(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ステップa)における前記重合が、最初に投入された前記モノマーm1の75〜95mol%が反応若しくは重合するまで行われることを特徴とし、及び/又はステップb)における前記重合が、最初に投入された前記モノマーm2の75〜95mol%が反応若しくは重合するまで行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の態様は、特に無機結合材組成物用の分散剤として使用するためのブロック共重合体であって、少なくとも1種の第1ブロックA及び少なくとも1種の第2ブロックBを含み、第1ブロックAが、式I
【化1】
で表されるモノマー単位M1を有し、かつ第2ブロックBが、式(II)
【化2】
で表されるモノマー単位M2を含み
式中、
R
1は、それぞれ互いに独立に、−COOM、−SO
2−OM、−O−PO(OM)
2及び/又は−PO(OM)
2であり、
R
2、R
3、R
5及びR
6は、それぞれ互いに独立に、H又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R
4及びR
7は、それぞれ互いに独立に、H、−COOM又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であるか、あるいは
R
1がR
4と一緒に環を形成して−CO−O−CO−(無水物)となり、
Mは、それぞれ互いに独立に、H
+、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、二価若しくは三価の金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウム基であり、
mは、0、1又は2であり、
pは、0又は1であり、
Xは、それぞれ互いに独立に、−O−又は−NH−であり、
R
8は、式−[AO]n−R
a
(式中、Aは、C
2〜C
4アルキレンであり、R
aは、H又はC
1〜C
20アルキル基、シクロヘキシル基若しくはアルキルアリール基であり、及びnは、2〜250、より詳細には10〜200である)
で表される基であり、
第1ブロックA中に存在するモノマー単位M2の任意の割合は、第1ブロックAにおけるモノマー単位M1全体を基準として25mol%未満、より詳細には10mol%以下であり、第2ブロックB中に存在するモノマー単位M1の任意の割合は、第2ブロックBにおけるモノマー単位M2全体を基準として25mol%未満、より詳細には10mol%以下である、ブロック共重合体に関する。
【0014】
本発明のブロック共重合体は、式Iで表される2種以上の異なるモノマー単位M1及び/又は式IIで表される2種以上の異なるモノマー単位M2を有することができる。
【0015】
第1ブロックAには、モノマー単位M1及びさらなる任意のモノマー単位が、特に統計的又はランダムに分布して存在する。同様に、第2ブロックBには、モノマー単位M2及びさらなる任意のモノマー単位が、特に統計的又はランダムに分布して存在する。
【0016】
換言すれば、少なくとも1種のブロックA及び/又は少なくとも1種のブロックBは、好ましくは、それぞれ、モノマーがランダムに分布した部分ポリマー(part−polymer)として存在する。
【0017】
少なくとも1種の第1ブロックAは、有利には、5〜70個、より詳細には7〜40個、好ましくは10〜25個のモノマー単位M1を含み、及び/又は少なくとも1種の第2ブロックBは、5〜70個、より詳細には7〜40個、好ましくは10〜25個のモノマー単位M2を含む。
【0018】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1ブロックAは、25〜35個のモノマー単位M1を含み、及び/又は少なくとも1種の第2ブロックBは、10〜20個のモノマー単位M2を含む。
【0019】
このブロック共重合体は、全体として、重量平均分子量M
wが特に10000〜150000g/mol、有利には15000〜80000の範囲にある。これに関連して、重量平均分子量M
w等の分子量は、ポリエチレングリコール(PEG)を標準物質としてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。この技法はそれ自体当業者に知られている。
【0020】
好ましくは、第1ブロックAに存在するモノマー単位M2の任意の割合は、第1ブロックAにおけるモノマー単位M1全体を基準として15mol%未満、より詳細には10mol%未満、特に5mol%未満又は1mol%未満である。さらに、第2ブロックB中に存在するモノマー単位M1の任意の割合は、第2ブロックBにおけるモノマー単位M2全体を基準として、有利には15mol%未満、より詳細には10mol%未満、特に5mol%未満又は1mol%未満である。両方の条件が同時に成立すると有利である。
【0021】
特に有利には、例えば、第1ブロックA中に存在するモノマー単位M2の任意の割合は、15mol%未満(第1ブロックAにおけるモノマー単位M1全体を基準とする)であり、第2ブロックB中に存在するモノマー単位M1の任意の割合は、10mol%未満(第2ブロックBにおけるモノマー単位M2全体を基準とする)である。
【0022】
したがって、モノマー単位M1及びM2は実質的に物理的に離れている。このことは、ブロック共重合体の分散作用に有利であり、かつ遅延の問題に関しても有利である。
【0023】
第1ブロックAは、特に、第1ブロックAにおけるモノマー単位全体を基準として、少なくとも20mol%、より詳細には少なくとも50mol%、特に少なくとも75mol%又は少なくとも90mol%の範囲まで、式Iで表されるモノマー単位M1からなる。第2ブロックBは、有利には、第2ブロックBにおけるモノマー単位全体を基準として、少なくとも20mol%、より詳細には少なくとも50mol%、特に少なくとも75mol%又は少なくとも90mol%の範囲まで、式IIで表されるモノマー単位M2からなる。
【0024】
ブロック共重合体におけるモノマー単位M1対モノマー単位M2のモル比は、特に0.5〜6、より詳細には0.7〜4、好ましくは0.9〜3.8、より好ましくは1.0〜3.7又は2〜3.5の範囲にある。その結果として、無機結合材組成物中において最適な分散作用が発揮される。
【0025】
特に、モノマー単位M1対モノマー単位M2のモル比が1.5〜6、好ましくは1.8〜5又は2〜3.5の範囲にある場合、無機結合材組成物中で発揮される分散作用が良好になり、それと同時に、この作用が特に長時間持続する。
【0026】
しかしながら、特定の用途には他のモル比が有利となる場合もある。
【0027】
特に有利なブロック共重合体は、R
1がCOOMであり;R
2及びR
5が、それぞれ互いに独立に、H、−CH
3又はこれらの混合物であり;R
3及びR
6が、それぞれ互いに独立に、H又は−CH
3、好ましくはHであり;R
4及びR
7が、それぞれ互いに独立に、H又は−COOM、好ましくはHであるものである。
【0028】
特に、R
1=COOM、R
2=H又はCH
3、及びR
3=R
4=Hである。したがって、本発明のブロック共重合体は、アクリル酸モノマー又はメタクリル酸モノマーをベースとして調製することができ、このことは経済的観点から興味深いものである。さらに、これに関連して、この種のブロック共重合体を用いることにより良好な分散作用が得られることに加えて、凝結時間の遅延がほとんどなくなる。
【0029】
同じく、R
1=COOM、R
2=H、R
3=H、及びR
4=COOMであるブロック共重合体が有利である。この種の櫛型ポリマーはマレイン酸モノマーをベースとして調製することができる。
【0030】
モノマー単位M2のX基は、有利には、モノマー単位M2全体の少なくとも75mol%、より詳細には少なくとも90mol%、特に少なくとも95mol%又は少なくとも99mol%について、−O−(酸素原子)である。
【0031】
有利には、R
5=H又はCH
3、R
6=R
7=H、及びX=−O−である。この種のブロック共重合体は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエーテル、(メタ)アリルエーテル又はイソプレノールエーテルを出発物質として調製することができる。
【0032】
特に有利な一実施形態において、R
2及びR
5は、それぞれ、40〜60mol%のHと40〜60mol%の−CH
3との混合物である。
【0033】
さらなる有利な実施形態によれば、R
1=COOM、R
2=H、R
5=−CH
3、及びR
3=R
4=R
6=R
7=Hである。
【0034】
他の有利な実施形態において、R
1=COOM、R
2=R
5=H又は−CH
3、及びR
3=R
4=R
6=R
7=Hである。
【0035】
モノマー単位M2のR
8基は、本発明のブロック共重合体に含まれるR
8基全体を基準として、特に少なくとも50mol%、より詳細には少なくとも75mol%、好ましくは少なくとも95mol%又は少なくとも99mol%がポリエチレンオキシドからなる。エチレンオキシド単位の割合は、本発明のブロック共重合体に含まれるアルキレンオキシド単位全体を基準として、より詳細には75mol%を超え、より詳細には90mol%を超え、好ましくは95mol%を超え、特に100mol%である。
【0036】
特に、R
8は、疎水性基を実質的に含まず、より詳細には3個以上の炭素原子を有するアルキレンオキシドを含まない。これは、より詳細には、3個以上の炭素原子を有するアルキレンオキシドの割合が、アルキレンオキシド全体を基準として、5mol%未満、より詳細には2mol%未満、好ましくは1mol%未満又は0.1mol%未満であることを意味する。特に、3個以上の炭素原子を有するアルキレンオキシドを含まず、すなわちその割合は0mol%である。
【0037】
R
aは、有利には、H及び/又はメチル基である。特に有利には、AはC
2アルキレンであり、R
aはH又はメチル基である。
【0038】
特に、変数n=10〜150、好ましくはn=15〜100、より好ましくはn=17〜70、特にn=19〜45又はn=20〜25である。特に上述の好ましい範囲において、極めて優れた分散作用が結果的に得られる。
【0039】
さらに、本発明のブロック共重合体が、少なくとも1種のさらなるモノマー単位MS、特にモノマー単位M1及びM2とは化学的に異なるモノマー単位MSを含む場合に有利となる可能性がある。特に、2種以上の異なるさらなるモノマー単位MSを存在させることもできる。その結果として、本発明のブロック共重合体の性状を、例えば、特定の用途に対してさらに修正及び適合させることができる。
【0040】
特に有利には、少なくとも1種のさらなるモノマー単位MSは、式III:
【化3】
(式中、
R
5’、R
6’、R
7’、m’及びp’は、R
5、R
6、R
7、m及びpと同義であり、
Yは、それぞれ互いに独立に、化学結合又は−O−であり、
Zは、それぞれ互いに独立に、化学結合、−O−又は−NH−であり、
R
9は、それぞれ互いに独立に、それぞれ1〜20個のC原子を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルアリール基、アリール基、ヒドロキシアルキル基又はアセトキシアルキル基である)
で表されるモノマー単位である。
【0041】
例えば、モノマー単位MSにおいて、m’が0であり、p’が0であり、Z及びYが化学結合であり、R
9が6〜10個のC原子を有するアルキルアリール基であると有利である。
【0042】
同じく、特に、モノマー単位MSにおいて、m’が0であり、p’が1であり、Yが−O−であり、Zが化学結合であり、R
9が1〜4個のC原子を有するアルキル基であるものが好適である。
【0043】
さらに、m’が0であり、p’が1であり、Yが化学結合であり、Zが−O−であり、R
9が1〜6個のC原子を有するアルキル基及び/又はヒドロキシアルキル基であるモノマー単位MSも好適である。
【0044】
少なくとも1種のさらなるモノマー単位MSが、共重合された酢酸ビニル、スチレン及び/又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、より詳細にはアクリル酸ヒドロキシエチルからなる場合は特に有利である。
【0045】
少なくとも1種のさらなるモノマー単位MSは、第1ブロックA及び/又は第2ブロックBの一部となることができる。少なくとも1種のさらなるモノマー単位MSを本発明のブロック共重合体の追加ブロックの一部とすることも可能である。特に、様々なブロックにおいて異なるモノマー単位MSを存在させることができる。
【0046】
少なくとも1種のさらなるモノマー単位MSが第1ブロックAに存在する場合、第1ブロックAにおけるその割合は、有利には、第1ブロックAにおけるモノマー単位全体を基準として0.001〜80mol%、好ましくは20〜75mol%、特に30〜70mol%である。
【0047】
少なくとも1種のさらなるモノマー単位MSが第2ブロックBに存在する場合、第2ブロックBにおけるその割合は、特に、第2ブロックBにおけるモノマー単位全体を基準として0.001〜80mol%、好ましくは20〜75mol%、特に30〜70mol%又は50〜70mol%である。
【0048】
有利な一実施形態によれば、第1ブロックA及び/又は第2ブロックBにおいて、少なくとも1種のさらなるモノマー単位MSが、各ブロックにおけるモノマー単位全体を基準として20〜75mol%、特に30〜70mol%の割合の割合で存在する。
【0049】
さらなる有利な実施形態によれば、第1ブロックA及び第2ブロックBの間に配置された少なくとも1種のさらなるブロックCが存在し、このブロックCは、第1ブロック及び第2ブロックとは化学的及び/又は構造的に異なっている。
【0050】
この少なくとも1種のさらなるブロックCは、有利には、上述のモノマー単位MSを含むか又はこの種の単位からなる。しかしながら、モノマー単位MSに加えて、又はモノマー単位MSに替えて、さらなるモノマー単位を存在させることもできる。
【0051】
より詳細には、この少なくとも1種のさらなるブロックCは、少なくとも50mol%、より詳細には少なくとも75mol%、好ましくは少なくとも90mol%又は少なくとも95mol%が上述のモノマー単位MSからなる。
【0052】
特に有利な一実施形態によれば、本発明のブロック共重合体は、ブロックA及びブロックBからなるジブロック共重合体である。
【0053】
同じく好適なのは、第1ブロックAの少なくとも2つのブロック及び/又は第2ブロックBの少なくとも2つのブロックを含むブロック共重合体である。より詳細には、第1ブロックAが2回につき第2ブロックBが1回現れるブロック共重合体、又は第1ブロックAが1回につき第2ブロックBが2回現れるブロック共重合体が存在する。より具体的には、この種のブロック共重合体は、トリブロック共重合体、テトラブロック共重合体又はペンタブロック共重合体の形態をとり、好ましくはトリブロック共重合体である。テトラブロック共重合体及びペンタブロック共重合体の場合は1種又は2種のさらなるブロック(例えば、上述のブロックC型のブロック)が存在する。
【0054】
特に有利な1種のブロック共重合体は、次に示す特徴の少なくとも1つ以上を有する:
(i)ブロックAが、モノマー単位M1を7〜40個、より詳細には10〜25個又は25〜35個有し、ブロックBが、モノマー単位M2を7〜40個、より詳細には10〜25個又は10〜20個有し;
(ii)第1ブロックAにおけるモノマー単位全体を基準として、第1ブロックAの少なくとも75mol%、好ましくは少なくとも90mol%が式Iで表されるモノマー単位M1からなり;
(iii)第2ブロックBにおけるモノマー単位全体を基準として、第2ブロックBの少なくとも75mol%、好ましくは少なくとも90mol%が式IIで表されるモノマー単位M2からなり;
(iv)ブロック共重合体におけるモノマー単位M1対モノマー単位M2のモル比が0.5〜6、好ましくは0.8〜3.5の範囲にあり;
(v)R
1がCOOMであり;
(vi)R
2及びR
5がH又はCH
3、好ましくはCH
3であり;
(vii)R
3=R
4=R
6=R
7=Hであり;
(viii)m=0及びp=1であり;
(ix)X=−O−であり;
(x)A=C
2アルキレン及びn=10〜150、好ましくは15〜50であり;
(xi)R
a=H又は−CH
3、好ましくはCH
3である。
【0055】
少なくとも特徴(i)〜(iv)を全て有するブロックA及びBからなるジブロック共重合体が特に好ましい。この場合、特徴(i)〜(xi)を全て有するジブロック共重合体がさらに好ましい。各場合における好ましい形態において、全ての特徴(i)〜(xi)を満たすジブロック共重合体が一層好ましい。
【0056】
同じく、ブロックA、B及びCからなり、より詳細にはA−C−Bの順でなるトリブロック共重合体であって、少なくとも特徴(i)〜(iv)を全て有するトリブロック共重合体が有利である。この場合、特徴(i)〜(xi)を全て有するトリブロック共重合体がさらに好ましい。各場合における好ましい形態において、全ての特徴(i)〜(xi)を満たすトリブロック共重合体が一層好ましい。この場合のブロックCは、有利には、上述のモノマー単位MSを含むか又はブロックCはこの種の単位からなる。
【0057】
さらに、特定の一実施形態において、これらのジブロック共重合体又はトリブロック共重合体に、上述のさらなるモノマー単位MS、より詳細には式IIIで表されるさらなるモノマー単位MSがブロックA及びブロックBにさらに存在する。
【0058】
本発明のさらなる態様は、ブロック共重合体を調製するためのプロセスであって、
a)式IV
【化4】
で表されるモノマーm1を重合するステップと、加えて、
b)式V
【化5】
で表されるモノマーm2を重合するステップと
を含み、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、m、p及びXは、上記と同義であり、
ステップa)において、存在するモノマーm2の任意の割合は、モノマーm1を基準として25mol%未満、より詳細には10mol%以下であり、及び
ステップb)において、存在するモノマーm1の任意の割合は、モノマーm2を基準として25mol%未満、より詳細には10mol%以下であり、
ステップa)及びb)は、任意の順序で時間的に連続して行われる、プロセスに関する。
【0059】
ステップa)における重合は、最初に投入されたモノマーm1の特に75〜95mol%、好ましくは85〜95mol%、より詳細には86〜92mol%が反応又は重合するまで行われる。
【0060】
したがって、特に、ステップb)における重合は、最初に投入されたモノマーm2の75〜95mol%、より詳細には80〜92mol%が反応又は重合するまで行われる。
【0061】
モノマーm1及びm2の反応又はステップa)及びb)における重合の進行を、例えば、液体クロマトグラフィー、特に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、それ自体知られている方法で監視することができる。
【0062】
ステップa)及びb)においてモノマーm1及びm2を上に規定した反応率に到達するまで反応させると有利であることが分かった。さらに、ステップa)及びb)を、選択した順序に関わらず、互いの直後に実施すると有利である。これは、理想的には、ステップa)及びb)において重合反応を維持することが可能であることを意味する。
【0063】
本発明のプロセスは、例えば、ステップa)においてモノマーm1を溶媒(例えば水)中に導入し、次いでこれらを重合させることにより第1ブロックAを形成することによって実施することができる。モノマーm1の所望の反応率(例えば、75〜95mol%、より詳細には80〜92mol%;上記参照)に到達したら、時間を空けず直ちに、ステップb)においてモノマーm2を添加して重合を継続させる。この場合、特に、既に形成されたブロックA上にモノマーm2が付加されることにより第2ブロックBが形成される。有利には、重合は、今度はモノマーm2の所望の反応率(例えば、75〜95mol%、より詳細には80〜92mol%;上記参照)に到達するまで継続される。こうすることにより、例えば、第1ブロックAと、それに連結した第2ブロックBとを含むジブロック共重合体が生成する。
【0064】
さらなる有利な実施形態によれば、ステップa)及び/又はステップb)において、少なくとも1種のさらなる重合性モノマーmsが用いられる。この場合、この少なくとも1種のさらなる重合性モノマーmsは、特に、モノマーm1及び/又はモノマーm2と一緒に重合される。
【0065】
しかしながら、ステップa)及びステップb)に加えて、少なくとも1種のさらなる重合性モノマーmsを重合させるさらなるステップc)を提供することも可能である。これは、追加ブロックCを有するブロック共重合体を調製することが可能であることを意味する。特に、時間的観点では、ステップc)はステップa)及びステップb)の間に実施される。したがって、追加ブロックCは、物理的にはブロックA及びブロックBの間に配置される。
【0066】
少なくとも1種のさらなる重合性モノマーmsは、それをブロック共重合体に組み込む方法とは無関係に、より詳細には、式VI
【化6】
(式中、
R
5’、R
6’、R
7’、R
9、m’、p’、Y及びZは上記と同義である)
で表されるモノマーである。
【0067】
モノマーm1、m2、ms及びさらなる任意のモノマーの有利な割合、比率及び実施形態は、モノマー単位M1、M2及びMSに関連して既に上に述べた割合、比率、実施形態に対応する。
【0068】
少なくとも1種のさらなるモノマーmsが、酢酸ビニル、スチレン、N−ビニルピロリドン及び/又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、より詳細にはアクリル酸ヒドロキシエチルから選択される場合は特に有利である。
【0069】
ステップa)及び/又はステップb)における重合は、好ましくは水溶液中で行われる。より詳細には、ステップa)及びb)の両方における重合が水溶液中で行われる。それに対応して、ステップc)(このステップが実施される場合)も同様である。こうすることにより、ブロック共重合体の分散作用に好ましい影響がもたらされることが分かった。
【0070】
しかしながら、他の溶媒(例えば、エタノール)を用いることも可能である。
【0071】
ステップa)及び/又はb)における重合は、フリーラジカル重合、好ましくはリビングラジカル重合、より詳細には、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)により有利に行われる。したがって、このことはステップc)(このステップが実施される場合)にも当てはまる。
【0072】
重合開始剤として、特に、ラジカル開始剤、好ましくはアゾ化合物及び/又は過酸化物が用いられる。好適な過酸化物は、例えば、過酸化ジベンゾイル(DBPO)、過酸化ジ−tert−ブチル及び過酸化ジアセチルからなる群から選択される。
【0073】
特に有利な開始剤は、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)又はアゾビスイソブチルアミジン(AIBA)等のアゾ化合物である。しかしながら、特定の状況下においては、過硫酸ナトリウム又は次亜硝酸ジ−tert−ブチル等の他のラジカル開始剤を使用することもできる。
【0074】
本願においては、ステップa)及び/又はステップb)において、ジチオエステル、ジチオカルバメート、トリチオカーボネート及びキサントゲン酸塩からなる群からの1種以上の代表的なものが好ましい。これらはいわゆる「RAFT試薬」であり、重合プロセスの制御を可能にするものである。これに対応して、このことはステップc)(このステップが実施される場合)にも当てはまる。
【0075】
ステップa)、ステップb)及び/又はステップc)における重合は、より詳細には、50〜95℃の範囲、特に70〜90℃の範囲の温度で行われる。
【0076】
不活性ガス雰囲気、例えば、窒素雰囲気下で実施すると有利である。
【0077】
特に好ましい一プロセスにおいて、ステップb)はステップa)よりも先に実施される。
【0078】
有利なプロセスによれば、ステップb)はステップa)よりも先に実施され、他の重合ステップは実施されない。こうすることにより、単純にジブロック共重合体を得ることができる。
【0079】
本発明のさらなる態様は、上述のブロック共重合体の、無機結合材組成物用の分散剤としての使用に関する。
【0080】
ブロック共重合体は、特に、無機結合材組成物の流動化、減水及び/又はワーカビリティ向上のために用いることができる。
【0081】
ブロック共重合体は、より詳細には、無機結合材組成物のワーカビリティを長時間持続させるために使用することができる。
【0082】
また、本発明は、少なくとも1種の上述のブロック共重合体を含む無機結合材組成物にさらに関する。
【0083】
無機結合材組成物は、少なくとも1種の無機結合材を含む。「無機結合材」という表現は、特に、水の存在下に水和反応により反応することによって固体水和物又は水和相を形成する結合材を表す。これは、例えば、水硬性結合材(例えば、セメント又は水硬性石灰)、潜在水硬性結合材(例えば、スラグ)、ポゾラン結合材(pozzolanic binder)(例えば、フライアッシュ)又は非水硬性結合材(石膏又は白色石灰(white lime))であってもよい。
【0084】
より詳細には、無機結合材又は結合材組成物は、水硬性結合材、好ましくはセメントを含む。セメントクリンカの割合が≧35wt%であるセメントが特に好ましい。より詳細には、セメントは、タイプCEM I、CEM II、CEM III、CEM IV又はCEM V(規格EN197−1に準拠)である。無機結合材全体に含まれる水硬性結合材の割合は、有利には、少なくとも5wt%、より詳細には少なくとも20wt%、好ましくは少なくとも35wt%、特に少なくとも65wt%である。さらなる有利な実施形態によれば、無機結合材は、≧95wt%の範囲まで水硬性結合材、より詳細にはセメント又はセメントクリンカからなる。
【0085】
しかしながら、無機結合材又は無機結合材組成物が他の結合材を含むか又は他の結合材からなる場合も有利となり得る。これらは特に、潜在水硬性結合材及び/又はポゾラン結合材である。好適な潜在水硬性及び/又はポゾラン結合材は、例えば、スラグ、フライアッシュ及び/又はシリカダストである。結合材組成物は、例えば、石灰石、微粉砕石英及び/又は顔料等の不活性物質を含むこともできる。有利な一実施形態において、無機結合材は、潜在水硬性及び/又はポゾラン結合材を5〜95wt%、より詳細には5〜65wt%、非常に好ましくは15〜35wt%含む。有利な潜在水硬性及び/又はポゾラン結合材はスラグ及び/又はフライアッシュである。
【0086】
特に好ましい一実施形態において、無機結合材は、水硬性結合材、より詳細にはセメント又はセメントクリンカ並びに潜在水硬性及び/又はポゾラン結合材、好ましくはスラグ及び/又はフライアッシュを含む。この場合、潜在水硬性及び/又はポゾラン結合材の割合は、より好ましくは5〜65wt%、より好ましくは15〜35wt%であり、水硬性結合材は少なくとも35wt%、特に少なくとも65wt%存在する。
【0087】
無機結合材組成物は、好ましくはモルタル又はコンクリート組成物である。
【0088】
無機結合材組成物は、特に、水を加えて調製することができ、及び/又はワーカブルな無機結合材組成物である。
【0089】
無機結合材組成物の結合材に対する水の重量比は、好ましくは、0.25〜0.7、より詳細には0.26〜0.65、好ましくは0.27〜0.60、特に0.28〜0.55の範囲にある。
【0090】
ブロック共重合体は、有利には、結合材含有量を基準として0.01〜10wt%、より詳細には0.1〜7wt%又は0.2〜5wt%の割合で使用される。この場合のブロック共重合体の割合は、ブロック共重合体自体を基準とする。したがって、溶液形態のブロック共重合体の場合、その固形分含有量に応じて決定される。
【0091】
本発明の追加的な態様は、ブロック共重合体を含む上述の無機結合材組成物を、水の添加後に完全に硬化させることによって得ることができる、成形品、より詳細には建造物の構成要素に関する。
【0092】
この構造物は、例えば、橋、建築物、トンネル、道路又は滑走路であってもよい。
【0093】
本発明のさらなる有利な実施形態は次に示す実施例から明らかになる。
【実施例】
【0094】
1.ポリマー調製例
1.1 ジブロック共重合体P1(n=20;M1/M2=1;RAFT)
RAFT重合によりジブロック共重合体P1を調製するために、環流冷却器、撹拌機、温度計及び不活性ガス導入管を備えた丸底フラスコに、50%メトキシ−ポリエチレングリコール
1000メタクリレート(0.03mol;平均分子量:1000g/mol;約20エチレンオキシド単位/分子)57.4g及び脱イオン水18.4gを装入した。反応混合物を激しく撹拌しながら80℃に加熱した。加熱中及び残りの反応時間にわたり、溶液中に不活性ガス(N
2)を穏やかに通気した。
【0095】
次いでこの混合物に4−シアノ−4−(チオベンゾイル)ペンタン酸(0.85mmol;RAFT試薬)273mgを加えた。この物質が完全に溶解した後、AIBN(0.26mmol;開始剤)42mgを加えた。この時点から、HPLCにより反応率を定期的に確認した。
【0096】
反応率が、メトキシ−ポリエチレングリコールメタクリレートを基準として80mol%を超えたら直ちにメタクリル酸2.33g(0.03mol)を反応混合物に加えた。混合物をさらに4時間反応させた後、放冷した。固形分含有量が約40wt%である透明でやや赤みがかった水溶液が生成した。メタクリル酸対メトキシ−ポリエチレングリコールメタクリレートのモル比は1である。
【0097】
1.2 ランダム重合体P2(比較例;n=20;M1/M2=1;RAFT)
比較のため、モノマーがランダム又は統計的に分布した第2重合体P2を調製した。この場合の手順は、初期投入分のメトキシ−ポリエチレングリコール1000メタクリレートと一緒にメタクリル酸を含有させたことを除いて、重合体P1の調製(前項)と同様にした。重合体P2の固形分含有量は同様に約40wt%である。
【0098】
1.3 ランダム重合体P3(比較例;n=20;M1/M2=1;PAE)
同じく比較目的で、モノマーをランダム又は統計的に分布させたさらなる重合体P3を調製した。但し、重合体P3の調製は、ポリマー類似エステル化(PAE)により行った。この場合の手順は、基本的に、欧州特許第1138697B1号明細書第7頁20行〜第8頁50行及びその明細書の実施例に記載されている通りとした。具体的には、ポリメタクリル酸をメトキシ−ポリエチレングリコール
1000(一端にメトキシ末端基を有する平均分子量1000g/molのポリエチレングリコール;約20エチレンオキシド単位/分子)でエステル化することにより、メタクリル酸単位対エステル基のモル比が1(M1/M2=1)になるようにした。重合体P3の固形分含有量は同様に約40wt%である。
【0099】
1.4 ジブロック共重合体P4(n=9;M1/M2=1;RAFT;H
2O)
メトキシ−ポリエチレングリコール
1000メタクリレートではなく、対応する量のメトキシ−ポリエチレングリコール
400メタクリレート(平均分子量:400g/mol;約9エチレンオキシド単位/分子)を使用したことを除いて、ジブロック共重合体P1と同様にジブロック共重合体P4を調製した。重合体P4の固形分含有量は同様に約40wt%である。
【0100】
1.5 ジブロック共重合体P5(n=9;M1/M2=1;RAFT;EtOH)
溶媒として水に替えて対応する量のエタノールを使用したことを除いて、ジブロック共重合体P4と同様にジブロック共重合体P5を調製した。重合体P5の固形分含有量は同様に約40wt%である。
【0101】
1.6 ジブロック共重合体P6(n=20;M1/M2=3;RAFT)
使用するメタクリル酸及びメトキシ−ポリエチレングリコール
1000メタクリレートの量を、同分子量のジブロック共重合体において、メタクリル酸対メトキシ−ポリエチレングリコールメタクリレートのモル比が3となるように適合させたことを除いて、ジブロック共重合体P6をジブロック共重合体P1と同様に調製した。重合体P6の固形分含有量は約40wt%である。
【0102】
1.7 ジブロック共重合体P7(n=9;M1/M2=3;RAFT;H
2O)
メトキシ−ポリエチレングリコール
1000メタクリレートではなく、対応するメトキシ−ポリエチレングリコール
400メタクリレート(平均分子量:400g/mol;約9エチレンオキシド単位/分子)を使用したことを除いて、ジブロック共重合体P6と同様にジブロック共重合体P7を調製した。重合体P7の固形分含有量は同様に約40wt%である。
【0103】
1.8 ジブロック共重合体P8(n=9;M1/M2=3;RAFT;EtOH)
溶媒として水に替えて対応する量のエタノールを使用したことを除いて、ジブロック共重合体P7と同様にジブロック共重合体P8を調製した。重合体P6の固形分含有量は同様に約40wt%である。
【0104】
1.9 重合体の概要
次の表1に調製及び使用したポリマーの概要を示す。
【0105】
【表1】
【0106】
2.モルタル混合物
2.1 調製
試験目的で使用したモルタル混合物は、表2に示す乾燥組成物を有する。
【0107】
【表2】
【0108】
モルタル混合物を調製するために、砂、石灰石粉及びセメントをホバート型ミキサーで1分間乾式混合した。表3に記載した量の混練水を30秒間で混合した後、各ポリマー(表3参照)を添加し、混合を2.5分間継続した。湿式混合時間は、各場合において計3分間継続させた。
【0109】
2.2 モルタル試験
ポリマーの分散作用を決定するために、フレッシュモルタル混合物のフロー値(ABM)を各場合において様々な時間で測定した。モルタルのフロー値(ABM)はEN 1015−3に従い測定した。
【0110】
さらに、無機結合材組成物の水和挙動に与えるポリマーの効果を、水を混合した後のモルタル混合物の経時的な温度プロファイルを測定することにより確認した。温度測定は、温度検出器として熱電対を使用し、断熱条件下に従来法で行った。試料は全て同一条件で測定した。ここでは、固化時間の目安として、モルタル混合物を調製してから、誘導期又は休止期の後に最高温度に到達するまでに経過した時間[t(TM)]を採用する(
図1参照)。
【0111】
3.モルタル試験の結果
表3に、実施したモルタル試験(T1〜T12)の概要及びこの試験で得られた結果を示す。試験Rは、比較目的でポリマーを添加せずに実施したブランク試験である。
【0112】
【表3】
【0113】
試験T1〜T3を比較すると、ジブロック構造をベースとする重合体P1、並びにランダム構成を有すること以外は類似の重合体P2及びP3では、同一条件下で達成される流動化効果は重合体P1の方が高く、かつ長時間持続することが分かる。添加量及び含水量を増加して行った比較試験T4〜T6も同じパターンの結果が得られた。
【0114】
さらに、重合体P1を用いた場合は、わずか8時間51分で最大温度に到達するが、他の2種類の重合体P2及びP3を用いた場合は、それよりも約1時間20分遅れてようやく最大温度に到達する。したがって、水和プロファイル及び凝結における遅延という観点では、重合体P1の方が有利である。
【0115】
試験T7及びT8においては、より長い側鎖を有する、すなわち「n」値(=モノマー単位M2におけるエチレンオキシド単位の数;P1の場合はn=20)がより大きい重合体P1の方が、これよりもはるかに短い側鎖(n=9)を有する重合体P4よりも、流動化効果という点で有利であることが明らかである。さらに、試験T8及びT9を比較すると、重合時の溶媒として水(H
2O)を使用した方が、エタノールを使用するよりも有利であることが明らかである。
【0116】
試験T10〜T12において使用された重合体P6〜P8に関してもやはりこれに対応する結果が見られる。
【0117】
さらに試験T7及びT10の比較から、M1/M2比=3である重合体P6の流動化効果は、初期的には、M1/M2比=1である重合体P1とほぼ同程度であるが、時間が経過した後には重合体P1よりも有効に維持できると結論づけることができる。
【0118】
したがって、ここに示した結果から、本発明のポリマーが様々な点で公知のポリマーよりも有利であると結論づけられる。特に、本発明のポリマーを用いることにより、添加量が比較的少なくてさえも、高い分散作用及び流動化効果を達成することができ、比較的長時間にわたりその効果を実施に有利な水準で維持することもできる。さらに、本発明のポリマーは、遅延の問題に関しても非常に有利である。
【0119】
しかしながら、上述の実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲内で必要に応じて修正し得ることを理解すべきである。
本発明の態様としては、以下を挙げることができる:
《態様1》
ブロック共重合体、特に、無機結合材組成物用の分散剤として使用するためのブロック共重合体であって、少なくとも1種の第1ブロックA及び少なくとも1種の第2ブロックBを含み、
前記第1ブロックAが、以下の式Iで表されるモノマー単位M1を有し:
【化1】
かつ、前記第2ブロックBが、以下の式IIで表されるモノマー単位M2を含み:
【化2】
{式中、
R
1は、それぞれ互いに独立に、−COOM、−SO
2−OM、−O−PO(OM)
2及び/又は−PO(OM)
2であり、
R
2、R
3、R
5及びR
6は、それぞれ互いに独立に、H又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R
4及びR
7は、それぞれ互いに独立に、H、−COOM又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であるか、あるいは
R
1がR
4と一緒に環を形成して−CO−O−CO−となり、
Mは、それぞれ互いに独立に、H
+、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、二価若しくは三価の金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウム基であり、
mは、0、1又は2であり、
pは、0又は1であり、
Xは、それぞれ互いに独立に、−O−又は−NH−であり、
R
8は、式−[AO]
n−R
aの基である
(式中、Aは、C
2〜C
4アルキレンであり、R
aは、H又はC
1〜C
20アルキル基、シクロヘキシル基若しくはアルキルアリール基であり、及びnは、2〜250、より詳細には10〜200である)}
ここで、前記第1ブロックA中に存在するモノマー単位M2の随意の割合は、前記第1ブロックAにおける前記モノマー単位M1全体を基準として25mol%未満、より詳細には10mol%以下であり、前記第2ブロックB中に存在するモノマー単位M1の随意の割合は、前記第2ブロックBにおける前記モノマー単位M2全体を基準として25mol%未満、より詳細には10mol%以下である、ブロック共重合体。
《態様2》
前記少なくとも1種の第1ブロックAが、5〜70個、より詳細には7〜40個、好ましくは10〜25個のモノマー単位M1を含むこと、及び/又は前記少なくとも1種の第2ブロックBが、5〜70個、より詳細には7〜40個、好ましくは10〜25個のモノマー単位M2を含むことを特徴とする、態様1に記載のブロック共重合体。
《態様3》
前記第1ブロックAが、25〜35個のモノマー単位M1を含むこと、及び/又は前記少なくとも1種の第2ブロックBが、10〜20個のモノマー単位M2を含むことを特徴とする、態様1又は2に記載のブロック共重合体。
《態様4》
前記モノマー単位M2に対する前記モノマー単位M1のモル比が、0.5〜6、より詳細には0.7〜4、好ましくは0.9〜3.8、より好ましくは1.0〜3.7又は2〜3.5の範囲にあることを特徴とする、態様1〜3のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
《態様5》
前記第1ブロックAが、前記第1ブロックAにおける含まれるモノマー単位全体を基準として、少なくとも20mol%、より詳細には少なくとも50mol%、特に少なくとも75mol%、特に少なくとも90mol%の範囲で、前記式Iで表されるモノマー単位M1からなること、及び/又は前記第2ブロックBが、前記第2ブロックBにおけるモノマー単位全体を基準として、少なくとも20mol%、より詳細には少なくとも50mol%、特に少なくとも75mol%、特に少なくとも90mol%の範囲で、前記式IIで表されるモノマー単位M2からなることを特徴とする、態様1〜4のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
《態様6》
特に、以下の式IIIで表されるモノマー単位である、少なくとも1種のさらなるモノマー単位MSを含むことを特徴とする、態様1〜5のいずれか一項に記載のブロック共重合体:
【化3】
(式中、
R
5’、R
6’、R
7’、m’及びp’は、態様1に記載のR
5、R
6、R
7、m及びpと同義であり、
Yは、それぞれ互いに独立に、化学結合又は−O−であり、
Zは、それぞれ互いに独立に、化学結合、−O−又は−NH−であり、
R
9は、それぞれ互いに独立に、それぞれ1〜20個のC原子を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルアリール基、アリール基、ヒドロキシアルキル基又はアセトキシアルキル基である)。
《態様7》
R
1がCOOMであり;R
2及びR
5が、互いに独立に、H、−CH
3又はこれらの混合物であり;R
3及びR
6が、互いに独立に、H又は−CH
3、好ましくはHであり;R
4及びR
7が、互いに独立に、H又は−COOM、好ましくはHであり;かつXは、モノマー単位M2全体の少なくとも75mol%、より詳細には少なくとも90mol%、特に少なくとも99mol%について、−O−であることを特徴とする、態様1〜6のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
《態様8》
n=10〜150、より詳細にはn=15〜100、好ましくはn=17〜70、特にn=19〜45であることを特徴とする、態様1〜7のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
《態様9》
ブロックA及びブロックBからなるジブロック共重合体であることを特徴とする、態様1〜8のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
《態様10》
態様1〜9のいずれか一項に記載のブロック共重合体を調製するための方法であって、
a)以下の式IVで表されるモノマーm1を重合するステップと
【化4】
加えて、
b)以下の式Vで表されるモノマーm2を重合するステップとを含み:
【化5】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、m、p及びXは、態様1に記載のものと同義である)、
ステップa)において、存在するモノマーm2の随意の割合が、前記モノマーm1を基準として25mol%未満、より詳細には10mol%以下であり、及びステップb)において、存在するモノマーm1の随意の割合が、前記モノマーm2を基準として25mol%未満、より詳細には10mol%以下であり、
前記ステップa)及びb)が、随意の順序で時間的に連続して行われる、方法。
《態様11》
前記重合が、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)により達成されることを特徴とする、態様10に記載の方法。
《態様12》
ステップa)における前記重合が、最初に投入された前記モノマーm1の75〜95mol%、より詳細には80〜92mol%が反応若しくは重合するまで行われることを特徴とし、及び/又はステップb)における前記重合が、最初に投入された前記モノマーm2の75〜95mol%、より詳細には80〜92mol%が反応若しくは重合するまで行われることを特徴とする、態様10又は11に記載の方法。
《態様13》
ステップa)において、及び/又はステップb)において、少なくとも1種のさらなる重合性モノマーmsが存在し、前記少なくとも1種のさらなる重合性モノマーmsは、より詳細には、以下の式VIで表されるモノマーであることを特徴とする、態様10〜12のいずれか一項に記載の方法:
【化6】
(式中、
R
5’、R
6’、R
7’、R
9、m’、p’、Y及びZは態様15と同義である)。
《態様14》
無機結合材組成物用の分散剤としての、より詳細には、無機結合材組成物の、好ましくはモルタル又はコンクリート組成物の、流動化、減水及び/又はワーカビリティ延長のための、態様1〜9のいずれか一項に記載のブロック共重合体の使用。
《態様15》
態様1〜14のいずれか一項に記載の少なくとも1種のブロック共重合体を含む、無機結合材組成物、より詳細にはモルタル又はコンクリート組成物。
《態様16》
態様15に記載の無機結合材組成物を、水の添加後に完全に硬化させることによって得ることができる、成形品、より詳細には建造物の構成要素。