特許第6643273号(P6643273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6643273フォトリソグラフィマスクまたはウェハの欠陥を分析するためのデバイスおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643273
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】フォトリソグラフィマスクまたはウェハの欠陥を分析するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01Q 30/02 20100101AFI20200130BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20200130BHJP
   G01Q 30/20 20100101ALI20200130BHJP
   G01Q 30/04 20100101ALI20200130BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20200130BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   G01Q30/02ZNM
   G01N1/28 H
   G01Q30/20
   G01Q30/04
   H01J37/28 B
   H01J37/305 A
【請求項の数】28
【外国語出願】
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-77274(P2017-77274)
(22)【出願日】2017年4月10日
(65)【公開番号】特開2017-201304(P2017-201304A)
(43)【公開日】2017年11月9日
【審査請求日】2017年7月3日
(31)【優先権主張番号】10 2016 205 941.6
(32)【優先日】2016年4月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル バラリア
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ バウアー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス エディンガー
(72)【発明者】
【氏名】トルステン ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ブダッハ
【審査官】 山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−260138(JP,A)
【文献】 米国特許第07281419(US,B2)
【文献】 特表2014−521230(JP,A)
【文献】 特開2011−249512(JP,A)
【文献】 特開平05−142121(JP,A)
【文献】 特開平11−074163(JP,A)
【文献】 特開2009−003321(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0007306(US,A1)
【文献】 米国特許第05043578(US,A)
【文献】 米国特許第09164371(US,B2)
【文献】 米国特許第06683316(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0101188(US,A1)
【文献】 特表2014−517299(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/110602(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01Q 10/00 − 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトリソグラフィマスク(720)またはウェハの少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)を分析するためのプローブ構成(310、410)を含む走査型プローブ顕微鏡(200、300)であって、
a.前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)を分析するように具現された少なくとも1つの第1のプローブ(415、420)と、
b.少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)を生成するための、前記少なくとも1つの第1のプローブ(415、420)とは異なる少なくとも1つの第2のプローブ(425、430、435)であり、前記少なくとも1つのマークによって前記マスク(720)または前記ウェハの前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の位置が示される、少なくとも1つの第2のプローブ(425、430、435)と
を含み、
c.前記マーク(910、915、920、1010、1015、1020)が、走査型粒子ビーム顕微鏡(1100)によって検出され得るように具現され、前記少なくとも1つの第2のプローブ(425、430、435)が、前記フォトリソグラフィマスク(720)または前記ウェハに少なくとも1つのくぼみ(1020)を生成するように具現された1つの第2のプローブ(435)を含
前記プローブ構成は、前記少なくとも1つの第1のプローブ及び前記少なくとも1つの第2のプローブを含み、前記プローブ構成の1つのプローブのみが作動位置にあって他のプローブが静止位置にあるように具現され、該作動位置は該静止位置よりも前記マスク(720)又は前記ウェハに近い位置である、
走査型プローブ顕微鏡(200、300)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1のプローブ(415、420)が、前記走査型粒子ビーム顕微鏡(1100)によって検出することができないまたは信頼性高く検出することができない欠陥(750)を分析するように具現される、請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡(200、300)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)と前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の少なくとも一部との両方が、前記走査型プローブ顕微鏡(200、300)の単一走査領域(940)に配置されるように、前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)を前記フォトリソグラフィマスク(720)または前記ウェハに付けるように具現された制御ユニット(280、480)をさらに含む、請求項1または2に記載の走査型プローブ顕微鏡(200、300)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)を分析することが、前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)のトポグラフィデータと前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)の位置データとを前記制御ユニット(280、480)によって決定することを含む、請求項3に記載の走査型プローブ顕微鏡(200、300)。
【請求項5】
前記制御ユニット(280、480)が、前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)を補正するための修復テンプレートを前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の前記トポグラフィデータから決定するようにさらに具現される、請求項4に記載の走査型プローブ顕微鏡(200、300)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)を生成するための前記手段(425、430、435)が、少なくとも1つの第2のプローブ(430)の測定チップに電圧を印加することによって前記フォトリソグラフィマスク(720)または前記ウェハに少なくとも1つのマーク(915、1015)として材料を堆積させるように具現された前記少なくとも1つの第2のプローブ(430)を含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡(200、300)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのマーク(915、1015)を生成するための前記手段(425、430、435)が、前記少なくとも1つのマーク(910、920、1010)をディップペンナノリソグラフィプロセスで直接書き込むことによって生成するように具現された少なくとも1つの第2のプローブ(425)を含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡(200、300)。
【請求項8】
前記制御ユニット(280、480)が、前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)を付けるための位置を決定するために前記フォトリソグラフィマスク(720)の設計データを使用するように具現される、請求項からまでのいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡(200、300)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)の前記位置データおよび/または前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の前記トポグラフィデータおよび/または前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の前記修復テンプレートを前記走査型粒子ビーム顕微鏡(1100)に移送するためのインタフェース(486、496)をさらに含む、請求項に記載の走査型プローブ顕微鏡(200、300)。
【請求項10】
請求項4又は9のいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡(200、300)と、前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)の前記位置データおよび/または前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の前記トポグラフィデータおよび/または前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の前記修復テンプレートを受け取るためのインタフェース(1175)を備える走査型粒子ビーム顕微鏡(1100)とを含む測定システム(1200)。
【請求項11】
前記走査型粒子ビーム顕微鏡(1100)が、前記フォトリソグラフィマスク(720)または前記ウェハにわたって前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)および前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)を検出するために少なくとも1つの粒子ビーム(1170)を走査させるように具現された制御ユニット(1160)を含む、請求項10に記載の測定システム(1200)。
【請求項12】
前記走査型粒子ビーム顕微鏡(1100)の前記制御ユニット(1160)が、前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の前記修復テンプレートを、前記粒子ビーム(1170)の走査データ、前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)の前記位置データ、および前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の前記トポグラフィデータから決定するように具現される、請求項11に記載の測定システム(1200)。
【請求項13】
前記走査型粒子ビーム顕微鏡(1100)が、
a.少なくとも1つのエッチングガスを貯蔵するように具現された少なくとも1つの第1の貯蔵容器(1165、1170)、および/または
b.少なくとも1つの堆積ガスを貯蔵するように具現された少なくとも1つの第2の貯蔵容器(1150、1155)、および/または
c.前記少なくとも1つの第1の貯蔵容器(1165、1170)のための少なくとも1つの第1のバルブ(1166、1171)および前記少なくとも1つの第2の貯蔵容器(1150、1155)のための少なくとも1つの第2のバルブ(1151、1156)を含む少なくとも1つの供給システム(1152、1157、1167、1172)であり、前記欠陥(740、745、750、755、760)および前記少なくとも1つのマーク(910、115、920、1010、1015、1020)の位置に、前記少なくとも1つのエッチングガスおよび/または前記少なくとも1つの堆積ガスを供給するように具現される、少なくとも1つの供給システム(1152、1157、1167、1172)と
をさらに含む、請求項10から12までに記載の測定システム(1200)。
【請求項14】
前記走査型粒子ビーム顕微鏡(1100)の前記制御ユニット(1160)が、前記修復テンプレートに基づいて、前記少なくとも1つの欠陥(745、750、755、760)を補正するために前記少なくとも1つの粒子ビーム(1170)および前記少なくとも1つのエッチングガスのガス流量または前記少なくとも1つの堆積ガスのガス流量を制御するようにさらに具現される、請求項13に記載の測定システム(1200)。
【請求項15】
前記走査型粒子ビーム顕微鏡の前記制御ユニットが、前記少なくとも1つのマークを除去するために、前記少なくとも1つの粒子ビームおよび前記少なくとも1つのエッチングガスの前記ガス流量または前記少なくとも1つの堆積ガスの前記ガス流量を制御するように具現される、請求項13または14に記載の測定システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)を化学洗浄プロセスによって除去するように具現された洗浄デバイス(1190)をさらに含む、請求項10から15までのいずれか1項に記載の測定システム(1200)。
【請求項17】
走査型プローブ顕微鏡(200、300)の少なくとも1つの第1のプローブ及び少なくとも1つの第2のプローブを使用してフォトリソグラフィマスク(720)またはウェハの少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)を分析する方法であって、該少なくとも1つの第1のプローブ及び該少なくとも1つの第2のプローブは異なるものであり、該方法は、
a.前記少なくとも1つの第1のプローブのうちの1つの第1のプローブを使用して前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)を分析するステップであって、該1つの第1のプローブのみが静止位置から作動位置に移動し、一方、他のすべてのプローブは該静止位置にあり、該作動位置は該静止位置よりも前記マスク(720)又は前記ウェハに近い位置である、分析するステップと、
b.前記少なくとも1つの第2のプローブのうちの1つの第2のプローブを使用して、前記フォトリソグラフィマスク(720)または前記ウェハに少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)を生成するステップであり、前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)が走査型粒子ビーム顕微鏡(1100)によって検出され得るように具現され、該1つの第2のプローブのみが前記静止位置から前記作動位置に移動し、一方、他のすべてのプローブは該静止位置にある、生成するステップと、
c.前記走査型粒子ビーム顕微鏡(1100)の少なくとも1つの粒子ビーム(1170)を使用して前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)を検出するステップと
を含む、方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)が、前記走査型粒子ビーム顕微鏡(1100)によって検出することができないまたは信頼性高く検出することができない欠陥(750)を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)は、前記欠陥(740、745、750、755、760)の少なくとも一部および前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)が前記走査型プローブ顕微鏡(200、300)の単一走査領域に配置されるように前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の近くに生成される、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)を分析するステップが、前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)のトポグラフィデータと、前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)の位置データとを決定するステップを含む、請求項17から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の修復テンプレートを前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の前記トポグラフィデータから決定するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)の前記位置データおよび/または前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の前記トポグラフィデータおよび/または前記修復テンプレートを前記走査型プローブ顕微鏡(200、300)から前記走査型粒子ビーム顕微鏡(1100)に移送するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記走査型粒子ビーム顕微鏡(1100)の前記少なくとも1つの粒子ビーム(1170)によって前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)と前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)とを走査するステップをさらに含む、請求項20から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の修復テンプレートを決定するために、前記粒子ビーム走査のデータを、前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)の前記位置データおよび前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)の前記トポグラフィデータに重ね合わせるステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)を生成するステップが、前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)を付ける位置を決定するためにフォトリソグラフィマスク(720)の設計データを使用するステップを含む、請求項17から24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つの欠陥(740、745、750、755、760)を、前記修復テンプレート、前記少なくとも1つの粒子ビーム(1170)、および少なくとも1つのエッチングガスまたは少なくとも1つの堆積ガスによって補正するステップをさらに含む、請求項21から24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの粒子ビーム(1170)および少なくとも1つのエッチングガスまたは少なくとも1つの堆積ガスを使用して、前記フォトリソグラフィマスク(720)または前記ウェハから前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)を除去するステップをさらに含む、請求項17から26までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
化学洗浄ステップを使用して、前記フォトリソグラフィマスク(720)または前記ウェハから前記少なくとも1つのマーク(910、915、920、1010、1015、1020)を除去するステップをさらに含む、請求項17から26までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトリソグラフィマスクまたはウェハの欠陥を分析するためのデバイスおよび方法に関する。特に、本発明は、フォトリソグラフィマスクの位相欠陥を分析するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型プローブ顕微鏡は、サンプルまたはその表面をプローブで走査し、それにより、サンプル表面のトポグラフィの3次元表示を生成する。以下、走査型プローブ顕微鏡はSPMと略記される。測定チップとサンプル表面との間の相互作用のタイプに応じて様々なSPMタイプの間の区別がなされる。走査型トンネル顕微鏡(STM)がしばしば利用され、走査型トンネル顕微鏡(STM)では、電圧がサンプルと測定チップとの間に印加され、サンプルと測定チップとは互いに接触せず、結果として生じたトンネル電流が測定される。故に、STMの使用は、導電性サンプル、または導電性表面層を備えたサンプルに制限される。
原子間力顕微鏡(AFM)または走査型力顕微鏡(SFM)には、試験すべきサンプルへのこの制限がない。このSPMタイプでは、プローブまたは測定チップは、サンプル表面の原子間力、典型的にはファンデルワールス力によって撓まされる。測定チップの撓みは、プローブとサンプル表面との間に働く力に比例し、この力を使用してトポグラフィを決定する。
これらの従来のSPMタイプに加えて、例えば、磁気力顕微鏡、または光および音響近接場走査型顕微鏡などの特定の適用分野で使用される多数のさらなる装置タイプがある。
【0003】
さらに、走査型プローブ顕微鏡は、測定チップとサンプルとの間の相互作用の好適な設計によってサンプルまたはその表面の狙った修正に使用することもできることが知られている。例として、米国特許第5043578号は、走査型トンネル顕微鏡の導電性測定チップの助けを借りて導電性基材上に金のナノ構造を堆積させることを説明している。総説項目"Nanoscale materials patterning and engineering by atomic force microscopy nanolithography" in Materials and Engineering R 54, (2006), pages 1-48において、著者X.N. Xie、H.J. Chung、C.H. Sow、およびA.T.S. Weeは、ナノ構造をサンプルの表面に書き込むこと、およびナノ構造をサンプルの表面に堆積させることの概要を提供している。
出願人によるWO2012/110602A1は、走査型プローブ顕微鏡のためのプローブ構成を開示しており、前記プローブ構成は、サンプルの欠陥を分析するための1つまたは複数のプローブを含み、分析された欠陥を除去するための1つまたは複数のプローブを含む。米国特許第7281419号は、サンプル表面を試験するためのプローブと、ナノ構造をサンプルの表面上に書き込むためのプローブとを含む走査型プローブ顕微鏡のための多機能プローブ構成を説明している。
【0004】
走査型プローブ顕微鏡に加えて、特に走査型電子顕微鏡(SEM)の形態の走査型粒子ビーム顕微鏡は、第1に、サンプルを高分解能で測定し、第2に、識別された欠陥を補正するのに重要なツールである。例として、米国特許第9164371号は、反射型フォトマスクの多層構造に埋められた欠陥を、電子ビームおよびエッチングガスの助けを借りて補償することを説明している。
マイクロメートルおよび/またはナノメートル範囲の欠陥は、様々な測定原理の助けを借りて検出することができる。ここで、複数の測定原理が使用される場合、欠陥は違うように表示されることに留意すべきである。例として、走査型プローブ顕微鏡は、位相欠陥、特にフォトリソグラフィマスクの位相欠陥を検出することができないか、またはこれらを不十分にしか検出することができない。それゆえに、マイクロメートルまたはナノメートル範囲の欠陥を包括的に分析するために、これらは、多くの場合、サンプルとの様々な相互作用を利用する測定法を使用して試験される。米国特許第6683316号は、光学画像およびSEM像の助けを借りてサンプルを分析することに関する。WO2013/010976A2は、紫外放射、走査型プローブ顕微鏡、および走査型粒子ビーム顕微鏡によって欠陥を試験し、3つの測定ツールによって記録されたデータを組み合わせることを説明している。
【0005】
サンプルとの様々な相互作用の助けを借りて得られた測定データを重ね合わせるために多くの場合マークが使用される。したがって、既に上記した米国特許第9164371号と同様の方法の、出願人による出願DE102011084829A1は、位置合せマークに基づいて光学画像とSEM像とを重ね合わせることを説明している。
様々な測定法によって得られた測定データの重ね合わせの問題をやわらげるために、走査型プローブ顕微鏡および走査型粒子ビーム顕微鏡が、最近、1つの装置に組み合わされた。米国特許出願第14/755264号はそのような組合せ装置を報告している。WO2012/163518は、走査型プローブ顕微鏡によっておよび走査型粒子ビーム顕微鏡の助けを借りて組合せ装置に記録された測定データを重ね合わせるための選択肢を説明している。
しかしながら、走査型プローブ顕微鏡と走査型粒子ビーム顕微鏡とを1つの装置に統合すると、2つの統合化されたツールの柔軟性および可能な適用性が制限される。第1に、2つの統合化されたツールの機能に関して空間上の理由で妥協がなされなければならない。第2に、2つのツールの使用は、走査型プローブ顕微鏡と走査型粒子ビーム顕微鏡との動作環境に関する異なる要件によって制限される。
それゆえに、本発明は、欠陥分析のための可能性を改善し前述の欠点を少なくとも部分的に回避する、サンプルの欠陥を分析するためのデバイスおよび方法を明細に述べるという課題に基づいている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5043578号
【特許文献2】WO2012/110602A1
【特許文献3】米国特許第7281419号
【特許文献4】米国特許第9164371号
【特許文献5】米国特許第6683316号
【特許文献6】WO2013/010976A2
【特許文献7】DE102011084829A1
【特許文献8】米国特許出願第14/755264号
【特許文献9】WO2012/163518
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】"Nanoscale materials patterning and engineering by atomic force microscopy nanolithography" in Materials and Engineering R 54, (2006), pages 1-48
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの例示的な実施形態によれば、この問題は、請求項1に記載デバイスによって解決される。1つの実施形態において、デバイスは、フォトリソグラフィマスクまたはウェハの少なくとも1つの欠陥を分析するためのプローブ構成を含む走査型プローブ顕微鏡を含み、このデバイスは、(a)少なくとも1つの欠陥を分析するように具現された少なくとも1つの第1のプローブと、(b)少なくとも1つのマークを生成するための手段であり、少なくとも1つのマークによってフォトリソグラフィマスクまたはウェハの少なくとも1つの欠陥の位置が示される、生成するための手段とを含み、(c)マークは、走査型粒子ビーム顕微鏡によって検出され得るように具現される。
【0009】
第1のステップにおいて、本発明による走査型プローブ顕微鏡は、1つまたは複数のプローブを使用して、フォトリソグラフィマスクまたはウェハの欠陥を分析する。次いで、走査型プローブ顕微鏡は、分析された欠陥の近傍に1つまたは複数のマークを生成する。生成されたマークは、走査型粒子ビーム顕微鏡の粒子ビームによって容易に検出され得る性質を有する。これは、少なくとも1つのマークへの重要な要求のうちの1つであり、例えば欠陥と異なり、少なくとも1つのマークは、サンプルの欠陥の位置を高い正確さで決定することができるために走査型粒子ビーム顕微鏡の画像において明確に見えなければならない。その結果として、本発明による走査型プローブ顕微鏡は、走査型粒子ビーム顕微鏡では材料コントラストを生成せず、トポグラフィコントラストがないかまたは弱いトポグラフィコントラストしかない欠陥を走査型粒子ビーム顕微鏡が見いだすのをより容易にする。
【0010】
1つの態様によれば、少なくとも1つの第1のプローブは、走査型粒子ビーム顕微鏡によって検出することができないまたは信頼性高く検出することができない欠陥を分析するように具現される。少なくとも1つのマークが、走査型粒子ビーム顕微鏡の画像において材料コントラストを生成するように具現され得る。
そのような欠陥の一例は、フォトリソグラフィマスクの位相欠陥である。例として、位相欠陥は、フォトマスクの基板の大面積凹凸によって引き起こされる。短波長フォトリトグラフィ装置のために設計されたフォトマスクまたは単純なマスクの場合には、所定の輪郭からの1桁ナノメートル範囲の逸脱は、位相欠陥を生成するのにもはや十分である。材料コントラストがないことおよびトポグラフィコントラストがほとんど存在しないことのために、位相欠陥は走査型粒子ビーム顕微鏡を使用してほとんど検出することができない。対照的に、走査型プローブ顕微鏡は、サブナノメートル範囲の凹凸を検出することができる。フォトリソグラフィマスクの位相欠陥の位置は、1つまたは複数のマークの助けを借りて走査型粒子ビーム顕微鏡に示すことができる。走査型粒子ビーム顕微鏡は、欠陥を補正するときマークを使用することができる。導入部に記載したような、サンプルとの2つの異なる相互作用に基づいて記録された測定データの重ね書き問題は、おおむね回避することができる。
【0011】
走査型プローブ顕微鏡は、少なくとも1つのマークと、少なくとも1つの欠陥の少なくとも一部との両方が走査型プローブ顕微鏡の単一走査領域に配置されるように少なくとも1つのマークをサンプルに付けるように具現された制御ユニットをさらに含むことができる。
この条件により、欠陥と1つまたは複数のマークとの間の距離が高い正確さで突き止められ得ることが保証される。
【0012】
走査型プローブ顕微鏡のプローブの走査領域は、0.1μm〜400μm、好ましくは0.5μm〜10μm、および最も好ましくは1μm〜5μmの辺長をもつ正方形または四辺形を含むことができる。
走査型プローブ顕微鏡の走査型領域またはその視野は、走査型プローブ顕微鏡と、フォトリソグラフィマスクもしくはウェハまたはマスクもしくはウェハが配置されるサンプルステージとが、互いに対して移動されることなく、プローブの測定チップがプローブのアクチュエータ、好ましくはピエゾアクチュエータを作動させることによって通ることができる区域である。
上述で既に述べたように、欠陥の占有場所の座標は、少なくとも1つのマークと欠陥の少なくとも一部とが1つの走査型領域内に配置されるように欠陥と関連してサンプルの表面に少なくとも1つのマークが取り付けられるおかげで少なくとも1つのマークの座標を基準にして高い精度で分かる。
【0013】
以下で、「フォトリソグラフィマスク」、「フォトマスク」、および「マスク」という表現は、同義的に使用される。フォトリソグラフィマスクは、反射型フォトマスクまたは透過型フォトマスクを含むことができる。ウェハという用語は、加工されていない半導体スライスを含み、完成した半導体構成要素まで及ぶ。
さらなる態様では、少なくとも1つの欠陥を分析することは、走査型プローブ顕微鏡の制御ユニットによって少なくとも1つの欠陥のトポグラフィデータおよび少なくとも1つのマークの位置データを決定することを含む。
制御ユニットは、少なくとも1つのマークの位置データを少なくとも1つの欠陥のトポグラフィデータに関連づけるようにさらに具現され得る。
【0014】
既に示したように、走査型プローブ顕微鏡のプローブは、サンプルの表面、故に、マスクまたはウェハの表面を、サブナノメートル範囲の分解能で走査することができる。その結果として、サンプルの欠陥の正確な3次元画像を決定することが可能である。
欠陥のトポグラフィデータは、欠陥の占有面積の複数の点、すなわち、少なくとも1つのマークの座標の位置または座標に関するxy座標を含む。さらに、欠陥のトポグラフィデータは、欠陥の高さまたはくぼみ、すなわち、マスクまたはウェハの欠陥のない表面に対するz座標を含む。
【0015】
ウェハのマスクは、少なくとも1つの基準マークを有することができる。少なくとも1つの基準マークは、走査型プローブ顕微鏡の座標系におけるマーク済み欠陥に関連づけられる。この関連性は、走査型粒子ビーム顕微鏡の座標系に移送される。それゆえに、この関連性を使用して、画像を走査型プローブ顕微鏡の座標系から走査型粒子ビーム顕微鏡の座標系に移送することが可能である。
制御ユニットは、少なくとも1つのマークの位置データおよび/または少なくとも1つの欠陥のトポグラフィデータを不揮発性メモリに記憶するようにさらに具現することができる。
したがって、走査型プローブ顕微鏡によって決定された測定データは、欠陥を補正するためのデバイス、すなわち、例えば、走査型粒子ビーム顕微鏡に容易に供給することができる。走査型粒子ビーム顕微鏡を使用して欠陥を見いだすことが、それによってより容易になる。これは、特に、上述で既に説明したように、走査型粒子ビーム顕微鏡の粒子ビームを使用して画像化され得ないか、または大きな困難を伴ってしか画像化され得ないフォトリソグラフィマスクの位相欠陥に適用される。
【0016】
制御ユニットは、少なくとも1つの欠陥のトポグラフィデータから少なくとも1つの欠陥を補正するための修復テンプレートを決定するようにさらに具現することができる。
修復テンプレートは、マスクまたはウェハの欠陥を補正または補償するために、粒子ビームの強度の空間的および時間的分布と、エッチングガスまたは堆積ガスのガス流量の時間曲線とを規定する。
1つの態様では、少なくとも1つの生成されたマークは、マスクまたはウェハに存在する少なくとも1つの基準マークと規定の関係を有する。
故に、欠陥の位置は、マスクまたはウェハの座標系において欠陥と少なくとも1つのマークとの関係を介して分かる。例として、これにより、欠陥(例えば、フォトリソグラフィマスクの位相欠陥)が、粒子ビームによって生成された画像では見えない場合でさえ、欠陥を補正するために欠陥の位置を局限することが可能になる。
制御ユニットは、少なくとも1つの欠陥の両側に少なくとも2つのマークを付けるように構成することができる。さらに、制御ユニットは、少なくとも1つの欠陥を含む長方形の角に配置された4つのマークを生成するように具現され得る。
単一の欠陥に対して2つ以上のマークを付けるのは、第1に、マークを生成するための支出を増加させ、第2に、欠陥が補正された後マークを除去するための支出を増加させる。見返りとして、2つ以上マークに基づいて、欠陥の修復中の欠陥のより正確な位置確認が可能である。
【0017】
少なくとも1つのマークを生成するための手段は、フォトリソグラフィマスクまたはウェハに少なくとも1つのくぼみを生成するように具現された少なくとも1つの第1のプローブを含むことができる。
最も簡単な実施形態では、走査型プローブ顕微鏡のプローブ構成は、第1の動作モードで1つまたは複数の欠陥を分析するのに使用される単一のプローブを含む。第2の動作モードにおいて、単一のプローブは、発見された欠陥のために1つまたは複数のマークを生成するのに使用される。例として、これは、マスクまたはウェハに1つまたは複数のくぼみを生成することによって実行することができる。
【0018】
1つの態様では、少なくとも1つの第1のプローブは、少なくとも1つの欠陥を分析するように具現された少なくとも2つのプローブを含む。
例えば、異なる機構を介してサンプルと相互作用するか、または測定チップの異なる曲率半径を有することができる2つ以上の分析プローブを含むプローブ構成を使用して、マスクもしくはウェハの包括的な画像、または表面に存在する1つもしくは複数の欠陥の包括的な画像を決定することが可能である。2つ以上の分析プローブの最適化は、例えばこれらのプローブのための幾何形状および材料選定を介して実行することができる。第2に、これらのプローブのホルダが、この機能を満たすために最適化され得る。
その上、異なる欠陥タイプを含む、かつ/または特定の位置を有する異なる欠陥が、マスクまたはウェハに存在することがある。少なくとも2つのプローブのうちの1つは、追加として、マスクまたはウェハに1つまたは複数のマークを生成するために使用することができる。
【0019】
少なくとも1つのマークを生成するための手段は、フォトリソグラフィマスクまたはウェハに少なくとも1つのくぼみを生成するように具現された少なくとも1つの第2のプローブを含むことができる。少なくとも1つのくぼみをフォトリソグラフィマスクの吸収体構造の要素に生成することができる。
マスクまたはウェハの表面に構造を生成するための技法は、「力支援ナノリソグラフィ」という用語に関連する一節の前述の概要項目の導入部で説明されている。
【0020】
少なくとも2つのプローブを含むプローブ構成は、これらが異なる機能または目的を実行するように最適化され得るので有利である。少なくとも1つの第2のプローブは、所定の方法でマスクまたはウェハを修正し、それによって、マスクまたはウェハにマークを生成するように狙い通りに設計することができる。例として、そのようなプローブのチップの設計のためのパラメータは、サンプルに材料を堆積させることによってまたはサンプルの表面に構造を生成することによってマークがサンプルに生成されるかどうかに依存する。第2のプローブのホルダ(専門家分野では普通であるように、以下、カンチレバーとも呼ぶ)および第2のプローブの測定チップは、チップが所定の機能を満たすために理想的な方法で使用され得るように具現される。追加として、本発明による走査型プローブ顕微鏡の制御ユニットは、実行されるべき機能に第2のプローブの動作モードを適合させやすくする。さらに、プローブ構成は、1つを超えるマークを生成するために複数の第2のプローブを含むことができる。例として、プローブ構成は、サンプルにくぼみを生成することによって第1のマークを生成する1番目の第2のプローブと、サンプルの表面上に材料を堆積させることによって第2のマークを生成するためにサンプルに材料を堆積させるためのさらなる第2のプローブとを含むことができる。それゆえに、個々のプローブが特定の用途のために最適化されている、本発明による走査型プローブ顕微鏡のためのプローブ構成を製造することが可能である。
【0021】
プローブ構成の1つのプローブのみがどの時点においても動作し、一方、他の1つまたは複数のプローブは静止位置にあることが好ましく、このプローブのチップまたはこれらのプローブのチップは、ウェハまたはマスクの表面からある距離に保持され、その距離は、マスクもしくはウェハまたはマスクもしくはウェハの欠陥と、このプローブまたはこれらのプローブとの相互作用を実質的に防止するように十分に大きいことが望ましい。その結果として、上述で規定されたプローブ構成のうちの1つを従来の走査型プローブ顕微鏡に設置するための装置に関する支出は低い。しかしながら、プローブの各々のものを、1つの移動要素または複数の移動要素を介して、それぞれの静止位置から規定の作動位置に素早くおよび再現性よく持って行くことができることが重要である。
少なくとも1つのマークを生成するための手段は、少なくとも1つの第2のプローブの測定チップに電圧を印加することによって、フォトリソグラフィマスクまたはウェハに少なくとも1つのマークとして材料を堆積させるように具現された少なくとも1つの第2のプローブを含むことができる。少なくとも1つのマークの材料は、フォトリソグラフィマスクの吸収体構造の要素に堆積させることができる。
【0022】
材料は、サンプルと第2のプローブの測定チップとの間で、測定チップとサンプル表面との間の水メニスカス内で、DC電圧の印加によってまたは電圧パルスの結果として、マスクまたはウェハの表面に堆積され得る。第2節で述べた"Nanoscale material patterning and engineering by atomic force microscopy nanolithography" by X.N. Xie, H.J. Chung, C.H. Sow and A.T.S. Weeという概要項目は、サンプルの表面にマークを付けるために使用することができるこの技法を「バイアス支援ナノリソグラフィ」として説明している。
第2のプローブのチップは、表面の測定には使用されず、それゆえに、厳密に言えば、測定チップを構成していない。以下、マスクもしくはウェハの表面上に材料を堆積させるかまたはマスクもしくはウェハの表面を修正するために使用される第2のプローブのチップは、やはり、測定チップと呼ぶ。
【0023】
少なくとも1つのマークを生成するための手段は、ディップペンナノリソグラフィプロセスにおけるインクの直接書き込みによって少なくとも1つのマークを生成するように具現された少なくとも1つの第2のプローブを含むことができる。少なくとも1つのマークは、フォトリソグラフィマスクの基板および/または吸収体構造の要素に材料を堆積させることによって生成することができる。
DPN(ディップペンナノリソグラフィ)プロセスによって直接書き込むことにより1つまたは複数のマークを生成することは、マークが、マスクまたはウェハを実質的に損傷することなく生成され得、少ない支出でマスクまたはウェハから再び除去され得るという点で有利である。構造を、故にマークをマスクまたはウェハの表面に堆積させるための技法は、「ディップペンナノリソグラフィ」という用語に関連する一節の前述の概要項目で論じられている。
【0024】
制御ユニットは、少なくとも1つのマークを付けるための位置を決定するためにフォトリソグラフィマスクの設計データを使用するように具現され得る。
これにより、マークが、例えば、フォトマスクの吸収体構造の要素の縁部に付けられないことを保証することが可能になる。その場合、マークは、走査型粒子ビーム顕微鏡の粒子ビームによって辛うじて検出することができるにすぎない。その上、マークを付けることおよびマスク表面からマークを除去することは、マスクの設計データを含むことによって簡単化することができる。例として、これは、フォトマスクの場合、印刷可能な欠陥に関して透明マスクの基板または反射マスクの多層反射構造ほど重大でない吸収体構造の要素上にマークが好ましくは生成されるおかげでもたらされる。
少なくとも1つのマークは、吸収体構造の少なくとも1つの要素の少なくとも1つのエッジ粗さを含むことができる。
【0025】
吸収体構造の少なくとも1つの要素の明白なエッジ粗さの場合には、エッジ粗さは、付近にあるフォトマスクの欠陥のための唯一のマークとして使用することができる。しかしながら、走査型プローブ顕微鏡の第2のプローブのうちの1つの助けを借りてマスクで生成される少なくとも1つのさらなるマークに加えて、エッジ粗さが追加のマークとして使用されることが好ましい。さらに、明白なエッジ粗さをフォトマスクの欠陥と考え、したがって、それを除去することが必要であることがある。
少なくとも1つの第1のプローブおよび少なくとも1つの第2のプローブは、1000μm〜50μm、好ましくは500μm〜100μm、および最も好ましくは250μm〜200μmの間隔を有することができる。プローブ構成の少なくとも1つの第1のプローブおよび少なくとも1つの第2のプローブは、微小電気機械システム(MEMS)として具現することができ、少なくとも1つの第1のプローブと少なくとも1つの第2のプローブとの間隔の正確さは、1μm未満、好ましくは200nm未満、および最も好ましくは50nm未満である。
【0026】
走査型プローブ顕微鏡は、少なくとも1つのマークの位置データおよび/または少なくとも1つの欠陥のトポグラフィデータおよび/または少なくとも1つの欠陥の修復テンプレートを走査型粒子ビーム顕微鏡に移送するためのインタフェースを含むことができる。
マークの位置データ、および追加としてマスクまたはウェハの1つまたは複数の欠陥の少なくともトポグラフィデータを補修ツール、例えば、走査型粒子ビーム顕微鏡などに移送すると、補修ツールによる1つまたは複数の欠陥の除去または補償が大幅に簡単化される。
【0027】
走査型プローブ顕微鏡は走査型力顕微鏡を含むことができる。
測定システムは、上述の態様のうちの1つによる走査型プローブ顕微鏡と、走査型粒子ビーム顕微鏡とを含むことができ、走査型粒子ビーム顕微鏡は、少なくとも1つのマークの位置データおよび/または少なくとも1つの欠陥のトポグラフィデータおよび/または少なくとも1つの欠陥の修復テンプレートを受け取るためのインタフェースを含む。
少なくとも1つのマークは、走査型粒子ビーム顕微鏡によって高い空間分解能で決定され得るように具現される。走査型粒子ビーム顕微鏡に供給される1つまたは複数の欠陥のトポグラフィデータまたはさらに1つまたは複数の欠陥の修復テンプレートのおかげで、走査型粒子ビーム顕微鏡は、高い正確さで1つまたは複数の欠陥を局限し、その結果として、これらを高い精度で除去することができる。マスクまたはウェハとの様々な相互作用機構によって突き止められた測定データの重ね書き問題は、導入部で説明したように、ほとんど無しで済まされる。その結果として、本発明による走査型プローブ顕微鏡と走査型粒子ビーム顕微鏡の両方の適用可能性が最適化される。
【0028】
走査型粒子ビーム顕微鏡は、フォトリソグラフィマスクまたはウェハにわたって少なくとも1つのマークおよび少なくとも1つの欠陥を検出するために少なくとも1つの粒子ビームを走査するように具現された制御ユニットを含むことができる。
走査型粒子ビーム顕微鏡の制御ユニットは、粒子ビームの走査データ、少なくとも1つのマークの位置データ、および少なくとも1つの欠陥のトポグラフィデータから少なくとも1つの欠陥の修復テンプレートを決定するように具現され得る。
走査型粒子ビーム顕微鏡は、(a)少なくとも1つのエッチングガスを貯蔵するように具現された少なくとも1つの第1の貯蔵容器、および/または(b)少なくとも1つの堆積ガスを貯蔵するように具現された少なくとも1つの第2の貯蔵容器、および/または(c)少なくとも1つの第1の貯蔵容器のための少なくとも1つの第1のバルブと、少なくとも1つの第2の貯蔵容器のための少なくとも1つの第2のバルブとを含む少なくとも1つの供給システムであり、欠陥および少なくとも1つのマークの位置に少なくとも1つのエッチングガスおよび/または少なくとも1つの堆積ガスを供給するように具現される、少なくとも1つの供給システムとをさらに含むことができる。
【0029】
これらの追加の構成要素の結果として、走査型粒子ビーム顕微鏡は、欠陥の分析に加えて、欠陥の補正に使用することもできる。
走査型粒子ビーム顕微鏡の制御ユニットは、修復テンプレートに基づいて、少なくとも1つの欠陥を補正するために、少なくとも1つの粒子ビームおよび少なくとも1つのエッチングガスのガス流量または少なくとも1つの堆積ガスのガス流量を制御するようにさらに具現され得る。
走査型粒子ビーム顕微鏡の制御ユニットは、少なくとも1つの欠陥を補正するために、少なくとも1つのエッチングガスのガス流量または少なくとも1つの堆積ガスのガス流量を制御するようにさらに具現され得る。少なくとも1つの欠陥は、真空環境で補正することができる。
【0030】
走査型粒子ビーム顕微鏡の制御ユニットは、少なくとも1つのマークを除去するために、少なくとも1つの粒子ビームおよび少なくとも1つのエッチングガスのガス流量または少なくとも1つの堆積ガスのガス流量を制御するように具現され得る。走査型粒子ビーム顕微鏡の制御ユニットは、少なくとも1つのマークを除去するために、少なくとも1つの粒子ビームおよび少なくとも1つのエッチングガスのガス流量または少なくとも1つの堆積ガスのガス流量を制御するようにさらに具現され得る。
1つまたは複数の欠陥を精密に補正することに加えて、規定された走査型粒子ビーム顕微鏡は、追加として、ほとんど残留物のない方法でマスクまたはウェハからマークを除去することができる。マークが、堆積された材料の形態で実現された場合、マークはエッチングプロセスによって除去することができる。もしもマークがくぼみの形態で生成されている場合、くぼみはマークの上に材料を堆積させることによって除去することができる。
その上、走査型粒子ビーム顕微鏡の制御ユニットは、少なくとも1つのマークをマークの位置データから自動的に識別するように具現され得る。
【0031】
走査型粒子ビーム顕微鏡の制御ユニットは、少なくとも1つのマークの位置データを少なくとも1つの粒子ビームの走査データに自動的に重ね合わせるようにさらに具現され得る。
その上、測定システムは、化学洗浄プロセスによって少なくとも1つのマークを除去するように具現された洗浄デバイスを含むことができる。
マスクまたはウェハの生成プロセス中の必要な洗浄ステップの範囲内でマークを除去することにより、マークの除去のための追加のプロセスステップが回避される。
【0032】
少なくとも1つのエッチングガスは、キセノンジフルオリド(XeF2)、酸素(O2)、オゾン(O3)、水蒸気(H2O)、過酸化水素(H22)、一酸化二窒素(N2O)、酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、硝酸(HNO3)、塩素(Cl2)、塩化水素(HCl)、フッ化水素酸(HF)、ヨウ素(I2)、ヨウ化水素(HI)、臭素(Br2)、臭化水素(HBr)、塩化ニトロシル(NOCl)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、三フッ化リン(PF3)、および三フッ化窒素(NF3)を含むことができる。
少なくとも1つの堆積ガスは、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)、ジコバルトオクタカルボニル(Co2(CO)8)、トリルテニウムドデカカルボニル(Ru3(CO)12)、または鉄ペンタカルボニル(Fe(CO)5)などの金属カルボニル、シクロペンタジエニル(Cp)、トリメチル白金(CpPtMe3)、メチルシクロペンタジエニル(MeCp)トリメチル白金(MeCpPtMe3)、テトラメチルスズ(SnMe4)、トリメチルガリウム(GaMe3)、またはフェロセンシクロペンタジエニル(Cp2Fe)などの金属アルキル、六塩化タングステン(WCl6)、四塩化チタン(TiCl4)、三塩化硼素(BCl3)、または四塩化ケイ素(SiCl4)などの金属ハロゲン化物、テトラエチルオルトシリケート(Si(OC254)またはチタンイソプロポキシド(Ti(OCH(CH324)などの金属アルコキシドを含むことができる。さらに、少なくとも1つの堆積ガスは、有機炭素化合物を含むことができる。有機炭素化合物は、エチレン(C24)、スチレン(C88)、ピレン(C1610)、ヘキサデカン(C1634)、流動パラフィン(C1226からC1838)、メタン酸(CH22)、酢酸(C242)、アクリル酸(C342)、プロピオン酸(C362)、および/またはメタクリル酸メチル(MMA)(C582)を含むことができる。
【0033】
走査型粒子ビーム顕微鏡の少なくとも1つのインタフェースは、走査型プローブ顕微鏡への問い合わせをワイヤレス送信するための、および少なくとも1つのマークの位置データおよび/または少なくとも1つの欠陥のトポグラフィデータおよび/または少なくとも1つの欠陥の修復テンプレートを受信するための送信器/受信器組合せを含むことができる。
【0034】
走査型粒子ビーム顕微鏡の制御ユニットは、マスクまたはウェハに存在する少なくとも基準マークに対して規定した基準で少なくとも1つのマークの位置を決定するようにさらに具現され得る。
走査型粒子ビーム顕微鏡は、走査型電子顕微鏡を含むことができる。
【0035】
フォトリソグラフィマスクまたはウェハの少なくとも1つの欠陥を分析する方法は、(a)走査型プローブ顕微鏡を使用して少なくとも1つの欠陥を分析するステップと、(b)走査型プローブ顕微鏡を使用して、フォトリソグラフィマスクまたはウェハに少なくとも1つのマークを生成するステップであり、少なくとも1つのマークが、走査型粒子ビーム顕微鏡によって検出され得るように具現される、生成するステップと、(c)走査型粒子ビーム顕微鏡の少なくとも1つの粒子ビームを使用して少なくとも1つのマークを検出するステップとを含む。
【0036】
フォトマスクまたはウェハの欠陥を、走査型粒子ビーム顕微鏡の代わりに走査型プローブ顕微鏡を用いて分析するプロセスを開始することには、少なくとも2つの利点があり、第1に、走査型プローブ顕微鏡は、走査型粒子ビーム顕微鏡には見えない欠陥を試験することができる。これにより、欠陥分析の信頼性が向上する。第2に、マークは、走査型粒子ビーム顕微鏡の選択肢と比較したとき、走査型プローブ顕微鏡の助けを借りてより簡単な方法で生成することができる。走査型プローブ顕微鏡は、1つまたは複数のマークを生成するための多数の選択肢をもたらすので、マークは、マークの環境から理想的に見分けられるように設計され得る。その上、マークは、欠陥修復プロセスの完了後マスクまたはウェハから容易に除去され得るように生成することができる。最後に、走査型プローブ顕微鏡を介して1つまたは複数のマークを付けることは、修復デバイス、すなわち、走査型粒子ビーム顕微鏡の貴重な時間を解放する。
少なくとも1つの欠陥は、走査型粒子ビーム顕微鏡によって検出することができないまたは信頼性高く検出することができない欠陥を含むことができる。
そのような欠陥の重要な種類はフォトリソグラフィマスクの位相欠陥であり、それは既に上述で論じた。
1つの態様では、少なくとも1つのマークは、欠陥の少なくとも一部および少なくとも1つのマークが走査型プローブ顕微鏡の単一走査領域に配置されるように少なくとも1つの欠陥の近くに生成される。
少なくとも1つの欠陥を分析するステップは、少なくとも1つの欠陥のトポグラフィデータおよび少なくとも1つのマークの位置データを決定するステップを含むことができる。
【0037】
別の態様は、少なくとも1つの欠陥の修復テンプレートを少なくとも1つの欠陥のトポグラフィデータから決定するステップをさらに含む。
さらなる態様は、少なくとも1つのマークの位置データおよび/または少なくとも1つの欠陥のトポグラフィデータおよび/または少なくとも1つの欠陥の修復テンプレートを走査型プローブ顕微鏡の不揮発性メモリに記憶するステップをさらに含む。
さらに、この方法は、少なくとも1つのマークの位置データおよび/または少なくとも1つの欠陥のトポグラフィデータおよび/または修復テンプレートを走査型プローブ顕微鏡から走査型粒子ビーム顕微鏡に移送するステップを含むことができる。
この方法は、少なくとも1つの欠陥および少なくとも1つのマークを走査型粒子ビーム顕微鏡の少なくとも1つの粒子ビームによって走査するステップを含むことができる。
【0038】
1つの態様は、少なくとも1つの欠陥の修復テンプレートを決定するために、粒子ビーム走査のデータを、少なくとも1つのマークの位置データおよび少なくとも1つの欠陥のトポグラフィデータに重ね合わせるステップを含む。
少なくとも1つのマークの位置データを検出するステップは、マークのコンピュータ支援識別によって実行することができる。
少なくとも1つのマークを生成するステップは、少なくとも1つのマークを付ける位置を決定するためにフォトリソグラフィマスクの設計データを使用するステップを含むことができる。
【0039】
1つの態様は、修復テンプレート、少なくとも1つの粒子ビーム、および少なくとも1つのエッチングガスまたは少なくとも1つの堆積ガスによって少なくとも1つの欠陥を補正するステップをさらに含む。別の態様は、修復テンプレートおよび少なくとも1つのエッチングガスまたは少なくとも1つの堆積ガスによって少なくとも1つの欠陥を補正するステップをさらに含む。
さらなる態様は、少なくとも1つの粒子ビームおよび少なくとも1つのエッチングガスまたは少なくとも1つの堆積ガスを使用して、フォトリソグラフィマスクまたはウェハから少なくとも1つのマークを除去するステップをさらに含む。別の態様は、少なくとも1つのエッチングガスまたは少なくとも1つの堆積ガスを使用して、フォトリソグラフィマスクまたはウェハから少なくとも1つのマークを除去するステップをさらに含む。
その上、この方法は、化学洗浄ステップを使用して、フォトリソグラフィマスクまたはウェハから少なくとも1つのマークを除去するステップを含むことができる。化学洗浄ステップは、ウェット化学洗浄ステップとすることができる。
【0040】
この方法は、マスクまたはウェハに存在する少なくとも1つの基準マークと規定された関係で少なくとも1つのマークを生成するステップをさらに含むことができる。その上、この方法は、マスクまたはウェハが配置されるサンプルステージの少なくとも1つの基準マークと関連して少なくとも1つのマークの位置データを決定するステップを含むことができる。
少なくとも1つのマークを生成するステップは、フォトリソグラフィマスクの吸収体構造の要素に少なくとも1つのくぼみを生成するステップを含むことができる。さらに、少なくとも1つのマークを生成するステップは、基板および/またはフォトリソグラフィマスクの吸収体構造の要素に材料を堆積させるステップを含むことができる。
以下の詳細な説明は、図面を参照して本発明の現在好ましい例示的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】欠陥向けの先行技術による修復テンプレートを生成するための流れ図である。
図2】走査型プローブ顕微鏡のいくつかの重要な構成要素の概略図である。
図3】プローブ構成を含む図2の走査型プローブ顕微鏡の概略図である。
図4】切換デバイスと制御ユニットとを含む、プローブ構成の概略図を上面図で再現する図である。
図5】異なる機能のために最適化された測定チップをもつプローブ構成の概略的に拡大された図を説明する図である。
図6】プローブが静止位置から作動位置へと下げられた状態の図5を示す図である。
図7】フォトマスクの2つのタイプの欠陥と、欠陥分析のために使用される、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の2つのタイプのプローブとを概略的に示す図である。
図8】フォトリソグラフィマスクの吸収体材料を欠いている2つの欠陥を概略的に説明し、その分析のためのSPMのプローブを明示する図である。
図9】欠陥がマークで示された後の図7からの欠陥の上面図である。
図10】欠陥がマークで示された後の図8からの欠陥の上面図を再現する図である。
図11】デバイスを通る概略断面を示す図であり、デバイスによって、マークを読むことができ、フォトリソグラフィマスクまたはウェハの欠陥を補正することができる。
図12図3の走査型プローブ顕微鏡と図11のデバイスとを組み合わせた測定システムの概略図である。
図13】本発明による方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明によるデバイスおよび本発明による方法の現在好ましい実施形態が、より詳細に以下で説明される。本発明によるデバイスおよび本発明による方法は以下の例示的な実施形態に制限されないことが理解されよう。
図1の流れ図100は、走査型プローブ顕微鏡の一例としての原子間力顕微鏡(AFM)と走査型粒子ビーム顕微鏡の一例としての走査型電子ビーム装置(SEM;走査型電子顕微鏡)との助けを借りて分析された欠陥の修復テンプレートを突き止めるための現状を説明する。AFMおよびSEMは単一の装置に統合されている。図1で説明する例では、欠陥は、SEMの画像において見える。
【0043】
方法はステップ105から始まる。サンプルの欠陥の位置が、検査ツール、例えば、レーザシステムまたはAIMS(商標)(エアリアルイメージ測定システム)の助けを借りてステップ110において突き止められる。欠陥は、ステップ115においてSEMの電子ビームの助けを借りて走査される。その結果として、SEMは、ステップ120においてサンプル表面に1つまたは複数のマークを生成する。これは複雑なプロセスであるが、その理由は、SEMの電子ビームに加えて、少なくとも1つの堆積ガスが、マークの材料を堆積させることができるように欠陥の近傍に供給されなければならないからである。代替として、エッチングガスを供給して、電子ビーム誘起エッチングプロセスによってサンプル中に1つまたは複数のマークをエッチングすることができる。
【0044】
以下、「サンプル」という表現は、とりわけ、フォトリソグラフィマスクとウェハとを含む何よりも重要な用語として使用される。
欠陥は、ステップ125においてAFMの助けを借りて走査される。サンプルの欠陥は、以前に生成されたマークの助けを借りて見いだされる。続いて、AFMの走査によって得られたデータは、ステップ130において処理される。ステップ135において、処理されたAFMデータは、サンプルを欠陥の領域において走査することによってSEMの電子ビームにより生成された画像に導入される。次のステップ140において、処理されたAFMデータ中のマークは、手動プロセスの範囲内でSEM像のマークに重ね合わされる。その結果として、欠陥の画像が、ステップ145においてSEM像と処理済みAFMデータとの重ね合わせデータから生成される。ステップ150において、欠陥の修復テンプレートが、欠陥画像に基づいて生成され、次いで、方法はステップ155において終了する。
【0045】
万一その欠陥がSEMで見ることができないかまたは辛うじてしか見ることができない欠陥である場合、ステップ115およびステップ135はダイアグラム100において無しで済まされる。その上、流れ図のステップ140は変更される。ステップ140において、欠陥がSEMの画像において見えない状態で、SEMデータのマークとAFMデータのマークとが重ね合わされる。これらの変更は図1に示されていない。位相欠陥は、SEMで検出できないかまたは信頼性高く検出できない欠陥の一例である。
説明したプロセスを改善しやすくするデバイスの例示的な実施形態が、以下で論じられる。最後に、サンプルの欠陥の修復テンプレートを決定する改善された方法の一実施形態が次いで説明される。
【0046】
図2は、走査型プローブ顕微鏡200のいくつかの構成要素を概略的に示している。走査型プローブ顕微鏡200は、ちょうど以下で説明するプローブ構成のうちの1つのように、周囲条件下でまたは真空チャンバ中で動作することができる(図2に示されていない)。サンプル220は、サンプルステージ210に配置される。サンプルステージ210は、一方向に(例えば、z方向に)、2方向に(例えば、x方向およびy方向に)、または3方向に、例えば、1つまたは複数のマイクロ変位要素またはマイクロマニピュレータによって移動可能とすることができる(図2に図示せず)。
プローブ230は、当技術分野で慣例であるように、測定チップ240と、以下でカンチレバー250と呼ぶバーとを含む。プローブ230のカンチレバー250は、ピエゾアクチュエータ260に取り付けられる。ピエゾアクチュエータ260の自由端270は、保持デバイスに固定される(図2に明示されていない)。保持デバイスは、試験されるべきサンプル220の領域にプローブ230を持って行く変位要素を含む。代替としてまたは追加として、サンプルステージ210は、この目的のために変位要素を含むことができる(図2に図示せず)。
【0047】
プローブ230は、プローブ230のカンチレバー250の撓みを測定するセンサ要素(図2に示されていない)をさらに含む。センサ要素の信号は、SPM200の制御ユニット280の入力部265に与えられる。制御ユニット280の出力部275を介して、制御ユニット280は、対応する動作信号をピエゾアクチュエータ260に出力することができる。したがって、ピエゾアクチュエータ260は、閉ループで動作することができる。さらに、制御ユニット280は、プローブ230の測定チップ240がサンプル220にわたって走査するように、出力部285を介して信号をピエゾアクチュエータ260に出力することができる。その結果として、プローブ230は、サンプル220の一部にわたって2次元(2D)走査で走査して、欠陥の領域のサンプル表面215の2D輪郭を決定することができる。
【0048】
さらに、制御ユニット280は、プローブ230の測定チップ240が、走査された欠陥から規定の距離のところのサンプル表面215に1つまたは複数のくぼみを生成するようにピエゾアクチュエータ260を制御することができる。故に、走査型プローブ顕微鏡200は、本発明によるデバイスの簡単な例示的な実施形態を構成している。
図2で説明する設計では、ピエゾアクチュエータ260は、管状形態を有し、4つの外部電極と1つの内部電極とを含む。ピエゾアクチュエータ260の様々な実施形態が存在する。複数のプローブを含むプローブ構成を移動させるために、管状形態に加えて、プローブ230の測定チップ240の必要な移動を実行できるあらゆる設計を使用することができる。特に、ピエゾアクチュエータ260は、xy平面内およびそれに垂直な移動を別個の電気コネクタによって制御できるように様々なセグメントを含むことができる(図2に示されていない)。コネクタ290は、制御ユニット280をコンピュータシステムに接続することができる(図2に図示せず)。
【0049】
図3の走査型プローブ顕微鏡300は、4つのプローブ330をもつプローブ構成310を含み、図2に類似しているプローブ330の各々は、センサ要素を含む。電圧源350は、スイッチ315によってプローブ330のセンサ要素のうちの1つに適用される。センサ要素からの信号は、スイッチ325の助けを借りてSPM300の制御ユニット280の入力部265に与えられる。スイッチ325の位置により、プローブ構成310のすべてのプローブ330からそのプローブ330を選択することができ、そのプローブ330のセンサ要素が、電圧源350と、制御ユニット280の入力部265とに接続される。これを使用して、単一のプローブ230の例を使用して図2で説明したようにプローブ330の各々に対して閉フィードバックまたは制御ループを構築することが可能である。
【0050】
図4のダイアグラム400は、プローブ構成410と、図3の走査型プローブ顕微鏡300の制御ユニット480へのプローブ構成410の電気接続の上面図を概略的に説明する。図3の例と異なり、プローブ構成410は、この例では、並列に配置された5つのプローブ415、420、425、430、および435を含む。図3と類似した方法で、ピエゾアクチュエータ470はプローブ構成410に取り付けられる。ピエゾアクチュエータ470の反対側または自由端は、図3のSPM300の保持デバイスに固定される(図4に示されていない)。
【0051】
図4のダイアグラム400は、ピエゾアクチュエータ470を移動させるための6つのコネクタを概略的に示している。ここで、ピエゾアクチュエータ470の内側メタライゼーションに接続されたz方向の移動のための2つのコネクタは、分かりやすくするために図4では隠されている。6つのコネクタを介して、走査型プローブ顕微鏡300の制御ユニット480は、プローブ構成410の面(xy平面)内のピエゾアクチュエータ470の移動と、プローブ構成410の面に垂直な方向(z方向)の移動との両方を制御することができる。図2に関連した議論で説明したように、ピエゾアクチュエータ470のxコネクタおよび/またはyコネクタに電気信号を印加することによって、制御ユニット480は、さらに、プローブ415、420、425、430、および435をサンプル220にわたってプローブ構成410の面と平行に走査し、かつ/または追加としてプローブ構成410の面に垂直なz方向に前記プローブを移動させることができる。
その上、ピエゾアクチュエータ470は、プローブ構成410の制御され再現可能な移動を図2および図3のサンプル220の表面に対して実行しやすくする。
【0052】
位置決め要素または移動要素417、422、427、432、および437は、プローブ415〜435のカンチレバー416、421、426、431、436の上側に取り付けられる。制御ユニット480から適切な制御信号を印加することによって、位置決め要素417、422、427、432、および437は、対応するプローブ415〜435のカンチレバー416〜436を、静止位置から作動または操作位置に、逆も同様に、持って行きやすくする。例として、位置決め要素417〜437は、ピエゾアクチュエータとしてまたは抵抗加熱によるバイメタル要素として具現することができる。バイメタル要素は、熱に変換される電気エネルギーによって、規定された方法で所定の方向にプローブ415〜435のカンチレバー416〜436を曲げる。現在は、位置決め要素417〜437の各々をデジタル要素として具現することが好ましく、デジタル要素は、単に、2つの規定された状態、すなわち、規定された静止位置および規定された作動位置を有し、静止位置と作動位置との間を行ったり来たり切り替える機能を備えている。しかしながら、位置決め要素417〜437の各々は、2つを超える規定された状態を有する要素として構成することもでき、その結果、位置決め要素417〜437は、対応するプローブ415〜435のカンチレバー416〜436を励振して、例えば、それ自体の共振周波数で振動させることができる。
代替実施形態では、プローブ415〜435を静止位置から作動位置に持って行くためにレーザビームを利用することができる(図4に示されていない)。この目的のために、プローブ415〜435のカンチレバー416〜436は、バイメタル要素の形態で具現される。カンチレバー416〜436のうちの1つに光を放射することによって、カンチレバー416〜436のうちの1つは、サンプル220の方向に曲がり、その結果として、プローブ415〜435を静止位置から作動位置に持って行く。
【0053】
図2および図3に関連した議論で既に触れたように、センサ要素418、423、428、433、および438は、プローブ構成410のプローブ415〜435のカンチレバー416〜436に配置される。図4の例では、センサ要素418〜438は、プローブ415〜435のカンチレバー416〜436の下側に取り付けられ、それゆえに、図4の上面図では見えない。その位置が、エンドポイントのない線によって図4に明示されている。センサ要素418〜438の各々は、それぞれのカンチレバー416〜436の曲げ、故に、ピエゾアクチュエータ470によっておよびそれぞれのカンチレバー416〜436に割り当てられた位置決め要素417〜437によって引き起こされたカンチレバー416〜436の曲げと、追加として、サンプル220とプローブ415〜435との間の力の作用によって引き起こされたカンチレバー416〜436の曲げとの両方を検出し、故に、全体として、前記センサ要素の各々は、自由端に取り付けられた測定チップの位置を検出する。例として、センサ要素418〜438は、ホイートストンブリッジ回路の圧電抵抗要素として具現することができる。
【0054】
プローブ415〜435のカンチレバー416〜436への位置決め要素417〜437およびセンサ要素418〜438の配置は、図4に示したアタッチメントと関連して交換されてもよい。その上、位置決め要素417〜437とセンサ要素418〜438の両方は、プローブ415〜435のカンチレバー416〜436の一方の側に取り付けられてもよい。
【0055】
図2および図3との関連で既に説明したように、対応するセンサ要素418〜438の測定データの助けを借りて、それぞれのプローブ415〜435のための閉ループを動作の際に設定することが可能である。これを使用して、プローブアレイ410の個々のプローブ415〜435は、図2の個々のプローブ230の様々な動作モードで動作することができる。
プローブ構成410を既存のSPM200に設置するための構造支出を低く保つために、切換デバイス475が、図4の例では、プローブアレイ410と、図2のSPM200の制御ユニット480との間にある。これを使用して、SPM200の制御ユニット480は、単一のプローブ230を動作させるための制御ユニット280と関連して変わらないままとすることができる。スイッチ478を変位させることによって、切換デバイス475は、プローブ構成410の動作可能なプローブ415〜435をSPM200の制御ユニット280に接続する。図4に示した例では、プローブ420は作動位置にあるが、他のすべてのプローブ415、425、430、および435は静止位置にある。
【0056】
電気的または機械的切換要素を切換デバイス475として使用することができる。図4の例示的な図とは対照的に、切換デバイス475を介して位置決め要素417〜437の電気コネクタを案内する必要はない。むしろ、これらは、制御ユニット480に直接接続されてもよい。その結果として、切換デバイス475をより小さくすることが可能であり、切換デバイス475への要求は、特にその絶縁耐力の観点から、著しく軽減される。
制御ユニット480は演算器482を含み、演算器482はプロセッサの形態で具現することができる。さらに、制御ユニット480は、例えば半導体メモリの形態の不揮発性メモリ484を含む。その上、制御ユニット480は、ネットワークを介して制御ユニット480のデータ交換を容易にするインタフェース486を含む。インタフェース486は、対応するネットワークへの有線および/またはワイヤレス接続を確立することができる。代替としてまたは追加として、制御ユニット480は、コンピュータシステム490を介して、走査型粒子ビーム顕微鏡などの外部装置と通信することができる。
【0057】
走査型プローブ顕微鏡200の小さい変更に加えて、図4のプローブ構成410の実施形態は、電気信号がプローブ構成410の1つのプローブ415〜435にのみ印加されるという点で有利である。それゆえに、並列に動作するプローブ415〜435からの信号の相互影響または干渉は排除される。
しかしながら、プローブ構成410は、前記プローブ構成の電気コネクタがSPM300の改変された制御ユニットに直接接続されることによって、切換デバイス475なしに動作させることもできる。これを使用して、2つまたはすべてのプローブ415〜435は、SPM200の改変された制御ユニットによって並列に制御または動作され得る。
【0058】
コンピュータシステム490は、プローブ構成410の動作を制御ユニット480を介して制御する。コンピュータシステム490は演算器492を含み、演算器492は1つまたは複数のプロセッサの形態で具現することができる。さらに、コンピュータシステム490は、不揮発性メモリ494を、例えばハードディスクドライブおよび/または半導体メモリの形態で含む。その上、コンピュータシステム490は、ネットワークを介して遠方のコンピュータと通信するインタフェース496を含む。インタフェース496は、1つまたは複数のネットワークへの有線および/またはワイヤレス接続を確立することができる。
【0059】
図5は、図4からのプローブ構成410を側面から示しており、そのため、プローブ構成410のプローブ415〜435の測定チップ419、424、429、434、および439が見える。プローブ415および420の2つのチップ419および424は、サンプル220を分析するように設計されている。これらの2つの測定チップの一方の419は、その下端に向かって先細りになり(すなわち、カンチレバー416から距離が増加するにつれて先細りになり)、先の尖った端部を有する。これは、サンプル220を走査するとき高い空間分解能を保証することができる。
測定チップ419は、プローブ415のカンチレバー416と同じ材料を含む。例として、シリコンまたは窒化ケイ素を材料として使用することができる。しかしながら、プローブアレイ410は、MEMS(微小電気機械システム)の生成を可能にする任意の半導体材料または半導体材料の組合せから製造することもできる。代替として、プローブ415およびその測定チップ419は、金属、合金、またはダイヤモンドから製造することもできる。
【0060】
その上、測定チップ419は、例えば、その表面をより固くし、それゆえに、より丈夫にするために被覆を備えることができる。その上、チップ419とサンプル220との相互作用を、被覆により適合させることができる。例として、測定チップの良好な導電性が走査型トンネル顕微鏡の形態のSPM300の実施形態にとって重要であり、そこで、そのような場合に高い導電性をもつ被覆を施すことができる。個々のプローブ415〜435のために開発されたチップ419の他の変更を、プローブ構成410の測定チップ419〜439に適用することもできる。
第2の測定または分析プローブ420は長い針形状チップ424を有する。例として、この針形状測定チップ424はカーボンナノチューブからなることができる。測定チップ424は、プローブ420のカンチレバー421の自由端に接着剤で取り付けられていてもよく、または測定チップ424は、カンチレバー421の自由端に蒸着によって成長されていてもよい。この第2の分析プローブ420を使用して、非常に大きいアスペクト比、すなわち、構造の深さまたは高さと構造の最小横方向長さとの間の比を有するサンプル220の表面の領域を走査することが可能である。
【0061】
しかしながら、サンプル220を分析するためのプローブは、図5の測定チップ419および424に制限されない。むしろ、分析チップは、走査型プローブ顕微鏡のそれぞれのタイプに整合させることができる。トンネル電流(走査型トンネル顕微鏡)およびファンデルワールス力(走査型力顕微鏡すなわちAFM)に加えて、多くのさらなる物理的変数がサンプルを試験するために使用される。したがって、磁気力顕微鏡は、サンプルとプローブまたはそのチップとの間の磁気的相互作用を利用する。サンプルの試験のために、音響走査型顕微鏡はフォノンを使用し、光近接場走査型顕微鏡はフォトンを使用する。様々なSPMタイプのこのリストは、単に例示であり、決してない完全ではない。しかしながら、これらのSPMタイプのすべてに共通することは、分析プローブ415、420と、1つまたは複数のマークを生成するプローブとが、それぞれのタイプの相互作用に対して最適化されることである。その上、1つまたは複数の分析プローブ415、420は、前述のSPMタイプのうちの1つ1つのものに最適化された方法で具現することができる。
【0062】
その上、サンプル220の欠陥を分析するために使用される測定チップ415、420は、追加として、それぞれのサンプルに、さもなければ特定のプロセスパラメータに適合させることができる。これは、既に述べた欠陥のアスペクト比に加えて、例えば、サンプル220の欠陥のトポグラフィを捕捉することを目的とした必要な空間分解能に関連することができる。その上、分析プローブ415、420の測定チップ419、424の最適化は、SPM300が、大気条件で、液体中で、または真空中で動作されるかどうかに依存することができる。
プローブ構成410のプローブ425、430、および435は、サンプル220上にまたはサンプル220中にマークを生成するように設計される。
【0063】
プローブ425は、ディップペンナノリソグラフィ(DPN)プロセスの範囲内でサンプル220上に分子を堆積させ、それによって、ナノメートル範囲(<100nm)の寸法をもつ構造を生成するように設計される。この技法では、化合物で被覆されたプローブ425のチップ429が、サンプル220の表面215の上でチップ429を走査することによってサンプル220上にマークとしての構造を直接書き込むためにディップペンとして使用される。プローブ425のチップ429を被覆する化合物は、手書きに類似して、インクと呼ばれる。分子インクと液体インクとの間では区別がなされる。分子インクは、サンプル220上に堆積されるべき分子を溶液中に含んでいる。チップ429をインク溶液中に浸漬することによって、チップ429はインクで被覆される。溶質分子は、毛管凝縮のために適切な湿度条件下においてチップ429とサンプルとの間に生ずる水メニスカスでサンプル表面215上に拡散する。
【0064】
堆積条件下において液体形態で存在するあらゆる材料が、液体インクの形態で堆積され得る。液体インクは、チップ429によってサンプル表面215上に直接書き込まれる。ここで、堆積条件は、液体とチップ429との相互作用、液体とサンプル表面215との相互作用、および液体または液体インクの粘性によって決定される。液体インクを堆積させるために、プローブ425のカンチレバー426は、液体の供給ラインを有する。図5に示されていない供給ラインは、プローブ425のチップ429で終了するか、またはプローブ425の中空チップ429につながる。
溶質分子の選択に応じて、プローブ425は、様々な材料、例えば、金属、無機化合物、有機化合物などからマークを生成することができる。第1に金属、および第2に有機化合物が、マークを生成または書き込むのに有利である。例として、透過型フォトマスクの基板に金属ナノ構造の形態で堆積されたマークは、SEMの電子ビームの画像に明白な材料コントラストをもたらす。これは、同様に、吸収体構造の要素に堆積される有機化合物に当てはまる。フォトリソグラフィマスクの吸収体構造の要素は、主成分としてクロムまたは窒化チタンを含む。
【0065】
プローブ構成410のプローブ430のチップ434は、チップ434とサンプル220との間の電界中で材料を蒸発させることによって、金属ナノ構造の形態のマークをサンプル220に生成するように構成される。プローブ430のチップ434とサンプル表面215との間の小さい距離(数ナノメートル以下)の結果として、数ボルトの領域のチップ434と表面215と間の電圧は、108V/mから1010V/mの範囲の電界強度を生成するのにもはや十分である。そのような極端に高い電界強度は、電界放出または電気化学堆積によるマークの生成または書き込みを容易にする。
【0066】
プローブ430のチップ434は、ナノ構造マークとしてサンプル220上に堆積されるように意図された材料を実質的に含む。図3の電圧源350を介してプローブ430を撓ませるための電圧に加えて、電界放出を介してマークの堆積を開始するために電圧がプローブ430のチップ434に印加される。プローブ430のチップ434は、マークの電気化学堆積によってゆっくり分解される。この理由により、例示的なプローブ構成410において、プローブ430のチップ434は、ディップペンプロセスを実行するために使用されるプローブ425のチップ429よりも大きい曲率半径を有する。
場合によっては、摩耗したチップ434は、サンプル220がチップ434の材料で製作された基板と取り替えられ、プローブ430と基板との間の電圧が逆転されることによって実質的に回復させることができる。それゆえに、プローブ430は、サンプル220からの材料を局所的に堆積させることによってサンプル220の表面にマークを書き込むために使用することもできる。しかしながら、プローブ430は、通常、摩耗されたチップ434の場合には取り替えられる。
【0067】
最後に、プローブ435は、サンプル220の表面215中にナノ構造を生成または書き込むことによってマークを生成するように最適化される。処理チップ439がサンプル220の材料に直接接触するので、前記処理チップの表面は、チップ439の経済的耐用寿命を保証するためにサンプル220の表面215よりも固くあるべきである。この目標は、例えば窒化ケイ素などの硬質材料、および/または処理チップ439のための対応する調質層を使用することによって達成することができる。さらに、プローブ435は、カンチレバー436の好適な設計を介してその作業に対して最適化することができる。
プローブ435のチップ439の曲率半径を選択することによって、一方では大きい空間分解能(小さい曲率半径)と他方ではマークを生成するための短い処理時間(大きい曲率半径)との間で、妥協を設定することが可能である。
分析プローブ415および420との関連で論じたものと同様に、サンプル220にマークを生成するためのプローブ425、430、および435は、さらに、実行されるべきそれぞれの機能に対して最適化される。
【0068】
図5のダイアグラム500に示されたプローブ構成410では、分析プローブ415および420と、マークを生成するためのプローブ425、430、および435の両方は、単一の機能に向けて設計されている。しかしながら、プローブ構成410は、複数の機能を実行するように設計されたプローブをさらに含むことができる。
その上、図4および図5の例のプローブ構成410は、たまたま5つのプローブしか有していない。図2の議論で既に説明したように、単一のプローブ230を含む走査型プローブ顕微鏡200は、サンプル220の欠陥を試験するかまたはサンプル220上に1つまたは複数のマークを付けることができる。しかしながら、両方の機能の機能範囲は制限される。それゆえに、少なくとも2つのプローブ、すなわち、サンプル220を分析するための1つのプローブおよび少なくとも1つのマークを生成するためのさらなるプローブを含むプローブ構成が好ましい。プローブの数の上限は、MEMSで製造できるプローブの数によって設定される。
【0069】
図6は、図4および図5のプローブ構成410を示し、制御ユニット480は、制御信号を位置決め要素422に印加することによってプローブ420を静止位置から作動位置に移動させており、前記プローブを作動位置に保持し続ける。作動位置では、プローブ420は、静止位置に対して500nmだけ下げられている。作動位置では、プローブ420の測定チップ424は、サンプル表面215から0nm〜50nmの距離がある。その結果として、静止位置にあるプローブ415、425、430、および435のチップ419、429、434、および439は、サンプル220の表面から約500nm〜550nmの距離がある。これは、ピエゾアクチュエータ470を介した分析チップ424の動的動作モードと、柔らかいばね定数をもつカンチレバー416、426、431、436との場合でさえ、他のチップ419、429、434、および439がサンプル220の表面215に達しないことを保証する。
【0070】
図7のダイアグラム700は、基板710と吸収体構造730の3つの要素とを含むフォトリソグラフィマスク720をサンプルとして示している。上部の部分画像では、吸収体構造730の左側の要素には、余剰材料の欠陥740がある。欠陥740は、吸収体構造の余剰材料、または任意の他の材料、例えばフォトマスク720の基板710の材料を含むことがある。欠陥740は、測定チップ419を含むSPM300のプローブ415で試験することができる。この目的のために、プローブ415の測定チップ419は、欠陥740にわたって走査される(図7に示されていない)。
比較的大きい基板領域にわたって基板710がわずかに上方にアーチ形に曲がることによってフォトマスク720自体に現われるフォトマスク720の位相欠陥750が、吸収体構造730の中央要素と右側要素との間に示されている。上述で既に説明したように、1桁ナノメートル範囲の凹凸は、極紫外波長範囲のためのフォトマスクが、マスク720によって反射された放射の位相に欠陥を引き起こすのに十分である。位相欠陥750は、同様に、測定チップ419による2次元走査によってSPM300のプローブ415により分析することができる。
【0071】
図7のダイアグラム700の下部の部分画像は、余剰材料の第2の欠陥745を示している。欠陥745の分析は、吸収体構造730の要素の縁部における欠陥745の位置のためにより困難になる。測定チップ419の曲率半径によって引き起こされる分解能の制限のために、プローブ415による欠陥の走査は、欠陥745の表面輪郭の粗い画像しか与えない。それゆえに、SPM300の制御ユニット480は、上述で説明したように非常に細い測定チップ424を有する第2の分析プローブ420を欠陥745上に案内し、欠陥745のトポグラフィをより正確に決定する。
【0072】
図8のダイアグラム800は、さらなる欠陥タイプを説明する。フォトマスク720の吸収体構造の左側の要素730は、部分的にしか形成されていない。これは、フォトマスク720が吸収体材料を欠いている欠陥755を有することを意味する。欠陥755は、最初のステップにおいて分析プローブ415を使用して分析される。欠陥755の位置のために、分析プローブ415の測定チップ419は、欠陥755の輪郭を制限された分解能でしか表示することができない。それゆえに、SPM300の制御ユニット480は、前記欠陥のトポグラフィを可能な限り最高の精度で突き止めるために、測定チップ424をもつプローブ420を欠陥755にわたって第2の走査の間走査させる。これが、ダイアグラム800の下部の部分画像の左側の部分で説明されている。
ダイアグラム800の上部の画像には、吸収体材料を欠いているさらなる欠陥760が、吸収体構造730の右側の要素に示されている。欠陥755と異なり、フォトマスク720の吸収体材料は、吸収体構造の要素の縁部で欠けているのではなく、代わりに、1つの要素内で欠けている。その上、吸収物質の薄い層が欠陥760の領域に存在している。欠陥760の精密な輪郭を決定する問題は、欠陥755と比較してさらに悪化している。制御ユニット480またはコンピュータシステム490による走査データの評価により、欠陥760が急勾配の縁部を有していることがもたらされた後、欠陥760は、高いアスペクト比をもつ構造を分析するように設計されている第2の分析プローブ420で再度走査される。
【0073】
欠陥740、745、750、755、および760のトポグラフィデータから、SPM300の制御ユニット480および/またはコンピュータシステム490は、どの場合にも、対応する欠陥の修復テンプレートを決定することができる。修復テンプレートは、欠陥740、745、750、755、および760がどのように除去または補償されるべきであるかを指定する。余剰材料の欠陥740、745は、エッチングプロセス、例えばエッチングガスの助けを借りた粒子ビーム誘起エッチングプロセスによって除去されることが好ましい。欠陥740、745に対して、修復テンプレートは、粒子ビームが欠陥740、745の各部分にどれくらいの時間作用するか、および1つまたは複数のエッチングガスのガス流量が修復処理の間どれくらいの大きさであるかを示す。
【0074】
欠陥755および760は、吸収物質を欠いている場所に炭素または炭素化合物などの吸収物質を堆積させることによって補正される。吸収物質は、一般に、粒子ビームおよび堆積ガスの助けを借りて欠陥のある場所に堆積される。欠陥755および760の修復テンプレートは、補正プロセスの間粒子ビームおよびガス流量をどのように制御すべきかを指示する。
位相欠陥750は、しばしば、いわゆる補償修復によって補償される。ここで、欠陥750自体は除去されず、代わりに、フォトマスク720によって生成される画像への位相欠陥750の影響を可能な限り最良の範囲で緩和するように、欠陥750を囲む吸収体構造730の要素が修正される。吸収体構造730の要素は、吸収体構造730の一部を除去するかまたは吸収体構造730の粒子を堆積させることによって修正することができる。これは、一般に、エッチングまたは堆積ガスを使用する粒子ビーム誘起エッチングまたは堆積プロセスによって実行される。欠陥750の修復テンプレートは、粒子ビームと、エッチングガスまたは堆積ガスのガス流量とを補正処理の間どのように制御すべきかを述べている。
【0075】
図9のダイアグラム900は、欠陥740および750を上面図で示している。さらに、図9は、SPM300のプローブによって付けられたフォトマスク720上のマークを示している。欠陥740のマーク910および915は、点の形をした実施形態を有する。2つのマーク910をフォトマスク720の基板710に付けることは、例えば、SPM300のプローブ425で実行することができ、SPM300のプローブ425は、ナノ構造として材料をマスク720の基板710にディップペンプロセスで堆積させる。マスク720の透明基板710が石英からなる場合、マーク910を金属ポイントとして基板710に生成することは有利である。トポグラフィコントラストに加えて、金属マーク910は、特に、走査型粒子ビーム顕微鏡、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)の画像に明白な材料コントラストをもたらす。
【0076】
欠陥740を示すための2つのマーク915は、吸収体構造730の要素に生成される。吸収体構造730の要素は、一般に、クロムから形成され、クロムは、その上側に、薄い酸化物層を含む。微細構造金属点の形態のマーク915の堆積は、走査型粒子ビーム顕微鏡によって記録された画像には小さい材料コントラストしかもたらさない。それゆえに、プローブ425を介してディップペンプロセスでマーク915を堆積させるのに有機材料、例えば、炭素または炭素化合物などを使用することは有利である。吸収体構造730の要素のマーク915は、欠陥補正の完了後、マーク910と異なり、吸収体構造730の要素にとどまることができるという点で有利である。
代替実施形態では、マーク915をくぼみの形態で具現することが可能である。マーク915のくぼみは、マスク720の基板710まで到達し、それゆえに、粒子ビームの画像にかなり大きい材料コントラストを引き起こすことができる。SPM300のプローブ構成410のプローブ435のチップ439は、サンプル220の表面を処理し、それにより、フォトマスク720の吸収体構造730の要素にくぼみを生成するように設計される(図9に示されていない)。
【0077】
その上、マーク915は、プローブのチップとサンプル表面215との間の強い電界中で材料を堆積させることによっても生成することができる。プローブ430のカンチレバー431およびチップ434は、金属微細構造をマーク915として吸収体構造730の要素に電界放出を介して生成するように構成される。その上、例えば金で製作された金属マーク915は、粒子ビーム顕微鏡の画像にかなり大きい材料コントラストをもたらす。
ダイアグラム900の例では、後続の図10におけるように、4つのマーク910、915が1つの欠陥740に対してどの場合にも生成されている。しかしながら、これは欠陥を示すには必要ではない。むしろ、欠陥740の座標とマーク910または915の位置データとの間の関係を築くには、単一のマーク910または915で十分である。欠陥の座標は、マスクまたはウェハの対応する欠陥なしの領域から外れているマスクまたはウェハの領域を示す。マークの位置データは、マークの点、例えば、その図心を示す。代替として、マークの1つの角が、マークの位置データ(x/y値)として合意されてもよい。さらに、マークの最も高い点の座標がその位置データであると合意することが可能である。
【0078】
マスク720は、2次元格子の形態の基準マークを有することができる(図9に示されていない)。SPM300が基準マークに対してマーク910、915の位置データを決定するによって、SPM300は、マスク720の座標系と関連して欠陥740の座標を絶対単位で決定することができる。その上マスク720が基準マークをさらに含む場合、欠陥の座標またはマーク910、915の位置データは、SPM300の座標系でおよび/または修復デバイスの座標系で明示することができる。
【0079】
図9は、右側に、フォトマスク720の基板710がわずかに上方にアーチ形に曲がることによって引き起こされた欠陥750を示している。欠陥750のまわりに、SPM300のプローブ構成410のプローブ425が、4つの十字形マーク920を基板710に付けるために使用される。マーク910に関連した議論に基づいて既に説明したように、マーク920は、ディップペンプロセスの範囲内で直接書き込むことによって生成することができる。金属十字形マーク920を生成することに加えて、炭素または炭素含有化合物で製作されたマーク920が、例えば、プローブ425のチップ429の助けを借りてディップペンプロセスによってマスク720の基板710上にさらに書き込まれてもよい。
【0080】
マーク910、920をDPNプロセスで生成することは、マーク910、920が、基板710にまたは吸収体構造の要素に吸着によって付着し、その結果として、欠陥補正の完了後容易に除去することができるという点で有利である。
欠陥750のまわりに、ダイアグラム900は、破線の正方形の形態で、SPM300のプローブ構成410のプローブ415〜435の最大走査領域を示している。マーク920は、プローブ415〜435の最大走査領域内に配置される。これにより、欠陥750の座標とマーク920の位置データとの関係を突き止めるとき、可能な最大の正確さが得られる。これは、特に、位相欠陥750で決定的に重要であるが、その理由は、上述で既に説明したように、走査型粒子ビーム顕微鏡の画像に、位相欠陥750は材料コントラストを生成せず、非常に弱いトポグラフィコントラストしか生成しないか、またはまったくトポグラフィコントラストを生成しないからである。
図10のダイアグラム1000は、図8のフォトマスク720の吸収体構造730の2つの要素の材料755、760を欠いている欠陥の上面図を示している。フォトマスク720の基板710または吸収体構造730の要素に、小さい正方形の形態の4つのマーク1010および1015が再度欠陥755のまわりに付けられた。マーク1010および1015を付ける詳細は、図9に関連した議論の文脈の中で既に説明している。欠陥755はトポグラフィコントラストおよび材料コントラストを介して走査型粒子ビーム顕微鏡の画像において区別されるので、4つよりも少ないマーキングを使用してこの欠陥の位置を示せば十分である。
【0081】
微細構造角部の形態の4つのマーク1020が、同様に、吸収体材料を欠いている欠陥760を示す目的で欠陥760のまわりに生成されている。例として、これらは、プローブ構成410のプローブ435によってチップ439を使用して吸収体構造730の要素中へのくぼみの直接書き込みを介して書き込むことができる。マークを生成する代替の選択肢は、図9に関連した議論の範囲内で既に論じられた。
【0082】
欠陥760は、その周囲全体にわたって吸収体材料で境界を定められている。それゆえに、走査型粒子ビーム顕微鏡の粒子ビームは、欠陥760を精密に画像化することができる。欠陥760の修正も難しくない。欠陥の修復中の粒子ビームと欠陥との間の小さいドリフトさえ、これから新しい欠陥を引き起こすことにならないであろう。故に、より少ないマーク1020が、やはり、欠陥760を示す目的で吸収体構造の要素に生成されてもよい。
【0083】
分析モードから処理またはマーキングモードへの移行は、分析プローブ415または420からマーク910、915、920、1010、1015を生成するためのプローブ425、430、または435のうちの1つへの変更を含む。そのような変更が、次に、分析プローブ415からマーキングプローブ435への移行に基づいて例示的な方法で説明される。プロセスは、プローブ415の位置決め要素417をオフに切り替えることで始まる。その結果として、プローブ415は、作動位置から静止位置に移動する。次のステップにおいて、プローブ構成410は、ピエゾアクチュエータ470の助けを借りてフォトマスク720から引き離される。その結果として、フォトマスク720の表面とチップ419、424、429、434、および439との間の距離が増加し、その結果、交換されるべきプローブ415とプローブ435との間の距離だけのプローブ構成410の後続の変位が、プローブ415〜435のチップ419〜439とフォトマスク720との間の接触なしに実行され得る。SPM300の代替実施態様では、サンプルステージ210に取り付けられた変位ユニットが、サンプルステージ210の移動によってこのステップを実行する。これら2ステップの各々が1秒以内に実行され得る。
【0084】
その結果として、ピエゾアクチュエータ470は、分析プローブ415とマーキングプローブ435との間の距離だけプローブ構成410を変位させる。代替実施形態では、サンプルステージ210に取り付けられた変位要素が、分析プローブ415とマーキングプローブ435との間の距離だけサンプルステージ210を変位させる。サンプルステージ210の横方向移動は、例えば、1つまたは複数のサーボ要素によって実行され得る。さらに、サンプルステージ210とプローブ構成410との共同移動を介して、プローブ415とプローブ435との間の距離だけ互いに対してプローブアレイ410とフォトマスク720とを変位させることを実現することが可能である。この変位手順は数秒後に完了する。
その結果として、プローブ435の位置決め要素437はオンに切り替えられる。このステップは再度1秒未満で行われる。
プローブ交換全体の任意選択の部分が、マークを生成するためのプローブ435の制御パラメータの設定または最適化にある。このステップは、とりわけ、フォトマスク720に対してプローブ435を最初に使用する間に実行されなければならない。プローブ435の制御パラメータの設定は数秒内に実行される。
プローブ交換プロセスを完了した後、ピエゾアクチュエータ470はプローブ構成410をフォトマスク720の近傍に再び戻す。代替実施形態では、このステップは、サンプルステージ210の変位要素によって実行されてもよい。この最後のステップの期間は再度数秒である。
【0085】
図11は、マーク910、915、920、1010、1015、および1020を検出し、フォトマスク720の欠陥740、745、750、755、および760を修復または補償するために使用することができるデバイス1100の好ましい構成要素の概略図を断面で示している。図11の例示的なデバイス1100は、改変した走査型電子顕微鏡(SEM)を含む。電子銃1150は、電子ビーム1180を生成し、ビーム形成要素1120およびビーム画像化要素1125は、マスク720の基板710上、または基板710に配置された吸収体構造730の要素上のいずれかに収束電子ビーム1180を導く。
マスク720の基板710はサンプルステージ1110に配置される。サンプルステージ1110は、図11に示されていない変位ユニットを含み、変位ユニットの助けを借りて、マスク720は、マスク720の欠陥740、745、755、または760が電子ビーム1180の下で止まるように電子ビーム1180に垂直な平面内で変位させることができる。位相欠陥750を補償するために、電子ビームが、欠陥750を囲む吸収体構造730の要素に導かれる。サンプルステージ1110は、マスク720の基板710の温度を所定の温度に設定し制御するのに使用することができる1つまたは複数の要素をさらに含むことができる(図11にプロットされていない)。
【0086】
図11の例示的なデバイス1100は、電子ビーム1180を粒子ビームとして使用する。しかしながら、これは強制ではない。むしろ、マーク910、915、920、1010、1015、および1020を検出すること、および粒子ビームがマスク720に入射し、適切なガスが供給される位置で前駆体ガスの局所化学反応を誘起することができる任意の粒子ビームを利用することができる。代替の粒子ビームの例は、イオンビーム、原子ビーム、分子ビーム、および/または光子ビームである。
【0087】
マスク720の表面にわたって走査することによって、電子ビーム1180は、マーク910、915、920、1010、1015、1020の画像とマスク720の欠陥740、745、750、755、および760の画像とを記録するために使用することができる。入射電子ビーム1180の電子によって生成された後方散乱電子および/または二次電子のための検出器1130は、基板710の材料の組成または吸収体構造730の要素の材料の組成に比例する信号を供給する。
【0088】
コンピュータシステム1140には、ハードウェアおよび/またはソフトウェアによって実現され、検出器1130のデータ信号からマスク720の画像を突き止めやすくするアルゴリズムが含まれ得る。コンピュータシステム1140に接続されたモニタは、計算された画像を表示することができる(図11に図示せず)。コンピュータシステム1140は、検出器1130からの信号データ、および/または計算された画像をさらに記憶することができる(やはり図11に明示されていない)。その上、コンピュータシステム1140は、電子銃1150、ビーム整形要素1120、およびビーム画像化要素11125を制御または調整する制御ユニット1160を含むことができる。その上、制御ユニット1160は、サンプルステージ1110の移動を制御することができる(図11に説明されていない)。
コンピュータシステム1140はインタフェース1175を含み、インタフェース1175によって、コンピュータシステム1140は、マーク910、915、920、1010、1015、1020の位置データと、欠陥740、745、750、755、760のトポグラフィデータとを受け取ることができる。さらに、コンピュータシステム1140は、SPM300の制御ユニット480および/またはコンピュータシステム490からの欠陥740、745、750、755、760の修復テンプレートについて問い合わすことができる。
【0089】
制御ユニット1160および/またはコンピュータシステム1140は、マーク910、915、920、1010、1015、1020のうちの1つおよび/または欠陥740、745、750、755、760のうちの1つにわたる電子ビーム1180の走査の助けを借りて突き止められた検出器1130からのデータを、対応するマークの位置データおよび対応する欠陥のトポグラフィデータに重ね合わせることができる。組み合わされたデータから、制御ユニット1160および/またはコンピュータシステム1140は、欠陥740、745、750、755、760の修復テンプレートを突き止めることができ、次いで、その修復テンプレートは、対応する欠陥を補正するためにSPM300によって送信された修復テンプレートの代わりに使用することができる。
【0090】
1つまたは複数の欠陥740、745、750、755、760を処理するために、すなわち、それの補正または補償のために、図11の例示的なデバイス1100は、異なるガスまたは前駆体ガスのための4つの異なる貯蔵容器を含むことが好ましい。第1の貯蔵容器1150は、欠陥755、760の位置に吸収性材料を堆積させるために電子ビーム1180とともに使用される第1の前駆体ガスまたは堆積ガスを貯蔵する。第2の貯蔵容器1155は、例えば、二フッ化キセノン(XeF2)などの第1のエッチングガスを含み、第1のエッチングガスの助けを借りて、欠陥740、745をマスク720の基板710から除去することができる。
【0091】
第3の貯蔵容器1165は、第2のエッチングガス、例えば塩素含有前駆体ガスを貯蔵し、第2のエッチングガスは、フォトマスク720の基板710から余剰材料を局所的に除去するために第1のエッチングガスと並列で使用され、第1のエッチングガスの代わりに使用されてもよい。第4の貯蔵容器1170は、同様に、欠けている吸収体材料をフォトマスク720の基板710の表面に局所的に堆積させるために第2の前駆体ガスを収納する。
各貯蔵タンクは、マスク720への電子ビーム1180の入射場所に単位時間当たりに供給されるガス粒子の量、すなわち、ガス流量を制御するために専用バルブ1151、1156、1166、1171を備えている。その上、各貯蔵容器1150、1155、1165、1170は、電子ビーム1180がフォトマスク720に入射する点の近くのノズルで終わる専用ガス供給部1152、1157、1167、および1172を有する。電子ビーム1180がマスク720に入射する点と、ガス供給部1152、1157、1167、1172のノズルとの間の距離は、数ミリメートルの領域にある。
【0092】
図11に示された例では、バルブ1151、1156、1061、1171は貯蔵容器の近傍に設置されている。代替実施形態では、バルブ1151、1156、1166、1171のすべてまたは一部は、対応するノズルの近傍に配置されてもよい(図11に図示せず)。その上、2つ以上の貯蔵容器のガスが共通ガス供給部によって供給されてもよく、これはやはり図11に説明されていない。
貯蔵容器の各々は、個々の温度設定および制御のための専用要素を有することができる。温度設定は、ガスごとに冷却と加熱の両方を促進する。加えて、各ガス供給部1152、1157、1167、1172は、同様に、各ガスが反応場所に供給される温度の設定およびモニタのための専用要素を有することができる(やはり図11に図示せず)。
図11のデバイス1100は、必要とされる真空を生成し維持するためにポンプシステムを含む。処理プロセスを開始する前に、真空チャンバの圧力は、一般に、約10-5Pa〜2×10-4Paである。次いで、反応場所の局所圧力は、一般に、約10Paの領域まで上昇することがある。
エッチング反応を初期設定するために、収束電子ビーム1180が、図11に例として与えられたデバイス1100において排他的に使用されることが好ましい。電子の加速電圧は、0.01keV〜50keVの範囲にある。利用される電子ビームの電流は、1pAと1nAとの間の区間で変化する。
【0093】
図11のデバイス1100は、マーク910、915、920、1010、1015、1020をフォトマスク720から除去するようにさらに設計される。例として、電子ビーム1180を走査し、同時に、貯蔵容器1155および1165のいずれかからエッチングガスを供給することによって、マーク910、920、1010は除去することができる。当然、マーク910、920、1010を除去するために2つ以上のエッチングガスの組合せを使用することも可能である。その上、電子ビーム1180の存在なしに、1つまたは複数のエッチングガスを供給することによってマスク720の基板710からマーク910、920、1010を除去することが可能である。
吸収体構造730の要素に微細構造を堆積させることによって生成されたマーク915、1015は、大多数の場合、吸収体構造730に残っていてもよい。しかしながら、それの除去が望ましいかまたは必要である場合、これらのマークは、1つまたは複数のエッチングガスを使用する電子ビーム誘起エッチングプロセスで吸収体構造730の対応する要素から除くことができる。
【0094】
吸収体構造の1つの要素にくぼみを生成することによって生成されたマーク1020は、電子ビーム1180と、貯蔵容器1150および1170に貯蔵されている堆積ガスのうちの1つまたは複数との助けを借りて補正することができる。
その上、デバイス1100は洗浄デバイス1190を含む。洗浄デバイス1190は、洗浄液1195またはガスを含む。代替実施形態では、マーク910、915、920、1010、1015、1020は、マスク生成のために必要とされるマスク720の洗浄ステップの範囲内でマスクから除去されてもよい。それによって、マスクを除去するための専用プロセスステップは、無しで済ますことができる。例として、マスク生成における洗浄液は、超音波と組み合わせて使用されるペルオキソ硫酸とすることができる。
【0095】
図12は、測定システム1200を示している。測定システム1200は、上述で論じた走査型プローブ顕微鏡(SPM)300と、同様に上述で説明したデバイス1100とを含む。SPM300はインタフェース486を含み、デバイス1100はインタフェース1175を含む。測定システム1200の2つの構成要素300および1100は、接続1210を介して互いに通信することができる。接続はイントラネットとすることができる。接続1210を介して、SPM300およびデバイス1100は、マーク910、915、920、1010、1015、1020の位置データ、および欠陥740、745、750、755、760のトポグラフィデータ、および/または欠陥の修復テンプレートを交換することができる。
【0096】
図13の流れ図1300は、本発明による方法のステップを図で示している。ダイアグラム1300において、略語SBMは、走査型粒子ビーム顕微鏡に対して使用される。
方法はステップ1305から始まる。ステップ1310において、フォトマスク720またはウェハの欠陥740、745、750、755、760が、SPM300のプローブ415、420の助けを借りて分析される。欠陥740、745、750、755、760は、ステップ1310の前にSBMを使用して試験されないことが好ましい。図1に関連した議論の範囲内で説明したように、SPM300は、一般に、例えば検査ツールまたはAIMS(商標)などの光学計測ツールを使用する試験から欠陥740、745、750、755、760の存在に関する情報を得る。これらのツールは欠陥740、745、750、755、760の座標を与えるが、欠陥特性評価を促進しない。
ステップ1315において、1つまたは複数のマーク910、915、920、1010、1015、1020が、SPM300を介してフォトマスク720またはウェハに生成される。SBMは、このタスクから解放され、その結果として、SPM300によって検出された欠陥の修復のためなどの他の目的のためにますます使用される可能性がある。
【0097】
マーク910、915、920、1010、1015、1020は、ステップ1320において走査型粒子ビーム顕微鏡(SBM)によって検出される。
次のステップは、選択肢の方法ステップであり、それゆえに、ダイアグラム1300において破線を使用して再現されている。
ステップ1325において、SBMの粒子ビームが、欠陥740、745、750、755、760を分析する。これは、特に、欠陥740、745、755、760がSBMの粒子ビームによって信頼性高く検出され得る場合に有利である。対照的に、上述で既に説明したように、走査型粒子ビーム顕微鏡では、位相欠陥750を検出することが困難である。
【0098】
その結果として、SPM300によって生成されたデータは、ステップ1330において、SBMによって記録されたデータに重ね合わされる。次のステップ1335において、SPM300のデータに存在するマークは、可能な限り最良の範囲でSBMによって記録されたデータに存在するマークに位置合わせされる。これは、マークの手動位置合せによって実行されてもよい。しかしながら、マーキングの自動識別に基づく自動位置合せが好ましい。
欠陥の画像は、ステップ1340において、SPM300とSBMとの重ね合わせデータから生成される。最後に、欠陥の修復テンプレートが、ステップ1345において、欠陥画像から生成される。方法はステップ1350で終了する。
【0099】
代替実施形態では、修復テンプレートは、SPM300の助けを借りて得られ、SBMが利用できるようにされたデータから直接突き止められる。この手順は、位相欠陥750には特に有利である。
本発明による方法は、SBMによって1つまたは複数のマークを生成するというより複雑なプロセスステップを回避する。それによって、修復ツールとしてのSBMのスループットを向上させることができる。
【符号の説明】
【0100】
200 走査型プローブ顕微鏡
210 サンプルステージ
215 サンプル表面
220 サンプル
230 プローブ
240 測定チップ
250 カンチレバー
260 ピエゾアクチュエータ
265 入力部
270 ピエゾアクチュエータの自由端
275 出力部
280 制御ユニット
285 出力部
290 コネクタ
300 走査型プローブ顕微鏡
310 プローブ構成
315 スイッチ
325 スイッチ
330 プローブ
350 電圧源
410 プローブ構成、プローブアレイ
415、420 分析プローブ
416、421、426、431、436 カンチレバー
417、422、427、432、437 位置決め要素、移動要素移動要素
418、423、428、433、438 センサ要素
419、424、429、434、439 測定チップ
425、430、435 プローブ
470 ピエゾアクチュエータ
475 切換デバイス
478 スイッチ
480 制御ユニット
482 演算器
484 不揮発性メモリ
486 インタフェース
490 コンピュータシステム
492 演算器
494 不揮発性メモリ
496 インタフェース
710 基板
720 フォトリソグラフィマスク、フォトマスク、マスク
730 吸収体構造
740、745、750、755、760 欠陥
910、915、920、1010、1015、1020 マーク
940 単一走査領域
1100 デバイス
1110 サンプルステージ
1120 ビーム形成要素
1125 ビーム画像化要素
1130 検出器
1140 コンピュータシステム
1150 電子銃
1150 第1の貯蔵容器
1150、1155、1165、1170 貯蔵容器
1151、1156、1166、1171 専用バルブ
1152、1157、1167、1172 専用ガス供給部
1160 制御ユニット
1175 インタフェース
1180 電子ビーム
1190 洗浄デバイス
1195 洗浄液
1200 測定システム
1210 接続
図1
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図3
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図5
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