(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求範囲の範疇によって定義されるだけである。
【0023】
本明細書で“置換”とは別途の定義がない限り、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基、置換または非置換の炭素数1〜30のアミン基、ニトロ基、置換または非置換の炭素数1〜40のシリル基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルシリル基、炭素数6〜30のアリールシリル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数3〜30のヘテロシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜30のヘテロアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、フルオロ基、炭素数1〜10のトリフルオロアルキル基、シアノ基、またはこれらの組み合わせで置換されたことを意味する。
【0024】
本発明の一例で、“置換”は置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルシリル基、炭素数6〜30のアリールシリル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数3〜30のヘテロシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜30のヘテロアリール基で置換されたことを意味する。また、本発明の具体的な一例で、“置換”は置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、または炭素数2〜30のヘテロアリール基で置換されたことを意味する。本発明の具体的な一例で、前記“置換”とは、少なくとも一つの水素が重水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換のピリジニル基、置換または非置換のキノリニル基、置換または非置換のイソキノリニル基、置換または非置換のジベンゾフラニル基、または置換または非置換のジベンゾチオフェニル基で置換されたことを意味する。
【0025】
本明細書で“ヘテロ”とは別途の定義がない限り、一つの官能基内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を1〜3個含有し、残りは炭素であることを意味する。
【0026】
本明細書で“アルキル(alkyl)基”とは別途の定義がない限り、脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、いかなる二重結合や三重結合を含んでいない“飽和アルキル(saturated alkyl)基”であり得る。
【0027】
前記アルキル基は、炭素数1〜30のアルキル基であり得る。より具体的に、アルキル基は炭素数1〜20のアルキル基または炭素数1〜10のアルキル基であり得る。例えば、炭素数1〜4のアルキル基はアルキル鎖に1〜4個の炭素原子が含まれるものを意味し、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルからなる群より選択されることを示す。
【0028】
前記アルキル基は、具体的な例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを意味する。
【0029】
本明細書で“アリール(aryl)基”は、炭化水素芳香族モイエティを一つ以上有する基(グループ)を総括する概念であって、
炭化水素芳香族モイエティの全ての元素がp−オービタルを有し、これらp−オービタルが共役(conjugation)を形成している形態、例えば、フェニル基、ナフチル基などを含み、
2以上の炭化水素芳香族モイエティがシグマ結合を通じて連結された形態、例えば、ビフェニル基、テルフェニル基、クアテルフェニル基などを含み、
2以上の炭化水素芳香族モイエティが直接または間接的に融合された非芳香族融合(縮合)環も含むことができる。例えば、フルオレニル基などが挙げられる。
【0030】
アリール基は、モノシクリック、ポリシクリックまたは融合(縮合)環ポリシクリック(即ち、炭素原子の隣接した対を分け合う環)官能基を含む。
【0031】
本明細書で“ヘテロ環基(heterocyclic group)”はヘテロアリール基を含む上位概念であって、アリール基、シクロアルキル基、これらの融合(縮合)環またはこれらの組み合わせのような環化合物内に炭素(C)の代わりにN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも一つを含有するものを意味する。前記ヘテロ環基が融合(縮合)環である場合、前記ヘテロ環基全体またはそれぞれの環ごとにヘテロ原子を1つ以上含むことができる。
【0032】
一例として、“ヘテロアリール(heteroaryl)基”はアリール基内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも一つを含有するものを意味する。2以上のヘテロアリール基はシグマ結合を通じて直接連結されるか、前記ヘテロアリール基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに融合され得る。前記ヘテロアリール基が融合(縮合)環である場合、それぞれの環ごとに前記ヘテロ原子を1〜3個含むことができる。
【0033】
前記ヘテロ環基は、具体的な例として、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基などを含むことができる。
【0034】
より具体的に、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基および/または置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロ環基は、置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のナフチル基、置換または非置換のアントラセニル基、置換または非置換のフェナントレニル基、置換または非置換のナフタセニル基、置換または非置換のピレニル基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のp−テルフェニル基、置換または非置換のm−テルフェニル基、置換または非置換のo−テルフェニル基、置換または非置換のクリセニル基、置換または非置換のトリフェニレニル基、置換または非置換のぺリレニル基、置換または非置換のフルオレニル基、置換または非置換のインデニル基、置換または非置換のフラニル基、置換または非置換のチオフェニル基、置換または非置換のピロリル基、置換または非置換のピラゾリル基、置換または非置換のイミダゾリル基、置換または非置換のトリアゾリル基、置換または非置換のオキサゾリル基、置換または非置換のチアゾリル基、置換または非置換のオキサジアゾリル基、置換または非置換のチアジアゾリル基、置換または非置換のピリジル基、置換または非置換のピリミジニル基、置換または非置換のピラジニル基、置換または非置換のトリアジニル基、置換または非置換のベンゾフラニル基、置換または非置換のベンゾチオフェニル基、置換または非置換のベンズイミダゾリル基、置換または非置換のインドリル基、置換または非置換のキノリニル基、置換または非置換のイソキノリニル基、置換または非置換のキナゾリニル基、置換または非置換のキノキサリニル基、置換または非置換のナフチリジニル基、置換または非置換のベンズオキサジニル基、置換または非置換のベンズチアジニル基、置換または非置換のアクリジニル基、置換または非置換のフェナジニル基、置換または非置換のフェノチアジニル基、置換または非置換のフェノキサジニル基、置換または非置換のジベンゾフラニル基、または置換または非置換のジベンゾチオフェニル基、またはこれらの組み合わせであり得るが、これに制限されない。
【0035】
本明細書で、正孔特性とは、電場(electric field)を加えた時に電子を供与して正孔を形成することができる特性をいうものであって、HOMO準位に沿って伝導特性を有し陽極で形成された正孔の発光層への注入、発光層で形成された正孔の陽極への移動および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0036】
また、電子特性とは、電場を加えた時に電子を受けることができる特性をいうものであって、LUMO準位に沿って伝導特性を有し陰極で形成された電子の発光層への注入、発光層で形成された電子の陰極への移動および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0037】
以下、一実施形態による有機光電子素子用化合物を説明する。
【0038】
一実施形態による有機光電子素子用化合物は、下記化学式1で表される。
【0040】
上記化学式1中、
X
1〜X
3はそれぞれ独立してNまたはCR
aであり、
X
1〜X
3のうちの少なくとも二つはNであり、
Y
1およびY
2はそれぞれ独立してOまたはSであり、
n1およびn2はそれぞれ独立して0または1の整数であり、
R
aおよびR
1〜R
8はそれぞれ独立して水素、重水素、シアノ基、ニトロ基、置換または非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
前記“置換”とは、少なくとも一つの水素が重水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、または炭素数2〜30のヘテロアリール基で置換されたことを意味する。
【0041】
本発明による有機光電子素子用化合物は、N含有6員環を含むETコアが少なくとも2つのジベンゾフランまたはジベンゾチオフェンの3番位置で連結基なく直接連結された置換基を含むことによってLUMOエネルギーバンドが効果的に拡張されて分子構造の平面性が増加して、電場印加時に電子を受けやすい構造になり得、これにより前記有機光電子素子用化合物を適用した有機光電子素子の駆動電圧を低めることができる。また、このようなLUMOの拡張と環の融合は、電子特性を有するコアの電子に対する安定性を増加させ素子寿命向上にも効果的である。
【0042】
また、少なくとも一つのメタ(meta)結合されたアリーレンを含むことによって立体障害特性によって隣接の分子との相互作用を抑制して結晶化を減らすことができ、これにより前記有機光電子素子用化合物を適用した有機光電子素子の効率および寿命特性を改善することができる。
【0043】
それだけでなく、メタ(meta)結合されたアリーレンのような折れ曲がり部分が含まれる場合、化合物のガラス転移温度(Tg)が高まり、素子に適用時、工程中化合物の安定性を高め劣化を防止することができる。
【0044】
本発明の一実施形態で、前記X
1〜X
3からなるETコアはピリミジンまたはトリアジンであり得、例えば、下記化学式1−I、化学式1−IIまたは化学式1−IIIで表され得る。最も具体的に、下記化学式1−Iまたは化学式1−IIで表され得る。
【0046】
上記化学式1−I、化学式1−IIおよび化学式1−III中、Y
1およびY
2、n1およびn2、およびR
1〜R
8は前述のとおりである。
【0047】
本発明の一実施形態で、前記R
1〜R
8は、それぞれ独立して水素、または置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基であり得、
具体的に、水素、置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のナフチル基、置換または非置換のp−テルフェニル基、置換または非置換のm−テルフェニル基、置換または非置換のo−テルフェニル基、置換または非置換のアントラセニル基、置換または非置換のフェナントレニル基、置換または非置換のトリフェニレニル基、または置換または非置換のフルオレニル基であり得、さらに具体的に、水素、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、またはナフチル基であり得る。
【0048】
例えば、R
1〜R
3は、それぞれ独立して水素、重水素、フェニル基、ビフェニル基またはナフチル基であり得る。
【0049】
また、本発明の一例で、R
4〜R
8のうちのいずれか一つは重水素、フェニル基、ビフェニル基またはテルフェニル基であり、残りは水素であり得る。
【0050】
また、本発明の一例で、R
5およびR
7のうちのいずれか一つまたはR
5およびR
7の両方とも重水素、水素、フェニル基、ビフェニル基またはテルフェニル基であり、R
4、R
6およびR
8は全て水素であり得る。
【0051】
例えば、R
1は水素、またはフェニル基であり得、R
2およびR
3は全て水素であり、R
4〜R
8は全て水素であるか、R
4〜R
8のうちのいずれか一つがフェニル基、ビフェニル基、またはテルフェニル基であり、残りは水素であり得る。
【0052】
本発明の一例で、R
1はフェニル基であり得る。
【0053】
前記化学式1は、例えば下記化学式1A、化学式1Bまたは化学式1Cで表され得る。
【0055】
上記化学式1A、化学式1Bおよび化学式1C中、n1およびn2、R
1〜R
8は前述のとおりであり、
X
1〜X
3はそれぞれ独立してNまたはCHであり、X
1〜X
3のうちの少なくとも二つはNであり得る。
【0056】
前記化学式1A〜1CのようにN含有6員環にジベンゾフラニル基および/またはジベンゾチオフェニル基の3番位置で連結基なく直接連結された置換基を含む場合、LUMO phoreを一平面に位置させて拡張効果を極大化することができるようになるので、駆動減少と寿命増加の面で最適の効果を得ることができる。N含有6員環とジベンゾフランおよび/またはジベンゾチオフェンが3番以外に他の位置に連結されるか、またはN含有6員環とジベンゾフランおよび/またはジベンゾチオフェンの間にアリーレンリンカーなどが含まれる場合には、このようなLUMO拡張を通じた駆動減少および環の融合を通じた安定性増加の効果が減るようになる。
【0057】
本発明の一実施形態で前記化学式1A、または前記化学式1Bで表され得、例えば化学式1Aで表され得る。
【0058】
本発明の一実施形態で、前記n1およびn2は全て0であるか、n1=1、n2=0;またはn1=0、n2=1であり得、前記化学式1はメタ(meta)結合されたアリーレンを含む構造であって、例えば下記化学式1−1または化学式1−2で表され得、最も具体的に下記化学式1−1で表され得る。
【0060】
上記化学式1−1〜1−2中、X
1〜X
3、Y
1およびY
2、n2、およびR
1〜R
8は前述のとおりである。
【0061】
特に、前記化学式1−1および1−2のR
2は置換または非置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、または置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロ環基であり得、さらに具体的にR
2がメタ位置に置換されて下記化学式1−1aまたは化学式1−2aのように表され得る。この時、本発明の化合物はR
2が置換されたフェニレンとして折れ曲がりテルフェニル(kinked terphenyl)基を含むことができる。
【0063】
本発明の一実施形態で、前記R
2は置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基または置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基であり得、例えば、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基であり得、最も具体的に置換または非置換のフェニル基であり得る。本発明の一実施形態で、n2=0〜2であり得、具体的に、n2=0またはn2=1であり得る。
【0064】
前記折れ曲がりテルフェニル(kinked terphenyl)基を含む場合、非常に効果的にガラス転移温度(Tg)を高めることができ、低分子量の高いガラス転移温度(Tg)化合物の設計およびこれを通じた熱的特性の改善および安定性確保などの効果を得ることができる。
【0065】
ガラス転移温度(Tg)は化合物およびこれを適用した素子の熱安定性と関連があり得る。即ち、高いガラス転移温度(Tg)を有する有機光電子素子用化合物は、有機発光素子に薄膜形態で適用された時、前記有機光電子素子用化合物を蒸着した後に行われる後続工程、例えば封止(encapsulation)工程で温度によって劣化することが防止され有機化合物および素子の寿命特性を確保することができる。
【0066】
一方、前記化学式1−1および1−2中、
【0068】
で表される連結基はメタ(meta)結合またはパラ(para)結合であり得る。
【0069】
本発明の一実施形態で、化学式1はn1=0でありn2=0または1であり得、化学式1でn1=0でありn2=1である場合より優れた効果を示すことができる。即ち、フェニレン基が全てメタで連結されているのがより好ましい。
【0070】
また、本発明の一実施形態で、化学式1−1aが好ましいものであり得、この場合、R
2は炭素数6〜12のアリール基であり得、より具体的にフェニル基であり得る。前記化学式1で表される有機光電子素子用化合物は例えば下記グループ1に羅列された化合物から選択され得るが、これに限定されるのではない。
【0072】
前述の第1有機光電子素子用化合物は有機光電子素子に適用でき、単独でまたは他の有機光電子素子用化合物と共に有機光電子素子に適用できる。前述の有機光電子素子用化合物が他の有機光電子素子用化合物と共に使用される場合、組成物の形態で適用できる。
【0073】
以下、前述の第1有機光電子素子用化合物を含む有機光電子素子用組成物の一例を説明する。
【0074】
本発明の他の一実施形態による有機光電子素子用組成物は、前述の第1有機光電子素子用化合物;および下記化学式2で表される第2有機光電子素子用化合物を含む。
【0076】
上記化学式2中、
L
1およびL
2はそれぞれ独立して単一結合、置換または非置換の炭素数6〜30のアリーレン基、置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
Ar
1およびAr
2はそれぞれ独立して置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
R
9〜R
14はそれぞれ独立して水素、重水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
mは0〜2の整数のうちの一つであり;
前記“置換”とは、少なくとも一つの水素が重水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数2〜30のヘテロアリール基で置換されたことを意味する。
【0077】
本発明の一実施形態で、前記化学式2のL
1およびL
2はそれぞれ独立して単一結合、または置換または非置換の炭素数6〜18のアリーレン基であり得る。
【0078】
本発明の一実施形態で、前記化学式2のAr
1およびAr
2はそれぞれ独立して、置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のテルフェニル基、置換または非置換のナフチル基、置換または非置換のアントラセニル基、置換または非置換のトリフェニレニル基、置換または非置換のピリジニル基、置換または非置換のピリミジニル基、置換または非置換のキナゾリル基、置換または非置換のイソキナゾリル基、置換または非置換のジベンゾチオフェニル基、置換または非置換のジベンゾフラニル基、置換または非置換のトリアジニル基、置換または非置換のキノリニル基、置換または非置換のイソキノリニル基、置換または非置換のカルバゾリル基、置換または非置換のフルオレニル基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0079】
本発明の一実施形態で、前記化学式2のAr
1およびAr
2はそれぞれ独立して、置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のテルフェニル基、置換または非置換のナフチル基、置換または非置換のアントラセニル基、置換または非置換のトリフェニレニル基、置換または非置換のピリジニル基、置換または非置換のキナゾリル基、置換または非置換のイソキナゾリル基、置換または非置換のジベンゾチオフェニル基、置換または非置換のジベンゾフラニル基、置換または非置換のキノリニル基、置換または非置換のイソキノリニル基、置換または非置換のカルバゾリル基、置換または非置換のフルオレニル基、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0080】
本発明の一実施形態で、前記化学式2のR
9〜R
14はそれぞれ独立して水素、重水素、または置換または非置換の炭素数6〜12のアリール基であり得る。
【0081】
本発明の一実施形態で、前記化学式2のmは0または1であり得、m=0である場合より優れた効果がある。
【0082】
また、本発明の一実施形態で、Ar
1およびAr
2はそれぞれ独立して置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基であり得る。
【0083】
本発明の具体的な一実施形態で、前記化学式2は下記グループIIに羅列された構造のうちの一つであり、前記*−L
1−Ar
1および*−L
2−Ar
2は下記グループIIIに羅列された置換基のうちの一つであり得る。
【0086】
上記グループIIおよびIII中、*は連結地点である。
【0087】
前記化学式2で表される第2有機光電子素子用化合物は、例えば下記グループ2に羅列された化合物から選択され得る。
【0092】
前述の第1ホスト化合物と第2ホスト化合物は多様な組み合わせによって多様な組成物を準備することができる。
【0093】
本発明の一実施形態による組成物は前記化学式1−I、または化学式1−IIで表される化合物を第1ホストとして含み、前記グループIIの化学式C−8または化学式C−17で表される化合物を第2ホストとして含むことができる。
【0094】
また、前記化学式1−A、または化学式1−Bで表される第1ホストと前記グループIIの化学式C−8または化学式C−17で表される第2ホストを含むことができる。
【0095】
また、前記化学式1−1で表される第1ホストと前記グループIIの化学式C−8または化学式C−17で表される第2ホストを含むことができる。
【0096】
例えば、前記化学式2の*−L
1−Ar
1、および*−L
2−Ar
2は、前記グループIIIのB−1、B−2、B−3、およびB−16から選択され得る。
【0097】
前記第2有機光電子素子用化合物は、前記第1有機光電子素子用化合物と共に発光層に使用されて電荷の移動性を高め安定性を高めることによって発光効率および寿命特性を改善させることができる。また、前記第2有機光電子素子用化合物と前記第1有機光電子素子用化合物の比率を調節することによって電荷の移動性を調節することができる。
【0098】
例えば、約1:9〜9:1の重量比で含まれ得、具体的に2:8〜8:2、3:7〜7:3、4:6〜6:4、そして5:5の重量比で含まれ得、例えば第1有機光電子素子用化合物および第2有機光電子素子用化合物が3:7の範囲で含まれ得る。また、ドーパントの種類によって変わり得るが、本発明の一実施形態ではより優れた効果を示すために第1ホストより第2ホストをより過量で使用したのであり得る。前記範囲で含まれることによって効率と寿命を同時に改善することができる。
【0099】
前記組成物は、前述の第1有機光電子素子用化合物と第2有機光電子素子用化合物以外に1種以上の有機化合物をさらに含むことができる。
【0100】
前記有機光電子素子用化合物は、ドーパントをさらに含むことができる。前記ドーパントは赤色、緑色または青色のドーパントであり得る。
【0101】
前記ドーパントは微量混合されて発光を起こす物質であって、一般に三重項状態以上に励起させる多重項励起(multiple excitation)によって発光する金属錯体(metal complex)のような物質が使用され得る。前記ドーパントは例えば無機、有機、有機−無機化合物であり得、1種または2種以上含まれ得る。
【0102】
前記ドーパントの一例として燐光ドーパントが挙げられ、燐光ドーパントの例としてはIr、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pdまたはこれらの組み合わせを含む有機金属化合物が挙げられる。前記燐光ドーパントは例えば下記化学式Zで表される化合物を使用することができるが、これに限定されるのではない。
【0104】
上記化学式Z中、Mは金属であり、LおよびXは互いに同一であるか異なり、Mと錯化合物を形成するリガンドである。
【0105】
前記Mは例えばIr、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pdまたはこれらの組み合わせであり得、前記LおよびXは例えばバイデンテートリガンドであり得る。
【0106】
以下、前述の有機光電子素子用化合物、または有機光電子素子用組成物を適用した有機光電子素子を説明する。
【0107】
また他の実施形態による有機光電子素子は、互いに対向する陽極と陰極、そして前記陽極と前記陰極の間に位置する少なくとも一層の有機層を含み、前記有機層は前述の有機光電子素子用化合物、または有機光電子素子用組成物を含むことができる。
【0108】
一例として前記有機層は発光層を含み、前記発光層は本発明の有機光電子素子用化合物、または有機光電子素子用組成物を含むことができる。
【0109】
具体的に、前記有機光電子素子用化合物、または有機光電子素子用組成物は前記発光層のホスト、例えばグリーンホストとして含まれ得る。
【0110】
また、前記有機層は発光層、および正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、電子輸送層、電子注入層および正孔遮断層から選択された少なくとも一つの補助層を含み、前記補助層は前記有機光電子素子用化合物、または有機光電子素子用組成物を含むことができる。
【0111】
前記補助層は発光層に隣接した電子輸送補助層をさらに含み、前記電子輸送補助層は前記有機光電子素子用化合物、または有機光電子素子用組成物を含むことができる。
【0112】
本発明の一実施形態で、前記電子輸送補助層に含まれる有機光電子素子用化合物は前記化学式1−Iで表されるか、前記化学式1Aで表されるか、前記化学式1−1で表され得る。
【0113】
前記有機光電子素子は電気エネルギーと光エネルギーを相互転換できる素子であれば特に限定されず、例えば有機光電素子、有機発光素子、有機太陽電池および有機感光体ドラムなどが挙げられる。
【0114】
ここでは有機光電子素子の一例の有機発光素子を図面を参照して説明する。
【0115】
図1および
図2は、一実施形態による有機発光素子を示す断面図である。
【0116】
図1を参照すれば、一実施形態による有機光電子素子100は互いに対向する陽極120と陰極110、そして陽極120と陰極110の間に位置する有機層105を含む。
【0117】
陽極120は例えば正孔注入が円滑なように仕事関数の高い導電体から形成でき、例えば金属、金属酸化物および/または導電性高分子から形成できる。陽極120は例えばニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnOとAlまたはSnO
2とSbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン)(polyehtylenedioxythiophene:PEDT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0118】
陰極110は例えば電子注入が円滑なように仕事関数の低い導電体から形成でき、例えば金属、金属酸化物および/または導電性高分子から形成できる。陰極110は例えばマグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、鉛、セシウム、バリウムなどのような金属またはこれらの合金;LiF/Al、LiO
2/Al、LiF/Ca、LiF/AlおよびBaF
2/Caのような多層構造物質が挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0119】
有機層105は、前述の有機光電子素子用化合物を含む発光層130を含む。
【0120】
図2は、他の実施形態による有機発光素子を示す断面図である。
【0121】
図2を参照すれば、有機発光素子200は、発光層130以外に正孔補助層140をさらに含む。正孔補助層140は、陽極120と発光層130の間の正孔注入および/または正孔移動性をさらに高め電子を遮断することができる。正孔補助層140は例えば正孔輸送層、正孔注入層および/または電子遮断層であり得、少なくとも1層を含むことができる。
【0122】
図1または
図2の有機層105は、図示してはいないが、電子注入層、電子輸送層、電子輸送補助層、正孔輸送層、正孔輸送補助層、正孔注入層またはこれらの組み合わせ層を追加的にさらに含むことができる。本発明の有機光電子素子用化合物はこれら有機層に含まれ得る。有機発光素子100、200は基板上に陽極または陰極を形成した後、真空蒸着法(evaporation)、スパッタリング(sputtering)、プラズマメッキおよびイオンメッキのような乾式成膜法;またはスピンコーティング(spin coating)、浸漬法(dipping)、流動コーティング法(flow coating)のような湿式成膜法などで有機層を形成した後、その上に陰極または陽極を形成して製造することができる。
【0123】
前述の有機発光素子は、有機発光表示装置に適用され得る。
【実施例】
【0124】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。但し、下記に記載された実施例は本発明を具体的に例示するか説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されてはならない。
【0125】
以下、実施例および合成例で使用された出発物質および反応物質は、特別な言及がない限り、Sigma−Aldrich社またはTCI社で購入するか、公知された方法を通じて合成した。
【0126】
(有機光電子素子用化合物の製造)
本発明の化合物のより具体的な例として提示された化合物を下記段階を通じて合成した。
【0127】
(第1有機光電子素子用化合物)
合成例1:化合物A−1の合成
【0128】
【化18】
【0129】
a)中間体A−1−1の合成
500mL丸底フラスコにシアヌリッククロリド15g(81.34mmol)を無水テトラヒドロフラン200mLに溶かし、窒素雰囲気下で3−ビフェニルマグネシウムブロミド溶液(0.5Mテトラヒドロフラン)1当量を0℃で滴下し徐々に常温に上げた。常温で1時間攪拌した後、反応液を氷水500mLに入れて層分離させた。有機層を分離し無水硫酸マグネシウムを処理して濃縮した。濃縮された残渣をテトラヒドロフランとメタノールで再結晶して中間体A−1−1を17.2g得た。
【0130】
b)化合物A−1の合成
500mLの丸底フラスコに前記合成された中間体A−1−1 17.2g(56.9mmol)をテトラヒドロフラン200mL、蒸留水100mLを入れ、ジベンゾフラン−3−ボロン酸(cas:395087−89−5)2当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量を入れて窒素雰囲気下で加熱還流した。18時間後、反応液を冷却させ、析出された固体をろ過し、水500mLで洗浄した。固体をモノクロロベンゼン500mLで再結晶して化合物A−1を12.87g得た。
【0131】
LC/MS calculated for:C
39H
23N
3O
2 Exact Mass:565.1790 found for:566.18[M+H]。
【0132】
合成例2:化合物A−2の合成
【0133】
【化19】
【0134】
a)中間体A−2−1の合成
窒素環境でマグネシウム(7.86g、323mmol)とヨード(1.64g、6.46mmol)をテトラヒドロフラン(THF)0.1Lに入れて30分間攪拌した後、ここにTHF0.3Lに溶解されている3−ブロモ−m−テルフェニル(100g、323mmol)を0℃で30分にわたって徐々に滴下した。このように得られた混合液をTHF0.5Lに溶解されているシアヌリッククロリド64.5g(350mmol)溶液に0℃で30分にわたって徐々に滴下した。反応完了後、反応液に水を入れジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO
4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このように得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(flash column chromatography)で分離精製して中間体A−2−1(85.5g、70%)を得た。
【0135】
b)化合物A−2の合成
中間体A−2−1を使用して前記合成例1の(b)と同様な方法で化合物A−2を合成した。
【0136】
LC/MS calculated for:C
45H
27N
3O
2 Exact Mass:641.2103 found for 642.21[M+H]。
【0137】
合成例3:化合物A−5の合成
【0138】
【化20】
【0139】
a)中間体A−5−1の合成
窒素環境でマグネシウム(7.86g、323mmol)とヨード(1.64g、6.46mmol)をテトラヒドロフラン(THF)0.1Lに入れて30分間攪拌した後、ここにTHF0.3Lに溶解されている1−ブロモ−3,5−ジフェニルベンゼン(100g、323mmol)を0℃で30分にわたって徐々に滴下した。このように得られた混合液をTHF0.5Lに溶解されているシアヌリッククロリド64.5g(350mmol)溶液に0℃で30分にわたって徐々に滴下した。反応完了後、反応液に水を入れジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO
4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このように得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(flash column chromatography)で分離精製して中間体A−5−1(79.4g、65%)を得た。
【0140】
b)化合物A−5の合成
中間体A−5−1を使用して前記合成例1の(b)と同様な方法で化合物A−5を合成した。
【0141】
LC/MS calculated for:C
45H
27N
3O
2 Exact Mass:641.2103 found for 642.21[M+H]。
【0142】
合成例4:化合物A−6の合成
【0143】
【化21】
【0144】
a)化合物A−6の合成
中間体A−1−1とジベンゾフラン−3−ボロン酸(Cas No.:395087−89−5)の代わりにジベンゾチオフェン−3−ボロン酸(Cas No.:108847−24−1)を使用して前記合成例1の(b)と同様な方法で化合物A−6を合成した。
【0145】
LC/MS calculated for:C
39H
23N
3S
2 Exact Mass:597.1333 found for 598.13[M+H]。
【0146】
合成例5:化合物A−15の合成
【0147】
【化22】
【0148】
a)中間体A−15−1の合成
500mLの丸底フラスコに2,4,6−トリクロロピリミジン18.3g(100mmol)をテトラヒドロフラン200mL、蒸留水100mLを入れ、ジベンゾフラン−3−ボロン酸(Cas No.:395087−89−5)1.9当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量を入れて窒素雰囲気下で加熱還流した。18時間後反応液を冷却させ、析出された固体をろ過し、水500mLで洗浄した。固体をモノクロロベンゼン500mLで再結晶して中間体A−15−1を26.8g(60%収率)得た。
【0149】
b)化合物A−15の合成
中間体A−15−1と1.1当量の3,5−ジフェニルベンゼンボロン酸を使用して前記合成例1の(b)と同様な方法で化合物A−15を合成した。
【0150】
LC/MS calculated for:C
46H
28N
2O
2 Exact Mass:640.2151 found for 641.21[M+H]。
【0151】
合成例6:化合物A−21の合成
【0152】
【化23】
【0153】
a)中間体A−21−1の合成
ジベンゾフラン−3−ボロン酸(cas:395087−89−5)の代わりにジベンゾチオフェン−3−ボロン酸(Cas No.108847−24−1)を使用して前記合成例5の(a)と同様な方法で中間体A−21−1を合成した。
【0154】
b)化合物A−21の合成
中間体A−21−1と1.1当量のビフェニル−3−ボロン酸を使用して前記合成例5の(b)と同様な方法で化合物A−21を合成した。
【0155】
LC/MS calculated for:C
40H
24N
2S
2 Exact Mass:596.1381 found for 597.14[M+H]。
【0156】
(第2有機光電子素子用化合物の合成)
合成例7:化合物E−130の合成
【0157】
【化24】
【0158】
窒素雰囲気下で攪拌機が付着された500mL丸底フラスコに3−ブロモ−6−フェニル−N−メタビフェニルカルバゾール20.00g(42.16mmol)、N−フェニルカルバゾール−3−ボロニックエステル17.12g(46.38mmol)およびテトラヒドロフラン:トルエン(1:1)175mLと2M−炭酸カリウム水溶液75mLを混合した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)1.46g(1.26mmol)を入れて窒素雰囲気下で12時間加熱還流した。反応終結後、反応物をメタノールに入れて固形物をろ過した後、得られた固形物を水とメタノールで十分に洗浄して乾燥した。これから得られた結果物を700mLのクロロベンゼンに加熱して溶かした後、溶液をシリカゲルフィルターし溶媒を完全に除去した後、400mLのクロロベンゼンに加熱して溶かした後、再結晶して化合物E−130 18.52g(収率69%)を収得した。
【0159】
calcd.C
42H
32N
2:C、90.54;H、5.07;N、4.40;found:C、90.54;H、5.07;N、4.40。
【0160】
合成例8:化合物E−137の合成
【0161】
【化25】
【0162】
250mLの丸底フラスコでN−フェニル−3,3−ビカルバゾール6.3g(15.4mmol)、4−(4−ブロモフェニル)ジベンゾ[b,d]フラン5.0g(15.4mmol)、ソジウムt−ブトキシド3.0g(30.7mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム0.9g(1.5mmol)およびトリt−ブチルホスフィン1.2mL(50% in トルエン)をキシレン100mLと混合し、窒素雰囲気下で15時間加熱して還流した。これから得られた混合物をメタノール300mLに加えて結晶化された固形分をろ過した後、ジクロロベンゼンに溶かしてシリカゲル/セルライトでろ過し、有機溶媒を適当量除去した後、メタノールで再結晶して化合物E−137(7.3g、73%の収率)を得た。
【0163】
calcd.C
48H
30N
2O:C、88.59;H、4.65;N、4.30;O、2.46;found:C、88.56;H、4.62;N、4.20;O、2.43。
【0164】
比較合成例1:比較化合物1の合成
【0165】
【化26】
【0166】
a)比較化合物1の合成
2−クロロ−4,6−ジフェニルトリアジンとジベンゾチオフェン−3−ボロン酸を使用して前記合成例1の(b)と同様な方法で比較化合物1を合成した。
【0167】
LC/MS calculated for:C
27H
17N
3S Exact Mass:415.1143 found for 416.11[M+H]。
【0168】
比較合成例2:比較化合物2の合成
【0169】
【化27】
【0170】
a)比較化合物2の合成
2,4−ビス([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−6−クロロ−1,3,5−トリアジンとジベンゾチオフェン−3−ボロン酸を使用して前記合成例1の(b)と同様な方法で比較化合物2を合成した。
【0171】
LC/MS calculated for:C
39H
25N
3S Exact Mass:567.1769 found for 568.18[M+H]。
【0172】
比較合成例3:比較化合物3の合成
【0173】
【化28】
【0174】
a)比較化合物3の合成
中間体A−1−1とジベンゾフラン−2−ボロン酸を使用して前記合成例1の(b)と同様な方法で比較化合物3を合成した。
【0175】
LC/MS calculated for:C
39H
23N
3O Exact Mass:565.1790 found for 566.18[M+H]。
【0176】
比較合成例4:比較化合物4の合成
【0177】
【化29】
【0178】
a)比較化合物4の合成
2,4−ジクロロ−6−フェニル−1,3,5−トリアジンとジベンゾフラン−2−イル−3−フェニルボロン酸を使用して前記合成例1の(b)と同様な方法で比較化合物4を合成した。
【0179】
LC/MS calculated for:C
39H
23N
3O Exact Mass:565.1790 found for 566.18[M+H]。
【0180】
比較合成例5:比較化合物5の合成
【0181】
【化30】
【0182】
a)中間体5−1の合成
1−ブロモ−4−クロロベンゼンとジベンゾフラン−3−ボロン酸を使用して前記合成例1の(b)と同様な方法で中間体5−1を合成した。
【0183】
b)中間体5−2の合成
中間体5−1(328mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)1.0Lに溶かした後、ここにビス(ピナコラト)ジボロン(100g、394mmol)と(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)(2.68g、3.28mmol)、そして酢酸カリウム(potassium acetate)(96.6g、984mmol)を入れ150℃で20時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れて混合物をフィルターした後、真空オーブンで乾燥した。このように得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(flash column chromatography)で分離精製して中間体5−2(71%)を得た。
【0184】
c)比較化合物5の合成
中間体5−2と4,6−ジクロロ−2−フェニル−1,3−ピリミジンを使用して前記合成例1の(b)と同様な方法で比較化合物5を合成した。
【0185】
LC/MS calculated for:C
46H
28N
2O
2 Exact Mass:640.2151 found for 641.22[M+H]。
【0186】
(有機発光素子の製作)
実施例1
ITO(Indium tin oxide)が1500Å厚さで薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波で洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノールなどの溶剤で超音波洗浄をして乾燥させた後、プラズマ洗浄機に移送させた後、酸素プラズマを用いて前記基板を10分間洗浄した後に真空蒸着器に基板を移送した。このように準備されたITO透明電極を陽極として使用してITO基板の上部に化合物Aを真空蒸着して700Å厚さの正孔注入層を形成し、前記注入層の上部に化合物Bを50Åの厚さで蒸着した後、化合物Cを1020Åの厚さで蒸着して正孔輸送層を形成した。正孔輸送層の上部に合成例1の化合物A−1および合成例7の化合物E−130を同時にホストとして使用し、ドーパントとしてトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)[Ir(ppy)
3]を10wt%でドーピングして真空蒸着で400Å厚さの発光層を形成した。ここで、化合物A−1と化合物E−130は3:7重量比で使用され、下記実施例の場合、別途に比率を記述した。次いで、前記発光層の上部に化合物DとLiqを同時に1:1比率で真空蒸着して300Å厚さの電子輸送層を形成し、前記電子輸送層の上部にLiq15ÅとAl1200Åを順次に真空蒸着して陰極を形成することによって有機発光素子を製作した。
【0187】
前記有機発光素子は5層の有機薄膜層を有する構造になっており、具体的に次の通りである。
【0188】
ITO/化合物A(700Å)/化合物B(50Å)/化合物C(1020Å)/EML[化合物A−1:E−130:Ir(ppy)
3=27wt%:63wt%:10wt%](400Å)/化合物D:Liq(300Å)/Liq(15Å)/Al(1200Å)の構造で製作した。
【0189】
化合物A:N4,N4’−ジフェニル−N4,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン
化合物B:1,4,5,8,9,11−ヘキサアザトリフェニレン−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)、
化合物C:N−(ビフェニル−4−イル)−9,9−ジメチル−N−(4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン
化合物D:8−(4−(4,6−ジ(ナフタレン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル)キノリン。
【0190】
実施例2
化合物A−2を単独で使用して実施例1と同様な方法で実施例2の素子を製作した。
【0191】
実施例3〜実施例10
下記表2および表3で記載した通り、本発明の第1ホストおよび第2ホストを使用して実施例1と同様な方法で実施例3〜実施例10の素子を製作した。
【0192】
比較例1および比較例2
下記の比較化合物1、比較化合物2をそれぞれ単独で使用して実施例1と同様な方法で比較例1および2の素子を製作した。
【0193】
比較例3〜7
比較化合物1〜比較化合物5のうちのいずれか一つと化合物E−31を3:7比率で使用して実施例1と同様な方法で比較例3〜7の素子を下記表2および表3のように製作した。
【0194】
評価1:発光効率および寿命上昇効果確認
前記実施例1〜10、および比較例1〜7による有機発光素子の発光効率および寿命特性を評価した。具体的な測定方法は下記のとおりであり、その結果は表1のとおりである。
【0195】
(1)電圧変化による電流密度の変化測定
製造された有機発光素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら電流−電圧計(Keithley2400)を用いて単位素子に流れる電流値を測定し、測定された電流値を面積で割って結果を得た。
【0196】
(2)電圧変化による輝度変化測定
製造された有機発光素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら輝度計(Minolta Cs−1000A)を用いてその時の輝度を測定して結果を得た。
【0197】
(3)発光効率測定
前記(1)および(2)から測定された輝度と電流密度および電圧を用いて同一電流密度(10mA/cm
2)の電流効率(cd/A)を計算した。
【0198】
(4)寿命測定
製造された有機発光素子に対してポラロニクス寿命測定システムを用いて実施例1〜10および比較例1〜比較例7の素子を初期輝度(cd/m
2)を5000cd/m
2で発光させ、時間経過による輝度の減少を測定して初期輝度に対して90%に輝度が減少した時点をT90寿命として測定した。
【0199】
【表1】
【0200】
表1を参照すれば、単独ホストの場合、本願実施例と比較例1および2を比較してみれば、トリアジンに連結されるジベンゾフランの連結位置が3番であって同一であるにもかかわらず、メタ(meta)置換されたアリール基を追加的に含む構造的特異性を有する本発明が、比較例の化合物に比べて1.2倍以上効率が上昇し、最大4倍以上寿命が上昇した効果があるのが確認された。
【0201】
【表2】
【0202】
【表3】
【0203】
表2および表3を参照すれば、本発明による第1ホストと第2ホストを使用した場合、同一な第2ホストを使用した混合ホスト(mixed host)の比較例に比べて、トリアジンに連結されるジベンゾフランの連結位置が3番である構造的特異性および/またはメタ(meta)置換されたアリール基を追加的に含む構造的特異性を有する本発明が比較例の化合物に比べて寿命が最大5倍以上上昇した効果があるのが確認された。
【0204】
このような効果はトリアジンコアだけでなくピリミジンコアでも同一に現れた。したがって、該当素子データからジベンゾフランまたはジベンゾチオフェンがETコア基(グループ)と直接連結される場合、効果的なLUMO拡張と環の融合効果を通じて該当材料の素子内寿命が向上するのを確認することができる。
【0205】
評価2:駆動電圧減少効果確認
[駆動電圧測定]
電流−電圧計(Keithley2400)を用いて15mA/cm
2で各素子の駆動電圧を測定し、その結果は表4のとおりである。
【0206】
【表4】
【0207】
表4を参照すれば、本発明の混合ホスト素子の実施例4、実施例5および実施例8と比較例5および比較例6とを比較時、ジベンゾフランまたはジベンゾチオフェンの3番位置がトリアジンに直接置換される場合、メタ(meta)位置のアリールリンカーが含まれても他位置でトリアジンに直接置換される構造およびジベンゾフランまたはジベンゾチオフェンが直接置換される代わりにアリールリンカーを通じてトリアジンに置換される構造に比べて駆動電圧面で顕著に優れた効果が確認される。これによって、ジベンゾフランまたはジベンゾチオフェンの3番位置の直接置換による駆動面での長所を確認することができる。
【0208】
実施例11(電子輸送補助層)
ITO(Indium tin oxide)が1500Åの厚さで薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波で洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノールなどの溶剤で超音波洗浄をして乾燥させた後、プラズマ洗浄機に移送させた後、酸素プラズマを用いて前記基板を10分間洗浄した後、真空蒸着器に基板を移送した。このように準備されたITO透明電極を陽極として使用しITO基板の上部に化合物Aを真空蒸着して700Å厚さの正孔注入層を形成し、前記注入層の上部に化合物Bを50Åの厚さで蒸着した後、化合物Cを1020Åの厚さで蒸着して正孔輸送層を形成した。その上に青色蛍光発光ホストおよびドーパントとしてBH113およびBD370(購入先:SFC社)をドーパント濃度5wt%でドーピングして真空蒸着で200Å厚さの発光層を形成した。その後、前記発光層の上部に化合物A−5を真空蒸着して50Å厚さの電子輸送補助層を形成した。電子輸送補助層は化学式1で示される物質を単独で使用することもでき、グループEの化合物と混合して使用することもできる。前記電子輸送補助層の上部に化合物DとLiqを同時に1:1重量比率で真空蒸着して300Å厚さの電子輸送層を形成し、前記電子輸送層の上部にLiq15ÅとAl1200Åを順次に真空蒸着して陰極を形成することによって有機発光素子を製作した。前記有機発光素子は5層の有機薄膜層を有する構造になっており、具体的にITO/化合物A(700Å)/化合物B(50Å)/化合物C(1020Å)/EML[BH113:BD370=95:5(wt:wt)](200Å)/化合物A−5(50Å)/化合物D:Liq(300Å)=1:1/Liq(15Å)/Al(1200Å)の構造で製作した。
【0209】
化合物A:N4,N4’−ジフェニル−N4,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン
化合物B:1,4,5,8,9,11−ヘキサアザトリフェニレン−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)、
化合物C:N−(ビフェニル−4−イル)−9,9−ジメチル−N−(4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン
化合物D:8−(4−(4,6−ジ(ナフタレン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル)キノリン。
【0210】
実施例12
化合物A−15を使用したことを除いては実施例11と同様な方法で有機発光素子を製作した。
【0211】
比較例8
比較化合物1を使用したことを除いては実施例11と同様な方法で有機発光素子を製作した。
【0212】
評価3
実施例11、12および比較例8で製造された有機発光素子に対して電圧による電流密度変化、輝度変化および発光効率を測定した。
【0213】
具体的な測定方法は前記評価1と同一であり、寿命測定方法は下記のとおりであり、その結果は表5のとおりである。
【0214】
[寿命測定]
製造された有機発光素子に対してポラロニクス寿命測定システムを使用して実施例11、実施例12および比較例8の素子を初期輝度(cd/m
2)を750cd/m
2で発光させ、時間経過による輝度の減少を測定して初期輝度に対して97%に輝度が減少した時点をT97寿命として測定した。
【0215】
【表5】
【0216】
表5を参照すれば、実施例11および12による有機発光素子は比較例8による有機発光素子と比較して発光効率および寿命特性が同時に改善されたのを確認することができる。
【0217】
本発明は前記実施例に限定されるのではなく、互いに異なる多様な形態に製造でき、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に実施できるということが理解できるはずである。したがって、以上で記述した実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。