(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
局側装置と加入者側装置が光伝送路で接続され、一定の通信間隔でデータを送受信する受動光ネットワークを用いた光通信システムに用いられる前記加入者側装置であって、
自己に備わる少なくとも一部の回路をスリープ状態にするスリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、前記スリープ時間として複数の値を用いてその間を変動させることとし、当該値を変更する順番を予め設定しておく、あるいは当該値を乱数で生成することで変動させる切替部と、
前記回路をスリープ状態にするスリープ指示部と、
を備える加入者側装置。
局側装置と加入者側装置が光伝送路で接続され、一定の通信間隔でデータを送受信する受動光ネットワークを用いた光通信システムに用いられる前記加入者側装置であって、
自己に備わる少なくとも一部の回路をスリープ状態にするスリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、前記スリープ時間を変動させる切替部と、
前記回路をスリープ状態にするスリープ指示部と、
を備え、
前記切替部は、前記スリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、スリープ状態に移行させるスリープ移行閾値をさらに変動させ、
前記スリープ移行閾値が、前記通信間隔、前記加入者側装置の使用帯域、前記加入者側装置への送信データ量、及び前記加入者側装置からの受信データ量、のうちの少なくとも一つを用いて定められる、
加入者側装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0017】
本実施形態に係る発明は、受動光ネットワークを用いた光通信システムにおいて、ONUスリープを行う場合に、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを変動させる。例えば、スリープ時間Tsのみを変動させてもよいし、スリープ移行の閾値i
thのみを変動させてもよいし、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thの両方を変動させてもよい。
【0018】
本実施形態に係る発明は、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかが変動するため、通信間隔からONUスリープのスリープ時間Tsの倍数を離し、同じ時間でONU92がスリープ状態となることを防ぐ。このため、本実施形態に係る発明は、制御信号およびセンサ信号が一定間隔でONU92に到来した場合であっても、ONU92が制御信号、センサ信号が常時遅延するという状況を回避することができる。したがって、本実施形態に係る発明は、通信間隔がONUスリープのスリープ時間Tsの整数倍の近傍となった場合に通信ネットワークの平均遅延時間を予測して遅延補償器を設計することが困難となるという課題を解決することができる。
【0019】
ここで、変動は、平均遅延時間が好ましい値に近づく範囲で行い、連続的に値を変化させてもよいし、断続的に値を変化させてもよいし、ランダムに値を変化させてもよい。変動の順序は任意である。
【0020】
スリープ移行閾値i
thは、ONU92をスリープ状態にしてもよいか否かを判断可能な任意の値を用いることができる。例えば、フレームの送受信間隔、使用帯域及びキュー長のうちの少なくとも一つを用いることができる。以下の実施形態では、一例として、スリープ移行閾値i
thがフレーム送受信間隔すなわち通信間隔である場合について説明する。
【0021】
以下、通信間隔にて説明するが、通信間隔から、フレーム長さが一定の場合は通信間隔で除することで使用帯域が、フレームの長さをキューに入力する通信間隔で除したものから、フレームの長さをキューから出力する間隔で除したものを減じてキュー長がそれぞれを換算できるように、使用帯域及びキュー長であっても同様である。
【0022】
スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thを変動させる主体は、OLT91単体であってもよいし、ONU92単体であってもよいし、OLT91及びONU92の両者であってもよいし、OLT91及びONU92以外の構成であってもよい。
【0023】
OLT91が主体である場合、OLT91は、ONU92に対するスリープ指示の際にスリープ時間Tsを通知してもよい。OLT91は、スリープ指示の際に、スリープ移行閾値i
thも通知してもよい。なお、OLT91のスリープ指示は、ONU92からのスリープ要求への応答であってもよいし、スリープ要求に対する応答でなく、スリープ要求の応答とは別のOLT91での観測結果によるものであってもよい。また、サイクリックスリープでONU92が起動状態となったときや、OLT91からONU92に起動状態となるよう指示するときに、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを通知してもよい。また、スリープに関連するメッセージとは無関係に、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかをOLT91からONU92に通知してもよい。
【0024】
ONU92が主体である場合、ONU92は、OLT91にスリープ要求をする際に、スリープ移行閾値i
thも通知してもよい。また、ONU92は、OLT91からのスリープ指示に対する応答の際に、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを通知してもよい。また、スリープに関連するメッセージとは無関係にスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかをONU92からOLT91に通知してもよい。
【0025】
ONU92が主体の場合で、ONU92からOLT91に送信する送信器のスリープの場合は、スリープ移行閾値i
thをOLT91に通知しなくてもよい。
【0026】
ONU92とOLT91が主体である場合は、ONU92が主体の場合やOLT91が主体の場合と同様に、一方から他方に対して通知してもよいし、変動させるスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thの変動させる順番や、変動させる値の算出式を共有して、両者で同期するように変動させることで、両者の間の通知を省略するとしてもよい。
【0027】
ONU92とOLT91以外で、OLT91の上流やONU92の下流でデータを伝送する装置やOLT91をコントロールする装置等の、観測対象の情報を取得してスリープ指示をOLT91や顧客側装置等を介して間接的又は直接的にONU92に伝えることのできる構成要素や、間接的又は直接的に変動させるスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thをONU92とOLT91の少なくとも一方に通知できる構成要素が主体であってもよい。
【0028】
(実施形態1)
本実施形態では、一つのスリープ時間Tsではなく、複数のスリープ時間Tsの組み合わせを用いる。
【0029】
図4を参照しながら説明する。通信間隔が50msであるとする。フレームサイズは1250バイトであるので、図では0.2Mbps(=1250[B]/50[ms])が通信間隔50msに相当する。スリープ時間Tsが50msの場合、平均遅延時間は47msである。本実施形態では、スリープ時間Tsに複数の値、例えば50msと60msの組み合わせを用いる。60msの場合はスリープによる遅延の影響がないので遅延時間は25msとなる。このため、50msと60msを交互に用いれば、両者の平均遅延時間の和36(=(47+25)/2)msのように平均遅延時間が、中心値の25msに近づく。
【0030】
スリープ時間Tsの中心値を50msとする場合、複数のスリープ時間Tsとして、例えば40msと60msを同じ頻度で用いてもよいし、40msと50msと60msとを同じ頻度で用いてもよい。
【0031】
複数のスリープ時間Tsを順に使用すると、スリープ時間Tsの総和の時間で周期的にスリープ状態となる。この場合、複数の値を用いる1周期分の複数のスリープ時間Tsの総和の整数倍の近傍となる通信間隔で、平均遅延時間の変化が大きくなる。このため、一周期分の複数のスリープ時間Tsの総和の整数倍の近傍に固定的な通信間隔として利用される可能性の少ない値を用いることが望ましい。整数倍の近傍としては、例えば
図4の例では、50ms(0.2Mbps)近傍では0.2〜0.198Mbps、100ms(0.1Mbps)近傍では0.1001〜0.0997Mbpsで5ms以上変化し、近傍とは、数kbpsである。
【0032】
例えば、スリープ時間Tsが50msと60ms→50ms→60msと切り替わるのであれば、スリープ時間Tsの総和の時間である50+60=110msが通信間隔の整数倍の近傍にならないことが好ましい。スリープ時間Tsが50ms→50ms→60ms→60ms→50ms→50ms→60ms→60msと切り替わるのであれば、スリープ時間Tsの総和の時間である50+50+60+60=220msが通信間隔の整数倍の近傍にならないことが好ましい。
【0033】
また、複数の値の総和を大きくするために、複数のスリープ時間Tsとして、3以上の値を用いることが望ましい。更に望ましくは、スリープ時間Tsに用いる値を乱数で生成することが望ましい。擬似乱数を用いる場合は、同一の値が発生するまでの時間が長い方が望ましい。
【0034】
図4に示すProp(s.t.=rand.)は、スリープ時間Tsを擬似乱数で生成した場合の平均遅延時間の一例である。この場合、通信間隔に依らず、平均遅延時間が25msであることがわかる。
【0035】
図5に、本実施形態の通信間隔i
aveとスリープ移行閾値i
thとスリープ時間Tsの関係の一例を示す。スリープ時間Tsの変動範囲(T
max〜T
min)としては、基準となるスリープ時間の近傍が好ましく、例えば、基準となるスリープ時間の±25%程度、より好ましくは±10%程度の範囲で変動させることが望ましい。これは、スリープ時間Tsの変動が大きくなるに従って、省電力効果が低下するためである。
【0036】
なお、スリープ時間Tsは、ONU92とOLT91で用いる値とその変更する順番を予め設定しておいてもよいし、スリープ時間Tsの決定方法、例えば、擬似乱数の生成式と種とする値を予め設定しておいてもよい。また、OLT91とONU92間で通信して共有してもよい。
【0037】
また、スリープ時間Tsとして、50msを基準に複数の値を選択する例で示したが、本実施形態に係る発明はこれに限定されない。
【0038】
(実施形態2)
本実施形態では、スリープ時間Tsを複数とする代わりに、スリープ移行閾値i
thを複数とする。その他は、実施形態1と同様である。例えば、スリープ移行閾値i
thは、乱数で決定することが望ましい。
【0039】
図6に、本実施形態の通信間隔i
aveとスリープ移行閾値i
thとスリープ時間Tsの関係の一例を示す。スリープ移行閾値i
thの変動範囲(i
max〜i
min)としては、基準となるスリープ移行閾値i
thの近傍が好ましい。スリープ移行閾値i
thの複数の値の少なくとも一つは、想定される通信間隔よりも小さい値であることが望ましい。例えば、i
thは0近傍の値を含むことが望ましい。これは、スリープ移行閾値i
thの変動周期内に、制御信号およびセンサ信号を送受信する通信間隔が含まれる場合に効果が大きいためである。
【0040】
スリープ移行閾値i
thは0近傍の値を含み、通信間隔以下であると、通信間隔と等しい場合と異なるタイミングでスリープに入ってスリープの周期とトラフィックの発生タイミングをずらす効果がある。また、スリープ移行閾値i
thの複数の値の少なくとも一つは、想定される通信間隔よりも大きい値であることが望ましい。スリープ移行閾値i
thが通信間隔以上であると、通信間隔と等しい場合と異なるタイミングでスリープに入ってスリープの周期とトラフィックの発生タイミングをずらす効果がある。
【0041】
特に、通信間隔の倍以上の値であると、スリープによる遅延のあるトラフィックとスリープによる遅延のないトラフィックが発生する。更に、通信間隔の倍以上の値かつ通信間隔の整数倍の近傍以外の値であると、タイミングをずらす効果が大きい。即ち、乱数が最小値i
minと最大値i
maxの間で変動する場合、乱数の最小値i
minは≒0が、最大値i
maxは想定される通信間隔倍以上の値かつ通信間隔の整数倍の近傍以外の値が望ましい。
【0042】
(実施形態3)
本実施形態では、スリープ時間Tsに加えてスリープ移行閾値i
thも複数とする。その他は、実施形態1及び実施形態2と同様である。例えば、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thは、乱数で決定することが望ましい。
【0043】
図4に示すProp(s.t.=th.=rand.)は、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thを擬似乱数で生成した場合の平均遅延時間の一例である。この場合、通信間隔に依らず、概ね平均遅延時間が25msであることがわかる。
【0044】
図7に、本実施形態の通信間隔i
aveとスリープ移行閾値i
thとスリープ時間Tsの関係を示す。
【0045】
スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thの変動範囲の好ましい例については、実施形態1及び2において述べたとおりである。スリープ時間Tsの変動範囲(T
max〜T
min)としては、基準となるスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのそれぞれの近傍、例えば±25%程度、より好ましくは±10%程度の範囲で変動させることが望ましい。
【0046】
また、スリープ移行閾値i
thの複数の値の少なくとも一つが、想定される通信間隔i
aveよりも小さい値であることが望ましい。例えばi
thは0近傍の値を含むことが望ましい。スリープ移行閾値i
thは0近傍の値を含むこれは、スリープ移行閾値i
thの変動周期内に通信間隔が含まれる場合に効果が大きいためである。
【0047】
スリープ移行閾値i
thは0近傍の値を含み、通信間隔以下であると、通信間隔と等しい場合と異なるタイミングでスリープに入ってスリープの周期とトラフィックの発生タイミングをずらす効果がある。また、スリープ移行閾値i
thの複数の値の少なくとも一つは、想定される通信間隔よりも大きい値であることが望ましい。スリープ移行閾値i
thが通信間隔以上であると、通信間隔と等しい場合と異なるタイミングでスリープに入ってスリープの周期とトラフィックの発生タイミングをずらす効果がある。
【0048】
特に、通信間隔の倍以上の値であると、スリープによる遅延のあるトラフィックとスリープによる遅延のないトラフィックが発生する。更に、通信間隔の倍以上の値かつ通信間隔の整数倍の近傍以外の値であると、タイミングをずらす効果が大きい。即ち、スリープ移行閾値i
thの変動範囲(i
max〜i
min)のi
minは0近傍の値が、最大値i
maxは想定される通信間隔倍以上の値かつ通信間隔の整数倍の近傍以外の値が望ましい。
【0049】
以上の説明では、スリープ時間Tsとスリープ移行閾値ithは独立の値として示したが、スリープ時間Tsとスリープ移行閾値ithとは常に同じ値となるようにしてもよい。
【0050】
本実施形態では,スリープ時間Tsとスリープ移行閾値ithとを変更することで、スリープとデータの到着のタイミングの同期を防ぐと共に、通信間隔に対するスリープへの柔軟性を加えることができる。
【0051】
(実施形態4)
本実施形態では、OLT91がスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを変動させ、ONU92に指示する。
図8に、本実施形態に係る光通信システムの構成例を示す。
【0052】
本実施形態に係る光通信システムは、OLT91及びONU92が光伝送路で接続されたPONを用いた光通信システムにおいて、OLT91が切替部11、観測部12及びスリープ指示部13を備える。切替部11、観測部12及びスリープ指示部13は、OLT91に備わるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のLSI(Large Scale Integration)を用いて実行することができる。
【0053】
切替部11は、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを変動させる。スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかの変動については、実施形態1〜実施形態3において述べたとおりである。
観測部12は、スリープ移行閾値i
thを用いて、ONU92をスリープ状態にしてよいか否かを判定する。このとき、切替部11がスリープ移行閾値i
thを変動させる場合、観測部12は、切替部11が変動させたスリープ移行閾値i
thを用いる。
観測部12がスリープ状態にしてよいと判定したとき、スリープ指示部13は、ONU92に対してスリープ指示を送信する。このとき、切替部11がスリープ時間Tsを変動させる場合、スリープ指示部13は、切替部11の変動させたスリープ時間TsをONU92に送信する。
【0054】
観測部12におけるONU92をスリープ状態にしてよいか否かの判定は、例えば、通信間隔、使用帯域及びキュー長のうちの少なくとも一つを観測し、観測結果とスリープ移行閾値i
thとの比較結果に基づいて、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。切替部11において変動させるスリープ移行閾値i
thは、観測部12における観測対象ごとに変動させることが好ましい。
【0055】
観測部12が通信間隔を観測する場合、ONU92へ送信するフレームの送信間隔又はONU92から受信したフレームの受信間隔或いはこれらの両者が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値i
thを超えたときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、通信間隔の平均値がスリープ移行閾値i
thを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0056】
観測部12が使用帯域を観測する場合、ONU92へ送信するフローの使用帯域又はONU92から受信するフローの使用帯域或いはこれらの両者が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値i
thを下回ったときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、使用帯域の平均値がスリープ移行閾値i
thを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0057】
観測部12がキュー長を観測する場合、ONU92へ送信するフレームを一時的に格納するキューのキュー長又はONU92から受信するフレームを一時的に格納するキューのキュー長或いはこれらの両者が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値i
thを下回ったときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、キュー長の平均値がスリープ移行閾値i
thを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0058】
ONU92は、スリープ指示を受信すると、スリープ状態へ移行する。このとき、ONU92は、
図1に示すスリープ時間Tsに、OLT91から通知されたスリープ時間Tsを用いる。
【0059】
本実施形態に係る光通信システムは、以上の構成を備えるため、ONU92のスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを変動させることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、ONU92がスリープ要求をOLT91に送信した後に、スリープ指示部13がOLT91がスリープ時間TsをONU92に通知する例を示したが、本実施形態に係る発明はこれに限定されない。例えば観測部12から通知してもよい。例えば、ONU92がスリープ要求をOLT91に送信する前に、OLT91がスリープ時間Tsを事前にONU92に通知してもよい。例えば、OLT91は、切替部11が変動させたスリープ時間Tsを、定期的にONU92へ通知してもよいし、変動を契機に通知してもよいし、スリープ指示やスリープ要求やPLOAM(Physical Layer Operations And Maintenance)セルやOMCI(ONU Management and Control Interface)等の通信の際に通信してもよい。対向相手のONU92のスリープ移行閾値を変更する場合は、対向相手のONU92にスリープ移行閾値i
thを伝えることが望ましい。
【0061】
(実施形態5)
本実施形態では、ONU92がスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを変動させる。
図9に、本実施形態に係る光通信システムの構成例を示す。
【0062】
本実施形態に係る光通信システムは、OLT91及びONU92が光伝送路で接続されたPONを用いた光通信システムにおいて、ONU92が切替部21、観測部22及びスリープ指示部23を備える。切替部21、観測部22及びスリープ指示部23は、ONU92に備わるCPUを用いて実行することができる。
【0063】
切替部21は、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを変動させる。スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかの変動については、実施形態1〜実施形態3において述べたとおりである。
観測部22は、スリープ移行閾値i
thを用いて、ONU92をスリープ状態にしてよいか否かを判定する。このとき、切替部21がスリープ移行閾値i
thを変動させる場合、観測部22は、切替部21が変動させたスリープ移行閾値i
thを用いる。
観測部22がスリープ状態にしてよいと判定したとき、スリープ指示部23は、ONU92をスリープ状態にする。このとき、切替部21がスリープ時間Tsを変動させる場合、スリープ指示部23は、切替部21が変動させたスリープ時間Tsを用いる。
【0064】
観測部22におけるONU92をスリープ状態にしてよいか否かの判定は、例えば、実施形態4の観測部12と同様に、通信間隔、使用帯域及びキュー長のうちの少なくとも一つを観測し、観測結果とスリープ移行閾値i
thとの比較結果に基づいて、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。切替部21において変動させるスリープ移行閾値i
thは、観測部22における観測対象ごとに変動させることが好ましい。
【0065】
観測部22が通信間隔を観測する場合、OLT91へ送信するフレームの送信間隔又はOLT91から受信したフレームの受信間隔或いはこれらの両者が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値i
thを超えたときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、通信間隔の平均値がスリープ移行閾値i
thを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0066】
観測部22が使用帯域を観測する場合、OLT91へ送信するフローの使用帯域又はOLT91から受信するフローの使用帯域或いはこれらの両者が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値i
thを下回ったときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、使用帯域の平均値がスリープ移行閾値i
thを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0067】
観測部22がキュー長を観測する場合、OLT91へ送信するフレームを一時的に格納するキューのキュー長又はOLT91から受信するフレームを一時的に格納するキューのキュー長或いはこれらの両者が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値i
thを下回ったときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、キュー長の平均値がスリープ移行閾値i
thを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0068】
本実施形態に係る光通信システムは、以上の構成を備えるため、ONU92のスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを変動させることができる。
【0069】
なお、本実施形態では、ONU92が独自にスリープ移行閾値i
thとスリープ時間Tsを変動させる例を示したが、本実施形態に係る発明はこれに限定されない。例えば、観測部22がスリープ状態にしてよいと判定したとき、スリープ指示部23がスリープ要求をOLT91に送信してもよいし、変動を契機に通知してもよいし、スリープ指示やスリープ要求やPLOAMセルやOMCI等の通信の際に通信してもよい。対向相手のOLT91のスリープ移行閾値i
thを変更する場合は、対向相手のOLT91にスリープ移行閾値i
thを伝えることが望ましい。
【0070】
(実施形態6)
本実施形態では、ONU92とOLT91の両方が、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを変動させる。
図10に、本実施形態に係る光通信システムの構成例を示す。
【0071】
本実施形態に係る光通信システムは、OLT91及びONU92が光伝送路で接続されたPONを用いた光通信システムにおいて、OLT91が切替部11、観測部12及びスリープ指示部13を備え、ONU92が切替部21、観測部22及びスリープ指示部23を備える。切替部11、観測部12、スリープ指示部13、切替部21、観測部22及びスリープ指示部23の機能及び動作は、実施形態4及び実施形態5において述べたとおりである。
【0072】
本実施形態では、ONU92とOLT91の両方が、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを変動させる。このため、ONU92及びOLT91は、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thの同期を行うことが好ましい。
【0073】
本実施形態に係る光通信システムは、以上の構成を備えるため、ONU92のスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを変動させることができる。なお、ONU92とOLT91とで同期して切り換えない場合は、少なくともスリープ時間TsはONU92−OLT91間で共有することが望ましい。スリープ時間Tsの通知は、切替を契機に随時、定期的な通知、スリープ指示、スリープ要求、PLOAMセルやOMCI等の通信の際に通知すればよい。
【0074】
(実施形態7)
本実施形態では、OLT91とONU92以外の構成がスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを変動させる。
図11に、本実施形態に係る光通信システムの構成例を示す。
【0075】
本実施形態に係る光通信システムは、OLT91の上流にスリープ制御装置94が接続されている。スリープ制御装置94は、切替部41、観測部42及びスリープ指示部43を備える。切替部41、観測部42及びスリープ指示部43は、スリープ制御装置94に備わるCPUを用いて実行することができる。
【0076】
切替部41は、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを変動させる。スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかの変動については、実施形態1〜実施形態3において述べたとおりである。
観測部42は、スリープ移行閾値i
thを用いて、ONU92をスリープ状態にしてよいか否かを判定する。このとき、切替部41がスリープ移行閾値i
thを変動させる場合、観測部42は、切替部41が変動させたスリープ移行閾値i
thを用いる。
観測部42がスリープ状態にしてよいと判定したとき、スリープ指示部43は、ONU92に対してスリープ指示を送信する。このとき、切替部41がスリープ時間Tsを変動させる場合、スリープ指示部43は、切替部41が変動させたスリープ時間TsをOLT91及びONU92に送信する。
【0077】
観測部42におけるONU92をスリープ状態にしてよいか否かの判定は、例えば、通信間隔、使用帯域及びキュー長のうちの少なくとも一つを観測し、観測結果とスリープ移行閾値i
thとの比較結果に基づいて、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。切替部41において変動させるスリープ移行閾値i
thは、観測部42における観測対象ごとに変動させることが好ましい。
【0078】
観測部42が通信間隔を観測する場合、OLT91又はONU92或いはこれらの両者の送信するフレームの送信間隔が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値i
thを超えたときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、通信間隔の平均値がスリープ移行閾値i
thを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0079】
観測部12が使用帯域を観測する場合、ONU92に割り当てられる使用帯域が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値i
thを下回ったときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、使用帯域の平均値がスリープ移行閾値i
thを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0080】
観測部12がキュー長を観測する場合、ONU92へ送信するフレームをOLT91において一時的に格納するキューのキュー長、ONU92から受信するフレームをOLT91において一時的に格納するキューのキュー長、OLT91へ送信するフレームをONU92において一時的に格納するキューのキュー長、OLT91から受信するフレームをONU92において一時的に格納するキューのキュー長の少なくともいずれかが、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値i
thを下回ったときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、キュー長の平均値がスリープ移行閾値i
thを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0081】
ONU92は、スリープ指示を受信すると、スリープ状態へ移行する。このとき、ONU92は、
図1に示すスリープ時間Tsに、スリープ制御装置94から通知されたスリープ時間Tsを用いる。
【0082】
本実施形態に係る光通信システムは、以上の構成を備えるため、ONU92のスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値i
thのうちの少なくともいずれかを変動させることができる。
【0083】
なお、本実施形態では、スリープ制御装置94がOLT91に接続される例を示したが、本実施形態に係る発明はこれに限定されない。例えば、スリープ制御装置94は、OLT91の上流に接続されていてもよいし、ONU92の下流でデータを伝送する装置に備わっていてもよいし、OLTを制御する装置に備わっていてもよい。