特許第6639092号(P6639092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6639092
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】光通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/272 20130101AFI20200127BHJP
   H04B 10/075 20130101ALI20200127BHJP
   H04L 12/44 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   H04B10/272
   H04B10/075
   H04L12/44 200
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-25943(P2015-25943)
(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公開番号】特開2016-149662(P2016-149662A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2017年1月4日
【審判番号】不服2018-14668(P2018-14668/J1)
【審判請求日】2018年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】100127535
【弁理士】
【氏名又は名称】豊田 義元
(74)【代理人】
【識別番号】100189898
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 健悟
(72)【発明者】
【氏名】吉野 學
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 謙一
(72)【発明者】
【氏名】田所 将志
(72)【発明者】
【氏名】村山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】久保 亮吾
【合議体】
【審判長】 北岡 浩
【審判官】 丸山 高政
【審判官】 衣鳩 文彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−123179(JP,A)
【文献】 特開2012−175477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00 - 10/90
H04L 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局側装置と加入者側装置が光伝送路で接続され、一定の通信間隔でデータを送受信する受動光ネットワークを用いた光通信システムであって、
前記加入者側装置をスリープ状態にするスリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、前記スリープ時間として複数の値を用いてその間を変動させることとし、当該値を変更する順番を予め設定しておく、あるいは当該値を乱数で生成する、
光通信システム。
【請求項2】
局側装置と加入者側装置が光伝送路で接続され、一定の通信間隔でデータを送受信する受動光ネットワークを用いた光通信システムであって、
前記加入者側装置をスリープ状態にするスリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、前記スリープ時間を変動させ、
前記スリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、前記加入者側装置をスリープ状態に移行させるスリープ移行閾値をさらに変動させ、
前記スリープ移行閾値が、前記通信間隔、前記加入者側装置の使用帯域、前記加入者側装置への送信データ量、及び前記加入者側装置からの受信データ量、のうちの少なくとも一つを用いて定められる、
光通信システム。
【請求項3】
局側装置と加入者側装置が光伝送路で接続され、一定の通信間隔でデータを送受信する受動光ネットワークを用いた光通信システムに用いられる前記局側装置であって、
前記加入者側装置をスリープ状態にするスリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、前記スリープ時間として複数の値を用いてその間を変動させることとし、当該値を変更する順番を予め設定しておく、あるいは当該値を乱数で生成することで変動させる切替部と、
前記スリープ時間を前記加入者側装置へ指示するスリープ指示部と、
を備える局側装置。
【請求項4】
前記切替部は、前記スリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、前記加入者側装置をスリープ状態に移行させるスリープ移行閾値をさらに変動させ、
前記スリープ指示部は、前記スリープ移行閾値を前記加入者側装置へ指示し、
前記スリープ移行閾値が、前記通信間隔、前記加入者側装置の使用帯域、前記加入者側装置への送信データ量、及び前記加入者側装置からの受信データ量、のうちの少なくとも一つを用いて定められる、
請求項3に記載の局側装置。
【請求項5】
前記スリープ移行閾値を用いて、前記加入者側装置をスリープ状態にしてよいか否かを判定する観測部をさらに備え、
前記スリープ指示部は、前記観測部が前記加入者側装置をスリープ状態にしてよいと判定した場合に、スリープ状態に移行することを指示するスリープ指示を前記加入者側装置へ通知する、
請求項4に記載の局側装置。
【請求項6】
局側装置と加入者側装置が光伝送路で接続され、一定の通信間隔でデータを送受信する受動光ネットワークを用いた光通信システムに用いられる前記加入者側装置であって、
自己に備わる少なくとも一部の回路をスリープ状態にするスリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、前記スリープ時間として複数の値を用いてその間を変動させることとし、当該値を変更する順番を予め設定しておく、あるいは当該値を乱数で生成することで変動させる切替部と、
前記回路をスリープ状態にするスリープ指示部と、
を備える加入者側装置。
【請求項7】
局側装置と加入者側装置が光伝送路で接続され、一定の通信間隔でデータを送受信する受動光ネットワークを用いた光通信システムに用いられる前記加入者側装置であって、
自己に備わる少なくとも一部の回路をスリープ状態にするスリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、前記スリープ時間を変動させる切替部と、
前記回路をスリープ状態にするスリープ指示部と、
を備え、
前記切替部は、前記スリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、スリープ状態に移行させるスリープ移行閾値をさらに変動させ、
前記スリープ移行閾値が、前記通信間隔、前記加入者側装置の使用帯域、前記加入者側装置への送信データ量、及び前記加入者側装置からの受信データ量、のうちの少なくとも一つを用いて定められる、
加入者側装置。
【請求項8】
前記スリープ移行閾値を用いて、前記加入者側装置または前記回路をスリープ状態にしてよいか否かを判定する観測部をさらに備え、
前記スリープ指示部は、前記観測部が前記加入者側装置または前記回路をスリープ状態にしてよいと判定した場合に、前記回路をスリープ状態にする、
請求項7に記載の加入者側装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受動光ネットワークを用いた光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
局側装置(OLT:Optical Line Terminal)と加入者側装置(ONU:Optical Network Unit)が光伝送路で接続された受動光ネットワーク(PON:Passive Optical Network)を用いた光通信システムにおいて、周期的にONUの送受信機等の一部回路の機能を停止することによって、消費電力の低下したスリープ状態へとONUを移行させるONUスリープが提案されている(例えば、非特許文献)。
【0003】
図1に、スリープ状態の一例を示す。スリープ状態への移行は、例えば、OLTからONUへの通信をOLTで監視し、スリープ移行のための予め定められたスリープ移行閾値ithを超えた場合に行う。該当するONUを送受信先とするトラヒックが発生したとき、起動状態へ移行する。スリープ状態となりうるスリープモードでは、ONUは、起動状態とスリープ状態を繰り返す。スリープ状態となるスリープ時間Tsは、図2に示すように、サービスクラス等に応じて、予め定められた所定値を用いる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ryogo Kubo,Jun−ichi Kani,Hirotaka Ujikawa,Takeshi Sakamoto,Yukihiro Fujimoto,Naoto Yoshimoto,and Hisaya Hadama, “Study and Demonstration of Sleep and Adaptive Link Rate Control Mechanisms for Energy Efficient 10G−EPON”,J.OPT.COMMUN.NETW,VOL.2,NO.9,pp.761−728,2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一定の通信間隔で制御信号およびセンサ信号を送受信することで通信ネットワークの制御を行う図3に示すような光通信システム、例えば受動光ネットワークを介した制御システムの場合、通信ネットワークの平均遅延時間を予測して遅延補償器93を設計する。
【0006】
前述のONUスリープでは、ONUが周期的にスリープ状態になる。このため、受動光ネットワークを用いた光通信システムにおいて、一定の通信間隔で制御信号およびセンサ信号を送受信すると、通信間隔によっては通信ネットワークの平均遅延時間が著しく変化する場合がある。具体的には、通信間隔がスリープ時間Tsの整数倍の近傍で、通信ネットワークの平均遅延時間が著しく変化する。このため、通信ネットワークの平均遅延時間を正しく予測することが困難であり、通信間隔によっては逐次遅延補償器の再設計を行なわなければならない課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、受動光ネットワークを用いた光通信システムにおいて、通信ネットワークの平均遅延時間の著しい変化を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、スリープ時間又はスリープ移行閾値の少なくともいずれか一方を変動させる。
【0009】
具体的には、本発明に係る光通信システムは、局側装置と加入者側装置が光伝送路で接続され、一定の通信間隔でデータを送受信する受動光ネットワークを用いた光通信システムであって、前記加入者側装置をスリープ状態にするスリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、前記スリープ時間を変動させ
本発明に係る光通信システムでは、前記スリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、前記加入者側装置をスリープ状態に移行させるスリープ移行閾値をさらに変動させてもよい。ここで、前記スリープ移行閾値は、前記通信間隔、前記加入者側装置の使用帯域、前記加入者側装置への送信データ量、及び前記加入者側装置からの受信データ量、のうちの少なくとも一つを用いて定められる。
【0010】
具体的には、本発明に係る局側装置は、局側装置と加入者側装置が光伝送路で接続され、一定の通信間隔でデータを送受信する受動光ネットワークを用いた光通信システムに用いられる前記局側装置であって、前記加入者側装置をスリープ状態にするスリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、前記スリープ時間を変動させる切替部と、前記スリープ時間を前記加入者側装置へ指示するスリープ指示部と、を備える。
【0011】
本発明に係る局側装置では、前記切替部は、前記スリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、前記加入者側装置をスリープ状態に移行させるスリープ移行閾値をさらに変動させ、前記スリープ指示部は、前記スリープ移行閾値を前記加入者側装置へ指示させてもよい。ここで、前記スリープ移行閾値は、前記通信間隔、前記加入者側装置の使用帯域、前記加入者側装置への送信データ量、及び前記加入者側装置からの受信データ量、のうちの少なくとも一つを用いて定められる。
本発明に係る局側装置では、前記スリープ移行閾値を用いて、前記加入者側装置をスリープ状態にしてよいか否かを判定する観測部をさらに備え、前記スリープ指示部は、前記観測部が前記加入者側装置をスリープ状態にしてよいと判定した場合に、スリープ状態に移行することを指示するスリープ指示を前記加入者側装置へ通知してもよい。
【0012】
具体的には、本発明に係る加入者側装置は、局側装置と加入者側装置が光伝送路で接続され、一定の通信間隔でデータを送受信する受動光ネットワークを用いた光通信システムに用いられる前記加入者側装置であって、自己に備わる少なくとも一部の回路をスリープ状態にするスリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、前記スリープ時間を変動させる切替部と、前記回路をスリープ状態にするスリープ指示部と、を備える。
【0013】
本発明に係る加入者側装置では、前記切替部は、前記スリープ時間が前記通信間隔の倍数と異なるように、スリープ状態に移行させるスリープ移行閾値をさらに変動させてもよい。ここで、前記スリープ移行閾値が、前記通信間隔、前記加入者側装置の使用帯域、前記加入者側装置への送信データ量、及び前記加入者側装置からの受信データ量、のうちの少なくとも一つを用いて定められる。
本発明に係る加入者側装置では、前記スリープ移行閾値を用いて、前記加入者側装置または前記回路をスリープ状態にしてよいか否かを判定する観測部をさらに備え、前記スリープ指示部は、前記観測部が前記加入者側装置または前記回路をスリープ状態にしてよいと判定した場合に、前記回路をスリープ状態にしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、受動光ネットワークを用いた光通信システムにおいて、通信ネットワークの平均遅延時間の著しい変化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】スリープ状態の一例を示す。
図2】関連する通信間隔iave、スリープ移行閾値ith及びスリープ時間Tsの関係の一例を示す。
図3】光通信システム、例えば受動光ネットワークを介して一定の通信間隔で制御信号およびセンサ信号を送受信することで制御を行う制御システムの構成の一例を示す。
図4】通信間隔に対する平均遅延時間の一例を示す。
図5】実施形態1に係る通信間隔iave、スリープ移行閾値ith及びスリープ時間Tsの関係の一例を示す。
図6】実施形態2に係る通信間隔iave、スリープ移行閾値ith及びスリープ時間Tsの関係の一例を示す。
図7】実施形態3に係る通信間隔iave、スリープ移行閾値ith及びスリープ時間Tsの関係の一例を示す。
図8】実施形態4に係る光通信システムの構成例を示す。
図9】実施形態5に係る光通信システムの構成例を示す。
図10】実施形態6に係る光通信システムの構成例を示す。
図11】実施形態7に係る光通信システムの構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0017】
本実施形態に係る発明は、受動光ネットワークを用いた光通信システムにおいて、ONUスリープを行う場合に、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを変動させる。例えば、スリープ時間Tsのみを変動させてもよいし、スリープ移行の閾値ithのみを変動させてもよいし、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithの両方を変動させてもよい。
【0018】
本実施形態に係る発明は、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかが変動するため、通信間隔からONUスリープのスリープ時間Tsの倍数を離し、同じ時間でONU92がスリープ状態となることを防ぐ。このため、本実施形態に係る発明は、制御信号およびセンサ信号が一定間隔でONU92に到来した場合であっても、ONU92が制御信号、センサ信号が常時遅延するという状況を回避することができる。したがって、本実施形態に係る発明は、通信間隔がONUスリープのスリープ時間Tsの整数倍の近傍となった場合に通信ネットワークの平均遅延時間を予測して遅延補償器を設計することが困難となるという課題を解決することができる。
【0019】
ここで、変動は、平均遅延時間が好ましい値に近づく範囲で行い、連続的に値を変化させてもよいし、断続的に値を変化させてもよいし、ランダムに値を変化させてもよい。変動の順序は任意である。
【0020】
スリープ移行閾値ithは、ONU92をスリープ状態にしてもよいか否かを判断可能な任意の値を用いることができる。例えば、フレームの送受信間隔、使用帯域及びキュー長のうちの少なくとも一つを用いることができる。以下の実施形態では、一例として、スリープ移行閾値ithがフレーム送受信間隔すなわち通信間隔である場合について説明する。
【0021】
以下、通信間隔にて説明するが、通信間隔から、フレーム長さが一定の場合は通信間隔で除することで使用帯域が、フレームの長さをキューに入力する通信間隔で除したものから、フレームの長さをキューから出力する間隔で除したものを減じてキュー長がそれぞれを換算できるように、使用帯域及びキュー長であっても同様である。
【0022】
スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithを変動させる主体は、OLT91単体であってもよいし、ONU92単体であってもよいし、OLT91及びONU92の両者であってもよいし、OLT91及びONU92以外の構成であってもよい。
【0023】
OLT91が主体である場合、OLT91は、ONU92に対するスリープ指示の際にスリープ時間Tsを通知してもよい。OLT91は、スリープ指示の際に、スリープ移行閾値ithも通知してもよい。なお、OLT91のスリープ指示は、ONU92からのスリープ要求への応答であってもよいし、スリープ要求に対する応答でなく、スリープ要求の応答とは別のOLT91での観測結果によるものであってもよい。また、サイクリックスリープでONU92が起動状態となったときや、OLT91からONU92に起動状態となるよう指示するときに、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを通知してもよい。また、スリープに関連するメッセージとは無関係に、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかをOLT91からONU92に通知してもよい。
【0024】
ONU92が主体である場合、ONU92は、OLT91にスリープ要求をする際に、スリープ移行閾値ithも通知してもよい。また、ONU92は、OLT91からのスリープ指示に対する応答の際に、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを通知してもよい。また、スリープに関連するメッセージとは無関係にスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかをONU92からOLT91に通知してもよい。
【0025】
ONU92が主体の場合で、ONU92からOLT91に送信する送信器のスリープの場合は、スリープ移行閾値ithをOLT91に通知しなくてもよい。
【0026】
ONU92とOLT91が主体である場合は、ONU92が主体の場合やOLT91が主体の場合と同様に、一方から他方に対して通知してもよいし、変動させるスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithの変動させる順番や、変動させる値の算出式を共有して、両者で同期するように変動させることで、両者の間の通知を省略するとしてもよい。
【0027】
ONU92とOLT91以外で、OLT91の上流やONU92の下流でデータを伝送する装置やOLT91をコントロールする装置等の、観測対象の情報を取得してスリープ指示をOLT91や顧客側装置等を介して間接的又は直接的にONU92に伝えることのできる構成要素や、間接的又は直接的に変動させるスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithをONU92とOLT91の少なくとも一方に通知できる構成要素が主体であってもよい。
【0028】
(実施形態1)
本実施形態では、一つのスリープ時間Tsではなく、複数のスリープ時間Tsの組み合わせを用いる。
【0029】
図4を参照しながら説明する。通信間隔が50msであるとする。フレームサイズは1250バイトであるので、図では0.2Mbps(=1250[B]/50[ms])が通信間隔50msに相当する。スリープ時間Tsが50msの場合、平均遅延時間は47msである。本実施形態では、スリープ時間Tsに複数の値、例えば50msと60msの組み合わせを用いる。60msの場合はスリープによる遅延の影響がないので遅延時間は25msとなる。このため、50msと60msを交互に用いれば、両者の平均遅延時間の和36(=(47+25)/2)msのように平均遅延時間が、中心値の25msに近づく。
【0030】
スリープ時間Tsの中心値を50msとする場合、複数のスリープ時間Tsとして、例えば40msと60msを同じ頻度で用いてもよいし、40msと50msと60msとを同じ頻度で用いてもよい。
【0031】
複数のスリープ時間Tsを順に使用すると、スリープ時間Tsの総和の時間で周期的にスリープ状態となる。この場合、複数の値を用いる1周期分の複数のスリープ時間Tsの総和の整数倍の近傍となる通信間隔で、平均遅延時間の変化が大きくなる。このため、一周期分の複数のスリープ時間Tsの総和の整数倍の近傍に固定的な通信間隔として利用される可能性の少ない値を用いることが望ましい。整数倍の近傍としては、例えば図4の例では、50ms(0.2Mbps)近傍では0.2〜0.198Mbps、100ms(0.1Mbps)近傍では0.1001〜0.0997Mbpsで5ms以上変化し、近傍とは、数kbpsである。
【0032】
例えば、スリープ時間Tsが50msと60ms→50ms→60msと切り替わるのであれば、スリープ時間Tsの総和の時間である50+60=110msが通信間隔の整数倍の近傍にならないことが好ましい。スリープ時間Tsが50ms→50ms→60ms→60ms→50ms→50ms→60ms→60msと切り替わるのであれば、スリープ時間Tsの総和の時間である50+50+60+60=220msが通信間隔の整数倍の近傍にならないことが好ましい。
【0033】
また、複数の値の総和を大きくするために、複数のスリープ時間Tsとして、3以上の値を用いることが望ましい。更に望ましくは、スリープ時間Tsに用いる値を乱数で生成することが望ましい。擬似乱数を用いる場合は、同一の値が発生するまでの時間が長い方が望ましい。
【0034】
図4に示すProp(s.t.=rand.)は、スリープ時間Tsを擬似乱数で生成した場合の平均遅延時間の一例である。この場合、通信間隔に依らず、平均遅延時間が25msであることがわかる。
【0035】
図5に、本実施形態の通信間隔iaveとスリープ移行閾値ithとスリープ時間Tsの関係の一例を示す。スリープ時間Tsの変動範囲(Tmax〜Tmin)としては、基準となるスリープ時間の近傍が好ましく、例えば、基準となるスリープ時間の±25%程度、より好ましくは±10%程度の範囲で変動させることが望ましい。これは、スリープ時間Tsの変動が大きくなるに従って、省電力効果が低下するためである。
【0036】
なお、スリープ時間Tsは、ONU92とOLT91で用いる値とその変更する順番を予め設定しておいてもよいし、スリープ時間Tsの決定方法、例えば、擬似乱数の生成式と種とする値を予め設定しておいてもよい。また、OLT91とONU92間で通信して共有してもよい。
【0037】
また、スリープ時間Tsとして、50msを基準に複数の値を選択する例で示したが、本実施形態に係る発明はこれに限定されない。
【0038】
(実施形態2)
本実施形態では、スリープ時間Tsを複数とする代わりに、スリープ移行閾値ithを複数とする。その他は、実施形態1と同様である。例えば、スリープ移行閾値ithは、乱数で決定することが望ましい。
【0039】
図6に、本実施形態の通信間隔iaveとスリープ移行閾値ithとスリープ時間Tsの関係の一例を示す。スリープ移行閾値ithの変動範囲(imax〜imin)としては、基準となるスリープ移行閾値ithの近傍が好ましい。スリープ移行閾値ithの複数の値の少なくとも一つは、想定される通信間隔よりも小さい値であることが望ましい。例えば、ithは0近傍の値を含むことが望ましい。これは、スリープ移行閾値ithの変動周期内に、制御信号およびセンサ信号を送受信する通信間隔が含まれる場合に効果が大きいためである。
【0040】
スリープ移行閾値ithは0近傍の値を含み、通信間隔以下であると、通信間隔と等しい場合と異なるタイミングでスリープに入ってスリープの周期とトラフィックの発生タイミングをずらす効果がある。また、スリープ移行閾値ithの複数の値の少なくとも一つは、想定される通信間隔よりも大きい値であることが望ましい。スリープ移行閾値ithが通信間隔以上であると、通信間隔と等しい場合と異なるタイミングでスリープに入ってスリープの周期とトラフィックの発生タイミングをずらす効果がある。
【0041】
特に、通信間隔の倍以上の値であると、スリープによる遅延のあるトラフィックとスリープによる遅延のないトラフィックが発生する。更に、通信間隔の倍以上の値かつ通信間隔の整数倍の近傍以外の値であると、タイミングをずらす効果が大きい。即ち、乱数が最小値iminと最大値imaxの間で変動する場合、乱数の最小値iminは≒0が、最大値imaxは想定される通信間隔倍以上の値かつ通信間隔の整数倍の近傍以外の値が望ましい。
【0042】
(実施形態3)
本実施形態では、スリープ時間Tsに加えてスリープ移行閾値ithも複数とする。その他は、実施形態1及び実施形態2と同様である。例えば、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithは、乱数で決定することが望ましい。
【0043】
図4に示すProp(s.t.=th.=rand.)は、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithを擬似乱数で生成した場合の平均遅延時間の一例である。この場合、通信間隔に依らず、概ね平均遅延時間が25msであることがわかる。
【0044】
図7に、本実施形態の通信間隔iaveとスリープ移行閾値ithとスリープ時間Tsの関係を示す。
【0045】
スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithの変動範囲の好ましい例については、実施形態1及び2において述べたとおりである。スリープ時間Tsの変動範囲(Tmax〜Tmin)としては、基準となるスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのそれぞれの近傍、例えば±25%程度、より好ましくは±10%程度の範囲で変動させることが望ましい。
【0046】
また、スリープ移行閾値ithの複数の値の少なくとも一つが、想定される通信間隔iaveよりも小さい値であることが望ましい。例えばithは0近傍の値を含むことが望ましい。スリープ移行閾値ithは0近傍の値を含むこれは、スリープ移行閾値ithの変動周期内に通信間隔が含まれる場合に効果が大きいためである。
【0047】
スリープ移行閾値ithは0近傍の値を含み、通信間隔以下であると、通信間隔と等しい場合と異なるタイミングでスリープに入ってスリープの周期とトラフィックの発生タイミングをずらす効果がある。また、スリープ移行閾値ithの複数の値の少なくとも一つは、想定される通信間隔よりも大きい値であることが望ましい。スリープ移行閾値ithが通信間隔以上であると、通信間隔と等しい場合と異なるタイミングでスリープに入ってスリープの周期とトラフィックの発生タイミングをずらす効果がある。
【0048】
特に、通信間隔の倍以上の値であると、スリープによる遅延のあるトラフィックとスリープによる遅延のないトラフィックが発生する。更に、通信間隔の倍以上の値かつ通信間隔の整数倍の近傍以外の値であると、タイミングをずらす効果が大きい。即ち、スリープ移行閾値ithの変動範囲(imax〜imin)のiminは0近傍の値が、最大値imaxは想定される通信間隔倍以上の値かつ通信間隔の整数倍の近傍以外の値が望ましい。
【0049】
以上の説明では、スリープ時間Tsとスリープ移行閾値ithは独立の値として示したが、スリープ時間Tsとスリープ移行閾値ithとは常に同じ値となるようにしてもよい。
【0050】
本実施形態では,スリープ時間Tsとスリープ移行閾値ithとを変更することで、スリープとデータの到着のタイミングの同期を防ぐと共に、通信間隔に対するスリープへの柔軟性を加えることができる。
【0051】
(実施形態4)
本実施形態では、OLT91がスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを変動させ、ONU92に指示する。図8に、本実施形態に係る光通信システムの構成例を示す。
【0052】
本実施形態に係る光通信システムは、OLT91及びONU92が光伝送路で接続されたPONを用いた光通信システムにおいて、OLT91が切替部11、観測部12及びスリープ指示部13を備える。切替部11、観測部12及びスリープ指示部13は、OLT91に備わるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のLSI(Large Scale Integration)を用いて実行することができる。
【0053】
切替部11は、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを変動させる。スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかの変動については、実施形態1〜実施形態3において述べたとおりである。
観測部12は、スリープ移行閾値ithを用いて、ONU92をスリープ状態にしてよいか否かを判定する。このとき、切替部11がスリープ移行閾値ithを変動させる場合、観測部12は、切替部11が変動させたスリープ移行閾値ithを用いる。
観測部12がスリープ状態にしてよいと判定したとき、スリープ指示部13は、ONU92に対してスリープ指示を送信する。このとき、切替部11がスリープ時間Tsを変動させる場合、スリープ指示部13は、切替部11の変動させたスリープ時間TsをONU92に送信する。
【0054】
観測部12におけるONU92をスリープ状態にしてよいか否かの判定は、例えば、通信間隔、使用帯域及びキュー長のうちの少なくとも一つを観測し、観測結果とスリープ移行閾値ithとの比較結果に基づいて、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。切替部11において変動させるスリープ移行閾値ithは、観測部12における観測対象ごとに変動させることが好ましい。
【0055】
観測部12が通信間隔を観測する場合、ONU92へ送信するフレームの送信間隔又はONU92から受信したフレームの受信間隔或いはこれらの両者が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値ithを超えたときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、通信間隔の平均値がスリープ移行閾値ithを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0056】
観測部12が使用帯域を観測する場合、ONU92へ送信するフローの使用帯域又はONU92から受信するフローの使用帯域或いはこれらの両者が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値ithを下回ったときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、使用帯域の平均値がスリープ移行閾値ithを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0057】
観測部12がキュー長を観測する場合、ONU92へ送信するフレームを一時的に格納するキューのキュー長又はONU92から受信するフレームを一時的に格納するキューのキュー長或いはこれらの両者が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値ithを下回ったときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、キュー長の平均値がスリープ移行閾値ithを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0058】
ONU92は、スリープ指示を受信すると、スリープ状態へ移行する。このとき、ONU92は、図1に示すスリープ時間Tsに、OLT91から通知されたスリープ時間Tsを用いる。
【0059】
本実施形態に係る光通信システムは、以上の構成を備えるため、ONU92のスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを変動させることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、ONU92がスリープ要求をOLT91に送信した後に、スリープ指示部13がOLT91がスリープ時間TsをONU92に通知する例を示したが、本実施形態に係る発明はこれに限定されない。例えば観測部12から通知してもよい。例えば、ONU92がスリープ要求をOLT91に送信する前に、OLT91がスリープ時間Tsを事前にONU92に通知してもよい。例えば、OLT91は、切替部11が変動させたスリープ時間Tsを、定期的にONU92へ通知してもよいし、変動を契機に通知してもよいし、スリープ指示やスリープ要求やPLOAM(Physical Layer Operations And Maintenance)セルやOMCI(ONU Management and Control Interface)等の通信の際に通信してもよい。対向相手のONU92のスリープ移行閾値を変更する場合は、対向相手のONU92にスリープ移行閾値ithを伝えることが望ましい。
【0061】
(実施形態5)
本実施形態では、ONU92がスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを変動させる。図9に、本実施形態に係る光通信システムの構成例を示す。
【0062】
本実施形態に係る光通信システムは、OLT91及びONU92が光伝送路で接続されたPONを用いた光通信システムにおいて、ONU92が切替部21、観測部22及びスリープ指示部23を備える。切替部21、観測部22及びスリープ指示部23は、ONU92に備わるCPUを用いて実行することができる。
【0063】
切替部21は、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを変動させる。スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかの変動については、実施形態1〜実施形態3において述べたとおりである。
観測部22は、スリープ移行閾値ithを用いて、ONU92をスリープ状態にしてよいか否かを判定する。このとき、切替部21がスリープ移行閾値ithを変動させる場合、観測部22は、切替部21が変動させたスリープ移行閾値ithを用いる。
観測部22がスリープ状態にしてよいと判定したとき、スリープ指示部23は、ONU92をスリープ状態にする。このとき、切替部21がスリープ時間Tsを変動させる場合、スリープ指示部23は、切替部21が変動させたスリープ時間Tsを用いる。
【0064】
観測部22におけるONU92をスリープ状態にしてよいか否かの判定は、例えば、実施形態4の観測部12と同様に、通信間隔、使用帯域及びキュー長のうちの少なくとも一つを観測し、観測結果とスリープ移行閾値ithとの比較結果に基づいて、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。切替部21において変動させるスリープ移行閾値ithは、観測部22における観測対象ごとに変動させることが好ましい。
【0065】
観測部22が通信間隔を観測する場合、OLT91へ送信するフレームの送信間隔又はOLT91から受信したフレームの受信間隔或いはこれらの両者が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値ithを超えたときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、通信間隔の平均値がスリープ移行閾値ithを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0066】
観測部22が使用帯域を観測する場合、OLT91へ送信するフローの使用帯域又はOLT91から受信するフローの使用帯域或いはこれらの両者が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値ithを下回ったときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、使用帯域の平均値がスリープ移行閾値ithを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0067】
観測部22がキュー長を観測する場合、OLT91へ送信するフレームを一時的に格納するキューのキュー長又はOLT91から受信するフレームを一時的に格納するキューのキュー長或いはこれらの両者が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値ithを下回ったときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、キュー長の平均値がスリープ移行閾値ithを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0068】
本実施形態に係る光通信システムは、以上の構成を備えるため、ONU92のスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを変動させることができる。
【0069】
なお、本実施形態では、ONU92が独自にスリープ移行閾値ithとスリープ時間Tsを変動させる例を示したが、本実施形態に係る発明はこれに限定されない。例えば、観測部22がスリープ状態にしてよいと判定したとき、スリープ指示部23がスリープ要求をOLT91に送信してもよいし、変動を契機に通知してもよいし、スリープ指示やスリープ要求やPLOAMセルやOMCI等の通信の際に通信してもよい。対向相手のOLT91のスリープ移行閾値ithを変更する場合は、対向相手のOLT91にスリープ移行閾値ithを伝えることが望ましい。
【0070】
(実施形態6)
本実施形態では、ONU92とOLT91の両方が、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを変動させる。図10に、本実施形態に係る光通信システムの構成例を示す。
【0071】
本実施形態に係る光通信システムは、OLT91及びONU92が光伝送路で接続されたPONを用いた光通信システムにおいて、OLT91が切替部11、観測部12及びスリープ指示部13を備え、ONU92が切替部21、観測部22及びスリープ指示部23を備える。切替部11、観測部12、スリープ指示部13、切替部21、観測部22及びスリープ指示部23の機能及び動作は、実施形態4及び実施形態5において述べたとおりである。
【0072】
本実施形態では、ONU92とOLT91の両方が、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを変動させる。このため、ONU92及びOLT91は、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithの同期を行うことが好ましい。
【0073】
本実施形態に係る光通信システムは、以上の構成を備えるため、ONU92のスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを変動させることができる。なお、ONU92とOLT91とで同期して切り換えない場合は、少なくともスリープ時間TsはONU92−OLT91間で共有することが望ましい。スリープ時間Tsの通知は、切替を契機に随時、定期的な通知、スリープ指示、スリープ要求、PLOAMセルやOMCI等の通信の際に通知すればよい。
【0074】
(実施形態7)
本実施形態では、OLT91とONU92以外の構成がスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを変動させる。図11に、本実施形態に係る光通信システムの構成例を示す。
【0075】
本実施形態に係る光通信システムは、OLT91の上流にスリープ制御装置94が接続されている。スリープ制御装置94は、切替部41、観測部42及びスリープ指示部43を備える。切替部41、観測部42及びスリープ指示部43は、スリープ制御装置94に備わるCPUを用いて実行することができる。
【0076】
切替部41は、スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを変動させる。スリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかの変動については、実施形態1〜実施形態3において述べたとおりである。
観測部42は、スリープ移行閾値ithを用いて、ONU92をスリープ状態にしてよいか否かを判定する。このとき、切替部41がスリープ移行閾値ithを変動させる場合、観測部42は、切替部41が変動させたスリープ移行閾値ithを用いる。
観測部42がスリープ状態にしてよいと判定したとき、スリープ指示部43は、ONU92に対してスリープ指示を送信する。このとき、切替部41がスリープ時間Tsを変動させる場合、スリープ指示部43は、切替部41が変動させたスリープ時間TsをOLT91及びONU92に送信する。
【0077】
観測部42におけるONU92をスリープ状態にしてよいか否かの判定は、例えば、通信間隔、使用帯域及びキュー長のうちの少なくとも一つを観測し、観測結果とスリープ移行閾値ithとの比較結果に基づいて、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。切替部41において変動させるスリープ移行閾値ithは、観測部42における観測対象ごとに変動させることが好ましい。
【0078】
観測部42が通信間隔を観測する場合、OLT91又はONU92或いはこれらの両者の送信するフレームの送信間隔が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値ithを超えたときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、通信間隔の平均値がスリープ移行閾値ithを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0079】
観測部12が使用帯域を観測する場合、ONU92に割り当てられる使用帯域が、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値ithを下回ったときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、使用帯域の平均値がスリープ移行閾値ithを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0080】
観測部12がキュー長を観測する場合、ONU92へ送信するフレームをOLT91において一時的に格納するキューのキュー長、ONU92から受信するフレームをOLT91において一時的に格納するキューのキュー長、OLT91へ送信するフレームをONU92において一時的に格納するキューのキュー長、OLT91から受信するフレームをONU92において一時的に格納するキューのキュー長の少なくともいずれかが、予め定めた時間にわたってスリープ移行閾値ithを下回ったときに、ONU92をスリープ状態にしてよいと判定する。このとき、キュー長の平均値がスリープ移行閾値ithを超えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0081】
ONU92は、スリープ指示を受信すると、スリープ状態へ移行する。このとき、ONU92は、図1に示すスリープ時間Tsに、スリープ制御装置94から通知されたスリープ時間Tsを用いる。
【0082】
本実施形態に係る光通信システムは、以上の構成を備えるため、ONU92のスリープ時間Ts及びスリープ移行閾値ithのうちの少なくともいずれかを変動させることができる。
【0083】
なお、本実施形態では、スリープ制御装置94がOLT91に接続される例を示したが、本実施形態に係る発明はこれに限定されない。例えば、スリープ制御装置94は、OLT91の上流に接続されていてもよいし、ONU92の下流でデータを伝送する装置に備わっていてもよいし、OLTを制御する装置に備わっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0085】
11、21、41:切替部
12、22、42:観測部
13、23、43:スリープ指示部
91:OLT
92:ONU
93:遅延補償器
94:スリープ制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11