特許第6641635号(P6641635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6641635粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641635
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 7/14 20060101AFI20200127BHJP
   C04B 41/72 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   E01C7/14
   C04B41/72
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-66638(P2016-66638)
(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-179800(P2017-179800A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年8月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】山田 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 徹
(72)【発明者】
【氏名】安久 憲一
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−169592(JP,A)
【文献】 特開平08−232204(JP,A)
【文献】 米国特許第05918429(US,A)
【文献】 特開平03−286002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 7/14
C04B 41/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道用の舗装コンクリート表面にpH2以下の酸水溶液を添加することによって、前記表面を粗面化処理し、
前記酸水溶液は乳酸を含む、
粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法。
【請求項2】
前記車道用の舗装コンクリート表面の上方は、構造物で覆われている、請求項1に記載の粗面化された車道用舗装コンクリートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車道用の舗装コンクリート表面は、車両に対して滑り止め機能を発揮するために、供用前に箒目仕上げにより粗面化される。
【0003】
しかしながら、供用前に粗面化された車道用の舗装コンクリート表面は、供用中に車両の通行などに伴って摩耗される(磨かれる)ので、徐々に滑り易くなって、車両に対する滑り止め機能を十分に発揮できなくなる場合がある。このような場合、滑り止め機能を回復するために、車道用の舗装コンクリート表面を新たに粗面化する必要がある。換言すれば、粗面化された車道用の舗装コンクリートを新たに製造する必要がある。
【0004】
車道用の舗装コンクリート表面を粗面化する方法として、ショットブラスト、ダイアモンドグラインディング、ウォータージェットなどの各種工法が挙げられる(例えば、非特許文献1)。該方法によれば、広範囲のコンクリート表面を迅速に切削し粗面化させることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「効果的なコンクリート舗装のすべり抵抗回復工法に関する検討」、道路建設、No.752、P63−69、2015年9月1日、日本道路建設業協会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に記載の方法は、大掛かりな機械を使用するので、経済的ではない。また、コンクリート表面を切削するので、切削時に騒音が発生するという問題もある。そのため、上述のような問題が生じないような粗面化法が望まれている。
【0007】
このような問題点に鑑み、本発明は、経済的に、且つ切削時の騒音が発生しないように、車両に対して十分な滑り止め機能を発揮できる車道用の舗装コンクリートを製造できる、粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討の結果、所定のpHに調整された酸水溶液を用いてコンクリート表面を粗面化することにより、該表面が車両に対して十分な滑り止め機能を発揮できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明に係る粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法は、車道用の舗装コンクリート表面にpH2以下の酸水溶液を添加することによって、前記表面を粗面化処理する。
【0010】
かかる粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法によれば、車道用の舗装コンクリート表面に添加したpH2以下の酸水溶液に含まれる酸によって、舗装コンクリートに含まれるセメント水和物(水酸化カルシウムなど)中の酸に溶脱する成分(カルシウムなど)を溶脱させ、比較的酸による溶脱の影響を受けにくい骨材をコンクリート表面に多く残存させることができるので、舗装コンクリート表面に凹凸を形成することができる。これにより、経済的に、且つ切削時の騒音が発生しないように、車道用の舗装コンクリート表面を粗面化できる。
このようにして得られた粗面化された車道用の舗装コンクリートは、車両に対する滑り止め機能が十分に高められたものとなる。
【0011】
また、上記粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法においては、
前記酸水溶液は有機酸を含んでいてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、車道用の舗装コンクリート表面に酸水溶液を添加する際に、酸水溶液に含まれる酸によって作業者に及ぼされる健康被害を低減することができる。
これにより、酸によって作業者に及ぼされる健康被害の影響を低減しつつ、経済的に、且つ切削時の騒音が発生しないように、車道用の舗装コンクリート表面を粗面化できる。
【0013】
また、上記粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法においては、
前記車道用の舗装コンクリート表面の上方は、構造物で覆われていてもよい。
【0014】
上方が構造物で覆われている車道用の舗装コンクリート表面には、上方が構造物で覆われていない車道用の舗装コンクリート表面に比べてCaOが多く含有されるので、該表面は車両の通行により摩耗されて(磨かれて)滑り易くなっているものの、かかる構成によれば、摩耗により滑り易くなった該表面を粗面化し、該表面に十分な滑り止め機能を付与することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、経済的に、且つ切削時の騒音が発生しないように、車両に対して十分な滑り止め機能を発揮できる車道用の舗装コンクリートを製造する製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】粗面化されたコンクリート表面について、すべり抵抗試験の試験回数に対して、測定されたBPN値をプロットしたグラフ。
図2】粗面化されたコンクリート表面の洗浄前後でのBPN値を示すグラフ。
図3】コンクリート表面と乳酸およびクエン酸水溶液との接触時間がBPN値に及ぼす影響を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法について説明する。
【0018】
本実施形態に係る粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法は、車道用の舗装コンクリート表面にpH2以下の酸水溶液を添加することによって、前記表面を粗面化処理する。
【0019】
詳しくは、コンクリート中のセメント水和物(水酸化カルシウムなど)中の酸に溶脱する成分(カルシウムなど)をpH2以下の酸水溶液に含まれる酸により溶脱させて、比較的酸による溶脱の影響を受けにくい骨材をコンクリート表面に多く残存させることにより、コンクリート表面を粗面化させる。
これにより、経済的に、且つ切削時の騒音が発生しないように、車道用の舗装コンクリート表面を粗面化できる。
本実施形態の製造方法は、車両の通行などにより箒目が摩耗されて(磨かれて)、滑り止め機能を十分に発揮できなくなった車道用の舗装コンクリート表面に採用されることが好ましい。
【0020】
車道用の舗装コンクリート表面への酸水溶液の添加は、例えば、酸水溶液を該表面に塗布、散布、または噴霧することなどにより行うことができる。酸水溶液の塗布、散布または噴霧は、各種公知の方法により行うことができる。例えば、酸水溶液の塗布は、酸水溶液を刷毛などで舗装コンクリート表面に塗布することにより行うことができ、酸水溶液の散布は、酸水溶液を各種公知の散布装置を用いて散布することにより行うことができ、酸水溶液の噴霧は、酸水溶液を各種公知の噴霧装置を用いて噴霧することにより行うことができる。
【0021】
酸水溶液に含まれる酸としては、車道用の舗装コンクリート表面を粗面化できるものであれば、どのようなものでも用いることができる。例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸などの無機酸、酢酸、酪酸、ギ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸などの有機酸を用いることができる。これらの酸は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
車道用の舗装コンクリート表面に対する酸水溶液の添加は、一回で行ってもよいし、複数回に分けて行ってもよい。車道用の舗装コンクリート表面に対する酸水溶液の添加量は、粗面化されるべき舗装コンクリート表面を、車両に対する十分な滑り止め機能を付与できるように粗面化できる量であれば、特に制限されない。
【0023】
車道用の舗装コンクリート表面に酸水溶液を接触させる総時間は、0分〜30分であることが好ましく、5分〜15分であることがより好ましい。車道用の舗装コンクリート表面に酸水溶液を接触させる総時間は、酸水溶液を接触させたコンクリート表面を洗浄することなどにより調整できる。
【0024】
酸水溶液に含まれる酸としては、有機酸を用いることが好ましい。このようにすれば、車道用の舗装コンクリート表面に酸水溶液を添加する際に、酸水溶液に含まれる酸によって作業者に及ぼされる健康被害を低減することができる。
【0025】
酸水溶液のpHは、1以上2以下であることが好ましく、1以上1.6以下であることがより好ましい。このようにすれば、得られる粗面化された車道用の舗装コンクリートは、滑り止め機能がより十分に高められたものとなる。酸水溶液のpHは、使用する酸水溶液の種類に応じて適宜調整する。
【0026】
酸により粗面化された車道用の舗装コンクリート表面を水などで洗浄することが好ましい。このようにすれば、セメント水和物(水酸化カルシウムなど)中の酸に溶脱する成分を酸で溶脱させたときに生成される生成物を、車道用の舗装コンクリート表面から十分に洗い流す(除去する)ことができるので、該生成物が車道用の舗装コンクリート表面に残留することによって生じるぬめり(滑り)を抑制することができる。これにより、得られる粗面化された車道用の舗装コンクリート表面は、より十分な滑り止め機能を有するものとなる。
【0027】
粗面化される車道用の舗装コンクリート表面の上方は、構造物で覆われていることが好ましい。上方が構造物で覆われている車道用の舗装コンクリート表面には、上方が構造物で覆われていない車道用の舗装コンクリート表面に比べてCaOが多く含有されるので、該表面は車両の通行により摩耗されて(磨かれて)滑り易くなっている。しかしながら、上記のようにすれば、摩耗により滑り易くなった該表面を粗面化し、該表面に滑り止め機能を十分に付与することができる。
なお、上方が構造物で覆われているとは、粗面化される車道用の舗装コンクリート表面の上方にトンネルなどの構造物が形成されていて、該舗装コンクリート表面の上方が該構造物で覆われていることを意味する。
【0028】
前記舗装コンクリートに用いる水硬性材料としては、各種セメントや石灰(生石灰や消石灰など)などが挙げられる。セメントとしては、普通、早強、超早強、中庸熱、低熱などの各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメントなどの各種混合セメントなどのJISに規定されたセメント、白色ポルトランドセメントやアルミナセメントなどのJISに規定されていない特殊なセメントなどが挙げられる。これらの水硬性材料は、単独で使用してもよいし、複数を選択して使用してもよい。
【0029】
なお、本発明の粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、該製造方法に種々の変更を加えることも可能である。
【0030】
上記実施形態では、箒目が摩耗されて(磨かれて)、滑り止め機能を十分に発揮できなくなった車道用の舗装コンクリート表面に本製造方法を適用する例について示したが、本製造方法を適用する例はこれに限られない。供用前の車道用の舗装用コンクリート表面に本製造方法を採用し、箒目仕上げを省略するようにしてもよい。
【0031】
また、コンクリートを化学的に浸食する硫酸塩などと組み合わせて、上記実施形態を実施してもよい。
【0032】
また、本製造方法は、現場打ちコンクリートのみならず、施工現場で組み立て・設置を行う、ブロック舗装や平板舗装などのプレキャスト製品にも採用することができる。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。以下の実施例は本発明をさらに詳細に説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0034】
<コンクリート供試体の作製>
角柱供試体用型枠(10×10×40cm)内に、表1に示す配合のコンクリート組成物を打設した。打設翌日に、コンクリート組成物を該型枠から脱型し、材齢28日まで封緘養生して、コンクリート供試体を作製した。
なお、表1において、W/Cは水セメント比、Wは水、NCは普通ポルトランドセメント、Sは細骨材、Gは粗骨材、SPは減水剤を意味する。また、表中のC%は、普通ポルトランドセメントの質量に対する、減水剤の質量百分率を意味する。
【0035】
【表1】
【0036】
<酸水溶液による粗面化効果の確認>
上記コンクリート供試体から切り出した2cm×2cm×10cmの試験片を用いて、酸水溶液によるコンクリート表面の粗面化の程度を確認した。具体的には、酸水溶液に、前記試験片の表面(2cm×2cmの面)を72時間浸漬させて、浸漬後の各試験片の表面について粗面化の程度を確認した。酸水溶液としては、試薬原液の酸濃度(質量%)を基準として、所定の濃度に希釈した溶液を使用した。具体的には、75質量%酢酸水溶液、75質量%酪酸水溶液、75質量%ギ酸水溶液、75質量%乳酸水溶液、40質量%クエン酸水溶液を使用した。
【0037】
上記酸水溶液に浸漬した後の各試験片の表面を観察したところ、酸水溶液の種類によらず、いずれの試験片の表面も粗面化されていることが確認された。
【0038】
<コンクリート供試体の滑り止め機能の確認>
上記酸水溶液の中から、乳酸水溶液およびクエン酸水溶液を用いて、粗面化によるコンクリート供試体の滑り止め機能を確認した。コンクリート供試体の粗面化は、上記と同様にして作製したコンクリート供試体の表面(10cm×40cmの面)に、乳酸水溶液およびクエン酸水溶液を刷毛で塗布し、該表面に所定時間酸水溶液を接触させることにより行った。乳酸水溶液については異なるpHに調整した7種類の溶液を用い、クエン酸水溶液については異なるpHに調整した2種類の溶液を用いた。
具体的には、pH2.97、2.21、1.97、1.79、1.60、1.38および0.95の乳酸水溶液、並びにpH2.79および1.12のクエン酸水溶液を、刷毛を用いて9個のコンクリート供試体に表面にそれぞれ5.0g(0.0125g/cm)ずつ塗布し、各コンクリート供試体の表面を酸水溶液に含まれる酸で3日間浸食させた。
粗面化された9個のコンクリート供試体について、舗装調査・試験法便覧(平成19年6月版、日本道路協会編)のS021−2「振り子スキッドレジスタンステスタによるすべり抵抗測定方法」に準拠して、表面のBPN値(すべり抵抗値)を測定した。すべり抵抗試験は複数回行った。すべり抵抗試験の試験回数に対して、測定されたBPN値をプロットした結果を図1に示した。
なお、上記方法は、株式会社高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)で推奨されている、車道用の舗装コンクリート表面のすべり抵抗の評価方法である。
【0039】
図1より、コンクリート供試体の表面をpH2以下の乳酸水溶液およびクエン酸水溶液で粗面化した場合に、BPN値が大きくなること、つまりすべり抵抗値が大きくなることが分かった。
また、pH2以下の乳酸水溶液およびクエン酸水溶液で粗面化した場合、試験を重ねるごとに、BPN値は大きくなり、ある試験回数を境にほぼ一定値を示すようになることが分かった。
また、乳酸水溶液およびクエン酸水溶液のいずれにおいても、水溶液のpHが低くなるにつれて、BPN値がほぼ一定になるまでに要する試験回数が多くなる傾向が見られた。
これは、セメント水和物(水酸化カルシウムなど)中の酸に溶脱する成分を酸で溶脱させたときに生成される生成物が、コンクリート供試体表面に残留していることが原因だと考えられる。
詳しくは、試験回収が少ない段階においては、コンクリート供試体表面の前記生成物の残留量が多く該表面がぬめっているため、BPN値は小さいが、試験を重ねるにつれて、前記表面から前記生成物が除去され、前記表面における前記生成物の残留量が少なくなるため、BPN値は除々に大きくなり、BPN値に影響を及ぼさない程度まで前記生成物が除去されたときに、ほぼ一定値に達するようになったことが原因だと考えられる。
【0040】
次に、前記生成物が、コンクリート供試体表面のすべり抵抗に及ぼす影響を緩和するために、コンクリート供試体表面から前記生成物を除去した後に、BPN値を測定した。その結果を図2に示した。
図2において、塗布前とは、コンクリート供試体表面をクエン酸水溶液または乳酸水溶液で処理する前のことであり、塗布後(未洗浄)とは、コンクリート供試体表面をクエン酸水溶液または乳酸水溶液で処理した後であって、該供試体表面から前記生成物を除去する前のことであり、塗布後(洗浄後)とは、コンクリート供試体表面をクエン酸水溶液または乳酸水溶液で処理した後であって、該供試体表面から前記生成物を除去した後のことである。
また、図2において、塗布前のBPN値は、各酸水溶液で粗面化する前のコンクリート供試体表面についてBPN値を4回測定し、2回目〜4回目までの測定値を平均した値を示しており、塗布後(未洗浄)および塗布後(洗浄後)のBPN値は、各酸水溶液で粗面化された供試体表面についてBPN値を複数回測定したときの最終値を塗布前のBPN値で除した値を示している。
なお、前記生成物の除去は、コンクリート供試体表面に水道水をかけながら、ブラシでこすり取ることにより行った。
【0041】
図2より、pHを変えた乳酸水溶液、およびクエン酸水溶液の両者について、塗布後(洗浄後)のBPN値が、塗布後(未洗浄)のBPN値よりも大きくなる傾向が認められた。
また、酸水溶液のpHを1〜2とすれば、BPN値が十分に高められ、pHを1〜1.6とすれば、BPN値がより十分に高められることが分かった。
【0042】
次に、pH1.79の乳酸水溶液を用いて、コンクリート供試体表面と酸水溶液との接触時間がBPN値に及ぼす影響を調べた。コンクリート供試体は上記と同様に作製し、コンクリート供試体表面(10cm×40cmの面)と酸水溶液との接触時間は、5分、10分、および15分とした。また、カルシウム由来の生成物がコンクリート供試体表面のBPN値に及ぼす影響を緩和するために、上記と同様にしてコンクリート供試体表面から該生成物を除去した。その結果を図3に示した。
【0043】
図3より、コンクリート供試体表面と酸水溶液との接触時間が長くなるにつれて、コンクリート供試体表面のBPN値が大きくなることが分かった。
また、コンクリート供試体表面と酸水溶液との接触時間が5分と短い場合であっても、十分なBPN値が得られる程度まで、コンクリート供試体表面を粗面化できることが分かった。
【0044】
上述の実施形態および実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態および実施例ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
図1
図2
図3