【実施例】
【0033】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0034】
なお、以下の実施例及び比較例で用いた界面活性剤は以下の通りである。
【0035】
<両性界面活性剤>
両面界面活性剤A:三洋化成工業社製「レボンCIB」(下記構造式で表されるアルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン)
【0036】
【化1】
【0037】
両性界面活性剤B:三洋化成工業社製「レボンMY−30」(下記構造式で表されるミスチリル酸アミドプロピルベタイン)
【0038】
【化2】
【0039】
<非イオン性界面活性剤>
非イオン性界面活性剤A:三洋化成工業社製「ナロアクティーID−40」(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
非イオン性界面活性剤B:三洋化成工業社製「ナロアクティーID−60」(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
【0040】
<陰性界面活性剤>
陰性界面活性剤A:三洋化成工業社製「サンデットEN」(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム)
【0041】
[実施例1,2、比較例1〜4]
以下の洗浄試験により、液晶工場排水由来の濁質の洗浄効果を調べた。
(1) 液晶工場排水を孔径0.45μmのMF膜に通水して、MF汚染膜を作成した。
(2) MF汚染膜に純水10mLを通水し、通水にかかった時間T0を求めた。
(3) MF汚染膜を洗浄溶液に3分浸漬させ、その後純水10mLを通水して、通水にかかった時間T1を求めた。
洗浄溶液としては各々表1に示すものを用いた。比較例1のブランクは、NaOHによりpH12に調整した水であり、その他は、各々の界面活性剤を1重量%濃度で溶解させ、NaOHによりpH12に調整したものである。
(4) MF膜に通水する排水量を変更し、T0にばらつきをもつMF汚染膜3検体において、上記(1)〜(3)を行った。
(5) 横軸T0、縦軸にT1をプロットし、3点の試験結果から導き出される傾きT1/T0によって洗浄効果を評価した。
すなわち、T1/T0が大きいほど洗浄効果は低く、T1/T0が小さいほど洗浄効果が高いと判断した。
【0042】
結果を表1及び
図1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1及び
図1より、洗浄効果は、両性界面活性剤>陰性界面活性剤≒非イオン性界面活性剤>ブランクであり、両性界面活性剤が最も優れた洗浄効果を示すことが分かる。
【0045】
[実施例3]
液晶工場排水回収設備において汚染した、内圧式中空糸膜モジュール(中空糸UF膜、孔径0.03μm、膜内径0.9mm、膜素材ポリエーテルスルホン)から中空糸膜を取り出し、以下の手順で洗浄試験を実施した。
洗浄溶液としては、両性界面活性剤Aを1重量%濃度に水に溶解し、NaOHでpH13に調整したものを用いた。
(1) 汚染膜(5本)で
図2(a),(b)に示す内圧式ミニモジュール試験装置(膜長さ7.5cm、面積10.6cm
2)を作成した。
図2(a)中、1は汚染した中空糸膜、2はポッティング剤、3は透過水取出口、4はモジュールハウジングであり、内部に中空糸膜1が5本装填されている。
原水は、中空糸膜1の両端から膜内に導入し、膜を透過した透過水を取出口3より取り出した。
この内圧式ミニモジュール10に
図2(b)の通り配管を接続して内圧式ミニモジュール試験装置とした。この試験装置では、バルブV
1,V
4を開とし、バルブV
2,V
3を閉とすることで配管11,12,13より中空糸膜1内に空気を導入することができる。また、ポンプPを作動し、バルブV
3を開とし、バルブV
1,V
2,V
4を閉とすることで洗浄溶液タンク5内の洗浄溶液を配管14,12,13を循環させることができる。6は透過水タンクである。
(2) 原水室側に0.15MPaの圧縮空気を1時間通して膜を乾燥させた。
(3) 次いで、原水室側に洗浄溶液を6時間循環し、その後洗浄溶液タンク5内の洗浄溶液を純水に入れ替え、ポンプPを作動し、バルブV
4を開、バルブV
1,V
2,V
3を閉とすることで、中空糸膜1内を純水で十分フラッシングを行い、洗浄液を取り除いた。
(4) 試験前の新膜の透水性、洗浄前の汚染膜及び洗浄後の膜について、ポンプPを作動させ、バルブV
2を開、バルブV
1,V
3,V
4を閉とすることで、Flux(透過流束)2m
3/m
2/d相当の純水を全量濾過するように中空糸膜1内に送水するとともに、このときの圧力を圧力計PIで測定し、新膜、洗浄前の汚染膜および洗浄後の膜それぞれの透水性(操作圧力1バールに換算したときの透過流束、単位lmh)を算出し、更に、下記式より透水性回復率を算出した。
透水性回復率(%)
=洗浄後の透水性[lmh]/新膜の透水性[lmh]×100
結果を表2に示す。
【0046】
[実施例4]
実施例3において、(2)の工程を省いた以外は同様に洗浄試験を行い結果を表2に示した。
【0047】
【表2】
【0048】
表2より、乾燥を行わずに洗浄した実施例4の透水性回復率は約30%であったのに対し、洗浄前に乾燥を施した実施例3の透水性回復率は99%であり、乾燥によって洗浄効果が格段に向上したことが分かる。
これは、乾燥によって膜表面に固着した濁質汚染が乾燥・収縮することで膜から剥がれ易くなり、両性界面活性剤の洗浄効果が増大したためであると考えられる。