は下記式
ヘイズ(%)=Td/Tt×100
(式中、Tdは拡散透過率、Ttは全光線透過率を表す。)で表され、測定にはヘイズ測定装置(日本電色工業株式会社製NHD2000)を用い、基板上5カ所についての測定を行い、その平均をとった。
《ムラ》
偏光顕微鏡観察によってムラの程度を評価した。配向に欠陥が無く均一であれば◎、欠陥がごくわずかであれば〇、欠陥がやや多ければ△、欠陥が非常に多ければ×とした。
【0167】
【表3】
【0168】
表より、実施例21から実施例30の本願発明の化合物を使用して作製したフィルムはいずれも、ヘイズが少なく、ムラが少ないことがわかる。従って、本願発明の化合物は、重合性組成物の構成部材として有用である。また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を用いた光学異方体は光学フィルム等の用途に有用である。