特許第6643281号(P6643281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643281
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】バリア化学機械平坦化のための添加剤
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20200130BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20200130BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20200130BHJP
【FI】
   H01L21/304 622D
   C09K3/14 550Z
   C09K3/14 550D
   B24B37/00 H
【請求項の数】32
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-128672(P2017-128672)
(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公開番号】特開2018-19075(P2018-19075A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2017年8月3日
(31)【優先権主張番号】62/357,571
(32)【優先日】2016年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/630,584
(32)【優先日】2017年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】メイトランド ゲイリー グレアム
(72)【発明者】
【氏名】マティアス シュテンダー
(72)【発明者】
【氏名】ドンヤネシュ チャンドラカント タンボリ
(72)【発明者】
【氏名】シャオボー シー
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−164308(JP,A)
【文献】 特開2003−100672(JP,A)
【文献】 特表2009−516928(JP,A)
【文献】 特許第3521614(JP,B2)
【文献】 国際公開第2014/061417(WO,A1)
【文献】 特許第4943613(JP,B2)
【文献】 特許第5198870(JP,B2)
【文献】 特開2002−050595(JP,A)
【文献】 特開2003−224092(JP,A)
【文献】 特開2009−272418(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/200684(WO,A1)
【文献】 特開2003−197573(JP,A)
【文献】 特表2007−531631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、
研磨剤と、
ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(1−ビニルピロリドン−コ−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(4−スチレンスルホン酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド/アクリル酸)コポリマー、それらの組み合わせ、及びそれらの塩からなる群より選択されるポリマーであって、30,000〜30,000,000ダルトンの分子量を有するポリマーと、
腐食防止剤と、
無機ケイ酸塩と、
酸化剤とを含み、任意選択で、
界面活性剤と、
pH調整剤と、
キレート剤とを含む研磨組成物であって、約7〜約11.5のpHを有し、粘度が約1.5cP〜約10cPであり、前記高分子量ポリマーが約0.1wt%〜約0.5wt%の量で存在し、前記無機ケイ酸塩が約0.2wt%〜約2wt%の量で存在する、研磨組成物。
【請求項2】
前記無機ケイ酸塩が、ケイ酸カリウム、ケイ酸アンモニウム、ケイ酸テトラメチルアンモニウム、ケイ酸テトラブチルアンモニウム、ケイ酸テトラエチルアンモニウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるケイ酸の塩である、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項3】
前記研磨剤が、高純度コロイダルシリカ、アルミナ、セリア、ゲルマニア、シリカ、チタニア、ジルコニア、格子内にアルミナがドープしたコロイダルシリカ、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項4】
前記研磨剤が、約3wt%〜約15wt%の量で存在する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項5】
前記研磨剤がコロイダルシリカであり、前記コロイダルシリカが30nm〜300nmの平均粒子サイズを有する、請求項に記載の研磨組成物。
【請求項6】
前記コロイダルシリカが、50nm〜200nmの平均粒子サイズを有する、請求項に記載の研磨組成物。
【請求項7】
前記コロイダルシリカが、60nm〜150nmの平均粒子サイズを有する、請求項に記載の研磨組成物。
【請求項8】
前記コロイダルシリカが、30nm〜120nmに少なくとも2つの別々のピークを持つ粒子サイズ分布を有する、請求項に記載の研磨組成物。
【請求項9】
前記コロイダルシリカが、30nm〜120nmに少なくとも3つの別々のピークを持つ粒子サイズ分布を有する、請求項に記載の研磨組成物。
【請求項10】
前記腐食防止剤が、ベンゾトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミン−1,2,4−トリアゾール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、約0.01wt%〜約0.1wt%の量で存在する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項11】
前記pH調整剤が存在しており、硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、様々な脂肪酸、様々なポリカルボン酸、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項12】
前記pH調整剤が存在しており、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、改質ポリエチレンイミン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項13】
pH調整剤が、約0.0001wt%〜約2wt%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項14】
前記キレート剤が存在しており、クエン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸、4−トリルスルホン酸、2,4−ジアミノ−ベンゼンスルホン酸、マロン酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、アミノ酸、ポリカルボキシアミノ酸、ホスホン酸、それらの組み合わせ、及びそれらの塩からなる群より選択される、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項15】
前記キレート剤が、約0.01wt%〜約3.0wt%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項16】
前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項17】
前記界面活性剤が、約0.010wt%〜約0.1wt%の量で存在する、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項18】
前記界面活性剤が、アセチレンジオール界面活性剤、アルコールエトキシレート界面活性剤、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項17に記載の研磨組成物。
【請求項19】
前記酸化剤が、ペルオキシ化合物、酸化ハライド、過ホウ酸、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過マンガン酸塩、セリウム化合物、フェリシアン化物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の研磨組成物。
【請求項20】
前記酸化剤が、約0.5wt%〜約2.0wt%の量で存在する、請求項19に記載の研磨組成物。
【請求項21】
少なくとも1つの表面を含む半導体デバイスの化学機械平坦化のための研磨方法であって、前記少なくとも1つの表面が、(1)タンタル、窒化タンタル、タンタルタングステン炭化ケイ素、チタン、窒化チタンからなる群より選択されるバリア層;(2)銅、タングステン、コバルト、アルミニウム、ルテニウム、又はそれらの合金の群より選択される相互接続金属層;及び(3)多孔質又は非多孔質の誘電体層を有し、
a.前記少なくとも1つの表面を研磨パッドに接触させる工程、
b.請求項1に記載の研磨組成物を、前記少なくとも1つの表面に運ぶ工程、及び
c.前記少なくとも1つの表面を前記研磨組成物で研磨して、好ましくは前記誘電体層上で、少なくとも前記バリア層を少なくとも部分的に除去する工程
を含む、研磨方法。
【請求項22】
前記多孔質又は非多孔質の誘電体層が、ケイ素、炭素、酸素及び水素を含む、請求項21に記載の研磨方法。
【請求項23】
前記多孔質又は非多孔質の誘電体層がTEOSである、請求項22に記載の研磨方法。
【請求項24】
前記多孔質又は非多孔質の誘電体層が、非多孔質材料のキャッピング層をさらに含む、請求項22に記載の研磨方法。
【請求項25】
前記バリア層と前記誘電体層との間の除去速度選択性が0.25〜4の範囲である、請求項21に記載の研磨方法。
【請求項26】
前記バリア層と前記誘電体層との間の除去速度選択性が0.5〜2の範囲である、請求項25に記載の研磨方法。
【請求項27】
前記相互接続金属層と前記誘電体層との間の除去速度選択性が0.25〜4の範囲である、請求項21に記載の研磨方法。
【請求項28】
前記相互接続金属層と前記誘電体層との間の除去速度選択性が0.5〜2の範囲である、請求項27に記載の研磨方法。
【請求項29】
前記TEOSの除去速度が、3psiの下向き力で1500Å/分超である、請求項23に記載の研磨方法。
【請求項30】
前記バリア層が窒化タンタル(TaN)であり、前記TaNの除去速度が、3psiの下向き力で900Å/分超である、請求項21に記載の研磨方法。
【請求項31】
前記相互接続金属層が銅を含み、前記銅の除去速度が、3psiの下向き力で400Å/分超である、請求項21に記載の研磨方法。
【請求項32】
少なくとも1つの表面を含む半導体デバイスであって、前記少なくとも1つの表面が、(1)タンタル、窒化タンタル、タンタルタングステン炭化ケイ素、チタン、窒化チタンからなる群より選択されるバリア層;(2)銅、タングステン、コバルト、アルミニウム、ルテニウム、又はそれらの合金の群より選択される相互接続金属層;及び(3)多孔質又は非多孔質の誘電体層を有する半導体デバイスと、
研磨パッドと、
請求項1に記載の研磨組成物と
を含む化学機械平坦化のためのシステムであって、前記少なくとも1つの表面が、前記研磨パッド及び前記研磨組成物と接触している、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本発明は、米国特許法119条(e)項の下で、2016年7月1日に出願された米国仮特許出願第62/357571号の優先権を主張し、その全体は、参照されることにより、本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、半導体デバイスの製造で使用されるバリア化学機械平坦化(「CMP」)研磨組成物(又はスラリー)と、化学機械平坦化を行うための研磨方法とに関する。特に、本発明は、複数のタイプの膜、例えばバリア、低k又は超低k、誘電体、及び金属のライン、ビア又はトレンチで構成された研磨パターン化半導体ウエハに対して好適に使用されるバリア研磨組成物に関する。
【0003】
通常、バリア層はパターン化誘電体層を覆い、金属層はバリア層を覆う。金属層は、回路の相互接続を形成するための金属でパターン化トレンチを充填するのに、少なくとも十分な厚さを有する。
【0004】
バリアは、典型的に、金属、金属合金又は金属間化合物、例えば、タンタル又は窒化タンタルである。バリアは、ウエハ内の層間のマイグレーション又は拡散を防止する層を形成する。例えば、バリアは、銅や銀のような相互接続金属が隣接した誘電体に拡散するのを防止する。バリア材料は、多くの酸による腐食に耐性を有さなければならなく、その結果、CMP用の流体研磨組成物中での溶解に耐性を有さなければならない。さらに、これらのバリア材料は、CMP組成物中の研磨性の研磨粒子、及び、固定砥粒パッドからの研磨性の研磨粒子による除去に耐える硬度を示すことがある。
【0005】
CMPに関して、この技術の現状は、例えば、局所的及び大域的な平坦化を得るために、複数工程の使用、例えば、2工程のプロセスの使用を含む。
【0006】
典型的なCMPプロセスの工程1の間、過剰堆積された(overburdened)銅層のような金属層は、典型的に、研磨面に対して平坦な回路相互接続を提供する金属充填ライン、ビア及びトレンチを持つウエハ上に、滑らかな平面を残しながら除去される。したがって、工程1は、銅のような過剰な相互接続金属を除去するのに役立つ。次いで、しばしばバリアCMPプロセスと称される、典型的なCMPプロセスの工程2は、バリア層及び過剰な金属層並びにパターン化ウエハの表面上の他の膜を除去して、誘電体層上で表面の局所的な平坦化及び大域的な平坦化の両方を達成する。
【0007】
米国特許出願公開第2007/0082456号明細書では、エッチング及びエロージョンが防止され、金属膜の平坦度が維持されつつ、高速研磨が可能である研磨組成物を提供している。その研磨組成物は、(A)3つ以上のアゾール部を有する化合物、(B)酸化剤、並びに(C)アミノ酸、有機酸、及び無機酸の中から選択される1つ又は複数の種を含む。
【0008】
米国特許出願公開第2007/0181534号明細書では、(a)以下の式で表される非イオン性界面活性剤、(b)芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸、及びそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の有機酸、(c)コロイダルシリカ、並びに(d)ベンゾトリアゾール又はそれらの誘導体、を含むバリア研磨液を教示している。
【化1】
式中、R1〜R6は、独立して、水素原子又は1〜10個の炭素を有するアルキル基を示し、X及びYは、独立して、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、m及びnは、独立して、0〜20の整数を示す。0.035〜0.25mL/(分cm2)の単位時間当たりにおける、半導体基材の単位面積当たりの速度で、研磨プラテン上の研磨パッドにバリア研磨液を供給すること、及び、研磨パッドと研磨されるべき面とを、接触状態にしながら互いに対して動かすことにより研磨すること、を含む化学機械研磨方法がまた提供されている。
【0009】
米国特許出願公開第2008/0149884号明細書では、半導体ウエハ上の金属基材を化学機械平坦化(CMP)するための組成物及び関連方法を説明している。組成物は、非イオン性フルオロカーボン界面活性剤と、過型酸化剤(per−type oxidizer)(例えば、過酸化水素)とを含有する。組成物及び関連方法は、銅CMPの間に低k膜の除去速度を制御するのに効果的であり、かつ、銅、タンタル及び酸化物膜の除去速度に対する低k膜の除去速度の可変性を与える。
【0010】
米国特許出願公開第2013/0168348号明細書では、(A)成分(B)を含まなく、電気泳動的流動性により示されるように3〜9の範囲のpHを有する水性媒体中に分散された場合に、正に帯電する少なくとも1種の研磨粒子;(B)直鎖状及び分枝状のアルキレンオキシドホモポリマー及びコポリマーからなる群より選択される少なくとも1つの水溶性ポリマー;並びに(C)少なくとも1つのアニオン性リン酸塩分散剤、を含む水性研磨組成物と、その水性研磨組成物を使用して、電気的、機械的又は光学的デバイス用の基材材料を研磨するためのプロセスと、を発見した。
【0011】
米国特許出願公開第2009/0004863号明細書では、ルテニウム含有バリア層を研磨するための研磨液であって、ルテニウム含有バリア層と、その表面上の導電性金属配線ラインとを有する半導体デバイスのための化学機械研磨で使用され、かつ、酸化剤と、モース指標で5以上の硬度を有し、主成分が二酸化ケイ素(SiO2)以外である組成を有する研磨微粒子と、を含む研磨液を提供している。この発明はまた、半導体デバイスを化学機械研磨するための研磨方法であって、研磨液を研磨されるべき基材の表面に接触させることと、研磨パッドから研磨されるべき表面への接触圧力が0.69kPa〜20.68kPaであるように、研磨されるべき表面を研磨することと、を含む研磨方法を提供する。
【0012】
米国特許出願公開第2013/0171824号明細書では、(1)(A)3〜9の範囲のpHを有する水性媒体中に分散された場合に、正に帯電する研磨粒子と、(B)水溶性又は水分散性の直鎖状又は分枝状のアルキレンオキシドホモポリマー又はコポリマーと、(C)(c1)脂肪族及び脂環式のポリ(N−ビニルアミド)ホモポリマー及びコポリマー、(c2)一般式I及びII:H2C=C(−R)−C(=0)−N(−R1)(−R2)(I)、H2C=C(−R)−C(=0)−R3(II)(式中、変数は以下の意味を有する:Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、ニトリル基、又は有機残渣;R1及びR2は、水素原子又は有機残渣;R3は、飽和N−複素環)のアクリルアミドモノマーのホモポリマー及びコポリマー、(c3)カチオン性ポリマー凝集剤、及び(c4)それらの混合物から選択される水溶性又は水分散性ポリマーと、を含有する水性組成物に基材を接触させる工程、並びに、(2)酸化ケイ素誘電体膜が除去され、ポリシリコン及び/又は窒化ケイ素膜が露出されるまで、基材を研磨する工程を含む、酸化ケイ素誘電体膜並びにポリシリコン及び/又は窒化ケイ素膜を含有する基材のためのCMPプロセスを開示している。
【0013】
米国特許第8597539号明細書では、粘度改質剤の使用を主張しているが、如何なる具体例も提供せず、それらの機能も説明していない。米国特許出願公開第2008/0148649号明細書では、低k膜の除去速度を低減するための、ルテニウムバリアCMP組成物中の界面活性剤として、大量の他のポリマーの中から、ポリ(1−ビニルピロリドン−コ−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)の使用を開示している。国際公開第2002/094957号では、金属CMP組成物中のポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)の使用を開示しており、そのコポリマーの一方が金属表面と結合し、他方の端部が研磨パッドに付着し、その結果、金属膜の除去速度を増加させる。
【0014】
Groverら(Grover,G.S.らの「酸化物及びタングステンCMPにおけるスラリー粘度改質の効果(Effect of slurry viscosity modification on oxide and tungsten CMP)」Wear214.1(1998):10−13)は、粘度を向上させるための添加剤を含むCMPスラリーを説明している。彼らは、増加したスラリー粘度で、酸化ケイ素膜上での低減した除去速度を観測した。
【0015】
米国特許第6530968号及び同7736405号明細書では、銅CMP用途において金属ラインのディッシングを減らし、粘度を増やすためのポリマー添加剤の使用を説明している。しかしながら、増粘添加剤の使用により除去速度が減少すると考えられる。
【0016】
米国特許出願公開第2008/0135520号明細書では、低い分子量のポリマー(MW<15,000ダルトン)及びケイ酸塩オリゴマーを含むガラス基材又は酸化ケイ素を研磨するためのCMPスラリーを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
典型的に、研磨剤は、多くのバリアCMP組成物(又はスラリー)中で使用される。様々な粒子サイズ及び形状を持つ研磨剤は、加圧下において、研磨パッドとウエハ表面との間で機械的摩擦力を提供する。研磨剤が、特に高い濃度で使用された場合、研磨剤のダメージ(スクラッチ)が発生する場合がある。高い研磨粒子濃度はまた、研磨プロセス中に、ウエハ面上に多くの残渣欠陥をもたらす。研磨粒子はまた、CMP組成物の最も高価な成分の1つである。したがって、可能な限り低い濃度の研磨粒子を使用しつつ、CMP組成物中で高い研磨速度をもたらすことが望ましい。
【0018】
バリア組成物は、高いバリア除去速度、極めて低い研磨後のトポグラフィ、腐食性欠陥がないこと、及び極めて低いスクラッチ又は残渣欠陥を含む幾つかの厳しい要求を満たす必要がある。したがって、半導体産業がより小さい特徴サイズに向けて進み続けているため、これらの厳しい要求を満たすバリアCMP組成物及びプロセスについての重要なニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本明細書で説明されるのは、CMP処理のためのバリアCMP研磨組成物及び方法である。1つの態様において、本発明は、水と;研磨剤と;ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(1−ビニルピロリドン−コ−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(4−スチレンスルホン酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド/アクリル酸)コポリマー、それらの組み合わせ、及びそれらの塩からなる群より選択されるポリマーであって、30,000〜30,000,000ダルトンの分子量を有するポリマーと;腐食防止剤と;無機ケイ酸塩と;酸化剤とを含み、任意選択で、界面活性剤と;pH調整剤と;キレート剤とを含む研磨組成物であって、約9〜約11.5のpHを有し、粘度が約1.5cP〜約10cPである研磨組成物を提供する。
【0020】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの表面を含む半導体デバイスの化学機械平坦化のための研磨方法であって、少なくとも1つの表面が、(1)タンタル、窒化タンタル、タンタルタングステン炭化ケイ素、チタン、窒化チタンからなる群より選択されるバリア層;(2)銅、タングステン、コバルト、アルミニウム、ルテニウム、又はそれらの合金の群から選択される相互接続金属層;及び(3)多孔質又は無孔質の誘電体層を有し、a.少なくとも1つの表面を研磨パッドに接触させる工程、b.本明細書で説明されるような研磨組成物を、少なくとも1つの表面に運ぶ工程、及びc.少なくとも1つの表面を研磨組成物で研磨して、好ましくは誘電体層上の少なくともバリア層を、少なくとも部分的に除去する工程、を含む研磨方法を提供する。
【0021】
また別の態様において、本発明は、少なくとも1つの表面を含む半導体デバイスであって、少なくとも1つの表面が、(1)タンタル、窒化タンタル、タンタルタングステン炭化ケイ素、チタン、窒化チタンからなる群より選択されるバリア層;(2)銅、タングステン、コバルト、アルミニウム、又はそれらの合金の群から選択される相互接続金属層;及び(3)多孔質又は無孔質の誘電体層を有する半導体デバイスと、研磨パッドと、本明細書で説明されるような研磨組成物とを含む化学機械平坦化のためのシステムであって、少なくとも1つの表面が、研磨パッド及び研磨組成物と接触しているシステムを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書で説明され開示されるのは、研磨のためのバリアCMP組成物、システム及び方法である。本明細書で開示される組成物は、誘電体層の除去速度に対してバリア膜の除去速度を増加させ、研磨剤濃度を下げ、CMP処理中の欠陥を減らすことができる。バリアCMP組成物は、基材上に、導電性金属のライン、ビア又はトレンチ、金属含有バリア層及び誘電体層を含む、少なくとも1つの特徴を有する半導体基材の表面の化学機械平坦化のために使用される。
【0023】
導電性金属のラインは、例えば、銅、コバルト、タングステン、アルミニウム又はそれらの合金を含むことができる。相互接続のためのバリア又はライナ層は、タンタル(Ta)含有バリア層、例えば、タンタル又は窒化タンタル又はタンタルタングステン炭化ケイ素;チタン(Ti)含有バリア層、例えば、チタン、又は窒化チタン;コバルト又は自己形成した酸化マンガン層;並びにルテニウムのような他の貴金属であることができる。誘電体層は、TEOS、ケイ素、炭素、窒素、酸素及び水素を含む多孔質又は無孔質の低K膜、無孔質材料のキャッピング層を持つ多孔質低K材料であることができる。
【0024】
本発明の組成物は、実質的により高い濃度の研磨粒子を必要とすることなく、低い欠陥を持ち、極めて高い速度でバリア/ライナ膜及び誘電体膜の研磨を可能とする。
【0025】
本発明の研磨組成物は、水と;研磨剤と;ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(1−ビニルピロリドン−コ−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(4−スチレンスルホン酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(アルキルアミド/アクリル酸)コポリマー、それらの組み合わせ、及びそれらの塩からなる群より選択されるポリマーであって、30,000〜30,000,000ダルトンの分子量を有するポリマーと;腐食防止剤と;無機ケイ酸塩と;酸化剤とを含み、任意選択で、界面活性剤と;pH調整剤と;キレート剤とを含み、研磨組成物は約9〜約11.5のpHを有し、研磨組成物の粘度が約1.5cP〜約10cPである。好ましいポリマーは、スラリーのpHでアニオン性又は非イオン性の性質を有する。
【0026】
本発明の組成物は、全てのCMPパッドにおいて除去速度の改善を提供する。しかしながら、除去速度の増加は、より高い硬度を持つCMPパッドに対して特により効果的である。CMPパッドの硬度は、典型的に、ASTM D2240によって決定されるショアD硬度として報告される。本発明のCMP配合物は、30超、又はより好ましくは40超のショア硬度を持つCMPパッドに特に良好に適合する。そのようなCMPパッドの例としては、Dow Chemicals製のVisionpad(商標)3500、3100、5000、5200、6000が挙げられる。
【0027】

本発明の研磨組成物は水性ベースであり、したがって、水を含む。本発明において、水は、様々な方法で機能し、例えば、組成物の1つ又は複数の固体成分を溶解するため、成分のキャリアとして、研磨残渣の除去の促進として、及び希釈液として機能する。好ましくは、洗浄組成物中で用いられる水は、脱イオン(DI)水である。
【0028】
多くの用途について、水は、例えば、約10〜約90wt%の水を含むと考えられる。本発明の他の好ましい実施形態は、約30〜約95wt%の水を含むことができる。本発明のまた他の好ましい実施形態は、約50〜約90wt%の水を含むことができる。本発明のさらに他の好ましい実施形態は、他の成分が所望の重量パーセントを達成するような量で水を含むことができる。
【0029】
研磨剤
本発明の研磨組成物は研磨剤を含む。研磨組成物のために適切な研磨剤は、ナノサイズの粒子であり、例えば、限定されないが、ナノサイズのコロイダルシリカ又は高純度コロイダルシリカ粒子;ナノサイズの無機金属酸化物粒子、例えば、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア及びそれらの組み合わせ;ナノサイズのダイヤモンド粒子;ナノサイズの窒化ケイ素粒子:単峰性、二峰性、又は多峰性のコロイド研磨粒子;無機ポリマー系ソフト研磨剤;表面がコーティングされた又は改質された研磨剤;並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
表面がコーティングされた又は改質された研磨剤としては、限定されないが、コロイダルシリカの格子内に他の金属酸化物がドープしたコロイダルシリカ粒子、例えば、アルミナドープシリカ粒子、コロイド酸化アルミニウム(アルファ−、ベータ−、及びガンマタイプの酸化アルミニウムを含む)、コロイド二酸化チタン及び光活性二酸化チタン、酸化セリウム、コロイド酸化セリウム、ナノサイズのダイヤモンド粒子、ナノサイズの窒化ケイ素粒子、単峰性、二峰性、多峰性のコロイド研磨粒子、酸化ジルコニウム、有機ポリマー系ソフト研磨剤、表面がコーティングされた又は改質された研磨剤、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0031】
ナノサイズの粒子は、狭い又は広い粒子サイズ分布、様々なサイズ及び様々な形状を有する。研磨剤の様々な形状としては、球形状、繭形状、凝集形状及び他の形状が挙げられる。
【0032】
好ましい研磨剤としては、限定されないが、高純度コロイダルシリカ、アルミナ、セリア、ゲルマニア、シリカ、チタニア、ジルコニア、格子中にアルミナがドープしたコロイダルシリカ、及びそれらの混合物が挙げられる。コロイダルシリカは、最も好ましい研磨粒子である。
【0033】
ディスク遠心分離(DC)粒子サイジング方法により測定した場合、研磨剤の平均粒子サイズは、好ましくは20nm〜300nm、又はより好ましくは30nm〜200nm、及びさらにより好ましくは40nm〜100nmである。幾つかの好ましい実施形態において、ディスク遠心分離分析方法により測定した場合、粒子のサイズ分布は多峰性である。好ましい実施形態において、研磨粒子の粒子サイズ分布は、30nm〜120nmの粒子サイズ範囲において、少なくとも2つの別々のピークを示す。より好ましくは、30nm〜120nmの粒子サイズ範囲において、少なくとも3つの別々のピークが存在する。
【0034】
典型的に、研磨剤は、CMP組成物の全体重量に対して、約0.1〜約20%の範囲の量で本発明の組成物中に存在する。好ましい範囲は、約3wt%〜約15wt%である。
【0035】
無機ケイ酸塩
本発明の組成物はまた、無機ケイ酸塩を含む。無機ケイ酸塩は、導電性金属ラインに対してバリア又はライナ層、誘電体層の除去速度を増加するために、少なくとも部分的に機能する。適切な無機ケイ酸塩化合物としては、例えば、ケイ酸の塩、例えば、ケイ酸カリウム、ケイ酸アンモニウム、ケイ酸テトラメチルアンモニウム、ケイ酸テトラブチルアンモニウム、ケイ酸テトラエチルアンモニウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。これらのケイ酸塩化合物は、好ましくは、安定してかつ大部分が可溶形態でCMP組成物中に存在する。
【0036】
CMP組成物中の可溶性ケイ酸塩の量は、CMP組成物の全体重量に対して、約0.01wt%〜約10wt%、より好ましくは約0.1wt%〜約5wt%、及び最も好ましくは約0.2wt%〜2.0wt%の範囲である。
【0037】
高分子量ポリマー
ポリマー/コポリマーは、10,000超、好ましくは10,000〜20,000,000ダルトン、より好ましくは30,000〜10,000,000ダルトン、及び最も好ましくは50,000〜8,000,000ダルトンの範囲の分子量を有する。高分子量ポリマーは、限定されないが、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(1−ビニルピロリドン−コ−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミドとポリアクリル酸とのコポリマー、ポリ(2−エチルオキサゾリン)、及びポリエチレンオキシドを含むポリマーの群から選択することができる。
【0038】
その種の分子量は、任意の適切な技術によって測定することができる。これらのパラメータを決定するための最も一般的な方法の幾つかは、束一性測定、静的光散乱技術、粘度法、及びサイズ排除クロマトグラフ法である。粘度法及びゲルパミエーションクロマトグラフ(GPC)は、ポリマーの分子量を特徴付けるための最も一般的な技術である。
【0039】
好ましくは、高分子量ポリマーは、CMP組成物の全体重量に対して、0.0001wt%〜約2.0wt%の範囲で、組成物中に存在する。好ましい範囲は、約0.01wt%〜約1.0wt%であり、さらにより好ましい濃度範囲は、約0.1wt%〜約0.5wt%である。
【0040】
使用される研磨組成物の粘度に関して、並びに、バリア層及び誘電体層の増加した除去速度に関して、無機ケイ酸塩成分と高分子量成分との間で、相乗効果が確認された。ポリマー及びケイ酸塩の添加剤の使用から、増加した除去速度に対する1つの仮説は、これらの添加剤を含むスラリーの粘度が増加したことである。しかしながら、粘度の大きな増加は、研磨中の不十分なスラリーの流れ及び不十分な濾過性のような問題をもたらすことがある。好ましくは、スラリーの粘度は、1.2cP〜15cP、又は好ましくは1.5cP〜10cP、又は最も好ましくは2〜8cPである。
【0041】
酸化剤
本発明の研磨組成物は、「酸化剤(oxidizer)」とも称される、酸化剤(oxidizing agent)を含む。酸化剤は任意の適切な酸化剤であることができる。適切な酸化剤としては、限定されないが、少なくとも1つのペルオキシ基(−O−O−)を含む1つ又は複数のペルオキシ化合物が挙げられる。適切なペルオキシ化合物としては、例えば、過酸化物、過硫酸塩(例えば、モノ過硫酸塩及びジ過硫酸塩)、過炭酸塩、それらの酸、及びそれらの塩、並びにそれらの混合物が挙げられる。他の適切な酸化剤としては、例えば、酸化ハライド(例えば、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、それらの酸、及びそれらの混合物など)、過ホウ酸、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸(例えば、過酢酸、過安息香酸、それらの塩、及びそれらの混合物など)、過マンガン酸塩、セリウム化合物、フェリシアン化物(例えば、フェリシアン化カリウム)、それらの混合物が挙げられる。
【0042】
幾つかの実施形態において、好ましい酸化剤としては、限定されないが、過酸化水素、過ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、アンモニア、及びそれらの混合物が挙げられる。また別の実施形態において、好ましい酸化剤としては、過酸化水素及び尿素過酸化水素が挙げられる。
【0043】
酸化剤の量は、CMP組成物の全体重量に対して、約0.01wt%〜約10%の範囲である。好ましい範囲は約0.1%〜約3%である。
【0044】
腐食防止剤
本発明の研磨組成物はまた、ウエハの表面上に露出された金属ラインを部分的に保護するための腐食防止剤を含む。適切な腐食防止剤としては、限定されないが、ベンゾトリアゾール(BTA)又はBTA誘導体、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミン−1,2,4−トリアゾール、他のトリアゾール誘導体及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
腐食防止剤の量は、好ましくは、組成物の全体重量に対して、0.001wt%〜約1.0wt%の範囲である。好ましい範囲は、約0.01wt%〜約0.1wt%である。
【0046】
以下の成分は、本発明の組成物中に、任意選択で存在することができる。当業者は、そのような成分が含まれることがあるかどうか、及びそのような成分が含まれることがある特定の環境を理解するであろう。
【0047】
界面活性剤(任意選択)
本発明の組成物は、任意選択で、ウエハ表面内の欠陥を減らすために、部分的に、研磨中及び研磨後のウエハ表面を保護するのを助ける界面活性剤を含む。界面活性剤はまた、低K誘電体のような研磨で使用される膜の幾つかの除去速度を制御するために使用されることある。適切な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0048】
非イオン性界面活性剤は、限定されないが、長鎖アルコール、エトキシル化アルコール、エトキシル化アセチレンジオール界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、グルコシドアルキルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル、グリセロールアルキルエステル、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、コカミドモノエタノールアミン、コカミドジエタノールアミン、ドデシルジメチルアミンオキシド、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロックコポリマー、ポリエトキシル化タローアミン、フルオロ界面活性剤を含む薬剤タイプの範囲から選択することができる。界面活性剤の分子量は、数百〜100万超の範囲であることができる。これらの材料の粘度はまた、極めて広い分布を有する。
【0049】
アニオン性界面活性剤としては、限定されないが、適切な疎水性尾部を持つ塩、例えば、アルキルカルボキシレート、アルキルポリアクリル酸塩、アルキルスルフェート、アルキルホスフェート、アルキルビカルボキシレート、アルキルビスルフェート、アルキルビホスフェート、例えば、アルコキシカルボキシレート、アルコキシスルフェート、アルコキシホスフェート、アルコキシビカルボキシレート、アルコキシビスルフェート、アルコキシビホスフェート、例えば、置換アリールカルボキシレート、置換アリールスルフェート、置換アリールホスフェート、置換アリールビカルボキシレート、置換アリールビスルフェート、及び置換アリールビホスフェートなどが挙げられる。このタイプの界面活性剤についてのカウンターイオンとしては、限定されないが、カリウム、アンモニウム、及び他の陽イオンが挙げられる。これらのアニオン性表面湿潤剤の分子量は、数百〜数十万の範囲である。
【0050】
カチオン性界面活性剤は、分子骨格の主要部上に正味正電荷を有する。カチオン性界面活性剤は、典型的に、疎水鎖と、アミン、4級アンモニウム、ベンジルアルコニウム、及びアルキルピリジウムイオンのようなカチオン性荷電中心部とを含む分子のハライドである。
【0051】
別の態様において、界面活性剤は、主分子鎖上に正(カチオン性)及び負(アニオン性)の電荷の両方を有し、それらの関連カウンターイオンを持つ、両性界面活性剤であることができる。カチオン部は、1級、2級、若しくは3級アミン、又は4級アンモニウムカチオンをベースとする。アニオン部はより多様であることができ、スルタインCHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート)のようなスルホネート、及びコカミドプロピルヒドロキシスルタインを含む。コカミドプロピルベタインのようなベタインは、アンモニウムを含むカルボキシレートを有する。両性界面活性剤の幾つかは、アミン又はアンモニアを含むホスフェートアニオン、例えば、リン脂質、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンを有することができる。
【0052】
界面活性剤の例としてはまた、限定されないが、ドデシル硫酸ナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸アンモニウム塩、2級アルカンスルホネート、アルコールエトキシレート、アセチレン界面活性剤、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。適切な商業的に利用可能な界面活性剤の例としては、Dow Chemicals製のTRITON(商標)、Tergitol(商標)、DOWFAX(商標)群の界面活性剤と、Air Products and Chemicals製の、SURFYNOL(商標)、DYNOL(商標)、Zetasperse(商標)、Nonidet(商標)、及びTomadol(商標)界面活性剤群における様々な界面活性剤とが挙げられる。界面活性剤のうちの適切な界面活性剤はとしてはまた、エチレンオキシド(EO)基及びプロピレンオキシド(PO)基を含むポリマーを挙げることができる。EO−POポリマーの例は、BASF Chemicals製のTetronic(商標)90R4である。
【0053】
用いられる場合、界面活性剤の量は、典型的に、バリアCMP組成物の全体重量に対して、0.0001wt%〜約1.0wt%の範囲である。用いられる場合、好ましい範囲は、約0.010wt%〜約0.1wt%である。
【0054】
pH調整剤(任意選択)
本発明の組成物はpH調整剤を含む。pH調整剤は、典型的に、研磨組成物のpHを上げる又は下げるために、本発明の組成物中で用いられる。pH調整剤は、研磨組成物の安定性を改善するために、研磨組成物のイオン強度を調整するために、並びに、操作及び使用における安全性を改善するために、必要に応じて使用することができる。
【0055】
研磨組成物のpHを下げるための適切なpH調整剤としては、限定されないが、硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、様々な脂肪酸、様々なポリカルボン酸、及びそれらの混合物が挙げられる。研磨組成物のpHを上げるための適切なpH調整剤としては、限定されないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、改質ポリエチレンイミン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0056】
用いられる場合、pH調整剤の量は、好ましくは、研磨組成物の全体重量に対して、0.0001wt%〜約5.0wt%の範囲である。好ましい範囲は、約0.01wt%〜約1wt%である。
【0057】
好ましくは、本発明の組成物のpHは、約2〜約12、好ましくは約7〜約11.5、及びより好ましくは約9〜約11.5の範囲である。
【0058】
キレート剤(任意選択)
キレート剤は、金属カチオンに対するキレート配位子の親和性を促進するために、任意選択で、本発明の組成物中で用いることができる。キレート剤はまた、パッドに汚染を引き起こし、除去速度の不安定性を引き起こす、パッド上の金属イオンの増加を防ぐために使用することができる。適切なキレート剤としては、限定されないが、例えば、アミン化合物、例えば、エチレンジアミン、アミノポリカルボン酸、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA);芳香族酸、例えば、ベンゼンスルホン酸、4−トリルスルホン酸、2,4−ジアミノ−ベンゼンスルホン酸など;非芳香族有機酸、例えば、イタコン酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、又はそれらの塩;様々なアミノ酸及びそれらの誘導体、例えば、グリシン、セリン、プロリン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、オルニチン、セレノシステイン、チロシン、サルコシン、ビシン、トリシン、アセグルタミド、N−アセチルアスパラギン酸、アセチルカルニチン、アセチルシステイン、N−アセチルグルタミン酸、アセチルロイシン、アシビシン、S−アデノシル−L−ホモシステイン、アガリチン、アラノシン、アミノ馬尿酸、L−アルギニンエチルエステル、アスパルテーム、アスパルチルグルコサミン、ベンジルメルカプツール酸、ビオシチン、ブリバニブアラニネート、カルボシステイン、N(6)−カルボキシメチルリシン、カルグルミン酸、シラスタチン、シチオロン、コプリン、ジブロモチロシン、ジヒドロキシフェニルグリシン、エフロルニチン、フェンクロニン、4−フルオロ−L−スレオニン、N−ホルミルメチオニン、ガンマ−L−グルタミル−L−システイン、4−(γ−グルタミルアミノ)ブタン酸、グルタウリン、グリコシアミン、ハダシジン、ヘパプレッシン、リシノプリル、リメサイクリン、N−メチル−D−アスパラギン酸、N−メチル−L−グルタミン酸、ミラセミド、ニトロソプロリン、ノカルジシンA、ノパリン、オクトピン、オンブラブリン、オパイン、オルタニル酸、オキサセプロール、ポリリシン、レマセミド、サリチル尿酸、シルクアミノ酸、スタンピジン、タブトキシン、テトラゾリルグリシン、チオルファン、チメクタシン、チオプロニン、トリプトファントリプトフィルキノン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、並びにホスホン酸及びその誘導体、例えば、オクチルホスホン酸、アミノベンジルホスホン酸、それらの組み合わせ、及びそれらの塩が挙げられる。
【0059】
キレート剤は、例えば、銅カチオン及びタンタルカチオンを化学結合させて、酸化銅及び酸化タンタルの溶解を加速させ、銅のライン、ビア、又はトレンチ、及びバリア層又はバリア膜の望ましい除去速度を得る必要性がある場合に、用いることができる。
【0060】
用いられる場合は、キレート剤の量は、組成物の全体重量に対して、好ましくは約0.01wt%〜約3.0wt%、より好ましくは約0.4wt%〜約1.5wt%の範囲である。
【0061】
殺生物剤(任意選択)
CMP配合物はまた、殺生物剤のような生物的成長を制御するための添加剤を含むことができる。生物的成長を制御する添加剤の幾つかは、米国特許第5230833号明細書(Rombergerら)及び米国特許出願公開第2002/0025762号明細書で開示され、それらは、参照することにより本明細書に組み込まれる。生物成長防止剤としては、限定されないが、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、及び水酸化アルキルベンジルジメチルアンモニウム(ここで、アルキル鎖は1〜約20個の炭素原子)、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、イソチアゾリノン化合物、例えば、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン、及びベンズイソチアゾリノンが挙げられる。商業的に利用可能な防腐剤の幾つかとしては、Dow Chemicals製のKATHON(商標)及びNEOLENE(商標)製品群と、Lanxess製のPreventol(商標)群とが挙げられる。
【0062】
好ましい殺生物剤はイソチアゾリノン化合物、例えば、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン、及びベンズイソチアゾリノンである。
【0063】
CMP研磨組成物は、保管中に細菌及び真菌成長を防ぐために、任意選択で、0.0001wt%〜0.10wt%、好ましくは0.0001wt%〜0.005wt%、及びより好ましくは0.0002wt%〜0.0025wt%の範囲の殺生物剤を含有する。
【0064】
幾つかの実施形態において、バリアCMP処理のための、説明されたバリア研磨組成物は、腐食防止剤、例えば、BTA又はBTA誘導体、トリアゾール又はトリアゾール誘導体;より具体的には、例えば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾールなど;又はキレート配位子、例えば、ベンゼンスルホン酸若しくはクエン酸カリウム;表面湿潤剤、例えば、Carbowet13−40及びDynol607;10,000超の分子量を持つ有機ポリマー、ケイ酸塩化合物;研磨剤;pH調整剤並びに酸化剤を含む。そのような組成物は、アドバンスドノード用途のためのバリアCMP研磨組成物として、本発明においてうまく使用されてきており、複数タイプの膜を研磨する際の望ましい除去速度及び望ましい選択性を提供してきた。
【0065】
本発明の組成物は、濃縮形態で製造することができ、その後、使用場所でDI水を用いて希釈することができる。他の成分、例えば、酸化剤のような成分は、濃縮形態中での成分間の不適合(incompatibility)を最小化するために、濃縮形態で与えずに、使用場所で加えることができる。本発明の組成物は、使用前に混合することができる2つ以上の成分中で製造することができる。
【0066】
バリアCMPのために使用される場合、これらの組成物は、プロセスの工程のために使用することができ、バリア及び誘電体膜が金属ラインに比べて高い速度で研磨される。幾つかの実施形態において、バリア化学機械研磨組成物は、パターン化ウエハの化学機械研磨の第2段階で使用するのに効果的であり、かつ、以下:様々なタイプの膜の望ましい除去速度を提供すること、望ましい低レベルのウエハ内非均一性(「WIWNU%」)を提供して、CMP処理の後に、研磨されたウエハ上に存在する低い残渣レベルをもたらすこと、及び様々な膜の中で望ましい選択性を提供すること、のうち少なくとも1つを提供する。
【0067】
半導体製造に対して望ましくない具体的な特徴ひずみは、化学機械研磨プロセスにおいて、銅ビア又は金属ラインと相互作用する化学成分の更なる腐食により引き起こされる銅ビア又は金属ラインへのダメージである。したがって、CMP組成物中で腐食防止剤を使用して、化学機械研磨プロセス中の銅ビア又はトレンチの更なる腐食を低減及び制御し、そして欠陥を低減することは極めて重要である。
【0068】
典型的なCMPプロセスのバリア除去工程については、バリアCMP組成物を使用することに関係する化学反応としては、バリアCMP組成物中で使用される酸化剤、例えば、H22によって誘導される酸化反応が挙げられる。金属ライン、ビア又はトレンチ、及びバリア材料、例えば、Taの表面が酸化されて、関連する金属酸化物膜になる。典型的に、金属銅は酸化されて、酸化第1銅と酸化第2銅との混合物になり、Taは酸化されてTa25になる(好ましい酸化物はTaについて形成する)。
【0069】
好ましい実施形態において、TEOS誘電体膜の除去速度は、3psiの下向き力及び135RPMのテーブル速度で、40超のショアD硬度を持つCMPパッドを使用して、1500Å/分超であり、TaN除去速度は900Å/分超であり、銅除去速度は400Å/分超である。
【0070】
好ましい実施形態において、TEOS誘導体膜の除去速度は、3psiの下向き力で、1500Å/分超であり、TaN除去速度は900Å/分超であり、銅除去速度は400Å/分超である。
【0071】
幾つかの好ましい実施形態において、ケイ酸塩化合物及びポリマーを追加した場合、Cu、TaN及びTEOS膜の除去速度は、これらの添加剤なしの組成物と比較して少なくとも1.25倍高い。
【0072】
本発明の研磨スラリーは、遊離粒子の水性研磨スラリー組成物を調製するための一般的なプロセスにより調製することができる。具体的には、適切な量の研磨粒子(研磨材料粒子)と、必要であれば、適切な量の分散剤とを水性溶媒に加える。そのような状態において、粒子は凝集する。したがって、凝集した研磨材料粒子は、研磨粒子混合物の分散を行うことで、所望の粒子サイズを持つ粒子に分散される。そのような分散プロセスにおいては、適切な装置、例えば、超音波分散装置、ビーズミル、混練機及びボールミルを使用することができる。本発明における増粘剤は、分散プロセスの前か又は後に加えることができる。
【0073】
本発明の研磨スラリーを用いる典型的なCMPプロセスは、例えば、以下で説明する手順を使用して行うことができる。第1に、絶縁膜が形成され、その絶縁膜上に所与のパターンを持つ凹部が形成され、その凹部上に金属膜が堆積された基材を準備する。基材は、スピンドルのようなウエハキャリア上に設置される。基材の金属膜表面は、所定圧の下で、回転プレートのような表面プレート上に取り付けられた研磨パッドと接触している。基材と研磨パッドの間に研磨スラリーを供給しながら、基材(ウエハ)及び研磨パッド(例えば、回転歯)を相対的に動かすことにより研磨が開始される。研磨スラリーを、分離した供給管から又は表面プレート側から研磨パッド上に供給することができる。必要であれば、パッドコンディショナーを研磨パッドの表面と接触させ、研磨パッドの表面の状態を整える。
【0074】
バリア又はライナ金属膜がトレンチのような凹部を含む絶縁膜上に堆積され、接続穴及び導電性金属膜が、凹部を金属で満たしつつ表面全体にわたって形成され、ダマシン相互接続、ビアプラグ及び接触プラグのような電気接続を形成する基材に対し、CMPによる研磨が行われる場合に、上で説明した本発明の研磨スラリーを最も効果的に使用することができる。絶縁膜の例としては、酸化ケイ素膜、BPSG膜及びSOG膜が挙げられる。導電性金属膜の例としては、銅、銀、金、白金、チタン、タングステン、アルミニウム、ルテニウム及びそれらの合金から作られるものが挙げられる。バリア金属膜の例としては、タンタル系金属、例えば、タンタル(Ta)、窒化タンタル及び窒化タンタルケイ素;チタン系金属、例えば、チタン(Ti)及び窒化チタン;タングステン系金属、例えば、タングステン(W)、窒化タングステン及び窒化タングステンケイ素から作られるものが挙げられる。その他の中では、本発明の研磨スラリーは、導電性金属膜が銅系金属膜(銅膜又は主成分として銅を含む銅合金膜)である場合に、より効果的に使用することができる。特に、スラリーは、導電性金属膜が銅系金属膜であり、バリア金属膜がタンタル系金属膜である場合に、効果的に使用することができる。
【0075】
したがって、本発明はまた、金属化学平坦化のためのシステムであって、少なくとも1つの表面を含む半導体デバイスであって、少なくとも1つの表面が(1)タンタル、窒化タンタル、タンタルタングステン炭化ケイ素、チタン、窒化チタンからなる群より選択されるバリア層;(2)銅、タングステン、コバルト、アルミニウム、又はそれらの合金の群より選択される相互接続金属層;及び(3)多孔質又は無孔質の誘電体層を有する半導体デバイスと;研磨パッドと;本明細書で説明されるような研磨組成物とを含むシステムであって、少なくとも1つの表面が研磨パッド及び研磨組成物と接触しているシステムを提供する。本明細書で説明される研磨組成物及び方法は、以下の例を参照してより詳細に説明されるが、それは、研磨組成物及び方法を限定すると解されないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0076】
一般的な実験手順
別段の記載がない限り、全てのパーセントは重量パーセントである。以下で示される例において、以下で与えられる実験条件及び手順を使用してCMP実験を行った。
【0077】
例において使用したCMPツールは、Applied Materials(3050Boweres Avenue,Santa Clara,California,95054)製のMirra(登録商標)であった。Dow Chemicals製のVP3500研磨パッド上で研磨を行った。3psiの下向き力及び135RPMのテーブル速度において、200ml/分の組成物流量で、研磨を行った。電気めっきで堆積した銅と、テトラエトキシシラン(TEOS)誘電体、タンタル(Ta)及び窒化タンタル(TaN)膜のプラズマ堆積とを使用して、研磨実験を行った。これらのブランケットウエハは、Silicon Valley Microelectronics(1150 Campbell Ave,CA,95126)及びAdvantiv Corporationから購入した。ウエハ膜上の欠陥を、KLA−Tencor(One Technology Drive,Milpitas,CA95035)製のSurfscan SP2ウエハ検査ツールを使用して測定した。
【0078】
次の例において使用されるポリマーを、例において特定されるような様々なサプライヤから購入した。分子量の情報は、サプライヤからのカタログ情報に基づく。典型的に、分子量の情報はダルトンで示され、粘度測定技術に基づく。
【0079】
例1
ディスク遠心分離法(CPS Instruments製のDC24000UHR)で測定した場合に、65〜75nmの範囲の平均粒子サイズを持つコロイダルシリカ粒子を使用して、この例及び次の例における全ての組成物を作った。
【0080】
対照組成物を表Iに記載した組成物で作った。
【0081】
【表1】
【0082】
表2に、使用した添加剤の情報を示す。
【0083】
【表2】
【0084】
表3に、欠陥及び除去速度への、組成物に加えた添加剤の影響をまとめた。
【0085】
【表3】
【0086】
表3に示されるように、添加剤を加えた全ての組成物は、2倍以下の除去速度の増加を達成し、2倍のウエハスループットと、5倍以下の欠陥の低減とをもたらした。添加剤を加えた組成物は、A5及びA7を除くと、如何なる添加剤を含まない対照組成物と比較して、Cu及びTEOSウエハ上の欠陥を減らすことができた。
【0087】
データはまた、除去速度及び欠陥が0.2〜0.4wt%の添加剤濃度に対してほぼ同一であったため、A1をより高い濃度にすることで、添加剤の効果が向上しなかったことを示した。
【0088】
興味深いことはまた、組成物にA5を加えたことで、A1又はA2未満ではあるものの、有意な速度増加を提供したが、それは欠陥においては如何なる改善も提供しなかったことである。
【0089】
例2
表1に示した組成物に異なる濃度で異なるポリマー添加剤を加えることにより、CMP組成物を作った。これらの配合物の粘度を、25℃かつ60RPMのスピンドル速度で、Brookfieldモデル:DV−II+粘度計で測定した。
【0090】
【表4】
【0091】
ポリマーの追加により、粘度の増加がもたらされたことが明らかである。より高い分子量のポリマー(A1)を用いると、粘度の増加がより高くなった。
【0092】
例3
異なる濃度のケイ酸カリウム、添加剤A1及びシリカ粒子を用いて、CMP組成物を作り、除去速度の増加における各成分の相対的な影響を決定することを導いた。
【0093】
対照組成物(組成物#10)は、水及び10wt%のシリカのみを含んでいた。
【0094】
異なるCMP組成物#11〜#18を使用して、Cu、Ta、TaN及びTEOS膜についての除去速度を表5に示した。
【0095】
添加剤A1及びケイ酸カリウムを一緒に対照組成物に加えることで、相乗効果を観測した。除去速度が増加した。
【0096】
組成物11と組成物12とを比較すると、10wt%又は4wt%のシリカ研磨剤充填量を含む組成物について、ケイ酸カリウムの濃度が低い(0.2wt%)場合は、0.1wt%から0.3wt%にA1濃度を増加させることによる除去速度の増加は、比較的小さいか又は全くなかった。
【0097】
しかしながら、高いケイ酸カリウム濃度(#13及び14において1wt%)を含む組成物については、A1濃度を0.1wt%から0.3wt%に増加させた場合、除去速度の増加は極めて大きかった。
【0098】
除去速度の増加は、4wt%のシリカ研磨剤充填量を含む組成物についてさらにより明白であり、組成物中に1wt%のケイ酸カリウムを含み、0.1wt%から0.3wt%にA1濃度を増加させた場合、除去速度は1.5倍以上に増加した。
【0099】
【表5】
【0100】
例4
異なるポリマー添加剤を、0.2wt%の濃度で表1に記載した対照組成物に加えることで、CMP組成物を作った。配合物19〜23はまた、1wt%のケイ酸カリウムを含んでいた。配合物のpHは約10.7であった。
【0101】
【表6】
【0102】
この表から、より高い分子量のポリマーが、全ての膜の除去速度を増加させるのにより効果的であったことが明らかである。
【0103】
前述の実施形態の例及び説明は、特許請求の範囲により規定されたような本発明を限定するというよりむしろ、例示するものであるとして考えられるべきである。容易に理解されるように、上で説明した特徴の多くの変更及び組み合わせを、特許請求の範囲で説明されたような本発明から逸脱することなく利用することができる。そのような変更は、以下の特許請求の範囲内に包含されることが意図される。
本発明の実施形態としては、以下の実施形態を挙げることができる。
(付記1)
水と、
研磨剤と、
ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(1−ビニルピロリドン−コ−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(4−スチレンスルホン酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド/アクリル酸)コポリマー、それらの組み合わせ、及びそれらの塩からなる群より選択されるポリマーであって、30,000〜30,000,000ダルトンの分子量を有するポリマーと、
腐食防止剤と、
無機ケイ酸塩と、
酸化剤とを含み、任意選択で、
界面活性剤と、
pH調整剤と、
キレート剤とを含む研磨組成物であって、約7〜約11.5のpHを有し、粘度が約1.5cP〜約10cPである、研磨組成物。
(付記2)
前記無機ケイ酸塩が、ケイ酸カリウム、ケイ酸アンモニウム、ケイ酸テトラメチルアンモニウム、ケイ酸テトラブチルアンモニウム、ケイ酸テトラエチルアンモニウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるケイ酸の塩である、付記1に記載の研磨組成物。
(付記3)
前記無機ケイ酸塩が、約0.2wt%〜約2wt%の量で存在する、付記2に記載の研磨組成物。
(付記4)
前記高分子量ポリマーが、約0.01wt%〜約1.0wt%の量で存在する、付記1に記載の組成物。
(付記5)
前記高分子量ポリマーが、約0.1wt%〜約0.5wt%の量で存在する、付記4に記載の組成物。
(付記6)
前記研磨剤が、高純度コロイダルシリカ、アルミナ、セリア、ゲルマニア、シリカ、チタニア、ジルコニア、格子内にアルミナがドープしたコロイダルシリカ、及びそれらの混合物からなる群より選択される、付記1に記載の研磨組成物。
(付記7)
前記研磨剤が、約3wt%〜約15wt%の量で存在する、付記1に記載の研磨組成物。
(付記8)
前記研磨剤がコロイダルシリカであり、前記コロイダルシリカが30nm〜300nmの平均粒子サイズを有する、付記7に記載の研磨組成物。
(付記9)
前記コロイダルシリカが、50nm〜200nmの平均粒子サイズを有する、付記8に記載の研磨組成物。
(付記10)
前記コロイダルシリカが、60nm〜150nmの平均粒子サイズを有する、付記9に記載の研磨組成物。
(付記11)
前記コロイダルシリカが、30nm〜120nmに少なくとも2つの別々のピークを持つ粒子サイズ分布を有する、付記8に記載の研磨組成物。
(付記12)
前記コロイダルシリカが、30nm〜120nmに少なくとも3つの別々のピークを持つ粒子サイズ分布を有する、付記8に記載の研磨組成物。
(付記13)
前記腐食防止剤が、ベンゾトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミン−1,2,4−トリアゾール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択され、約0.01wt%〜約0.1wt%の量で存在する、付記1に記載の研磨組成物。
(付記14)
前記pH調整剤が存在しており、硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、様々な脂肪酸、様々なポリカルボン酸、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、付記1に記載の研磨組成物。
(付記15)
前記pH調整剤が存在しており、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、改質ポリエチレンイミン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、付記1に記載の研磨組成物。
(付記16)
pH調整剤が、約0.0001wt%〜約2wt%の範囲の量で存在する、付記1に記載の研磨組成物。
(付記17)
前記キレート剤が存在しており、クエン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸、4−トリルスルホン酸、2,4−ジアミノ−ベンゼンスルホン酸、マロン酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、アミノ酸、ポリカルボキシアミノ酸、ホスホン酸、それらの組み合わせ、及びそれらの塩からなる群より選択される、付記1に記載の研磨組成物。
(付記18)
前記キレート剤が、約0.01wt%〜約3.0wt%の範囲の量で存在する、付記1に記載の研磨組成物。
(付記19)
前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、付記1に記載の研磨組成物。
(付記20)
前記界面活性剤が、約0.010wt%〜約0.1wt%の量で存在する、付記1に記載の研磨組成物。
(付記21)
前記界面活性剤が、アセチレンジオール界面活性剤、アルコールエトキシレート界面活性剤、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、付記20に記載の研磨組成物。
(付記22)
前記酸化剤が、ペルオキシ化合物、酸化ハライド、過ホウ酸、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過マンガン酸塩、セリウム化合物、フェリシアン化物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、付記1に記載の研磨組成物。
(付記23)
前記酸化剤が、約0.5wt%〜約2.0wt%の量で存在する、付記22に記載の研磨組成物。
(付記24)
少なくとも1つの表面を含む半導体デバイスの化学機械平坦化のための研磨方法であって、前記少なくとも1つの表面が、(1)タンタル、窒化タンタル、タンタルタングステン炭化ケイ素、チタン、窒化チタンからなる群より選択されるバリア層;(2)銅、タングステン、コバルト、アルミニウム、ルテニウム、又はそれらの合金の群より選択される相互接続金属層;及び(3)多孔質又は非多孔質の誘電体層を有し、
a.前記少なくとも1つの表面を研磨パッドに接触させる工程、
b.付記1に記載の研磨組成物を、前記少なくとも1つの表面に運ぶ工程、及び
c.前記少なくとも1つの表面を前記研磨組成物で研磨して、好ましくは前記誘電体層上で、少なくとも前記バリア層を少なくとも部分的に除去する工程
を含む、研磨方法。
(付記25)
前記多孔質又は非多孔質の誘電体層が、ケイ素、炭素、酸素及び水素を含む、付記24に記載の研磨方法。
(付記26)
前記多孔質又は非多孔質の誘電体層がTEOSである、付記25に記載の研磨方法。
(付記27)
前記多孔質又は非多孔質の誘電体層が、非多孔質材料のキャッピング層をさらに含む、付記25に記載の研磨方法。
(付記28)
前記バリア層と前記誘電体層との間の除去速度選択性が0.25〜4の範囲である、付記24に記載の研磨方法。
(付記29)
前記バリア層と前記誘電体層との間の除去速度選択性が0.5〜2の範囲である、付記28に記載の研磨方法。
(付記30)
前記相互接続金属層と前記誘電体層との間の除去速度選択性が0.25〜4の範囲である、付記24に記載の研磨方法。
(付記31)
前記相互接続金属層と前記誘電体層との間の除去速度選択性が0.5〜2の範囲である、付記30に記載の研磨方法。
(付記32)
前記TEOSの除去速度が、3psiの下向き力で1500Å/分超である、付記26に記載の研磨方法。
(付記33)
前記バリア層が窒化タンタル(TaN)であり、前記TaNの除去速度が、3psiの下向き力で900Å/分超である、付記24に記載の研磨方法。
(付記34)
前記相互接続金属層が銅を含み、前記銅の除去速度が、3psiの下向き力で400Å/分超である、付記24に記載の研磨方法。
(付記35)
少なくとも1つの表面を含む半導体デバイスであって、前記少なくとも1つの表面が、(1)タンタル、窒化タンタル、タンタルタングステン炭化ケイ素、チタン、窒化チタンからなる群より選択されるバリア層;(2)銅、タングステン、コバルト、アルミニウム、ルテニウム、又はそれらの合金の群より選択される相互接続金属層;及び(3)多孔質又は非多孔質の誘電体層を有する半導体デバイスと、
研磨パッドと、
付記1に記載の研磨組成物と
を含む化学機械平坦化のためのシステムであって、前記少なくとも1つの表面が、前記研磨パッド及び前記研磨組成物と接触している、システム。