【実施例】
【0033】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。以下の実施例は本発明をさらに詳細に説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0034】
<コンクリート供試体の作製>
角柱供試体用型枠(10×10×40cm)内に、表1に示す配合のコンクリート組成物を打設した。打設翌日に、コンクリート組成物を該型枠から脱型し、材齢28日まで封緘養生して、コンクリート供試体を作製した。
なお、表1において、W/Cは水セメント比、Wは水、NCは普通ポルトランドセメント、Sは細骨材、Gは粗骨材、SPは減水剤を意味する。また、表中のC
*%は、普通ポルトランドセメントの質量に対する、減水剤の質量百分率を意味する。
【0035】
【表1】
【0036】
<酸水溶液による粗面化効果の確認>
上記コンクリート供試体から切り出した2cm×2cm×10cmの試験片を用いて、酸水溶液によるコンクリート表面の粗面化の程度を確認した。具体的には、酸水溶液に、前記試験片の表面(2cm×2cmの面)を72時間浸漬させて、浸漬後の各試験片の表面について粗面化の程度を確認した。酸水溶液としては、試薬原液の酸濃度(質量%)を基準として、所定の濃度に希釈した溶液を使用した。具体的には、75質量%酢酸水溶液、75質量%酪酸水溶液、75質量%ギ酸水溶液、75質量%乳酸水溶液、40質量%クエン酸水溶液を使用した。
【0037】
上記酸水溶液に浸漬した後の各試験片の表面を観察したところ、酸水溶液の種類によらず、いずれの試験片の表面も粗面化されていることが確認された。
【0038】
<コンクリート供試体の滑り止め機能の確認>
上記酸水溶液の中から、乳酸水溶液およびクエン酸水溶液を用いて、粗面化によるコンクリート供試体の滑り止め機能を確認した。コンクリート供試体の粗面化は、上記と同様にして作製したコンクリート供試体の表面(10cm×40cmの面)に、乳酸水溶液およびクエン酸水溶液を刷毛で塗布し、該表面に所定時間酸水溶液を接触させることにより行った。乳酸水溶液については異なるpHに調整した7種類の溶液を用い、クエン酸水溶液については異なるpHに調整した2種類の溶液を用いた。
具体的には、pH2.97、2.21、1.97、1.79、1.60、1.38および0.95の乳酸水溶液、並びにpH2.79および1.12のクエン酸水溶液を、刷毛を用いて9個のコンクリート供試体に表面にそれぞれ5.0g(0.0125g/cm
2)ずつ塗布し、各コンクリート供試体の表面を酸水溶液に含まれる酸で3日間浸食させた。
粗面化された9個のコンクリート供試体について、舗装調査・試験法便覧(平成19年6月版、日本道路協会編)のS021−2「振り子スキッドレジスタンステスタによるすべり抵抗測定方法」に準拠して、表面のBPN値(すべり抵抗値)を測定した。すべり抵抗試験は複数回行った。すべり抵抗試験の試験回数に対して、測定されたBPN値をプロットした結果を
図1に示した。
なお、上記方法は、株式会社高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)で推奨されている、車道用の舗装コンクリート表面のすべり抵抗の評価方法である。
【0039】
図1より、コンクリート供試体の表面をpH2以下の乳酸水溶液およびクエン酸水溶液で粗面化した場合に、BPN値が大きくなること、つまりすべり抵抗値が大きくなることが分かった。
また、pH2以下の乳酸水溶液およびクエン酸水溶液で粗面化した場合、試験を重ねるごとに、BPN値は大きくなり、ある試験回数を境にほぼ一定値を示すようになることが分かった。
また、乳酸水溶液およびクエン酸水溶液のいずれにおいても、水溶液のpHが低くなるにつれて、BPN値がほぼ一定になるまでに要する試験回数が多くなる傾向が見られた。
これは、セメント水和物(水酸化カルシウムなど)中の酸に溶脱する成分を酸で溶脱させたときに生成される生成物が、コンクリート供試体表面に残留していることが原因だと考えられる。
詳しくは、試験回収が少ない段階においては、コンクリート供試体表面の前記生成物の残留量が多く該表面がぬめっているため、BPN値は小さいが、試験を重ねるにつれて、前記表面から前記生成物が除去され、前記表面における前記生成物の残留量が少なくなるため、BPN値は除々に大きくなり、BPN値に影響を及ぼさない程度まで前記生成物が除去されたときに、ほぼ一定値に達するようになったことが原因だと考えられる。
【0040】
次に、前記生成物が、コンクリート供試体表面のすべり抵抗に及ぼす影響を緩和するために、コンクリート供試体表面から前記生成物を除去した後に、BPN値を測定した。その結果を
図2に示した。
図2において、塗布前とは、コンクリート供試体表面をクエン酸水溶液または乳酸水溶液で処理する前のことであり、塗布後(未洗浄)とは、コンクリート供試体表面をクエン酸水溶液または乳酸水溶液で処理した後であって、該供試体表面から前記生成物を除去する前のことであり、塗布後(洗浄後)とは、コンクリート供試体表面をクエン酸水溶液または乳酸水溶液で処理した後であって、該供試体表面から前記生成物を除去した後のことである。
また、
図2において、塗布前のBPN値は、各酸水溶液で粗面化する前のコンクリート供試体表面についてBPN値を4回測定し、2回目〜4回目までの測定値を平均した値を示しており、塗布後(未洗浄)および塗布後(洗浄後)のBPN値は、各酸水溶液で粗面化された供試体表面についてBPN値を複数回測定したときの最終値を塗布前のBPN値で除した値を示している。
なお、前記生成物の除去は、コンクリート供試体表面に水道水をかけながら、ブラシでこすり取ることにより行った。
【0041】
図2より、pHを変えた乳酸水溶液、およびクエン酸水溶液の両者について、塗布後(洗浄後)のBPN値が、塗布後(未洗浄)のBPN値よりも大きくなる傾向が認められた。
また、酸水溶液のpHを1〜2とすれば、BPN値が十分に高められ、pHを1〜1.6とすれば、BPN値がより十分に高められることが分かった。
【0042】
次に、pH1.79の乳酸水溶液を用いて、コンクリート供試体表面と酸水溶液との接触時間がBPN値に及ぼす影響を調べた。コンクリート供試体は上記と同様に作製し、コンクリート供試体表面(10cm×40cmの面)と酸水溶液との接触時間は、5分、10分、および15分とした。また、カルシウム由来の生成物がコンクリート供試体表面のBPN値に及ぼす影響を緩和するために、上記と同様にしてコンクリート供試体表面から該生成物を除去した。その結果を
図3に示した。
【0043】
図3より、コンクリート供試体表面と酸水溶液との接触時間が長くなるにつれて、コンクリート供試体表面のBPN値が大きくなることが分かった。
また、コンクリート供試体表面と酸水溶液との接触時間が5分と短い場合であっても、十分なBPN値が得られる程度まで、コンクリート供試体表面を粗面化できることが分かった。
【0044】
上述の実施形態および実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態および実施例ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。