(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ステップb)は、マスク平面(88)、または、前記マスク平面に光学的に共役な平面内の少なくとも1つの視野点において、角度放射照度分布を測定するステップを含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
前記少なくとも1つのパラメータが前記ミラー面(224−1−1〜224−4−9)の前記向きであり、前記マスク平面(88)、または、前記マスク平面に光学的に共役な前記平面内の複数の視野点において、前記角度放射照度分布が測定される、請求項4に記載の方法。
前記複数の視野点と関連付けられる位置に、複数の位置解決光センサ(208a、208b)が配置されており、各光センサは、関連する前記視野点の前記角度放射照度分布を測定する、請求項6に記載の方法。
ステップb)は、前記マスク平面(88)、または、前記マスク平面に光学的に共役な平面内の少なくとも1つの視野点において、放射照度を測定するステップを含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
前記少なくとも1つのパラメータが前記ミラー面(224−1−1〜224−4−9)の前記向きであり、前記マスク平面(88)、または、前記マスク平面に光学的に共役な平面内の複数の視野点において、前記放射照度が測定される、請求項8に記載の方法。
ステップb)は、前記ミラー面(224−1−1〜224−4−9)の形状、前記光入射ファセット(75)に対する前記変調面(222)の空間配置、および、前記光入射ファセット(75)の形状に基づいて、前記少なくとも1つのパラメータを計算するステップを含む、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
ステップb)の間、隣接するミラー面が前記マスク(16)上で光を重ね合わせないように、前記ミラー面(224−1−1〜224−4−9)の前記向きが制御される、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
ステップb)の間、前記空間光変調器に対して固定して配置されているマーカ点(160a、160b、160c;166a、166b、166c)の位置が検出される、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
前記空間光変調器(52)は少なくとも2つの変調器ユニット(52a、52b、52c)を備え、各変調器ユニットは、複数のマイクロミラー(56)を備え、少なくとも1つのマーカ点(160a、160b、160c)を支持する、請求項14に記載の方法。
前記マーカ点(166a、166b、166c)は、前記光学インテグレータ(60)に対して固定して配置されている位置解決光検出器(168a、168b、168c)上に結像される、請求項14から16までのいずれか1項に記載の方法。
前記マーカ点(166a、166b、166c)は、前記光学インテグレータ(60)上に前記光パターンの前記像を形成する結像光学系(58)によって前記光検出器(168a、168b、168c)上に結像される、請求項17に記載の方法。
前記変調面(222)は、前記マイクロミラー(56)または前記マイクロミラー間の構造によって反射または散乱された光を検出するカメラ(171)によって観測される、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。
ステップc)は、ステップb)において前記ミラー面が側方に変位していることが測定された場合に、制御パターンを側方にシフトするステップを含む、請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法。
前記測定デバイス(200)は、マスク平面(88)、または、前記マスク平面に光学的に共役な平面内の少なくとも1つの視野点において、角度放射照度分布を測定するように構成されている瞳測定ユニット(202a、202b)を備える、請求項22または23に記載の照明システム。
前記瞳測定ユニット(202a、202b)は、前記マスク平面(88)、または、前記マスク平面に光学的に共役な平面内の複数の視野点において同時に、前記角度放射照度分布を測定するように構成されている、請求項24に記載の照明システム。
前記瞳測定ユニット(202a、202b)は、前記複数の視野点と関連付けられる位置に配置されている複数の位置解決光センサ(218a、218b)を備え、各光センサは、関連する前記視野点の前記角度放射照度分布を測定する、請求項24または25に記載の照明システム。
前記測定デバイス(200)は、前記マスク平面(88)、または、前記マスク平面に光学的に共役な平面内の少なくとも1つの視野点において、放射照度を測定するように構成されている放射照度測定ユニット(204a、204b)を備える、請求項22から26までのいずれか1項に記載の照明システム。
前記少なくとも1つのパラメータが前記ミラー面(224−1−1〜224−4−9)の前記向きであり、前記放射照度測定ユニット(204a、204b)は、前記マスク平面(88)、または、前記マスク平面に光学的に共役な前記平面内の複数の視野点において同時に、前記放射照度を測定するように構成されている、請求項27に記載の照明システム。
前記放射照度測定ユニット(204a、204b)は、前記複数の視野点に配置されている複数の光センサ(234a、234b)を含み、各光センサは、関連する前記視野点において前記放射照度を測定するように構成されている、請求項28に記載の照明システム。
前記測定デバイス(150)は、前記空間光変調器(52)に対して固定して配置されているマーカ点(160a、160b、160c;166a、166b、166c)と、前記マーカ点の位置を検出するように構成されている検出器(162;168a、168b、168c)とを備える、請求項22から30までのいずれか1項に記載の照明システム。
前記検出器は、前記結像光学系(58)が、位置解決光検出器(168a、168b、168c)上に前記マーカ点(166a、166b、166c)の像を形成するように、前記光学インテグレータ(60)に対して固定して配置される前記位置解決光検出器である、請求項31に記載の照明システム。
前記測定デバイスは、前記変調面(222)を観測し、前記マイクロミラー(56)または前記マイクロミラー間の構造によって反射または散乱された光を検出するように構成されているカメラ(171)を備える、請求項22から32までのいずれか1項に記載の照明システム。
【背景技術】
【0002】
マイクロリソグラフィ(フォトリソグラフィまたは単にリソグラフィとも称される)は、集積回路、液晶ディスプレイおよび他の微細構造デバイスを作製するための技術である。マイクロリソグラフィの工程は、エッチングの工程とともに、基板、例えば、シリコンウェハ上に形成されている薄膜スタック内にフィーチャをパターニングするために使用される。作製の各層において、ウェハは最初に、遠紫外線(DUV)または真空紫外線(VUV)のような放射に感受性のある材料であるフォトレジストでコーティングされる。次に、上部にフォトレジストを有するウェハは、投影露光装置内において投影光で露光される。装置は、パターンを含むマスクをフォトレジスト上に投影し、それによって、フォトレジストは、マスクパターンによって決定される特定の箇所においてのみ露光される。露光後、フォトレジストは現像されて、マスクパターンに対応する像が生成される。その後、エッチング工程によって、パターンがウェハ上の薄膜スタックへと転写される。最後に、フォトレジストが除去される。異なるマスクを用いてこの工程を繰り返すことによって、多層微細構造構成要素がもたらされる。
投影露光装置は、一般的に、光源と、光源によって生成される投影光でマスクを照明する照明システムと、マスクを整列させる(aligning)ためのマスクステージと、投影対物部(projection objective)と、フォトレジストをコーティングされたウェハを整列させる(aligning)ためのウェハアラインメントステージ(wafer alignment stage)とを含む。照明システムは、例えば、矩形または湾曲したスリットの形状を有し得る、マスク上の視野を照明する。
【0003】
現行の投影露光装置においては、2つの異なるタイプの装置の間で区別することができる。1つのタイプにおいては、ウェハ上の各標的部分は、1度にマスクパターン全体を標的部分上に露光することによって照射される。そのような装置は一般的に、ウェハステッパと称される。一般的にステップアンドスキャン装置またはスキャナと称される他方のタイプの装置においては、同時に動作方向に平行または逆平行に基板を動かしながら、走査方向に沿った投影ビームの下でマスクパターンを漸進的に走査することによって、各標的部分が照射される。ウェハの速度とマスクの速度との比は、投影対物部の倍率に等しく、これは通常1よりも小さく、例えば1:4である。
「マスク」(またはレチクル)という用語は、パターニング手段として広範に解釈されるべきであることを理解されたい。一般的に使用されるマスクは、不透明または反射性パターンを含み、例えば、バイナリ、レベンソン型位相シフト
(alternating phase−shift)、ハーフトーン型位相シフト
(attenuated phase−shift)または様々なハイブリッドマスクタイプのものであり得る。しかしながら、例えば、プログラム可能ミラーまたはLCDアレイとして実現されるマスクのような、アクティブマスクもある。
【0004】
微細構造デバイスを製造するための技術が進歩するにつれて、照明システムに対する要求がますます増大している。理想的には、照明システムは、マスク上の照明視野の各点を、良好に規定された放射照度および角度放射照度分布を有する投影光によって照明する。角度放射照度分布という用語は、マスク平面内の特定の点に向かって収束する光束の全光エネルギーが、光束を構成する光線の様々な方向の間でどのように分配されるかを表す。
マスクに衝突する投影光の角度放射照度分布は通常、フォトレジスト上に投影すべきパターンの種類に合わせて適合される。多くの場合、最適な角度放射照度分布は、パターン内に含まれるフィーチャのサイズ、向きおよびピッチに応じて決まる。最も一般的に使用されている投影光の角度放射照度分布は、従来型、環状、二重極、および四重極照明設定と称される。これらの用語は、照明システムの瞳
平面内の放射照度分布を表す。環状照明設定では、例えば、瞳
平面内で環状領域のみが照明される。したがって、投影光の角度放射照度分布には小さな角度範囲しか存在せず、すべての光線が同様の角度で斜めにマスク上に衝突する。
【0005】
所望の照明設定を達成するようにマスク
平面内の投影光の角度放射照度分布を修正するために、様々な手段が当技術分野で知られている。最も単純な事例では、1つまたは複数の開口を備える絞り(stop)(絞り(diaphragm))が、照明システムの瞳面内に位置決めされる。瞳
平面内の位置は、マスク平面のようなフーリエ関連視野平面内の角度に転換されるため、瞳
平面内の開口のサイズ、形状および位置が、マスク平面内の角度放射照度分布を決定づける。しかしながら、照明設定を何か変更するには、絞りを交換する必要がある。これによって、開口のサイズ、形状または位置がわずかに異なる非常に多数の絞りが必要になるため、照明設定を微調整するのは困難になる。さらに、絞りを使用することによって、必然的に光損失がもたらされ、したがって、装置のスループットが低下する。
それゆえ、多くの一般的な照明システムは、瞳
平面の照明を、少なくとも一定程度まで連続的に変更することを可能にする調整可能要素を備える。多くの場合、これらのシステムは、瞳
平面において所望の空間放射照度分布を生成するために、交換可能な回折光学素子を使用する。拡大光学素子および一対のアキシコン素子が回折光学素子と瞳
平面との間に設けられている場合、この空間放射照度分布をある程度まで調整することが可能である。
【0006】
近年、瞳
平面を照明するミラーアレイを使用することが提案されている。欧州特許出願公開第1 262 836号から知られる照明システムでは、ミラーアレイは、1000個を超える微小ミラーを備える微小電気機械システム(MEMS)として実現される。各ミラーは、互いに垂直な2つの異なる平面内で傾斜させることができる。したがって、そのようなミラーデバイスに入射する放射は、半球のほぼ任意の所望の方向に反射させることができる。各ミラーは、ミラーを傾斜させることによって自由に移動可能であるスポットを、瞳
平面内に生成する。
同様の照明システムが、米国特許出願公開第2006/0087634号、米国特許第7,061,582号、国際公開第2005/026843号および国際公開第2010/006687号から知られている。
【0007】
さらに上述したように、通常、少なくとも走査積分後に、放射照度および角度放射照度分布が同じマスク上のすべての点を照明することが望ましい。マスク上の点が異なる放射照度で照明される場合、これは通常、ウェハレベルでの限界寸法(CD)の望ましくない変動をもたらす。例えば、放射照度変動の存在下では、感光性上のマスク上の均一なラインの像も、その長さに沿って放射照度変動を有する場合がある。レジストの露光閾値は固定であるため、そのような放射照度変動は、ラインの像によって画定される構造の幅変動に直接転換される。
【0008】
角度放射照度分布が、マスク上の照明視野にわたって不意に変動する場合、これも、感光面上に生成される像の品質に悪影響を及ぼす。例えば、角度放射照度分布が完全に平衡されていない、すなわち、マスクポイント上の片側から、反対側よりも多くの光が衝突する場合、感光面上の共役像点は、感光面が完全に投影対物部の焦
平面(focal plane)上にあるのではない場合、側方にシフトされる。
以下のいくつかの手法において、角度放射照度分布を視野に応じて修正することができる方法が記載されている。
【0009】
国際公開第2012/100791号は、照明システムの瞳
平面内に所望の空間放射照度分布を生成するためにミラーアレイが使用される照明システムを開示している。瞳
平面に近接して、複数の光入射ファセットを有するフライアイ光学インテグレータが配置されている。光入射ファセットの像が、マスク上で重ね合わされる(superimposed)。ミラーアレイによって生成される光スポットは、光入射ファセットの総面積よりも少なくとも5分の1である面積を有する。これによって、光入射ファセット上に可変の光パターンを生成し、したがって、照明視野の異なる部分では異なる角度放射照度分布を生成することが可能になる。例えば、照明視野の一部分ではX二重極の、および、照明視野の別の部分ではY二重極の照明設定を生成することができる。
【0010】
国際公開第2012/028158号は、フライアイ光学インテグレータの光入射ファセット上の放射照度分布が、光学インテグレータの前に配置されている複数の変調器ユニットを用いることによって修正される照明システムを開示している。各変調器ユニットは、光入射ファセットのうちの1つと関連付けられ、光を遮断することなく、関連する光入射ファセット上の空間および/または角度放射照度分布を可変に再分布させる。このように、例えば、異なる半導体デバイスと関連付けられる単一のダイ上の2つ以上の異なる部分を、異なる照明設定で照明することが可能である。
【0011】
国際公開第2015/074746号は、フライアイ光学インテグレータの光入射ファセット上の放射照度分布が、光入射ファセット上にデジタルミラーデバイス(DMD)を
結像(imaging)することによって修正される手法を開示している。この手法は、上述した国際公開第2012/100791から既知である照明システムにおいてそうであるように、アナログマイクロミラーアレイを用いて非常に小さい光スポットを生成する必要がないため、有利である。照明視野にわたる角度放射照度分布が完全に均一になる(すなわち、視野とは無関係になる)ように、角度放射照度分布の視野依存性が調整される。また、時として、角度放射照度分布の視野依存性を意図的に導入することが望ましい場合があることも、言及しておく。これは、例えば、投影対物部またはマスクが視野依存特性を有する場合に好都合であり得る。マスクに関する限り、そのような視野依存特性は通常、フィーチャが異なる向きまたは寸法を有する結果である。そのような視野依存特性からもたらされる悪影響は、角度放射照度分布の視野依存性を選択的に導入することによって、首尾よく低減することができる。
しかしながら、前述の国際公開第2015/074746号から既知である照明システムによって生成される角度放射照度分布は、デジタルミラーデバイスが正確に制御されていても、しばしば予測される標的分布からわずかに逸脱することが分かっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、デジタルミラーデバイスまたは別の空間光変調器を用いることによって、角度放射照度分布をマスクレベルで確実かつ予測可能に修正することを可能にする、マイクロリソグラフィ投影装置を動作させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、この目的は、デジタルミラーデバイス(DMD)などの空間光変調器が提供されるステップa)を含む方法によって達成される。空間光変調器は、複数のマイクロミラーによって形成される変調面を有する。各マイクロミラーは、マイクロミラーごとに個々に変更することができる向きを有するミラー面を備える。ステップb)において、ミラー面に関連する少なくとも1つのパラメータが、マイクロミラーのうちの少なくとも1つについて測定される。ステップc)において、ミラー面の向きが、ステップb)において測定されている少なくとも1つのパラメータに応じて制御される。その後、ステップd)において、変調面上に光パターンが生成され、ステップe)において、複数の光入射ファセットを有する光学インテグレータ上に上記光パターンの像が形成され、最後のステップf)においてマスク上で光入射ファセットの像が重ね合わされる。
【0014】
本発明は、一方における現実の角度放射照度分布と、所望の標的角度放射照度分布との間に観測されることがある小さい逸脱が、主に、マイクロミラーのミラー面に関連する特定のパラメータが指定の値内にもはやないことに起因するという概念に基づく。この文脈において最も重要なパラメータは、ミラー面の位置および向きである。「位置」という用語は、この文脈においては、ミラー面が傾けられるときに動かない傾斜軸のような要素のデカルト座標を示すものとする。ミラー面の向きとは、傾斜軸に対するミラー面の傾斜角度を示す。マイクロミラーが2つの傾斜軸を有する場合、向きは、それに応じて2つの傾斜角度によって画定される。
【0015】
ミラー面が指定の位置にない場合、または、指定の向きでない場合、角度放射照度分布が影響を受けることは明らかである。しかしながら、空間光変調器は通常、照明システムのハウジング内に固定して配置されており、同じことが、変調面の像が形成される光学インテグレータにも当てはまるため、ミラー面と光学インテグレータとの間の相対位置も固定されるはずである。しかしながら、光入射ファセットおよびミラー面の寸法がごく小さいものである結果として、空間光変調器および/または光学インテグレータのドリフト運動がたとえ極度に小さくても、これはマスクレベルで角度放射照度分布を補償するのに十分であることが分かっている。例えば、空間光変調器と光学インテグレータは両方とも、たとえ小さいにしても衝突する投影光の一部を吸収するため、そのようなドリフト運動は、熱的効果によって引き起こされる場合がある。それゆえ、これらの構成要素は、照明システムが長期間にわたって動作させる場合に、温度が上昇する。
同様の考慮事項が、ミラー面の向きにも当てはまる。ミラー面の総数は10
6〜10
8の範囲内であり得るが、ただ1つのミラー面の不具合であっても、マスクレベルにおける角度放射照度分布に顕著な影響を及ぼす場合があることが分かっている。
ミラー面に関連し、ステップb)において測定され得る別のパラメータはミラー面の反射率である。反射率は、照明システムの動作中に、高エネルギーの投影光によって引き起こされる反射性コーティングの材料劣化の結果として低減する場合がある。
【0016】
本発明によれば、ミラー面に関連し、位置、向き、または、ステップb)において測定される別のパラメータが、照明システムの通常動作中にマイクロミラーの向きが制御されるときに、考慮に入れられる。例えば、ステップb)において、ミラー面が側方に変位していることが測定された場合、ステップc)は、制御パターンを側方にシフトするステップを含むことができる。これは、例えば、「オン」および「オフ」状態の特定の三次元パターンが、1つまたは2つの方向に沿ってマイクロミラー1つ分(またはさらには2つ分以上)だけ、単純にシフトされることを含んでもよい。その後、一方における空間光変調器と他方における光学インテグレータとの間の相対位置の変化を、マイクロミラーの制御を修正することによって補償することができる。
特定のマイクロミラーが故障し、それによってその向きをそれ以上変更することができない場合、または、反射ミラー面が劣化し、それによって、反射される投影光が予測されるよりも少ない場合、これは、同じ視野点を照明する他のマイクロミラーの制御を適切に変更することによって、部分的に補償することができる。
以下において、ミラー面に関連する少なくとも1つのパラメータを効率的に測定することができる種々の手法が説明される。
【0017】
照明システム内で利用可能なスペースは制限されていることが多いため、1つの手法は、少なくとも1つのパラメータを、ミラー面上で直接的に測定するのではなく、マスクレベルにおいてミラー面によって生成される効果のみを測定することである。このとき、必要な測定デバイスは、ミラー面から遠隔して、照明システムの外側から容易にアクセス可能であるマスクまたはウェハ平面のような位置に配置することができる。
【0018】
この「遠隔」手法の特定の一実施形態によれば、ステップb)は、少なくとも、マスク平面、または、マスク平面に光学的に共役な平面内の少なくとも1つの視野点において、角度放射照度分布を測定するステップを含む。通常、多数のマイクロミラーが、マスク平面または別の視野平面内の特定の視野点の照明に寄与する。そこから光が少なくとも1つの視野点に衝突する方向の測定値に基づいて、その後、これらのマイクロミラーの位置および向きを計算することができる。このように、例えば、1つの視野点における単一の測定値によって、空間光変調器に関連する位置情報を得ることが可能である。
すべてのミラー面の向きが決定されるべきである場合、角度放射照度分布は、マスク平面、または、マスク平面に光学的に共役な平面内の複数の視野点において測定される必要がある。これは、マイクロミラーの一部分のみが単一の視野点の照明に寄与するためであり、すべてのマイクロミラーについて向きが決定されるべきである場合、それに応じて多数の測定が、マスクレベルで実施される必要がある。これは時間がかかる工程であるため、角度放射照度分布は、複数の視野点において同時に測定されることが好ましい。
この目的のために、複数の位置解決光センサ(position resolving light sensors)を、複数の視野点と関連付けられる位置に配置することができる。各光センサは、関連する視野点の角度放射照度分布を測定する。
【0019】
ミラー面に関連する少なくとも1つのパラメータを測定するための同様の「遠隔」手法は、少なくとも、マスク平面、または、マスク平面に光学的に共役な平面内の少なくとも1つの視野点において、放射照度を測定することである。この手法は、マスク平面内の各視野点を、多数の異なるマイクロミラーから照明することができることを利用する。マイクロミラーは個々に制御することができるため、所与の時点において、1つのマイクロミラーのみが特定の視野点を照明するように、マイクロミラーを制御することが可能である。このように、マイクロミラーの向きに関する情報を容易に得ることができる。
ミラー面の位置を、照明される視野点の位置から計算することもできる。ミラー面が側方に変位している場合、マスク平面内のその像も、側方に変位する。
少なくとも、ミラー面の向きを測定するために、多数の測定が実施される必要がある。
それゆえ、複数の視野点において同時に放射照度を測定することが好ましい。この目的のために、複数の光センサが、複数の視野点に配置され得る。各光センサは、関連する視野点における放射照度を測定する。
【0020】
視野平面において放射照度または角度放射照度分布を測定することによる少なくとも1つのパラメータの遠隔測定は通常、ミラー面の形状、光入射ファセットに対する変調面の空間配置、および、光入射ファセットの形状に基づいて少なくとも1つのパラメータを計算するステップを必要とする。また、例えば、空間光変調器と、測定が実施される視野平面との間の光路内にあるすべての光学素子によって生成される光学的効果のような他の量も、考慮に入れる必要がある場合がある。
主に、回折および収差の結果として、マスク平面(または別の視野平面)上の隣接するマイクロミラーの像は、ある程度まで重なり合う場合がある。そのような重複は、1つまたは複数の視野
点における放射照度または角度放射照度分布の測定値を損なう場合がある。
【0021】
そのような悪影響を低減するために、ミラー面は、隣接するミラー面がマスク上で光を重ね合わせないように制御することができる。例えば、測定中に変調面内で生成される光パターンにおいて、「オン」状態にあるマイクロミラーを、「オフ」状態にあるマイクロミラーによって完全に包囲することができる。また、チェス盤状の光パターンは、視野平面内の隣接するミラー面の像の重複と関連付けられる任意の悪影響を大幅に低減する。
少なくとも1つのパラメータを測定するための別の手法は、空間光変調器に対して固定して配置されるマーカ点の位置を検出することを含む。この手法は、空間光変調器がドリフトする可能性がより高い一方で、照明システムの動作中に、光学インテグレータの位置は通常、非常に安定して維持することができるという知見に基づく。
【0022】
マーカ点は、空間光変調器の直上で、可能な限りマイクロミラーの近くに配置されることが好ましい。しかしながら、原則として、マーカ点を、空間光変調器の任意のドリフト運動がマーカ点に精密に伝達されるように、空間光変調器に堅固に接続されている支持構造上で、空間光変調器からさらに遠くに配置することも可能である。
マーカ点は、従来の位置検出器を用いることによってその位置を良好に検出することができる任意の要素または構造によって形成されてもよい。例えば、マーカ点は、干渉計測システムの測定光ビームが方向付けられ得る小さい反射面領域によって実現されてもよい。マーカ点はまた、レーザダイオード、または、測定光ビームを放出する別の発光素子によって形成されてもよい。
【0023】
この目的のために十分に大きい複数のマイクロミラーを備える空間光変調器を製造することは困難であるため、空間光変調器を、より容易に製造することができる2つ以上の変調器ユニットに分割することを想定してもよい。その場合、変調器ユニットは、変調器ユニットのうちの1つの隣接するマイクロミラー間の距離よりも大きい間隙によって分離される。光学インテグレータ上で、各変調器ユニットの活性領域の像をともにスティッチングする(stiches)スティッチング光学素子(stitching optics)を設けることができる。スティッチング光学素子に関するさらなる詳細は、米国特許出願公開第2015/10146183号に見出すことができる。
【0024】
変調器ユニットが互いに分離される場合、変調器ユニットは、変調器ユニットの相対配置が照明システムの動作中に変化するように、異なる相対運動を実施することができる。たとえ変調器ユニットが共通の堅固な支持構造に取り付けられている場合であっても、支持構造が熱膨張する結果として、変調器ユニットの相対配置が変化する場合がある。これらの場合、各変調器ユニットに少なくとも1つのマーカ点を設けることが有利であり得る。このとき、変調器ユニット間の相対ドリフト運動を検出し、マイクロミラーの制御中に考慮に入れることができるように、各変調器ユニットの位置を個々に検出することができる。
マーカ点は、投影光が衝突しない、変調器ユニットの後ろ側に配置されることが好ましい。このとき、マーカ点の検出が投影光の変調と干渉する危険性はない。
マーカ点の位置を検出する特定の手法は、光学インテグレータに対して固定して配置される位置解決光検出器(position resolving light detector)上でマーカ点を
結像することである。この像は、光学インテグレータ上の光パターンの像も形成する結像光学系によって生成されることが好ましい。マーカ点はマイクロミラーの外部にあるため、光パターンの像とマーカ点の像とは重なり合わず、したがって、マーカ点の位置の測定は、投影光の変調とは干渉し得ない。また、この構成において、マーカ点は、例えば、測定光ビームを放出する反射面領域または光源によって形成されてもよい。
【0025】
マーカ点が空間光変調器の直上に配置されない場合、マーカ点は、空間光変調器の支持構造上に固定されてもよい。同様に、位置解決光検出器が光学インテグレータの直上に配置されない場合、これは、光学インテグレータの支持構造上に固定されてもよい。支持構造は、光学インテグレータ、および、特に、空間光変調器の任意のドリフト運動が、それぞれ位置解決光検出器またはマーカ点に完全に伝達されるように、可能な限り堅固であるべきである。
少なくとも1つのパラメータを測定する別の手法は、マイクロミラーまたはマイクロミラー間の構造によって反射または散乱された光を検出するカメラによって、変調面を観測することである。原則として、光学インテグレータ上で光パターンの像を形成する、投影光および結像光学系の少なくとも一部を、そのような測定にも使用することは可能である。
【0026】
しかしながら、変調面は、測定光、および、感光面上でマスクを
結像するのに使用される投影光によって照明されることが好ましい。測定光および投影光の波長は、重なり合わない。カメラは、測定光の光路内に、ただし、投影光の光路の外部に配置される。これによって、ステップb)における少なくとも1つのパラメータの測定が、投影光の変調と干渉しないことが保証される。測定光は、ミラー面の可能な向きのうちの少なくとも1つにおいて、測定光がカメラに向けられるように、変調面に向けられる必要がある。
【0027】
ミラー面の向き、およびまた位置を検出するために、散乱した測定光を使用することもできる。その場合、ミラー面の位置または向きが変化する結果として、カメラの像
平面内の放射照度が変化するように、散乱光の角度放射照度分布は異方性である必要がある。ミラー面の位置および/または向きを測定するために、隣接するミラー面間の間隙から反射した光を使用することすら可能である。これは、ミラー面の向きおよび位置が、マイクロミラー間の構造によって反射または散乱した光も変化させることに起因する。
そのような測定のために、異なる方向からの測定光を、空間光変調器の変調器面上に方向付けることが有利であり得る。
個々のマイクロミラーの像をカメラによって解像することができない場合、空間光変調器の位置はさらに、カメラを用いることによって検出することができる。その場合、マイクロミラー群から現れた測定光で十分であり得る。
マイクロミラーの向きを測定するための最も単純な手法は、共通の支持体上でマイクロミラーの下または間に配置されるオンボード電子センサに依拠することである。しかしながら、そのようなセンサでは、ミラー面の向きしか検出することができない。
【0028】
本発明は、複数のマイクロミラーによって形成される変調面を有する空間光変調器を備えるマイクロリソグラフィ投影装置の照明システムをも対象とする。各マイクロミラーは、マイクロミラーごとに個々に変更することができる向きを有するミラー面を備える。測定デバイスは、マイクロミラーのうちの少なくとも1つについて、ミラー面に関連する少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されている。制御ユニットが、測定デバイスによって測定された少なくとも1つのパラメータに応じて、マイクロミラーの向きを制御するように構成されている。結像光学系が、例えば、複数の光入射ファセットを有する光学インテグレータのラスタ視野平面のような、任意の視野平面上に、変調面の像を形成するように構成されている。
少なくとも1つのパラメータは、ミラー面の位置およびミラー面の向きからなる群から選択することができる。
【0029】
測定デバイスは、少なくとも、マスク平面、または、マスク平面に光学的に共役な平面内の少なくとも1つの視野点において、角度放射照度分布を測定するように構成されている瞳測定ユニットを含むことができる。瞳測定ユニットは、マスク平面、または、マスク平面に光学的に共役な平面内の複数の視野点において、同時に角度放射照度分布を測定するように構成することができる。
その場合、瞳測定ユニットは、複数の視野点と関連付けられる位置に配置される複数の位置解決光センサを含むことができる。各光センサは、関連する視野点の角度放射照度分布を測定する。
測定デバイスは、代替的に、少なくとも、マスク平面、または、マスク平面に光学的に共役な平面内の少なくとも1つの視野点において、放射照度を測定するように構成されている放射照度測定ユニットを含むことができる。
少なくとも1つのパラメータがミラー面の向きである場合、放射照度測定ユニットは、マスク平面、または、マスク平面に光学的に共役な平面内の複数の視野点において、同時に放射照度を測定するように構成することができる。
放射照度測定ユニットは、複数の視野点に配置される複数の光センサを含むことができる。各光センサは、関連する視野点における放射照度を測定するように構成することができる。
制御ユニットは、ミラー面の形状、光入射ファセットに対する変調面の空間配置、および、光入射ファセットの形状に基づいて少なくとも1つのパラメータを計算するように構成することができる。
制御ユニットは、隣接するマイクロミラーがマスク上で光を重ね合わせないように、マイクロミラーの向きを制御するように構成することができる。
測定デバイスは、空間光変調器に対して固定して配置されるマーカ点と、マーカ点の位置を検出するように構成されている検出器とを備えることができる。
空間光変調器は、互いに分離されている少なくとも2つの変調器ユニットを備えることができる。各変調器ユニットは、複数のマイクロミラーを備え、少なくとも1つのマーカ点をサポートすることができる。
マーカ点は、投影光が衝突しない、変調器ユニットの後ろ側に配置することができる。
変調器ユニットは、変調器ユニットのうちの1つの隣接するマイクロミラー間の距離よりも大きい間隙によって分離することができる。
検出器は、結像光学系が、位置解決光検出器上にマーカの像を形成するように、光学インテグレータに対して固定して配置される位置解決光検出器であってもよい。
マーカ点は、測定光ビームを放出するように構成することができる。
マーカ点は、空間光変調器の支持構造上に固定されてもよい。位置解決光検出器は、光学インテグレータの支持構造上に固定されてもよい。
測定デバイスは、変調面を観測し、マイクロミラーまたはマイクロミラー間の構造によって反射または散乱された光を検出するように構成されているカメラを備えることができる。
【0030】
測定デバイスは、変調面を照明するように構成されている測定光源を備えることができる。測定光、および、感光面内でマスクを
結像するために使用される投影光の波長は、重なり合わない。カメラは、測定光の光路内に、ただし、投影光の光路の外部に配置されてもよい。
【0031】
空間光変調器は、第1の反射性または透過性ビーム偏向素子の第1のビーム偏向領域を含む瞳形成ユニットによって照明することができる。各ビーム偏向素子は、ビーム偏向素子によって生成される偏向角を変化させることによって可変である位置において、空間光変調器上のスポットを照明する。
【0032】
本発明はまた、空間光変調器が提供されるステップa)を含む、マイクロリソグラフィ投影装置の照明システムを動作させる方法をも対象とする。空間光変調器は、複数のマイクロミラーによって形成される変調面を有する。各マイクロミラーは、マイクロミラーごとに個々に変更することができる向きを有するミラー面を備える。ステップb)において、ミラー面に関連する少なくとも1つのパラメータが、マイクロミラーのうちの少なくとも1つについて測定される。ステップc)において、ミラー面の向きが、ステップb)において測定されている少なくとも1つのパラメータに応じて制御される。その後、ステップd)において変調面上に光パターンが生成され、ステップe)において、光パターンの像が視野平面上に形成される。
定義
「光」という用語は、本明細書においては、特定の可視光、UV、DUV、VUVおよびEUV光ならびにX線における任意の電磁放射を示すために使用される。
「光線」という用語は、本明細書においては、その伝播経路を線によって記述することができる光を示すために使用される。
「光束」という用語は、本明細書においては、視野平面内で共通の起源を有する複数の光線を示すために使用される。
「光ビーム」という用語は、本明細書においては、特定のレンズまたは別の光学素子を通過するすべての光を示すために使用される。
【0033】
「位置」という用語は、本明細書においては、三次元空間におけるボディの基準点の位置を示すために使用される。位置は通常、3つのデカルトまたは極座標のセットによって示される。それゆえ、向きおよび位置は、三次元空間におけるボディの配置を完全に記述する。
「
面(surface)」という用語は、本明細書においては、三次元空間における任意の平面
(plane)または曲面
(curved surface)を示すために使用される。面は、ボディの一部であってもよく、または、視野もしくは瞳
平面の場合に通常そうであるように、ボディから完全に分離していてもよい。
「視野平面」という用語は、本明細書においては、マスク平面、または、マスク平面に光学的に共役な任意の他の平面を示すために使用される。
【0034】
「瞳
平面(pupil plane)」という用語は、視野平面に対してフーリエ関係が(少なくともおおよそ)確立される平面である。一般に、マスク平面内で複数の異なる点を通過する周辺光線が瞳
平面内で交差し、主光線が光軸に交差する。当該技術分野において使用される場合、「瞳
平面」という用語は、事実上、数学的意味での平面ではなく、わずかに湾曲しており、そのため厳密に言えば、瞳
面(瞳表面:pupil surface)と称されるべきである場合にも使用される。
「均一」という用語は、本明細書においては、位置に依存しない特性を示すために使用される。
「光学ラスタ素子」という用語は、本明細書においては、他の同一のまたは同様の光学ラスタ素子とともに、各光学ラスタ素子が複数の隣接する光チャネルのうちの1つと関連付けられるように配置される、例えば、レンズ、プリズムまたは回折光学素子のような任意の光学素子を示すために使用される。
「光学インテグレータ」という用語は、本明細書においては、積NA・aを増大させる光学系を示すために使用され、NAは開口数であり、aは照明視野面積である。
「集光装置
(condenser)」という用語は、本明細書においては、2つの平面、例えば、視野平面および瞳
平面の間にフーリエ関係を(少なくともおおよそ)確立する光学素子または光学系を示すために使用される。
【0035】
「共役
平面」という用語は、本明細書においては、それらの間に結像関係が確立される平面を示す。共役
平面の概念に関するより多くの情報は、論文E. Delano entitled: "First-order Design and the
【数1】
Diagram", Applied Optics, 1963, vol. 2 , no. 12 , pages 1251 - 1256に記載されている。
「視野依存性」という用語は、本明細書においては、視野平面内の位置からの、ある物理量の任意の機能的依存性を示すために使用される。
【0036】
「角度放射照度分布」という用語は、本明細書においては、光束を構成する光線の角度に応じて、光束の放射照度がどれだけ変化するかを示すために使用される。通常、角度放射照度分布は、関数I
a(α,β)によって記述することができ、α、βは光線の方向を記述する角座標である。角度放射照度分布が、異なる視野点において変化するような視野依存特性を有する場合、I
aは、視野座標の関数でもある、すなわち、I
a=I
a(α,β,x,y)となる。角度放射照度分布の視野依存特性は、x、yにおけるI
a(α,β,x,y)の
テイラー(Taylor)(または別の適切な)展開の展開係数a
ijのセットによって記述することができる。
【0037】
「放射照度
(irradiance)」という用語は、本明細書においては、特定の視野点において測定することができる合計放射照度を示すために使用される。放射照度は、すべての角度α、βにわたって積分することによって、角度放射照度分布から推定することができる。放射照度は通常、視野依存性をも有し、それによって、I
s=I
s(x,y)となり、x、yは視野点の空間座標である。放射照度の視野依存性はまた、空間放射照度分布とも称される。走査型の投影装置において、ある視野点における光照射量は、放射照度を経時的に積分することによって得られる。
本発明の様々な特徴および利点は、添付の図面とともに取り上げられる以下の詳細な説明を参照することによって、より明瞭に理解することができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
I.
投影露光装置の一般構造
図1は、本発明による投影露光装置10の高度に簡略化した斜視図である。装置10は、例えばエキシマレーザとして実現されてもよい光源11を備える。この実施形態における光源11は、193nmの中心波長を有する投影光を生成する。例えば157nmまたは248nmのような他の波長も想定される。
【0040】
装置10は、下記にさらに詳細に説明するように、光源11によって与えられる投影光を調整する照明システム12をさらに備える。照明システム12から現れる投影光は、マスク16上の照明視野14を照明する。マスク16は、
図1においては細い線として概略的に示されている複数の小さいフィーチャ19によって形成されるパターン18を含む。この実施形態では、照明視野14は、矩形の形状を有する。しかしながら、例えば環部分のような、他の形状の照明視野14も企図される。
レンズL1〜L6を含む投影対物部20が、照明視野14内のパターン18を、基板24によって支持されている、例えばフォトレジストのような感光層22上に結像する。シリコンウェハによって形成されてもよい基板24は、感光層22の上面が投影対物部20の像
平面内に精密に位置するように、ウェハステージ(図示せず)上に配置される。マスク16は、マスクステージ(図示せず)によって投影対物部20の
物体平面内に位置決めされる。投影対物部は|β|<1である倍率βを有するため、照明視野14内のパターン18の縮小像18’が、感光層22上に投影される。
投影中、マスク16および基板24は、
図1に示すY方向に対応する走査方向に沿って動く。照明視野14はその後、照明視野14よりも大きいパターン化領域を連続的に
結像することができるように、マスク16にわたって走査する。基板24の速度とマスク16の速度との間の比は、投影対物部20の倍率βに等しい。投影対物部20が像を反転しない場合(β>0)、マスク16および基板24は、
図1において矢印A1およびA2によって示すように、同じ方向に沿って動く。しかしながら、本発明はまた、マスク16および基板24がマスクの投影中に動かないステッパツールにおいて使用されてもよい。
【0041】
II.
視野依存性角度放射照度分布
図2aは、別の例示的なパターン18を含むマスク16の拡大斜視図である。単純にするために、パターン18は均一である、すなわち、Y方向に沿って延伸し、同じ距離だけ離間されている同一のフィーチャ19のみを含むと仮定される。これらのフィーチャ19は、X二重極照明設定によって感光層22上に最良に
結像されるとさらに仮定される。
3つの例示的な光束の1つと関連付けられる出射瞳26aが、円によって表されている。光束は、走査サイクル中の第1の時点において、照明視野14の特定のX位置に位置する視野点に向かって収束する。出射瞳26aにおいて、X方向に沿って離間されている2つの極27aおよび27a’は、投影光PLがそこからこの視野点に向かって伝播する方向を表す。各極27a、27a’に集中する光エネルギーは等しいと仮定される。したがって、+X方向から衝突する投影光は、−X方向から衝突する投影光PLと同じエネルギーを有する。フィーチャ19はパターン18にわたって均一に分布すると仮定されるため、このX二重極照明設定は、マスク16上の各視野点において生成されるはずである。
【0042】
26bによって示される別の出射瞳は、走査サイクルの後の時点において、照明視野14の別のX位置に位置する視野点に向かって収束する光束と関連付けられる。各極27b、27’に集中する光エネルギーはここでも等しい。しかしながら、理想的な極27aとの比較によって明らかになるように、極27bはわずかに変位している。これは、視野点が同じ量の投影光PLを受け取るが、投影光PLがそこから視野点上に衝突する方向は、感光層22上にフィーチャ19を
結像するには理想的ではないことを意味する。
【0043】
26cによって示されるさらなる出射瞳は、走査サイクルのまた後の時点においてまた別のX位置に位置する照明視野14内の点と関連付けられる。ここで、投影光PLがそこから視野点に衝突する方向は、ここでもフィーチャ19を
結像するのに理想的であると仮定される。それゆえ、極27c、27c’は理想的な位置を有し、したがって、これらの極27c、27c’と関連付けられる光円錐も、理想的な出射瞳26aと関連付けられる円錐と同じ円錐角および向きを有する。しかしながら、
図2aにおいて異なる灰色陰影によって表されているように、極27c、27c’は平衡されていない、すなわち、極27c、27c’に集中する光エネルギーは互いに異なる。したがって、+X方向から衝突する投影光PLは、−X方向から衝突する投影光PLよりも少ないエネルギーを有する。
上記から、出射瞳26aによって表される理想的な角度放射照度分布は、照明視野14内の各X位置において得られるものではないことが明らかになる。それゆえ、角度放射照度分布は視野依存である、すなわち、異なる視野点においては、角度放射照度分布は異なる。
【0044】
視野依存はX方向に沿って発生し得るだけでなく、照明視野14内でY方向に沿っても発生し得る。このとき、マスク16上の1つの点は、走査サイクル中に照明視野14を通過する間に、異なる角度放射照度分布を受ける。Y方向(すなわち、走査方向)に沿った視野依存が発生する場合、特定の視野点に対する合計の効果は、複数の異なる角度放射照度分布を積分することによって得られることを考慮に入れる必要がある。
現実の角度放射照度分布には、理想的なものからの多種多様なさらなる視野依存の逸脱が存在する。例えば、いくつかの視野点と関連付けられる出射瞳内の極は、変形する場合があり、不鮮明になる場合があり、または、所望の不均一な放射照度分布を有しない場合がある。
【0045】
理想的な角度放射照度分布からの視野依存の逸脱が発生する場合、これは一般的に、感光層22上に形成されるパターン像の品質に悪影響を及ぼす。特に、装置10を用いることによって生成される構造の寸法は、不意に変化する場合があり、これによって、これらの構造を含むデバイスの機能が損なわれる場合がある。それゆえ、一般的に、照明視野14における照明設定の任意の視野依存をなくすことが望ましい。この目的のために、照明システム12は、角度放射照度分布に視野に応じて影響を与えることが可能である必要がある。角度放射照度分布の望ましくない視野依存を引き起こす原因のいくつかは、非常に急速に変化する場合があるため、通常、視野依存も非常に迅速に変化させる必要があり、これは時として単一走査サイクル内でさえある。
【0046】
しかしながら、場合によっては、角度放射照度分布の視野依存を意図的に導入することが望ましい。これは、例えば、投影対物部20またはマスク16が、感光層22上のパターン18の像に影響を与える視野依存特性を有する場合に顕著であり得る。例えば、製造公差、経年劣化現象または不均一な温度分布の結果として、投影対物部20の結像特性の変動が発生する場合がある。マスク16の視野依存は、例えば、フィーチャの向きまたは寸法が異なる結果として発生することが多い。
これは、
図2aと同様のマスク16の拡大斜視図である
図2bに示されている。単純にするために、マスク16上のパターン18は、走査方向Yに沿って互いに縦列に配置されている3つの第1の同一のパターン領域181a、181b、181cを含むと仮定される。第1のパターン領域181a、181b、181cのフィーチャ19は、走査方向Yに沿って延伸する直線であるとさらに仮定される。
【0047】
パターン18は、3つの同一の第2のパターン領域182a、182b、182cをさらに含み、これらは、同じく走査方向Yに沿って互いに縦列に配置されているが、第1のパターン領域181a、181b、181cおよび第2のパターン領域182a、182b、182cが共通のX座標を有しないように、第1のパターン領域181a、181b、181cから側方に変位されている。第2のパターン領域182a、182b、182cは、X方向に沿って延伸するフィーチャ19と、Y方向に沿って延伸するフィーチャ19とを含む。
【0048】
マスク16は、2つの異なるダイが同時に露光され、エッチングのような同じ後続の製造ステップを受ける製造ステップに使用されると仮定される。ダイは、投影対物部20の像視野内で互いに隣接して位置決めされ得るように、十分に小さい。1つの全走査サイクル内で、第1のパターン領域181a、181b、181cと関連付けられる第1のタイプの3つのダイ、および、第2のパターン領域182a、182b、182cと関連付けられる第2のタイプの3つのダイを露光することができる。その後、走査方向が反転され、または、マスク16が一切照明することなくその元の位置に戻され、さらなる走査サイクルが実施される。このように、2列の異なるダイを、基板24上で同時に露光することができる。
【0049】
一般的に、最適な像品質が望ましい場合、異なるパターンは、マスクレベルにおいて異なる角度放射照度分布を必要とする。この実施形態において、X方向に沿って延伸するフィーチャ19は、X二重極照明設定によって感光層22上に最良に
結像されると仮定される。
図2bにおいて、第1のパターン領域のうちの1つに位置する視野点に向かって収束する光束と関連付けられる瞳261が、破線の円によって示されている。瞳261において、X方向に沿って離間されている2つの極271および271’は、光がそこからこの視野点に向かって伝播する方向を表す。パターンは第1のパターン領域181a、181b、181cにわたって均一であると仮定されるため、したがって、このX二重極照明設定が、第1のパターン領域181a、181b、181c内の各視野点において生成される必要がある。
第2のパターン領域182a、182b、182c内のフィーチャ19については、従来の照明設定が最良の
結像品質をもたらすと仮定される。
図2bは、第2のパターン領域182a、182b、182cのうちの1つの中の視野点に向かって収束する光束と関連付けられる瞳262内で照明される中心極272を示す。ここでも、この従来の照明設定が、第2のパターン領域182a、182b、182c内の各視野点において生成されるはずである。
これは、照明システム12が、2つの異なる照明設定を同時に、かつ、照明視野14内で隣り合って生成することが可能でなければならないことを意味する。
以下において、ほぼ任意の視野依存性を有する角度放射照度分布を生成することが可能な照明システム12の設計が、
図3〜
図15を参照しながらより詳細に説明される。
【0050】
III.
照明システムの一般構造
図3は、
図1に示す照明システム12を通る子午断面である。明瞭にするために、
図3の図解は、相当簡略化されており、原寸に比例しない。これは特に、種々の光学ユニットが、1つまたは非常に少数の光学素子のみによって表されることを意味する。現実には、これらのユニットは、相当より多くのレンズおよび他の光学素子を含み得る。
図示されている実施形態において、光源11によって放出される投影光PLは、拡大され、ほぼコリメートされた光ビーム34を出力するビーム拡大ユニット32に入射する。この目的のために、ビーム拡大ユニット32は、例えば、いくつかのレンズを含むことができ、または、ミラー装置として実現することができる。
【0051】
投影光ビーム34はその後、後続の平面内で可変空間放射照度分布を生成するために使用される瞳形成ユニット36に入射する。この目的のために、瞳形成ユニット36は、アクチュエータを用いることによって2つの直交する軸を中心として個々に傾けることができる非常に小さいミラー40からなる第1のミラーアレイ38を備える。
図4は、2つの平行な光ビーム42、44が、光ビーム42、44が衝突するミラー40の傾斜角度に応じて異なる方向へとどのように反射されるかを示す第1のミラーアレイ38の斜視図である。
図3および
図4において、第1のミラーアレイ38は6×6個のミラー40のみを備えるが、現実には、第1のミラーアレイ38は、数百またはさらには数千個のミラー40を備えてもよい。
【0052】
瞳形成ユニット36は、両方とも照明システム12の光軸OAに対して傾斜している第1の平坦面48aおよび第2の平坦面48bを有するプリズム46をさらに備える。これらの傾斜面48a、48bにおいて、衝突する光は、内部全反射によって反射される。第1の表面48aは、衝突する光を第1のミラーアレイ38のミラー40に向けて反射し、第2の表面48bは、ミラー40から反射される光を、プリズム46の出射面49に向けて方向付ける。したがって、出射面49から現れる光の角度放射照度分布は、第1のミラーアレイ38のミラー40を個々に傾けることによって変化することができる。瞳形成ユニット36に関するさらなる詳細は、米国特許出願公開第2009/0116093号から収集することができる。
【0053】
瞳形成ユニット36によって生成される角度放射照度分布は、第1の集光装置50を用いることによって、空間放射照度分布に変換される。他の実施形態においては省かれてもよい集光装置50は、衝突する光を空間的に解像されるように反射するように構成されているデジタル空間光変調器52に向けて、衝突する光を方向付ける。この目的のために、デジタル空間光変調器52は、変調平面57内に配置されており、
図3の拡大断面Cおよび
図5の拡大断面C’に最もよく見られるマイクロミラー56からなる第2のミラーアレイ54を備える。しかしながら、第1のミラーアレイ38のミラー40とは対照的に、第2のミラーアレイ54の各マイクロミラー56は、2つのみの安定した動作状態、すなわち、衝突する光を、第1の対物部(objective)58を介して光学インテグレータ60に向けて方向付ける「オン」状態、および、衝突を吸光面62に向けて方向付ける「オフ」状態のみを有する。
第2のミラーアレイ54は、例えば、プロジェクタにおいて一般的に使用されているような、デジタルミラーデバイス(DMD)として実現されてもよい。そのようなデバイスは、2つの動作状態の間で1秒あたり
多数千回(many thousands times)切り換えることができる最大数百万個のマイクロミラーを備えることができる。
【0054】
瞳形成ユニット36と同様に、空間光変調器52は、光軸OAに垂直に配置されている入射面65と、両方とも照明システム12の光軸OAに対して傾斜している第1の平坦面66aおよび第2の平坦面66bを有するプリズム64をさらに備える。これらの傾斜面66a、66bにおいて、衝突する光は、内部全反射によって反射される。第1の表面66aは、衝突する光を第2のミラーアレイ54のマイクロミラー56に向けて反射し、第2の表面66bは、マイクロミラー56から反射される光を、プリズム64の表面68に向けて方向付ける。
第2のミラーアレイ54のすべてのマイクロミラー56がそれらの「オン」状態にある場合、第2のミラーアレイ54は実質的に、平面ビーム折り返しミラーの効果を有する。しかしながら、1つまたは複数のマイクロミラー56がそれらの「オフ」状態に切り換えられる場合、変調
平面57から現れる光の空間放射照度分布は修正される。これは、下記にさらにより詳細に説明するように(IV項参照)、マスク16上の角度放射照度分布の視野依存修正をもたらすように使用することができる。
【0055】
上記ですでに言及したように、プリズム64から現れる光は、第1の対物部58を通過し、光学インテグレータ60に衝突する。第1の対物部58を通過する光はほぼコリメートされているため、第1の対物部58は非常に低い開口数(例えば0.01またはさらにはそれ未満)を有することができ、したがって、少数の小さい球面レンズを用いて実現することができる。第1の対物部58は、空間光変調器52の変調
平面57を、光学インテグレータ60上に結像する。
【0056】
光学インテグレータ60は、図示されている実施形態では、光学ラスタ素子74の第1のアレイ70および第2のアレイ72を備える。
図6は、2つのアレイ70、72の斜視図である。各アレイ70、72は、支持プレートの各側に、それぞれX方向およびY方向に沿って延伸する円柱レンズの並列アレイを含む。2つの円柱レンズが交差するボリュームが、光学ラスタ素子74を形成する。したがって、各光学ラスタ素子74は、円筒形に湾曲した表面を有するマイクロレンズと考えることができる。円柱レンズを使用することは、光学ラスタ素子74の屈折力がX方向およびY方向に沿って異なるべきである事例において特に有利である。光学インテグレータ60上での二乗放射照度分布(square irradiance distribution)が、通常そうであるようにスリット状照明視野14へと変換されるべきである場合に、異なる屈折力が必要である。空間光変調器52に向いている光学ラスタ素子74の表面は、以下において、光入射ファセット75として参照される。
【0057】
第1のアレイ70および第2のアレイ72の光学ラスタ素子74はそれぞれ、第1のアレイ70の光学ラスタ素子74が第2のアレイ72の1つの光学ラスタ素子74と1対1対応で関連付けられるように、互いに列を成して配置される。互いに関連付けられる2つのラスタ素子74は、共通の軸に沿って整列され(aligned)、光チャネルを画定する。光学インテグレータ60内で、1つの光チャネル内を伝播する光ビームは他方の光チャネル内を伝播する光ビームと交差せず、重なり合わない。したがって、光学ラスタ素子74と関連付けられる光チャネルは、互いに光学的に分離される。
この実施形態において、照明システム12の瞳
平面76は、第2のアレイ72の後ろに位置するが、これは等価にその前に配置されてもよい。第2の集光装置78は、瞳
平面76と、調整可能視野絞り82が配置される視野絞り平面80との間にフーリエ関係を確立する。
視野絞り平面80は、光学インテグレータ60の光入射ファセット75内にまたはそれに近接して位置するラスタ視野平面84に光学的に共役である。これは、ラスタ視野平面84内の各光入射ファセット75が、第2のアレイ72の関連する光学ラスタ素子74および第2の集光装置78によって、視野絞り平面80全体の上に
結像されることを意味する。すべての光チャネル内の光入射ファセット75上の放射照度分布の像は、視野絞り平面80内に重ね合わされ、その結果、マスク16の照明は非常に均一になる。マスク16の均一な照明を説明する別の方法は、瞳
平面76内の各光チャネルによって生成される放射照度分布に基づく。この放射照度分布は、補助光源として参照されることが多い。すべての補助光源は、共通して、異なる方向からの投影光によって視野絞り平面80を照明する。補助光源が「暗い」場合、この特定の光源と関連付けられる方向の(小さい)範囲からの光はマスク16に衝突しない。したがって、瞳
平面76内に形成される補助光源を単純にオンおよびオフに切り換えることによって、マスク16上の所望の角度放射照度分布を設定することが可能である。これは、瞳形成ユニット36を用いることによって光学インテグレータ60上の放射照度分布を変更することによって達成される。
【0058】
視野絞り平面80は、第2の対物部86によって、マスク16がマスクステージ(図示せず)を用いることによって配置されているマスク平面88上へと
結像される。
調整可能視野絞り82もまた、マスク平面88上に
結像され、少なくとも、走査方向Yに沿って延伸する照明視野14の短側面を画定する。
瞳形成ユニット36および空間光変調器52は制御ユニット90に接続され、制御ユニット90は、パーソナルコンピュータとして示されているシステム制御部92全体に接続される。制御ユニット90は、マスク平面88内の角度放射照度分布が意図した視野依存性を有するように、瞳形成ユニット36のミラー40および空間光変調器52のマイクロミラー56を制御するように構成されている。以下のIV項において、照明システム12の機能および制御を説明する。
【0059】
照明システムは、第2のミラーアレイ54の位置およびそのマイクロミラー56の向きを測定するように構成されている測定デバイス200をさらに備える。図示されている実施形態において、測定デバイス200は、第1の接続構造203によって堅固に接続されており、マスク平面88内の2つの異なる視野点において角度放射照度分布を同時に測定するように構成されている2つの瞳測定ユニット202a、202bを含む。
付加的に、または好ましくは代替的に、測定デバイス200は、同じく第2の接続構造205によって堅固に接続されており、マスク平面88内の2つの異なる視野点において放射照度を同時に測定するように構成されている2つの放射照度測定ユニット204a、204bを含む。
瞳測定ユニット202a、202bおよび放射照度測定ユニット204a、204bの機能は、
図16〜
図21を参照しながら下記により詳細に説明する。
【0060】
IV.
照明システムの機能および制御
1.瞳形成
図7は、瞳形成ユニット36が空間光変調器52のマイクロミラー56上で放射照度分布をどのように生成するかを概略的に示す。単純にするために、プリズム46、64は図示されていない。
【0061】
第1のミラーアレイ38の各ミラー40は、それぞれのミラー40によって生成される偏向角を変化させることによって可変である位置において、空間光変調器52の変調
平面57上のスポット94を照明するように構成されている。したがって、スポット94は、ミラー40をそれらの傾斜軸を中心として傾けることによって、変調
平面57にわたって自由に動かすことができる。このように、変調
平面57上で多種多様な異なる放射照度分布を生成することが可能である。スポット94はまた、95に示すように、部分的にまたは完全に重なり合ってもよい。このときまた、勾配のある放射照度分布が生成されてもよい。
図8は、空間光変調器52内に含まれる第2のマイクロミラーアレイ54の、
図5と同様の斜視図である。ここで、瞳形成ユニット36が、各々が6×6個のマイクロミラー56にわたって正確に延伸する2つの方形の(square)極27からなる第2のミラーアレイ54上の放射照度分布を生成したと仮定する。極27は、X方向に沿って点対称に配置される。
【0062】
対物部58は、
図9に示すように、この放射照度分布の像を、光学インテグレータ60の光入射ファセット75上に形成する。ここで、すべてのマイクロミラー56が「オン」状態にあり、それによって、第2のミラーアレイ54上に形成されている放射照度分布が、光学インテグレータ60の光入射ファセット75上に同一に(対物部58の拡大に起因する可能性のあるスケーリングは別として)再生されると仮定される。光入射ファセット75上に示されている規則的な格子
(grid)は、マイクロミラー56の境界線の像を表すが、この像は極27の外部では見られず、
図9においては例示のみの理由で示されている。
2.視野依存性
光入射ファセット75はラスタ視野平面84内に位置するため、光入射ファセット75上の放射照度分布は、第2のアレイ72の光学ラスタ素子74および第2の集光装置78を介して、視野絞り平面80上に
結像される。
これについてはこれより、
図3からの原寸に比例しない拡大断面図である
図10を参照しながら説明する。ここでは、光学インテグレータ60の2対の光学ラスタ素子74、第2の集光装置78および中間視野絞り平面80のみが概略的に示されている。
【0063】
単一の光チャネルと関連付けられている2つの光学ラスタ素子74は、以下においては第1のマイクロレンズ101および第2のマイクロレンズ102として参照される。マイクロレンズ101、102は、視野および瞳ハニカムレンズとして参照されることがある。特定の光チャネルと関連付けられるマイクロレンズ101、102の各対は、瞳
平面76内に補助光源106を生成する。
図10の上半分において、それぞれ実線、点線および破線によって示されている収束する光束L1a、L2aおよびL3aは、第1のマイクロレンズ101の光入射ファセット75の異なる点に衝突すると仮定される。2つのマイクロレンズ101、102および集光装置78を通過した後、各光束L1a、L2aおよびL3aは、それぞれ焦点F1、F2およびF3に収束する。
図10の上半分から、交線が光入射ファセット75に衝突する点と、これらの光線が視野絞り平面80(または任意の他の共役な視野平面)を通過する点とは、光学的に共役であることが明らかになる。
【0064】
図10の下半分は、コリメート光束L1b、L2bおよびL3bは、第1のマイクロレンズ101の光入射ファセット75の異なる領域に衝突する事例を示す。光学インテグレータ60に衝突する光は通常、実質的にコリメートされているため、これはより現実的な事例である。光束L1b、L2bおよびL3bは、第2のマイクロレンズ102内に位置する共通の焦点Fにおいて合焦し、その後、視野絞り平面80を通過して、ここで再びコリメートされる。ここでも、光学的に共役である結果として、光束L1b、L2bおよびL3bが光入射ファセット75に衝突する領域は、視野絞り平面80内で照明される領域に対応することが分かる。当然のことながら、これらの考慮事項は、マイクロレンズ101、102がX方向とY方向の両方に沿って屈折力を有する場合には、X方向とY方向とについて別個に適用される。
【0065】
それゆえ、光入射ファセット75上の各点は、中間視野絞り平面80(および、したがってマスク16上の照明視野14)内の共役な点に直接対応する。光入射ファセット75上の
点上の放射照度に選択的に影響を与えることが可能である場合、したがって、照明システムの光軸OAに対する光入射ファセット75の位置に依存する方向から照明視野14内の共役な点に衝突する光線の放射照度に影響を与えることが可能である。光軸OAから光入射ファセット75の間の距離が大きくなるほど、上記光線がマスク16上の点に衝突する角度は大きくなる。
【0066】
3.光入射ファセット上の放射照度の修正
照明システム12において、空間光変調器52は、光入射ファセット75上の点上での放射照度を修正するために使用される。
図9において、各極27は、マイクロミラー56の像である複数の小さい領域にわたって延在することが分かる。マイクロミラーが「オフ」状態にされた場合、光入射ファセット75上の共役な領域は照明されなくなり、したがって、特定の光入射ファセット75と関連付けられる方向の(小さい)範囲からマスク上の共役な領域に投影光は衝突しない。
これについては、それぞれ空間光変調器52のマイクロミラー56および光学インテグレータ60の光入射ファセット75の上面図である
図11aおよび
図11bを参照しながらより詳細に説明する。
【0067】
第2のミラーアレイ54上の太い点線は、その変調
平面57を、各々が3×3個のマイクロミラー56を含む複数の対物領域110に分割する。対物部58が、光学インテグレータ60上に各対物領域110の像を形成する。この像は、以下において像領域110’として参照される。各像領域110’は光入射ファセット75と完全に一致する、すなわち、像領域110’は光入射ファセット75と同じ形状、サイズおよび向きを有し、光入射ファセットと完全に重なり合う。各対物領域110は3×3個のマイクロミラー56を含むため、像領域110’も、マイクロミラー56の3×3個の像56’を含む。
【0068】
図11aにおいて、瞳形成ユニット36によって投影光で完全に照明される8つの対物領域110が存在する。これら8つの対物領域110は、2つの極27を形成する。これらの対物領域110のうちのいくつかにおいて、黒い方形として表されている1つ、2つまたはそれ以上のマイクロミラー56dは、衝突する投影光が対物部58に向けてではなく、吸光面62に向けて方向付けられる「オフ」状態にあるように、制御ユニット90によって制御されていることが分かる。したがって、マイクロミラーを「オン」および「オフ」状態の間で切り換えることによって、
図11bに示すように、投影光が光入射ファセット75上の像領域110’内で対応する領域に衝突することを可変に妨げることが可能である。
これら領域は、以下においてダークスポット56d’として参照される。
【0069】
図10を参照して上記で説明したように、光入射ファセット75上の放射照度分布は、視野絞り平面80上に
結像される。
図12の上部に示すように、光入射ファセット75が1つまたは複数のダークスポット56d’を含む場合、関連する光チャネルによってマスク平面88内で生成される放射照度分布も、特定のX位置においてダークスポットを有することになる。マスク上のある点が照明視野14を通過する場合、したがって、合計走査積分放射照度は、
図13のグラフに示すように、照明視野14内の点のX位置に依存する。照明視野14の中央の点は、ダークスポットを通過しないため、最も高い走査積分放射照度を受け、照明視野14の長手方向端部にある点は、異なる程度まで低減される合計放射照度を受ける。したがって、マスク16上の角度放射照度分布、およびまた、空間放射照度分布の視野依存性は、空間光変調器52の1つまたは複数のマイクロミラー56を選択的に「オン」状態から「オフ」状態にすることによって、修正することができる。
上記において、光入射ファセット75のうちの1つに
結像される各対物領域110は、3×3個のみのマイクロミラー56を含むと仮定されている。したがって、角度放射照度分布の視野依存性を修正するために使用することができる交差走査方向Xに沿った解像度は、相対的に粗い。各対物領域110内のマイクロミラー56の数が増加すると、この解像度は改善することができる。
図14は、20×20個のマイクロミラー56が各対物領域110内に含まれている実施形態についての、光入射ファセット75のうちの1つの上面図を示す。このとき、
図15に示すグラフに例示されているように、X方向に沿ったより複雑な走査積分放射照度分布を、マスク16上で達成することができる。
【0070】
V.
マイクロミラーの位置および向きの測定
照明システム12が角度放射照度分布を視野に応じて生成することができる
ことは、
図11aおよび
図11bに示すように、第2のミラーアレイ54を光学インテグレータ60上に正確に
結像することに大きく依存する。上記でさらに示したように、像領域110’は、光学インテグレータ60の正確に1つの光入射ファセット75をカバーする必要がある。そうでなければ、マスク平面88内で得られる角度放射照度分布の視野依存性は、意図されるものから大きく逸脱してしまう。例えば、マイクロミラー56が意図されるものではなく、隣接する光入射ファセット75上に
結像された場合、これは最終的に、照明視野14の反対側に
結像されることになる。したがって、像領域110’のわずかなシフトが、照明視野14の非常に離れた部分への光エネルギーのシフトに転換される場合がある。
【0071】
デジタル空間光変調器52の第2のミラーアレイ54が、照明システム12の動作中に、光学インテグレータ60に対するわずかなドリフト運動を行う場合、
図11aおよび
図11bに示す適切な
結像は通常、かく乱される。例えば、
図11aに示すミラーアレイ54全体が、1つのマイクロミラー56の幅に等しいと仮定される距離d(
図11a参照)だけ+X方向に沿ってドリフトした場合、ミラーアレイ54上で照明される極27は、1つまたは複数の「誤った」マイクロミラー56、例えば、「オフ」状態にあるマイクロミラーをカバーすることになる。
同様の考慮事項が、マイクロミラー56が衝突する反射光を所望の方向へと反射しない場合にも当てはまる。これは、例えば、マイクロミラー56が傾斜位置
の1つに
おいて動かないでいる(stuck)場合、または、ミラー面を形成するその反射性コーティングが高エネルギー投影光によって損傷した場合に起こり得る。
以下において、マイクロミラー56の位置および/または向きを効率的に測定することができる種々の手法を説明する。
【0072】
1.瞳測定
図16は、照明システム12の底部からの拡大概略断面図である。照明システム12は、マスク16が取り除かれており、
図3に示す測定デバイス200の2つの瞳測定ユニット202a、202bが、駆動装置(図示せず)を用いることによって測定位置へと動かされている測定状態において示されている。
各瞳測定ユニット202a、202bは、中央ピンホール212a、212bを有する絞り210a、210bによって形成されるカバーを有するハウジング208a、208bを備える。ピンホール212a、212bは、照明システム12のマスク平面88内に正確に配置されている。
【0073】
各ハウジング208a、208bは、マスク平面88と一致する焦
平面を有する集光装置214a、214bを含む。したがって、ピンホール212a、212bを通ってハウジング208a、208bに入る光は、コリメート光、すなわち、瞳測定ユニット202a、202bの光軸216a、216bに平行に伝播する光として、集光装置214a、214bを出る。
コリメート光は、例えば、CCDチップとして形成されてもよい位置解決光センサ218a、218bに衝突する。
マスク平面88における投影光線220a、220bの入射角は、位置解決光センサ218a、218bのフーリエ関係平面内の位置へと転換されるため、光センサは、ピンホール212a、212bの位置における投影光線220a、220bの角度放射照度分布を効果的に検出する。
【0074】
位置解決光センサ218a、218bは、位置解決光センサ218a、218の平面内で測定される空間放射照度分布からマスク平面88内の投影光線220a、220bの角度放射照度分布を計算する制御ユニット90(
図3参照)に接続されている。2つの瞳測定ユニット202a、202bが設けられるため、同時に2つの異なる視野位置においてマスク平面88内の角度放射照度分布を測定することが可能である。接続構造203によって接続される2つの瞳測定ユニット202a、202bをマスク平面88に平行に正確に配置することによって、多数の異なる視野点において角度放射照度分布を短時間で迅速に測定することが可能である。当然のことながら、それに応じて多数の測定を同時に実施することができるように、3つ以上、例えば、9つの瞳測定ユニットを組み合わせることもできる。これによって、1つの光入射ファセット75上に完全に
結像される各1つの対物領域110内のマイクロミラー56の数に等しい数の視野点において角度放射照度分布を測定するのに必要な時間が低減する。
以下において、
図17および
図18を参照しながら、瞳測定ユニット202a、202bを使用して、マイクロミラー56のミラー面の位置および向きを測定することができる方法を説明する。
【0075】
図17は、左手側に、例示のために3本の線によって区切られている空間光変調器52の4つの対物領域110−1〜110−4を示している。第1の対物領域110−1は、3×3個のミラー面224−1−1〜224−1−9を含み、第2の対物領域110−2は3×3個のミラー面224−2−1〜224−2−9を含み、以下同様である。ここで、マイクロミラー56は、すべてのミラー面224によって形成される変調面222内にチェス盤状の光パターンが生成されるように制御されると仮定される。各対物領域110−1〜110−4内に生成される光パターンは、光学インテグレータ60の1つの光入射ファセット75上に
結像される。単純にするために、光入射ファセット75の総数は4だけであると仮定されるが、現実にはこの数は、例えば10
2〜10
6と、はるかにより大きくなり得る。
【0076】
図17の右手側においては、照明視野14(ここでは方形形状を有すると仮定される)が概略的に示されている。各対物領域100は、1つの光入射ファセット75上に
結像される3×3個のミラー面224を含み、後者はその後、照明視野14全体に
結像されるため、9つの像領域226−1〜226−9が、照明視野14内に形成される。光入射ファセット75の像がマスク平面88内で重なり合うため、各像領域226−1〜226−9において、4つのミラー面の像が重なり合う。例えば、第1の像領域226−1において、ミラー面224−1−1、224−2−1、224−3−1および224−4−1の像が重なり合う。同様に、各対物領域110−1〜110−4のミラー面224−1−2、224−2−2、224−3−2および224−4−2のみが、第2の像領域226−2の照明に寄与し、以下同様である。
図17の中央部分において、それぞれ像領域226−1および226−2内にある点に収束する光束の瞳P1およびP2が、概略的に示されている。各光束の瞳は、空間光変調器52によって生成される光学インテグレータ60上の放射照度分布によって決定される。光学インテグレータ60上の放射照度分布は、
図17の左手側に示すチェス盤状パターンの像である。
【0077】
図17の左手側で、第1の像領域226−1上に
結像される4つのミラー面224−1−1、224−2−1、224−3−1および224−4−1から、2つのミラー面224−1−1および224−4−1が、黒色によって「オフ」状態にあり、2つのミラー面224−2−1および224−3−1が、白色によって「オン」状態にあることが分かる。したがって、そこから破線で示されている矢印が始まっている2つのミラー面224−2−1および224−3−1のみが、事実上第1の像領域226−1を照明している。第1の像領域226−1を形成する光束の瞳P1において、光学インテグレータ60上のこれら2つの照明されるミラー面224−2−1および224−3−1の像を見ることができる。
【0078】
したがって、瞳測定ユニット202a、202bのうちの1つが照明システム12の下に位置決めされ、それによって、そのピンホール212a、212bが第1の像領域226−1内にある場合、その位置解決光センサ218a、218bは、
図17の中央部分に示す瞳P1に対応する放射照度分布を検出する。当然のことながら、瞳P1内の白色の線が、ここで例示のために示されているが、現実には、ミラー面224−2−1および224−3−1の像である2つの照明領域224−2−1’および224−3−1’を除いて、瞳P1は完全に暗くなる。
【0079】
ミラーアレイ54全体のドリフト運動の結果として変調面222が側方に変位される場合、位置解決光センサ202aまたは202bによって測定される瞳P1内で、照明領域224−2−1’および224−3−1’も変位される。それゆえ、位置解決光センサ218a、218b上で検出される照明領域224−2−1’および224−3−1’の位置に基づいて、空間光変調器52のミラー面224が位置する場所を計算することが可能である。この計算において、他の量、特に、ミラー面224の形状、光入射ファセット75に対する変調面222の空間配置、および、光入射ファセット75の形状を、通常、考慮に入れる必要がある。
隣接するミラー面224間のドリフト運動は、重大である程度まで発生する可能性は低いため、通常、マスク平面88内の1つの視野点においてのみ放射照度分布を測定すれば十分である。単一の対物領域110−1〜110−4内のミラー面224間でドリフト運動が発生する場合、多数の視野点において角度放射照度分布の測定を実施する必要があり得る。
第2の像領域226−2内の点に収束する光束と関連付けられる瞳P2も、
図17の中央部分に示されている。ここではミラー面224−1−2および224−4−2のみが第2の像領域226−2の照明に寄与しているため、照明領域224−1−2’および224−4−2’の位置が変化していることが分かる。必要とされる場合、9個すべての像領域226−1〜226−9と関連付けられる瞳を、このように測定することができる。
【0080】
像領域226−〜226−9の照明に寄与するミラー面224が所望の向きを有するか否かを測定することも可能である。例えば、ミラー面224−2−1が、「オフ」状態において
動かないでいる(stuck)と仮定される場合、この面は暗くなり、それに応じて、第1の瞳P1内の照明領域224−2−1’が見つからなくなる。したがって、第1の像領域226−1内の1つの視野点において角度放射照度分布を測定することによって、第1の像領域226−1上に
結像される4つすべてのミラー面224−1−1、224−2−1、224−3−1および224−4−1の位置だけでなく、向きをも測定することが可能である。すべてのミラー面224の向きが測定されるべきである場合、9個すべての像領域226−1〜226−9について角度放射照度分布を実施する必要がある。
図17から、変調面222上で瞳形成ユニット36によって生成されるチェス盤状の放射照度分布が有利である理由も明らかになる。たとえ光学インテグレータ60上の個々のミラー面224の像が回折および収差に起因して不鮮明になったとしても、照明領域224−2−1’、224−3−1’、224−1−2’および224−4−2’は依然として、それらが位置解決光センサ218a、218bによって適切かつ正確に検出することができることを保証する距離だけ、互いに離間されている。
【0081】
当然のことながら、他の光パターンも、変調面222上に形成されてもよい。たとえ変調面222のすべてのミラー面が「オン」状態にあるとしても、瞳P1、P2内の照明領域が重なり合うことはあり得ず、ただし、
図18aに示すように、これらの領域の間の距離がいくらかより小さくなりはする。このとき、各瞳P1、P2内には、2つだけでなく、4つの照明領域224−1−1’、224−2−1’、224−3−1’、224−4−1’および224−1−2’、224−2−2’、224−3−2’、224−4−2’が存在する。
【0082】
図18bにおいては、1つのミラー面224−4−2が損傷を受けていると仮定される。これは、第2の像領域226−2内の視野点における角度放射照度分布を測定することによって検出することができる。この視野点と関連付けられ、位置解決光センサ218a、218bによって測定される瞳P2において、これは、損傷を受けたミラー面224−4−2が
結像される、領域224−4−2’における黒色スポットによって検出することができる。
2.視野測定
照明視野14内の1つまたは複数の点における角度放射照度分布の測定の代わりに、または、それに加えて、放射照度のみが測定されてもよい。
図19は、
図16と同じ、照明システム12の底部からの拡大概略断面図である。しかしながら、ここでは、2つの瞳測定ユニット202a、202bが待機位置にされており、
図3を参照して簡潔に上述した2つの放射照度測定ユニット204a、204bが、ここでは
それらの測定位置にある。
【0083】
各放射照度測定ユニット204a、204bは、小さいピンホール232a、232bを含む絞り230a、230bを含むハウジング229a、229bを備える。各放射照度測定ユニット204a、204bは、ピンホール232a、232bを通過した光の放射照度を測定する光センサ234a、234bをさらに備える。光センサ234a、234bは、位置解決ではなく、したがって、すべての入射角についての放射照度を積分する。それゆえ、各光センサ234a、234bは、ピンホール232a、232bの位置においてマスク平面88内の合計放射照度を検出する。
図20は、放射照度測定ユニット204a、204bを用いることによって、空間光変調器52と光学インテグレータ60との間の相対ドリフト運動をどのように測定することができるかを示す。空間光変調器52は、像領域226−1、226−5および226−8からなる照明ストライプ240が照明視野14内に生成されるように制御されることが想定される。これは、4つすべての対物領域110−1〜110−4の中央列内のミラー面224が「オン」状態にあり、他のすべてのミラー面224が「オフ」状態にあることを必要とする。
【0084】
ストライプ240の位置は、放射照度測定ユニット204a、204bを用いることによって正確に測定される。空間光変調器52と光学インテグレータ60との間の相対位置が変化すると、マスク平面88内のストライプ240の位置も、それに応じて変化する。それゆえ、放射照度測定ユニット204a、204bを用いることによってマスク平面88内の光パターンを測定することによって、空間光変調器52と光学インテグレータ60との間の相対位置の変化を計算することが可能である。
1つの対物領域のマイクロミラーのみが「オン」状態にある場合、対物領域110−1〜110−4の間の相対ドリフト運動を測定することが可能である。
【0085】
放射照度測定ユニット204a、204bはまた、ミラー面224の向きを測定するために使用することもできる。これは、左手側に、変調面222上に生成される光パターンを示し、右手側に、放射照度測定ユニット204a、204bによって測定されるマスク平面88内の放射照度分布を示す
図21a〜
図21dに示されている。
図21aにおいては、特定の放射照度分布が、対物領域110−1上に、したがって、対物領域110−1が
結像される光入射ファセット75上にどのように生成されるかが示されている。他のすべての光入射ファセット75は示されていない。
それゆえ、照明視野14内で測定される放射照度分布は、
図21aの右手側に示す光パターンに直接対応する。
測定は、以下のように実施することができる。
放射照度測定ユニット204a、204bのうちの1つが、そのピンホール232a、232bが第1の像領域226−1内にあるように位置決めされる。
図21bに示すように、ミラー面224−1−1が「オン」状態にされ、他のすべてのミラー面が「オフ」状態にされる。ミラー面224−1−1が適切に機能している場合、放射照度測定ユニット204aは完全な放射照度を検出する。傾斜角が正確出ない場合、または、反射性コーティングが損傷を受けている場合、低減した量の投影光のみが放射照度測定ユニット204a、204に衝突する。
このとき、ミラー面224−1−1も「オフ」状態になる。ここでは、
図21cに示すように、放射照度測定ユニット204a、204bによって放射照度は検出されないはずである。
【0086】
次のステップにおいて、隣接する対物領域110−2からのミラー面224−2−1が「オン」状態にされる。ミラー面224−2−1も第1の像領域226−1上に
結像されるため、依然として以前と同じ位置にある放射照度測定ユニット204a、204はここで、完全な放射照度を検出するはずである。このとき、ミラー面224−2−1は「オフ」状態になり、放射照度測定ユニット204a、20bは光を検出しないはずである。
【0087】
これらのステップは、第1の像領域226−1上に
結像される4つすべてのミラー面224の向きが測定されるまで反復される。その後、放射照度測定ユニット204a、204bは、第2の像領域226−2内の次の測定点に移動する。ここで、第2の像領域226−12上に
結像される4つのミラー面224−1−2、224−2−2、224−3−2および224−4−2が連続して、「オフ」状態から「オン」状態にされる。ミラー面224の切り換えは非常に高速であるため、各像領域226−1〜226−9の測定は、非常に迅速に完了することができる。合計で、放射照度測定ユニット204a、204bはN=9回変位される必要があり、Nは、1つの光入射ファセット75上に
結像されるミラー面224の数である。測定デバイスは2つの放射照度測定ユニット204a、204bを備えるため、測定時間は約50%低減することができる。
3.マーカ点
空間光変調器52のミラーアレイ54の絶対位置を測定するための別の手法は、空間光変調器52または空間光変調器52に堅固に固定される構造の直上に固定して配置される1つまたは複数のマーカ点を使用することを含む。
【0088】
a)マイクロミラーアレイの裏側のマーカ点
図22は、3つの変調器ユニット52a、52bおよび52cを備える空間光変調器52の一実施形態を通る概略断面図である。各変調器ユニット52a、52b、52cは、デジタルマイクロミラーアレイ54a、54b、54cを支持する支持体152a、152b、152cを備える。マイクロミラーアレイ54a、54b、54cは、マイクロミラー56が「オン」位置にあるか、または、「オフ」位置にあるかに応じて、2つの異なる方向、すなわち、投影光が光学インテグレータ60に向かって進行する第1の方向、および、投影光が吸光面62に向かって進行する第2の方向に向かって衝突する投影光PLを偏向させるように構成されている。
【0089】
たとえ支持プレート152a、152b、152cが共通の支持構造(図示せず)に接続されているとしても、支持プレート152a、152b、152cは、照明システム12の動作中にわずかなドリフト運動を行う場合がある。これらのドリフト運動は、照明システム12内に含まれる要素の熱膨張によって引き起こされ得る。さらに上記で説明したように、そのようなドリフト運動は、対抗策がとられない場合、角度放射照度分布の視野依存性を深刻に損なう場合がある。
それゆえ、照明システム12は、図示されている実施形態において、支持プレート152a、152b、152cの裏側、すなわち、マイクロミラーアレイ54a、54b、54cの反対の側に固定して配置されている、3対のマーカ点160a、160b、160cを備える測定デバイス150を備える。測定デバイス150は、マーカ点160a、160b、160cの位置を正確に検出するように構成されている検出器162をさらに備える。この目的のために使用することができる多種多様な測定規原理が存在する。例えば、検出器162は、マーカ点160a、160b、160cから反射される光ビームを放出することができ、距離情報が、反射光の波長または位相に符号化される。位置測定システムはそれ自体、当該技術分野において既知であるため、ここではさらに詳細には説明しない。
【0090】
各マーカ点160a、160b、160cの位置を測定することによって、検出器162は、マイクロミラーアレイ54a、54b、54cが固定して取り付けられている支持プレート152a、152b、152cの最もわずかなドリフト運動でさえ、正確に検出することができる。このように、マイクロミラーアレイ54a、54b、54cのマイクロミラー56の位置を共通に測定することができる。
【0091】
b)正面側のマーカ点
図23は、共通基板164がその正面側で複数のマイクロミラーアレイ54−1〜54−9および3つのマーカ点166a〜166cを支持する実施形態を概略的に示す。マーカ点166a〜166cは、レーザダイオードまたは同様の発光素子によって形成され、測定デバイス150の一部である。後者は、投影光が衝突する円形領域169の外部で光学インテグレータ60の正面に取り付けられている3つの位置解決光検出器168a、168b、168cをさらに備える。
3つのマーカ点166a、166b、166cの構成は、空間光変調器52のマイクロミラーアレイ54−1〜54−9とともに、第1の対物部58によって、マーカ点166a、166b、166cの像がそれぞれ位置解決光検出器168a、168b、168c内にあるように、光学インテグレータ60上に
結像される。
【0092】
わずかなドリフト運動の結果として空間光変調器52の基板164と光学インテグレータ60との間の相対位置が変化すると、マーカ点166a、166b、166cの像は、位置解決光検出器168a、168b、168cにわたって動く。位置解決光検出器168a、168b、168c上のマーカ点166a、166b、166cの像の位置変化を慎重に分析することによって、6自由度すべてにおける基板164の任意の運動を測定することが可能である。
4.反射および散乱光の測定
図24は、マイクロミラー56の位置、およびまた、向きを測定するための異なる手法を示す。この手法によれば、投影光からは区別され、空間光変調器52から反射または散乱されている測定光が検出される。
図23に示す実施形態と同様に、空間光変調器52は、間隙によって離間されており、変調面222を画定する9つのマイクロミラーアレイ54−1〜54−9を支持する基板164を備える。後者は、第1の対物部58によって光学インテグレータ60上に
結像される。灰色の点線は、最初に空間光変調器52に衝突し、その後、マイクロミラー56が「オン」状態になることによって第1の対物部58および光学インテグレータ60に向けて反射される投影光PLを表す。
【0093】
測定デバイス150は、この実施形態において、測定光MLを空間光変調器52上に方向付ける測定光源170を備える。測定光MLは、「オン」であるマイクロミラー56、または、「オフ」状態にあるマイクロミラー56のいずれかから、空間光変調器52の変調面222を観測するように構成されているカメラ171に向けて反射される。カメラ171は、マイクロミラー56、または、マイクロミラー56間の間隙内の構造によって反射または散乱された光を検出する。カメラ171は、対物部172と、変調面222の像が形成される位置解決光検出器174とを備える。
測定光MLが光学インテグレータ60に達するのを回避するために、投影光PLは基本的にXZ平面に平行に、空間光変調器52に衝突し、一方で、測定光MLは基本的に直交するYZ平面に平行に、空間光変調器52に衝突する。
位置解決光検出器174上のマイクロミラー56の像の位置から、マイクロミラー56を支持する基板164がドリフとしたか否かを検出し、また、ドリフト運動の量を定量的に決定することが可能である。隣接するマイクロミラーアレイ54間の相対ドリフト運動を検出することさえ可能である。
【0094】
カメラ171はまた、マイクロミラー56のミラー面の向きを検出することもできる。測定光MLは、「オン」または「オフ」のいずれかの位置にあるマイクロミラー56によってカメラ171に向けて反射されることが好ましい。たとえ測定光MLがミラー面のいずれかの向きにおいてカメラ171に向けて直に反射されない場合であっても、位置解決光検出器172は、マイクロミラー56、または、ミラー面間で基板164上に配置されている構造によって散乱されている光の一部を検出することができる。
測定光MLによって異なる方向から空間光変調器を照明することを想定することもできる。例えば、測定光源170は、空間光変調器52周りを誘導され得るように、湾曲したレール上に固定されてもよく、または、複数の測定光源170が、空間光変調器52に対して異なる位置に配置されてもよい。
【0095】
5.ドリフト運動の補償
上記において、空間光変調器52および光学インテグレータ60の間の相対ドリフト運動を測定することができる方法を詳細に説明してきた。以下において、空間光変調器52の制御を、測定ドリフト運動と関連付けられる悪影響を補償するために修正することができる方法を説明する。
図25aは、空間光変調器52のマイクロミラーアレイ54の変調面222の、
図11aと同様の概略上面図である。ここで、
図25bに示すように、照明視野14内の像領域226−4が、極27’からよりも少ない光を極27から受け取るように、マイクロミラー56dは「オフ」状態にあるべきであると仮定される。
図26aおよび
図26bは、熱ドリフト運動の結果としてマイクロミラーアレイ54が+X方向に沿って距離dだけ変位された後の同じ状況を示している。距離dはここでも、1つのマイクロミラー56の幅に等しいと仮定される。
【0096】
絶対的な意味での極27、27’の位置は変化しないが、マイクロミラーアレイ54に対しては、極27、27’は、−X方向に向かって1つのマイクロミラー56の幅だけシフトする。光学インテグレータ60上の
結像はマイクロミラーアレイ54のシフトによって影響を受けないため、マイクロミラー56の複数の異なるグループが、光入射ファセット75上に
結像される。格子Gは、マイクロミラーアレイ54上の対物領域110の境界線を表す。ここで、「オフ」状態にあるマイクロミラーアレイ56dが対物領域110内で中心にあることが分かる。その結果として、極27’からよりも少ない投影光が極27から受け取られる照明視野14内の位置が、
図26bに示すように、像領域226−5に変化している。光学インテグレータ60に対する極27a、27bの位置は変化していないため、それ以外で角度放射照度分布は影響を受けない。
【0097】
図26aから、視野依存性の不用意な変化がどのように補償され得るかが明らかになる。マイクロミラー56dではなく、−X方向に沿ってマイクロミラー56dに隣接する次のマイクロミラーであるマイクロミラー56d’が「オフ」状態にされるように、マイクロミラーアレイ54を制御することだけが必要である。このとき、同じ状況が、
図25aおよび25bに示すように得られる。
【0098】
この単純な例は、空間光変調器52と光学インテグレータ60との間のほぼ任意の相対ドリフト運動を、空間光変調器52のマイクロミラー56を適切に制御することによって補償することができることを実証している。たとえ空間光変調器52が距離dまたはその整数倍だけ変位されていない場合であっても、通常、マイクロミラー56の制御を修正することによって、ドリフト運動と関連付けられる悪影響を最小限まで低減することが可能である。
【0099】
VI.
EUV
上記において、本発明を、VUV投影光を使用する投影露光装置10を参照して説明してきた。しかしながら、上記で概説した概念を、EUV投影装置において使用することも可能である。
国際公開第2009/100856号は、放射照度および角度放射照度分布の所望の視野依存性をもたらすことを可能にするEUV照明システムを記載している。また、その場合、所望の視野依存性を達成するためには、小さいミラーが個々に制御される必要がある。
VII.
重要な方法ステップ
ここで、本発明の重要な方法ステップを、
図27に示す流れ図を参照しながら要約する。
第1のステップS1において、複数のマイクロミラーによって形成される変調面を備える空間光変調器が提供される。各マイクロミラーは、マイクロミラーごとに個々に変更することができる向きを有するミラー面を備える。
第2のステップS2において、ミラー面に関連する少なくとも1つのパラメータが測定される。
第3のステップS3において、マイクロミラーの向きが、少なくとも1つのパラメータに応じて制御される。
第4のステップS4において、変調面上の光パターンが生成される。
第5のステップS5において、光パターンの像が、複数の光入射ファセットを有する光学インテグレータ上に形成される。
第6のステップ
S6において、光入射ファセットの像が、マスク上で重ね
合わせられる。