(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3上昇工程の後であって、前記フォワード工程の前に、前記キャピラリを前記第1方向と下方との間の方向に移動させる第3リバース工程をさらに備えた請求項1記載の半導体装置の製造方法。
前記第3上昇工程の後であって、前記フォワード工程の前に、前記キャピラリを前記第1方向と下方との間の方向に移動させる第3リバース工程をさらに備えた請求項3記載の半導体装置の製造方法。
前記第1リバース工程と前記第2上昇工程との間に、前記キャピラリを下方に移動させる第1下降工程をさらに備えた請求項1〜6のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。但し、以下に説明する半導体装置の製造方法は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、図面が示す部材の大きさ及び位置関係などは、説明を明確にするため、誇張していることがある。また、本明細書においては、説明の便宜上、XYZ直交座標系を採用する。第1接合点から第2接合点に向かう方向を「+X方向」とし、その逆の方向を「−X方向」とする。+X方向と−X方向を総称して「X方向」ともいう。−X方向が第1方向に相当し、+X方向が第2方向に相当する。X方向に対して直交する方向を「Y方向」とし、X方向及びY方向に対して直交する方向を「+Z方向」及び「−Z方向」という。+Z方向は「上」であり、−Z方向は「下」である。
【0010】
<第1の実施形態>
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、キャピラリを用いて、第1接合点と第2接合点とをワイヤで接続する接続方法を含む。第1の実施形態では、半導体素子である発光素子を用いて、半導体装置の一種である発光装置を製造する方法について説明する。また、以下において、第1接合点は、第1リード11上に載置された発光素子13の上面に位置し、第2接合点は、第2リード12の上面に位置する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るワイヤ接続方法におけるキャピラリの軌跡を示す図である。
図2は、
図1の一部拡大図である。
図3(a)〜(e)は、本実施形態に係るワイヤ接続方法におけるキャピラリの軌跡及び各段階のワイヤの形状を示す図である。
図4は、本実施形態におけるキャピラリ及び第1接合点を示す端面図である。
図5は、本実施形態に係る発光装置を示す側面図である。
なお、
図3において、キャピラリの軌跡は破線で示し、ワイヤは実線で示す。
【0012】
(第1接合工程)
先ず、キャピラリ100がワイヤ20を保持した状態で、ワイヤ20の先端に対して放電させて、ワイヤ20の先端にイニシャルボールを形成する。なお、キャピラリ100の上部には開閉可能なクランプが設けられている。キャピラリ100に挿通されたワイヤ20は、クランプを閉じることで挟持され、クランプを開くことで排出可能な状態となる。
【0013】
図4に示すように、イニシャルボールを、第1接合点B1である電極13aの上面に当接させた後、キャピラリ100によって押し付け、荷重及び超音波を一定時間印加する。これにより、イニシャルボールが変形し、ボール部21が形成される。このとき、第1接合部B1の位置を、位置P1とする。
【0014】
(第1上昇工程)
図3(a)は、第1上昇工程及び第1リバース工程、更には第2上昇工程まで経た後のワイヤの形状を図示している。キャピラリ100は、位置P1においてボール部21を形成した後、クランプを開いてキャピラリ100からワイヤ20を排出可能な状態とする。そして、キャピラリ100を位置P1から上方(+Z方向)に移動させて、位置P2に到達させる。これにより、
図3(a)に示すように、ワイヤ20は、位置P1のボール部21から位置P2に向けて、ほぼ真上に延伸する。このときのキャピラリ100の移動距離、すなわち、位置P1と位置P2との距離を、第1垂直距離Y1とする。なお、本明細書において、「キャピラリ100の位置」とは、キャピラリ100におけるワイヤ20を排出する先端部の位置を意味する。
【0015】
(第1リバース工程)
次に、キャピラリ100を位置P2から−X方向(第1方向)に移動させて、位置P3に到達させる。これにより、
図3(a)に示すように、ワイヤ20は位置P1から位置P3に向けて、傾斜した状態でほぼ直線状に延伸する。このときのキャピラリ100の移動距離、すなわち、位置P2と位置P3との距離を、第1水平距離X1とする。
【0016】
(第2上昇工程)
図3(b)は、第2上昇工程及び第2リバース工程を経て、第3上昇工程の途中までを経た後のワイヤの形状を図示している。キャピラリ100を位置P3から上方に移動させて、位置P4に到達させる。これにより、ワイヤ20は位置P1から位置P4まで延伸するが、位置P3の近傍で、
図3(b)に示すように、+X方向側が内側となるように屈曲し、第1屈曲部22が形成される。第1屈曲部22の内側、すなわち、ワイヤ20の+X方向側の表面には、第1屈曲痕23(
図5参照)が形成される。このときのキャピラリ100の移動距離、すなわち、位置P3と位置P4との距離を、第2垂直距離Y2とする。第1上昇工程におけるキャピラリ100の移動距離(第1垂直距離Y1)は、第2上昇工程におけるキャピラリ100の移動距離(第2垂直距離Y2)以上である。第2垂直距離Y2は、第1垂直距離Y1以下とし、好ましくは、第1垂直距離Y1未満とする。すなわち、Y1≧Y2とし、好ましくは、Y1>Y2とする。
【0017】
(第2リバース工程)
次に、キャピラリ100を位置P4から−X方向に移動させて、位置P5に到達させる。これにより、ワイヤ20は、
図3(b)に示すように、位置P1から位置P5に向けて延伸する。このとき、第1屈曲部22は少し伸ばされるが、第1屈曲痕23はそのまま保持される。このときのキャピラリ100の移動距離、すなわち、位置P4と位置P5との距離を、第2水平距離X2とする。
【0018】
第1リバース工程におけるキャピラリ100の移動距離(第1水平距離X1)は、第2リバース工程におけるキャピラリ100の移動距離(第2水平距離X2)以上である。第2水平距離X2は、好ましくは第1水平距離X1以下とし、より好ましくは、第1水平距離X1未満とする。すなわち、好ましくは、X1≧X2とし、より好ましくは、X1>X2とする。より好ましくは、第1垂直距離Y1を第1水平距離X1よりも大きくし、第1水平距離X1を第2水平距離X2よりも大きくし、第2水平距離X2を第2垂直距離Y2よりも大きくする。すなわち、Y1>X1>X2>Y2とする。
【0019】
(第3上昇工程)
図3(c)は、第3上昇工程及び第3リバース工程を経た後のワイヤの形状を図示している。キャピラリ100を位置P5から上方に移動させて、位置P6に到達させる。これにより、ワイヤ20は位置P1から位置P6まで延伸するが、
図3(c)に示すように、位置P5の近傍で、+X方向側が内側となるように屈曲し、第2屈曲部24が形成される。第2屈曲部24の内側、すなわち、ワイヤ20の+X方向側の表面には、第2屈曲痕25(
図5参照)が形成される。第2屈曲痕25は第1屈曲痕23よりも上方に形成される。このときのキャピラリ100の移動距離、すなわち、位置P5と位置P6との距離を、第3垂直距離Y3とする。第3垂直距離Y3は、第1垂直距離Y1と第2垂直距離Y2の合計値よりも大きくする。すなわち、Y3>Y1+Y2とする。なお、
図3(c)〜
図3(e)において、第1屈曲部22と第2屈曲部24とは、分かり易いように離間させて図示しているが、実際は、
図5に示すように、第1屈曲部22で形成された第1屈曲痕と、第2屈曲部で形成された第2屈曲痕とは近接して位置している。そして、2つの屈曲部が連続して1つの屈曲部を構成しているように見える。
【0020】
(第3リバース工程)
次に、キャピラリ100を位置P6から、−X方向と下方(−Z方向)との間の方向に移動させて、位置P7に到達させる。キャピラリ100の軌跡は、例えば、位置P1を中心とした円弧とする。これにより、ワイヤ20は位置P1から位置P7に向けて延伸する。このとき、第1屈曲部22及び第2屈曲部24は少し伸ばされるが、第1屈曲痕23及び第2屈曲痕25はそのまま保持される。
【0021】
(第1フォワード工程)
図3(d)は、第1フォワード工程及び第4上昇工程を経た後のワイヤの形状を図示している。キャピラリ100を、第3リバース工程S7におけるキャピラリ100の軌跡を逆進させ、第3リバース工程の開始点(位置P6)を越えて第2接合点側、つまり、+X方向(第2方向)に位置する位置P8に到達させる。位置P8は、例えば、位置P1の直上とする。これにより、ワイヤ20が+X方向側が内側になるように屈曲し、第3屈曲部26が形成される。第3屈曲部26の内角は、例えば、鈍角である。
【0022】
(第4上昇工程)
次に、キャピラリ100を、位置P8から上方に移動させて、位置P9に到達させる。これにより、ワイヤ20は、位置P1と位置P9との間で、−X方向側に凸となるように緩やかに湾曲した状態で保持される。このとき、ワイヤ20には、第1屈曲部22、第1屈曲痕23(
図5参照)、第2屈曲部24、第2屈曲痕25(
図5参照)及び第3屈曲部26が形成されている。
【0023】
(第2フォワード工程)
図3(e)は、第2フォワード工程の途中までの工程を経た後のワイヤの形状を図示している。次に、キャピラリ100を、位置P9から円弧を描いて+X方向と下方(−Z方向)との間の方向に移動させて、第2リード12の上面上にある位置P10に到達させる。位置P10は、位置P1よりも+X方向且つ下方(−Z方向)にある。これにより、第2屈曲部24がより深く屈曲され、第2屈曲部24の内角は、例えば、鋭角になる。また、第3屈曲部26もより深く曲げられるが、その内角は鈍角のままである。このようにして、ワイヤ20は、位置P1と位置P10との間で、第2屈曲部24において−X方向と上方との間の方向に凸となるように屈曲し、第3屈曲部26においてほぼ上方に凸となるように屈曲した状態で保持される。第1フォワード工程S8、第4上昇工程S9及び第2フォワード工程S10により、フォワード工程が構成される。
【0024】
(第2接合工程)
次に、キャピラリ100がワイヤ20を、第2リード12の上面における第2接合点B2に押し付けた状態で、ワイヤ20に対して荷重及び超音波を印加する。これにより、位置P10においてワイヤ20が第2リード12の第2接合点B2に接合される。次に、キャピラリ100を上昇させた後、クランプを閉じてワイヤ20を固定し、その状態でさらに上昇することにより、第2接続点B2でワイヤ20を切断する。この結果、発光素子13の電極13aと第2リード12とが、ワイヤ20によって接続される。このようにして、本実施形態に係る発光装置1が製造される。
【0025】
図5に示すように、本実施形態に係る発光装置1においては、第1リード11及び第2リード12が相互に離隔して設けられている。第1リード11上には発光素子13が搭載されている。発光素子13の上面には電極13aが設けられている。電極13aと第2リード12との間には、ワイヤ20が接続されている。詳細には、ワイヤ20の一端は、ボール部21を介して、電極13aの第1接合点B1に接合されている。ワイヤ20の他端は、第2リード12の上面の第2接合点B2に接合されている。
【0026】
ワイヤ20は、ボール部21からほぼ上方に延びる第1部分31と、第1部分31の上端から、+X方向を含む方向に延びる第2部分32と、第2部分32から第2接合点B2に向かって延びる第3部分33とを、有する。第1部分31、第2部分32及び第3部分33は、この順に連続的に設けられている。第1部分31と第2部分32との境界は、上方(+Z方向)と−X方向の間の方向に凸になるように屈曲した第2屈曲部24となっている。第2部分32と第3部分33との境界は、上に凸になるように屈曲した第3屈曲部26となっている。なお、第1屈曲部22は、第2リバース工程S5及び第3リバース工程S7において伸ばされるため、あまり目立たなくなっている。
【0027】
第1部分31が延びる方向と第2部分32が延びる方向とがなす角度、すなわち、第2屈曲部24の内角は例えば鋭角であり、第2部分32が延びる方向と第3部分33が延びる方向とがなす角度、すなわち、第3屈曲部26の内角は鈍角である。そして、第1部分31の第2接合点B2側の側面には、第1部分31が延びる方向に対して交差した方向、例えば、Y方向に延びる2本の第1屈曲痕23及び第2屈曲痕25が形成されている。
【0028】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、第1リバース工程S3において、ワイヤ20に第1屈曲部22及び第1屈曲痕23を形成する。その後、第2リバース工程S5において、第1屈曲部22よりも上方に、第2屈曲部24及び第2屈曲痕25を形成する。この結果、第2フォワード工程S10において、キャピラリ100を大きく移動させたときに、2回のリバース動作で曲げ癖が付いた第1屈曲部22及び第2屈曲部24の2点が分散して第2フォワード工程S10による曲げ加工の起点となり、ワイヤ20がさらに屈曲し、内角が鋭角になる。
【0029】
このとき、第2屈曲部24の直下には、第1屈曲部22が存在するため、第2フォワード工程S10において第2屈曲部24がより深く屈曲する際に、第1屈曲部22が第2屈曲部24を支持することができる。このため、第2屈曲部24の形状安定性が良好になり、ワイヤ20の形状が良好になる。また、第1屈曲部22が存在することにより、第1部分31はほぼ垂直に延びる。第1部分31はワイヤ20のループ形状を支持する部分であるため、ワイヤ20の形状が安定する。このように、本実施形態によれば、ワイヤ20の形状が安定な発光装置1を得ることができる。この結果、ループ形状を担保したまま、ワイヤ20を細くすることができ、発光素子13から出射した光の利用効率を向上させることができる。
【0030】
また、第1垂直距離Y1を第2垂直距離Y2以上とすることにより、ボール部21と第1屈曲部22との距離を、第1屈曲部22と第2屈曲部24との距離以上とすることができる。これにより、第1屈曲部22をボール部21よりも第2屈曲部24側に配置し、第2屈曲部24の屈曲をより効果的に支持することができる。
【0031】
更に、第1水平距離X1を第2水平距離X2以上とすることにより、第3上昇工程S6までの工程において、第1屈曲部22を第2屈曲部24よりも強く屈曲させることができる。この結果、第2フォワード工程S10において、第2屈曲部24をより確実に屈曲させることができる。
【0032】
<第2の実施形態>
図6は、本実施形態に係るワイヤ接続方法におけるキャピラリの軌跡を示す図である。
図6は、第1の実施形態の
図2に相当する。
【0033】
図6に示すように、第1リバース工程S3と第2上昇工程S4との間に、第1下降工程S12が設けられている。第1下降工程S12において、キャピラリ100を位置P3から、下方(−Z方向)に移動させて、位置P11に到達させる。その後、第2上昇工程S4においては、キャピラリ100を位置P11から位置P4まで上昇させる。本実施形態における上記以外の発光装置の製造方法及び構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0034】
本実施形態によれば、第1リバース工程S3と第2上昇工程S4との間に、第1下降工程S12を挿入することにより、第1屈曲部22をより深く屈曲させることができる。この結果、後の工程において、第1屈曲部22をより深く屈曲させることができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0035】
<第3の実施形態>
図7は、本実施形態に係るワイヤ接続方法におけるキャピラリの軌跡を示す図である。
図7は、第1の実施形態の
図2に相当する。
【0036】
図7に示すように、第1リバース工程S3において、キャピラリ100を−X方向と下方(−Z方向)との間の方向に直線的に移動させて、位置P3(
図2参照)ではなく、位置P3よりも下方の位置P11に到達させる。その後、第2上昇工程S4において、キャピラリ100を位置P11から位置P4まで上昇させる。本実施形態における上記以外の発光装置の製造方法及び構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0037】
本実施形態によれば、第1リバース工程S3において、キャピラリ100を斜め下方に移動させることにより、第1屈曲部22をより深く屈曲させることができる。この結果、後の工程において、第1屈曲部22をより深く屈曲させることができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0038】
<第4の実施形態>
図8は、本実施形態に係るワイヤ接続方法におけるキャピラリの軌跡を示す図である。
図8は、第1の実施形態の
図2に相当する。
【0039】
図8に示すように、第1リバース工程S3において、キャピラリ100を−X方向と上方(+Z方向)との間の方向に直線的に移動させて、位置P3(
図2参照)ではなく、位置P3よりも上方の位置P12に到達させる。その後、第2上昇工程S4においては、キャピラリ100を位置P12から位置P4まで上昇させる。本実施形態における上記以外の発光装置の製造方法及び構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態によれば、第1リバース工程S3において、キャピラリ100を斜め上方に移動させることにより、ワイヤ20にかかる負担を軽減することができる。発光装置の設計、ワイヤ20の種類、ワイヤ接続の条件等によっては、ワイヤ20の負担を軽減することが、ワイヤ20の形状安定性に寄与する場合がある。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0041】
<第5の実施形態>
図9は、本実施形態に係るワイヤ接続方法におけるキャピラリの軌跡を示す図である。
図9は、第1の実施形態の
図2に相当する。
【0042】
図9に示すように、第1リバース工程S3において、キャピラリ100を最初は−X方向に移動させ、移動方向を下方に向けて徐々に変化させて、円弧を描くように曲線的に移動させる。そして、キャピラリ100を、位置P3(
図2参照)ではなく、位置P3よりも下方の位置P11に到達させる。すなわち、第1リバース工程S3においてキャピラリ100が移動する方向は、全体として、−X方向と−Z方向の間の方向である。その後、第2上昇工程S4においては、キャピラリ100を位置P11から位置P4まで上昇させる。本実施形態における上記以外の発光装置の製造方法及び構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0043】
本実施形態においても、前述の第3の実施形態と同様に、第1リバース工程S3において、第1屈曲部22をより深く屈曲させることができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0044】
第3〜第5の実施形態において示すように、第1リバース工程S3において、キャピラリ100の移動方向は必ずしも−X方向(第1方向)でなくてもよく、−X方向を含む方向であればよい。「−X方向を含む方向」とは、−X方向と他の方向、例えば、+Z方向又は−Z方向とを合成させた方向であり、−X方向自体も含む。この場合、第1水平距離X1は、第1リバース工程S3におけるキャピラリ100の軌跡のうち、X方向に平行な距離をいう。
【0045】
<第6の実施形態>
図10は、本実施形態に係るワイヤ接続方法におけるキャピラリの軌跡を示す図である。
図10は、第1の実施形態の
図1に相当する。
【0046】
図10に示すように、第1の実施形態から、第3リバース工程S7、第1フォワード工程S8及び第4上昇工程S9を省略する。すなわち、第3上昇工程S6により、キャピラリ100を位置P9に到達させた後、第2フォワード工程S10を実施し、キャピラリ100を位置P9から位置P10まで移動させる。本実施形態における上記以外の発光装置の製造方法、構成及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0047】
<第7の実施形態>
図11は、本実施形態に係る発光装置を示す側面図である。
【0048】
図11に示すように、発光装置2においては、発光素子13が第2リード12上に搭載されている。そして、第1接合点B1は第1リード11の上面に位置しており、第2接合点B2は発光素子13の上面に設けられた電極13aの上面に位置している。
【0049】
本実施形態においては、第1接合工程S1において、第1リード11の第1接合点B1にワイヤ20を接合する。次に、前述の第1の実施形態と同様な方法により、第1上昇工程S2、第1リバース工程S3、第2上昇工程S4、第2リバース工程S5、第3上昇工程S6、第3リバース工程S7、第1フォワード工程S8、第4上昇工程S9、及び、第2フォワード工程S10を実施する。次に、第2接合工程S11において、ワイヤ20を発光素子13の電極13aの第2接合点B2に接合する。
【0050】
本実施形態における上記以外の発光装置の製造方法、構成及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
なお、本実施形態は、前述の第2〜第6の実施形態のいずれかと組み合わせてもよい。
【0051】
<第8の実施形態>
次に、第8の実施形態について説明する。
図12は、本実施形態に係る発光装置を示す側面図である。
【0052】
図12に示すように、本実施形態に係る発光装置3においては、第1リード11上に第1発光素子14が搭載されており、第2リード12上に第2発光素子15が搭載されている。第1発光素子14の上面には電極14aが設けられており、第2発光素子15の上面には電極15aが設けられている。そして、第1接合点B1は電極14aの上面に位置し、第2接合点B2は電極15aの上面に位置している。ワイヤ20は、第1発光素子14の上面に形成された電極14aの第1接合点B1と、第2発光素子15の上面に形成された電極15aの第2接合点B2との間に接続されている。
【0053】
本実施形態においては、第1接合工程S1において、第1発光素子14の電極14aの第1接合点B1にワイヤ20を接合する。次に、前述の第1の実施形態と同様な方法により、第1上昇工程S2から第2フォワード工程S10までを実施する。次に、第2接合工程S11において、ワイヤ20を第2発光素子15の電極15aの第2接合点B2に接合する。
【0054】
本実施形態における上記以外の発光装置の製造方法、構成及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
なお、本実施形態は、前述の第2〜第6の実施形態のいずれかと組み合わせてもよい。また、ワイヤ20の材料には、金、銀、アルミニウム等を挙げることができる。発光装置の場合は、ワイヤ20は、発光素子からの光に対する反射率の高いものが好ましく、例えば、金、銀及びこれらの合金を用いたワイヤ20が好ましい。
【0055】
<試験例>
次に、試験例について説明する。
本試験例においては、第1の実施形態において説明した方法により、ワイヤ接続を行い、サンプルを作製した。ワイヤ20として、金を主成分とし、直径が18μmのワイヤを用いた。このとき、第1水平距離X1、第2水平距離X2、第1垂直距離Y1、第2垂直距離Y2をそれぞれ異ならせた。1組の条件について、複数個のサンプルを作製し、ワイヤ20の形状の安定性を目視で評価した。
【0056】
各距離及びワイヤ形状の安定性の評価結果を、表1に示す。表1に示す距離の単位は「μm」である。また、「ワイヤ形状」の評価は、「A」、「B」、「C」、「D」の4水準とした。「A」が最も良好であり、以下、「B」、「C」と続き、「D」が最も低い評価である。なお、本試験の評価が「D」である接続条件であっても、ワイヤの直径等を適切に選択すれば、実際の製品として問題の無い製品を製造可能である。
【0058】
サンプルNo.1は、Y1>Y2であり、X1>X2であり、Y1>X1>X2>Y2であるため、今回のサンプルの中で、ワイヤ形状が最も良好であった。サンプルNo.2〜No.7は、Y1≧Y2であり、X1≧X2であるため、ワイヤ形状がかなり良好であった。サンプルNo.8及びNo.9は、Y1>Y2であるため、ワイヤ形状は良好であった。これに対して、サンプルNo.10は、第2上昇工程S4及び第2リバース工程S5を実施していない。このため、第1屈曲部22に相当する屈曲部が形成されず、ワイヤ形状は、他のサンプルと比較して劣っていた。
【0059】
前述の各実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、前述の各実施形態において、いくつかの構成要素又は工程を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。