特許第6641737号(P6641737)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641737
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】紫外線硬化型組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20200127BHJP
【FI】
   C08F290/06
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-124678(P2015-124678)
(22)【出願日】2015年6月22日
(65)【公開番号】特開2017-8200(P2017-8200A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】綱島 啓次
【審査官】 中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−171154(JP,A)
【文献】 特開2014−015554(JP,A)
【文献】 特開2003−096146(JP,A)
【文献】 特開2009−102564(JP,A)
【文献】 特開平09−053024(JP,A)
【文献】 特開2009−271970(JP,A)
【文献】 特開平01−209401(JP,A)
【文献】 特開2006−257342(JP,A)
【文献】 特開2013−221048(JP,A)
【文献】 特開平02−051517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 290/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン(メタ)アクリレート(A)、環状エーテル構造を有する(メタ)アクリル単量体(B)、オキシエチレン構造を有する多官能(メタ)アクリル化合物(C)、及び、光重合開始剤(D)を含有し、
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)が、ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び水酸基又はイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物(a3)の反応物であり、
前記ポリオール(a1)が、ポリカーボネートポリオールを含むものであり、
前記(メタ)アクリル単量体(B)の含有量が、紫外線硬化型組成物中30〜80質量%の範囲であり、
前記多官能(メタ)アクリル化合物(C)が、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールからなる群より選ばれる1種以上の多価アルコールに、1分子あたり2モル以上のエチレンオキサイドを付加し、その後(メタ)アクリレート化した化合物であることを特徴とする紫外線硬化型組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル単量体(B)が、五員環の環状エーテル構造を有する(メタ)アクリル単量体である請求項1記載の紫外線硬化型組成物。
【請求項3】
前記多官能(メタ)アクリル化合物(C)の含有量が、紫外線硬化型組成物中2〜20質量%の範囲である請求項1又は2記載の紫外線硬化型組成物。
【請求項4】
前記多官能(メタ)アクリル化合物(C)におけるエチレンオキサイドの平均付加モル数が2〜50の範囲である請求項1〜3のいずれか1項記載の紫外線硬化型組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック基材に対する密着性に優れ、硬化収縮を起こさない紫外線硬化型組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線硬化型組成物は、粘接着剤、インクジェットインキ、ハードコート、レジスト、封止材等様々な分野で広く研究されている。特に、近年は自動車や光学材料等の分野において、軽量化を目的にプラスチック基材の使用が増えており、プラスチック基材への密着性を向上した紫外線硬化型組成物の研究が盛んに行われている。
【0003】
前記プラスチック基材への密着性を向上した紫外線硬化型組成物としては、例えば、N置換アクリルアミドポリマー、及び多官能モノマーを含有する紫外線硬化型組成物が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
しかしながら、前記紫外線硬化型組成物は、プラスチック基材への密着性には優れるものの、紫外線硬化時に硬化収縮しやすいとの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−229189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、プラスチック基材に対する密着性に優れ、硬化収縮を起こさない紫外線硬化型組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)、環状エーテル構造を有する(メタ)アクリル単量体(B)、ポリオキシエチレン構造を有する多官能(メタ)アクリル化合物(C)、及び、光重合開始剤(D)を含有することを特徴とする紫外線硬化型組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の紫外線硬化型組成物は、プラスチック基材に対する密着性に優れ、硬化収縮を起こさないものである。よって、本発明の紫外線硬化型組成物は、自動車、光学部品、建築用途など様々な用途における貼り合せに好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の接着剤組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)、環状エーテル構造を有する(メタ)アクリル単量体(B)、ポリオキシエチレン構造を有する多官能(メタ)アクリル化合物(C)、及び、光重合開始剤(D)を含有するものである。
【0010】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、柔軟性の付与、及び架橋密度の低下による硬化収縮抑制のため必須の成分である。前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)としては、例えば、ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び水酸基又はイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物(a3)を反応させて得られるものを用いることができる。
【0011】
なお、本発明において、「ウレタン(メタ)アクリレート」とは、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートを示し、「(メタ)アクリル化合物」とは、メタクリル化合物及び/又はアクリル化合物を示し、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及び/又はアクリレートを示し、「(メタ)アクリロイル基」とは、メタクリロイル基及び/又はアクリロイル基を示し、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸及び/又はアクリル酸を示し、「(メタ)アクリル単量体」とは、メタクリル単量体及び/又はアクリル単量体を示す。
【0012】
前記ポリオール(a1)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。前記ポリオール(a1)は、被着体であるプラスチック基材の種類に応じて適宜決定されるが、前記プラスチック基材として需要が高まっているポリカーボネート基材が使用される場合には、ポリカーボネートポリオールを用いることが密着性の点から好ましい。
【0013】
前記ポリイソシアネート(a2)としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジイソシアナートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、密着性を一層向上できる点から、脂環式ポリイソシアネートを用いることが好ましく、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート及びジイソシアナートメチルシクロヘキサンからなる群より選ばれる1種以上のポリイソシアネートを用いることがより好ましい。
【0014】
前記イソシアネート基又は水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(a3)は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)中に(メタ)アクリロイル基を導入する目的で用いるものである。
【0015】
また、前記化合物(a3)として用いることができるイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、原料入手の容易性の点から、 2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いることが好ましく、硬化性の点から、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いることがより好ましい。
【0016】
前記化合物(a3)として用いることができる水酸基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレートなどを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、原料入手の容易性、硬化性及び密着性の点から、水酸基を有するアクリル酸(メタ)アルキルエステルを用いることが好ましく、2−ヒドロキシエチルアクリレート及び/又は4−ヒドロキシブチルアクリレートを用いることがより好ましい。
【0017】
前記化合物(a3)としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物を用いる場合のウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造方法としては、例えば、無溶剤下で、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)とを仕込み、反応させることによって水酸基を有するウレタンプレポリマーを得、次いで、イソシアネート基を有する前記(メタ)アクリル化合物(a3)を供給し、混合、反応させることによって製造する方法等が挙げられる。前記反応は、例えば20〜120℃の条件下で30分〜24時間行うことが好ましい。
【0018】
前記化合物(a3)として水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を用いる場合の前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造方法としては、例えば、無溶剤下で、前記ポリオール(a1)と前記(メタ)アクリル化合物(a3)とを反応系中に仕込んだ後に、前記ポリイソシアネート(a2)を供給し、混合、反応させることによって製造する方法;無溶剤下で、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)とを反応させることによってイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得、次いで、水酸基を有する前記(メタ)アクリル化合物(a3)を供給し、混合、反応させることによって製造する方法等が挙げられる。前記反応は、例えば20〜120℃の条件下で30分〜24時間行うことが好ましい。
【0019】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を製造する際には、必要に応じて重合禁止剤、ウレタン化触媒等を用いてもよい。
【0020】
前記重合禁止剤としては、例えば、3,5−ビスターシャリーブチル−4−ヒドロキシトルエン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(メトキノン)、パラターシャリーブチルカテコールメトキシフェノール、2,6−ジターシャリーブチルクレゾール、フェノチアジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジフェニルアミン、ジニトロベンゼン等を用いることができる。これらの重合禁止剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記ウレタン化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の含窒素化合物;酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫等の金属塩;ジブチルチンラウレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機金属化合物などを用いることができる。これらのウレタン化触媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0022】
また、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を製造する際には、最後に、ウレタン(メタ)アクリレート(A)に残存するイソシアネート基を失活させることを目的として、メタノール等のアルコールを添加してもよい。
【0023】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の重量平均分子量としては、柔軟性及び硬化収縮抑制の点から、500〜50,000の範囲であることが好ましく、3,000〜40,000の範囲であることより好ましい。なお、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
【0024】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0025】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
【0026】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)としては、架橋密度を低下させ、硬化収縮を一層抑制できる点から、(メタ)アクリロイル基を2個有する、いわゆる2官能ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0027】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の含有量としては、密着性及び硬化収縮抑制を高いレベルで維持できる点から、紫外線硬化型組成物中5〜40質量%の範囲であることが好ましく、10〜35質量%の範囲であることがより好ましい。
【0028】
前記環状エーテル構造を有する(メタ)アクリル単量体(B)は、プラスチック基材への優れた密着性を得る上で必須の成分である。前記(メタ)アクリル単量体によりプラスチック基材のへの密着性が良好となる理由としては、カチオン硬化による密着力向上、及びエーテル酸素による基材表面との水素結合などの相互作用による一層の密着性が推測される。
【0029】
前記(メタ)アクリル単量体(B)としては、好ましくは三員環〜六員環の範囲の環状エーテル構造を有する(メタ)アクリル単量体を用いることが好ましい。これらの単量体は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記三員環の環状エーテル構造を有する(メタ)アクリル単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレートグリシジル、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等を用いることができる。これらの単量体は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記四員環の環状エーテル構造を有する(メタ)アクリル単量体としては、例えば、(3−メチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、(3−プロピルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、(3−ブチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)エチル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)プロピル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)ブチル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)ペンチル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)ヘキシル(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの単量体は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0032】
前記五員環の環状エーテル構造を有する(メタ)アクリル単量体としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトン(メタ)アクリレート、(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、(2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの単量体は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0033】
前記六員環の環状エーテル構造を有する(メタ)アクリル単量体としては、例えば、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル−(メタ)アクリレート、2−{1−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ]−2−メチルプロピル}(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等を用いることができる。これらの単量体は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記(メタ)アクリル単量体(B)としては、特にプラスチック基材としてポリカーボネート基材を使用した場合に、ポリカーボネート表面を溶解することにより密着性がより一層向上する点から、テトラヒドロフラン構造を有する(メタ)アクリル単量体を用いることが好ましく、中でも特に溶解性に優れ、ポリカーボネート基材への密着性が更に向上できる点から、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。
【0035】
前記(メタ)アクリル単量体(B)の含有量としては、紫外線硬化性及びプラスチック基材への密着性を高いレベルで維持できる点から、紫外線硬化型組成物中30〜80質量%の範囲であることが好ましく、50〜75質量%の範囲であることより好ましい。
【0036】
前記ポリオキシエチレン構造を有する多官能(メタ)アクリル化合物(C)は、架橋密度を調整し、プラスチック基材への密着性と硬化収縮抑制とを両立できるため必須の成分である。
【0037】
前記多官能(メタ)アクリル化合物(C)としては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールにエチレンオキサイドを付加し、その後(メタ)アクリレート化したものなどを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、本発明において前記多官能(メタ)アクリル化合物(C)の「多官能」とは、(メタ)アクリロイル基を2個以上有することを示し、架橋密度を調整しやすく、プラスチック基材への密着性と硬化収縮抑制とを高いレベルで維持できる点から、好ましくは2〜6個の(メタ)アクリロイル基を有することを示す。
【0038】
前記多官能(メタ)アクリル化合物(C)におけるポリオキシエチレンの平均付加モル数としては、架橋密度を調整しやすく、プラスチック基材への密着性と硬化収縮抑制とを高いレベルで維持できる点から、2〜50の範囲であることが好ましく、3〜40の範囲であることがより好ましい。
【0039】
前記多官能(メタ)アクリル化合物(C)の含有量としては、プラスチック基材への密着性及び硬化収縮抑制の点から、紫外線硬化型組成物中2〜20質量%の範囲であることが好ましく、3〜15質量%の範囲であることがより好ましい。
【0040】
前記光重合開始剤(C)としては、ラジカル重合開始剤を必須成分として用いることができる。
【0041】
前記ラジカル重合性開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノン}及び2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のアセトフェノン化合物;ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルファイド等のベンゾフェノン化合物;メチルベンゾイルフォルメート、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ)−エチルエステル及びオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルエステル等のα−ケトエステル化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)シトラコンイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)ジメチルマレイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド、N−(2−アクリロキシエチル)−3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド等のマレイミド化合物;チタノセン化合物;1−〔4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフィニル)プロパン−1−オン等のアセトフェノン/ベンゾフェノンハイブリッド光開始剤;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕等のオキシムエステル化合物などを用いることができる。これらの開始剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記重合開始剤(D)としては、本発明の紫外線硬化型組成物にカチオン重合性化合物を含有する場合には、必要に応じて、カチオン重合開始剤を含有してもよい。
【0043】
前記カチオン重合開始剤は、紫外線等のエネルギー線の照射によりカチオン重合を開始することのできる酸を発生する化合物を指す。前記カチオン重合開始剤としては、例えば、カチオン部分が、芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウム、チアンスレニウム、チオキサントニウム、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Feカチオンであり、アニオン部分が、BF-、PF-、SbF-、[BX-(但し、Xは少なくとも2つ以上のフッ素またはトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基)で構成されるオニウム塩を単独で用いても2種以上を併用することもできる。
【0044】
前記芳香族スルホニウム塩としては、例えば、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を用いることができる。
【0045】
また、前記芳香族ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を用いることができる。
【0046】
また、前記芳香族ジアゾニウム塩としては、例えばフェニルジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウム テトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を用いることができる。
【0047】
また、前記芳香族アンモニウム塩としては、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を用いることができる。
【0048】
また、前記チオキサントニウム塩としては、S−ビフェニル 2−イソプロピル チオキサントニウム ヘキサフルオロホスフェート等を用いることができる。
【0049】
また、前記(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe塩としては、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)ヘキサフルオロアンチモネート、2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)テトラフルオロボレート、2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を用いることができる。
【0050】
前記カチオン重合開始剤(C−1)としては、紫外線硬化性をより一層向上できる点から、カチオン部分が芳香族スルホニウムで、アニオン部分が、PF-であるものを用いることが好ましい。
【0051】
前記カチオン重合開始剤(C−1)としては、例えば、CPI−100P、CPI−101A、CPI−110P、CPI−200K、CPI−210S(以上、サンアプロ株式会社製)、サイラキュア光硬化開始剤UVI−6990、サイラキュア光硬化開始剤UVI−6992、サイラキュア光硬化開始剤UVI−6976(以上、ダウ・ケミカル・ジャパン株式会社製)、アデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−172、アデカオプトマーSP−300(以上、株式会社ADEKA製)、エサキュア1064、エサキュア1187(以上、ランベルティ社製)、オムニキャット550(アイジーエム レジン社製)、イルガキュア250(BASFジャパン株式会社製)、ロードシル フォトイニシエーター2074(RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074(ローディア・ジャパン株式会社製)等が市販されている。
【0052】
前記光重合開始剤(D)の含有量の合計としては、紫外線硬化性をより一層向上できる点から、紫外線硬化型組成物中0.1〜10質量%の範囲であることが好ましく、1〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
【0053】
本発明の紫外線硬化型組成物は、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)、前記(メタ)アクリル単量体(B)、前記(メタ)アクリル化合物(C)、及び前記光重合開始剤(D)を必須成分として含有するが、必要に応じて、その他の添加剤を含有することができる。
【0054】
前記その他の添加剤としては、例えば、前記(B)及び(C)以外の(メタ)アクリル単量体;脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族グリシジルエーテル、オキセタン、ビニルエーテル等のカチオン重合性化合物;シランカップリング剤、チキソ性付与剤、レベリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、整泡剤、消泡剤などを用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0055】
本発明の紫外線硬化型組成物の粘度としては、5〜500mPa・sの範囲であることが好ましい。なお、前記紫外線硬化型組成物の粘度は、25℃で、B型粘度計にて測定した値を示す。
【0056】
前記紫外線硬化型組成物は、紫外線等のエネルギー線の照射によって硬化を進行させることができる。
【0057】
前記紫外線等のエネルギー線の照射エネルギーとしては、紫外線硬化性の点から、0.1〜10J/cmの範囲であることが好ましく、0.2〜5J/cmの範囲がより好ましく、0.25〜3J/cmの範囲が更に好ましい。
【0058】
前記紫外線等のエネルギー線の照度としては、接着性及び硬化性の点から、0.001〜2W/cmの範囲であることが好ましく、0.01〜1.5W/cmの範囲がより好ましく、0.05〜1W/cmの範囲が更に好ましい。
【0059】
紫外線の発生源としては、例えば、キセノンランプ、キセノン−水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、LED等の公知のランプを用いることができる。なお、紫外線の照射エネルギー及び照度は、UVチェッカー;UV Power PucK(II)(Electronic Instrumentation and Technology社製)を用いて320〜390nmの波長域において測定した値を基準とする。
【0060】
以上、本発明の紫外線硬化型組成物は、プラスチック基材に対する密着性に優れ、硬化収縮を起こさないものである。よって、本発明の紫外線硬化型組成物は、自動車、光学部品、建築用途など様々な用途における貼り合せに好適に使用することができる。
【0061】
前記プラスチック基材の厚さとしては、例えば、10〜5,000μmの範囲である。
【0062】
前記プラスチック基材としては、例えば、ポリカーボネート基材、シクロオレフィン樹脂基材、(メタ)アクリル樹脂基材、シリコン樹脂基材、エポキシ樹脂基材、フッ素樹脂基材、ポリスチレン樹脂基材、ポリエステル樹脂基材、ポリスルホン樹脂基材、ポリアリレート樹脂基材、ポリ塩化ビニル樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン基材、非結晶性ポリオレフィン樹脂基材、ポリイミド樹脂基材、脂環式ポリイミド樹脂基材、セルロース樹脂基材、TAC(トリアセチルセルロース)基材、COP(シクロオレフィンポリマー)基材、PC(ポリカーボネート)基材、PBT(ポリブチレンテレフタラート)基材、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)基材、PEN(ポリエチレンナフタレート)基材、PET(ポリエチレンテレフタラート)基材、ポリ乳酸ポリマー基材、ガラス板、金属板、木材等を用いることができる。
【0063】
前記紫外線硬化型組成物を前記プラスチック基材に塗布する方法としては、例えば、カーテンフローコーター法やダイコーター法等のスリットコーター法、ナイフコーター法、ロールコーター法、グラビアコーター法、スプレー等により塗布する方法が挙げられる。
【0064】
前記紫外線硬化型組成物の硬化物層の厚さとしては、例えば、0.5〜50μmの範囲である。
【実施例】
【0065】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0066】
[合成例1]ウレタンアクリレート(A−1)の合成
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ポリカーボネートポリオール(旭化成ケミカルズ株式会社製「DURANOL T5651」、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び炭酸ジメチルを反応させたもの、数数平均分子量;1,000)を71.2質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレートを6.6質量部、2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾールを0.3質量部、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、イソホロンジイソシアネートを22.2質量部添加した。そこで、ジオクチルスズジネオデカネート0.1質量部添加し、1時間かけて80℃まで昇温した。その後、80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(A−1)を得た。得られたウレタンアクリレート(A−1)の重量平均分子量が9,500であった。
【0067】
[実施例1]
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、ウレタンアクリレート(A−1)16質量部、テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製「ビスコート150」、以下「V150」と略記する。)を74質量部、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製「ATM−35E」)を10質量部添加し、均一になるまで撹拌混合した。その後、光重合開始剤として、BASF社製「Irgacure184」を3質量部添加し、撹拌混合した。その後、200メッシュ金網で濾過し、紫外線硬化型組成物を得た。
【0068】
[実施例2〜7、比較例1〜5]
用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)、(メタ)アクリル単量体(B)、多官能(メタ)アクリル化合物(C)、並びに、光重合開始剤(D)の種類及び/又は量を表1〜2に示す通り変更した以外は実施例1と同様に紫外線硬化型組成物を得た。
【0069】
[プラスチック基材に対する密着性の評価方法]
厚さ800μmのポリカーボネート板に2μmとなるように実施例及び比較例で得られた紫外線硬化型組成物を塗布した。その後、厚さ800μmのポリカーボネート板を更に貼り合せた。該ポリカーボネート板の上から紫外線照射装置により、紫外線の照度;1W/cm、積算光量;1J/cmの紫外線を照射し、紫外線硬化型組成物を硬化させた。得られた積層体を180°方向に手で剥離し、ポリカーボネートに対する密着性を以下のように評価した。
「○」;手での剥離が困難。
「△」;手で剥離できるが、剥離しづらい。
「×」;手で容易に剥離できる。
【0070】
[硬化収縮の評価方法]
前記[プラスチック基材に対する密着性の評価方法]にて得られた積層体を水平な台に置き、積層体の外観を目視で観察し、以下のように評価した。
「○」;収縮、カール等の外観変化がない。
「△」;僅かに収縮、カール等の変化が確認される。
「×」;収縮、カール等が明らかに確認される。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
表1〜2中の略語について説明する。
「CEO2021P」;3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル社製「セロキサイド2021P」)
「CPI−100P」;サンアプロ株式会社製カチオン重合開始剤「CPI−100P」
「EBECRYL 40」;エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製「EBECRYL 40」)
「M3190」;エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(美源スペシャリティケミカル株式会社製「MIRAMER M3190」
「M−305」;ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM−305」)
「A−HD−N」;1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−HD−N」)
【0074】
本発明の紫外線組成物は、プラスチック基材への密着性に優れ、硬化収縮もないことが分かった。
【0075】
一方、比較例1及び2は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)を用いない態様であるが、硬化収縮が不良であった。
【0076】
比較例3は、(メタ)アクリル単量体(B)を用いない態様であるが、プラスチック基材への密着性が不良であった。
【0077】
比較例4は、多官能(メタ)アクリル化合物(C)を用いない態様であるが、プラスチック基材への密着性及び硬化収縮抑制が不充分であった。
【0078】
比較例5は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)及び多官能(メタ)アクリル化合物(C)を用いない態様であるが、プラスチック基材への密着性及び硬化収縮抑制が不良であった。