(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明を以下に限定するものではない。また、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。さらに、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、重複した説明は適宜省略する。
【0008】
実施の形態1:パッケージ16
この実施形態のパッケージ16は、
図1A〜1Eに示すように、上方に開口した凹部13を有する。上方とは、パッケージ16の一主面側を指し、このパッケージ16を用いて後述する発光装置を組み立てた場合に、光取り出し面となる側を意味する。凹部13の開口を有する面をパッケージ16の上面16aということがある。この上面16aは、例えば、パッケージ16が有する複数の面のなかで最も上側にある面である。凹部13の大きさは、搭載しようとする半導体レーザ素子の大きさ、搭載数、発光装置の大きさ等によって適宜調整することができ、例えば、発光装置の平面積の20〜50%の平面積を有することができる。
【0009】
〔凹部13〕
凹部13は、半導体レーザ素子を載置するための実装面13aと、配線層23が設けられ実装面13aよりも高い位置にある接続面13bとを有する。
【0010】
(実装面13a)
実装面13aは、
図1Bに示すように、半導体レーザ素子等を載置するための面であり、第1領域Aと、第2領域Bと、第3領域Cとを有する。第1領域Aに載置可能な半導体レーザ素子の最大数は複数である。一方、第2領域Bに載置可能な半導体レーザ素子の最大数は第1領域Aよりも少なく、その面積は第1領域Aよりも小さい。さらに、第3領域Cは、第1領域Aと第2領域Bとを接続する領域である。
このように、第1領域Aと第2領域Bと第3領域Cとを有することで、半導体レーザ素子の搭載数の変更に容易に対応可能なパッケージ16とすることができる。例えば、
図1Bに示す第1領域Aは、3個の半導体レーザ素子を実装することを想定している。仮に、この第1領域Aに半導体レーザ素子を1個のみ実装すると、半導体レーザ素子の電極から配線層23までの距離が3個実装の場合よりも遠くなる。この場合、半導体レーザ素子の電極と配線層23との距離の増大に伴って両者を接続するために必要な金属ワイヤが長くなるので、金属ワイヤの最大高さも高くなってしまう。そうなると、金属ワイヤがパッケージ16に接合される蓋体等に接触する懸念がある。また、金属ワイヤが長くなると断線が発生する可能性が上昇する。
それに対し、パッケージ16であれば、多数の半導体レーザ素子を搭載する場合は第1領域Aに半導体レーザ素子を実装し、少数の半導体レーザ素子を搭載する場合は第2領域Bに半導体レーザ素子を実装することが可能である。これにより、第1領域Aに載置可能な最大数の半導体レーザ素子を載置した場合において配線層23と半導体レーザ素子の電極とを電気的に接続するために必要な金属ワイヤの長さと、第2領域Bに載置可能な最大数の半導体レーザ素子を載置した場合において配線層23と半導体レーザ素子の電極とを電気的に接続するために必要な金属ワイヤの長さと、が大きく変わることを抑制できる。
例えば、略同じ大きさの半導体レーザ素子を第1領域A及び第2領域Bに搭載する場合に、第2領域Bは、第1領域Aよりも載置可能な半導体レーザ素子の最大数が少ない平面積を有する。第2領域Bは、第1領域Aの平面積の10〜90%が好ましく、35〜65%がより好ましい。
【0011】
第3領域Cは、第1領域Aと第2領域Bとの双方に繋がっていればよく、第3領域Cの一端側に第1領域Aが、一端とは反対側の他端側に第2領域Bが繋がっていることが好ましい。言い換えると、第1領域A、第3領域C及び第2領域Bは、この順に一方向(例えば、
図1B中のx方向)に配置されていることが好ましい。これにより、第3領域Cを直線状、例えば平面視で略矩形状とすることができるため、屈曲した形状の場合と比較して、第3領域Cに反射部材や波長変換部材等の部材を配置しやすい。また、第3領域Cは、第1領域A、第3領域C及び第2領域Bを繋げた当該一方向における全長の中点を含んで配置されていることが好ましい。さらに、平面視において、第3領域Cは、パッケージ16の中央(つまり重心)を含んで配置されていることがより好ましい。これにより、第1領域Aと第2領域Bのいずれに半導体レーザ素子を配置するかによってパッケージ16を用いた発光装置の向きを変更しても、発光点の位置をほぼ同じとすることができる。これは、以下の理由による。まず、パッケージ16を用いれば、平面視で第3領域Cに発光点が位置するように発光装置を形成することができる。したがって、平面視において、第3領域Cがパッケージ16の中央を通るように配置すれば、発光装置の発光点を発光装置の中央に配置することができる。これにより、発光装置をその中央を軸として例えば180度回転させても発光点の位置をほぼ同じとすることができるので、発光点の位置を変えずに発光装置の向きを変えることができる。
第3領域Cの面積は、第1領域A又は第2領域Bの面積よりも大きくてもよいが、それらよりも小さくしてもよい。第3領域Cを第1領域A及び第2領域Bのいずれよりも小さくすることで、発光装置の大面積化を抑えることができる。
【0012】
第1領域Aと第2領域Bとは、一方向(例えば、
図1B中のx方向)における長さが同じで、一方向に直交する他方向(例えば、
図1B中のy方向)において長さが異なることが好ましい。このような関係であれば、第1領域A及び第2領域Bに同様の大きさの半導体レーザ素子を配置しやすい。また、第2領域Bは、第1領域Aよりも一方向及び他方向において長さが小さくてもよい。
第3領域Cは、第1領域A又は第2領域Bのいずれか一方、好ましくはそのいずれよりも、一方向及び他方向において長さが小さいことが好ましい。これにより、第3領域Cの平面積の増大を抑制することができ、発光装置の大面積化を抑制することができる。
【0013】
一実施形態では、
図1A〜1E、特に
図1Bに示したように、平面形状がy方向に長い長方形のパッケージ16の中央に、x方向に長い長方形の凹部13が配置されている。そして、凹部13の中央を通るようにy方向に延びる線に沿って、第1領域A、第3領域C及び第2領域Bが順に配置されている。第1領域A及び第2領域Bの幅(x方向の長さ)は略等しく、第3領域Cの幅は、これらの幅よりも若干小さい。また、第3領域C及び第2領域Bの長さ(y方向の長さ)は略等しく、第1領域Aの長さは、これらの幅よりも若干大きい。なお、平面形状とは、平面視における外形を指す。また、平面視とは、上方から、すなわちパッケージの上面16aに対して略垂直な方向から観察することを指す。
また、
図1Bに示すように、第1領域A及び第2領域Bは、載置可能な半導体レーザ素子のそれぞれに対応して独立した実装パターン26を有することができる。これにより、接合材料の拡がりを限定することができるため、半導体レーザ素子等を近接して実装することができる。このとき、平面視において、配線層23から、配線層23に隣接する実装パターン26までの最短距離は、第1領域Aと第2領域Bとで実質的に等しいことが好ましい。これにより、第1領域Aに載置可能な最大数の半導体レーザ素子を載置した場合において配線層23と半導体レーザ素子の電極とを電気的に接続するために必要な金属ワイヤの長さと、第2領域Bに載置可能な最大数の半導体レーザ素子を載置した場合において配線層23と半導体レーザ素子の電極とを電気的に接続するために必要な金属ワイヤの長さと、が大きく変わることを抑制できる。
図1Bに示すように、第1領域Aは、例えば、載置可能な半導体レーザ素子の最大数は3個であり、3つの実装パターン26を有する。また、第2領域Bは、例えば、載置可能な半導体レーザ素子の最大数は1個であり、1つの実装パターン26を有する。第2領域Bの実装パターン26は、第3領域Cの実装パターン26と繋がっていてもよい。なお、
図1Bにおいて、第2領域Bの実装パターン26のy方向の長さは、第1領域Aの1つの実装パターン26のy方向の長さよりも長い。
図1Bに示す各実装パターン26は、いずれも実質的に同一の半導体レーザ素子を実装することを想定しているが、このように、実装パターン26のサイズは同一でなくてもよい。ただし、平面視で、第1領域及び第2領域における半導体レーザ素子やサブマウントのワイヤボンディング位置から配線層23までの最短距離は、2mm以下とすることが好ましい。
【0014】
図1Dに示すように、実装面13aは、例えば、凹部13の最も深い位置にある。第1領域A、第3領域C及び第2領域Bは、これら全てが必ずしも同じ高さでなくてもよく、高低差があってもよいが、第1領域A及び第2領域Bは同じ高さであることが好ましい。このような構成は、第1領域A及び第2領域Bに同様の高さの半導体レーザ素子を実装するために適している。さらには、第1領域A、第3領域C及び第2領域Bは同じ高さであることがより好ましい。これにより、半導体レーザ素子以外の部材を第3領域Cと第1領域A及び/又は第2領域Bとの境界上にも配置することが可能となるため、各部材の配置の自由度が向上する。
【0015】
図1Dに示すように、第1領域A、第3領域C及び第2領域Bは、典型的にはパッケージ16の上面16aとほぼ平行である。実装面13aの大きさは、搭載しようとする半導体レーザ素子の大きさ、搭載数、発光装置の大きさ等によって適宜調整することができ、例えば、発光装置の平面積の5〜25%の平面積を有するか、凹部13の平面積の20〜65%の平面積を有することができる。本願においては、ほぼ平行とは、±1度程度の傾きが許容されることを意味する。
【0016】
(接続面13b)
接続面13bは、実装面13aよりも上方に位置している。言い換えると、接続面13bは、実装面13aよりも上面16aに近い位置に配置されている。接続面13bは、その上面に配線層23が配置され、半導体レーザ素子と電気的な接続をとるために利用される。
【0017】
図1A〜
図1Cに示すように、接続面13bは、平面視において、第1領域A及び第2領域Bの両側にそれぞれ位置していることが好ましい。これにより、半導体レーザ素子に近接してワイヤ接続することができる。接続面13bは、実装面13aとほぼ平行な面であることが好ましい。接続面13bの大きさは、1以上のワイヤボンディングに必要な面積を有していればよく、半導体レーザ素子の大きさ、搭載数、発光装置の大きさ等によって適宜調整することができる。接続面13bのy方向の長さは、例えば1mm以上である。接続面13bの合計面積は、例えば、凹部13の平面積の20〜75%とすることができ、また、第2領域Bの平面積の250〜950%とすることができる。あるいは、20〜30mm
2あればよい。例えば、第1領域Aの両側と第2領域Bの両側の合計4つの接続面13bは、それぞれ略同じ平面積である。
接続面13bは、第3領域Cの両側に配置していてもよいが、後述する保持面13cを配置するためには、第3領域Cの両側には接続面13bを配置しないことが好ましい。
【0018】
配線層23は、例えば、銅、金、銀、アルミニウム、チタン、白金、ニッケル、パラジウム又はその合金の1以上によって形成することができる。配線層23の厚みは、例えば、1〜10μmが挙げられる。
【0019】
第1領域A及び第2領域Bの少なくともいずれか一方に半導体レーザ素子を載置した場合において、配線層23の上面が半導体レーザ素子の上面と同程度(例えば、±10%)の高さとなることが好ましい。これにより、ワイヤ長さを短くすることができ、ワイヤによる半導体レーザ素子との接続が容易になる。また、ワイヤの電気抵抗を小さくすることができる。
【0020】
(保持面13c、包囲面13d、側面13e)
凹部13は、実装面13a及び接続面13bに加えて、保持面13c、包囲面13d及び側面13eを有していてもよい。
【0021】
保持面13cは、例えば、
図2A、2Bに示すように、パッケージ16に波長変換部材32を配置する場合に、波長変換部材32の下面を保持し、固定のために利用し得る面である。保持面13cは、実装面13aと平行であることが好ましい。また、接続面13bよりも上方にあることが好ましい。これにより、半導体レーザ素子を接続面13bにワイヤによって接続する場合においても、ワイヤが波長変換部材32等に接触することを防止することができる。
【0022】
例えば、包囲面13dは、保持面13cに波長変換部材32等を保持する場合に、保持面13c上に保持された波長変換部材の周縁を包囲するために、その周縁に対向するように波長変換部材と若干離間して配置されている。包囲面13dは、接続面13b及び保持面13cよりも上方であって、保持面13cに隣接して配置されている。つまり、包囲面13dは、保持面13cに対して立った状態で配置されている。包囲面13dの保持面13cに対する角度は、波長変換部材32の周縁を含む側面に対応させること、すなわち包囲面13dが波長変換部材32の側面とほぼ平行となることが好ましい。具体的には、包囲面13dの保持面13cに対する角度は、60〜120度程度が挙げられ、80〜100度程度が好ましく、90±数度程度がより好ましい。
【0023】
図2A及び2Bにおいては、平面視で、波長変換部材32の外形が四角形であり、その対向する2つの角が、凹部13の側面に対向するように配置され、これら2つの角及びその近傍が、保持面13cに支持されている。また、これら2つの角に隣接する2つの辺の角部近傍の一部のみが、それぞれ、保持面13cに対して直立する包囲面13dに包囲されている。波長変換部材32は、保持面13cに、その下面の約1/3程度が支持されている。また、波長変換部材32は、包囲面13dに、その外縁の約半分が300μm程度の間隔をあけて包囲されている。
【0024】
このような保持面13c及び包囲面13dによって、平面視において、波長変換部材32が発光装置の左右及び上下方向に移動することを抑制することができ、波長変換部材32のずれによるレーザ光の漏れを防止することができる。
【0025】
凹部13、実装面13a、保持面13c及び包囲面13dの平面形状は、例えば、それぞれ四角形等の多角形状又はその角が丸められた形状である。
実装面13a、接続面13b、保持面13c及び包囲面13dは、平面視において、それぞれ異なる領域に配置することができる。また、実装面13a、接続面13b、保持面13c及び包囲面13dの高さの違いは、半導体レーザ素子の大きさ及び高さ、ワイヤ81の形態、波長変換部材32の大きさ及び厚み等によって、適宜設定することができる。例えば、実装面13aと接続面13bとの高さの違い、及び、接続面13bと保持面13cとの高さの違いは、それぞれ、100〜600μm程度が挙げられる。
【0026】
図1Aに示すように、側面13eは、これら実装面13a、接続面13b、保持面13c及び包囲面13dから、パッケージ16の上面16aまで繋がる面である。側面13eの、これらの面に対する傾斜角度は、60〜120度程度が挙げられる。凹部13の外周におけるパッケージ16の上面16aの一部は、後述する蓋体17を支持するために利用される。蓋体17をパッケージ16に接合することで、半導体レーザ素子を気密封止することができる。
【0027】
パッケージ16は、金属、ガラス、セラミックス等によって形成することができる。特に、パッケージ16の耐食性及び放熱性等を考慮して、セラミックスによって形成された部位を有していることが好ましい。セラミックスとしては、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムなどが挙げられ、なかでも、放熱性と耐食性に優れているため、窒化アルミニウムが好ましい。パッケージ16の平面形状は、略円形、略楕円形、略多角形等の種々の形状が挙げられる。例えば、パッケージ16の平面形状は略矩形状である。
【0028】
パッケージ16は、さらに、
図1Aに示すように、上方に開口した第1凹部11及び第2凹部12を有していてもよい。第1凹部11及び第2凹部12は、発光装置の組み立ての際に、パッケージ16に半導体レーザ素子を搭載するための位置合わせの基準を定めるために用いることができ、また、発光装置をレーザモジュールとして組み立てる場合に、発光装置以外の部材との位置合わせに利用することができる。
【0029】
第1凹部11及び第2凹部12は、パッケージ16を貫通していないものが好ましい。パッケージ16がセラミックスを含んで形成される場合、パッケージ16は、セラミック層のグリーンシートを複数積層し、焼成して製造される。よって、そのグリーンシートの積層構造の表面層側の一部の層(例えば、1層又は2層)にのみ孔を開けて積層構造とすれば、複数のセラミック層を積層することによる孔のずれを小さくすることができる。あるいは、複数層による孔のずれを最小限に留めることができる。その結果、第1凹部11及び第2凹部12を精度良く形成することができる。また、パッケージの実装面積の減少を回避することができるため、放熱に寄与する面積をより大きく確保することができる。
【0030】
パッケージ16は、その上面16aであって、平面視において第1凹部11及び第2凹部12の周囲に、それぞれ第1金属層21及び第2金属層22を有することが好ましい。これらの金属層によって、発光装置の製造工程におけるパッケージ16、第1凹部11及び/又は第2凹部12の画像認識が容易となる。第1金属層21及び第2金属層22は、例えば、銅、金、銀、アルミニウム、チタン、白金、ニッケル、パラジウム又はその合金の1以上によって形成することができる。
【0031】
図1Aに示すように、パッケージ16は、さらに、外部電極24、25を有する。また、外部電極24、25を配置するための第4凹部14及び第5凹部15を有していてもよい。外部電極24、25は、凹部13内の配線層23と、パッケージ16内部に設けられた内層配線を介して電気的に接続されている。
平面視において、第4凹部14及び第5凹部15は、凹部13の外側であって接続面13bの近傍に配置されていることが好ましい。これにより、外部電極24、25と接続面13bとの間の距離を短縮することができ、接続面13bの上面の配線層23との距離を短くして、配線抵抗を低減することができる。
【0032】
図1A及び
図1Cに示すように、第4凹部14及び第5凹部15は、凹部13とは独立して配置されていることが好ましい。この場合、第4凹部14及び第5凹部15と凹部13(第3凹部)との間の領域に、蓋体17を接合する。これにより、蓋体17の実装ずれが生じた場合でも、外部電極24、25と蓋体17とが接触しにくくなる。したがって、後述するように、蓋体17を構成する保持部材が導電性を有する場合であっても、保持部材を介した外部電極24と外部電極25との短絡を防止することができる。
第4凹部14及び第5凹部15の底面は、パッケージ16の上面よりも低い。例えば、第4凹部14及び第5凹部15の底面は、接続面13bよりも上方に配置する。
【0033】
第4凹部14及び第5凹部15の底面には、当該底面内に収まる大きさで、外部電極24、25が形成されている。外部電極24、25は、例えば、銅、金、銀、アルミニウム、チタン、白金、ニッケル、パラジウム又はその合金の1以上によって形成することができる。配線層23と異なる材料によって形成されていてもよいが、同じ材料であれば同様の工程で形成することができ、好ましい。
【0034】
このように、パッケージ16の上面側に外部電極24、25を配置することにより、パッケージ16の下面に電極を設ける必要がない。そのため、パッケージ16の下面全部を放熱面とすることができ、放熱性を向上させることができる。
第1領域Aの側方に位置する外部電極24及び外部電極25は、それぞれ、アノード側の電極及びカソード側の電極とする。また、第2領域Bの側方に位置する外部電極24及び外部電極25についても同様に、それぞれ、アノード側の電極及びカソード側の電極とする。このとき、第1領域Aの側方に位置する外部電極24と第2領域Bの側方に位置する外部電極25とを同じ極性とすることが好ましい。これにより、平面視において、パッケージ16をその中央を軸として約180度回転させた場合に、アノードの位置とカソードの位置が略同じとなる。したがって、第1領域A及び第2領域Bのいずれに半導体レーザ素子を配置する場合であっても、パッケージ16を回転することで同様の給電部材を用いて各外部電極24、25に給電することができる。なお、外部電極24をアノードとする場合は、外部電極24を内層配線によって最も近い配線層23と電気的に接続し、その配線層23を金属のワイヤ81等によって半導体レーザ素子のp電極と電気的に接続すればよい。外部電極25の場合も同様である。また、カソードとする場合は、半導体レーザ素子のn電極と電気的に接続すればよい。
【0035】
実施の形態2:発光装置
この実施の形態の発光装置30Aは、
図2A及び2Bに示すように、半導体レーザ素子20と、上述した、上方に開口した凹部13を有するパッケージ16とを備える。この発光装置30Aでは、平面視において、発光点が、パッケージ16の実装面13aにおける第3領域Cと重なる位置に設定されている。
【0036】
(半導体レーザ素子20)
半導体レーザ素子20は、パッケージ16の凹部13内の実装面13aである、第1領域A及び第2領域Bのいずれか一方に載置されている。このとき、第1領域Aに載置可能な最大数の半導体レーザ素子20が第1領域Aに載置されている、又は、第2領域Bに載置可能な最大数の半導体レーザ素子20が第2領域Bに載置されている。例えば、発光装置30Aにおいて、半導体レーザ素子20が1つの場合には、小さい領域である第2領域Bに実装し、3つの場合には、大きい領域である第1領域Aに実装する。つまり、実装する半導体レーザ素子20が多数個の場合は広い第1領域Aに実装し、少数個(例:1個)の場合は、狭い第2領域Bに実装すればよい。これにより、半導体レーザ素子数の数にかかわらず、半導体レーザ素子からワイヤボンディング面までの距離を同程度とすることができる。
また、このように、1種類のパッケージに、半導体レーザ素子を1つ又は複数実装することが可能となるため、半導体レーザ素子の搭載数に応じてパッケージの種類を増やす必要がなく、設計に係るコストを節約することができる。
【0037】
半導体レーザ素子20としては、例えば、窒化物半導体(主として一般式In
xAl
yGa
1−x−yN、0≦x、0≦y、x+y≦1)で表される)などの半導体層を備える素子が挙げられる。その組成等を調整することにより、半導体レーザ素子の発振波長を調整することができる。例えば、400〜530nmの範囲に発振波長を有する半導体レーザ素子を用いることができる。YAG系蛍光体と組み合わせる場合は、発振波長が420〜490nmの範囲にある半導体レーザ素子が好ましい。
【0038】
半導体レーザ素子20は、レーザ光の発振面がパッケージ16の凹部13の実装面13aに実質的に垂直となるように配置されることが好ましい。このような配置により、その他の発光装置の構成部品等の破壊、位置ずれ等が生じることがあっても、レーザ光が直接外部に向けて発振されることを回避することができる。また、半導体レーザ素子20は、その電極形成面がパッケージ16の凹部13の実装面13aに実質的に平行となるように配置されることが好ましい。このような配置であれば、半導体レーザ素子20を容易に実装することができる。
【0039】
半導体レーザ素子20は、実装面13aに直接配置してもよいが、実装面13aにサブマウント18を介して配置することが好ましい。これにより、半導体レーザ素子20の光出射面を実装面13aから離すことができ、半導体レーザ素子20からの光が実装面13aに当たるのを抑制することができる。また、半導体レーザ素子20の上面を配線層23と同様の高さとしやすい。サブマウント18としては、例えば、窒化アルミニウム、炭化珪素等を用いることができる。サブマウント18を配置する場合においても、半導体レーザ素子20は、出射した光が、実装面13aに対して実質的に平行な方向に進行するように実装することが好ましい。
【0040】
(波長変換部材32)
発光装置30Aは、半導体レーザ素子20からの光の波長を変換するための波長変換部材32を備えることが好ましい。波長変換部材32は、凹部13内に収容されていることが好ましく、平面視において第3領域Cに重なる位置に配置されていることがより好ましい。波長変換部材32は、半導体レーザ素子20から出射された光がそのまま、あるいは、例えば、後述する反射部材及び/又はレンズ等を通過又は反射した光として、入射されるように配置することができる。
【0041】
例えば、
図2A及び2Bでは、波長変換部材32は、その下面が、凹部13内の保持面13cに保持され、かつ、その周縁の一部が、包囲面13dにより包囲されている。また、波長変換部材32は、レンズ19を通過し、反射部材31によって反射した光が入射するように配置されている。
【0042】
波長変換部材32としては、蛍光体を含有する蛍光体含有部材32bと、蛍光体含有部材32bを、貫通孔内に保持する保持部材32aとを有するものが挙げられる。波長変換部材32においては、発光装置30Aの平面視において、第3領域Cと重なる位置に、蛍光体含有部材32bが配置されている。蛍光体含有部材32bで生じた熱は保持部材32aを介して効率的に放熱することができる。
【0043】
蛍光体含有部材32bとしては、例えば、蛍光体を含む焼結体を用いる。
蛍光体としては、例えば、半導体レーザ素子20と組み合わせて白色光が得られるような材料を選択する。例えば、半導体レーザ素子20から青色光が出射される場合には、半導体レーザ素子20の出射光を励起光として黄色光を発する蛍光体を用いることができる。黄色光を発する蛍光体としては、YAG系の蛍光体が挙げられる。
【0044】
保持部材32aとしては、蛍光体含有部材32bからの放熱を考慮して、熱伝導率の高い材料を用いるのが好ましい。このような材料としては、例えば、銅、銅合金、鉄もしくは鉄合金等を含む金属又は窒化アルミニウムもしくは酸化アルミニウム等を含むセラミックなどが挙げられる。
保持部材32aは、典型的には、半導体レーザ素子20が発振するレーザ光に対して遮光性を有するものが挙げられる。これにより、レーザ光の光路がずれた場合において、保持部材32aで遮光することができるため、外部にレーザ光が漏れる可能性を低減することができる。
【0045】
波長変換部材32は、例えば、平面形状が略矩形状であり、互いに対向する第1隅部と第2隅部とを有する。また、保持部材32aの貫通孔の大きさは、波長変換部材32に照射されるレーザ光のスポット径によって適宜調整することができる。例えば、スポット径の1倍以上、1.5倍以上等が挙げられる。
【0046】
(反射部材31)
発光装置30Aは、さらに、反射部材31を備えていることが好ましい。
反射部材31は、凹部13の実装面13aであって、半導体レーザ素子20からの光又はレンズ19を通過した光等を反射し得る位置に配置されている。例えば、半導体レーザ素子20からの光を反射し、その反射した光が波長変換部材32の蛍光体含有部材32bを通過する位置に配置される。反射部材31は、半導体レーザ素子20の光を上方に反射するように配置されていることが好ましい。
反射部材31は、第3領域Cに配置される。
【0047】
反射部材31としては、例えば、三角柱又は四角錐台の形状の光学ガラスの斜面に、反射膜が設けられた部材を用いることができる。実装面13aと反射部材31の斜面との角度は、例えば、30から60度が挙げられ、約45度が好ましい。
【0048】
(レンズ19)
発光装置30Aは、さらに、レンズ19を備えていてもよい。
レンズ19は、凹部13の実装面13aであって、半導体レーザ素子20からの光を通過し得る位置に配置されていることが好ましい。レンズ19は、通常、レーザ光の集光又は平行光化に用いられるものを利用する。
【0049】
(蓋体17)
発光装置30Aは、さらに、蓋体17を備えていることが好ましい。
蓋体17は、凹部13内に搭載された半導体レーザ素子20を気密封止するように、例えば、凹部13の開口を塞ぎ、パッケージ16に接合されていることが好ましい。この場合、蓋体は、平面視で、第1凹部11及び第2凹部12と重ならない位置で、パッケージ16に接合されていることが好ましい。これにより、第1凹部11及び第2凹部12を後述するモジュール化時の位置合わせに用いることが可能となる。蓋体17のパッケージ16への接続は、例えば、共晶材料等を用いて行うことができる。パッケージ16の上面に金属枠16bを設け、その金属枠16bに蓋体17を溶接してもよい。これにより、発光装置30Aの気密性を高めることができる。
【0050】
蓋体17は、波長変換部材32を通過した光を、好ましくは上方に、透過させる透光性部材33を有している。透光性部材33はガラス等によって形成することができる。
蓋体17は、透光性部材33を保持するために、貫通孔34aを備える保持部材34を有していることが好ましい。貫通孔34aの光入射側における開口面積は、蛍光体含有部材32bの光出射側における開口面積よりも大きいことが好ましい。透光性部材33は、蓋体17の保持部材34の貫通孔34aを塞ぐように配置される。透光性部材33は、蓋体17の保持部材34の貫通孔34aの内側又は蓋体17の保持部材34の波長変換部材32側とは反対側の面に固定されることが好ましい。これにより、波長変換部材32の上面と蓋体17の下面とを近接させることができるため、波長変換部材32からの光を透光性部材33から取り出しやすくなる。保持部材34にはコバール等を含む金属などを用いることができる。
【0051】
実施の形態3:発光装置
この実施の形態の発光装置30Bは、
図3に示すように、第1領域Aではなく、第2領域Bに半導体レーザ素子20を実装している。このように、半導体レーザ素子20を第2領域Bのみに実装することも可能である。
発光装置30Bでは、半導体レーザ素子20から出射するレーザ光が、プリズム41を通過し、波長変換部材42の上面に照射される。プリズム41は、傾斜面を有する透光性の部材であり、その傾斜面から出射されるレーザ光が、屈折により、下方に、すなわち波長変換部材42の上面に向かうように設計される。波長変換部材42は、例えば、板状の蛍光体含有部材と、その下に設けられた金属層とを含む。これらの点以外は、実質的に、実施の形態2の発光装置30Aと実質的に同様の構成を有する。
このように、発光装置30Bは、蛍光体含有部材のレーザ光入射面と光取り出し側の面とを同じ面とする形態であり、一方、発光装置30Aは、これらを異なる面とする形態である。上述のとおり、このような2種の形態では、同様の出力のレーザ光を照射したとしても、輝度は異なるものとなる。そこで、実施の形態1のパッケージ16であれば、適した半導体レーザ素子の数に応じて、発光装置30Bと発光装置30Aのように、適した実装領域を使用することができる。
【0052】
実施の形態4:パッケージ
この実施形態のパッケージ46は、
図4に示すように、パッケージ46の凹部43内に配置した第1領域A及び第2領域Bの幅(x方向の長さ)は略等しく、第3領域Cの幅は、これらの幅よりも若干小さい。また、第3領域C、第2領域B、第1領域Aの順にその長さ(y方向の長さ)が大きくなっている。このように、実装面43aにおいて、第2領域Bの幅を第3領域Cの幅よりも大きくしてもよい。これにより、実施の形態1のパッケージ16よりも、多くの半導体レーザ素子を第2領域Bに実装することが可能となる。実装面43aの側方には、接続面43bが配置されている。
【0053】
このパッケージ46では、略四角形の波長変換部材を、略四角形の凹部43内において、それらの辺が互いに平行に対向するように配置できる形状となっている。すなわち、平面視で、波長変換部材の4つの辺が、それぞれ凹部43の側面43eと略平行となるように、波長変換部材を支持することが可能な形状で、保持面43cが形成されている。また、保持面43cに対して略直立する包囲面43dは、波長変換部材の、側面43eに対向する2つの角と、これらの2つの角に挟まれた辺と、その辺に隣接する2辺の一部のみを、それぞれ包囲可能である形状で形成されている。
【0054】
パッケージ46は、上述した以外、実施の形態1のパッケージ16とほぼ同様の構成を有する。これにより、実施の形態1のパッケージ16と同様の効果を得ることができる。