(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アンカー先端の前記近位端は、前記アンカー本体の前記遠位端に対して近位に付勢されると、前記空洞内での前記アンカー本体の前記遠位端の少なくとも一部分の受入れに適合するように変形可能である、請求項1に記載の縫合糸アンカー組立体。
前記アンカー先端が、複数のウィングを画定する前記空洞の長さに沿って前記アンカー先端の前記近位端から遠位に延びる複数の溝をさらに含み、前記複数のウィングが、前記アンカー本体の前記遠位端の一部分が前記空洞内で受け入れられることに適合するように外向きに偏向する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の縫合糸アンカー組立体。
前記アンカー先端の前記近位端は、前記アンカー本体の前記遠位端に対して近位に付勢されると、前記アンカー本体管腔の中に延びない、請求項1に記載の縫合糸アンカー組立体。
前記アンカー先端の前記近位端における前記空洞の直径が、前記アンカー本体の前記遠位端の直径よりも小さい、請求項1から6のいずれか一項に記載の縫合糸アンカー組立体。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一実施形態においては、縫合糸アンカー組立体が提供される。縫合糸アンカー組立体は、縫合糸アンカーおよびアンカー挿入器を含む。縫合糸アンカーは、長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に貫通して延びる管腔を有する細長いアンカー本体を含む。縫合糸アンカーは、近位端および遠位端を有するアンカー先端をさらに含み、アンカー先端は、横方向に貫通して延びる小穴、およびアンカー先端の近位端の中に形成された空洞を含み、ここでは、先端は、アンカー本体とは別個である。アンカー挿入器は、近位端と遠位端との間に延びる管状の外側シャフト(outer shaft)を含む。アンカー挿入器は、外側シャフトおよびアンカー本体管腔の中で摺動自在に受入れ可能な内側シャフト(inner shaft)をさらに含む。内側シャフトの遠位端は、アンカー本体の遠位にアンカー先端を配置するようにアンカー先端の空洞と機械的に係合可能である。内側シャフトは、アンカー本体の遠位端に対抗してアンカー先端の近位端を付勢するようにアンカー先端と機械的に係合しながら近位に退縮可能(retractable)である。アンカー先端の近位端は、アンカー本体の遠位端に対抗して近位に付勢されると、空洞内でのアンカー本体の遠位端の少なくとも一部分の受入れに適合するように変形可能である。
【0003】
縫合糸アンカー組立体のさらなる実施形態は、以下のうちの1つまたは複数を任意の組合せで含むことができる。
【0004】
縫合糸アンカーの一実施形態においては、アンカー先端の近位端は、空洞内で受け入れられるアンカー本体の遠位端の一部分を円周方向に覆うように半径方向外向きに変形する。
【0005】
縫合糸アンカー組立体の一実施形態においては、アンカー先端は、複数のウィング(wing)を画定する空洞の長さに沿ってアンカー先端の近位端から遠位に延びる複数の溝をさらに含み、ここでは、複数のウィングは、アンカー本体の遠位端の一部分が空洞内で受け入れられることに適合するように外向きに偏向する。
【0006】
縫合糸アンカー組立体の一実施形態においては、アンカー先端の近位端は、アンカー本体の遠位端に対抗して近位に付勢されると、アンカー本体管腔の中に延びない。
【0007】
縫合糸アンカー組立体の一実施形態においては、空洞は、アンカー先端内の小穴と交差しない。
【0008】
縫合糸アンカー組立体の一実施形態においては、アンカー先端の近位端における空洞の直径は、アンカー本体の遠位端の直径よりも小さい。
【0009】
縫合糸アンカー組立体の一実施形態においては、内側シャフトの遠位端と空洞との間の機械的な係合は、ブレイクアウェイ連結(break-away connection)である。
【0010】
一実施形態においては、縫合糸アンカー組立体は、空洞の内表面に沿って形成された第1の複数のねじ山と、内側シャフトの遠位端から近位に延びる第2の複数のねじ山であって、第1の複数のねじ山と嵌合するようになされている、第2の複数のねじ山とをさらに含む。第1の複数のねじ山および第2の複数のねじ山は、第1の複数のねじ山および第2の複数のねじ山のうちの少なくとも一方を破砕するのに十分な、かつ第1の複数のねじ山および第2の複数のねじ山が互いを越えて滑動できるのに十分な距離だけ内側シャフトに対して内側シャフトが近位に退縮すると、ねじ山除去(stripping)によって互いと係合解除可能である。
【0011】
一実施形態においては、縫合糸アンカー組立体は、小穴を貫通して延びる縫合糸をさらに含む。
【0012】
縫合糸アンカー組立体の一実施形態においては、内側シャフトは、縫合糸と係合しない。
【0013】
一実施形態においては、縫合糸固定方法が提供される。方法は、縫合糸アンカーおよびアンカー挿入器を含む縫合糸アンカー組立体を用意するステップを含む。縫合糸アンカーは、長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に貫通して延びる管腔を有する細長いアンカー本体を含む。縫合糸アンカーは、近位端および遠位端を有するアンカー先端をさらに含み、アンカー先端は、横方向に貫通して延びる小穴、およびアンカー先端の近位端の中に形成された空洞を含み、ここでは、先端は、アンカー本体とは別個である。アンカー挿入器は、近位端と遠位端との間に延びる管状の外側シャフトを含む。アンカー挿入器は、外側シャフトおよびアンカー本体管腔の中で受け入れられる内側シャフトをさらに含む。内側シャフトの遠位端は、アンカー本体の遠位にアンカー先端を配置するように、アンカー先端の空洞と機械的に係合される。方法は、小穴を貫通して縫合糸を経路付けるステップと、アンカー挿入器を使用して、骨の穴の中にアンカーの少なくとも一部分を挿入するステップと、アンカー本体の遠位端に対抗してアンカー先端の近位端を付勢するようにアンカー本体および外側シャフトに対して内側シャフトを近位に退縮させるステップとをさらに含む。アンカー先端の近位端は、アンカー本体の遠位端に対抗して近位に付勢されると、空洞内でのアンカー本体の遠位端の少なくとも一部分の受入れに適合するように変形可能である。
【0014】
方法のさらなる実施形態は、以下のうちの1つまたは複数を任意の組合せで含むことができる。
【0015】
方法の一実施形態においては、アンカー先端の近位端は、空洞内で受け入れられるアンカー本体の遠位端の一部分を円周方向に覆うように半径方向外向きに変形する。
【0016】
方法の一実施形態においては、アンカー先端は、複数のウィングを画定する空洞の長さに沿ってアンカー先端の近位端から遠位に延びる複数の溝をさらに含み、ここでは、複数のウィングは、アンカー本体の遠位端の一部分が空洞内で受け入れられることに適合するように外向きに偏向する。
【0017】
一実施形態においては、方法は、アンカー本体の遠位端の一部分が空洞内で受け入れられることに適合するようにアンカー先端が変形した後、空洞に対する内側シャフトの機械的な係合を解除するステップをさらに含む。
【0018】
方法の一実施形態においては、内側シャフトの遠位端と空洞との間の機械的な係合は、ブレイクアウェイ連結であり、機械的な係合を解除するステップは、ブレイクアウェイ連結を切断するステップを含む。
【0019】
方法の一実施形態は、内側シャフトは、縫合糸と係合しない。
【0020】
方法の一実施形態においては、アンカー先端の近位端は、アンカー本体の遠位端に対抗して近位に付勢されると、アンカー本体管腔の中に延びない。
【0021】
一実施形態においては、縫合糸アンカー組立体が提供される。縫合糸アンカー組立体は、縫合糸アンカーおよびアンカー挿入器を含む。縫合糸アンカーは、長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に貫通して延びる管腔を有する細長いアンカー本体を含み、アンカー本体は、管腔の表面に形成された第1の対の長手方向導管をさらに含む。縫合糸アンカーはまた、近位端および遠位端を有するアンカー先端も含み、アンカー先端は、アンカー本体とは別個である。アンカー先端は、横方向に貫通して延びる小穴、横方向に貫通して延びる縫合糸ブリッジ、アンカー先端の近位端の中に形成された空洞、およびアンカー先端内に形成され、空洞から遠位に延び、縫合糸ブリッジに隣接する第2の対の導管をさらに含む。アンカー挿入器は、近位端と遠位端との間に延びる管状の外側シャフト、ならびに外側シャフトおよびアンカー本体管腔の中で摺動自在に受入れ可能な内側シャフトを含む。縫合糸アンカー組立体は、アンカー本体の遠位に配置されたアンカー先端を含んだアンカー組立体を貫通して経路付けられた可撓性部材をさらに含み、ここでは、可撓性部材は、縫合糸ブリッジの周囲で曲成し、曲成部から延びる可撓性部材の自由肢は、第1の対の導管および第2の対の導管によって形成された通路内で摺動自在に受け入れられる。可撓性部材は、アンカー本体の遠位端に対抗してアンカー先端の近位端を付勢するようにアンカー組立体を貫通して経路付けられながら近位に退縮可能である。アンカー先端の近位端は、アンカー本体の遠位端に対抗して近位に付勢されると、空洞内でのアンカー本体の遠位端の少なくとも一部分の受入れに適合するように変形可能である。
【0022】
縫合糸アンカー組立体のさらなる実施形態は、以下のうちの1つまたは複数を任意の組合せで含むことができる。
【0023】
縫合糸アンカー組立体の一実施形態においては、アンカー先端の近位端は、空洞内で受け入れられるアンカー本体の遠位端の一部分を円周方向に覆うように半径方向外向きに変形する。
【0024】
縫合糸アンカー組立体の一実施形態においては、小穴は、アンカー先端の近位端の中の複数のウィングを画定し、複数のウィングは、アンカー本体の遠位端の一部分が空洞内で受け入れられることに適合するように外向きに偏向する。
【0025】
縫合糸アンカー組立体の一実施形態においては、縫合糸ブリッジは、アンカー先端の遠位終端に配置され、第2の対の導管は、アンカー先端の遠位終端を貫通して延びる。
【0026】
縫合糸アンカー組立体の一実施形態においては、縫合糸ブリッジは、アンカー先端の遠位終端から近位に距離を置かれ、通路は、横方向に延びる区域をさらに含み、その区域は、縫合糸ブリッジの遠位に配置され、第2の対の導管と交差して、アンカー先端内の縫合糸ブリッジの周囲で可撓性部材を経路付ける。
【0027】
一実施形態においては、縫合糸固定方法が提供される。方法は、縫合糸アンカーおよびアンカー挿入器を含む縫合糸アンカー組立体を用意するステップを含む。縫合糸アンカーは、長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に貫通して延びる管腔を有する細長いアンカー本体を含み、アンカー本体は、管腔の表面に形成された第1の対の長手方向導管をさらに含む。縫合糸アンカーはまた、近位端および遠位端を有するアンカー先端も含み、アンカー先端は、アンカー本体とは別個である。アンカー先端は、横方向に貫通して延びる小穴、横方向に貫通して延びる縫合糸ブリッジ、アンカー先端の近位端の中に形成された空洞、およびアンカー先端内に形成され、空洞から遠位に延び、縫合糸ブリッジに隣接する第2の対の導管を含む。アンカー挿入器は、近位端と遠位端との間に延びる管状の外側シャフト、ならびに外側シャフトおよびアンカー本体管腔の中で摺動自在に受け入れられる内側シャフトを含む。縫合糸アンカー組立体は、アンカー本体の遠位に配置されたアンカー先端を含んだアンカー組立体を貫通して経路付けられた可撓性部材をさらに含み、ここでは、可撓性部材は、縫合糸ブリッジの周囲で曲成し、曲成部から延びる可撓性部材の自由肢は、第1の対の導管および第2の対の導管によって形成された通路内で摺動自在に受け入れられる。方法は、小穴を貫通して修復縫合糸を経路付けるステップと、アンカー挿入器を使用して、骨の穴の中にアンカーの少なくとも一部分を挿入するステップと、アンカー本体の遠位端に対抗してアンカー先端の近位端を付勢するようにアンカー本体および外側シャフトに対して内側シャフトならびに可撓性部材の自由肢を近位に退縮させるステップとをさらに含む。アンカー先端の近位端は、アンカー本体の遠位端に対抗して近位に付勢されると、空洞内でのアンカー本体の遠位端の少なくとも一部分の受入れに適合するように変形可能である。
【0028】
方法のさらなる実施形態は、以下のうちの1つまたは複数を任意の組合せで含むことができる。
【0029】
方法の一実施形態においては、アンカー先端の近位端は、空洞内で受け入れられるアンカー本体の遠位端の一部分を円周方向に覆うように半径方向外向きに変形する。
【0030】
方法の一実施形態は、小穴は、アンカー先端の近位端の中の複数のウィングを画定し、複数のウィングは、アンカー本体の遠位端の一部分が空洞内で受け入れられることに適合するように外向きに偏向する。
【0031】
一実施形態においては、方法は、可撓性部材、内側シャフト、および外側シャフトをアンカーから取り外すステップをさらに含む。
【0032】
発明の一実施形態においては、縫合糸ブリッジは、アンカー先端の遠位終端に配置され、第2の対の導管は、アンカー先端の遠位終端を貫通して延びる。
【0033】
方法の一実施形態においては、縫合糸ブリッジは、アンカー先端の遠位終端から近位に距離を置かれ、通路は、横方向に延びる区域をさらに含み、その区域は、縫合糸ブリッジの遠位に配置され、第2の対の導管と交差して、アンカー先端内の縫合糸ブリッジの周囲で可撓性部材を経路付ける。
【0034】
前述の、ならびに他の目的、特徴、および利点は、同様の参照文字が異なる図面全体を通じて同じ部分を示す添付の図面において示されているように、実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになろう。図面は、必ずしも縮尺通りというわけではなく、代わりに、実施形態の原理を示すことに重点が置かれる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
骨修復に軟組織の中で使用するための縫合糸アンカー組立体を送達する際に直面するいくつかの課題がある。1つのそのような課題は、縫合糸アンカーが、骨の中に挿入されるべき点を位置決めすることである。縫合糸アンカーは、事前に準備された穴の範囲内で骨の中に挿入されることが多い。骨の穴の大まかな場所が知られていても、その大きさが相対的に小さいこと、ならびに外科的部位の範囲内で目に見える度合いが限定的であることを所与として、アンカー組立体の送達経路と骨の穴を正確に位置合わせされた状態に維持することは困難であり得る。したがって、骨の穴が位置決めされることが分かっている規定範囲内に穴を位置決めする能力を有する縫合糸アンカー組立体が望ましい。
【0037】
別のそのような課題は、骨の穴に対する縫合糸アンカー組立体の明瞭な送達経路を維持することである。修復の領域の中の軟組織と骨との間の連結が、弱められる、または切断されるとき、軟組織と骨は、外科手術中にシフトし、それにより、送達経路が遮断され、外科医は、患者の解剖学的構造の部分を移動させることが必要になることがあり得る。したがって、外科医が軟組織および/または骨を移動させるために縫合糸組立体を使用すべきことになった場合に経験される機械的な力(たとえば、回転偶力(moment)、軸方向の力、破砕力など)を支持する縫合糸アンカー組立体がやはり望ましい。
【0038】
本開示の実施形態は、これらの要件を満たす縫合糸アンカーおよび対応する縫合糸アンカー挿入器(まとめて縫合糸アンカー組立体)について説明する。開示される縫合糸アンカー組立体のさらなる実施形態は、縫合糸の結び目を使用せずに用いられる。開示される縫合糸アンカー組立体は、関節鏡的または非関節鏡的に行われる関節修復(たとえば、肩関節、膝関節)、および骨ブロック癒合(たとえば、Latarjet法)などを含むが、それらに限定されない外科的修復手術において用いることができる。
【0039】
一実施形態においては、縫合糸アンカーおよび縫合糸アンカー挿入器を含む縫合糸アンカー組立体が提供される。アンカーは、可撓性の遠位先端および剛体の近位アンカー本体を含む。遠位先端は、横方向の縫合糸小穴、および先端の近位端の中に形成された空洞を含む。アンカー本体は、完全にカニューレ挿入され、管腔が本体の近位端と遠位端との間に延びている。アンカー挿入器は、管状の外側シャフト、および摺動自在に内部に受け入れられる内側挿入器を含む。
【0040】
アンカーは、修復部位(たとえば、骨の穴)に送達するためのアンカー挿入器に取り付けられる。たとえば、内側シャフトは、アンカー本体内で受け入れられ、アンカー本体の近位端は、外側シャフトの遠位端に隣接、または接触している。アンカーがアンカー挿入器に取り付けられるとき、アンカー先端はまた、アンカー本体の遠位に配置され、アンカー先端の近位端は、アンカー本体の遠位端に隣接、または接触している。患者内での挿入に先立って、さらに、縫合糸は、アンカー先端小穴内に置かれる。
【0041】
使用に際して、アンカーは、アンカー挿入器を使用して骨の穴の中に挿入される(たとえば、打ち込まれる)。さらには、アンカー組立体の構成要素はそれぞれ、挿入が完了し終わるまで、互いに対して定位置に拘束される。有益には、アンカー組立体設計は、上記の課題に対処し、アンカーの送達をし易くするいくつかの利点を提供する。1つの例においては、アンカーは、内側シャフトによって支持され、外科医が、アンカー組立体を用いて軟組織および/または骨を移動させることを可能にする機械的な耐久性がもたらされる。別の例においては、アンカー先端は、骨の穴の場所を触覚的に特定するプローブとして外科医によって使用可能である。
【0042】
アンカーが、一旦、骨の穴の中に挿入されると、アンカー組立体は、外側シャフトおよびアンカー本体が定位置にとどまったまま、アンカー本体の遠位端に対抗してアンカー先端の近位端を付勢しながら、アンカー先端および内側シャフトが近位に退縮するように作動する。アンカー先端がアンカー本体に対して可撓性であるとき、この動作により、先端の近位端は変形し、アンカー先端空洞内でアンカー本体の遠位端の少なくとも一部分を収容することになる。アンカー先端のアンカー本体への固着に加えて、縫合糸アンカーのこの近位の作動は、結果的に、周囲の骨に対抗するアンカー先端の少なくとも一部分の側方への拡張ももたらし、さらには、骨に対するアンカーの固定を強化することになる。アンカー先端が所望の距離だけ近位に退縮した後、アンカー挿入器は、アンカーおよび縫合糸を骨に固着させたまま、アンカーから取り外される。
【0043】
次に、第1の縫合糸アンカー組立体100の実施形態が、
図1および
図2A〜
図2Bに関して論じられる。アンカー組立体100は、細長いアンカー本体106、およびアンカー本体106と別個であるアンカー先端110を含んだアンカー102を含む。アンカー組立体100は、外側シャフト114および内側シャフト116を含んだアンカー挿入器104をさらに含む。アンカー102およびアンカー挿入器104の構成要素についてはそれぞれ、詳細に後述する。
【0044】
アンカー102に関しては、アンカー本体106は、概して管状であり、近位端と遠位端との間の長手方向軸112に沿って延びる管腔106Aを含む。
図1の実施形態においては、アンカー本体106は、骨内のアンカーの固定を支援するために、アンカー本体106の外表面に形成された複数の組織係合形状部(tissue engaging feature)120(たとえば、複数の環状リブ)をさらに含む。しかしながら、代替の実施形態においては、組織係合形状部は、かえし(barb)、突起部、およびねじ山などのうちの1つまたは複数を含んでもよい。さらなる実施形態においては、組織係合形状部は、省略されてもよい。
【0045】
アンカー先端110は、アンカー本体106とは別個の構成要素として形成され、内部空洞110Aおよび小穴110Bを含む。空洞110Aは、アンカー先端110の近位端内に形成され、そこから遠位に選定された距離を延びる。さらに詳細に後述するように、空洞110Aは、内側シャフト116と機械的に係合するようにさらになされている。小穴110Bは、アンカー先端110の両側を横方向に貫通して延び、縫合糸を受け入れるための寸法にされる。
図1において例示されているように、小穴110Bは、さらに、空洞110Aの遠位に配置され、ここでは、空洞110Aの長手方向の範囲は、小穴110Bの近位に終端し、空洞110Aは、小穴110Bと交差しない。さらに後述するように、そのような構成は、アンカー挿入器104(たとえば、内側シャフト116)と、小穴110B内に配置された縫合糸との相互作用を抑制する。しかしながら、代替の実施形態においては、空洞は、小穴と連結されてもよい。
【0046】
アンカー挿入器104に関しては、外側シャフト114は、概して細長く、管状である。内側シャフト116もまた、細長く、近位端と遠位端との間に延び、外側シャフト114両方の中で摺動自在に受け入れられる。図示されてはいないが、特定の実施形態においては、アンカー挿入器は、近位端にハンドルを含み、そのハンドルは、外側シャフトおよび内側シャフトのそれぞれの各近位端と係合し、それにより、ハンドルを把持する使用者は、アンカー挿入器と、その遠位端に取り付けられた縫合糸アンカーとの位置を操作することが可能になる。
【0047】
内側シャフト116は、外側シャフト114とは関係なく移動するようにさらになされている。たとえば、内側シャフトの近位端は、トリガなど、使用者が作動可能な機構と通じることができ、それにより、内側シャフトは、外側シャフトに対して遠位に延伸、または近位に退縮することが可能になる。図示されていないさらなる実施形態においては、内側シャフトの近位端は、ハンドルに取り付けられた回転可能な要素(たとえば、ホイール、ノブなど)と係合して、外側シャフトに対して内側シャフトを回転させることができる。
【0048】
アンカー挿入器の内側シャフトおよび外側シャフトは、アンカー挿入器の機能を行うことができる任意の材料から形成され得る。そのような材料の例には、プラスチック、金属、および複合材が挙げられるが、それらに限定されない。さらなる実施形態においては、アンカー挿入器は、生体適合性材料(biocompatible materials)から形成されてもよい。
【0049】
図1は、使用に先立ってアンカー102がアンカー挿入器104に取り付けられている状態をさらに例示している。内側シャフト116は、外側シャフト114およびアンカー本体管腔106Aを貫通して延びる。アンカー先端110は、アンカー本体106の遠位に配置され、空洞110A内で内側シャフト116の遠位端を受け入れる。
図1に例示される実施形態においては、アンカー本体106の近位端は、外側シャフト114の遠位端と接触して置かれ、アンカー先端110の近位端は、アンカー本体106の遠位端と接触して置かれる。しかしながら、代替の実施形態においては、間隙が、アンカー本体の近位端と外側シャフトの遠位端との間、およびアンカー先端の近位端とアンカー本体の遠位端との間のうちの少なくとも一方に存在し得る。
【0050】
内側シャフト116の遠位端およびアンカー先端110はまた、アンカー102がアンカー挿入器104に取り付けられるとき、(たとえば、機械的係合部122を介して)互いと係合するようになされている。たとえば、内側シャフト116の遠位端および空洞110Aは、係合形状部を嵌合することによりそれぞれ形成される。
図1の実施形態において例示されているように、機械的係合部122は、空洞110Aの内表面に沿って形成された第1の複数のねじ山、および内側シャフト116の遠位端の外表面に沿って形成された第2の複数のねじ山を含んだねじ山付き締め具である。第1の複数のねじ山および第2の複数のねじ山は、内側シャフト116の遠位端が空洞110A内に挿入され、回転されるとき、互いと嵌合するようになされている。ねじ山は、内側シャフト116の遠位端を空洞110Aとねじ切りしないことによって互いと係合解除される。
【0051】
さらなる実施形態においては、機械的係合部は、ブレイクアウェイまたは破壊可能な連結部とすることができ、ここでは、アンカー先端、および内側シャフトの遠位端は、機械的係合部を壊すことによって互いと係合解除される。たとえば、
図1の実施形態においては、第1の複数のねじ山および第2の複数のねじ山は、内側シャフトが第1の複数のねじ山および第2の複数のねじ山のうちの少なくとも一方を破砕するのに十分な距離だけ近位に退縮するとき、ねじ山除去によってそれぞれと係合解除するようになされ、それにより、第1の複数のねじ山および第2の複数のねじ山が互いを越えて滑動することが可能になる。別の例においては、第1の複数のねじ山および第2の複数のねじ山は、アンカー先端に対して内側シャフトのねじを外すことによって互いと係合解除するようになされていてもよい。
【0052】
代替の実施形態においては、機械的係合部は、他の形態、任意選択で、必要に応じて、ブレイクアウェイ機能を提供するための機構を採用することができる。例には、突起部およびソケットの嵌合などの機械的止め具、摩擦係合部(たとえば、プレス嵌め部)、熱プレス嵌め部/ヒートステイク、スナップ嵌め部、および薄型壁部などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0053】
さらに
図2A〜
図2Bを参照すると、使用中のアンカー組立体100が例示されている。縫合糸(図示せず)が、小穴110B内に配置され、ここでは、縫合糸の1つまたは複数の自由肢が、小穴110Bから外向きに延びる。縫合糸が、小穴110B内に配置された後、アンカー102の少なくとも一部分が、アンカー挿入器104を使用して患者の解剖学的構造(図示せず)内で予め形成された骨の穴の中に挿入される。たとえば、アンカー全体が、アンカー挿入器を通してアンカーに向けられた打込み力(pound in force)によって、骨の穴の中に挿入され得る。この挿入工程中、自由な縫合糸の肢のうちの少なくとも1つが、アンカー本体と骨の穴の壁との間に突き当たるように配置される。
【0054】
有益には、上述したように、アンカー102は、内側シャフト116によって支持され、外科医が、アンカー組立体100を用いて軟組織および/または骨を移動させることを可能にする機械的な耐久性がもたらされる。別の例においては、アンカー先端110は、骨の穴の場所を触覚的に特定するプローブとして外科医によって使用可能である。
【0055】
骨の穴の中に挿入されるまで、アンカー組立体100の構成要素は、互いに対して実質的には移動しない。これは、アンカー先端110を内側シャフト116に固着させ、ひいては、アンカー本体106の軸方向の動作を拘束する機械的係合部122によって達成される。しかしながら、アンカー組立体100が、一旦、骨の穴の中に置かれると、内側シャフト116は、アンカー本体106および外側シャフト114に対して近位に退縮する(矢印204)。機械的係合部122によってもたらされるアンカー先端110と内側シャフト116との間の係合により、アンカー先端110もまた、この動作に応答して近位に移動し、それにより、アンカー先端110の近位端は、アンカー本体106の遠位端に対抗して付勢されることになる。
【0056】
アンカー先端110およびアンカー本体106は、アンカー先端110の近位端が、アンカー本体106の遠位端に対抗して付勢されるとき、アンカー先端110の近位端が、空洞110A内でアンカー本体106の遠位端の少なくとも一部分の受入れに適合するように変形するよう構成されている。同時に、アンカー本体106の遠位端は、ほとんどもしくは全く変形を呈しない。
【0057】
たとえば、
図2A〜
図2Bにおいて例示されている1つの実施形態においては、アンカー先端110の幾何学的な形状は、アンカー先端110の近位端における所望の変形をもたらす。アンカー先端110は、その近位端から遠位に延びる2つの溝200を含む。図示されていない代替の実施形態においては、異なる数の溝が存在してもよい(たとえば、1つ、3つ、4つなど)。溝200は、複数のウィング202を間に画定する。アンカー本体106の遠位端に対抗してアンカー先端110の近位端を付勢すると(
図2A)、ウィング202は、アンカー100から外向きに偏向し(
図2B)、ヒンジ202Aにおいて曲成する。
【0058】
図1においてさらに示されているように、アンカー組立体100の実施形態はまた、空洞110Aの内表面にテーパ付き部分124も含むことができる。テーパ付き部分124は、アンカー先端110の近位終端に向かって厚みが狭く、アンカー先端110の近位終端に向かって空洞110Aの直径を広げる。この構成は、アンカー先端110の近位端が、アンカー本体106の遠位端の一部分が空洞110A内で受け入れられることに適合するように変形する容易さを向上させる。しかしながら、テーパ付き部分は、特定の実施形態においては、省略されてもよいことが理解され得る。
【0059】
別の実施形態においては、アンカー先端およびアンカー本体が形成される材料は、アンカー先端の近位端を変形し易くする。たとえば、アンカー先端の少なくとも近位端は、アンカー本体の遠位端に対抗してアンカー先端の近位端を付勢するとき、弾性的にまたは塑性的に、実質的に変形する材料から形成され得る。1つの実施形態においては、アンカー先端は、アンカー本体よりも可撓性とすることができる。たとえば、アンカー先端は、第1の材料(たとえば、ポリマ、金属、金属合金など)から形成可能であり、一方、アンカー本体は、第2の、より固い材料(たとえば、より固いポリマ、金属、金属合金など)から形成される。一実施形態においては、アンカー先端の近位端は、空洞内で受け入れられるアンカー本体の遠位端の部分を円周方向に覆うように半径方向外向きに変形する。縫合糸アンカー組立体の実施形態は、空洞内でアンカー本体の遠位端の少なくとも一部分の受入れに適合するようにアンカー先端の近位端を変形し易くするために、単独で、あるいは上述した幾何学的形状部のうちの1つまたは複数との組合せでそのような材料を用いることができる。
【0060】
図3A〜
図3Bは、縫合糸アンカー組立体300の第2の実施形態を例示している。アンカー組立体100と類似して、アンカー組立体300は、アンカー302およびアンカー挿入器304を含み、ここでは、アンカーは、アンカー本体306およびアンカー先端310を含み、アンカー挿入器304は、内側シャフト316および外側シャフト314を含む。しかしながら、詳細に後述するように、アンカー組立体300は、挿入中、アンカー本体306に対して定位置にアンカー先端310を拘束するため、およびアンカー本体306と係合するようにアンカー先端310を近位に退縮させるための可撓性部材324をさらに含む。特定の実施形態においては、可撓性部材324は、縫合糸である。しかしながら、代替の実施形態においては、可撓性部材324は、釣り糸、ワイヤ(たとえば、プラスチック、金属)、およびばねなどを含むことができるが、それらに限定されない。
【0061】
アンカー302に関しては、アンカー本体306は、概して管状であり、近位端と遠位端との間の長手方向軸312に沿って延びる管腔306Aを含む。
図3Aの実施形態においては、アンカー本体306は、骨内でアンカーの固定を支援するために、アンカー本体306の外表面に形成された複数の組織係合形状部320(たとえば、複数の環状リブ)をさらに含む。しかしながら、代替の実施形態においては、組織係合形状部は、かえし、突起部、およびねじ山などのうちの1つまたは複数を含んでもよい。さらなる実施形態においては、組織係合形状部は、省略されてもよい。
【0062】
アンカー先端310は、アンカー本体306とは別個の構成要素として形成され、空洞310Aおよび小穴310Bを含む。空洞310Aは、アンカー先端310の近位端内に形成され、そこから遠位に延びる。小穴310Bは、アンカー先端310を横方向に貫通して延び、縫合糸(たとえば、後後する修復縫合糸404)を受け入れるための寸法にされる。たとえば、
図3Aの中に例示されているように、空洞310Aおよび小穴310Bは交差し、小穴310Bの側壁は、アンカー先端310の近位端に向かって進むにつれて狭くなるテーパ322を含む。このテーパ322は、後述するように、アンカー本体306の遠位端に対抗して付勢されるとき、アンカー先端310の近位端を変形し易くする。さらなる実施形態においては、テーパは、省略されてもよい。
【0063】
アンカー挿入器304に関しては、外側シャフト314は、概して細長く、管状である。内側シャフト316もまた、細長く、近位端と遠位端との間に延び、外側シャフト314両方の中で摺動自在に受け入れられる。図示されてはいないが、特定の実施形態においては、アンカー挿入器は、近位端にハンドルを含み、このハンドルは、外側シャフトおよび内側シャフトのそれぞれの各近位端と係合し、それにより、ハンドルを把持する使用者は、アンカー挿入器と、その遠位端に取り付けられた縫合糸アンカーとの位置を操作することが可能になる。
【0064】
内側シャフト316は、外側シャフト314とは関係なく移動するようにさらになされている。たとえば、内側シャフトの近位端は、トリガなど、使用者が作動可能な機構と通じることができ、それにより、内側シャフトは、外側シャフトに対して遠位に延伸、または近位に退縮することが可能になる。図示されていないさらなる実施形態においては、内側シャフトの近位端は、ハンドルに取り付けられた回転可能な要素(たとえば、ホイール、ノブなど)と係合して、外側シャフトに対して内側シャフトを回転させることができる。
【0065】
アンカー挿入器の内側シャフトおよび外側シャフトの実施形態は、アンカー挿入器の機能を行うことができる任意の材料から形成され得る。そのような材料の例には、プラスチック、金属、および複合材が挙げられるが、それらに限定されない。さらなる実施形態においては、アンカー挿入器は、生体適合性材料から形成されてもよい。
【0066】
一実施形態においては、アンカー組立体300は、可撓性部材324の少なくとも一部分を内部に収容するようにさらに構成されている。たとえば、
図3Aにおいて例示されているように、アンカー組立体300は、アンカー挿入器304およびアンカー先端310を貫通して延びる通路326を含む。通路326は、第1の対の長手方向導管326Aを含み、この長手方向導管326Aは、アンカー本体管腔306Aおよび外側シャフト314の各内表面に形成され、アンカー挿入器304からアンカー本体306の遠位端まで延びる。導管326Aは、通路326の相補的第2の対の長手方向導管326Bとさらに位置合わせされ、この長手方向導管326Bは、アンカー先端310内に形成され、アンカー先端310の近位端から遠位端まで延びる。
【0067】
アンカー先端310は、縫合糸ブリッジ330をさらに含む。
図3Aの例示されている実施形態においては、ブリッジ330は、長手方向導管326B間に差し挟まれ、アンカー先端310の遠位終端辺りに配置される。可撓性部材324がアンカー組立体300を貫通して経路付けられるとき、可撓性部材324は、縫合糸ブリッジ330の周囲で曲成され、可撓性部材324の自由肢は、そこから近位に延び、導管326A、326B内で摺動自在に受け入られる。
【0068】
代替の実施形態においては、通路326の構成は、修正可能である。1つの例においては、第1の導管326Aの構成は、変更可能であり、第1の導管326Aは、内側シャフト316の外表面に(
図3C)、または内側シャフト316内に形成され得る。別の例においては、第1の導管326Aは、内側シャフト316内の単一の導管として形成され得る(
図3D)。
【0069】
さらなる実施形態においては、アンカー先端内の第2の導管の構成は、アンカー先端の遠位端の外側に可撓性部材を経路付けるのではなく、アンカー組立体内に可撓性部材を完全に隠すように変更可能である。たとえば、縫合糸ブリッジは、選定された距離だけ、アンカー先端の遠位終端からオフセットされ得る。通路は、アンカー先端内に、縫合糸ブリッジの遠位で、導管の対と交差する横方向の区域をさらに含むことができ、それにより、可撓性部材の曲成部分が、アンカー先端内に凹設される。
【0070】
図3Aは、使用に先立ってアンカー302がアンカー挿入器304に取り付けられている状態をさらに例示している。内側シャフト316は、外側シャフト314およびアンカー本体管腔306Aを貫通して延びる。アンカー先端310は、アンカー本体306の遠位に配置され、可撓性部材324は、通路326を貫通して経路付けられる。
図3Aの実施形態においては、アンカー本体306の近位端は、外側シャフト314の遠位端と接触して置かれ、アンカー先端310の近位端は、アンカー本体306の遠位端と接触して置かれる。しかしながら、代替の実施形態においては、間隙が、アンカー本体の近位端と外側シャフトの遠位端との間、およびアンカー先端の近位端とアンカー本体の遠位端との間のうちの少なくとも一方に存在し得る。
【0071】
特定の実施形態においては、上述の
図1の係合機構は、
図3Aのアンカー組立体においては省略され、したがって、内側シャフトの遠位端は、アンカー先端と機械的に係合しない。他の実施形態においては、
図1の係合機構は、
図3Aのアンカー組立体の中に含まれ、アンカー先端を近位に退縮させるように可撓性部材と連動して働くことができる。
【0072】
さらに
図4A〜
図4Bを参照すると、使用中のアンカー組立体300が例示されている。修復縫合糸404が、小穴310Bを貫通して経路付けられ、ここでは、修復縫合糸404の1つまたは複数の自由肢が、小穴310Bから外向きに延びる。縫合糸が、小穴310B内に配置された後、アンカー302の少なくとも一部分が、アンカー挿入器304を使用して患者の解剖学的構造(図示せず)内で予め形成された骨の穴の中に挿入される。たとえば、アンカー全体が、アンカー挿入器を通してアンカーに向けられた打込み力によって、骨の穴の中に挿入され得る。この挿入工程中、修復縫合糸の自由肢のうちの少なくとも1つは、それらがアンカー本体と骨の穴の壁との間に突き当たるように配置される。アンカー組立体100と類似して、アンカー302は、内側シャフト316によって支持され、外科医が、アンカー組立体300を用いて軟組織および/または骨を移動させることを可能にする機械的な耐久性がもたらされる。さらには、アンカー先端310は、骨の穴の場所を触覚的に特定するプローブとして外科医によって使用可能である。
【0073】
骨の穴の中に挿入されるまで、アンカー組立体300の構成要素は、互いに対して実質的には移動しない。これは、アンカー先端310、ひいては、アンカー本体306の軸方向の動作を拘束するには十分であるが、アンカー本体306に対して可撓性部材324を近位に作動させるには十分でない、可撓性部材324の自由肢における軽い張力(近位に)を維持することによって達成される。しかしながら、アンカー組立体300が、一旦、骨の穴の中に置かれると、可撓性部材324は、矢印406によって例示されているように、近位に作動する。可撓性部材324が縫合糸ブリッジ330の周囲で遠位に経路付けられるとき、アンカー先端310もまた、この動作に応答して近位に移動する。最初は、アンカー先端と、アンカー本体と、外側シャフトとの間のいずれの間隙も閉鎖している。続いて、アンカー先端の近位端は、アンカー本体の遠位端に対抗して付勢される。
【0074】
たとえば、一実施形態においては(図示せず)、可撓性部材の近位端は、アンカー挿入器のハンドルを貫通して経路付けられる。これにより、ハンドルを把持する使用者は、可撓性部材を近位に退縮させることが可能になる。
【0075】
アンカー組立体100に関して上述したように、アンカー先端310およびアンカー本体306は、アンカー先端310の近位端が、アンカー本体306の遠位端に対抗して付勢されるとき、アンカー先端310の近位端が、空洞310A内でアンカー本体306の遠位端の少なくとも一部分の受入れに適合するように変形するよう構成されている。同時に、アンカー本体306の遠位端は、ほとんどもしくは全く変形を呈しない。
【0076】
たとえば、
図4A〜
図4Bにおいて例示されているように、小穴310Bは、アンカー先端310の近位端におけるヒンジ402Aおよび/またはテーパ322について変形させるウィング402などの幾何学的形状部を画定することができる。代替として、または追加として、アンカー先端の少なくとも近位端は、アンカー本体の遠位端に対抗してアンカー先端の近位端を付勢するとき、弾性的にまたは塑性的に、実質的に変形する材料から形成される。
【0077】
上述したように、アンカー本体306と骨の穴の壁との間の一次固定に加えて、アンカー組立体300はまた、アンカー302と修復縫合糸404との間の二次固定点を提供する。とりわけ、修復縫合糸404は、アンカー先端310の近位端とアンカー本体306の遠位端との間に突き当たる。
【0078】
特定の実施形態においては、アンカー組立体100、300は、予め組み立てられたアンカーおよびアンカー挿入器を含んだキットとして用意され得る。そのような構成は、完全に使い捨ての方式に有益であり、ここでは、アンカー挿入器は、取付け式アンカーを挿入するために使用された後、廃棄される。代替の実施形態においては、アンカーおよびアンカー挿入器は、別々に用意され、続いて組み立てられてもよい。そのような構成は、部分的に再使用可能な方式に有益であり、ここでは、アンカー挿入器は、取り付けられたアンカーを挿入するために用いられた後、さらに使用するために確保され、再生される。
【0079】
用語、備える(comprise)、含む(include)、および/またはそれぞれの複数形は、オープンエンドであり、列挙された部分を含み、列挙されていない追加の部分を含むことができる。用語、および/または(and/or)は、オープンエンドであり、列挙された部分のうちの1つまたは複数、および列挙された部分の組合せを含む。
【0080】
本発明が、その趣旨または本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得ることは当業者には理解されよう。そのため、前述の実施形態は、本明細書に説明される本発明を限定するのではなく、すべての点で例示的であるとみなすべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明によるのではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、そのため、特許請求の範囲の意味および等価の範囲内に入るすべての変更形態が、その中に包含されるものと意図される。