(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに、同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうると、想定される。
【0010】
以下の説明においては、解説を目的として、本書で提示されている実施形態の網羅的な理解を提供するために多数の具体的な詳細事項が明記される。しかし、これらの具体的な詳細事項がなくとも本開示が実践されうることは、当業者には明白となろう。その他の事例では、説明されている実施形態を不明瞭にしないように、具体的な装置構造については説明していない。以下の説明及び図は、実施形態を例示するものであり、本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【0011】
図1は、半導体デバイス100における2つのフィーチャの間でラインスティクションが発生している、半導体デバイス100の一部分を示す概略断面図である。図示しているように、高アスペクト比デバイス構造物が、基板の表面上に形成されている。処理中に、デバイス構造物102は垂直配向で維持されるべきであり、壁部106は、隙間(opening)を横切ってデバイス構造物102の隣接する壁部106に接触するべきではない。半導体デバイス100が、湿式化学作用を用いて洗浄された後に乾燥されている時、デバイス構造物102の壁部106は、隙間104の中に入った洗浄液によって生じる空気−液体界面による毛細管力を受ける。この毛細管力によって、隣接するデバイス構造物102の壁部106同士が互いに向かって曲がり、互いに接触することになる。ラインスティクションは、隣接するデバイス構造物102の壁部106同士の接触により生じ、最終的には、隙間104の閉塞を引き起こす。ラインスティクションは概して望ましくないものである。なぜならそれは、更なる堆積ステップなどの後続の基板処理ステップにおける、隙間104へのアクセスを妨害するからである。
【0012】
ラインスティクションを防止するために、基板は、湿式洗浄チャンバ内で、脱イオン水又は洗浄用化学物質などの水性洗浄溶液に曝露されうる。かかる基板は、表面上に電子デバイスが配置又は形成されている、半導体基板を含む。湿式洗浄チャンバ内の基板に対して水性洗浄溶液を使用することで、湿式洗浄プロセスが実施された後に基板に残った残留物が除去される。一部の構成では、湿式洗浄チャンバは、単一ウエハ洗浄チャンバ及び/又は水平スピニングチャンバでありうる。加えて、湿式洗浄チャンバは、基板のデバイスがない側に向けられる音響エネルギーを生成するよう適合した、メガソニックプレートを有しうる。
【0013】
基板の湿式洗浄の後に、基板は、湿式洗浄チャンバ内で使用された使用済みの水性洗浄溶液があればそれを置換するために、溶媒置換チャンバに移送されうる。基板は次いで、基板に更なる洗浄ステップ及び乾燥ステップを実施するために、超臨界流体チャンバに移送されうる。一実施形態では、基板を乾燥させることは、基板の表面への超臨界流体の供給を伴いうる。乾燥用ガスは、超臨界処理チャンバ内で実現又は維持される特定の圧力構成及び温度構成に曝露された時に超臨界状態に移行するよう、選択されうる。かかる乾燥用ガスの一例は、二酸化炭素(CO
2)を含む。超臨界CO
2は、超臨界ガスであることから、表面張力を有さないという点でその表面張力は気体に類似しているが、液体の密度よりも高い密度を有する。超臨界CO
2は、約73.0atmの圧力、及び約31.1°Cの温度において臨界点を有する。CO
2などの超臨界流体の固有特性の1つは、超臨界圧力及び超臨界点(例えば、CO
2では73atm及び31.1°C)を上回るいかなる圧力及び温度でも、凝集が発生しないということである。処理チャンバなどの処理環境の臨界温度パラメータ及び臨界圧力パラメータが、CO
2乾燥用ガスの超臨界状態に影響を与える。
【0014】
超臨界流体は、その固有特性により、基板における実質的にすべての孔部又はボイドに入り込み、残留液体又は残留粒子(隙間104内に存在しうる)があればそれを除去しうる。一実施形態では、超臨界処理が、粒子及び残留物を除去するために所望の期間にわたって進行した後に、ほぼ一定の温度を保ったままチャンバの圧力が下げられて、超臨界流体を隙間104の中で気相に直接的に移行させることが可能になる。典型的には、超臨界流体処理に先立って隙間104内に存在する液体は、溶媒置換チャンバからの置換溶媒でありうる。典型的には、隙間104内に存在する粒子は、有機種(すなわち炭素)、無機種(すなわちシリコン)、及び/又は金属などの、任意の固体粒状物でありうる。超臨界流体によって乾燥されうる隙間104の例は、誘電体層のボイド又は孔部、低誘電率誘電材料のボイド又は孔部、及び、洗浄用の流体及び粒子を閉じ込めうる、他の種類の基板の間隙を、含む。更に、超臨界乾燥は、移相中に液体状態を回避すること、及び、超臨界CO
2などの超臨界流体の微小な表面張力により、デバイス構造物102の壁部106同士の間に生じる毛細管力を除去することによって、ラインスティクションを防止しうる。
【0015】
基板は次いで、超臨界流体チャンバから後処理チャンバに移送されうる。後処理チャンバはプラズマ処理チャンバであってよく、このチャンバ内で、基板に存在しうる汚染物質が除去されうる。基板を後処理することで、デバイス構造物にラインスティクションが存在すればそれも、更に解除されうる。本書に記載のプロセスは、約10:1以上、20:1以上、又は、30:1以上のアスペクト比といった、高アスペクト比を有するデバイス構造物の洗浄に役立つ。特定の実施形態では、本書に記載のプロセスは、3D/垂直NANDフラッシュデバイス構造物の洗浄に役立つ。
【0016】
図2Aは、本開示の一実施形態による、上述の工程のうちの一又は複数を実施するよう適合しうる基板処理装置を示している。一実施形態では、処理装置200は、湿式洗浄チャンバ201と、溶媒置換チャンバ202と、超臨界流体チャンバ203と、後処理チャンバ204と、移送チャンバ206と、湿式ロボット208とを備える。基板を処理することは、金属線によって相互接続されている、トランジスタ、コンデンサ、又はレジスタなどの電気デバイスを形成することを含みうるがそれに限定されるわけではなく、これらの電気デバイスは、基板上の層間誘電体によって絶縁される。上記のプロセスは、基板を洗浄することと、基板に形成された膜を洗浄することと、基板を乾燥させることと、基板に形成された膜を乾燥させることとを、含みうる。別の実施形態では、処理装置200は、処理装置200内で処理された基板を検査するためのツール(図示せず)を含みうる、検査チャンバ205を含む。
【0017】
一実施形態では、基板処理装置200は、湿式洗浄チャンバ201、溶媒置換チャンバ202、超臨界流体チャンバ203、後処理チャンバ204、及び移送チャンバ206といったいくつかの基板処理チャンバを備える、クラスタツールである。チャンバ201、202、203、204は、移送チャンバ206内に配置されうる湿式ロボット208の周りに位置付けられうる。湿式ロボット208は、モータ、ベース、アーム、及び、チャンバ間で基板を移送するよう構成されたエンドエフェクタ209を備える。湿式ロボット208は、オプションで、処理装置200のスループットを向上させるために、複数のアーム及び複数のエンドエフェクタを有しうる。一実施形態では、湿式ロボット208は、前述のチャンバ間で基板を移送する。別の実施形態では、湿式ロボット208のエンドエフェクタのうちの少なくとも1つは、(例えば乾燥ウエハを扱うよう適合した)乾式専用エンドエフェクタであり、湿式ロボット208のエンドエフェクタのうちの少なくとも1つは、(例えば湿式ウエハを扱うよう適合した)湿式専用エンドエフェクタである。乾式専用エンドエフェクタは、超臨界流体チャンバ203と後処理チャンバ204との間で基板を移送するために使用されうる。
【0018】
処理装置200は、ファクトリインターフェース218に配置された乾式ロボット216も備え、ファクトリインターフェース218は、処理装置200、及び、複数の基板カセット212、214に連結されうる。複数の基板カセット212、214の各々は、未洗浄若しくは未乾燥の複数の基板、又は、洗浄済み若しくは乾燥済みの複数の基板を保持する。乾式ロボット216は、カセット212、214と、湿式洗浄チャンバ201との間、及び後処理チャンバ204との間で、基板を移送するよう構成されうる。別の実施形態では、乾式ロボット216は、超臨界流体チャンバ203と後処理チャンバ204との間で基板を移送するよう、構成されうる。処理装置200におけるこれらの処理チャンバは、基板移送チャンバ206を収納する水平プラットフォーム上に配置されうる。別の実施形態では、プラットフォームの一部分は、水平配向以外の配置に配向されう
る。
【0019】
図2Bに示す代替的な実施形態では、処理装置200Aは、湿式洗浄チャンバ201、溶媒置換チャンバ202、超臨界流体チャンバ203、後処理チャンバ204、及び移送チャンバ206といったいくつかの基板処理チャンバを備える、線形の装置でありうる。例えば、処理装置200Aは、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materialsから入手可能な「Raider(登録商標)GT」でありうるが、他の製造業者による他の処理装置が、本書に記載の実施形態を実施するよう適合しうることも、想定される。
【0020】
チャンバ201、202、203、204は、移送チャンバ206内に配置されうるロボット208Aの周りに位置付けられうる。ロボット208Aは、モータ、ベース、アーム、及び、チャンバ間で基板を移送するよう構成されたエンドエフェクタ209A、209Bを備える。ロボット208Aは、処理装置200Aのスループットを向上させるために、複数のアーム及び複数のエンドエフェクタを有しうる。一実施形態では、湿式専用エンドエフェクタ209Aを有するロボット208Aが、前述のチャンバ間で基板を移送する。処理装置200Aは、処理装置200、及び、複数の基板カセット212、214に連結されうるファクトリインターフェース218も備えてよく、複数の基板カセット212、214の各々は、未洗浄若しくは未乾燥の複数の基板、又は、洗浄済み若しくは乾燥済みの複数の基板を保持する。乾式専用エンドエフェクタ209Bを有するロボット208Aは、カセット212、214と、湿式洗浄チャンバ201との間、及び後処理チャンバ204との間で、基板を移送する。一実施形態では、乾式専用エンドエフェクタ209Bは、超臨界流体チャンバ203と後処理チャンバ204との間で基板を移送するよう構成されうる。処理装置200Aにおけるこれらのチャンバは、基板移送チャンバ206を収納する水平プラットフォーム上に配置されうる。別の実施形態では、プラットフォームの一部分は、水平配向以外の配置に配向されうる。
【0021】
処理装置200Aのいくつかの構成において、ロボット208Aは、線形軌道220に沿って移動しうる。チャンバは、線形軌道220の一方又は両方の側に並ぶように配置されうる。湿式基板移送を実施するために、基板がまだチャンバ内にある間に、例えば基板を回転させることによって、余分な液体が基板から除去されうる。これにより、ロボット208Aがこの基板を移送する前に、基板表面上には湿った薄層のみが残ることになる。ロボット208Aに2つ以上のエンドエフェクタが設けられる実施形態では、少なくとも1つは湿式基板移送専用であり、他の1つは乾式基板移送専用でありうる。大量生産のために、より多くのチャンバが、延長可能な線形構成に設置されうる。
【0022】
前記の実施形態で言及した構成により、各チャンバの設計複雑性が大幅に低減され、繊細なプロセスステップ間の待機時間制御が可能になり、かつ、各処理工程のプロセス持続期間を均一化するよう調整可能なチャンバモジュールのカウントを用いた連続生産において、スループットが最適化される。
【0023】
図3は、本書に記載の一実施形態による、熱質量が小さい処理チャンバ300の断面図を概略的に示している。特定の実施形態では、チャンバ300は、
図2A及び
図2Bに関連して説明しているチャンバ203として実装されうる。通常、チャンバ300は、その中での超臨界流体の生成及び/又は維持に適する加圧状態に耐えるよう、構成される。チャンバ300はまた、有利には、移相の実施に適する温度範囲内でサイクルされうる。
【0024】
チャンバ300は、本体302と、ライナ318と、断熱要素316とを含む。本体302とライナ318とが概して、処理空間312を画定する。本体302は、処理空間312の中での超臨界流体の生成に適する圧力に耐えるよう、構成されうる。例えば、本体は、約100bar以上の圧力に耐えることに適しうる。本体302に適する材料は、ステンレス鋼、アルミニウム、又は、その他の高強度金属材料を含む。ライナ318も、本体302と類似の材料から形成されうる。一実施形態では、ライナ318と本体302は単一の装置でありうる。別の実施形態では、ライナ318と本体302とは、ひとまとめに連結された別個の装置でありうる。
【0025】
ライナ318は、処理空間312に隣接した領域において、約2mmから約5mm(例えば約3mm)の厚さ344を有しうる。ライナ318を含む材料が本体302と比較して相対的に極少量であることにより、ライナ318は、本体302の熱質量と比べて小さい熱質量を有することになる。したがって、処理空間312の中の温度変化がより効率的な様態で行われうる。処理空間312の温度は主に、本体302ではなくライナ318による影響を受けるからである。一実施形態では、処理空間312の中の処理環境は、約5分未満(例えば約1分未満)の時間で、約20°Cと約50°Cとの間でサイクルされうる。一実施形態では、処理空間312は、約30秒間で、約20°Cと約50°Cとの間でサイクルされうる。
【0026】
断熱要素316は概して、ライナ318に隣接するように、本体302に配置される。図示している実施形態では、断熱要素316は複数の装置でありうる。断熱要素316は概して、ライナ318を本体302から断熱することによってライナ318の熱質量を更に低減するために、処理空間312の長手軸に沿って延在しうる。断熱要素316は、本体302及びライナ318に利用される材料の熱膨張率と類似した熱膨張率を有する、高圧環境内での使用に適する材料から形成されうる。一実施形態では、断熱要素316はセラミック材料でありうる。セラミック材料の様々な例は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素などを含む。断熱要素316の厚さ346は、約0.1インチから約1.0インチ(例えば約0.5インチ)でありうる。
【0027】
処理空間312は、約2リットル未満(例えば約1リットル)の容積を有する。ライナ318の間の、処理空間312の端から端までの距離348は、約5cm未満(例えば約2cm未満、例としては約1cm)でありうる。様々な実施形態において、処理空間312は、処理空間312内の条件に応じて、様々な液体、ガス、及び/又は超臨界流体で満たされうる。一実施形態では、処理空間312は、一又は複数の溶媒源320、332、336に連結されうる。第1溶媒源320は、本体302の上部を通る第1導管322を介して、処理空間312に連結されうる。第2溶媒源332は、本体302の側壁を通る第2導管334を介して、処理空間312に連結されうる。第3溶媒源336は、本体302の底部を通る第3導管338を介して、処理空間312に連結されうる。溶媒源320、332、336は、所望の溶媒導入特性に応じて、様々な進入ポートから処理空間に溶媒を提供するよう構成されうる。
【0028】
溶媒源320、332、336から処理空間312に供給されうる好適な溶媒は、数ある中でもとりわけ、アセトン、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド、及びジメチルスルホキシドを含む。通常、溶媒は、溶媒が液体CO
2と混和性であるように選択されうる。
【0029】
第1流体源324が、本体302の上部を通る第4導管326を介して、処理空間312に連結されうる。第1流体源324は概して、処理空間312に液体又は超臨界流体を提供するよう構成される。一実施形態では、第1流体源324は、超臨界CO
2を供給するよう構成されうる。別の実施形態では、第1流体源324は、処理空間312に超臨界CO
2を供給するよう構成されうる。この実施形態では、処理空間312内への進入に先立つ液体CO
2の超臨界CO
2への移相を促進するために、加熱・加圧装置が第4導管326に連結されうる。第2流体源356は第1流体源324と同様に構成されうる。しかし、第2流体源356は、本体302の底部を通る第5導管358を介して、処理空間に連結されうる。液体CO
2及び/又は超臨界CO
2の供給は、所望の処理特性に応じて、トップダウン方式(第1流体源324)又はボトムアップ方式(第2流体源356)から選択されうる。
【0030】
稼働中、処理空間312の温度は、処理空間312に提供されるCO
2の温度によって、少なくとも部分的に制御されうる。加えて、液体CO
2及び/又は超臨界CO
2は、約1回から約5回(例えば約3回)で処理空間全体が置換されるような量で、処理空間312に提供されうる。処理空間を反復的にターンオーバーさせることで、後続の超臨界乾燥工程における超臨界CO
2の生成及び/又は処理空間312への供給に先立って、溶媒とCO
2との混合が促進されうると、考えられている。ターンオーバーを促進し、かつ、処理空間312から流体及びガスを除去するために、処理空間312は、第6導管342を介して流体出口340に連結されうる。
【0031】
チャンバ300は、ドア304に連結されうる基板支持体306も含み、バッフルプレート310が、処理空間312の中に可動式に配置されうる。一実施形態では、基板支持体306とドア304は単一の装置でありうる。別の実施形態では、基板支持体306は、ドア304に取り外し可能に連結されてよく、かつ、ドア304と関係なく動きうる。ドア304及び基板支持体306は、ステンレス鋼、アルミニウム、セラミック材料、ポリマー材料、又はそれらの組み合わせを含む、様々な材料から形成されうる。基板支持体306内には、加熱要素354も配置されていることがある。加熱要素354は、一実施形態では、抵抗性ヒータでありうる。別の実施形態では、加熱要素354は、基板支持体306内に形成された、流体で満たされたチャネルでありうる。加熱要素354は、処理空間312内における超臨界流体の生成又は維持を促進するために、処理空間312を加熱するよう構成されうる。
【0032】
稼働中、基板支持体306は、本体302に形成された開口を介して処理空間312に進入してよく、ドア304は、基板支持体306が処理空間312の中に位置付けられると本体302に当接するよう、構成されうる。一実施形態では、基板支持体306は横方向に動くよう構成される。その結果として、距離348が最小化されうる。なぜなら、処理空間312の中での基板支持体306の垂直移動が不要になるからである。Oリングなどの密封部352が本体302に連結されてよく、この密封部352は、ポリマー材料などの弾性材料から形成されうる。通常、ドア304は、処理中に、処理空間312内での超臨界流体の生成又は維持に適する高圧環境に耐えるのに十分な力で、ボルトなどの連結装置(図示せず)を介して、本体302に固定されうる。
【0033】
バッフルプレート310は、ステンレス鋼、アルミニウム、セラミック材料、石英材料、シリコン含有材料、又は、好適に構成されたその他の材料を含む、様々な材料から形成されうる。バッフルプレート310は、バッフルプレート310を、基板支持体に近づけるように、かつ基板支持体から離すように動かすよう構成された、アクチュエータ330に連結されうる。アクチュエータ330は、処理空間312の中でのバッフルプレート310の移動を促進するために、電気供給源などの電源328に連結されうる。
【0034】
基板308は、処理中、基板支持体306に位置付けられうる。一実施形態では、基板308のデバイス側314は、このデバイス側314がバッフルプレート310の方を向かないように、基板支持体306に隣接して位置付けられうる。稼働中、バッフルプレート310は、基板308が処理空間312の中に位置付けられる時には、上昇位置にありうる。バッフルプレート310は、処理中には、基板308の直近の処理位置へと、アクチュエータ330を介して降ろされうる。処理後に、バッフルプレート310は上昇してよく、基板支持体306が、本体302の開口350を通って処理空間312から基板308を取り出しうる。バッフルプレート310を基板308及び基板支持体306の直近に位置付けることによって、溶媒、及び/又は、液体/超臨界CO
2の処理空間312への導入中の、基板308のデバイス側314への粒子堆積が低減しうるか、又はなくなりうると、考えられている。
【0035】
図4は、本書に記載の一実施形態による、溶媒置換及び超臨界乾燥プロセスを実施するための方法400の工程を示している。通常、方法400の実施に先立って、様々な予洗浄プロセスが実施される。かかる予洗浄プロセスは、上述の装置200及び200Aにおいて実施されうる。工程410において、チャンバ300などの処理チャンバに溶媒が提供されうる。この溶媒は、上述の溶媒のうちの任意のものでありうる。例示的な一実施形態では、溶媒はアセトンであってよく、アセトンは、相対的に低い粘度と、液体CO
2との望ましい混和性とを示すものである。特定の実施形態では、アセトンは、処理チャンバへの供給に先だって、蒸留され、精製され、かつ濾過されうる。
【0036】
一実施形態では、溶媒は、処理チャンバへの基板の導入に先立って、処理チャンバに提供されうる。別の実施形態では、基板が処理チャンバ内に位置付けられてよく、それに続いて、溶媒が処理チャンバに提供されうる。両方の実施形態において、溶媒は、溶媒源320、332、336のうちの一又は複数を介して、チャンバ300の処理チャンバ312に提供されうる。例示的な一実施形態では、溶媒は、溶媒源320から、「トップダウン(top−down)」方式で提供されうる。通常、基板が溶媒に完全に浸漬されるのに十分な量の溶媒が、処理空間302を満たしうる。
【0037】
工程420において、液体CO
2がチャンバ300に供給され、溶媒と混合されうる。一実施形態では、液体CO
2は、第1流体源324を介して、処理空間312に導入されうる。液体CO
2は、約300ml/分から約2.5L/分(例えば1L/分)の速度で供給されうる。一実施形態では、液体CO
2は、約90barから約110bar(例えば約100bar)の圧力に維持されている処理空間312に、提供されうる。処理空間312の温度は、液体CO
2の供給中、約5oCから約30oC(例えば約20oC)の温度に維持されうる。液体CO
2は概して、液体CO
2と溶媒との混合を促進する様態で提供される。
【0038】
工程430において、溶媒は液体CO
2に置換されうる。この実施形態では、溶媒と液体CO
2とが十分に混合された後に、溶媒/液体CO
2は、流体出口340を介して処理空間312から流出しうる。この置換プロセスは、処理空間312に追加の液体CO
2を提供することによって継続しうる。一実施形態では、溶媒置換を実施するのに適する液体CO
2の追加量は、約1チャンバ容積から約5チャンバ容積(例えば約3チャンバ容積)である。換言すると、処理空間312は、複数回にわたって、液体CO
2に完全に置換されうる。溶媒置換プロセスは、工程430の後には処理空間312内に主として液体CO
2が存在するように、基板及び基板に形成された高アスペクト比フィーチャから溶媒を除去するために実践されうる。
【0039】
工程440において、処理チャンバ300内で超臨界乾燥プロセスが実施されうる。処理空間312を加熱することによって、液体CO
2が超臨界流体に移相しうる。通常、処理空間312の圧力は、工程410〜440において、実質的に一定の圧力(例えば約100bar)に維持されうる。処理空間312は、液体CO
2の超臨界CO
2への移相を促進するのに適する温度に加熱されうる。一実施形態では、処理空間312の温度は、約31oCを上回りうる(例えば約40oCから約50oC)。一実施形態では、約10秒から約60秒(例えば約30秒)の時間で、液体から超臨界流体への移相が実施されうる。その結果として、超臨界CO
2が処理空間312内に生成されうる。
【0040】
工程440は超臨界乾燥プロセスも含む。超臨界乾燥プロセスは、超臨界CO
2が、液体になることなく気体状態に変化することを、確実にする。超臨界乾燥プロセス中に高アスペクト比フィーチャから出た流体は、超臨界CO
2の特性により、微小な表面張力を示しうる。これにより、ラインスティクションが低減するか、又はなくなる。一実施形態では、約50°Cで約95barという条件の超臨界CO
2に、圧力が約21barに低減するまで、約50°Cのままで等温減圧が行われる。一実施形態では、約1分から約5分(例えば約3分)の時間にわたって、超臨界乾燥プロセスが実施されうる。処理空間312内に残っているガス(すなわちガス状CO
2)は、流体出口340を介してチャンバ300から放出されうる。
【0041】
図5は、本書に記載の一実施形態による、溶媒置換及び超臨界乾燥プロセスを実施するための方法500の工程を示している。
図4と同様に、方法500の実施に先立って、様々な予洗浄プロセスが実施されうる。工程510において、溶媒が処理チャンバに供給されうる。工程510は工程410に類似しており、その詳細は、
図4を参照して上記に記述されている。
【0042】
工程520において、超臨界CO
2が、処理チャンバに供給され、溶媒と混合されうる。一実施形態では、超臨界CO
2は、第1流体源324を介して、処理空間312に導入されうる。この実施形態では、第1流体源324は、処理空間312の外部で液体CO
2を超臨界CO
2に移相させるための、様々な温度及び圧力の装置を含みうる。一実施形態では、超臨界CO
2は、処理空間の中で超臨界相が維持されうるように、約90bar及び約110bar(例えば約100bar)の圧力に維持されている処理空間312に提供されうる。処理空間312の温度は、工程520において、約31oCを上回る温度(例えば約40oCから約50oC)に維持されうる。超臨界CO
2は概して、超臨界CO
2と溶媒との混合を促進する様態で提供される。
【0043】
工程530において、溶媒は超臨界CO
2に置換されうる。この実施形態では、溶媒と超臨界CO
2とが十分に混合された後に、溶媒/超臨界CO
2は、流体出口340を介して処理空間312から流出しうる。この置換プロセスは、処理空間312に追加の超臨界CO
2を提供することによって継続しうる。一実施形態では、溶媒置換を実施するのに適する超臨界CO
2の追加量は、約1チャンバ容積から約5チャンバ容積(例えば約3チャンバ容積)である。換言すると、処理空間312は、複数回にわたって、超臨界CO
2に完全に置換されうる。溶媒置換プロセスは、工程530の後には処理空間312内に主として超臨界CO
2が存在するように、基板及び基板に形成された高アスペクト比フィーチャから溶媒を除去するよう設定されうる。
【0044】
工程540において、超臨界乾燥プロセスが実施されうる。工程540の超臨界乾燥プロセスは、工程440と同様、超臨界CO
2が液体になることなく気体状態に変化することを、確実にする。超臨界乾燥プロセス中に高アスペクト比フィーチャから出た流体は、超臨界CO
2の特性により、微小な表面張力を示しうる。これにより、ラインスティクションが低減するか、又はなくなる。一実施形態では、約50°Cで約95barという条件の超臨界CO
2に、圧力が約21barに低減するまで、約50°Cのままで等温減圧が行われる。一実施形態では、約1分から約5分(例えば約3分)の時間にわたって、超臨界乾燥プロセスが実施されうる。処理空間312内に残っているガス(すなわちガス状CO
2)は、流体出口340を介してチャンバ300から放出されうる。
【0045】
方法400、500に加えて、方法400、500の様々な組み合わせが、溶媒置換及び超臨界乾燥プロセスを実施するために一緒に利用されうることが、想定される。例えば、液体CO
2と超臨界CO
2とが、工程420、520において、連続して又は同時に提供されうる。同様に、液体CO
2と超臨界CO
2とが、工程430、530において、連続して又は同時に提供されうる。
【0046】
両方の方法400、500において、超臨界CO
2は、ガスと液体の中間の特性を示し、そのガス様伝達挙動により、高アスペクト比フィーチャの入り組んだナノサイズの幾何形状内によく入り込む能力を有する。このことは、超臨界CO
2の物質移動能力(一般に流動液体に関連する)が優れているため、粒子及び残留物の除去に効果的でありうる。超臨界相が生じた結果として、液体−ガスと液体−固体との表面張力の相違により、毛細管圧力が消滅する。毛細管圧力が消滅することで、清浄表面の曲がり及び相互作用が防止され、これにより、高アスペクト比フィーチャにおいてスティクションが発生する可能性が低減しうる。
【0047】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。