【文献】
TSAO, Y-S. et al.,Biotechnol. Prog.,2000年,Vol.16,pp.809-814
【文献】
POP, C.V.L. and NEAMTU, S.,J. Biomed. Opt.,2008年,Vol.13, No.4,art. no.041308(pp.1-8)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バッファタンクが、循環流路の帰還流路に設けられ、前記帰還流路が、前記送液ポンプ又は細胞分散度測定器通過後の流路を分岐し、その先を通過前の流路に戻す流路である、請求項1に記載の細胞懸濁液処理装置。
流路に、少なくとも2つ以上の流路が並列に設けられ、かつ切替え弁によりその一部の流路を選択して細胞懸濁液を通せるように構成された並列流路部を有し、狭窄部が並列流路部に含まれる少なくとも1つの流路に設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞懸濁液処理装置。
制御部が切替え弁を制御可能であり、制御部は細胞分散度測定器により得たデータに基づいて並列流路部の任意の流路を選択するよう切替え弁を制御する、請求項4または5に記載の細胞懸濁液処理装置。
細胞分散度測定器は、細胞懸濁液に照射した光の散乱光または透過光の強度を測定し、光強度値として細胞分散度に関するデータを採取し、制御部は光強度値の経時変化に基づいて細胞集塊の分散の程度を判断する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の細胞懸濁液処理装置。
拡大培養用の第一の細胞培養装置、細胞懸濁液に含まれる細胞集塊を分散させる細胞懸濁液処理装置、および継代培養用の第二の細胞培養装置を含む自動継代培養システムであって、
細胞懸濁液処理装置は、第一の細胞培養装置から排出された細胞懸濁液を取り込む入口と、処理済みの細胞懸濁液を排出する出口と、入口と出口の間に設けられ細胞懸濁液を保持可能な流路とを有し、
流路の少なくとも一部が循環流路を形成しており、
循環流路には、内部の細胞懸濁液を流動させるための送液ポンプ、細胞懸濁液中の細胞の分散度を測定する細胞分散度測定器、内部を流動する細胞懸濁液に剪断力を与える狭窄部、および細胞懸濁液の取扱い液量を可変にするタンクであるバッファタンクが設けられており、
光源と検出器から構成される細胞分散度測定器により得た光強度値に基づいて少なくとも送液ポンプを制御する制御部を有し、
制御部は、細胞分散度測定器により得た光強度値の、一定の値に集束していく経時変化に基づいて細胞が所定の分散度に達したか否かを判断し、所定の分散度に達していない場合、細胞懸濁液が前記狭窄部を通過するよう送液ポンプを駆動する、前記自動継代培養システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
継代培養では、拡大培養した細胞を回収し、適切な細胞数濃度になるよう希釈して再播種する操作が必要となる。ところが、拡大培養装置から回収した細胞懸濁液は、細胞が集塊を形成しており十分に分散できていない場合が多い。そのような状態で再播種を行うと継代培養において十分な増殖率を得ることができない。増殖率を上げるためには、集塊をほぐして細胞がバラバラに分散した状態とする必要がある。細胞集塊を分散させる方法としては、トリプシンなどの酵素を使う方法、あるいはピペッティングなどの機械的に分散させる方法などがあるが、いずれの方法も過度に行うと細胞にダメージを与えてしまい、継代培養時の生存率が低下させる等の問題がある。従って、特に継代培養を自動で行う細胞培養装置においては、細胞にダメージを与えずに、継代培養において十分な増殖率が得られるよう細胞集塊を分散させる手段の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、細胞の分散の程度を確認しながら適切な強度で細胞集塊に剪断力を与えて細胞を分散させることができる装置を提供する。本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)細胞懸濁液に含まれる細胞集塊を分散させる細胞懸濁液処理装置であって、
細胞懸濁液を取り込む入口と、処理済みの細胞懸濁液を排出する出口と、入口と出口の間に設けられ細胞懸濁液を保持可能な流路とを有し、
流路には、内部の細胞懸濁液を流動させるための送液ポンプ、細胞懸濁液中の細胞の分散度を測定する細胞分散度測定器、および内部を流動する細胞懸濁液に剪断力を与える狭窄部が設けられており、
細胞分散度測定器により得たデータに基づいて少なくとも送液ポンプを制御する制御部を有し、
制御部は、細胞分散度測定器により得たデータに基づいて細胞が所定の分散度に達したか否かを判断し、所定の分散度に達していない場合、細胞懸濁液が前記狭窄部を通過するよう送液ポンプを駆動する、前記細胞懸濁液処理装置。
(2)狭窄部が、弾性素材からなる流路を圧迫して流路の狭窄度を任意に設定する流路潰し機構により設けられたものであり、制御部は細胞分散度測定器により得たデータに基づいて流路潰し機構を制御する、(1)に記載の細胞懸濁液処理装置。
(3)流路に、少なくとも2つ以上の流路が並列に設けられ、かつ切替え弁によりその一部の流路を選択して細胞懸濁液を通せるように構成された並列流路部を有し、狭窄部が並列流路部に含まれる少なくとも1つの流路に設けられている、(1)に記載の細胞懸濁液処理装置。
(4)並列流路部に含まれる流路の2つ以上に狭窄部が設けられており、各狭窄部の断面積が異なる、(3)に記載の細胞懸濁液処理装置。
【0007】
(5)制御部が切替え弁を制御可能であり、制御部は細胞分散度測定器により得たデータに基づいて並列流路部の任意の流路を選択するよう切替え弁を制御する、(3)または(4)に記載の細胞懸濁液処理装置。
(6)細胞分散度測定器は、細胞懸濁液に照射した光の散乱光または透過光の強度を測定し、光強度値として細胞分散度に関するデータを採取し、制御部は光強度値の経時変化に基づいて細胞集塊の分散の程度を判断する、(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞懸濁液処理装置。
(7)拡大培養用の第一の細胞培養装置、細胞懸濁液に含まれる細胞集塊を分散させる細胞懸濁液処理装置、および継代培養用の第二の細胞培養装置を含む自動継代培養システムであって、
細胞懸濁液処理装置は、第一の細胞培養装置から排出された細胞懸濁液を取り込む入口と、処理済みの細胞懸濁液を排出する出口と、入口と出口の間に設けられ細胞懸濁液を保持可能な流路とを有し、
流路には、内部の細胞懸濁液を流動させるための送液ポンプ、細胞懸濁液中の細胞の分散度を測定する細胞分散度測定器、および内部を流動する細胞懸濁液に剪断力を与える狭窄部が設けられており、
細胞分散度測定器により得たデータに基づいて少なくとも送液ポンプを制御する制御部を有し、
制御部は、細胞分散度測定器により得たデータに基づいて細胞が所定の分散度に達したか否かを判断し、所定の分散度に達していない場合、細胞懸濁液が前記狭窄部を通過するよう送液ポンプを駆動する、前記自動継代培養システム。
【0008】
また、本発明はさらに以下の発明も包含する。
(1)細胞を高濃度で含有する細胞懸濁液を取り込む入口と、細胞を入口の濃度よりも低い所望の濃度で含有する細胞懸濁液を排出する出口とを備え、
入口と出口の間に細胞懸濁液を保持可能な流路を有し、
流路には、内部の細胞懸濁液を流動させるための送液ポンプ、細胞懸濁液の単位量あたりの細胞数濃度に関するデータを採取する細胞数計測器、および流路に提供して細胞懸濁液を希釈する希釈液を保持する希釈液容器が備えられており、
細胞数計測器により得たデータに基づいて少なくとも送液ポンプを制御する制御部をさらに備え、
制御部は、細胞数計測器により得たデータに基づいて細胞数濃度を所望の濃度とするのに必要な希釈液の量を判断し、必要量の希釈液を流路に取り込みかつ細胞懸濁液と希釈液を混合するよう送液ポンプを駆動することを特徴とする、細胞数調整装置。
(2)入口と出口の間に設けられた流路の少なくとも一部が循環流路を形成しており、循環流路には送液ポンプと細胞数計測器とが設けられており、制御部は細胞数計測器から得たデータの変動が予め定めた値の範囲内となるまで送液ポンプを駆動して循環流路を繰り返し流動させることにより細胞懸濁液と希釈液を混合する、(1)に記載の細胞数調整装置。
(3)循環流路にバッファタンクをさらに有する、(2)に記載の細胞数調整装置。
(4)制御部が、送液ポンプを順方向と逆方向の交互に駆動することにより細胞懸濁液と希釈液を混合する、(1)に記載の細胞数調整装置。
(5)細胞数計測器は、細胞懸濁液に照射した光の散乱光または透過光の強度を測定し、光強度値として細胞数濃度に関するデータを採取し、制御部はそのデータを予め求めた細胞数濃度と光強度値の関係に照らして細胞数濃度を算出する、(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞数調整装置。
【0009】
(6)細胞数計測器による細胞数濃度に関するデータの採取を、細胞懸濁液を流動させた状態で断続的または連続的に行う、(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞数調整装置。
(7)制御部が、入口からの細胞懸濁液の取り込みを制御する弁と、希釈液の流路への取り込みを制御する弁を制御可能であり、制御部は細胞懸濁液と希釈液の取り込みを交互に繰り返し行うよう、送液ポンプと前記2種の弁とを制御する、(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞数調整装置。
(8)拡大培養用の第一の細胞培養装置、細胞数調整装置、および継代培養用の第二の細胞培養装置を含む自動継代培養システムであって、
第一の細胞培養装置は高濃度の細胞懸濁液を排出し、細胞数調整装置は高濃度の細胞懸濁液を所望の細胞数濃度を有する均一の細胞懸濁液へと希釈し、第二の細胞培養装置は希釈された細胞懸濁液を播種して継代培養を行い、
前記細胞数調整装置は、
高濃度の細胞懸濁液を取り込む入口と、細胞を入口の濃度よりも低い所望の濃度で含有する細胞懸濁液を排出する出口とを備え、
入口と出口の間に細胞懸濁液を保持可能な流路を有し、
流路には、細胞懸濁液の単位量あたりの細胞数濃度に関するデータを採取する細胞数計測器、および流路に提供して細胞懸濁液を希釈する希釈液を保持する希釈液容器が備えられており、
細胞数計測器により得たデータに基づいて流路内部の細胞懸濁液の流動を制御する制御部をさらに備え、
制御部は、細胞数計測器により得たデータに基づいて細胞数濃度を所望の濃度とするのに必要な希釈液の量を判断し、必要量の希釈液を流路に取り込みかつ細胞懸濁液と希釈液を混合するよう流路内部の細胞懸濁液の流動を制御する、前記自動継代培養システム。
(9)制御部が、第一の細胞培養装置または第二の細胞培養装置に備えられた送液ポンプを用いて細胞数調整装置の流路内部の細胞懸濁液の流動を制御する、(8)に記載の自動継代培養システム。
(10)細胞を高濃度で含有する細胞懸濁液を所望の濃度に希釈するための方法であって、
細胞懸濁液を流動させた状態で、細胞懸濁液に照射した光の散乱光または透過光の強度を断続的または連続的に測定して、光強度値として細胞数濃度に関するデータを採取する工程、
得られたデータを予め求めた細胞数濃度と光強度値の関係に照らして細胞数濃度に変換する工程、および
所望の濃度に希釈するために必要な希釈液の量を算出し、その量の希釈液を細胞懸濁液に添加し混合する工程を含む、前記方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業者の熟練度に関係なく、拡大培養で得られた細胞懸濁液に含まれる細胞集塊を適切な強度で分散させることができ、安定した継代培養操作が可能となる。本発明は、再生医療などの現場において安定した細胞培養を実現するのに寄与する。
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2014−148762号の明細書、特許請求の範囲および図面に記載された内容を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(細胞分散装置:第1の実施形態)
図1は、本発明の細胞分散装置の第1の実施形態を示す概略図である。第1の実施形態に係る細胞分散装置110は、細胞の分散の程度が未知である細胞懸濁液を入口1から取り込み、内部で細胞集塊を分散させ、出口2から細胞が均一に分散した細胞懸濁液を排出する機能を有する。入口1と出口2の間は流路3で連通しており、流路内の液体を流動させるための送液ポンプであるペリスタポンプ4が設けられている。制御部11は少なくともペリスタポンプ4を制御する。流路3は必ずしも管径が一様でなくてもよい。流路3は、その移動のための空間も含め、細胞懸濁液を保持するに十分な容積を有している。
【0013】
流路3はその少なくとも一部に弾性素材からなる部分を有し、ペリスタポンプ4は流路3の弾性部分をしごいて流路内部の流体を流動させる。ペリスタポンプは羽根などの駆動部品が流体に直接触れないため、流体を汚染せずに流動させることができ、さらに分散している細胞に与えるダメージも小さいため好ましい。流体を流動させるためのポンプはペリスタポンプに限られないが、ペリスタポンプのように駆動部品が流体に直接触れないものが好ましい。そのようなポンプとしてはダイヤフラムポンプ、シリンジポンプなどが挙げられる。
【0014】
流路3には流路狭窄部を構成するオリフィス8が挿入されている。オリフィス8により流路断面積を急変させて通過する流体に強力な剪断力を与え、細胞集塊の分散を促進する。ペリスタポンプ4の回転向きの切替えを繰り返すことにより、細胞懸濁液がオリフィス8を繰り返し通過するようにすると、細胞集塊がより分散されやすくなり好ましい。オリフィス8の径(断面径)は、一般的に細胞の大きさが10μm程度であることに鑑みると、0.5mm〜1mmの範囲とすると、細胞集塊を効率よく分散でき好ましい。また、細胞の大きさや接着性に基づいて、細胞ごとに適したオリフィス径に変えてもよい。オリフィス8は安価な樹脂製のものを使うと、必要に応じて流路ごと使い捨てとすることができるため好ましい。
【0015】
流路3の一部にはフローセル5が設けられており、細胞懸濁液がここを通過する際に、細胞集塊の分散の程度に関するデータとして、光強度が測定される。光源6の光をフローセル5に向けて照射し、その透過光または散乱光、あるいはその両方を検出器7で検出する。この実施形態では、光源6と検出器7が細胞分散度測定器を構成している。
【0016】
フローセル5から観測される透過光または散乱光は、細胞懸濁液の細胞分散度の変化に伴って光量が変化する。そこで、検出器7が検知した光強度の経時変化に着目し、光強度値の変化量が小さくなり、一定の値(好ましくは予め定めた目標値)に集束していくことに基づいて、十分な細胞分散が行われたと判断することが可能となる。制御部11は、検出器7により得られた光強度データに基づいて、細胞が所定の分散度に達したか否かを判断し、所定の分散度に達していない場合、細胞懸濁液がオリフィス8を通過するようペリスタポンプ4を駆動する。例えば、ペリスタポンプ4の回転の向きを切り替えて、細胞懸濁液がオリフィス8を繰り返し通過するようにする。そのようにペリスタポンプ4を駆動すると、オリフィス8以外においても細胞懸濁液に剪断力が加わり、細胞集塊を分散させたり、あるいは流路内の細胞懸濁液を攪拌し均一にしたりする作用も得られる。また、ペリスタポンプ4の送液速度を変化させることによっても、細胞懸濁液に剪断力を与えることができる。
図2は、ペリスタポンプ4の回転向きを切り替えることにより細胞集塊を分散させた際の光強度値の経時変化のイメージ図である。
【0017】
細胞分散度を測定する方法として、上述のように、光源6をフローセル5に向けて照射し、その透過光または散乱光、あるいはその両方を検出器7で検出する方法を採用すると、細胞懸濁液を流動させたままの状態で細胞分散度を測定することができるため特に好ましい。しかしながら、細胞分散度の測定方法はこれに限定されるものではなく、他の方法を採用してもよい。例えば、流路3中に何らかの観察窓を備え、CCDカメラ付きの顕微鏡で画像(静止画または動画)を撮影し、画像から細胞分散度を算出するようにしてもよい。細胞懸濁液を流動させた状態で測定するためにはリアルタイムの処理が求められるが、そのような高速な画像処理が可能であれば、光強度測定に換えて細胞分散度測定手段として採用することができる。
【0018】
流路3を構成するチューブの材質は、細胞への影響がないか、あるいは極めて少ないものを使用することが好ましい。そのような材質の一例として、医療用シリコンチューブが挙げられる。また、フローセル5はガラス製のものでもよいが、安価な樹脂製のものを用いると、一度細胞を通したものは流路3を含めて使い捨てとするようにしやすくなるためより好ましい。
【0019】
(細胞分散装置:第2の実施形態)
図3は、本発明の細胞分散装置の第2の実施形態を示す概略図である。第2の実施形態に係る細胞分散装置111は、基本構成は第1の実施形態と同様であるが、ペリスタポンプ4通過後の流路を分岐し、その先を通過前の流路に戻し、流路を環状構造とした構成とした点において異なる。ポンプ通過前の流路を3a、通過後の流路を3b、分岐した帰還流路を12とする。帰還流路12への分岐部には切替え弁13を設置し、出口2側流路と帰還流路12の選択を可能にする。このような構成とすると、ペリスタポンプ4の回転向きの切替えを行わなくても細胞懸濁液が繰り返しオリフィス8を通過するようにすることができ、光強度測定などによる細胞分散度測定の安定性の向上、ペリスタポンプ4の負担軽減、制御部11による制御を単純化できる、および細胞への負担を軽減できるなどの効果が得られる。
【0020】
帰還流路12の合流点において、流路3aのポンプ側の圧力は、入口1側より低圧なので、帰還流路12から流れる液はポンプ側に流れ、入口1側に逆流することはない。しかし、その量は完全にゼロではないので、流路3aの帰還流路12の合流点より入口1側に、逆流防止用のピンチ弁や逆止弁があってもよい。
【0021】
(細胞分散装置:第3の実施形態)
図4は、本発明の細胞分散装置の第3の実施形態を示す概略図である。第3の実施形態に係る細胞分散装置112は、基本構成は第2の実施形態と同様であるが、帰還流路12にバッファタンク14が設けられている点において相違する。
【0022】
第2の実施形態のように循環流路構造すると細胞分散の制御において有利であるが、その一方で循環流路の容積内で細胞分散を行わなければならないという制約がある。入口1から取り込む細胞懸濁液の量は未知であり、循環流路内に保持すべき液の総量は可変的である。循環流路の容積が想定され得る最大の液量に対応できるよう、循環流路長を長くとることも考えられるが、実際の液量が最大液量よりも少ない場合には細胞分散の効率が悪くなると考えられる。
図4に示した第3の実施形態では、バッファタンク14を設けることにより循環容量を変えてこの問題を解決している。
【0023】
バッファタンク14は、帰還流路12の途中に設けられており、バッファタンクの前後の流路をそれぞれ12a、12bとする。例えば、12aはバッファタンクの上部から入り、12bはタンク下部から出るようにバッファタンク14に接続される。バッファタンク14は大気開放されていてもよく、その場合には途中にHEPAフィルタ15を設けて外部からの菌の混入を防ぐことが好ましい。帰還流路12bの合流点には、切替え弁16を設け、入口1側の流路とペリスタポンプ側の流路を選択可能とする。切替え弁には、1つのアクチュエータで2つの流路を同時かつ互い違いに開閉制御できるユニバーサル型のものを用いると、制御部11が切替え弁16を制御するようにする場合に好ましい。この第3の実施形態の細胞分散装置に細胞集塊を含む細胞懸濁液を通すと、検出器7から出力される光強度値は
図5に示したような経時変化を示す。
【0024】
バッファタンクの目的は取扱い液量を可変にすることであり、必ずしも図示したような構造を有するタンクでなくてもよく、例えば、伸縮素材からなる液体バッグや、折紙構造で折り畳まれ容積を自在に変えられるバッグをバッファタンクとして用いてもよい。そのようなバッグは、空気を逃す構造が組み込まれていてもよく、あるいは空気を逃さずバッグ内に閉じ込める構造としてもよい。バッグの出口を下方に設置することにより、空気を混入させず液体のみを排出するようにすることができる。
【0025】
(細胞分散装置:第4の実施形態)
図6は、本発明の細胞分散装置の第4の実施形態を示す概略図である。第4の実施形態に係る細胞分散装置113は、オリフィス8に代えて流路の潰し量を制御できる流路潰し機構9を備えることを特徴とする。
図7は流路潰し機構9の構造の概略図である。流路潰し機構9は、弾性を持つ流路を外側から潰す機能を有し、ピンチ弁のように完全に閉塞するのではなく、ある間隙を保った状態で流路を潰す。流路潰し機構9は制御部11により制御されていることが好ましい。流路の潰し量を変化させることにより、内部を流動する細胞懸濁液の細胞集塊に与えられる剪断力を変化させることができる。また、細胞集塊がまだ大きい場合は流路の狭窄部の断面積が小さすぎると流路に細胞が詰まることも考えられるが、流路の潰し量を変化させることができる流路潰し機構9を用いる場合には、適度な流路潰し量を選択することによりそのような問題を回避することができる。
【0026】
制御部11は、細胞分散度測定器から得た細胞分散度に関するデータに基づいて流路潰し機構9を制御し、流路のつぶし量を変化させることが好ましい。例えば、流路潰し機構9は、
図7(a)に示すように、その間隙tを流路を全く潰さない全開の状態から流路を完全に潰して閉塞させる状態まで変化できるようにし、その間隙tの大きさをステッピングモータのような位置決めできるアクチュエータを使用して制御するようなものとすることができる。あるいは、
図7(b)に示すように、間隙tは間隙量の指標となる部材9aを挟むことにより決定してもよい。そのような部材9aは、複数の間隙量に対応できるようになっていてもよい。例えば
図7(b)に示した部材9aの場合には、間隙量t1、t2および全開に対応が可能である。なお、
図1および2を用いて説明した細胞分散装置110および111についても、オリフィス8に代えて流路潰し機構9を採用してもよい。
【0027】
(細胞分散装置:第5の実施形態)
図8は、本発明の細胞分散装置の第5の実施形態を示す概略図である。第5の実施形態に係る細胞分散装置114は、オリフィス8が設けられた流路3cとオリフィスを有しない流路3dとが並列に接続されており、それぞれを切替え弁10で選択可能とした並列流路部を有することを特徴とする。オリフィス8が設けられた流路3cは1つのみならず複数用意し、それぞれ異なる径のオリフィスを設けるようにしてもよい。そうすると、細胞分散度測定器から得た細胞分散度に関するデータに基づいて、例えば細胞集塊が比較的大きいと判断される場合には径が大きなオリフィスを通過するように、また細胞集塊がある程度ほぐれてきたと判断される場合にはより小さなオリフィスを通過するようにすることができる。流路3cの選択は、切替え弁10を制御部11により制御することにより行うことができる。このような構成とすることにより、
図6および7を用いて説明した流路潰し機構9のような複雑な構造としなくとも、細胞分散度測定器から得た細胞分散度に関するデータに基づいた適切な細胞分散処理を行うことができ、オリフィス8が閉塞することも予防することができる。
【0028】
(細胞分散装置を利用した閉鎖系継代培養システム)
以下、本発明の細胞分散装置を使用した継代培養システムについて説明する。本発明の細胞分散装置は、入口と出口を閉じると、外部から菌の混入がない閉鎖系を形成しているので、閉鎖系の細胞培養装置と接続すると、システム全体を閉鎖系とすることができる。以下、閉鎖系細胞培養装置との接続例を説明する。
【0029】
図9は本発明の継代培養システムの全体像を示す概略図である。閉鎖系細胞培養装置200において、培養容器19は、供給バッグ20および回収バッグ21と接続され、一つの閉鎖系を形成している。閉鎖系内で培養を行うことで、外部からの菌の混入がない、安全かつ信頼ある培養を行うことができる。供給バッグ20は複数あってもよく、それぞれのバッグに接続されている個別流路22は並列に構成され、かついずれも共通流路23に繋がっており、個別流路22上に設置された切替え弁24でいずれかの供給バッグ20を選択できるようになっている。ここでは、細胞懸濁液20a、培地20b、剥離液20c、滅菌空気20dがそれぞれの供給バッグに入っていることとするが、供給バッグの内容物はこれらに限定されない。なお、滅菌空気は、先に入っている液体を後ろから押し出し、液体を排出するために使用する。供給バッグの代わりに、HEPAフィルタを接続し大気開放としてもよい。HEPAフィルタにより、菌の混入を防ぐことができる。
【0030】
回収バッグ21も同様に複数あってもよく、それぞれの個別流路25は並列に構成され、かついずれも共通流路26に繋がっており、個別流路25上に設置された切替え弁27で、いずれかの回収バッグ21を選択できるようになっている。ここでは、廃液21a、細胞懸濁液21bをそれぞれの回収バッグに入れることとするが、回収バッグ21の内容物はこれらに限定されない。
【0031】
切替え弁24、27でいずれかの供給バッグ20および回収バッグ21を選択して、ペリスタポンプ28を駆動することで、培養に必要な送液を行う。細胞懸濁液20aを培養容器19に播種後、定期的に培地交換を実施し、培養を行う。培養後、剥離液20cにより、細胞を培養容器19から剥離させ、回収バッグ21bに回収する。
【0032】
閉鎖系細胞培養装置と細胞分散装置と接続し継代を行うには、以下のようにする。最初の拡大培養を行う閉鎖系細胞培養装置200と、継代後の培養を行う閉鎖系細胞培養装置210の2つの培養装置がある。2つの培養装置の基本的な構成は同じである。培養量は後者が多いため、後者には、より大面積の容器を使用してもいいし、複数の培養容器を用意し、並列に接続して図示しない切替え弁で培養容器を切替えながら送液を行ってもよい。
【0033】
培養装置200の細胞懸濁液の入った回収バッグ21bと細胞分散装置112の入口1a、細胞分散装置112の出口2aと細胞数調整装置102の入口1b、および細胞数調整装置102の出口2bと培養装置210の細胞懸濁液を入れる供給バッグ20aは、それぞれ接続流路で接続されている。細胞数調整装置102は、細胞数濃度が未知の細胞懸濁液を取り込み、所望の濃度に希釈した均一な細胞懸濁液を排出する機能を有する装置であり、その機能が実現される限りどのような構成を有していてもよい。また、例えば細胞分散装置112の流路に分岐流路とそこに繋がる希釈液バッグをさらに設け、細胞分散度測定器を構成する検出器7が検出した光強度データに基づいて細胞懸濁液濃度を判断し、必要な量の希釈液を希釈液バッグから取り込むような構成を追加することにより、細胞数調整装置102は省略することもできる。このシステムで用いている細胞分散装置112は、上述の第3の実施形態に係るものであるが、他の実施形態に係るものを用いてもよい。
【0034】
細胞分散装置112は、ペリスタポンプ4を駆動して、回収バッグ21bから細胞懸濁液の取り込みを行う。細胞懸濁液の量は拡大培養の結果などによって変化し得るため、ペリスタポンプ4を長めに駆動して、一旦全量をバッファタンク14に送ることが好ましい。細胞分散装置112の帰還流路12bの合流点には、切替え弁16を設け、入口1a側の流路とペリスタポンプ側の流路を選択可能とする。切替え弁には、1つのアクチュエータで2つの流路を同時に閉開互い違いに制御できるユニバーサル型のものを用いるのが好ましい。次に、切替え弁16が帰還流路12bを選択するように切替えた後、バッファタンク14を含めた帰還流路12a、12bおよび流路3a、3bから構成される循環流路内において細胞懸濁液を循環させることにより、細胞懸濁液がオリフィス8を繰り返し通過し、細胞集塊に剪断力がかかり分散するようにする。光源6と検出器7から構成される細胞分散度測定器は、フローセル5における透過光または散乱光、あるいはその両方を検出器7で検出し、制御部11に出力する。制御部11はその光強度値に基づいて細胞集塊の分散の程度を判断する。細胞集塊を分散させた後の細胞懸濁液は、切替え弁13を制御するなどして細胞数調整装置102に送り、細胞数濃度を調整した後、細胞培養装置210の細胞懸濁液用供給バッグ20aに送られる。細胞懸濁液が投入された細胞培養装置210では、培養装置200と同様にして培養を行う。
【0035】
(細胞分散装置を利用した開放系継代培養システム)
ここまで細胞培養装置を閉鎖系のものを用いた継代培養システムを前提として説明したが、本発明の継代培養システムは、閉鎖系のみならず、開放系の細胞培養装置も利用することができる。開放系の細胞培養装置は、一般的な手法の細胞培養と同じく、培養容器のふたを外して培地交換するなど、密閉されてない培養容器で培養を行う装置である。菌の混入のリスクは高まるが、液体ハンドリングの自由度が高いのが利点である。前者のリスクは、クリーンルーム内に装置を設置することで減じることができる。
【0036】
図10は、開放系の細胞培養装置を用いた継代培養システムの全体像を示す概略図である。開放系の細胞培養装置300は、密閉されていない培養容器34と、同じく密閉されていない供給液容器35、回収液容器36を持つ。供給液として、細胞懸濁液35a、培地35b、剥離液35cがあり、回収液として、排液36a、細胞懸濁液36bがある。これらの液体は、分注機構37により、吸引、吐出が行われる。培養容器はインキュベータ38内に設置され、培養に適した環境で培養される。
【0037】
細胞分散装置112の入口1aおよび出口2aにはそれぞれ取り込み流路および取り出し流路が接続され、取り込み流路は拡大培養用の細胞培養装置300の回収液体ボトル36b内に延びている。取り出し流路は、細胞数調整装置102を経て、継代培養用の細胞培養装置310の供給液体ボトル35a内に延びている。拡大培養用の細胞培養装置300で培養され回収された細胞懸濁液は、分注機構37により回収液容器36b内に回収される。細胞分散装置112は、取り込み流路から細胞懸濁液を取り込み、細胞集塊を分散させて細胞数調整装置102へと排出し、細胞数調整装置102は取り込み流路から細胞懸濁液を取り込み、細胞数濃度を調整した後取り出し流路から継代培養用の細胞培養装置310の供給液容器35aに排出する。このように、開放系の細胞培養装置と接続した場合でも、細胞分散装置112は閉鎖系の細胞培養装置と接続した場合と同様に利用できる。
【0038】
(細胞数調整機能つき細胞分散装置:第1の実施形態)
図9および
図10に示した継代培養システムでは、細胞分散装置112の後に細胞数調整装置102を接続している。細胞数調整は、細胞培養装置210または310において細胞を再播種する際に細胞数濃度を一定にして安定した培養を行うために必要となる。
図9および
図10に示した継代培養システムでは、細胞分散と細胞数調整を別個の装置で行っているが、以下に両者を同時に行うことができる装置について説明する。
【0039】
図11は、本発明の細胞数調整機能つき細胞分散装置の第1の実施形態を示す概略図である。第1の実施形態に係る細胞数調整機能つき細胞分散装置120は、
図1に示した細胞分散装置110と近い構成を有するが、流路3の一部が分岐して分岐流路48と接続されており、分岐部分には切替え弁49が設けられている点で相違する。また、細胞数調整機能つき細胞分散装置120は、
図8により示した細胞分散装置114と同様に、オリフィス41が設けられた流路43とオリフィスを有しない流路44とが並列に接続されており、それぞれを切替え弁45で選択可能とした並列流路部を有する。
【0040】
細胞数調整機能つき細胞分散装置120では、検出器7で測定された光強度を単位量あたりの細胞数濃度に関するデータとしても利用する。検出器7で検出された透過光または散乱光の強度と細胞数の関係は別途予め求めておき、それと検出器7で検出した光強度とに基づいて細胞数濃度を算出する。透過光または散乱光の強度と細胞数の関係は、例えば培養予定の細胞の濃度既知の細胞懸濁液を数種用意しておき、それぞれについて光強度測定を行い、得られた結果から検量線を作成することにより求めることができる。なお、フローセル5を通過する細胞懸濁液の流量は、入口1から取り込んだ量に基づいて、あるいはフローセル5の容積または断面積とペリスタポンプ4の送液速度に基づいて求めることができる。
【0041】
光強度に基づく細胞数濃度測定によれば、細胞懸濁液を流動させた状態で細胞数濃度を算出することができる。細胞懸濁液を流動させた状態で細胞数濃度を算出する場合、検出器7は連続的に絶え間なく光強度を測定していてもよく、あるいは断続的に、すなわち間をあけて、好ましくは一定間隔ごとに測定してもよい。なお、細胞数濃度の算出手段は他のものであってもよい。
【0042】
分岐流路48に設けられた切替え弁49は、分岐流路48と入口1側の流路を切替えることができる。切替え弁にはピンチ弁を使用することが好ましい。ピンチ弁は、弾性素材からなる流路を外側から押しつぶして(ピンチして)流れを制御するものであり、流体に直接触れることがないため、流体も弁自身も汚染せずに流体を制御することができる。切替え弁49は、2つの流路を切替える機能を持ち、2つのピンチ弁を組み合わせても実現できるが、1つのアクチュエータで2つの流路を同時に閉開互い違いに制御できるユニバーサル型のものを用いてもよい。制御部11は、切替え弁49に設けられたアクチュエータを制御することにより弁の切替えを制御してもよい。
【0043】
分岐流路48の先には希釈液の入った希釈液容器40が接続されている。制御部11は、少なくともペリスタポンプ4を、好ましくは併せて切替え弁49も制御し、検出器7の検出結果に応じて取り込んだ細胞懸濁液に希釈液を添加し、さらに細胞懸濁液と添加した希釈液が十分に撹拌され細胞数濃度が均一になるようにする。その制御部11によるペリスタポンプ4および切替え弁49などの制御について、以下詳細に説明する。
【0044】
制御部11は、切替え弁49が分岐流路48を閉塞して入口1側流路を選択している状態でペリスタポンプ4を駆動し、入口1から細胞懸濁液の原液を取り込む。取り込まれた細胞懸濁液はそのままフローセル5まで移送される。細胞懸濁液がフローセル5を通過する際に検出器7による光強度測定を行う。制御部11は、その測定結果から細胞数濃度を算出し、予め定めてある目標値と比較した上で、取り込んだ原液の量と併せて計算し、必要となる希釈液の量を決定する。
【0045】
制御部11は、次に切替え弁49を分岐流路48側を選択している状態に切替え、ペリスタポンプ4を一定時間駆動し、希釈液容器40から希釈液を流路3内に取り込む。流路3内は、調整前の細胞数濃度が高い細胞懸濁液と希釈液の2液が不均一に存在する状態となる。次に制御部11は、ペリスタポンプ4の回転向きを正転・逆転に何度か切り替えて流路3内で液を前後に繰り返し移動させることにより2液を混合する。流路3は、その移動のための空間も含め、細胞懸濁液と希釈液とを保持するに十分な空間を有している。なお、2液の混合は、ペリスタポンプ4の回転の向きを切り替えるだけではなく、例えばペリスタポンプの回転速度を変えて流速を変化させることによっても行うことができる。
【0046】
光強度測定の測定値は、最初のうちは流路3内における細胞数濃度が不均一であるため振れ幅が大きいが、ペリスタポンプ4の回転向きの切替えを繰り返し行うにつれ、細胞数濃度が徐々に均一となって振れ幅が小さくなっていき、最終的には目標値、すなわち予め定めた細胞数濃度に対応する光強度の値に収束する。そこで、光強度測定の測定値に時間的変化が所定の値(目標値±Δx)の範囲内となった時点、好ましくは変化が無くなった時点で、制御部11は流路3内の液が均一になったと判断する。仮に収束した値が目標値と異なる場合には、制御部11が上述した希釈工程を再度繰り返すようにしてもよい。希釈工程により所望の細胞数濃度となった細胞懸濁液は、ペリスタポンプ4を駆動させて出口2から排出される。
【0047】
上述した希釈工程では、入口1からの細胞懸濁液の取り込みおよび希釈液容器40からの希釈液の取り込みをそれぞれ1回ずつ行うとしたが、制御部11は切替え弁49をより短いスパンで切り替えて、細胞懸濁液と希釈液とを少量ずつ複数回に分け、交互に繰り返し取り込むようにしてもよい。そのようにすると、2液がより混合しやすくなり、細胞にかかる負担を低減することができるため好ましい。
【0048】
細胞数調整機能つき細胞分散装置120には、上述のとおりオリフィス41が設けられた流路43とオリフィスを有しない流路44とが並列に接続されており、それぞれを切替え弁45で選択可能となっている。
図8に示した細胞分散装置114と同様に、オリフィスが設けられた流路43は1つのみならず複数用意し、それぞれ異なる径のオリフィスを設けるようにしてもよく、細胞分散度測定器から得た細胞分散度に関するデータに基づいて、例えば細胞集塊が比較的大きいと判断される場合には径が大きなオリフィスを通過するように、また細胞集塊がある程度ほぐれてきたと判断される場合にはより小さなオリフィスを通過するようにすることができる。また、オリフィスを通すと、剪断力がかかることにより細胞懸濁液と希釈液の混合が促進される効果も得られるため、希釈液との混合の状態によっても流路43を選択するようにしてもよい。ただし、この並列流路部は必ずしも設けられている必要はなく、
図1に示した細胞分散装置110のように、単一の流路に単一のオリフィスが設けられた構造となっていてもよく、あるいは
図6に示した細胞分散装置113のように流路潰し機構を備えた構造となっていてもよい。
【0049】
(細胞数調整機能つき細胞分散装置:第2の実施形態)
図12は、本発明の細胞数調整機能つき細胞分散装置の第2の実施形態を示す概略図である。第2の実施形態に係る細胞数調整機能つき細胞分散装置121は、基本構成は第1の実施形態と同様であるが、ペリスタポンプ4通過後の流路を分岐し、その先を通過前の流路に戻し、流路を環状構造とした構成とした点において異なる。ポンプ通過前の流路を3a、通過後の流路を3b、分岐した帰還流路を12とする。帰還流路12への分岐部には切替え弁13を設置し、出口2側流路と帰還流路12の選択を可能にする。希釈液容器40が接続されている分岐流路48は流路3a側に設置する。
【0050】
第2の実施形態に細胞数調整機能つき細胞分散装置121による希釈工程は次のように行う。まず、制御部11は、切替え弁13は帰還流路12を閉塞し出口2側流路を選択するように、また切替え弁49は分岐流路48を閉塞し入口1側流路を選択するようにし、その状態でペリスタポンプ4を駆動して入口1から細胞懸濁液の原液を取り込む。光強度測定、希釈液の取り込みは第1の実施形態と同様に行う。
【0051】
第2の実施形態では、調整前の細胞数濃度が高い細胞懸濁液の原液と希釈液の2液の混合は、流路3a、3bおよび帰還流路12を利用して行う。まず制御部11は切替え弁13を帰還流路12を選択するように切替え、その状態でペリスタポンプ4を駆動させる。細胞懸濁液と希釈液は帰還流路12、流路3aおよび3bから構成される循環流路内を循環しながら撹拌され、細胞数濃度が徐々に均一となる。第2の実施形態によれば、帰還流路12を設けたことにより、ペリスタポンプ4の回転向きの切替えを行わなくても液の混合が可能となり、光強度測定などによる細胞数濃度測定の安定性の向上、ペリスタポンプ4の負担軽減、制御部11による制御を単純化できる、および細胞への負担を軽減できるなどの効果が得られる。
【0052】
帰還流路12の合流点において、流路3aのポンプ側の圧力は、入口1側より低圧であるため、帰還流路12から流入する液はポンプ側に流れ、入口1側に逆流することはない。しかし、必要に応じて、流路3aの帰還流路12の合流点より入口1側に逆流防止用のピンチ弁や逆止弁を設けてもよい。
【0053】
(細胞数調整機能つき細胞分散装置:第3の実施形態)
図13は、本発明の細胞数調整機能つき細胞分散装置の第3の実施形態を示す概略図である。第3の実施形態に係る細胞数調整機能つき細胞分散装置122は、基本構成は第2の実施形態と同様であるが、帰還流路12にバッファタンク14が設けられている点において相違する。バッファタンク14については、
図4を用いて説明した第3の実施形態に係る細胞分散装置112について既に説明したとおりである。
【0054】
第3の実施形態に係る細胞数調整機能つき細胞分散装置122による希釈工程は次のように行う。まず、制御部11は切替え弁13を出口2側流路を閉塞し帰還流路12a側を選択するように、また切換え弁16を帰還流路12bを閉塞し入口1側流路を選択するように制御し、その状態でペリスタポンプ4を駆動して入口1から細胞懸濁液の原液を取り込む。取り込まれた液はバッファタンク14に送られる。この際、細胞懸濁液の原液はフローセルを通過し、光強度測定が行われる。制御部11は、その測定結果から細胞数濃度を算出し、予め定めてある目標値と比較した上で、取り込んだ原液の量も併せて計算し必要となる希釈液の量を決定し、切替え弁49を切り替えて希釈液容器40から希釈液を取り込む。
【0055】
取り込まれた細胞懸濁液の原液と希釈液は、切替え弁16が帰還流路12bを選択するように切替えた後、バッファタンク14を含めた帰還流路12a、12bおよび流路3a、3bから構成される循環流路内を循環することにより混合される。所望の細胞数濃度となった細胞懸濁液は、切替え弁13を出口2側流路を選択するように切替えた後、ペリスタポンプ4を駆動させて出口2より排出することができる。
【0056】
循環流路内では、バッファタンク14で上部から入った液が落下することにより、およびオリフィス41を通過することにより混合が行われる。バッファタンク14の容量および各流路の容量は、バッファタンク14とその他の流路における攪拌効率、および想定され得る取り扱い液量などの観点から適宜決定できる。一例として、取り扱い液量がおおよそ120mL〜180mLの範囲であれば、循環流路の容量を100mLとし、バッファタンク14の容量を100mLとすることが挙げられる。バッファタンク14を設けると、循環流路内から空気を除くことができるため、細胞数測定が安定するという利点も併せて得られる。
【0057】
図14は第3の実施形態の変形例に係る細胞数調整機能つき細胞分散装置を示す概略図である。これまで説明した実施形態では、希釈液の取り込みを、細胞懸濁液の取り込みや、細胞懸濁液と希釈液の混合に用いるものと同じペリスタポンプ4で行っていた。懸濁液の取り込みや混合のためにはポンプ流量がある程度大きい方が効率良いが、流量の大きいポンプは希釈液取り込み時の微調整にはあまり適していない。また、ペリスタポンプ4自体も流量のばらつきが大きく、微小量の液の注入にはあまり適していない。そこで、
図14に示した変形例に係る細胞数調整機能つき細胞分散装置123では、希釈液の添加を新たに設けた微量ポンプ46により行うよう構成されている。微量ポンプ46としては、例えばダイヤフラムポンプやシリンジポンプなどを利用することができる。この変形例において、希釈液の添加をバッファタンク14に注入することにより行うようにすると、第3の実施形態で設けられていた切替え弁49は不要となる。
【0058】
図15は、第3の実施形態に係る細胞数調整機能つき細胞分散装置122またはその変形例123に細胞集塊を含む細胞懸濁液を通し、しばらく細胞分散工程を実施した後に細胞数調整工程を実施した際、検出器7から出力される光強度値の経時変化を表すイメージ図である。
【0059】
(細胞数調整機能つき細胞分散装置を利用した閉鎖系継代培養システム)
図16は、細胞数調整機能つき細胞分散装置を使用した継代培養システムの全体像を示す概略図である。
図9を用いて示した継代培養システムと同様の閉鎖系の細胞培養装置200および210をそれぞれ接続流路50および51を介して細胞数調整機能つき細胞分散装置122と接続することにより、閉鎖系継代培養システムを構成することができる。なお、細胞数調整機能つき細胞分散装置はこれまで説明した他の構成のものを用いてもよい。
【0060】
図17は、細胞数調整機能つき細胞分散装置を使用した継代培養システムの第1の変形例の構成の一部を示す概略図である。この構成では、拡大培養用の細胞培養装置から排出された細胞懸濁液を細胞数調整機能つき細胞分散装置に直接送り込む。細胞培養装置201は細胞培養装置200と基本的な構成は同じであるが細胞懸濁液の回収バッグがなく、接続流路50で細胞数調整機能つき細胞分散装置124と接続されている。細胞数調整機能つき細胞分散装置124は、バッファタンク14がペリスタポンプ4と入口1の間に置かれている構成を有する。入口1側の流路を3a1、ポンプ側の流路を3a2とし、3a1はバッファタンク14の上部から入り、3a2はタンク下部から抜けていく。ペリスタポンプ4通過後の流路3bを分岐し、その一方を帰還流路12とし、バッファタンク14の上部に戻す。この構成では、帰還流路12の合流点における切替え弁が不要になる。流路3bと帰還流路12との分岐には切替え弁13が設けられている。希釈液容器40に繋がる分岐流路48は、バッファタンク14とペリスタポンプ4の間に設ける。細胞培養装置201から排出された細胞分散液は、細胞培養装置201のペリスタポンプ28により細胞数調整機能つき細胞分散装置124のバッファタンク14まで送られる。細胞数調整装置124で細胞集塊を分散し細胞数濃度を調整した細胞懸濁液は、細胞数調整機能つき細胞分散装置124のペリスタポンプ4通過後の流路に緩衝領域が設けられていないため、流路51を介して継代培養用の細胞培養装置210の細胞懸濁液供給バッグ20aに送られる。
【0061】
図18は、細胞数調整機能つき細胞分散装置を使用した継代培養システムの第2の変形例の構成の一部を示す概略図である。この構成では、継代培養用の細胞培養装置211に細胞懸濁液供給バッグが設けられていない。細胞数調整機能つき細胞分散装置125は、バッファタンク14がペリスタポンプ4と出口2の間に設けられた構成を有する。ポンプ側の流路を3b1、出口2側の流路を3b2とする。3b1はバッファタンク14の上部から入り、3b2はバッファタンク14の下部から抜けていく。流路3b2を分岐し、その一方を帰還流路12とし、ペリスタポンプ通過前の流路3aに戻す。合流点には切替え弁16を設ける。希釈液容器40に繋がる分岐流路48は、流路3a側に設ける。この構成においては、流路3b2と帰還流路12の分岐部の切替え弁は不要である。流路3b2から継代培養用の培養装置211のペリスタポンプ28までの間には緩衝領域が存在せず液体の逃げ道はないため、帰還流路12の分岐部に切替え弁がなくても、ペリスタポンプ4を駆動させた際に逆流が生じない。ただし、この空間の空気量が多い場合、空気が膨張し、その分出口2から帰還流路側への逆流がありうるため、逆流防止用に帰還流路との分岐から出口2の間にピンチ弁や逆流防止用の逆止弁を設置してもよい。なお、拡大培養用の細胞培養装置200には回収バッグ21bが設けられており、細胞数調整機能つき細胞分散装置125との間の緩衝領域として機能する。細胞数調整機能つき細胞分散装置125で細胞集塊を分散し細胞数濃度を調整した細胞懸濁液は、継代培養用の培養装置211のペリスタポンプ28を駆動させることにより移送され、培養装置211にて直接播種される。
【0062】
図19は、細胞数調整機能つき細胞分散装置を使用した継代培養システムの第3の変形例の構成の一部を示す概略図である。この構成では、拡大培養用の細胞培養装置、細胞数調整機能つき細胞分散装置および継代培養用の細胞培養装置のいずれにも緩衝領域が設けられていない。細胞数調整機能つき細胞分散装置126は、入口1と出口2を結ぶ流路3Aと3Bの間にバッファタンク14が設けられ、ペリスタポンプ4は帰還流路12の途中に設けられている。帰還流路12はバッファタンク14の上部に入るようにし、切替え弁を不要とした。希釈液容器40に繋がる分岐流路48は、帰還流路12の途中、ペリスタポンプ4の手前に設ける。この構成では、拡大培養用の細胞培養装置201からバッファタンク14に送り込まれた細胞懸濁液は、ペリスタポンプ4を駆動させることにより循環流路内を循環する。必要に応じて、入口1とバッファタンク14を繋ぐ流路3A、または流路3Bの帰還流路12への分岐の後かつ出口2の手前の流路に弁を設けてもよい。継代培養用の細胞培養装置211への細胞懸濁液の送り込みは、細胞培養装置211のペリスタポンプ28を駆動させることにより行う。
【0063】
図20は、細胞数調整機能つき細胞分散装置を使用した継代培養システムの第4の変形例の構成の一部を示す概略図である。ここで用いている細胞数調整機能つき細胞分散装置127は、帰還流路を有さず、液を前後に流動させることにより混合を行う。細胞数調整機能つき細胞分散装置127は、それ自体はペリスタポンプを持たず、培養装置のペリスタポンプを利用して液を流動させる。拡大培養用の培養装置201の切替え弁27が流路50を選択している状態で、細胞培養装置201のペリスタポンプ28を駆動し、細胞懸濁液を細胞数調整機能つき細胞分散装置127へ送り込む。希釈液の取り込みは、切替え弁49を切替えて分岐流路側を開放する状態とし、ペリスタポンプ28の回転向きを逆転させて行う。切替え弁49を元に戻し、ペリスタポンプの回転向きを何度か切替えて混合を行う。細胞数濃度を調整した細胞懸濁液は、細胞培養装置201のペリスタポンプにより、継代培養用の細胞培養装置210の供給バッグ20aまで送液される。その後、細胞培養装置201側の切替え弁27を切替え、接続流路50を閉鎖しておく。
【0064】
図21は、細胞数調整機能つき細胞分散装置を使用した継代培養システムの第5の変形例の構成の一部を示す概略図である。この構成は、第4の変形例をさらに変更したものであり、細胞培養装置と細胞数調整機能つき細胞分散装置の間の細胞懸濁液の受け渡しをすべて直接的に行うようにした。細胞数調整機能つき細胞分散装置128は、流路3の入口1側と出口2側にそれぞれ分岐流路52を設け、2つの分岐流路を大気開放された共通流路53に接続した構造となっている。共通流路53は切替え弁54で切替え可能となっており、共通流路にはHEPAフィルタ55が接続され、外部からの菌の混入を防いでいる。まず、切替え弁54を出口2側を解放した状態とし、かつ拡大培養用の細胞培養装置201の切替え弁27を接続流路50を選択した状態してペリスタポンプ28を駆動すると、細胞懸濁液が細胞数調整機能つき細胞分散装置128へと送られる。検出器7で光強度測定を行い、必要に応じて、切替え弁49を切替えて分岐流路側を開放する状態とし、ペリスタポンプ28の回転向きを逆転させて希釈液を取り込む。その後、細胞培養装置201側の切替え弁27を切替え、接続流路50を閉鎖しておく。細胞集塊を分散させ細胞数濃度を調整した細胞懸濁液は、切替え弁54を切替えて出口2側の分岐流路52を閉塞させた状態で、細胞培養装置211のペリスタポンプ28を駆動させることにより、細胞培養装置211に送液される。
【0065】
(細胞数調整機能つき細胞分散装置を利用した開放系継代培養システム)
図22は、細胞数調整機能つき細胞分散装置を利用した開放系継代培養システムの全体像を示す概略図である。
図10を用いて示した継代培養システムと同様、細胞数調整機能つき細胞分散装置は開放系の細胞培養装置と接続して利用することもできる。
【実施例】
【0066】
(細胞分散試験)
−80℃にて冷凍保存されているCaco−2(ヒト大腸がん細胞株)4.6×10
6cellsを10%FBS(Fetal Bovine Serum)を添加したCaco−2細胞様培養液9mLに浮遊させたものを、細胞培養装置の底面積78.5cm
2の拡大培養容器に全量播種し培養したところ、2日後に80%コンフルエントとなった。その後、3mLのPBSによる細胞洗浄、2mLの0.25%トリプシン−1mM EDTAを導入し37℃で4分間静置することによる細胞剥離、3mLの培養液の導入によるトリプシン活性の停止、剥離された細胞を含む培養液の回収を行った。
【0067】
回収された細胞を含む培養液5mLを
図3に示したものと同等の構成を有する細胞分散装置に供給した。細胞分散装置の流路は内径3.15mmのシリコンチューブからなり、その合計長は520mmとした。流路の一部には、内径0.7mm×長さ1mmのオリフィスを設けた。また、光強度測定を行うためのフローセルは5mm角のものを用いた。循環流路を10回程度循環するようペリスタポンプを駆動させながら検出器により散乱光強度測定(波長700nm、測定角度20°)を断続的に行ったところ、測定値が時間とともに収束する様子が観察された(
図23)。細胞懸濁液の様子を目視で確認したところ、同じ試料を10回程度手作業でピペッティングして細胞を分散させたものと同等の細胞分散状態であると判断された。
【0068】
(NIH/3T3細胞を用いた細胞分散条件の自動最適化)
図24に示した細胞分散装置を用いて、細胞分散条件の自動最適化の一例を説明する。
図24に示した装置では、流路は環状となっており、流路の一部には並列流路が設けられており、オリフィスを有しない流路60および内径が異なるオリフィス(8−2〜8−N)が設けられた複数の流路が並列に設けられている。その並列流路は多方バルブ61を切り替えることにより一つの流路が選択可能となっている。
【0069】
未分散のNIH/3T3細胞(3.0〜4.0×10
6cells)を20mLの培地で回収したものを試料溜め62に入れ、ペリスタポンプ4を駆動させて細胞分散液を環流させ、以下の手順で分散条件の最適化を行った。
【0070】
はじめに、オリフィスの内径及び長さを最適化した。オリフィスを有しない流路60は、全体として3.15mmi.d.×720mmの流路からなる。オリフィス8−2〜8−7には、それぞれ以下のサイズのものを用いた:1.6mmi.d.×1mm(8−2)、1.0mmi.d.×1mm(8−3)、0.7mmi.d.×1mm(8−4)、0.4mmi.d.×1mm(8−5)、0.4mmi.d.×10mm(8−6)、および0.4mmi.d.×30mm(8−7)。
【0071】
流速とポンプ駆動時間を一定にし、オリフィスを有しない流路60を通過した細胞懸濁液を検出器7が測定し、その結果を制御部に送信するようにした。制御部には予め基準値を設定しておき、分散が不十分と判断された場合、多方バルブ61を切り替え、新たな試料を次のオリフィス8−2を通過させるようにした。同様に、制御部によりオリフィス8−2を通過した細胞試料の分散度合いを判断し、不十分な場合さらに8−3、8−4、8−5と順に試料を通過させるようにし、これを検出器7の結果が基準値をクリアするまで継続させた。なお、いずれの条件も基準値をクリアしない場合は最も基準値に近い分散手段を最適値とした。その結果、オリフィスの内径×長さは、0.4mmi.d.×30mmが最適と判断された。
【0072】
次に、流速を最適化した。一定のオリフィスとポンプ駆動時間の条件で、ペリスタポンプ4を調節し、流速を20mL/分、30mL/分、40mL/分と変更して細胞懸濁液を送液した。最も基準値に近い分散度となる流速を最適値とした。その結果、流速は40mL/分が最適であると判断された。
【0073】
次に細胞がオリフィスを通過する回数を最適化した。オリフィスを通過する回数は流速とポンプ駆動時間から算出できるため、ポンプ駆動時間を最適化した。オリフィスと流速を一定にし、通過回数に比例する通過時間90秒、180秒、及び270秒における分散度合いを評価した。その結果、180秒が最適であった。
【0074】
最適化された分散条件によりNIH/3T3細胞を分散し、継続して継代培養を行ったところ、2日後の生存率は95%以上であった。なお、最適化された分散条件で処理しても、分散度合いが基準値をクリアしない場合、同一試料を分散条件を変更して再度処理してもよい。この場合、1)分散手段の内径を細くする、2)ペリスタポンプの流速を上げる、及び3)分散手段の長さを長くする、の順番で行うとよい。
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。