【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例と比較例により具体的に説明する。実施例、比較例において配合に用いた各成分を下記に示す。試験に使用した化合物を下記に記す。なお、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシドの略であり、その後の数字はそれぞれEO、POの平均付加モル数を表す。尚、表中における実施例および比較例の配合の数値は純分の質量%を表す。
【0026】
(A)成分
A−1:ポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量が4000、商品名:がSokalanPA25CL(純分45%)、BASF社製)
A−2:ポリマレイン酸(重量平均分子量が500、商品名がBelclene 200LA(純分50%)、BWA社製)
A−3:ポリアクリル酸・マレイン酸共重合体(重量平均分子量が3000、商品名がSokalanCP12S(純分50%)、BASF社製)
A−4:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(商品名がBelclene 660LA(純分60%)、BWA社製)
A−5:2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸(商品名がBelclene 650(純分50%)、BWA社製)
【0027】
(B)成分
B−1:クエン酸
B−2:グルコン酸
B−3:リンゴ酸
【0028】
(B′)成分[(B)成分の比較成分]
B′−1:硝酸
B′−2:塩酸
B′−3:シュウ酸
B′−4:メタンスルホン酸
【0029】
(C)成分
C−1:イオン交換水
C−2:水道水
【0030】
(D)成分
D−1:メトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム
D−2:クメンスルホン酸ナトリウム
D−3:パラトルエンスルホン酸ナトリウム
【0031】
(E)成分
E−1:プルロニック型ノニオン界面活性剤1(重量平均分子量が2200、商品名がアデカプルロニックL−44、ADEKA社製)
E−2:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル(商品名がアデカトールLB−83、ADEKA社製)
E−3:N,N−ジポリオキシアルキレン−N−三級アルキル(C12〜14)アミン(商品名がトライトンCF−32、ダウケミカル社製、有効成分95%)
E−4:プルロニック型ノニオン界面活性剤2(商品名がアデカプルロニック25R−1、ADEKA社製(PO3モル、EO43モル、PO3モルのブロック付加体)
【0032】
その他成分:(F)成分
F−1:リン酸
【0033】
実施例1〜50、比較例1〜10
表1〜6に示す配合に基づき酸性CIP用洗浄剤組成物を調製した。各洗浄剤組成物について、塩素ガス発生の防止性、スケール洗浄性、アルカリ洗浄工程時における析出物の発生防止性について、試験を行った。また洗浄剤組成物の貯蔵安定性、ゴムパッキン適合性、金属腐食防止性、洗浄性の試験を行った。結果を表1〜6に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
※1:塩素ガス発生防止性試験
家庭用品品質表示法の雑貨工業品品質表示規程、「四 合成洗剤、洗濯用又は台所用の石けん及び住宅用又は家具用の洗浄剤」の塩素ガス発生試験(酸性タイプ)に記載の装置を用い、同装置の容量20Lの合成樹脂容器内の底に置いた10mLビーカーに酸性CIP洗浄剤組成物を3mL取り、この中に5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液3mLを加え、直ちに蓋をし、マグネティックスターラーで攪拌した。また、装置のファンにより下方に送風(回転数50Hzで約2500rpm)した。5分経過後、塩素ガス検知管を備えたガス採取器により容器内のガスを100mL吸引し、下記(1)式により塩素ガス濃度を測定した。
(数1)
塩素ガス濃度(ppm)=測定塩素ガス濃度(ppm)/3
×合成樹脂容器の容量(L)/20 (1)
評価基準
○:塩素ガス濃度が0.5ppm未満。
△:塩素ガス濃度が0.5ppm以上、1ppm未満。
×:塩素ガス濃度が1ppm以上。
とし、△、○の評価のものを実用性のあるものとして判定した。
【0041】
※2:スケール洗浄性試験
SUS304のステンレスパネル(2cm×7cm)に乾燥重量が50mg程度となるようにリン酸カルシウムを塗布して100℃で1時間乾燥させたものをテストパネルとした。200mLビーカーに、酸性CIP洗浄剤組成物の1質量%水溶液100mLを調製し、そこにテストピースを20分間浸漬した。以下の基準でスケール洗浄性を評価し、△、○の評価のものを実用性のあるものとして判定した。
評価基準
○:汚れの残留がない。
△:汚れの残留がわずかに確認された。
×:汚れの残留が確認された。
【0042】
※3:アルカリ洗浄工程時における析出物の発生防止性試験
200mLビーカーに、イオン交換水を用いて、酸性CIP洗浄剤組成物の1質量%水溶液100mLを調製し、炭酸カルシウム50mgを添加した。次に炭酸カルシウムが完全に溶解するまで攪拌し、溶解後0.1N水酸化ナトリウムでpHを12に調製した。1時間後、目視にて以下の基準で析出物の発生防止性を評価した。○の評価のものを安定性において実用性のあるものとして判定した。
評価基準:
○:透明溶液であり、析出物は見られない。
×:析出物の沈殿が見られる。
【0043】
※4:貯蔵安定性試験
各供試酸性CIP用洗浄剤組成物を250mL容量のキャップ付きポリエチレン製容器に200mL入れて、−5℃、25℃、40℃に設定されたそれぞれのインキュベーターに30日間静置した後、溶液の均一性を目視で確認した。目視にて分離や析出物の沈殿の有無を確認し、以下の基準で安定性を評価した。○の評価のものを安定性において実用性のあるものとして判定した。
安定性評価基準:
○:透明溶液であり、分離も析出物も見られない。
×:分離や析出物の沈殿が見られる。
【0044】
※5:ゴムパッキン適合性試験
各供試酸性CIP用洗浄剤組成物の10質量%水溶液50mLを100mLのキャップ付きポリエチレン製容器に入れ、このポリエチレン製容器にEPDMゴムパネル(入間川ゴム株式会社製、縦×横×厚み=50mm×25mm×2mm(体積2500立方ミリメートル))、NBRゴムパネル(入間川ゴム株式会社製、縦×横×厚み=50mm×25mm×2mm)をそれぞれ別々の容器に全体が浸るように入れ、キャップをする。80℃に昇温した後、同温度に保持して24時間静置後、ゴムパネルを取り出し、流水で洗浄した。105℃で3時間乾燥した後の外観変化を目視にて判断し、以下の基準で評価した。△、○の評価のものを実用性のあるものとして判定した。
ゴムパッキン適合性評価基準:
○:硬化、ヒビ割れ、膨張などの外観変化が見られない。
△:硬化、ヒビ割れ、膨張などの外観変化が若干見られるが、使用は可能。
×:硬化、ヒビ割れ、膨張などの外観変化が見られる。
【0045】
※6:金属腐食性防止試験
各供試酸性CIP用洗浄剤組成物の10質量%水溶液50mLを100mLキャップ付きポリエチレン製容器に入れ、このポリエチレン製容器にSUS304パネル、SUS316パネルをそれぞれ別々の容器に半分程度が浸るように入れ、キャップをする。80℃に昇温した後、同温度に保持して24時間静置後、SUSパネルを取り出し、流水で洗浄した後、SUSパネルの、水溶液につかっていた浸漬部、水溶液と空気との境の喫水線部、空気中に表出していた気相部の腐食の有無を目視にて確認し、以下の基準で金属腐食性を評価した。△、○の評価のものを実用性のあるものとして判定した。
金属腐食性評価基準:
○:浸漬部、喫水線部、気相部の何れにおいても変化が見られない。
△:浸漬部、喫水線部、気相部の何れかで若干の腐食が見られるが、使用は可能。
×:浸漬部、喫水線部、気相部の何れか又は2以上の箇所で腐食が見られる。
【0046】
※7:洗浄工程条件
SUS304のステンレスパネル(2cm×7cm)に乾燥重量が50mg程度となるように牛乳を塗布して130℃で30分加熱したものを用い、以下の条件の洗浄工程を組み合わせた洗浄法I〜IIIの何れかの方法で洗浄試験を行った。
洗浄工程の条件
a)すすぎ洗浄:常温水で5分洗浄後、すすぎ洗浄液を排出する。
b−1)酸洗浄α:各供試酸性CIP用洗浄剤組成物の3質量%水溶液により、80℃で20分洗浄後、酸洗浄液を排出する。
b−2)酸洗浄β:各供試酸性CIP用洗浄剤組成物の3質量%水溶液により、80℃で20分洗浄後、酸洗浄液は排出しない。
c)塩素化アルカリ洗浄:アデカサイクルSNP(ADEKAクリーンエイド社製、水酸化カリウム15質量%、有効塩素濃度として3質量%含有)を用いて、洗浄液のPPアルカリ度が水酸化カリウム換算で0.45質量%になるように投入し、80℃で20分洗浄後、塩素化アルカリ洗浄液を排出する。
d)殺菌:90℃以上の熱水により20分間殺菌後、熱水を排出する。
【0047】
洗浄法
洗浄法I:a)すすぎ洗浄、b−1)酸洗浄α、a)すすぎ洗浄、c)塩素化アルカリ洗浄、a)すすぎ洗浄、d)殺菌
洗浄法II:a)すすぎ洗浄、b−1)酸洗浄α、c)塩素化アルカリ洗浄、a)すすぎ洗浄、d)殺菌
洗浄法III:a)すすぎ洗浄、b−2)酸洗浄β、c)塩素化アルカリ洗浄、a)すすぎ洗浄、d)殺菌
【0048】
洗浄後のステンレスパネル表面を洗浄前と比較し、洗浄性の評価をした。また、塩素化アルカリ洗浄またはアルカリ洗浄における洗浄液中の汚れの状態を評価した。
【0049】
※7−1:洗浄性評価基準
◎:汚れの残留がない。
○:汚れの残留がほとんどない。
×:汚れの残留が確認された。
−:塩素ガスが発生し危険なため、試験ができない。
とし、評価が◎、○を実用性のあるものと判定した。
【0050】
※7−2:洗浄液中の汚れ溶解性評価基準
○:汚れが均一に溶解している。
×:剥離した汚れが浮遊している。
−:塩素ガスが発生し危険なため、試験ができない。
とし、評価が○を実用性のあるものと判定した。