(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
==開示の概要==
本明細書の記載により、上記の主たる発明の他、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
すなわち、式(1)のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが式(3)で示されることを特徴とするエポキシ樹脂組成物が明らかとなる。このようなエポキシ樹脂組成物はクリーピングを抑制することができる。
【化3】
(式(3)中、xは1〜100であり、yは1〜5であり、aは1〜30である)
【0011】
また、式(2)のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが式(4)で示されることを特徴とするエポキシ樹脂組成物が明らかとなる。このようなエポキシ樹脂組成物はクリーピングを抑制することができる。
【化4】
(式(4)中、xは1〜100であり、aは1〜30である)
【0012】
また、式(1)または式(3)において、xは2〜60であり、yは1〜3であり、aは3〜20であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物が明らかになる。また、式(2)または式(4)において、xは2〜50であり、aは3〜20であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物が明らかとなる。x、y、及びaをこの範囲とすることにより、クリーピングをより確実に抑制することができる。
【0013】
また、(D)カップリング剤を更に含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物が明らかとなる。このように、本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、カップリング剤を含んでいてもクリーピングの抑制効果に影響を与えることがない。
【0014】
また、(E)シリカフィラ―を更に含み、組成物100重量部に対し、(E)成分が45〜75重量部であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物が明らかとなる。このように、本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、シリカフィラ―を含んでいてもクリーピングの抑制効果に影響を与えることがない。また、シリカフィラ―を所定量だけ添加することにより、エポキシ樹脂組成物の線膨張係数を調整でき、且つエポキシ樹脂組成物を硬化させた際の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0015】
また、(B)成分が、アミン系硬化剤であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物が明らかとなる。アミン系硬化剤は、低粘度、耐吸湿性に優れ、且つTg(ガラス転移点)の調整が容易であるといった特性を有する。しかし、アミン系硬化剤を用いる場合には、クリーピングがより発生し易くなるという問題がある。そこで、(C)成分を所定量だけ添加することにより、アミン系硬化剤を用いる場合であってもクリーピングを抑制することができる。
【0016】
また、上記のエポキシ樹脂組成物を含むことを特徴とするアンダーフィル剤が明らかとなる。このようなアンダーフィル剤は、硬化させた場合にクリーピングを抑制することができる。
【0017】
また、プラズマ処理された半導体素子に使用されることを特徴とするアンダーフィル剤が明らかとなる。半導体素子は実装上、プラズマ処理を施す場合が多くある。しかし、半導体素子をプラズマ処理することによりクリーピングが生じやすくなる。一方、(C)成分を含むアンダーフィル剤を用いることにより、プラズマ処理した半導体素子であってもクリーピングを抑制することができる。
【0018】
また、上記のエポキシ樹脂組成物を硬化させたことを特徴とする硬化物が明らかとなる。このような硬化物は、実装上に影響が生じるようなクリーピングが発生しない。
【0019】
また、上記のアンダーフィル剤を用いて封止された半導体素子を有することを特徴とする半導体装置が明らかとなる。上記のアンダーフィル剤を用いて封止された半導体素子は実装上に影響が生じるようなクリーピングが発生しない。よって、そのような半導体素子を有する半導体装置の性能に影響を与えることがない。
【0020】
また、前記半導体素子がプラズマ処理されていることを特徴とする半導体装置が明らかとなる。上述の通り、(C)成分を含むアンダーフィル剤を用いることにより、プラズマ処理した半導体素子であってもクリーピングを抑制することができる。従って、半導体装置の性能に影響を与えることがない。
【0021】
==実施形態==
[樹脂組成物]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含有する。
【0022】
(エポキシ樹脂)
(A)成分であるエポキシ樹脂は、本実施形態の液状エポキシ樹脂組成物の主剤をなす成分である。エポキシ樹脂は、常温(25℃±5℃)で液状であることが好ましい。但し、常温で固体のエポキシ樹脂を希釈剤等により希釈し、液状にして用いることも可能である。
【0023】
具体的に、(A)成分は、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのグリシジルエーテルであるビスフェノール型エポキシ樹脂:ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、パラアミノフェノール型エポキシ樹脂などの液状グリシジルアミン型エポキシ樹脂;(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4,1,0]ヘプタンなどの脂環型エポキシ樹脂;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンジグリシジルエーテルなどの水添型エポキシ樹脂、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンなどのエポキシ基を有するシクロヘキサンオリゴマー、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等を用いることができる。エポキシ樹脂は、上述したエポキシ樹脂のうち、いずれか1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
(硬化剤)
(B)成分である硬化剤は、(A)成分を硬化させるために用いられる。(B)成分としては、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。なお、低粘度、耐吸湿性に優れ、且つガラス転移点(Tg)の調整が容易であるといった特性を有することから、アミン系硬化剤を用いることが好ましい。
【0025】
アミン系硬化剤としては、鎖状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪芳香族アミン等を用いることができる。具体的には、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、イソフォロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、ビス(メチルチオ)トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート等を用いることができる。
【0026】
フェノール系硬化剤としては、フェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を指す。具体的には、フェノールノボラック樹脂およびそのアルキル化物またはアリル化物、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル(フェニレン、ビフェニレン骨格を含む)樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂等を用いることができる。
【0027】
酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、ドデセニル無水コハク酸、脂肪族二塩基酸ポリ無水物、クロレンド酸無水物、メチルブテニルテトラヒドロフタル酸無水物、アルキル化テトラヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、アルケニル基で置換されたコハク酸無水物、グルタル酸無水物等を用いることができる。
【0028】
(B)成分の量は、(A)エポキシ樹脂のエポキシ基に対して、硬化剤の活性基の当量比が0.6〜1.5となることが好ましい。
【0029】
(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)
(C)成分であるポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは、液状エポキシ樹脂組成物を硬化させた際に発生するクリーピングを抑制するために用いられる。後述のカップリング剤の有無やフィラ―の粒径等に関わらず、(A)成分及び(B)成分に対して(C)成分を加えることによりクリーピングを抑制することができる。
【0030】
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは、疎水性のジメチルシロキサン鎖の一部(途中または末端)に親水性のポリエーテル鎖を導入したものである。具体的には、(C)成分は、以下の式(5)または式(6)で示すことができる。
【0033】
本実施形態では、式(5)または式(6)で示されるポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンのうち、式(1)または式(2)(より具体的には、式(3)または式(4))の構造のものを用いる。式(1)中、xは1〜100であり、yは1〜5であり、aは1〜30であり、bは0である。式(2)中、xは1〜100であり、aは1〜30であり、bは0である。x、y、a及びbは、各構造の繰り返し単位数を示す。また、式(3)中、xは1〜100であり、yは1〜5であり、aは1〜30である。式(4)中、xは1〜100であり、aは1〜30である。より好ましくは、式(1)または式(3)において、xは2〜60であり、yは1〜3であり、aは3〜20である。式(2)または式(4)において、xは2〜50であり、aは3〜20である。このように、ポリエーテル鎖の末端をOH基とすることにより、極性表面に強く吸着することができる。また、x、y、及びaがこの範囲を外れた場合、エポキシ成分や多成分との相溶性が低下する可能性がある。
【0034】
(C)成分は、エポキシ樹脂組成物100重量部に対し、0.0001〜0.1重量部であることが好ましい。(C)成分の量がこの範囲より少な過ぎるとクリーピング抑制の効果を得られない。一方、(C)成分の量がこの範囲より多すぎるとクリーピングの促進を招く。
【0035】
[その他の添加剤等]
本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、(D)カップリング剤、(E)シリカフィラ―、硬化促進剤、着色剤等を含むことができる。
【0036】
(D)成分であるカップリング剤は、媒体(基板と電子部品素子)との接着強度の向上に作用する。(D)成分としては、シランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤は、ビニル系、グリシドキシ系、メタクリル系、アミノ系、メルカプト系等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。(D)成分は、組成物100重量部に対して0.01〜5重量部、添加する。
【0037】
(E)成分であるシリカフィラ―は、エポキシ樹脂組成物の線膨張係数を調整することができる。また、(E)成分であるシリカフィラ―は、エポキシ樹脂組成物を硬化させた際の耐湿信頼性を向上させることができる。(E)成分としては、コロイダルシリカ、疎水性シリカ、微細シリカ、ナノシリカ等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。(E)成分は、エポキシ組成物100重量部に対し、45〜75重量部であることが好ましい。(E)成分が45重量部より少ない場合、線膨張係数を調整することができない。逆に(E)成分が75重量部より多い場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり、液状特性が損なわれる。
【0038】
着色剤は、エポキシ樹脂組成物(硬化物)の光劣化を抑制することができる。また、着色剤を添加することにより、クリーピングの発生を視認し易くなる。着色剤としては、カーボンブラック等を用いることができる。
【0039】
[エポキシ樹脂組成物の製造方法]
エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、及び(C)ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを混練することにより製造できる。エポキシ樹脂組成物の製造方法は、上述の各成分が均一に混合した組成物を得ることができる方法であれば、特に限定されない。たとえば、上記の各成分は、同時に混練されてもよいし、別々に混練されてもよい。混練は、攪拌、溶融、混合、分散等の処理を含む。混練に用いる装置は、特に限定されるものではなく、3本ロールミル、ボールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル等を使用することができる。また、これら装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0040】
[アンダーフィル剤]
本実施形態に係るアンダーフィル剤は、上述のエポキシ樹脂組成物を含む。本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物はクリーピングを抑制できる。よって、半導体素子を封止する際のアンダーフィル剤に利用することが好ましい。なお、本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、アンダーフィル剤以外に電子部品用の接着剤等としても利用することができる。
【0041】
[エポキシ樹脂組成物の硬化物]
本実施形態に係る硬化物は、上述のエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより得られる。具体的な硬化条件としては、たとえば、約150℃で120分、加熱する。
【0042】
[半導体装置]
本実施形態に係る半導体装置は、上述のアンダーフィル剤を用いて封止された半導体素子を有する。半導体素子は、導電部を有する基板、及び電極部を有する。
【0043】
たとえば、以下の手順で基板と半導体素子との間のギャップに本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物を含むアンダーフィル剤を充填する。
【0044】
バンプを介し、基板及び半導体素子を連結した場合、基板と半導体素子との間にギャップが生じる。ここで、基板を所定温度(たとえば70〜130℃)に加熱しながら、半導体素子の一端にエポキシ樹脂組成物を塗布すると、毛細管現象によって、基板と半導体素子との間のギャップにエポキシ樹脂組成物が充填される。
【0045】
ギャップにエポキシ樹脂組成物を充填させた後、所定温度且つ所定時間、エポキシ樹脂組成物を加熱硬化させることによりギャップを封止することができる。この際、本実施形態のエポキシ樹脂組成物によれば半導体素子裏面のクリーピングを抑制できる。そして、このような半導体素子は半導体装置に用いる場合にもその性能に影響を与えることがない。
【0046】
封止を行う半導体素子としては、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタおよびダイオードおよびコンデンサ等であり、特に限定されるものではない。
【0047】
なお、半導体素子は、一般にプラズマ処理されている。一方でプラズマ処理されている半導体素子はクリーピングが生じやすい。しかし、本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物によれば、プラズマ処理されている半導体素子に対しても確実にクリーピングを抑制できる。
【0048】
==実施例==
[クリーピング]
以下の実施例1〜20、及び比較例1〜12で得られたエポキシ樹脂組成物を用いてクリーピングの状態を確認した。
【0049】
(A)成分は、以下のいずれかを用いた。
・「YDF8170」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂。エポキシ当量158g/eq。新日鉄住金化学株式会社製)
・「EXA−850CRP」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂。エポキシ当量173g/eq。DIC株式会社製)
・「jER630」(多官能タイプエポキシ樹脂。エポキシ当量95g/eq。三菱化学株式会社製「jER」は登録商標)
【0050】
(B)成分は、以下のいずれかを用いた。
・「HDAA」(アミン系硬化剤。活性水素当量63.5g/eq。日本化薬株式会社製)
・「EH−105L」(アミン系硬化剤。活性水素当量61.0g/eq。ADEKA株式会社製)
【0051】
(C)成分は、以下の表1に示すいずれかを使用した。実施例1〜20及び比較例6、7の(C)成分は、ポリエーテル鎖がポリエチレングリコール(PEG)である。比較例9の(C)成分は、ポリエーテル鎖がポリプロピレングリコール(PPG)である。比較例8の(C)成分は、ポリエーテル鎖がポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールである。比較例1〜5及び比較例10〜12では、(C)成分を使用していない。
【0053】
なお、比較例6及び7の(C)成分は、化学式(5)で示される構造である。また、比較例8及び9の(C)成分は、化学式(6)で示される構造である。
【0054】
(D)成分は、「KBM403」(カップリング剤。信越化学工業株式会社製)、(E)成分は、「SE2200−SEE」(シリカフィラ―。アドマテックス株式会社製)を用いた。また、硬化促進剤として、「Amicure CG1400」(エアープロダクツジャパン株式会社製)を用いた。また、着色剤として「MA−100」(カーボンブラック。三菱化学株式会社製)を用いた。
【0055】
(実施例1)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KF−6013」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「KBM403」0.3重量%(全体に対して3000ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.5重量%、「Amicure CG1400」0.12重量%(全体に対して1200ppmになる量)、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物aを作製した。
【0056】
(実施例2。カップリング剤を含まない例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KF−6013」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.8重量%、「Amicure CG1400」0.12重量%(全体に対して1200ppmになる量)、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物bを作製した。
【0057】
(実施例3。硬化促進剤を含まない例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KF−6013」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「KBM403」0.3重量%(全体に対して3000ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.6重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物cを作製した。
【0058】
(実施例4。カップリング剤及び硬化促進剤を含まない例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KF−6013」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物dを作製した。
【0059】
(実施例5。カップリング剤、フィラ―及び硬化促進剤を含まない例)
「YDF8170」70.9重量%、「HDAA」29.0重量%、「KF−6013」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物eを作製した。
【0060】
(実施例6。(C)成分を変えた例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KF−6015」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物fを作製した。
【0061】
(実施例7。(C)成分を変えた例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KF−6017」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物gを作製した。
【0062】
(実施例8。(C)成分を変えた例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KF−6043」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物hを作製した。
【0063】
(実施例9。(C)成分を変えた例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「SILWET L−8600」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物iを作製した。
【0064】
(実施例10。(C)成分を変えた例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「SILSOFT 860」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物jを作製した。
【0065】
(実施例11。(C)成分を変えた例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「SILWET L−7604」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物kを作製した。
【0066】
(実施例12。(C)成分を変えた例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「SILWET L−7622」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物lを作製した。
【0067】
(実施例13。(C)成分を変えた例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「SILSOFT 895」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物mを作製した。
【0068】
(実施例14。実施例4において(C)の量を変えた例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KF−6013」0.1重量%(全体に対して1000ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.8重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物nを作製した。
【0069】
(実施例15。実施例4において(C)の量を変えた例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KF−6013」0.05重量%(全体に対して500ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物oを作製した。
【0070】
(実施例16。実施例4において(C)の量を変えた例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KF−6013」0.02重量%(全体に対して200ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物pを作製した。
【0071】
(実施例17。実施例4において(C)の量を変えた例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KF−6013」0.001重量%(全体に対して10ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物qを作製した。
【0072】
(実施例18。(A)成分を変えた例)
「EXA−850CRP」36.5重量%、「HDAA」13.5重量%、「KF−6013」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物rを作製した。
【0073】
(実施例19。(A)成分を変えた例)
「jER630」30.0重量%、「HDAA」20.0重量%、「SILSOFT 895」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物sを作製した。
【0074】
(実施例20。(B)成分を変えた例)
「YDF8170」36.0重量%、「EH−105L」14.0重量%、「SILSOFT 895」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物tを作製した。
【0075】
(比較例1。実施例1に対応)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KBM403」0.3重量%(全体に対して3000ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.5重量%、「Amicure CG1400」0.12重量%(全体に対して1200ppmになる量)、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物a´を作製した。
【0076】
(比較例2。実施例2に対応)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「SE2200−SEE」49.8重量%、「Amicure CG1400」0.12重量%(全体に対して1200ppmになる量)、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物b´を作製した。
【0077】
(比較例3。実施例3に対応)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KBM403」0.3重量%(全体に対して3000ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.6重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物c´を作製した。
【0078】
(比較例4。実施例4に対応)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物d´を作製した。
【0079】
(比較例5。実施例5から実施例13に対応)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物e´を作製した。
【0080】
(比較例6。式(5)のRがメチル基の例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KF−6011」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物αを作製した。
【0081】
(比較例7。式(5)のRがメチル基の例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「KF−6016」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物βを作製した。
【0082】
(比較例8。ポリエーテル鎖にPPGを含む例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「SILSOFT 440」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物γを作製した。
【0083】
(比較例9。ポリエーテル鎖にPEG及びPPGを含む例)
「YDF8170」35.5重量%、「HDAA」14.5重量%、「SILSOFT 900」0.01重量%(全体に対して100ppmになる量)、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物δを作製した。
【0084】
(比較例10。実施例18に対応)
「EXA−850CRP」36.5重量%、「HDAA」13.5重量%、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物r´を作製した。
【0085】
(比較例11。実施例19に対応)
「jER630」30.0重量%、「HDAA」20.0重量%、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物s´を作製した。
【0086】
(比較例12。実施例20に対応)
「YDF8170」36.0重量%、「EH−105L」14.0重量%、「SE2200−SEE」49.9重量%、「MA−100」0.1重量%を三本ロールミルで分散し、真空脱泡を行うことで、エポキシ樹脂組成物t´を作製した。
【0087】
(クリーピングの評価)
Siチップ(半導体素子)を基板(FR4)上に固定した試験片を作製し、プラズマ処理を行った。この試験片を90℃のホットプレート上で加熱しながら、Siチップ端面にエポキシ樹脂組成物を塗布し、フィレットを形成した、その後、送風定温恒温機(ヤマト科学株式会社製)により150℃、60分で硬化させた後、目視によりクリーピングを評価した。表2において、目視によりクリーピングが確認できなかった場合を「○」で示し、クリーピングが確認できた場合を「×」で示している。なお、プラズマ処理の条件は「ガスの種類:Ar、ガスフロー:21sccm、出力:400W、処理時間:300sec」で行った。
【0089】
図1は、実施例1のエポキシ樹脂組成物aを硬化させた場合の結果を示し、
図2は、比較例1のエポキシ樹脂組成物a´を硬化させた場合の結果を示す写真である。写真はコンフォーカル顕微鏡(倍率10倍)で撮影したものである。
【0090】
表2及び
図1から明らかなように、実施例1のエポキシ樹脂組成物aを用いた場合には、クリーピングを抑制できた。一方、
図2から明らかなように、(C)成分を含まない比較例1のエポキシ樹脂組成物a´を用いた場合には、最大500μm程度のクリーピングが発生した。
【0091】
また、実施例1〜5及び比較例1〜5の結果から、エポキシ樹脂組成物としては、少なくとも(A)〜(C)成分を含んでいればよいことが明らかとなった。
【0092】
また、比較例6〜9の結果から、(C)成分は、ポリエーテル鎖の末端が水酸基、且つポリエーテル鎖にPPGを含まない構造が要求されることが明らかとなった。一方、実施例6〜13の結果から、ポリエーテル鎖の末端が水酸基、且つポリエーテル鎖にPPGを含まない構造であれば、(C)成分は様々な構造を取りうることが明らかとなった。
【0093】
また、実施例14〜17の結果から、(C)成分の割合を所定範囲で変えた場合であってもクリーピングを抑制できることが明らかとなった。
【0094】
また、実施例18〜20及び比較例10〜12の結果から、エポキシ樹脂や硬化剤の種類を変えた場合であっても式(1)または式(2)のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを用いることにより、クリーピングを抑制できることが明らかとなった。
【0095】
本発明の実施形態及び実施例を説明したが、上記実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態及び実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。