特許第6641068号(P6641068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6641068
(24)【登録日】2020年1月7日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】粘性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/02 20060101AFI20200127BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20200127BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20200127BHJP
   C08K 5/16 20060101ALI20200127BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20200127BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20200127BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20200127BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20200127BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20200127BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20200127BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   C08L33/02
   C08K5/053
   C08K5/09
   C08K5/16
   A61K8/81
   A61K8/44
   A61K8/42
   A61K8/60
   A61K8/36
   A61K8/67
   A61Q1/00
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-527279(P2019-527279)
(86)(22)【出願日】2019年5月17日
(86)【国際出願番号】JP2019019795
【審査請求日】2019年5月20日
(31)【優先権主張番号】特願2019-37989(P2019-37989)
(32)【優先日】2019年3月1日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 博史
(72)【発明者】
【氏名】上住 千晶
【審査官】 中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/084469(WO,A1)
【文献】 特表昭62−500725(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第108403462(CN,A)
【文献】 特開2017−218383(JP,A)
【文献】 特表2013−530257(JP,A)
【文献】 特表2018−520129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00−101/14
C08K3/00−13/08
A61K8/00−8/99
A61Q1/00−90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも、(メタ)アクリル酸100質量部、及びアルキル基の炭素数が10〜30である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部を重合させて得られる共重合体、
(B)アミノ酸系界面活性剤
(C)ベタイン
(D)アルキルグリコシド、及び
(E)有機酸塩
を含有し、
(B)が、式:
【化1】
(式中、Xは5〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和炭化水素基を示し、Yは水素原子又はメチル基を示し、Zは水素原子、−CH、−CH(CH、−CHCH(CH、−CH(CH)CHCH、−CH、−CHOH、−CHOH、−CH(OH)CH、−(CHNH、−(CHNHC(NH)NH、−CHC(O)O、−(CHC(O)O、−CHCOOH、又は−(CHCOOHを示す。Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム又はトリエタノールアンモニウムを示す。)で表わされる化合物であり、
(C)が、式:
【化2】
(式中、Rは炭素数5〜22の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示し、nは1〜6を示す。)で表わされる化合物、並びに、
式:
【化3】
(式中、Rは炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。)で表わされる化合物
からなる群より選択される少なくとも1種であり、
(E)が、クエン酸塩及びアスコルビン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、
(B)の含有質量が(C)の含有質量以上であり、
粘度が1000mPa・s以上である、
粘性組成物。
【請求項2】
有機酸塩が有機酸金属塩である、請求項1に記載の粘性組成物。
【請求項3】
(A)が、少なくとも、(メタ)アクリル酸100質量部、及びアルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部を重合させて得られる共重合体である、
請求項1又は2に記載の粘性組成物。
【請求項4】
(A)が、(メタ)アクリル酸100質量部、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部、及び、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を重合させて得られる共重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の粘性組成物。
【請求項5】
(A)が、(メタ)アクリル酸100質量部、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部、及び、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物0.001〜1質量部を重合させて得られる共重合体である、請求項4に記載の粘性組成物。
【請求項6】
エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物が、ペンタエリスリトールアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、リン酸トリアリル、及びポリアリルサッカロースからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4又は5に記載の粘性組成物。
【請求項7】
(B)及び(C)の含有質量比が1〜5:1である請求項1〜6のいずれかに記載の粘性組成物。
【請求項8】
(B)が、N−アシル化グルタミン酸のモノおよびジカルボン酸塩、N−アシル化アラニンのカルボン酸塩、N−アシル化グリシンのカルボン酸塩、及びN−アシル化サルコシンのカルボン酸塩からなる群より選択される、少なくとも1種である、
請求項1〜7のいずれかに記載の粘性組成物。
【請求項9】
(B)が、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、パルミトイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ココイルアラニン酸ナトリウム、ココイルアラニンTEA、ココイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルアラニンナトリウム、TEAラウロイルアラニネート、ココイルグリシン酸ナトリウム、ココイルグリシン酸カリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、オレオイルサルコシン酸ナトリウム、及びラウロイルサルコシン酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種である、
請求項1〜7のいずれかに記載の粘性組成物。
【請求項10】
(C)が、コカミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、トリメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチル酢酸ベタイン、及びテトラデセルジメチルアミノ酢酸ベタインからなる群より選択される、少なくとも1種である、
請求項1〜9のいずれかに記載の粘性組成物。
【請求項11】
(D)が、1個の炭素数5〜22の直鎖アルキル基と1個のグルコースアルキルグルコシドである、請求項1〜10のいずれかに記載の粘性組成物。
【請求項12】
(D)が、n−オクチル−β−D−グルコシド、n−オクチル−β−D−マルトシド、n−デシル−β−D−グルコシド、n−デシル−β−D−マルトシド、及びn−ドデシル−β−D−グルコシドからなる群より選択される、少なくとも1種である、
請求項1〜11のいずれかに記載の粘性組成物。
【請求項13】
化粧料又はトイレタリー製品である、請求項1〜12のいずれかに記載の粘性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粘性組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボキシル基含有水溶性共重合体は、化粧品等の増粘剤、パップ剤等の保湿剤、乳化剤や懸濁物等の懸濁安定剤、電池等のゲル化基剤等として様々な分野で使用されている。
【0003】
特に、カルボキシル基含有水溶性共重合体を含有する粘性組成物を毛髪用組成物として用いる場合には、毛髪及び/又は頭皮等に有用な有効成分や洗浄用成分をさらに含有することが好ましい。このような成分の代表例として、アミノ酸系界面活性剤やベタインが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/130460号
【特許文献2】国際公開第2014/021434号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、カルボキシル基含有水溶性共重合体、特にアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体に加え、アミノ酸系界面活性剤及びベタインをも含む粘性組成物において、アミノ酸系界面活性剤の含有量がベタインの含有量以上である場合には、粘度が著しく低くなることから、アミノ酸系界面活性剤量がベタイン量以上に配合され、且つ良好な粘度を有する、カルボキシル基含有水溶性共重合体含有粘性組成物を調製することは難しかった。
特許文献1では、多価金属塩の存在下であっても、酸性から弱酸性のpH領域でアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体により高粘度を実現できる粘性組成物が検討されているが、アミノ酸系界面活性剤及びベタインを含有するものではない。また、特許文献2では、特定のカルボキシル基含有水溶性共重合体及び特定のアミノ酸界面活性剤を含有する粘性組成物が検討されているが、アミノ酸系界面活性剤量がベタイン量以上に配合されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体、アミノ酸系界面活性剤、及びベタインに加え、さらにアルキルグリコシド及び有機酸塩を配合して粘性組成物を調製することにより、アミノ酸系界面活性剤量がベタイン量以上に配合されていても良好な粘度を有する、カルボキシル基含有水溶性共重合体含有粘性組成物を調製できる可能性を見出し、さらに改良を重ねた。
【0007】
本開示は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
(A)少なくとも、(メタ)アクリル酸100質量部、及びアルキル基の炭素数が10〜30である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部を重合させて得られる共重合体、
(B)アミノ酸系界面活性剤
(C)ベタイン
(D)アルキルグリコシド、及び
(E)有機酸塩
を含有し、
(B)の含有質量が(C)の含有質量以上である、
粘性組成物。
項2.
粘度が1000mPa・s以上である、項1に記載の粘性組成物。
項3.
(A)が、少なくとも、(メタ)アクリル酸100質量部、及びアルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部を重合させて得られる共重合体である、
項1又は2に記載の粘性組成物。
項4.
(A)が、(メタ)アクリル酸100質量部、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部、及び、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を重合させて得られる共重合体である、項1〜3のいずれかに記載の粘性組成物。
項5.
(A)が、(メタ)アクリル酸100質量部、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部、及び、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物0.001〜1質量部を重合させて得られる共重合体である、項4に記載の粘性組成物。
項6.
エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物が、ペンタエリスリトールアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、リン酸トリアリル、及びポリアリルサッカロースからなる群より選択される少なくとも1種である、項4又は5に記載の粘性組成物。
項7.
(B)及び(C)の含有質量比が1〜5:1である項1〜6のいずれかに記載の粘性組成物。
項8.
(B)が、式:
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、Xは5〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和炭化水素基を示し、Yは水素原子又はメチル基を示し、Zは水素原子、−CH、−CH(CH、−CHCH(CH、−CH(CH)CHCH、−CH、−CHOH、−CHOH、−CH(OH)CH、−(CHNH、−(CHNHC(NH)NH、−CHC(O)O、−(CHC(O)O、−CHCOOH、又は−(CHCOOHを示す。Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム又はトリエタノールアンモニウムを示す。)で表わされる化合物である、項1〜7のいずれかに記載の粘性組成物。
項9.
(C)が、式:
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、Rは炭素数5〜22の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示し、nは1〜6を示す。)で表わされる化合物、並びに、
式:
【0012】
【化3】
【0013】
(式中、Rは炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。)で表わされる化合物
からなる群より選択される少なくとも1種である、
項1〜8のいずれかに記載の粘性組成物。
項10.
(B)が、式:
【化4】
(式中、Xは5〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和炭化水素基を示し、Yは水素原子又はメチル基を示し、Zは水素原子、−CH、−CH(CH、−CHCH(CH、−CH(CH)CHCH、−CH、−CHOH、−CHOH、−CH(OH)CH、−(CHNH、−(CHNHC(NH)NH、−CHC(O)O、−(CHC(O)O、−CHCOOH、又は−(CHCOOHを示す。Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム又はトリエタノールアンモニウムを示す。)で表わされる化合物であり、
(C)が、式:
【化5】
(式中、Rは炭素数5〜22の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示し、nは1〜6を示す。)で表わされる化合物、並びに、
式:
【化6】
(式中、Rは炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。)で表わされる化合物
からなる群より選択される少なくとも1種である、
項1〜7のいずれかに記載の粘性組成物。
項11.
(D)が、1個の炭素数5〜22の直鎖アルキル基と1個のグルコースとが縮合したアルキルグルコシドである、項1〜10のいずれかに記載の粘性組成物。
項12.
(E)が、カルボン酸金属塩及びアスコルビン酸金属塩からなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜11のいずれかに記載の粘性組成物。
項13.
(B)及び(C)の含有質量比が1〜5:1であり、
エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物が、ペンタエリスリトールアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、リン酸トリアリル、及びポリアリルサッカロースからなる群より選択される少なくとも1種であり、
(B)が、式:
【0014】
【化7】
【0015】
(式中、Xは5〜22個の炭素原子を有する飽和または不飽和炭化水素基を示し、Yは水素原子又はメチル基を示し、Zは水素原子、−CH、−CH(CH、−CHCH(CH、−CH(CH)CHCH、−CH、−CHOH、−CHOH、−CH(OH)CH、−(CHNH、−(CHNHC(NH)NH、−CHC(O)O、−(CHC(O)O、−CHCOOH、又は−(CHCOOHを示す。Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム又はトリエタノールアンモニウムを示す。)で表わされる化合物であり、
(C)が、式:
【0016】
【化8】
【0017】
(式中、Rは炭素数5〜22の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示し、nは1〜6を示す。)で表わされる化合物、並びに、
式:
【0018】
【化9】
【0019】
(式中、Rは炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。)で表わされる化合物
からなる群より選択される少なくとも1種であり、
(D)が、1個の炭素数5〜22の直鎖アルキル基と1個のグルコースとが縮合したアルキルグルコシドであり、
(E)が、カルボン酸金属塩及びアスコルビン酸金属塩からなる群より選択される少なくとも1種である、
項6に記載の粘性組成物。
【発明の効果】
【0020】
アミノ酸系界面活性剤量がベタイン量以上に配合されていても良好な粘度を有する、カルボキシル基含有水溶性共重合体含有粘性組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。本開示は、粘性組成物(特に毛髪用組成物)、及び粘性組成物の調製方法等を好ましく包含するが、これらに限定されるわけではなく、本開示は本明細書に開示され当業者が認識できる全てを包含する。
【0022】
本開示に包含される粘性組成物は、以下の(A)〜(E)を含有する。
(A)少なくとも、(メタ)アクリル酸100質量部、及びアルキル基の炭素数が10〜30である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部を重合させて得られる共重合体、
(B)アミノ酸系界面活性剤
(C)ベタイン
(D)アルキルグリコシド
(E)有機酸塩
【0023】
なお、本明細書において、本開示に包含される当該粘性組成物を「本開示の粘性組成物」ということがある。また、本開示の粘性組成物は、下述するように、例えば(A)〜(E)と水とを含む液状組成物を用いて調製することができ、このようにして調製した場合には本開示の粘性組成物はさらに(F)水を含む。
【0024】
(A)は、前記の通り、少なくとも、(メタ)アクリル酸100質量部、及びアルキル基の炭素数が10〜30である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部を重合させて得られる共重合体(アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体)である。好ましくは、(メタ)アクリル酸100質量部、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部、及び、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を重合させて得られる共重合体であり、より好ましくは、(メタ)アクリル酸100質量部、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部、及び、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物0.001〜1質量部を重合させて得られる共重合体である。
【0025】
また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。(メタ)アクリル酸として、アクリル酸及びメタクリル酸のいずれか一方を単独で使用してもよく、またこれらの双方を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
アルキル基の炭素数が10〜30(10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30)である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、(メタ)アクリル酸と、アルキル基の炭素数が10〜30である高級アルコールとのエステルである。当該アルキル基の炭素数は、例えば12〜30、14〜28、16〜26、又は18〜24であることがより好ましい。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸とステアリルアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸とエイコサノールとのエステル、(メタ)アクリル酸とベヘニルアルコールとのエステル、及び(メタ)アクリル酸とテトラコサノールとのエステル等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中でも、好ましくは、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸エイコサニル、メタクリル酸ベヘニル、及びメタクリル酸テトラコサニル挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、それぞれ単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、日本油脂株式会社製の商品名ブレンマーVMA70等の市販品を用いてもよい。
【0027】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量は、(メタ)アクリル酸100質量部に対して、0.5〜5質量部であり、好ましくは0.5〜4質量部又は1〜4質量部であり、より好ましくは1〜3質量部である。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量が0.5質量部未満の場合、得られるアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体を水に分散させる際、ママコが発生しやすくなる傾向がある。また、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量が5質量部を超える場合、得られるアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体を用いて粘性組成物を調製する際、アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体の溶解性が悪くなる傾向がある。
【0028】
また、前記エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、サッカロース、ソルビトール等のポリオールの2置換以上のアクリル酸エステル類;前記ポリオールの2置換以上のアリルエーテル類;フタル酸ジアリル、リン酸トリアリル、メタクリル酸アリル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、アジピン酸ジビニル、クロトン酸ビニル、1,5−ヘキサジエン、ジビニルベンゼン、ポリアリルサッカロース等が挙げられる。これらのエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物の中でも、得られるアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体を用いて粘性組成物を調製した際、少量の使用で高い増粘性の付与を可能とし、また、乳化物、懸濁物等に高い懸濁安定性を付与することを可能にするという観点から、好ましくは、ペンタエリスリトールアリルエーテル(中でもペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテルが好ましい)、テトラアリルオキシエタン、リン酸トリアリル、及びポリアリルサッカロースが挙げられる。これらのエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
(A)の共重合体を調製するにあたり、重合に前記エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物をも用いる場合、その使用量は、特に制限はされないが、(メタ)アクリル酸100質量部に対して、0.001〜1質量部であることが好ましい。当該範囲の下限は例えば0.005、0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、又は0.04であってもよい。また、当該範囲の上限は例えば0.95、0.9、0.85、0.8、0.75、0.7、0.65、又は0.6であってもよい。例えば、当該使用量は、(メタ)アクリル酸100質量部に対して、0.01〜0.8質量部が好ましく、0.02〜0.7質量部がより好ましい。
【0030】
(A)の共重合体の製造において、(メタ)アクリル酸、及び前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、並びに必要に応じてエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を重合する方法としては、特に限定されず、例えば、これらをラジカル重合開始剤の存在下に重合溶媒中で重合させる方法等が挙げられる。
【0031】
前記ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、α,α'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビスメチルイソブチレート、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、第三級ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
前記ラジカル重合開始剤の使用量としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸100質量部に対して、0.01〜0.45質量部が好ましく、0.01〜0.35質量部がより好ましい。ラジカル重合開始剤を上記範囲内で使用することにより、重合反応速度を適切に制御でき、アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体を経済的に製造することが可能になる。
【0033】
なお、重合時に、上記成分以外の成分(重合時添加成分ということがある)をさらに用いてもよい。このような重合時添加成分としては、例えば、界面活性剤(但し、(A)〜(E)成分であるものは除く)が挙げられる。界面活性剤としては、例えば乳化重合に用いることが知られている公知の界面活性剤が好ましい。このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン鎖を有するノニオン性界面活性剤が好ましく挙げられる。
【0034】
ポリオキシエチレン鎖を有するノニオン性界面活性剤としては、例えば多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、ヒドロキシ脂肪酸とエチレンオキサイドとのブロック共重合体、及びポリオキシエチレンヒマシ油等が好ましく挙げられる。
【0035】
多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と多価アルコール脂肪酸とのエステル化合物が好ましく挙げらる。また、ここでの多価アルコール脂肪酸としては、炭素数14〜24(14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24)の飽和若しくは不飽和の多価(特に2価)アルコール脂肪酸が好ましく、より具体的には、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソオレイン酸等が好ましく挙げられる。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と多価アルコール脂肪酸とのエステル化合物における、ポリオキシエチレンの酸化エチレン平均付加モル数としては、特に制限はされないが例えば20〜100程度、又は30〜70程度が挙げられる。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と多価アルコール脂肪酸とのエステル化合物として特に好ましいものとして、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が挙げられる。
【0036】
ポリオキシエチレンヒマシ油としては、酸化エチレンの付加モル数が2〜10程度のものが好ましく、2〜5程度のものがさらに好ましい。
【0037】
ヒドロキシ脂肪酸とエチレンオキサイドとのブロック共重合体とは、言い換えれば、ポリヒドロキシ脂肪酸とポリオキシエチレンとからなる共重合体とも言える。ポリヒドロキシ脂肪酸の脂肪酸としては、炭素数14〜22程度の脂肪酸が好ましく、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が好ましく挙げられ、ヒドロキシ脂肪酸としては、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシステアリン酸等が好ましく挙げられ、特にヒドロキシステアリン酸が好ましい。ヒドロキシステアリン酸としては、12−ヒドロキシステアリン酸が特に好ましい。ポリヒドロキシ脂肪酸としては、ポリヒドロキシステアリン酸が特に好ましい。ヒドロキシ脂肪酸とエチレンオキサイドとのブロック共重合体としては、12−ヒドロキシステアリン酸とエチレンオキサイドとのブロック共重合体が特に好ましい。
【0038】
界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
また、前記重合溶媒としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及びエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を溶解し、かつ得られるアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体を溶解しない溶媒であることが好ましい。このような重合溶媒の具体例としては、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、エチレンジクロライド、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン等が挙げられる。これらの重合溶媒の中でも、品質が安定しており入手が容易であるという観点から、好ましくは、エチレンジクロライド、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、酢酸エチルが挙げられる。これらの重合溶媒は、それぞれ単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
前記重合溶媒の使用量としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸100質量部に対して、200〜10,000質量部が好ましく、300〜2,000質量部がより好ましい。重合溶媒を上記範囲内で使用することにより、重合反応が進行しても、アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体が凝集するのを抑制して均一に撹拌させ、且つ重合反応を効率的に進行させることが可能になる。
【0041】
また、上記重合反応を行う際の雰囲気については、重合反応が可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気が挙げられる。
【0042】
上記重合反応を行う際の反応温度は、重合反応が可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、50〜90℃が好ましく、55〜75℃がより好ましい。このような反応温度で重合反応を行うことにより、反応溶液の粘度上昇を抑制し、反応制御を容易にすることができ、更に得られるアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体の嵩密度を制御することができる。
【0043】
上記重合反応を行う際の反応時間は、反応温度によって異なるので一概には決定することはできないが、通常、2〜10時間である。
【0044】
反応終了後は、例えば、反応溶液を80〜130℃に加熱し、重合溶媒を除去することにより白色微粉末のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体を単離することができる。
【0045】
本開示の粘性組成物において、前記アルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体は、それぞれ単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
(B)アミノ酸系界面活性剤としては、アミノ酸塩のα炭素に位置するアミン基がC6〜C22脂肪酸誘導体でアシル化されたα−アミノ酸のカルボン酸塩であるものが好ましい。このようなアミノ酸系界面活性剤は、マイルドな高発泡性の洗浄剤として特に有用である。より具体的には、次式:
【0047】
【化10】
【0048】
で表される界面活性剤が含まれる。式中、Xは5〜22(5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22)個の炭素原子を有する飽和または不飽和炭化水素基を示し、Yは水素原子又はメチル基を示し、Zは水素原子、−CH、−CH(CH、−CHCH(CH、−CH(CH)CHCH、−CH、−CHOH、−CHOH、−CH(OH)CH、−(CHNH、−(CHNHC(NH)NH、−CHC(O)O、−(CHC(O)O、−CHCOOH、又は−(CHCOOHを示す。Mは塩形成カチオンを示す。一態様では、Xは、直鎖状または分枝鎖状C5〜C22アルキル基および直鎖状または分枝鎖状C5〜C22アルケニル基から選択される基を表す。一態様では、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびトリエタノールアンモニウムから選択される。
【0049】
具体的な(B)アミノ酸系界面活性剤としては、例えば、N−アシル化グルタミン酸のモノおよびジカルボン酸塩(例えばナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびトリエタノールアンモニウム)、より具体的には例えばココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、パルミトイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウムおよびミリストイルグルタミン酸カリウム;N−アシル化アラニンのカルボン酸塩(例えばナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびトリエタノールアンモニウム)、より具体的には例えばココイルアラニン酸ナトリウム、ココイルアラニンTEA、ココイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルアラニンナトリウムおよびTEAラウロイルアラニネート;N−アシル化グリシンのカルボン酸塩(例えばナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびトリエタノールアンモニウム)、より具体的には例えばココイルグリシン酸ナトリウムおよびココイルグリシン酸カリウム;N−アシル化サルコシンのカルボン酸塩(例えばナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびトリエタノールアンモニウム)、より具体的には例えばラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、オレオイルサルコシン酸ナトリウムおよびラウロイルサルコシン酸アンモニウム等が挙げられる。なかでも、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルアラニン酸ナトリウム、ココイルアラニン酸カリウム、ココイルグリシン酸ナトリウム、ココイルグリシン酸カリウムがより好ましい。
【0050】
(B)アミノ酸系界面活性剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
(C)ベタインとしては、好ましくは例えば、アミドベタイン、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、ココベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)等が挙げられる。ここで、アルキルおよびアシル基は5〜22個(5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22個)、好ましくは7〜19個の炭素原子を有する。
【0052】
アミドベタインとしては、より具体的には、例えば次式:
【0053】
【化11】
【0054】
で示されるベタインが挙げられる。当該式中、Rは炭素数5〜22(5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。なお、当該ベタインは、Rが異なるものの混合物であってもよく、例えばRCO−がヤシ油脂肪酸残基であるものなども好ましく包含する。また、nは1〜6(1、2、3、4、5、又は6)を示し、特に3を示すことが好ましい。
【0055】
当該ベタインとしては、より具体的には例えばヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(すなわち、コカミドプロピルベタイン:CAPB)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。
【0056】
また、アルキルベタインとしては、より具体的には、例えば次式:
【0057】
【化12】
【0058】
で示されるベタインが挙げられる。当該式中、Rは炭素数1〜22(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。
【0059】
当該ベタインとしては、より具体的には例えばトリメチルアミノ酢酸ベタイン(トリメチルグリシン)、ラウリルジメチル酢酸ベタイン、テトラデセルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0060】
(C)ベタインは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
(D)アルキルグリコシドとしては、好ましくは例えば炭素数5〜22(5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22)の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基と糖との縮合物が挙げられる。当該アルキル鎖としては、炭素数8〜22又は炭素数10〜20ものがより好ましく、炭素数12〜20のものがさらに好ましい。また、直鎖であることがより好ましい。当該糖としては、例えばグルコースが好ましい。また、当該アルキル基は、1個又は複数個が糖と縮合していてもよいが、1個のアルキル基が1個の糖と縮合したものが好ましい。
【0062】
当該アルキルグリコシドとしては、より具体的には例えば1個の炭素数8〜22の直鎖アルキル基と1個のグルコースとが縮合(グリコシド結合)したアルキルグルコシドが挙げられる。さらに具体的には、例えばn−オクチル−β−D−グルコシド、n−オクチル−β−D−マルトシド、n−デシル−β−D−グルコシド(デシルグルコシド)、n−デシル−β−D−マルトシド、及びn−ドデシル−β−D−グルコシド(ラウリルグルコシド)等が挙げられる。
【0063】
(D)アルキルグリコシドは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】
(E)有機酸塩としては、例えばカルボン酸塩、アミノ酸塩、アスコルビン酸塩等が好ましく挙げられ、中でもカルボン酸塩が好ましい。カルボン酸塩のカルボン酸としては、1価又は多価(例えば2価、3価、又は4価)のカルボン酸が挙げられる。具体的には、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸等が好ましく挙げられ、より具体的には例えば酢酸、酪酸、乳酸、安息香酸、グルコン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フィチン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、フタル酸、クエン酸、エチレンジアミン4酢酸等が挙げられる。
【0065】
また、(E)有機酸塩は金属塩であることが好ましく、当該金属塩としては、水溶液中で1価又は多価(例えば2価、3価、又は4価)の金属イオンとなるものが挙げられる。具体的には例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、ラジウム塩、亜鉛塩、及びアルミニウム塩等が挙げられる。
【0066】
特に制限されるわけではないが、中でも好ましい(E)有機酸塩としては、具体的には例えば酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム(特にクエン酸三ナトリウム)等が挙げられる。
【0067】
(E)有機酸塩は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
なお、無機酸塩は、本開示の粘性組成物が奏する効果を損なわない範囲であれば、本開示の粘性組成物に含まれてもよいが、含まれないことが好ましい。
【0069】
本開示の粘性組成物において、(A)は、例えば0.1〜5質量%程度含まれることが好ましい。当該範囲の下限は、例えば0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、又は0.9質量%であってもよい。また、当該範囲の上限は、例えば4.5、4、3.5、3、2.5、2、又は1.5であってもよい。例えば、0.2〜4質量%であることがより好ましく、0.5〜2質量%であることがさらに好ましい。
【0070】
本開示の粘性組成物において、(B)は、例えば(A)1質量部に対して1〜10質量部含まれることが好ましく、2〜8質量部含まれることがより好ましく、3〜7質量部含まれることがさらに好ましく、4〜6質量部含まれることがよりさらに好ましい。また、(B)は、例えば本開示の粘性組成物に1〜10質量%含まれることが好ましく、2〜10質量%含まれることがより好ましく、3〜10質量%含まれることがさらに好ましい。当該範囲の上限は、例えば9、8、又は7質量%であってもよい。
【0071】
本開示の粘性組成物において、(C)は、例えば(A)1質量部に対して0.5〜10質量部含まれることが好ましく、1〜8質量部含まれることがより好ましく、1.5〜7質量部含まれることがさらに好ましい。当該範囲の下限は2又は3であってもよく、また当該範囲の上限は6であってもよい。また(C)は、例えば本開示の粘性組成物に0.5〜10質量%含まれることが好ましく、1〜8質量%含まれることがより好ましく、1.5〜7質量%含まれることがさらに好ましい。
【0072】
なお、上述の通り、本開示の粘性組成物において、(B)の含有質量は(C)の含有質量以上である。特に制限はされないが、例えば(B)及び(C)含有質量比は、1〜5:1であることが好ましく、1〜4:1又は1〜3:1であることがより好ましい。
【0073】
本開示の粘性組成物において、(D)は、例えば(A)1質量部に対して0.5〜10質量部含まれることが好ましく、1〜8質量部含まれることがより好ましく、1〜7質量部含まれることがさらに好ましい。当該範囲の下限は2又は3であってもよく、また当該範囲の上限は6であってもよい。また(D)は、例えば本開示の粘性組成物に0.5〜10質量%含まれることが好ましく、1〜8質量%含まれることがより好ましく、1〜7質量%含まれることがさらに好ましい。
【0074】
本開示の粘性組成物において、(E)は、例えば(A)1質量部に対して1〜10質量部含まれることが好ましく、2〜8質量部含まれることがより好ましく、3〜7質量部含まれることがさらに好ましく、3〜6質量部含まれることがよりさらに好ましい。また、(B)は、例えば本開示の粘性組成物に1〜10質量%含まれることが好ましく、2〜8質量%含まれることがより好ましく、3〜7質量%含まれることがさらに好ましく、3〜6質量%含まれることがよりさらに好ましい。
【0075】
本開示の粘性組成物は、粘度が1000mPa・s以上であることが好ましく、より好ましくは1000〜50000mPa・sである。当該範囲の上限は例えば45000、40000、35000、30000、25000、20000、15000、又は10000mPa・sであってもよい。またさらに、当該範囲の上限が、9000、8000、7000、6000、5000、又は4000mPa・sであってもよい。例えば、1000〜20000mPa・s程度がより好ましく、1000〜10000mPa・s程度がさらに好ましい。当該粘度は、常温(25℃)において、BrookField社製の粘度計(型番:DV1MRVTJ0)を用い、回転速度を毎分20回転として測定した値である。なお、測定に使用するローターは、2000mPa・s未満の場合はローターNo.3、2000mPa・s以上5000mPa・s未満の場合はローターNo.4、5000mPa・s以上15000mPa・s未満の場合はローターNo.5、15000mPa・s以上40000mPa・s未満の場合はローターNo.6、40000mPa・s以上の場合はローターNo.7である。
【0076】
本開示の粘性組成物は、透明性が高いものが好ましい。具体的には、波長425nm光の透過率が20%以上のものが好ましく、25又は30%以上のものがより好ましい。35又は40以上のものがさらに好ましい。当該透過率は、粘性組成物を脱泡した後、光路長1cmのセルを用いて、測定波長を425nmとして測定したときの値(つまり、純水を100%とした場合の425nmの透過量の割合)をいう。
【0077】
本開示の粘性組成物は、好ましくはpHが4〜6.5、より好ましくは4.5〜6、さらに好ましくは5〜6である。当該pHの値は常温(25℃)においてpHメーターを用いて測定される値である。
【0078】
本開示の粘性組成物の調製は、例えば、(A)を水に分散させた水分散体、(B)の水溶液、(C)の水溶液、(D)の水溶液、及び(E)の水溶液、を予め調製し、これを順次撹拌により混合して調製することができる。混合順は特に制限されず、たとえば(A)→(B)→(C)→(D)→(E)の順で混合することができる。また、(A)〜(D)の混合順は適宜設定し、(E)を最後に混合することが好ましい。
【0079】
本開示の粘性組成物は、効果を損なわない範囲で、前述する成分以外に、その用途に応じて他の添加剤や有効成分を含んでいてもよい。例えば、本開示の粘性組成物を化粧料として使用する場合には、保湿剤、酸化防止剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、消臭剤、界面活性剤、香料、色素等を含んでいてもよい。とりわけ、本開示の粘性組成物を化粧料として使用する場合には、皮膚に対するベタツキを無くし、サラッとした良好な使用感をより一層向上させるという観点から、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、乳酸ナトリウム、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤を配合していることが望ましい。
【0080】
本開示の粘性組成物に、他の添加剤や有効成分を含ませる場合には、例えば前記(A)〜(E)の順次混合時に、これらの添加剤や有効成分を添加することができる。
【0081】
本開示の粘性組成物は、前記粘度を備えており、粘性のある液状、流動性のあるゲル状、クリーム状等の形状を呈する。
【0082】
本開示の粘性組成物は、例えば化粧料、医薬(特に皮膚外用剤)、トイレタリー製品、ハウスホールド製品、水溶性塗料等の分野で使用される。とりわけ、本開示の粘性組成物は、高粘度であることに加え、皮膚に塗布しても、ベタツキが抑制され、サラッとしたみずみずしい使用感が得られうるので、化粧料、皮膚外用剤、又はトイレタリー製品として好適に使用される。
【0083】
本開示の粘性組成物を化粧料とする場合、その製剤形態については、特に制限されないが、例えば、化粧水、乳液、美容液、クリーム、クリームパック、マッサージクリーム、ヘアーセッティングジェル、日焼け止め、スタイリングジェル、アイライナー、マスカラ、口紅、ファンデーション等が挙げられる。また、本開示の粘性組成物をトイレタリー製品とする場合、その製剤形態については、特に限定されないが、例えば、クレンジングクリーム、クレンジングジェル、洗顔フォーム、ヘアーウォッシュ、ボディーウォッシュ、リンス等が挙げられる。
【0084】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件を任意の組み合わせを全て包含する。
【0085】
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
【実施例】
【0086】
以下、本開示をより具体的に説明するが、本開示は下記の例に限定されるものではない。
【0087】
[測定方法]
下述する各実施例及び比較例により得られた粘性組成物について、粘度、pH、及び透過率を以下の方法により評価した。
【0088】
(1)粘度
評価サンプル(各粘性組成物、以下同じ)を25℃に調整した恒温水槽に60分以上浸した後に、BrookField社製の粘度計(型番:DV1MRVTJ0)を用い、回転速度を毎分20回転として、1分後の25℃における粘度を測定した。測定に使用したローターは、2000mPa・s未満の場合はローターNo.3、2000mPa・s以上5000mPa・s未満の場合はローターNo.4、5000mPa・s以上15000mPa・s未満の場合はローターNo.5、15000mPa・s以上40000mPa・s未満の場合はローターNo.6、40000mPa・s以上の場合はローターNo.7とした。なお、粘度が1000mPa・s以上の試料は、塗布時に垂れ難いという特性を備えることができるので、高粘度で良好な試料と判断できる。
【0089】
(2)pH
堀場製作所社製のpHメータ(型番:D−51)を用い、評価サンプルのpHを室温(25℃)にて測定した。具体的には、サンプルにpHメータの電極を差し、MEASキーを押してHOLD表示の点滅が点灯に切り替わった際の表示値を読み取り、記録した。
【0090】
(3)透過率
島津製作所社製の分光光度計(型番:UV−1850)を用い、評価サンプルの透過率(%)を測定した。まずサンプルをUV測定用のセル(光路長1cm)に入れ、遠心分離器にて毎分2,000回転で5分間の操作により脱泡した。脱泡が完了していない場合は遠心分離機にて同様の操作を行い、泡が完全に試料上部から抜けることを確認した。その後、試料を分光光度計にセットし、測定波長を425nmとして透過率を測定した。なお、粘性組成物を用いる場合において、透過率の高低は通常特に問題にはならない。ただ、特に化粧料に適用する際には濁りが無く透明であることが求められる場合もあるため、透過率が高い方が、より好ましいということができる。
【0091】
[製造例1]
攪拌機、温度計、窒素吹き込み管および冷却管を備えた500mL容の四つ口フラスコに、アクリル酸45g(0.625モル)、ブレンマーVMA70(日本油脂株式会社製:メタクリル酸ステアリルが10〜20質量部、メタクリル酸エイコサニルが10〜20質量部、メタクリル酸ベヘニルが59〜80質量部およびメタクリル酸テトラコサニルの含有量が1質量部以下の混合物)1.35g、ペンタエリトリトールテトラアリルエーテル0.02g、ノルマルヘキサン150gおよび2,2’−アゾビスメチルイソブチレート0.081g(0.00035モル)を仕込んだ。溶液を撹拌して均一に混合した後、反応容器(四つ口フラスコ)の上部空間、原料および溶媒中に存在している酸素を除去するために、溶液中に窒素ガスを吹き込んだ。次いで、窒素雰囲気下、60〜65℃に保持して4時間反応させた。反応終了後、生成したスラリーを90℃に加熱して、ノルマルヘキサンを留去し、さらに、110℃、10mmHgにて8時間減圧乾燥することにより、白色微粉末状のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体43gを得た。以下当該共重合体を製造例1ポリマーと表記することがある。
【0092】
[製造例2]
攪拌機、温度計、窒素吹き込み管及び冷却管を備えた500mL(ミリリットル)容の四つ口フラスコに、アクリル酸40g、ブレンマーVMA−70(日油株式会社製、メタクリル酸ステアリルが10〜20質量部、メタクリル酸エイコサニルが10〜20質量部、メタクリル酸ベヘニルが59〜80質量部及びメタクリル酸テトラコサニルの含有率が1質量%以下の混合物)0.4g、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル0.19g、2,2’−アゾビス(イソ酪酸メチル)0.116g、及びノルマルヘキサン230.9gを仕込んだ。溶液を撹拌して均一に混合した後、反応容器(四つ口フラスコ)の上部空間、原料及び反応溶媒中に存在している酸素を除去するために、溶液中に窒素ガスを吹き込んだ。次いで、窒素雰囲気下、60〜65℃まで加熱した。その後、3時間60〜65℃に保持した。60〜65℃で1時間程度、保持した時点で、ノルマルヘキサン2.0gに12−ヒドロキシステアリン酸とポリオキシエチレンのブロック共重合体(クローダ製、Hypermer B246)1.6gを溶解させたものを、反応容器に投入した。その後、生成したスラリーを100℃に加熱して、ノルマルヘキサンを留去し、さらに115℃、10mmHgの条件で、8時間減圧乾燥することにより、白色微粉末のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体39gを得た。以下当該共重合体を製造例2ポリマーと表記することがある。
【0093】
[製造例3]
攪拌機、温度計、窒素吹き込み管及び冷却管を備えた500mL(ミリリットル)容の四つ口フラスコに、アクリル酸40g、ブレンマーVMA−70(日油株式会社製、メタクリル酸ステアリルが10〜20質量部、メタクリル酸エイコサニルが10〜20質量部、メタクリル酸ベヘニルが59〜80質量部及びメタクリル酸テトラコサニルの含有率が1質量%以下の混合物)0.88g、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル0.22g、2,2’−アゾビス(イソ酪酸メチル)0.116g、及びノルマルヘキサン230.9gを仕込んだ。溶液を撹拌して均一に混合した後、反応容器(四つ口フラスコ)の上部空間、原料及び反応溶媒中に存在している酸素を除去するために、溶液中に窒素ガスを吹き込んだ。次いで、窒素雰囲気下、60〜65℃まで加熱した。その後、3時間60〜65℃に保持した。60〜65℃で1時間程度、保持した時点で、ノルマルヘキサン2.0gにポリオキシエチレンヒマシ油(日光ケミカル(株)製、商品名:CO−3、エチレンオキシド3モル付加物)0.26gとトリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(日本エマルジョン(株)製、商品名:RWIS−350、エチレンオキシド50モル付加物)0.98gとを溶解させたものを、反応容器に投入した。その後、生成したスラリーを100℃に加熱して、ノルマルヘキサンを留去し、さらに115℃、10mmHgの条件で、8時間減圧乾燥することにより、白色微粉末のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体38gを得た。以下当該共重合体を製造例3ポリマーと表記することがある。
【0094】
[製造例4]
攪拌機、温度計、窒素吹き込み管及び冷却管を備えた500mL(ミリリットル)容の四つ口フラスコに、アクリル酸40g、ブレンマーVMA−70(日油株式会社製、メタクリル酸ステアリルが10〜20質量部、メタクリル酸エイコサニルが10〜20質量部、メタクリル酸ベヘニルが59〜80質量部及びメタクリル酸テトラコサニルの含有率が1質量%以下の混合物)0.4g、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル0.22g、2,2’−アゾビス(イソ酪酸メチル)0.116g、及びノルマルヘキサン230.9gを仕込んだ。溶液を撹拌して均一に混合した後、反応容器(四つ口フラスコ)の上部空間、原料及び反応溶媒中に存在している酸素を除去するために、溶液中に窒素ガスを吹き込んだ。次いで、窒素雰囲気下、60〜65℃まで加熱した。その後、3時間60〜65℃に保持した。60〜65℃で1時間程度、保持した時点で、ノルマルヘキサン2.0gに12−ヒドロキシステアリン酸とポリオキシエチレンとのブロック共重合体(クローダ製、Hypermer B246)1.6gを溶解させたものを、反応容器に投入した。その後、生成したスラリーを100℃に加熱して、ノルマルヘキサンを留去し、さらに115℃、10mmHgの条件で、8時間減圧乾燥することにより、白色微粉末のアルキル変性カルボキシル基含有水溶性共重合体39gを得た。以下当該共重合体を製造例4ポリマーと表記することがある。
【0095】
[製造例5]
撹拌機、温度計、窒素吹き込み管及び冷却管を取り付けた500mL容の四つ口フラスコに、アクリル酸45g(0.625モル)、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル0.27g、n−ヘキサン150g及び2,2’−アゾビスメチルイソブチレート0.081g(0.00035モル)を入れ、反応液を調製した。溶液を撹拌して均一に混合した後、反応容器の上部空間、原料及び溶媒中に存在している酸素を除去するために溶液中に窒素ガスを吹き込んだ。次いで、窒素雰囲気下、反応液を60〜65℃に保持して4時間反応させた。反応終了後、生成したスラリーを90℃に加熱して、n−ヘキサンを留去し、さらに、110℃、10mmHgにて8時間減圧乾燥することにより、カルボキシビニルポリマー42gを得た。以下当該カルボキシビニルポリマーを製造例5ポリマーと表記することがある。
【0096】
[製造例6]
80℃に保温された攪拌機を備えた貯蔵タンクAに、十分に脱水した数平均分子量20,000のポリエチレンオキシド100質量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル(EO/PO=50/50、Mw=1000)10質量部およびジオクチルスズジラウレート0.2質量部の割合で投入し、窒素ガス雰囲気下で攪拌して均一な混合物とした。これとは別に、30℃に保温された貯蔵タンクBにジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを投入し、窒素ガス雰囲気下で貯蔵した。
【0097】
定量ポンプを用いて、貯蔵タンクAの混合物を500g/分の速度にて、貯蔵タンクBのジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを11.9g/分の速度にて、110〜140℃に設定した2軸押出機に連続的に供給し(R値=1.00)、押出機中で混合して反応を行い、押出機出口からストランドを出し、ペレタイザーによりペレットにして、ポリアルキレンオキシド変性物を得た。以下当該ポリアルキレンオキシド変性物を製造例6ポリマーと表記することがある。
【0098】
[ポリマー3%水分散体の調製]
直径4cm、高さ1cmのディスパーを備えた500ml容のプラスチックビーカーにイオン交換水291gを計り取り、1,000rpmで攪拌しながら製造例1〜6のポリマー9gをそれぞれ徐々に添加した。添加後、攪拌速度を2,500rpmとし、1時間攪拌を継続することにより、ポリマー3%(質量%)水分散体を得た。
【0099】
[粘性組成物の調製]
直径5cm、幅1.5cmの四枚パドル翼を備えた300ml容のプラスチックビーカーにポリマー3%水分散体、ココイルグルタミン酸K28.8%水溶液(味の素ヘルシーサプライ社製アミソフトCK-22)、コカミドプロピルベタイン30%水溶液(川研ファインケミカル社製ソフタゾリンCPE)、ラウリルグルコシド40%水溶液(花王社製マイドール12)を順次計り取り、各原料を加えるごとに均一になるまで攪拌した。そこへクエン酸三ナトリウム二水和物(和光純薬社製試薬特級)をイオン交換水に溶解させて作製したクエン酸三ナトリウム水溶液を加え、均一になるまで攪拌し、粘性組成物を得た。
【0100】
実施例1
製造例1ポリマー3%水分散体33.3g、ココイルグルタミン酸K28.8%水溶液11.1g、コカミドプロピルベタイン30%水溶液5.6g、ラウリルグルコシド40%水溶液10.0g、クエン酸三ナトリウム二水和物4.0g、イオン交換水36.0g、を用いて、前述のようにして粘性組成物100gを調製した。
【0101】
実施例2
製造例1ポリマー3%水分散体40.0g、ココイルグルタミン酸K28.8%水溶液17.4g、コカミドプロピルベタイン30%水溶液16.7g、ラウリルグルコシド40%水溶液12.5g、クエン酸三ナトリウム二水和物4.0g、イオン交換水9.4gを用いて、前述のようにして粘性組成物100gを調製した。
【0102】
実施例3
コカミドプロピルベタイン30%水溶液を13.3gに、イオン交換水を12.8gに変更したこと以外は実施例2と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0103】
実施例4
コカミドプロピルベタイン30%水溶液を10.0gに、イオン交換水を16.1gに変更したこと以外は実施例2と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0104】
実施例5
コカミドプロピルベタイン30%水溶液を6.7gに、イオン交換水を19.4gに変更したこと以外は実施例2と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0105】
実施例7
ラウリルグルコシド40%水溶液を10.0gに、イオン交換水を11.9gに変更したこと以外は実施例2と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0106】
実施例8
ラウリルグルコシド40%水溶液を7.5gに、イオン交換水を14.4gに変更したこと以外は実施例2と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0107】
実施例9
ラウリルグルコシド40%水溶液を5.0gに、イオン交換水を16.9gに変更したこと以外は実施例2と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0108】
実施例10
ラウリルグルコシド40%水溶液を2.5gに、イオン交換水を19.4gに変更したこと以外は実施例2と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0109】
実施例11
製造例1ポリマー3%水分散体を製造例2ポリマー3%水分散体ポリマーに変更したこと以外は実施例4と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0110】
実施例12
製造例1ポリマー3%水分散体を製造例3ポリマー3%水分散体ポリマーに変更したこと以外は実施例2と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0111】
実施例13
製造例1ポリマー3%水分散体を製造例4ポリマー3%水分散体ポリマーに変更したこと以外は実施例2と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0112】
比較例1
製造例1ポリマー3%水分散体を製造例5ポリマー3%水分散体ポリマーに変更したこと以外は実施例4と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0113】
比較例2
製造例1ポリマー3%水分散体を製造例6ポリマー3%水分散体ポリマーに変更したこと以外は実施例4と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0114】
比較例3
コカミドプロピルベタイン30%水溶液を0.0gに、イオン交換水を26.1gに変更したこと以外は実施例2と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0115】
比較例4
ラウリルグルコシド40%水溶液を0.0gに、イオン交換水を21.9gに変更したこと以外は実施例2と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0116】
比較例5
コカミドプロピルベタイン30%水溶液を0.0gに、ラウリルグルコシド40%水溶液を0.0gに、クエン酸三ナトリウム二水和物を1.0gに、イオン交換水を41.6gに変更したこと以外は実施例2と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0117】
得られた粘性組成物は作製15日後に観察したところ試料上部が固化していた。
【0118】
比較例6
クエン酸三ナトリウム二水和物を0.0gに、イオン交換水を13.4gに変更したこと以外は実施例2と同様の方法で組成物100gを調製した。
【0119】
得られた組成物はゲル状ではなく、流動性のない半固状であった。
【0120】
実施例14
クエン酸三ナトリウム二水和物をL(+)−アスコルビン酸ナトリウム(和光純薬工業社製試薬特級)に変更したこと以外は実施例2と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0121】
比較例7
クエン酸三ナトリウム二水和物を無機酸である塩化ナトリウム(ナカライテスク社製試薬特級)に変更したこと以外は実施例2と同様の方法で組成物100gを調製した。
【0122】
得られた組成物はゲル状ではなく、流動性のない半固状であった。
【0123】
参考例1
コカミドプロピルベタイン30%水溶液を0.0gに、ラウリルグルコシド40%水溶液を0.0gに、クエン酸三ナトリウム二水和物を4.0gに、イオン交換水を38.6gに変更したこと以外は実施例2と同様の方法で粘性組成物100gを調製した。
【0124】
表1に、各実施例、比較例、及び参考例において調製した粘性組成物若しくは組成物の組成を示す。表1中、各成分量を示す値の単位は質量%である。また、各組成物の、粘度(mPa・s)、透過率(%)、及びpH測定結果を表1にあわせて示す。
【0125】
【表1】
【要約】
アミノ酸系界面活性剤量がベタイン量以上に配合されていても良好な粘度を有する、カルボキシル基含有水溶性共重合体含有粘性組成物が提供される。
より具体的には、
(A)少なくとも、(メタ)アクリル酸100質量部、及びアルキル基の炭素数が10〜30である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部を重合させて得られる共重合体、
(B)アミノ酸系界面活性剤
(C)ベタイン
(D)アルキルグリコシド、及び
(E)有機酸塩
を含有し、
(B)の含有質量が(C)の含有質量以上である、
粘性組成物が提供される。