特許第6640488号(P6640488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6640488
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】砕氷状冷凍食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 23/00 20160101AFI20200127BHJP
   A23L 3/36 20060101ALI20200127BHJP
   A23L 29/20 20160101ALI20200127BHJP
【FI】
   A23L23/00
   A23L3/36 A
   A23L29/20
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-162407(P2015-162407)
(22)【出願日】2015年8月20日
(65)【公開番号】特開2017-38554(P2017-38554A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100112818
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 昭久
(72)【発明者】
【氏名】瀬斉 雄士
(72)【発明者】
【氏名】入江 謙太朗
【審査官】 池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−023645(JP,A)
【文献】 特開平10−127260(JP,A)
【文献】 特開2003−072840(JP,A)
【文献】 特開2016−007165(JP,A)
【文献】 特開2011−205966(JP,A)
【文献】 特開2014−054216(JP,A)
【文献】 特表平09−504433(JP,A)
【文献】 特開昭52−156945(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0033598(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/36 − 3/54
A23L 23/00 − 25/10
A23L 35/00
A23L 29/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫食時に流動性を有する食品に、ペクチンを該食品の全質量に対して0.1〜2質量%添加混合し加熱した後、該食品を冷凍して冷凍食品を得、該冷凍食品を粉砕して砕氷にする工程を有し、
前記食品がソース又はスープである、砕氷状冷凍食品の製造方法。
【請求項2】
喫食時に流動性を有する食品に、ペクチンを該食品の全質量に対して0.1〜2質量%添加混合し冷凍して冷凍混合物を得、該冷凍混合物を粉砕して砕氷にし、その砕氷を袋状容器に充填する工程を有し、
前記食品がソース又はスープである、砕氷状冷凍食品中間体の包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷製ソース又は冷製スープとして利用可能な、多数の砕氷を含んで構成される砕氷状冷凍食品に関する。
【背景技術】
【0002】
ソースやスープの冷蔵又は冷凍食品に関し、例えば特許文献1には、喫食可能状態とするために電子レンジ等を用いて解凍、解冷蔵するのに要する時間を短縮する目的で、ソースやスープをかき氷状又は砕いた寒天状に形成することが記載されている。特許文献1には、かき氷状のソース又はスープの製造方法の具体例として、冷凍食品に用いられるソース又はスープを冷凍して氷状態とした後に、その氷状態のソース又はスープを掻いて、かき氷状態にする方法が記載されている。また特許文献1には、寒天状のソース又はスープの製造方法の具体例として、冷凍食品に用いられるソース又はスープに、カラギーナン等の増粘剤を3〜30重量%の範囲で添加した後、摂氏0℃以上10℃以下で冷却して寒天状態とし、その寒天状態のソース又はスープを砕いて、砕いた寒天状態にする方法が記載されている。特許文献1記載のかき氷状又は砕いた寒天状のソース又はスープは、電子レンジ等で加熱調理されることによって、液状にされてから喫食されるものであり、かき氷状又は砕いた寒天状のまま喫食されるものではない。
【0003】
特許文献2には、加熱調理せずに冷凍のままソースとして利用可能で、冷製パスタ等の料理を容易に完成できる冷凍ソースフレークが記載されている。特許文献2記載の冷凍ソースフレークは、液体に油脂分を添加し、必要に応じさらにゼラチン、寒天等を添加し、攪拌して乳化状態としたものを冷凍して冷凍固形物を得、該冷凍固形物をハンマー等で粉砕することによって製造されるもので、常温や体温で容易に溶けるような、細かい粉状又は粒状をなしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−127260号公報
【特許文献2】特開2014−54216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、加熱解凍せずにそのまま喫食することができ、食感、食味に優れる砕氷状冷凍食品を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、喫食時に流動性を有する食品に、ペクチンを該食品の全質量に対して0.1〜3質量%添加混合し加熱した後、該食品を冷凍して冷凍食品を得、該冷凍食品を粉砕して砕氷にする工程を有する砕氷状冷凍食品の製造方法である。
【0007】
また本発明は、喫食時に流動性を有する食品に、ペクチンを該食品の全質量に対して0.1〜3質量%添加混合して流動性を有する混合物を得、該混合物の加熱物を袋状容器に充填する工程を有する砕氷状冷凍食品中間体の包装体の製造方法である。
また本発明は、喫食時に流動性を有する食品に、ペクチンを該食品の全質量に対して0.1〜3質量%添加混合し冷凍して冷凍混合物を得、該冷凍混合物を粉砕して砕氷にし、その砕氷を袋状容器に充填する工程を有する砕氷状冷凍食品中間体の包装体の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加熱解凍せずにそのまま喫食することができ、食感、食味に優れる砕氷状冷凍食品が提供される。この砕氷状冷凍食品は、加熱調理用途にも利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の製造目的物である砕氷状冷凍食品は、氷塊状の冷凍食品を粉砕して砕氷状にしたものであり、多数の砕氷を含んで構成されるが、該砕氷状冷凍食品には、多数の砕氷の一部が液状化している形態が含まれる。
【0010】
砕氷状冷凍食品を構成する多数の砕氷それぞれの大きさは特に制限されないが、該砕氷状冷凍食品は、加熱解凍を要せずそのまま喫食し得るものであることから、飲食しやすい大きさであることが好ましく、そのまま喫食した場合に食感や食味が良好であるようにすることを考慮すると、一口大程度の大きさ、あるいはそれ以下の大きさが好ましい。具体的には、砕氷状冷凍食品を構成する多数の砕氷は、それぞれ、最大寸法が好ましくは0.3〜3mm、さらに好ましくは0.5〜1mmである。ここでいう「砕氷の最大寸法」は、測定対象の砕氷が有する最大長さであり、砕氷が容易に融解しない温度、例えば−5〜−10℃の温度に冷却した公知の長さ測定手段、例えば定規、篩等を用いて測定することができる。
【0011】
本発明の砕氷状冷凍食品の製造方法では、「喫食時に流動性を有する食品」(以下、流動性食品ともいう)を用いる。本発明で用いる流動性食品は、常温常圧(25℃、1気圧)で流動性を有している液状又はペースト状の食品であり、具体例としてソース、スープが挙げられる。ここでいう「ソース」は、主として、料理に使用される調味料又は中間素材を意味し、「スープ」は、主として、水分の比較的多い料理そのもの、いわゆる汁物を意味する。ソース、スープの種類は特に制限されず、また、具材入りでも具材無しでも良い。流動性食品の品温20℃でのB型粘度計による粘度(Brix粘度)は、好ましくは7〜8mPa・sである。
【0012】
本発明で用いる流動性食品としてソースを用いる場合、ソースの種類は、ソースと共に喫食される調理済み食品に応じて適宜選択することができる。ソースには、野菜、畜肉類、魚介類等の固形物が含まれていても良い。例えば、調理済み食品がスパゲッティ(茹で麺)の場合、ソースとしてはミートソース、カルボナーラ(ホワイトソース)、ナポリタンソース、ボンゴレビアンゴ、カレーソース等が挙げられる。ソースの原材料としては、例えば、水、牛乳、塩、砂糖、卵、生クリーム;トマトや玉ねぎなどの野菜類やエンドウなどの豆類のペースト;野菜類や豆類のピューレ状物;しょうゆ、酢、ブイヨン、コンソメなどの調味料類などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ソースには、原材料の他に必要に応じて、酸味料、乳化剤、増粘剤、安定剤、着色料など、従来からソースの原材料として用いられている添加剤を用いることができ、ソースの種類に応じて適宜選択することができる。ソースの原材料は、スープの原材料としても使用することができる。
【0013】
本発明の砕氷状冷凍食品の製造方法では、流動性食品にゲル化剤を添加混合し加熱した後、該食品を冷凍して冷凍食品を得、該冷凍食品を粉砕して砕氷にする。ゲル化剤の添加混合時には通常、公知の撹拌機を用いて流動性食品を攪拌する。必要に応じ、食品を加熱殺菌する目的で、ゲル化剤が添加混合された食品を、冷凍前に加熱しても良い。ゲル化剤の添加混合により、流動性食品に粘りが発現し流動性が低下(粘度が上昇)する。こうして流動性が低下した食品を冷凍・粉砕して得られた砕氷は、ゲル化剤無添加の流動性食品を冷凍・粉砕して得られた砕氷に比して、冷凍保存中における砕氷の保形性に優れる。
【0014】
本発明の主たる特徴の1つとして、流動性食品に添加するゲル化剤として、ペクチンを用いる点が挙げられる。本発明者らの知見によれば、ペクチンは、周知の数あるゲル化剤の中でも特に、冷凍保存中における砕氷の保形性に優れ、最終的に得られる砕氷状冷凍食品の外観及び食感を一層向上し得る。即ち、本発明の製造結果物である砕氷状冷凍食品は、ペクチンを用いていることにより、該食品を構成する砕氷が微細氷になりやすく、且つその冷凍保存中における砕氷の保形性にも優れるため、例えば、該食品の流通過程において冷凍温度に多少の高低ムラが生じても、該食品を構成する砕氷が製造当初の微細氷の形態を維持することができ、該食品全体としてシャーベット状の良好な外観を維持し得る。従って、本発明の製造結果物である砕氷状冷凍食品は、加熱解凍せずにそのまま喫食する使用形態においては、喫食前にはその良好な外観が活かされて食欲増進効果などが期待でき、且つ実際に喫食した際には良好な食感が得られるし、また、加熱解凍してから喫食する使用形態においては、冷凍前の流動性食品の外観及び食感が得られる。
【0015】
ペクチンは、メチルエステル化の割合により、高メトキシルペクチン(HMペクチン)と低メトキシルペクチン(LMペクチン)とに大別される。HMペクチンはエステル化度50%以上、LMペクチンはエステル化度50%未満であり、本発明では何れのペクチンも用いることができる。例えばLMペクチンは、カルシウム等の2価金属イオンと反応してゲル化するという性質を有しているため、ペクチンの添加対象物である流動性食品にカルシウムイオンが多く含まれている場合に、ペクチンとしてLMペクチンを用いると、流動性食品のゲル化反応が進行しやすく、保形性に優れた砕氷が得られやすい。
【0016】
ペクチンの流動性食品への添加量は、該食品の全質量に対して0.1〜3質量%であり、好ましくは0.5〜2質量%、さらに好ましくは1〜2質量%である。ペクチンの添加量が少なすぎると、これを添加する意義に乏しく、ペクチンの添加量が多すぎると、砕氷状冷凍食品をそのまま又は加熱調理して喫食した際の食感に、好ましくないヌメリ感が加わるおそれがある。尚、このヌメリ感の発生は、ペクチン以外のゲル化剤の添加量過多の場合にも見られる現象である。また、ペクチンの流動性食品への添加量は、ペクチン添加前の流動性食品のBrix粘度を考慮して決定することが好ましく、一般に、該Brix粘度が高い場合は該添加量を少なくし、該Brix粘度が低い場合は該添加量を多くすることが好ましい。
【0017】
本発明においては、流動性食品にゲル化剤を添加混合した後、該食品を冷凍する前に、該食品を加熱する。この流動状食品の加熱の主たる目的は殺菌である。流動状食品の加熱方法は特に制限されず、この種の食品の加熱殺菌法を適宜利用することができる。
【0018】
本発明において、ペクチンが添加混合され加熱された流動性食品の冷凍は、常法に従って実施することができ、急速冷凍でも緩慢冷凍でも良いが、急速冷凍が好ましい。流動性食品の冷凍は、それによって得られる冷凍食品の品温が好ましくは−10〜−40℃、さらに好ましくは−20〜−40℃となるように、なされることが好ましい。流動性食品を冷凍ではなく、冷蔵、例えば特許文献1に記載されているように品温が0〜10℃程度になるように冷却した場合には、ゲル形成が冷凍の場合より強くなるため、食感が悪くなる。
【0019】
また本発明において、流動性食品を冷凍して得られた冷凍食品の粉砕は、所望の砕氷の大きさが得られるよう、常法に従って実施することができ、例えば、切断、破砕、空気圧等を利用して加工する各種の粉砕機等を用いて実施することができる。後述するように、粉砕対象の冷凍食品がパウチ袋等の袋状容器に収容されている場合において、該袋状容器全体を手で揉むことによって該冷凍食品の粉砕を可能にする観点からは、粉砕対象の冷凍食品の品温は−5〜−15℃が好ましく、−8〜−12℃が特に好ましい。本発明者らの知見によれば、粉砕対象の冷凍食品の品温が−10℃前後であると、氷塊状の冷凍食品を袋状容器ごと手揉みするだけで微細氷に粉砕することが可能となり、シャーベット状の良好な外観の砕氷状冷凍食品が容易に得られる。一方、粉砕対象の冷凍食品の品温が−20℃以上であると、冷凍食品が硬すぎるため手揉みだけで粉砕するのが難しく、また、粉砕できても得られる砕氷が大きすぎるおそれがある。また、粉砕対象の冷凍食品の品温が−5℃未満であると、手揉み中の手の体温で冷凍食品の一部が融解し、所望の砕氷状冷凍食品が得られないおそれがある。
【0020】
本発明の砕氷状冷凍食品の製造方法は、例えば次のようにして実施できる。先ず、流動性食品にペクチンを特定量添加混合し、次いで、加熱殺菌の目的で該食品を加熱し、その加熱済み食品を密封可能な容器に充填し密封した後、該容器ごと冷凍して氷塊状の冷凍食品の包装体を得、次いで、該包装体の密封状態を維持した状態で、該冷凍食品を粉砕して砕氷することで、目的とする、砕氷状冷凍食品が容器に密封されてなる、砕氷状冷凍食品の包装体が得られる。斯かる工程で用いる容器としては、内部に収容された氷塊状の冷凍食品を粉砕可能にする観点から、可撓性を有する容器が好ましく、例えばパウチ袋等の袋状容器が挙げられる。袋状容器に収容された氷塊状の冷凍食品を粉砕する方法は特に制限されず、例えば、袋状容器を手揉みする、ハンマー等で叩く等の、物理的に圧力を加える方法が挙げられる。
【0021】
本発明の製造結果物である砕氷状冷凍食品は、加熱解凍せずにそのまま冷製食品として喫食することもできるし、加熱解凍してから温製食品として喫食することもでき、何れの使用形態であっても、良好な食感、食味が得られる。本発明の製造結果物である砕氷状冷凍食品の適用例としては、例えば、冷製又は温製スープ;麺類、丼物、カレー、シチュー、オムライス等のソースが挙げられる。
【0022】
本発明には、前記砕氷状冷凍食品の製造中間体である、砕氷状冷凍食品中間体の包装体が含まれる。この砕氷状冷凍食品中間体の包装体は、例えば下記製造方法A又はBによって製造することができる。下記製造方法Aは、食品とペクチンとの混合物の冷凍を必須構成要件として含まない態様であり、下記製造方法Bは、袋状容器への充填前に該混合物の冷凍及び粉砕を実施する態様である。
【0023】
(製造方法A)
喫食時に流動性を有する食品に、ペクチンを該食品の全質量に対して0.1〜3質量%添加混合して流動性を有する混合物を得、該混合物の加熱物を袋状容器に充填する工程を有する、砕氷状冷凍食品中間体の包装体の製造方法。
尚、製造方法Aにおける「混合物の加熱物を袋状容器に充填する」には、1)混合物を袋状容器に充填する前に加熱した後、その加熱済みの混合物を袋状容器に充填する態様、及び2)未加熱の混合物を袋状容器に充填した後、該容器ごと加熱する態様が含まれる。いずれにせよ、斯かる混合物の加熱の主たる目的は殺菌である。
(製造方法B)
喫食時に流動性を有する食品に、ペクチンを該食品の全質量に対して0.1〜3質量%添加混合し冷凍して冷凍混合物を得、該冷凍混合物を粉砕して砕氷にし、その砕氷を袋状容器に充填する工程を有する、砕氷状冷凍食品中間体の包装体の製造方法。
【0024】
前記製造方法Aによって製造された砕氷状冷凍食品中間体の包装体は、流動性を有する砕氷状冷凍食品中間体と、これを収容する袋状容器とを含んで構成されており、使用時には、該包装体全体を冷凍して該中間体の冷凍物を得、該冷凍物を該袋状容器内で粉砕することにより、前記砕氷状冷凍食品が得られる。前記製造方法Aによって製造された砕氷状冷凍食品中間体の包装体の使用形態としては、例えば、該包装体の購入者が家庭で該包装体を冷凍し、その包装体の冷凍物全体を手で揉む等して、袋状容器内の該中間体の冷凍物を粉砕して砕氷状冷凍食品とし、しかる後、袋状容器を開封して該砕氷状冷凍食品を取り出す使用形態が挙げられる。つまり、本発明の砕氷状冷凍食品中間体の包装体の製造方法によれば、前述の如き高品質の砕氷状冷凍食品が、家庭でも容易に作れるようになる。
【実施例】
【0025】
本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。尚、実施例5は参考例である。
【0026】
〔実施例1〜5及び比較例1〜8〕
流動性食品として市販のパスタソース(日清フーズ製、「マ・マー アサリコンソメ」)を用い、該ソース100gにゲル化剤を所定量添加混合した後、該ソースを品温90℃で30秒間加熱し、その加熱済みソースを、平面視において縦260mm、横180mmの四角形形状のシール可能なパウチ袋の内部に充填し、脱気シーラーを用いてパウチ袋を密封シールした後、該パウチ袋を、庫内温度が−20℃に設定された冷凍庫に投入して急速冷凍し、厚さ約10mmの板状の冷凍パスタソースの包装体を得た。そして、この包装体を冷凍庫から取り出して気温26℃の環境下に放置し、該包装体の品温が−10℃になった時点で、該包装体におけるパウチ袋の密封状態を維持しつつ、該包装体全体を手揉みすることにより、パウチ袋内の氷塊板状の冷凍パスタソースを粉砕して無数の砕氷にし、砕氷状冷凍パスタソースの包装体を得た。尚、ゲル化剤として用いたペクチンは、LMペクチン(カーギル社製、「ユニテックフーズ」)であった。
【0027】
〔比較例9〕
加熱済みソースの入ったパウチ袋を冷凍せずに、庫内温度が5℃に設定された冷蔵庫に投入し冷却して寒天板状のパスタソースの包装体を得た以外は、実施例6と同様にして、砕いた寒天状のパスタソースの包装体を得た。
【0028】
〔評価試験1〕
乾麺のスパゲッティ(日清フーズ(株)製、「マ・マー スパゲティ」、麺厚1. 6mm)を茹で歩留まり230%で茹で上げた後、冷水で冷却して皿に100g盛り、さらにその冷たいスパゲティの上に、評価対象の各実施例及び比較例のパスタソース100gをそのまま盛り付けて冷製パスタを得た。この冷製パスタを10名のパネラーに喫食してもらい、ソースの外観及び食感・食味を下記評価基準により評価してもらった。その結果(10名のパネラーの平均点)を下記表1に示す。
【0029】
(冷製パスタソースの外観の評価基準)
5点:砕氷が微細(最大寸法2mm以下)で、ソース全体としてかき氷のような外観であり、非常に良好。
4点:砕氷が比較的微細(最大寸法2mm超3mm以下)であり、良好。
3点:砕氷が小さな粒状(最大寸法3mm超5mm以下)であり、普通。
2点:砕氷がやや大きな塊状(最大寸法5mm超7mm以下)であり、不良。
1点:砕氷が大きな塊状(最大寸法7mm超)であり、非常に不良。
【0030】
(ソースの食感・食味の評価基準)
5点:ヌメリ又はパサツキが無く、さわやかな口溶けがあり、非常に良好。
4点:ヌメリ又はパサツキが無く、さわやかな口溶けがややあり、良好。
3点:さわやかな口溶けは無いが、ヌメリ又はパサツキも無く、普通。
2点:さわやかな口溶けは無く、且つヌメリ又はパサツキが少しあり、不良。
1点:さわやかな口溶けは無く、且つヌメリ又はパサツキが強く、非常に不良。
【0031】
〔評価試験2〕
乾麺のスパゲッティ(日清フーズ(株)製、「マ・マー スパゲティ」、麺厚1. 6mm)を茹で歩留まり230%で茹で上げた後、湯切りして皿に100gに盛り付けた。また別途、評価対象の各実施例及び比較例のパスタソース100gを、パウチ袋に封入された状態のまま湯煎して該パウチ袋が80℃になるまで加熱し、その加熱済みパスタソースを、湯切りした温かいスパゲティの上に盛り付けて温製パスタを得た。この温製パスタを10名のパネラーに喫食してもらい、ソースの外観を下記評価基準により評価してもらうと共に、食感・食味を前記評価基準により評価してもらった。その結果(10名のパネラーの平均点)を下記表1に示す。
【0032】
(温製パスタソースの外観の評価基準)
5点:ソース表面が非常に滑らかで色相が良く、非常に良好。
4点:ソース表面が滑らかで色相が良く、良好。
3点:ソース表面がやや滑らかで色相が良く、普通。
2点:ソース表面に部分的に塊又はダマが存在し、不良。
1点:ソース表面全体に塊又はダマが存在し、非常に不良。
【0033】
【表1】