【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、環境省、未来のあるべき社会・ライフスタイルを創造する技術イノベーション事業「高品質GaN基板を用いた超高効率GaNパワー・光デバイスの技術開発とその実証」に係る委託業務、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態による半導体装置100について説明する。
図1は、実施形態による半導体装置100の概略断面図である。
【0010】
半導体装置100は、pn接合を有する半導体部材10と、絶縁膜20と、p側電極30と、n側電極40とを含んで構成されている。
【0011】
半導体部材10は、n型半導体層11上にp型半導体層12が積層されたメサ構造13を有する。メサ構造13の上面(メサ上面)14には、p型半導体層12が露出し、メサ構造13の側面(メサ側面)15には、p型半導体層12とn型半導体層11との接合界面つまりpn接合界面が露出し、メサ構造13の外側の上面(メサ外側上面)16には、n型半導体層11が露出している。なおここで「外側」とは、平面視上の外側を意味する。また、「露出」とは、半導体部材10の表面に現れているという意味であり、半導体装置100の表面に現れていることまでは意味しない。
【0012】
絶縁膜20は、メサ側面15上およびメサ外側上面16上に配置されている。絶縁膜20は、メサ上面14上まで延在していてもよい。絶縁膜20は、メサ構造13の凸形状に沿った形状を有するコンフォーマルな膜となっている。絶縁膜20は、メサ上面14上に、p型半導体層12とp側電極30との接触を確保するための開口を有する。
【0013】
p側電極30は、メサ上面14でp型半導体層12と接触して電気的に接続されており、絶縁膜20上で、メサ側面15上およびメサ外側上面16上に延在している。つまり、メサ側面15上およびメサ外側上面16上で、半導体部材10とp側電極30との間に、絶縁膜20が介在している。
【0014】
例示の構造では、p側電極30は、p側電極下層31とp側電極上層32との積層構造で構成されている。p側電極下層31は、絶縁膜20の厚さ内に、p型半導体層12との接触を取るように配置されており、p側電極上層32は、絶縁膜20の上側に配置されている。なお、p側電極30は、p側電極下層31とp側電極上層32とが一体的に形成された構造であってもよい。
【0015】
絶縁膜20は、メサ外側上面16の全面上を覆っており、p側電極30は、メサ外側上面16の一部上を覆っている。つまり、p側電極30の電極端よりも外側は、絶縁膜20で覆われている。絶縁膜20は、半導体部材10とp側電極30との間に介在する絶縁膜として機能するとともに、半導体部材10の表面保護膜としての機能も有する。
【0016】
n側電極40は、n型半導体層11の下面17でn型半導体層11と接触して電気的に接続されている。n側電極40は、p側電極30の外側まで延在しており、例えばn型半導体層11の下面17の全面上に形成されている。
【0017】
p側電極30とn側電極40との間に電圧が印加されることで、p型半導体層12とn型半導体層11とが形成するpn接合に電圧が印加されて、半導体装置100を、半導体素子として動作させることができる。
【0018】
半導体部材10は、つまりn型半導体層11およびp型半導体層12は、例えば窒化物系化合物半導体、例えば窒化ガリウム(GaN)で形成されている。以下、半導体部材10がGaNで形成されている場合を例として説明を続ける。GaNの比誘電率は、9.5である。
【0019】
絶縁膜20を形成する材料については、後述する。
【0020】
p側電極30は、例えば、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)等の金属で形成されている。n側電極40は、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)等の金属で形成されている。
【0021】
本願発明者は、半導体装置100の耐圧特性を向上させる技術、より具体的に説明すると、p側電極30とn側電極40との間に逆バイアス電圧が掛かった際の耐圧特性を向上させる技術として、以下に説明するような技術を提案する。
【0022】
図2(a)は、
図1に示した半導体装置100の左側の上部(メサ構造13、絶縁膜20、およびp側電極30の近傍)を示す概略断面図であり、p側電極30とn側電極40との間に所定の逆バイアス電圧が印加された場合の、メサ部分における等電位線分布を概念的に示す図である。
【0023】
図2(a)において、A点は、メサ側面15と、メサ外側上面16とが接続する角部の位置を示す。B点は、メサ側面15上に配置された絶縁膜20の側面25と、メサ外側上面16上に配置された絶縁膜20の上面26とが接続する角部の位置を示す。C点は、メサ側面15におけるpn接合界面の位置を示す。D点は、p側電極30がp型半導体層12と接触している領域の下方におけるpn接合界面の位置を示す。E点は、A点と同じ高さでD点の直下の位置を示す。なお、図示をわかりやすくするため、A点〜E点のそれぞれに黒丸を付して示している。
【0024】
メサ構造13の内部における電界強度は、pn接合界面で、つまりD点で最大となる。したがって、大きな逆バイアス電圧が掛かった際に、まずD点で絶縁破壊が生じるような場合が、半導体装置100の耐圧特性が最大に引き出された場合といえる。しかし、メサ構造13の周部における電界強度、つまり側面15上のC点やA点における電界強度は、以下に説明するように、絶縁膜20の形成態様によって変化し、D点での電界強度を超える場合がある。このような場合、D点ではなく、まずC点やA点で絶縁破壊が生じることとなる。よって、C点やA点での電界強度を抑制することで、耐圧特性を向上させることができる。
【0025】
はじめに、C点での電界強度を抑制する技術について考察する。メサ側面15のCA間に掛かる電圧V
CAが増大することで、C点での電界集中が発生する。電圧V
CAが、メサ構造13の内部のDE間に掛かる電圧V
DEに比べ大きいとき(V
CA>V
DE)、C点への電界集中により、D点よりも先にC点で絶縁破壊が生じることとなる。よって、V
CA≦V
DEとすることで、D点よりも先にC点で絶縁破壊が生じることを抑制できる。
【0026】
一方、BA間の絶縁膜20に掛かる電圧V
BAは、電圧V
CAと等しい(V
BA=V
CA)。したがって、電圧V
BAを減少させることで、V
CA≦V
DEが実現できる。なおここで、p側電極30とp型半導体層12とはオーミック接触しており、p側電極30とp型半導体層12とは、つまりB点とC点とは、同電位として扱うことができる。
【0027】
絶縁膜20の単位面積当たりの容量C
20は、以下の式(1)で表すことができる。
C
20=ε
0ε
20/T
BA・・・(1)
ここで、ε
0は真空の誘電率であり、ε
20は絶縁膜20を形成する材料の比誘電率であり、T
BAはBA間の絶縁膜20の厚さである。
【0028】
電圧V
BAは、絶縁膜20の容量C
20に反比例し、以下の式(2)のように表すことができる。
V
BA∝1/C
20=T
BA/ε
0ε
20・・・(2)
【0029】
したがって、絶縁膜20のBA間の膜厚T
BAを減少させるか、絶縁膜20の比誘電率ε
20を増加させることで、絶縁膜20の容量C
20を増加させて、絶縁膜20に掛かる電圧V
BAを減少させることができる。そして、絶縁膜20に掛かる電圧V
BAを減少させることで、メサ側面15のCA間に掛かる電圧V
CAを減少させることができる。
【0030】
このように、BA間の絶縁膜20に掛かる電圧V
BAが、DE間のn型半導体層11に掛かる電圧V
DE以下(V
BA≦V
DE)となるように、絶縁膜20の容量C
20を選択することで、メサ側面15のCA間に掛かる電圧V
CAを電圧V
DE以下(V
CA≦V
DE)とすることができ、D点よりも先にC点で絶縁破壊が生じることを抑制できる。
【0031】
図2(b)は、シミュレーションにより得られたA点、C点、およびD点での電界強度を示すグラフであり、各点での電界強度の絶縁膜20の比誘電率ε
20に対する依存性を示す。
【0032】
本シミュレーションでは、半導体部材10の材料をGaNとした。つまり、半導体部材10の比誘電率ε
10を9.5とした。そして、絶縁膜20の材料を、つまり絶縁膜20の比誘電率ε
20を変化させた。
【0033】
シミュレーションに用いたn型半導体層11の構造は、下方から順に、Si濃度2×10
18cm
−3で厚さ2μmのn型GaN層、Si濃度1.1×10
16cm
−3で厚さ17μmのn型GaN層、およびSi濃度3×10
15cm
−3で厚さ1μmのn型GaN層を積層した3層構造とした。メサ外側は、メサエッチングにより最上層のn型GaN層が約0.5μmエッチングされている。つまり、メサ外側上面16からメサ構造13のn型半導体層11が突出する高さ(DE間の厚さ)は、約0.5μmとした。メサ外側上面16上の絶縁膜20の厚さは、DE間よりも薄くし、約0.4μmとした。p側電極30とn側電極40との間に印加する逆バイアス電圧は、1000Vとした。
【0034】
本シミュレーションでは、半導体装置100の構造は、つまり絶縁膜20の厚さは、一定とした。したがって、絶縁膜20の比誘電率ε
20を増加させることは、絶縁膜20の容量C
20を増加させることに対応し、絶縁膜20に掛かる電圧V
BAを減少させることに対応する。そして、電圧V
BAを減少させることは、メサ側面15のCA間に掛かる電圧V
CAを減少させることに対応し、C点での電界強度を減少させることに対応する。
【0035】
つまり、
図2(b)に示されるように、C点での電界強度は、比誘電率ε
20が増加するにつれ減少する。一方、D点での電界強度は、比誘電率ε
20に係らず一定である。
図2(b)において、C点での電界強度がD点での電界強度と等しくなる位置、つまり、C点での電界強度を示す曲線とD点での電界強度を示す曲線とが交差する位置をPで示す。位置Pにおける比誘電率ε
20の値をε
Pと呼ぶこととする。
【0036】
比誘電率ε
20をε
P以上にすることで、C点での電界強度をD点での電界強度以下にでき、D点よりも先にC点で絶縁破壊が生じることを抑制できる。この条件は、V
CA≦V
DE、つまりV
BA≦V
DEに対応する。
【0037】
本シミュレーションでは、ε
Pは9であり、半導体部材10(GaN)の比誘電率ε
10である9.5とほぼ等しい値(これよりは少し小さい値)であった。このことから、D点よりも先にC点で絶縁破壊が生じることを抑制するための材料選択の目安としては、絶縁膜20の比誘電率ε
20を、半導体部材10の比誘電率ε
10以上とすることが好ましい。
【0038】
例示の半導体部材10の比誘電率9.5以上の比誘電率を有する絶縁膜20の材料としては、例えば、酸化セリウム(CeO
2、比誘電率26)、酸化ハフニウム(HfO
2、比誘電率25)、酸化チタン(TiO
2、比誘電率80〜180)、酸化タンタル(Ta
2O
5、比誘電率25)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3、比誘電率200)、チタン酸バリウム(BaTiO
3、比誘電率600)、チタン酸バリウムストロンチウム(BaSrTiO
3、比誘電率300〜800(BaとSrの比によって異なる))等の金属酸化物が挙げられる。
【0039】
なお、絶縁膜20を形成する通常の材料としては、酸化シリコン(SiO
2、比誘電率3.9)や窒化シリコン(Si
3N
4、比誘電率7)が挙げられる。これらの材料の比誘電率は、半導体部材10の比誘電率ε
10よりも小さく、またε
Pよりも小さい。
【0040】
次に、A点での電界強度を抑制する技術について考察する。本シミュレーションにより、A点での電界強度の比誘電率ε
20に対する依存性について、以下のようなことがわかった。
【0041】
A点での電界強度は、比誘電率ε
20がゼロの近傍から増加するにつれ減少し、ε
Pより少し小さい比誘電率ε
20においてD点での電界強度を下回る極小値を取り、比誘電率ε
20がそれより増加するにつれ増加する。
【0042】
また、A点での電界強度が、極小値から増加してD点での電界強度と等しくなる位置、つまり、A点での電界強度を示す曲線とD点での電界強度を示す曲線とが交差する位置は、C点での電界強度がD点での電界強度と等しくなる位置Pと一致している。つまり、A点での電界強度は、C点での電界強度とともに、比誘電率ε
20=ε
PにおいてD点での電界強度と等しくなっている。
【0043】
したがって、比誘電率ε
20をε
Pとすることで、C点での電界強度およびA点での電界強度の両方を、D点での電界強度と等しく(D点での電界強度以下に)することができ、D点よりも先にC点で絶縁破壊が生じること、および、D点よりも先にA点で絶縁破壊が生じること、の両方を抑制できる。この条件は、V
CA=V
DE、つまりV
BA=V
DEに対応する。
【0044】
つまり、V
BAがV
DEと等しく(V
BA=V
DEと)なるように、絶縁膜20の容量C
20を選択することで、V
CAをV
DEと等しく(V
CA=V
DEと)することができ、D点よりも先にC点で絶縁破壊が生じることを抑制できるとともに、D点よりも先にA点で絶縁破壊が生じることも抑制できる。
【0045】
比誘電率ε
20がε
Pを超える範囲では、A点での電界強度は、D点での電界強度およびC点での電界強度を上回り、A点での電界強度が最大となる。比誘電率ε
20をε
P以上(あるいは半導体部材10の比誘電率ε
10以上)とした素子を、実施形態による高比誘電率の素子と呼ぶこととする。
【0046】
ここで、比較形態として、本シミュレーションの構造において、絶縁膜20を通常の材料である酸化シリコンや窒化シリコンで形成した素子について考える。このような素子を、比較形態による低比誘電率の素子と呼ぶこととする。酸化シリコンや窒化シリコンの比誘電率は、ε
Pよりも小さい。したがって、比較形態による低比誘電率の素子では、C点での電界強度が最大となる。
【0047】
このことから、実施形態による高比誘電率の素子のA点での電界強度が、比較形態による低比誘電率の素子のC点での電界強度未満となるように、比誘電率ε
20を選択することで、比較形態による低比誘電率の素子、つまり絶縁膜20を通常の材料である酸化シリコンや窒化シリコンで形成した素子よりも、絶縁破壊を抑制することができる。
【0048】
本シミュレーションに沿って、このような比誘電率ε
20の例について説明する。本シミュレーションでは、比較形態による低比誘電率の素子のC点での電界強度は、酸化シリコン(比誘電率3.9)を用いた場合に2MV/cmであり、窒化シリコン(比誘電率7)を用いた場合に1.25MV/cmである。実施形態による高比誘電率の素子において、A点での電界強度が2MV/cmと等しくなる比誘電率ε
20は60であり、1.25MV/cmと等しくなる比誘電率ε
20は12である。なお、D点での電界強度は、1.2MV/cmである。
【0049】
したがって、本シミュレーションでは、実施形態による高比誘電率の素子において、絶縁膜20の比誘電率ε
20を60未満とすることで、絶縁膜20に酸化シリコンを用いた場合の比較形態による低比誘電率の素子よりも絶縁破壊を生じにくくでき、絶縁膜20の比誘電率ε
20を12未満とすることで、絶縁膜20に窒化シリコンを用いた場合の比較形態による低比誘電率の素子よりも絶縁破壊を抑制できる。
【0050】
以上説明したように、V
BA≦V
DEとなるように、絶縁膜20の容量C
20を選択することで、V
CA≦V
DEとすることができ、D点よりも先にC点で絶縁破壊が生じることを抑制できる。
【0051】
D点よりも先にC点で絶縁破壊が生じることを抑制するための、絶縁膜20の材料選択の目安としては、絶縁膜20の比誘電率ε
20を、半導体部材10の比誘電率ε
10以上とすることが好ましい。
【0052】
V
BA=V
DEとなるように、絶縁膜20の容量C
20を選択することで、V
CA=V
DEとすることができ、D点よりも先にC点で絶縁破壊が生じることを抑制できるとともに、D点よりも先にA点で絶縁破壊が生じることも抑制できる。
【0053】
比誘電率ε
20をε
P以上(あるいは半導体部材10の比誘電率ε
10以上)とした素子 において、A点での電界強度が、絶縁膜20を通常の材料である酸化シリコンや窒化シリコンで形成した素子のC点での電界強度未満となるように、絶縁膜20の比誘電率ε
20を選択することで、絶縁破壊を抑制できる。
【0054】
なお、pn電極30、40間に電圧V
0を印加した時、p側電極30下の空乏層膜厚T
0は、
と表される。
ここで、ε
0は真空の誘電率(8.85×10
−12(F/m))、ε
10は半導体部材10の比誘電率(例えば9.5)、N
a、N
dはアクセプタ濃度、ドナー濃度、V
Dは拡散電位、qは電荷(1.6×10
−19(C))である。
DE間に印加される電圧V
DEは、
と表される。
ここで、T
DEはDE間の厚さであり、p型半導体層12の膜厚とメサ段差から導き出すことができる。
また、pn電極30、40間に電圧V
0が印加されているとき、絶縁膜20(BA間)に印加される電圧V
BA、絶縁膜20直下の空乏層に印加される電圧V
DLは、単位面積当たりの絶縁膜20の容量C
20、および絶縁膜20直下の空乏層の容量C
DLを示す、
を用いて計算される。
ここで、ε
20は絶縁膜20の比誘電率、V
DLは絶縁膜20直下の空乏層に印加される電圧(=V
0−V
BA)、T
BAは絶縁膜20の(BA間の)膜厚、T
DLは絶縁膜20直下の空乏層の膜厚、Qは絶縁膜20に蓄えられる電荷(=空乏層に蓄えられる電荷)である。
絶縁膜20の膜厚T
BAと比誘電率ε
20とが決まれば、V
BA、V
DL、C
20(単位面積当たりの絶縁膜20の容量)を導き出すことができ、それらの関係性を規定できる。
【0055】
図3(a)〜
図3(e)は、上述のシミュレーションにおけるメサ側面15の近傍の等電位線分布を示す概略断面図であり、それぞれ、絶縁膜20の比誘電率ε
20が、3.9、10、16、40、および100の場合を示す。逆バイアス電圧は1000Vであり、等電位線は20V間隔で表示している。
【0056】
比誘電率ε
20が3.9、10、16、40、100と増加するにつれて、C点での電界強度が減少していることがわかる。また、これらの図からは、比誘電率ε
20が3.9と10の間でA点での電界強度が極小を取ることはわかりにくいものの、比誘電率ε
20が10、16、40、100と増加することで、A点での電界強度が増加していることがわかる。
【0057】
図4(a)〜
図4(e)は、上述のシミュレーションにおけるp側電極30の電極端近傍の等電位線分布を示す概略断面図であり、それぞれ、絶縁膜20の比誘電率ε
20が、3.9、10、16、40、および100の場合を示す。逆バイアス電圧は1000Vであり、等電位線は20V間隔で表示している。
【0058】
比誘電率ε
20が3.9、10、16、40、100と増加するにつれて、電極端近傍での電界強度が減少していることがわかる。このことから、絶縁膜20の比誘電率ε
20を増加させることは、p側電極30の電極端近傍における絶縁破壊を抑制する効果も有することがわかる。
【0059】
次に、実施形態による半導体装置100の作製方法の一例について説明する。
図5(a)、
図5(b)、
図6(a)、および
図6(b)は、実施形態による半導体装置100の作製工程を示す概略断面図である。
【0060】
図5(a)を参照する。まず、n型半導体層11とp型半導体層12の積層部材を準備する。例えば、シリコン(Si)濃度1.5×10
18cm
−3で厚さ400μmのn型GaN基板上に、Si濃度2×10
18cm
−3で厚さ2μmのn型GaN層、および、Si濃度1×10
16cm
−3で厚さ20μmのn型GaN層を成長させ、さらにこの上に、マグネシウム(Mg)濃度5×10
17cm
−3で厚さ500nmのp型GaN層、および、Mg濃度2×10
20cm
−3で厚さ30nmのp型GaN層を成長させることで、積層部材を準備する。成膜方法としては、例えば有機金属気相エピタキシ(MOVPE)を用いることができる。
【0061】
そして、積層部材を、メサ構造13の外側で、p型半導体層12側からn型半導体層11の途中の厚さまでエッチングすることで、メサ構造13を形成する。pn接合界面からn型半導体層11が掘り込まれる深さ、つまり、メサ外側上面16からメサ構造13のn型半導体層11が突出する高さは、例えば500nmである。このようにして、半導体部材10を準備する。
【0062】
図5(b)を参照する。半導体部材10のメサ上面14、メサ側面15、およびメサ外側上面16の全面上に、絶縁膜20を形成する。絶縁膜20は、例えば、スパッタリングにより酸化セリウムを厚さ400nm堆積することで形成される。
【0063】
次に、メサ上面14上の、p型半導体層12とp側電極30との接触領域に開口を有するレジストパターンRP1を形成し、レジストパターンRP1をマスクとして、この開口内の絶縁膜20をエッチングする。絶縁膜20に酸化セリウムを用いた場合、このエッチングは、例えばH
2SO
4:H
2O
2:H
2O=1:1:1とした薬液により行うことができる。
【0064】
図6(a)を参照する。レジストパターンRP1を残したまま、全面上にp側電極下層31を形成する。p側電極下層31は、例えば、スパッタリングによりパラジウムを厚さ200nm堆積することで形成される。そして、レジストパターンRP1とともに不要部のp側電極下層31を除去するリフトオフにより、絶縁膜20の開口内にp側電極下層31を残す。
【0065】
図6(b)を参照する。p側電極上層32の形状の開口を有するレジストパターンRP2を形成し、全面上にp側電極上層32を形成する。p側電極上層32は、例えば、スパッタリングによりチタンを厚さ30nm堆積し、その上にスパッタリングによりアルミニウムを厚さ300nm堆積することで形成される。そして、レジストパターンRP2とともに不要部のp側電極上層32を除去するリフトオフにより、必要部のp側電極上層32を残す。このようにして、p側電極30が形成される。
【0066】
また、n型半導体層11の下面の全面上に、n側電極40を形成する。n側電極40は、例えば、スパッタリングによりチタンを厚さ50nm堆積し、その上にスパッタリングによりアルミニウムを厚さ250nm堆積することで形成される。このようにして、実施形態による半導体装置100が作製される。
【0067】
以上、実施形態に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0068】
例えば、上述の実施形態におけるn型導電型とp型導電型とを逆転させた半導体装置100を構成することもできる。
【0069】
以下、本発明の好ましい形態について付記する。
【0070】
(付記1)
p型導電型およびn型導電型の一方の導電型を有する第1半導体層上に、p型導電型およびn型導電型の他方の導電型を有する第2半導体層が積層されたメサ構造を有し、前記メサ構造の上面には前記第2半導体層が露出し、前記メサ構造の側面にはpn接合界面が露出し、前記メサ構造の外側の上面には前記第1半導体層が露出した半導体部材と、
前記メサ構造の側面上および前記メサ構造の外側の上面上に配置された絶縁膜と、
前記メサ構造の上面で前記第2半導体層と電気的に接続され、前記絶縁膜上で前記メサ構造の側面上および前記メサ構造の外側の上面上に延在する第1電極と、
前記第1半導体層の下面で前記第1半導体層と電気的に接続された第2電極と、
を有し、
前記第1電極と前記第2電極との間に逆バイアス電圧が掛かった状態において、前記メサ構造の側面上に配置された前記絶縁膜の側面と、前記メサ構造の外側の上面上に配置された前記絶縁膜の上面とが接続する角部の位置である第1位置と、前記メサ構造の側面と、前記メサ構造の外側の上面とが接続する角部の位置である第2位置と、の間の前記絶縁膜に掛かる第1電圧が、前記第1電極が前記第2半導体層と接触している領域の下方におけるpn接合界面の位置である第3位置と、前記第2位置の高さで前記第3位置の直下の位置である第4位置と、の間の前記第1半導体層に掛かる第2電圧以下となるような、前記絶縁膜の容量を有する半導体装置。
【0071】
(付記2)
前記第1電圧が前記第2電圧と等しくなるような、前記絶縁膜の容量を有する付記1に記載の半導体装置。
【0072】
(付記3)
前記絶縁膜の比誘電率は、前記半導体部材(第1半導体層および第2半導体層)の比誘電率以上である付記1または2に記載の半導体装置。
【0073】
(付記4)
前記逆バイアス電圧が掛かった状態において前記第2位置に掛かる電界強度が、前記絶縁膜が酸化シリコンで形成されていると仮定した場合に前記メサ構造の側面のpn接合界面の位置である第5位置に掛かる電界強度未満となるような、前記絶縁膜の比誘電率を有する付記1〜3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0074】
(付記5)
前記逆バイアス電圧が掛かった状態において前記第2位置に掛かる電界強度が、前記絶縁膜が窒化シリコンで形成されていると仮定した場合に前記メサ構造の側面のpn接合界面の位置である第5位置に掛かる電界強度未満となるような、前記絶縁膜の比誘電率を有する付記1〜4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0075】
(付記6)
p型導電型およびn型導電型の一方の導電型を有する第1半導体層上に、p型導電型およびn型導電型の他方の導電型を有する第2半導体層が積層されたメサ構造を有し、前記メサ構造の上面には前記第2半導体層が露出し、前記メサ構造の側面にはpn接合界面が露出し、前記メサ構造の外側の上面には前記第1半導体層が露出した半導体部材と、
前記メサ構造の側面上および前記メサ構造の外側の上面上に配置された絶縁膜と、
前記メサ構造の上面で前記第2半導体層と電気的に接続され、前記絶縁膜上で前記メサ構造の側面上および前記メサ構造の外側の上面上に延在する第1電極と、
前記第1半導体層の下面で前記第1半導体層と電気的に接続された第2電極と、
を有し、
前記絶縁膜の比誘電率は、前記半導体部材の比誘電率以上である半導体装置。