【実施例】
【0010】
図1は実施例に係るダイボンダの概略を示す上面図である。
図2は
図1において矢印A方向から見たときに、ピックアップヘッド及びボンディングヘッドの動作を説明する図である。
【0011】
ダイボンダ10は、大別して、ダイ供給部1と、ピックアップ部2、中間ステージ部3と、ボンディング部4と、搬送部5、基板供給部6と、基板搬出部7と、各部の動作を監視し制御する制御部8と、を有する。
【0012】
まず、ダイ供給部1は基板Pに実装するダイDを供給する。ダイ供給部1は、ウェハ11を保持するウェハ保持台12と、ウェハ11からダイDを突き上げる点線で示す突き上げユニット13と、を有する。ダイ供給部1は図示しない駆動手段によってXY方向に移動し、ピックアップするダイDを突き上げユニット13の位置に移動させる。
【0013】
ピックアップ部2は、ダイDをピックアップするピックアップヘッド21と、ピックアップヘッド21をY方向に移動させるピックアップヘッドのY駆動部23と、コレット部22を昇降、回転及びX方向移動させる図示しない各駆動部と、を有する。ピックアップヘッド21は、突き上げられたダイDを先端に吸着保持するコレット部22(
図2も参照)を有し、ダイ供給部1からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。ピックアップヘッド21は、コレット部22を昇降、回転及びX方向移動させる図示しない各駆動部を有する。
【0014】
中間ステージ部3は、ダイDを一時的に載置する中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識する為のステージ認識カメラ32を有する。
【0015】
ボンディング部4は、中間ステージ31からダイDをピックアップし、搬送されてくる基板P上にボンディングし、又は既に基板Pの上にボンディングされたダイの上に積層する形でボンディングする。ボンディング部4は、ピックアップヘッド21と同様にダイDを先端に吸着保持するコレット42部(
図2も参照)を備えるボンディングヘッド41と、ボンディングヘッド41をY方向に移動させるY駆動部43と、基板Pの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディング位置を認識する基板認識カメラ44とを有する。
このような構成によって、ボンディングヘッド41は、ステージ認識カメラ32の撮像データに基づいてピックアップ位置・姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップし、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板PにダイDをボンディングする。
【0016】
搬送部5は、一枚又は複数枚の基板P(
図1では4枚)を載置した基板搬送パレット51と、基板搬送パレット51が移動するパレットレール52とを具備し、並行して設けられた同一構造の第1、第2搬送部とを有する。基板搬送パレット51は、基板搬送パレット51に設けられた図示しないナットをパレットレール52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによって移動する。
このような構成によって、基板搬送パレット51は、基板供給部6で基板Pを載置し、パレットレール52に沿ってボンディング位置まで移動し、ボンディング後、基板搬出部7まで移動して、基板搬出部7に基板Pを渡す。第1、第2搬送部は、互いに独立して駆動され、一方の基板搬送パレット51に載置された基板PにダイDをボンディング中に、他方の基板搬送パレット51は、基板Pを搬出し、基板供給部6に戻り、新たな基板Pを載置するなどの準備を行なう。
【0017】
制御部8は、ダイボンダ10の各部の動作を監視し制御するプログラム(ソフトウェア)を格納するメモリと、メモリに格納されたプログラムを実行する中央処理装置(CPU)と、を備える。
【0018】
次に、ダイ供給部1の構成について
図3および
図4を用いて説明する。
図3はダイ供給部の外観斜視図を示す図である。
図4はダイ供給部の主要部を示す概略断面図である。
【0019】
ダイ供給部1は、水平方向(XY方向)に移動するウェハ保持台12と、上下方向に移動する突き上げユニット13と、を備える。ウェハ保持台12は、ウェハリング14を保持するエキスパンドリング15と、ウェハリング14に保持され複数のダイDが接着されたダイシングテープ16を水平に位置決めする支持リング17と、を有する。突き上げユニット13は支持リング17の内側に配置される。
【0020】
ダイ供給部1は、ダイDの突き上げ時に、ウェハリング14を保持しているエキスパンドリング15を下降させる。その結果、ウェハリング14に保持されているダイシングテープ16が引き伸ばされダイDの間隔が広がり、突き上げユニット13によりダイD下方よりダイDを突き上げ、ダイDのピックアップ性を向上させている。なお、薄型化に伴いダイを基板に接着する接着剤は、液状からフィルム状となり、ウェハ11とダイシングテープ16との間にダイアタッチフィルム(DAF)18と呼ばれるフィルム状の接着材料を貼り付けている。ダイアタッチフィルム18を有するウェハ11では、ダイシングは、ウェハ11とダイアタッチフィルム18に対して行なわれる。従って、剥離工程では、ウェハ11とダイアタッチフィルム18をダイシングテープ16から剥離する。なお、以降では、ダイアタッチフィルム18の存在を無視して、剥離工程を説明する。
【0021】
次に、突き上げユニットについて
図5を用いて説明する。
図5は
図4の突き上げユニットの上面図である。
【0022】
突き上げユニット13は、大別して、突き上げブロック部131と、突き上げブロック部131を取り囲む周辺部132とを有する。突き上げブロック部131は第1ブロック131aと、第1ブロック131aの内側に位置する第2ブロック131bとを有している。周辺部132は複数の吸引孔132aを有する。
【0023】
次に、本願発明者らが検討した技術(以下、比較例という。)について
図6,7を用いて説明する。
図6は比較例に係るコレット部と突き上げユニットとを示す縦断面図である。
図7は
図6のコレット部の下面図である。
【0024】
図6に示すようにコレット部22Rは、ラバーチップ25Rと、ラバーチップ25Rを保持するラバーチップホルダー24Rと、を有する。ラバーチップ25Rには真空吸引孔251Rが設けられる。ラバーチップホルダー24Rの中央に真空吸引孔26Rがあり、ラバーチップホルダー24Rのラバーチップ25Rの上面側に真空吸引溝27Rがある。
図7に示すように、ラバーチップ23Rは平面視でダイDと同様な矩形状であり、ダイDと同程度の大きさをしている。なお、突き上げユニット13は実施例の突き上げユニット13と同じものである。
【0025】
比較例に係るピックアップ動作はダイシングテープ16上の目的とするダイD(剥離対象ダイ)が突き上げユニット13とコレット部22Rに位置決めされるところから開始する。位置決めが完了すると突き上げユニット13の吸引孔132aや隙間131c、131dを介して真空引きすることによって、ダイシングテープ16が突き上げユニット13の上面に吸着される。その状態でコレット部22RがダイDのデバイス面に向けて真空引きしながら降下し、着地する。ここで、突き上げユニット13の主要部である突き上げブロック部131が上昇すると、ダイDはコレット部22Rと突き上げブロック131に挟まれたまま上昇するが、ダイシングテープ16の周辺部は突き上げブロック部131の周辺部132に真空吸着されたままなので、ダイDの周辺で張力が生じ、その結果、ダイD周辺でダイシングテープ16が剥離されることになる。しかし、一方この時、ダイD周辺は下側に応力を受け、湾曲することになる。そうするとコレット下面との間に隙間ができ、空気がコレット部22Rの真空吸引系に流入する(リークが発生する)ことになる。一度リークしダイDが離れると吸着面よりも下まで撓んだダイDを再び保持することができない。
【0026】
次に、実施例に係るコレット部について
図8を用いて説明する。
図8(A)は実施例に係るコレット部の縦断面図である。
図8(B)は
図8(A)のコレット部の下面図である。
【0027】
コレット部22は、吸着部25と、吸着部25を保持する中央部24と、中央部24の外側に位置する外周部28と、外周部28の上に位置するベローズ(蛇腹)部29と、を有する。
【0028】
吸着部25は、例えばラバーチップで構成され、比較例と同様な図示しない真空吸引孔(第1の吸引孔)が設けられる。吸着部25はダイDと同様な矩形状であり、ダイDよりも小さい。
【0029】
中央部24は吸着部25を保持する保持部241と保持部241から上方に伸びる管状部242と、管状部242から水平方向に伸びる取付部243とを有する。管状部242の中央に真空吸引孔(第2の吸引孔)26があり、保持部241の吸着部25の上面側に真空吸引溝27がある。
【0030】
外周部28は垂直部281と水平部282とで構成され、箱型状である。外周部28は中央部24との間に空間283を有する。垂直部281の内側と中央部24の保持部241の外側とが対向する部分は狭くなっており、吸引孔(第3の吸引孔)285を構成している。外周部28は管状部242に沿って上下動が可能である。外周部28の垂直部281の下面にダイDと接触する接触部221が設けられる。接触部221は上からの力で変形し、ダイDの変形に追随して密着可能である。
【0031】
ベローズ部(ベローズ機構)29は管状部242を囲むように配置され、ベローズ291の上端は取付部243に接続され、下端は外周部28の水平部282に接続され、管状部242とベローズ291との間に空間292を有する。空間292は空間283と外周部28の水平部282に設けられる連通孔284で繋がっている。空間292は図示しない孔を通して真空吸引孔26に接続されている。ベローズ部29の上下動によって外周部28が上下動するように構成されている。
【0032】
コレット部22の底面の外周はダイDと同様な矩形状であり、ダイDと同程度の大きさである。コレット部22の底面の外周はダイDよりも若干大きめにしたり、若干小さめにしたりしてもよい。ただし、外周部28(接触部221)の内側はダイDの外周の位置よりも内側に配置する必要がある。
【0033】
次に、実施例に係るコレット部によるピックアップ動作について
図5、9A〜9E、10を用いて説明する。
図9A〜9Eは実施例に係るコレット部と突き上げユニットとの断面図である。
図10はピックアップ動作の処理フローを示すフローチャートである。
【0034】
ステップS1:制御部8はピックアップするダイDが突き上げユニット13の真上に位置するようにウェハ保持台12を移動し、剥離対象ダイを突き上げユニット13とコレット部22に位置決めする。ダイシングテープ16の裏面に突き上げユニット13の上面が接触するように突き上げユニット13を移動する。このとき、
図9Aに示すように、制御部8は、突き上げブロック部131の各ブロック131a、131bが周辺部132の表面と同一平面を形成するようにし、周辺部132の吸引孔132aとブロック間の隙間131c、131dを介して真空引きすることによってダイシングテープ16を突き上げユニット13の上面に吸着する。
【0035】
ステップS2:
図9Aに示すように、制御部8は、コレット部22を真空引きしながら下降させ、剥離対象のダイDの上に着地させ、吸引孔を有する吸着部25および吸引孔285(
図8参照)によってダイDを吸着する。
【0036】
ステップS3:制御部8は、突き上げユニット13の主要部である突き上げブロック部131の第1ブロック131aおよび第2ブロック131bを上昇させる。これにより、ダイDはコレット部22と突き上げブロック部131に挟まれたまま上昇するが、ダイシングテープ16の周辺部は突き上げブロック部131の周辺部132に真空吸着されたままなので、ダイDの周辺で張力が生じ、その結果、ダイD周辺でダイシングテープ16が剥離されることになる。しかし、一方この時、
図9Bに示すように、ダイD周辺は下側に応力を受け、湾曲することになる。そうするとコレット下面との間に隙間ができ、空気がコレット部22の真空吸引系に流入する(リークが発生する)ことになる。
【0037】
しかし、
図9Cに示すように、コレット部22の空間283、292は真空切れし、ベローズ291の復元力によりベローズ291が下方向に広がり、外周部28は下げられる。これにより、リークが収まる。
【0038】
ステップS4:制御部8はコレット部22を上昇させる。これにより、
図9Dに示すように、ダイDはダイシングテープ16から剥離される。
図9Eに示すように、コレット部22の内部の空間283、292は真空になり、ベローズ291が上方向に狭まり、外周部28が引き上げられ、ダイDの周辺も引き上げられ、ダイDは平坦になる。リークによりダイDが離れて吸着面よりも下まで撓んでもダイDを再び平坦に保持することができる。これにより、平坦なダイDを搬送することができる。
【0039】
ステップS5:制御部8は突き上げブロック部131の各ブロック131a、131bが周辺部132の表面と同一平面を形成するようにし、周辺部132の吸引孔132aと、ブロック間の隙間131c、131dとによるダイシングテープ16の吸着を停止する。制御部8はダイシングテープ16の裏面から突き上げブロック部131の上面が離れるように突き上げユニット13を移動する。
【0040】
制御部8はステップS1〜S5を繰り返して、ウェハ11の良品のダイをピックアップする。
【0041】
次に、実施例に係るダイボンダを用いた半導体装置の製造方法について
図11を用いて説明する。
図11は半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0042】
ステップS11:ウェハ11から分割されたダイDが貼付されたダイシングテープ16を保持したウェハリング14をウェハカセット(不図示)に格納し、ダイボンダ10に搬入する。制御部8はウェハリング14が充填されたウェハカセットからウェハリング14をダイ供給部1に供給する。また、基板Pを準備し、ダイボンダ10に搬入する。制御部8は基板供給部6で基板Pを基板搬送パレット51に載置する。
【0043】
ステップS12:制御部8はステップS1〜S5によって分割したダイをウェハからピックアップする。
【0044】
ステップS13:制御部8はピックアップしたダイを基板P上に搭載又は既にボンディングしたダイの上に積層する。制御部8はウェハ11からピックアップしたダイDを中間ステージ31に載置し、ボンディングヘッド41で中間ステージ31から再度ダイDをピックアップし、搬送されてきた基板Pにボンディングする。
【0045】
ステップS14:制御部8は基板搬出部7で基板搬送パレット51からダイDがボンディングされた基板Pを取り出す。ダイボンダ10から基板Pを搬出する。
【0046】
<変形例1>
次に、変形例1に係るコレット部について
図12を用いて説明する。
図12(A)は変形例1に係るコレット部の縦断面図である。
図12(B)は
図12(A)のコレット部の下面図である。
【0047】
コレット部22Aは、コレット部22にハット部222を追加したものである。ハット部222はコレット部22の接触部221に薄い板状に貼り付けられており、241外側と外周部28の下面とに接続され、本例では8カ所に真空導入溝223が設けられている。ハット部222を設けることにより、ダイDの変形に追従する箇所が増えるのでダイDとの吸着性が向上する。なお、外周部28の下面にハット部222がない部分は実施例と同様に接触部221を有する。ハット部222の代わりに吸引孔を有するシート状構造を保持部241の下面と外周部28の下面の間に設けてもよい。なお、ハット部は後述する変形例2、3のコレット部において追加してもよい。
【0048】
次に、変形例1に係るコレット部によるピックアップ動作について
図13A〜13Eを用いて説明する。
図13A〜13Eは変形例1に係るコレット部と突き上げユニットとの断面図である。
図13A〜13Eはそれぞれ
図9A〜9Eに対応する図である。
【0049】
図13Aに示すように、制御部8は、突き上げブロック部131の各ブロック131a、131bが周辺部132の表面と同一平面を形成するようにし、周辺部132の吸引孔132aとブロック間の隙間131c、131dを介して真空引きすることによってダイシングテープ16を突き上げユニット13の上面に吸着する(ステップS1)。
【0050】
また、
図13Aに示すように、制御部8は、コレット部22Aを真空引きしながら下降させ、剥離対象のダイDの上に着地させ、吸引孔を有する吸着部25および吸引孔283によってダイDを吸着する(ステップS2)。
【0051】
図13Bに示すように、制御部8は、突き上げユニット13の主要部である突き上げブロック部131の第1ブロック131aおよび第2ブロック131bを上昇させると、ダイD周辺は下側に応力を受け、湾曲することになり、コレット下面との間に隙間ができ、空気がコレット部22Aの真空吸引系に流入する(リークが発生する)ことになる。しかし、
図13Cに示すように、コレット部22Aの空間283、292は真空切れし、ベローズ291の復元力によりベローズ291が下方向に広がり、外周部28は下げられる(ステップS3)。これにより、リークが収まる。なお、外周部28が下がると、ハット部222は斜めになる。
【0052】
図13Dに示すように、制御部8はコレットを上昇させると、ダイDはダイシングテープ16から剥離される(ステップS4)。
図13Eに示すように、コレット部22Aの内部の空間283、292は真空になり、ベローズ291が上方向に狭まり、外周部28が引き上げられ、ダイDの周辺も引き上げられ、ダイDは平坦になる。なお、外周部28が上がると、ハット部222も水平になる。リークによりダイDが離れて吸着面よりも下まで撓んでもダイDを再び平坦に保持することができる。これにより、平坦なダイDを搬送することができる。
【0053】
<変形例2>
次に、変形例2に係るコレット部について
図14を用いて説明する。
図14(A)は実施例に係るコレット部の縦断面図である。
図14(B)は
図14(A)のコレット部の下面図である。
【0054】
コレット部22Bは、コレット部22のベローズ部29に代えてダイアフラム部29Bを設けるものである。ダイアフラム部(ダイアフラム機構)29Bは管状部242を囲むように配置され、ダイアフラム291Bの内側端は取付部243Bの下面に接続され、外側端は外周部28Bの上部に設けられる筒部286Bの上部に接続される。筒部286Bは平面視で円環状である。中央部24Bと外周部28Bとの間の空間283と、管状部242とダイアフラム部29Bとの間の空間292Bとは、外周部28Bの水平部282に設けられた連通孔284で繋がっている。空間292Bは図示しない孔を通して真空吸引孔26に接続されている。通常時、取付部243Bの下面は筒部286Bの上部よりも低い位置にある。ダイアフラム部29Bの上下動によって外周部28Bが上下動するように構成されている。
【0055】
次に、変形例2に係るコレット部によるピックアップ動作について
図9A〜9E、15A〜15Eを用いて説明する。
図15A〜15Eは変形例2に係るコレット部と突き上げユニットとの断面図である。
図15A〜15Eはそれぞれ
図9A〜9Eに対応する図である。
【0056】
図15Aに示すように、制御部8は、突き上げブロック部131の各ブロック131a、131bが周辺部132の表面と同一平面を形成するようにし、周辺部132の吸引孔132aとブロック間の隙間131c、131dを介して真空引きすることによってダイシングテープ16を突き上げユニット13の上面に吸着する(ステップS1)。
【0057】
また、
図15Aに示すように、制御部8は、コレット部22Bを真空引きしながら下降させ、剥離対象のダイDの上に着地させ、吸引孔を有する吸着部25および吸引孔283によってダイDを吸着する(ステップS2)。
【0058】
図15Bに示すように、制御部8は、突き上げユニット13の主要部である突き上げブロック部131の第1ブロック131aおよび第2ブロック131bを上昇させると、ダイD周辺は下側に応力を受け、湾曲することになり、コレット下面との間に隙間ができ、空気がコレット部22Bの真空吸引系に流入する(リークが発生する)ことになる。しかし、
図15Cに示すように、コレット部22Bの空間283、292Bは真空切れし、ダイアフラム291Bの復元力により上面が水平になり、外周部28Bは下げられる(ステップS3)。これにより、リークが収まる。
【0059】
図15Dに示すように、制御部8はコレットを上昇させると、ダイDはダイシングテープ16から剥離される(ステップS4)。
図15Eに示すように、コレット部22Bの内部の空間283、292Bは真空になり、ダイアフラム291Bの上面周辺部が上方向に移動し、外周部28Bが引き上げられ、ダイDの周辺も引き上げられ、ダイDは平坦になる。リークによりダイDが離れて吸着面よりも下まで撓んでもダイDを再び平坦に保持することができる。これにより、平坦なダイDを搬送することができる。
【0060】
<変形例3>
次に、変形例3に係るコレット部について
図16を用いて説明する。
図16(A)は実施例に係るコレット部の縦断面図である。
図16(B)は
図16(A)のコレット部の下面図である。
【0061】
コレット部22Cは、コレット部22のベローズ部29に代えてピストン部29Cを設けるものである。ピストン部29Cは管状部242を囲むように配置され、蓋部291Cとスプリング293Cとを有する。蓋部291Cの内側端は取付部243Cの下面に接続され、外側端は筒部286Cの上部に接続される。スプリング293Cは外周部28Cの水平部282の間に設けられる。中央部24Cと外周部28Cとの間の空間283と、管状部242とピストン部29Cとの間の空間292Cとは、外周部28Cの水平部282に設けられた連通孔284で繋がっている。空間292Cは図示しない孔を通して真空吸引孔26に接続されている。筒部286Cは平面視で円環状である。スプリング293Cの上下動によって外周部28Cが上下動するように構成されている。
【0062】
次に、変形例3に係るコレット部によるピックアップ動作について
図17A〜17Eを用いて説明する。
図17A〜17Eは変形例3に係るコレット部と突き上げユニットとの断面図である。
図17A〜17Eはそれぞれ
図9A〜9Eに対応する図である。
【0063】
図17Aに示すように、制御部8は、突き上げブロック部131の各ブロック131a、131bが周辺部132の表面と同一平面を形成するようにし、周辺部132の吸引孔132aとブロック間の隙間131c、131dを介して真空引きすることによってダイシングテープ16を突き上げユニット13の上面に吸着する(ステップS1)。
【0064】
また、
図17Aに示すように、制御部8は、コレット部22Cを真空引きしながら下降させ、剥離対象のダイDの上に着地させ、吸引孔を有する吸着部25および吸引孔283によってダイDを吸着する(ステップS2)。
【0065】
図17Bに示すように、制御部8は、突き上げユニット13の主要部である突き上げブロック部131の第1ブロック131aおよび第2ブロック131bを上昇させると、ダイD周辺は下側に応力を受け、湾曲することになり、コレット下面との間に隙間ができ、空気がコレット部22Cの真空吸引系に流入する(リークが発生する)ことになる。しかし、
図17Cに示すように、コレット部22Cの空間283、292Cは真空切れし、スプリング293Cの復元力により、外周部28Cは下げられる(ステップS3)。これにより、リークが収まる。
【0066】
図17Dに示すように、制御部8はコレットを上昇させると、ダイDはダイシングテープ16から剥離される(ステップS4)。
図17Eに示すように、コレット部22Cの内部の空間283、292Cは真空になり、スプリング293Cの下端が上方向に移動し、外周部28Cが引き上げられ、ダイDの周辺も引き上げられ、ダイDは平坦になる。リークによりダイDが離れて吸着面よりも下まで撓んでもダイDを再び平坦に保持することができる。これにより、平坦なダイDを搬送することができる。
【0067】
<変形例4>
次に、変形例4に係るコレット部について
図18を用いて説明する。
図18は変形例4に係るコレット部の縦断面図である。
【0068】
コレット部22Dは、コレット部22Bのダイアフラム部29Bのダイアフラムの構成を変更するものである。ダイアフラム部29Dは管状部242を囲むように2つのダイアフラム291B、293Bを平行に間隔を空けて2ヶ所に配置して構成してもよい。ダイアフラム291Bの内側端は取付部243Bの下面に接続され、外側端は外周部28Dの上部に接続される。ダイアフラム293Bは、変形例2の外周部28Bの水平部282の代わりに配置され、ダイアフラム291Bとの間隔が同間隔になるように、内側端は取付部244Bの下面に接続され、外側端は外周部28Dに接続される。この構造により、2枚のダイアフラムで外周部28Dの内側面と保持部241の外側面とは常に平行に保たれ、接触が防止される。これにより、接触による異物や噛みこみ、動作不良を防止することができる。
【0069】
<変形例5>
次に、実施例に係るコレット部によるピックアップ動作の変形例について
図9A〜9C、19、20A、20Bを用いて説明する。
【0070】
ステップS1:制御部8はピックアップするダイDが突き上げユニット13の真上に位置するようにウェハ保持台12を移動し、剥離対象ダイを突き上げユニット13とコレット部22に位置決めする。ダイシングテープ16の裏面に突き上げユニット13の上面が接触するように突き上げユニット13を移動する。このとき、
図9Aに示すように、制御部8は、突き上げブロック部131の各ブロック131a、131bが周辺部132の表面と同一平面を形成するようにし、周辺部132の吸引孔132aとブロック間の隙間131c、131dを介して真空引きすることによってダイシングテープ16を突き上げユニット13の上面に吸着する。
【0071】
ステップS2:
図9Aに示すように、制御部8は、コレット部22を真空引きしながら下降させ、剥離対象のダイDの上に着地させ、吸引孔を有する吸着部25および吸引孔283によってダイDを吸着する。
【0072】
ステップS3:制御部8は、突き上げユニット13の主要部である突き上げブロック部131の第1ブロック131aおよび第2ブロック131bを上昇させる。これにより、ダイDはコレット部22と突き上げブロック部131に挟まれたまま上昇するが、ダイシングテープ16の周辺部は突き上げブロック部131の周辺部132に真空吸着されたままなので、ダイDの周辺で張力が生じ、その結果、ダイD周辺でダイシングテープ16が剥離されることになる。しかし、一方この時、
図9Bに示すように、ダイD周辺は下側に応力を受け、湾曲することになる。そうするとコレット下面との間に隙間ができ、空気がコレット部22の真空吸引系に流入する(リークが発生する)ことになる。
【0073】
しかし、
図9Cに示すように、コレット部22の空間283、292は真空切れし、ベローズ291の復元力によりベローズ291が下方向に広がり、外周部28は下げられる。
【0074】
ステップS31:制御部8は突き上げブロック部131の各ブロック131a、131bが周辺部132の表面と同一平面を形成するようにし、コレットを下降させる。これにより、
図20Aに示すように、コレット部22の内部の空間283、292は真空になり、ベローズ291が上方向に狭まり、外周部28が引き上げられ、ダイDの周辺も引き上げられ、ダイDは平坦になる。リークによりダイDが離れて吸着面よりも下まで撓んでもダイDを再び平坦に保持することができる。これにより、平坦なダイDを搬送することができる。
【0075】
ステップS4:制御部8はコレット部22を上昇させる。これにより、
図20Bに示すように、ダイDはダイシングテープ16から剥離される。
【0076】
ステップS51:制御部8は周辺部132の吸引孔132aと、ブロック間の隙間131c、131dとによるダイシングテープ16の吸着を停止する。制御部8はダイシングテープ16の裏面から突き上げ部131の上面が離れるように突き上げユニット13を移動する。
【0077】
制御部8はステップS1〜S51を繰り返して、ウェハ11の良品のダイをピックアップする。
【0078】
変形例5に係るピックアップ動作は実施例のコレットのみならず、変形例1〜4に係るコレット部にも適用することができる。なお、比較例に係るコレット部を用いて変形例5に係るピックアップ動作と同様の動作を行うことにより同様の効果を奏することができる。
図6に示すような状態になってダイDが撓んでも、ステップS31(
図20A)と同様にすると、ダイDが水平になる(ダイDの撓みが解消する)ので、コレット部22RはダイDを再び保持することができる。これにより、ステップS4でコレット部22Rを上昇させると、
図20Bと同様にダイDをダイシングテープ16から剥離することができる。
【0079】
以上の実施例および変形例によれば、下記のような作用効果を奏する。
(1)実施例に係るコレットは、ピックアップするダイの断面形状の変化に追従することにより、コレットの外周部が自動的に上下しダイ吸着時のリークを防止し、確実にピックアップを行うことができる。
(2)実施例に係るコレットは、その外周部をコレット内の吸着圧に応じてベローズ機能により自動的に(自然に)上下動することができる。
(3)実施例に係るコレットは、そのベローズの反力により、ダイに対するコレット外周部の反力(復元力)及びピックアップ開始時の外周部の基準位置をコントロールすることができる。
(4)変形例2、4に係るコレットは、その外周部をコレット内の吸着圧に応じてダイアフラムにより自動的に(自然に)上下動することができる。
(5)変形例2、4に係るコレットは、そのダイアフラムの背圧をコントロールし、ダイに対するコレット外周部の反力(復元力)及び位置をコントロールすることができる。
(6)変形例2、4に係るコレットは、そのダイアフラムの背圧をコントロールし、ピックアップ開始時の外周部の位置を突き出した状態でダイ吸着を開始することができる。
(7)変形例1に係るコレットは、その吸着部外周にハット構造を持ち、ピックアップするダイの断面形状の変化に追従することにより、コレット外周部が自動的に上下し、ハット構造の外周を押し下げ、リークを防止することができる。
(8)変形例1に係るコレットは、その外周部と吸着部表面にシート状構造を持ち、ピックアップするダイの断面形状の変化に追従することにより、外周部を押し下げて、リークを防止することができる。
(9)変形例3に係るコレットは、ピストン形状を持ち、コレットの外周部をコレット内の吸着圧力に応じて、ピストン内圧による圧縮力により、自動的に(自然)に上下動することができる。
(10)変形例5に係るピックアップ動作は、コレット部および突き上げブロック部を下降させることにより、ダイDを水平にすることができるので、コレット部22の内部の真空をより確実にすることができる。
【0080】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例および変形例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施例および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0081】
実施例ではブロックを用いてダイを突き上げる例を説明したが、ブロックに代えてピン(ニードル)を用いてもよい。
【0082】
また、実施例では、ダイアタッチフィルムを用いる例を説明したが、基板に接着剤を塗布するプリフォーム部を設けてダイアタッチフィルムを用いなくてもよい。
【0083】
また、実施例では、ダイ供給部からダイをピックアップヘッドでピックアップして中間ステージに載置し、中間ステージに載置されたダイをボンディングヘッドで基板にボンディングするダイボンダについて説明したが、これに限定されるものではなく、ダイ供給部からダイをピックアップする半導体製造装置に適用可能である。
例えば、中間ステージとピックアップヘッドがなく、ダイ供給部のダイをボンディングヘッドで基板にボンディングするダイボンダにも適用可能である。
また、中間ステージがなく、ダイ供給部からダイをピックアップしダイピックアップヘッドを上に回転してダイをボンディングヘッドに受け渡しボンディングヘッドで基板にボンディングするフリップチップボンダに適用可能である。
また、中間ステージとボンディングヘッドがなく、ダイ供給部からピックアップヘッドでピックアップしたダイをトレイ等に載置するダイソータに適用可能である。