特許第6645100号(P6645100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645100
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】積層体およびこれよりなる包装体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20200130BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20200130BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20200130BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   B32B27/32 Z
   B32B27/00 D
   B32B9/00 A
   B65D65/40 D
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-194006(P2015-194006)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-83930(P2016-83930A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2018年8月6日
(31)【優先権主張番号】特願2014-219398(P2014-219398)
(32)【優先日】2014年10月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川戸 大輔
(72)【発明者】
【氏名】幸田 真吾
(72)【発明者】
【氏名】岩本 繁樹
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−263440(JP,A)
【文献】 特開平02−067347(JP,A)
【文献】 特開2011−016232(JP,A)
【文献】 特開2010−036413(JP,A)
【文献】 特開2011−006569(JP,A)
【文献】 特開2013−107925(JP,A)
【文献】 特開2012−091475(JP,A)
【文献】 特開2013−212657(JP,A)
【文献】 特開2015−128894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B65D65/00−65/46
C08G18/00−18/87
71/00−71/04
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
C09J 1/00−5/10
9/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(A)層、(B)層、(C)層の順に3層から構成され、(A)層が下記要件(a)から(c)を満たすポリオレフィン、(B)層が下記要件(d)から(f)を満たす接着剤、(C)層が少なくとも1層以上の基材からなることを特徴とする積層体。
(a)JIS K6922−1に基づき測定された密度が900〜970kg/m
(b)JIS K6922−1に基づき測定されたメルトマスフローレート(MFR)が2〜30g/10分
(c)膜厚が5〜25μm
(d)膜厚が0.01〜3.0μm
(e)JIS K7121に基づき測定されたガラス転移点が−30〜+10℃
(f)20℃、周波数10Hzにおける貯蔵弾性率E’が1.0×10〜2.5×10Pa
【請求項2】
少なくとも(A)層、(B)層、(C)層の順に構成されたフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記(B)層が、主剤であるポリオール成分と硬化剤であるイソシアネート成分からなる2液硬化型ポリウレタン接着剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記イソシアネート成分が脂肪族系イソシアネートから成ることを特徴とする請求項3に記載の積層体。
【請求項5】
前記ポリオール成分の水酸基数(OH)と前記イソシアネート成分のイソシアネート基数の比(NCO/OH)が0.5〜2.5であることを特徴とする請求項3又は4に記載の積層体。
【請求項6】
前記(A)層のポリオレフィンのJIS K6922−1に基づき測定されたMFRが10〜30g/10分であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】
前記(A)層のポリオレフィンのJIS K6922−1に基づき測定された密度が927〜942kg/mであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
【請求項8】
前記(A)層のポリオレフィンが、高密度ポリエチレン(1)及び/又は密度が940kg/m未満のエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(2) 10〜90重量%、および高圧法低密度ポリエチレン(3) 10〜90重量%((1),(2)及び(3)の合計は100重量%)を含む組成物からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
【請求項9】
前記(A)層のポリオレフィンが、高密度ポリエチレン(1) 10〜70重量%、密度が940kg/m未満のエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(2) 5〜80重量%、および高圧法低密度ポリエチレン(3) 10〜85重量%((1),(2)及び(3)の合計は100重量%)を含む組成物からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
【請求項10】
前記(C)層の基材が、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物及びポリビニルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のフィルムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
【請求項11】
前記(C)層の基材が、アルミニウム、アルミナ、シリカの金属または金属酸化物からなる蒸着薄膜を有する少なくとも1種以上の蒸着フィルムであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
【請求項12】
前記(C)層の基材がアルミニウム蒸着層を有する二軸延伸ポリエステルフィルムまたはポリアミドフィルムであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の積層体。
【請求項13】
前記(A)層のポリオレフィンのプレス成形品(150mm×150mm×1mm)を60℃の食用油に24時間浸漬した時の重量変化率が、1.2%以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の積層体。
【請求項14】
請求項1〜13に記載の積層体からなる包装体。
【請求項15】
前記(A)層同士をヒートシーラーで125℃〜140℃でヒートシールすることにより得られたピロー袋の開封強度が、5〜25Nであることを特徴とする請求項14に記載の包装体。
【請求項16】
油脂成分含有内容物の包装用であることを特徴とする請求項14又は15に記載の包装体。
【請求項17】
(A)層が、(C)層上に(B)層を介し押出ラミネート成形により形成されることを特徴とする請求項1〜13に記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出ラミネート適性があり、低コストにて生産可能な積層体およびこれよりなる包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品や飲料、医薬品などの包装材料は、一般に、フィルム強度に優れるポリエステルやナイロンのようなバリア性フィルムの一方の面に、アンカーコート剤を介してシーラント層となるポリオレフィン系樹脂フィルム、中でもポリプロピレン、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン単独重合体、エチレン−酢酸ビニル等を積層した多層フィルムが広く利用されている。
【0003】
このような包装材料は、主に、押出ラミネート法、溶剤型ドライラミネート法、無溶剤型ドライラミネート法などにより製造される。なかでも押出ラミネート法は優れた生産性を示すため、多様な包装材料の製造方法として利用され、押出ラミネート加工性に優れる高圧法低密度ポリエチレン(以下、LDPEと記す)が広く用いられている。
【0004】
しかし、スナック菓子やインスタントラーメンなどの油性食品包装分野において、LDPEは耐油性が低いことからこれまで利用されていなかった。そのため、現在、油性食品包装分野においては耐油性に優れるポリプロピレンフィルムからなる包装材料が用いられている。
【0005】
また、近年、食品包装分野においては、易開封性が求められることがあるが、LDPE単体を押出ラミネート加工した積層体では優れた易開封性を発現させることはできなかった。そのため、油性食品包装分野では長年に渡ってポリプロピレンフィルムが利用されてきた。しかし、ポリプロピレンは、押出ラミネート加工に供した際、バリア性フィルムとの接着性が悪いため押出ラミネート加工には用いられず、バリア性フィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムとをLDPEを用いたサンドウィッチラミネート加工する方法が一般的であった。そのため、包装材料を薄膜化することが困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような状況を鑑みなされたものであって、押出ラミネート適性があり、低コストにて生産可能な積層体およびこれよりなる包装体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも(A)層、(B)層、(C)層の順に3層から構成され、(A)層が下記要件(a)から(c)を満たすポリオレフィン、(B)層が下記要件(d)から(f)を満たす接着剤、(C)層が少なくとも1層以上の基材からなることを特徴とする積層体およびこれよりなる包装体に関するものである。
(a)JIS K6922−1に基づき測定された密度が900〜970kg/m
(b)JIS K6922−1に基づき測定されたメルトマスフローレート(以下、MFRと記す場合がある)が2〜30g/10分
(c)膜厚が5〜25μm
(d)膜厚が0.01〜3.0μm
(e)JIS K7121に基づき測定されたガラス転移点が−30〜+10℃
(f)20℃の貯蔵弾性率E’が1.0×10〜2.5×10Pa
以下に本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明の(A)層を構成するポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテンなど炭素数2〜12のα−オレフィンの単独重合体又はこれらの共重合体、及びエチレンとビニルエステルやアクリル酸エステル、アクリル酸との共重合体のことを示す。例えば、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン系重合体、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、ポリ1−ブテン、ポリ1−ヘキセン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、ポリオレフィンは、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。中でも、(B)層との接着性の観点からエチレン単独重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体又は高圧法低密度ポリエチレンが好ましく、これらの組成物が押出ラミネート加工性にも優れるため最も好ましい。
【0009】
該組成物の好適な配合比は、易開封性や押出ラミネート加工性の観点から、高密度ポリエチレン(1)及び/又は密度が940kg/m未満のエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(2)が10〜90重量%、高圧法低密度ポリエチレン(3)10〜90重量%((1),(2)及び(3)の合計は100重量%)を含むものであり、さらに好ましくは高密度ポリエチレン(1)及び/又は密度が940kg/m未満のエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(2)が20〜80重量%、高圧法低密度ポリエチレン(3)20〜80重量%(3)((1)、(2)及び(3)の合計は100重量%)、最も好ましくは高密度ポリエチレン(1)及び/又は密度が940kg/m未満のエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(2)が20〜50重量%、高圧法低密度ポリエチレン50〜80重量%(3)((1),(2)及び(3)の合計は100重量%)を含むものである。
【0010】
さらに該組成物の好適な配合比は、易開封性や押出ラミネート加工性の観点から、高密度ポリエチレン(1)10〜70重量%、密度が940kg/m未満のエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(2)5〜80重量%、および高圧法低密度ポリエチレン(3)10〜85重量%((1),(2)及び(3)の合計は100重量%)を含むものであり、さらに好ましくは高密度ポリエチレン(1)15〜50重量%、密度が940kg/m未満のエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(2)5〜65重量%、および高圧法低密度ポリエチレン(3)20〜80重量%((1),(2)及び(3)の合計は100重量%)、最も好ましくは高密度ポリエチレン(1)15〜40重量%、密度が940kg/m未満のエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(2)5〜35重量%、および高圧法低密度ポリエチレン(3)50〜80重量%((1),(2)及び(3)の合計は100重量%)を含むものである。
【0011】
このような高密度ポリエチレン及び密度が940kg/m未満のエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体の製造方法は、特に限定するものではないが、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高・中・低圧イオン重合法などを例示することができ、このような樹脂は、市販品の中から便宜選択することができる。例えば東ソー株式会社からニポロンハード、ニポロン−L、ニポロン−Zの商品名で各々市販されている。また、高圧法低密度ポリエチレンの製造方法は、高圧ラジカル重合を例示することができ、このような樹脂は、市販品の中から便宜選択することができ、例えば東ソー株式会社からペトロセンの商品名で市販されている。
【0012】
本発明の(A)層を構成するポリオレフィンは、JIS K6922−1(1997年)により測定した密度が900〜970kg/m、好ましくは910〜950kg/m、さらに好ましくは917〜942kg/m、最も好ましくは927〜942kg/mの範囲にある。密度が900kg/m未満の場合、易開封性に劣るため好ましくない。一方、密度が970kg/mを超える場合、(C)層との接着性に劣るため好ましくない。
【0013】
また、このようなポリオレフィンは、JIS K6922−1(1997年)により測定したMFRが2〜30g/10分、好ましくは5〜30g/10分、さらに好ましい範囲は10〜30g/10分である。MFRが2g/10分未満の場合は易開封性に劣るため好ましくなく、30g/10分を超える場合は押出ラミネート成形性に劣るため好ましくない。
【0014】
また、本発明の(A)層を構成するポリオレフィンは、必要に応じて酸化防止剤、滑剤、中和剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、スリップ剤等、通常ポリオレフィンに使用される添加剤や他のポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂を添加したものでもかまわない。
【0015】
本発明の(A)層を構成するポリオレフィンの組成物は、通常用いられる樹脂の混合装置により製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダ−、回転ロールなどの溶融混練装置、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーなどが挙げられる。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はポリオレフィンの融点〜350℃程度が好ましい。
【0016】
また、本発明の(A)層を構成するポリオレフィンを150mm×150mm×1mmのサイズでプレス成形した成形品(約20g)を60℃の食用油(サラダ油)に24時間浸漬後の重量変化率が1.2%以下であると、被包装物に含まれる食用油によるデラミネーションが生じにくくなるため好ましい。
【0017】
本発明の(B)層を構成する接着剤は、JIS K7121で測定したガラス転移温度が−30〜+10℃、好ましくは−25〜+5℃、更に好ましくは−20〜−5℃、最も好ましくは−20〜0℃である。ガラス転移温度が−30℃未満であると破袋強度が低くなり好ましくなく、+10℃を超える場合は開封外観に劣るため好ましくない。
【0018】
また、本発明の(B)層を構成する接着剤は、20℃、周波数10Hzにおける貯蔵弾性率E’が1.0×10〜2.5×10Pa、好ましくは4.0×10〜2.0×10、更に好ましくは8.0×10〜2.0×10、最も好ましくは8.0×10〜1.5×10の範囲にある。貯蔵弾性率が1.0×10Pa未満であると破袋強度が低くなり好ましくなく、2.5×10Paを超える場合は開封外観に劣るため好ましくない。
【0019】
このような接着剤を構成する化合物は、ガラス転移温度および貯蔵弾性率が上記の範囲にあれば特に限定されるものではなく、ポリウレタン接着剤、ポリイソシアネート接着剤、ポリウレア接着剤、エポキシ接着剤、アクリル接着剤、ポリアミド接着剤、ポリブタジエン系接着剤などを例示することができるが、接着性や弾性率の制御が容易であるポリウレタン接着剤が好ましい。
【0020】
ポリウレタン接着剤としては、主剤であるポリオール成分と硬化剤であるイソシアネート成分からなる2液硬化型ポリウレタン接着剤が好ましい。このようなポリウレタン接着剤は、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有するポリオール成分と分子内に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート成分から構成される。ポリオール成分としては、ポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオールなどが挙げられ、このようなポリオール成分を2種以上混合して用いても構わない。中でも、ガラス転移温度と貯蔵弾性率の制御が容易なポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールが好ましい。また、ポリウレタンポリオールやポリエステルポリオールを構成するジカルボン酸成分、ジオール成分、ジエステル成分の30重量%以上が脂肪族系は、ガラス転移点と貯蔵弾性率が低く、開封外観が向上するため好ましい。
【0021】
一方、イソシアネート成分としては、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物、ω,ω′−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン等を挙げることができる。脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート等を挙げることができる。脂環族ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0022】
また、イソシアネート成分として、前記ジイソシアネートのビウレット体,ダイマー体,トリマー体,ダイマー・トリマー体,ウレトンイミン変性体などのポリメリック体や,2官能以上のポリオール等と前記ジイソシアネート或いはそのポリメリック体との反応で得られるポリイソシアネートのアダクト体などの有機ポリイソシアネート変性体が挙げられる。
【0023】
これらは単独で或いは2種類以上を混合して使用することができる。
【0024】
これらのうち脂肪族イソシアネート変性体及び/又は脂環族イソシアネート変性体、更に脂肪族イソシアネート変性体は、ガラス転移点と貯蔵弾性率が低く、開封外観が向上するため好ましい。
【0025】
このようなポリウレタン接着剤は、適宜市販品の中から選択することができ、東ソー(株)から、ニッポラン、コロネートなどの商品名で各々市販されている。
【0026】
ガラス転移温度および貯蔵弾性率の調整は、ポリオール成分やイソシアネート成分の選択及びポリオール成分とイソシアネート成分の配合比により調整することができる。また、ポリウレタン接着剤を構成するポリオール成分の水酸基数とイソシアネート成分のイソシアネート基数の比率(NCO/OH)が0.5〜2.5の範囲にあると、易開封性、特に開封外観に優れるため好ましく、0.7〜2.0の範囲にあると更に好適であり、最も好ましくは0.8〜1.6である。
【0027】
接着剤(B)の厚みは、0.01〜3μmの範囲が接着性、易開封性に優れ好ましく、0.1〜1μmの範囲がさらに好適であり、さらに好ましくは0.1〜0.7μmである。
【0028】
接着剤の希釈に用いられる溶剤については、特に限定されるものではないが、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、水等を例示することができる。
【0029】
このような接着剤は、公知のラミネーターに付帯されているコーターにて(C)層の基材に塗布することができる。特に、プレンロールがウレタン接着剤の厚みが小さい場合の塗布精度に優れるため好ましい。
【0030】
本発明の(C)層を構成する基材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、セルロース系樹脂などの高分子重合体からなるフィルム、セロファンが挙げられ、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリビニルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のフィルムであることが好ましい。これらのフィルムの中で、ポリエステルフィルムが耐熱性に優れるため好ましい。
【0031】
更に、これらのフィルムは、さらにアルミニウム蒸着、アルミナ蒸着、二酸化珪素蒸着、アクリル処理されたものでもよく、アルミニウム、アルミナ、シリカなどの金属または金属酸化物からなる蒸着薄膜を有するフィルムであることが好ましい。
【0032】
また、これらの中ではアルミニウム蒸着層、アルミナ蒸着層、二酸化珪素蒸着層、アクリル処理層からなる群から選ばれた層を有する二軸延伸ポリエステルフィルムまたはポリアミドフィルムである(C)層が、ポリオレフィンフィルム(A)との接着性や遮光性、バリア性に優れるため好ましい。
【0033】
さらに(C)層は、(B)層との接着性を高めたものとするために、(C)層の(B)層と接する面に対してコロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理などの公知の表面処理を施すことが好ましい。
【0034】
本発明の積層体は、少なくとも(A)層、(B)層、(C)層の順に3層から構成される。また他の成分、例えば(D)層を含んでいてもよい。具体的には、(A)層/(B)層/(C)層/(D)層、(D)層/(A)層/(B)層/(C)層などが例示される。(D)層の材料は特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、セルロース系樹脂などを例示することができる。
【0035】
本発明の積層体は、公知のラミネート方法により作製することができる。本発明の易開封性包装材料を得る手法として、プレス成形法や押出成形法により成形されたラミネート用樹脂組成物(A)からなる(A)層及び接着剤(B)からなる(B)層及び(C)層の成形体を熱圧着するラミネート法が好ましい。ラミネート方法としては押出ラミネート、サンドウィッチラミネート、ドライラミネート、ノンソルベントドライラミネート、ウェットラミネート、サーマルラミネートなどが挙げられ、コストや薄膜成形性の観点から押出ラミネートが好ましい。
【0036】
押出ラミネート加工に供する際、良好な接着性を得るため、ダイより押出されポリオレフィンよりなる溶融フィルムの少なくとも接着剤(B)と接する面は、空気もしくはオゾンガスにより酸化されることが好ましい。空気による酸化反応を進行させる場合、ダイより押出された本発明のポリオレフィンフィルム(A)の温度は290℃以上であることが好ましく、オゾンガスによる酸化反応を進行させる場合は、ダイより押出された本発明のポリオレフィンフィルム(A)の温度は200℃以上であることが好ましい。またオゾンガスの処理量としては、ダイより押出された本発明のポリオレフィンよりなるフィルム1m当たり0.5mg以上であることが好ましい。
【0037】
ポリオレフィンからなる(A)層の膜厚は、5〜25μm、好ましくは10〜25μm、さらに好ましくは13〜22μmである。ポリオレフィンからなる(A)層の膜厚が5μm未満の場合は(C)層との基材接着性と耐油性に劣り、25μmを超える場合は経済性が悪化するだけでなく、包装体とした場合にシール部を開封した際の剥離外観が悪化する。
【0038】
本発明の積層体は、易開封性に優れており、(C)層との基材接着性が高いことから、多岐にわたる易開封性包装材料として用いることができ、(A)層同士を融着して包装体として用いられる。
【0039】
本発明を構成する積層体の(A)層同士をヒートシーラーで125℃〜140℃でヒートシールすることにより得られたピロー袋の開封強度は、5〜25Nが好ましく、更に好ましくは8〜20Nである。包装体の開封強度が5N以上の場合は包装材料として内容物の保護が十分であり、開封強度が25N以下の場合は開封強度が強すぎず易開封性に優れる。
【0040】
本発明の包装体は、耐油性にすぐれることからスナック菓子やインスタントラーメンなどの油脂成分含有内容物の包装体として特に好適である。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)メルトマスフローレート(MFR)
JIS K6922−1(1997年)に準拠して測定した。
(2)密度
JIS K6922−1(1997年)に準拠して測定した。
(3)ガラス転移点
ガラス転移点は、セイコー電子社製DSC200を用い、窒素気流下で行った。すなわち2液硬化型ポリウレタン接着剤の硬化物10mgを用い、昇温速度10℃/分で−100℃から100℃までDSC測定を行い、ガラス転移点を求めた。
(4)貯蔵弾性率
貯蔵弾性率は、株式会社ユービーエム製Rheogel E4000を用い、引張モードで測定した。周波数を10Hzとし、−100〜200℃の範囲で測定し、貯蔵弾性率を求めた。
(5)開封強度/剥離外観
実施例より得られた(A)層/(B)層/(C)層の3層の順に構成された積層体をテスター産業(株)製ホットタックテスターを用い、シール温度140℃、シール圧力0.2MPa、シール時間1秒にて上下加熱でヒートシールし 100cmのピロー袋を作成した後、引張試験機(ORIENTEC製 テンシロンRTE−1210)を用い、300mm/分の引張速度にて、ピロー袋の開封を行い、開封強度を測定した。
【0042】
また剥離外観は、積層体に破れがないか有無を確認した。(A)層のフィルムが層状に剥離した場合も外観不良(×)とした。
(6)耐油性
ペレット約20gを神藤工業(株)製50t自動プレス機を用いてプレス成形した。成形品のサイズは150mm×150mm×1mmとした。得られた成形品を60℃のサラダ油(商品名:日清サラダオイル)中に24時間浸漬し、浸漬前後での重量変化率を調査した。
(7)成形性
押出ラミネート時において、膜切れや大きな幅変動などの成形不良が起こらず、安定したラミネートフィルムが得られるどうか確認した。
(8)破袋強度
実施例より得られた(A)層、(B)層、(C)層の3層の順に構成された積層体をテスター産業(株)製ホットタックテスターを用い、シール温度140℃、シール圧力0.2MPa、シール時間1秒にて上下加熱でヒートシールし100cmのピロー袋を作成した後、ピロー袋内に注射針を用いてエアーを注入し(0.75L/min.)、破袋時の最大圧力を計測した。なお、測定方法はJIS Z 0238に準拠した。
(9)開封外観(%)
実施例より得られた(A)層、(B)層、(C)層の3層の順に構成された積層体をテスター産業(株)製ホットタックテスターを用い、シール温度140℃、シール圧力0.2MPa、シール時間1秒にて上下加熱でヒートシールし100cmのピロー袋を作成した後、ピロー袋のシール部を手で開封した際、シール部が剥がれた面積/シール部全体の面積×100=開封外観(%)について調査した。
【0043】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
(A)層のポリオレフィン(A−1)の製造例
(A)層のポリオレフィン(A−1)として、メルトマスフローレート20g/10分、密度964kg/mの高密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ニポロンハード1000)とメルトマスフローレート3g/10分、密度924kg/mの高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ペトロセン205)を重量比80/20の割合ドライブレンドし、50mmφのスクリューとストランドダイを有する単軸押出機((株)プラコー製)を用いて設定温度180℃、吐出量25kg/時でストランド状に押出し、ストランドカッター((株)誠和鉄工所製)を用いてペレットとした。このポリオレフィン(A−1)のMFR、密度および耐油性を評価した。結果を表1に示す。
【0045】
(A)層のポリオレフィン(A−2)の製造例
(A)層のポリオレフィン(A−2)として、メルトマスフローレート20g/10分、密度964kg/mの高密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ニポロンハード1000)とメルトマスフローレート3g/10分、密度924kg/mの高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ペトロセン205)を重量比22/78の割合ドライブレンドした以外は(A−1)の製造例と同様の方法で製造した。このポリオレフィン(A−2)のMFR、密度、耐油性を評価した。結果を表1に示す。
【0046】
(A)層のポリオレフィン(A−3)の製造例
(A)層のポリオレフィン(A−3)として、メルトマスフローレート20g/10分、密度964kg/mの高密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ニポロンハード1000)とメルトマスフローレート24g/10分、密度918kg/mの高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ペトロセン202)とメルトマスフローレート3g/10分、密度924kg/mの高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ペトロセン205)を重量比25/55/20の割合ドライブレンドした以外は(A−1)の製造例と同様の方法で製造した。このポリオレフィン(A−3)のMFR、密度、耐油性を評価した。結果を表1に示す。
【0047】
(A)層のポリオレフィン(A−4)の製造例
(A)層のポリオレフィン(A−4)として、メルトマスフローレート20g/10分、密度964kg/mの高密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ニポロンハード1000)とメルトマスフローレート50g/10分、密度930kg/mのエチレン・1−ヘキセン共重合体(東ソー(株)製、商品名ニポロン―L M80)とメルトマスフローレート3g/10分、密度924kg/mの高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ペトロセン205)を重量比10/80/10の割合ドライブレンドした以外は(A−1)の製造例と同様の方法で製造した。このポリオレフィン(A−4)のMFR、密度、耐油性を評価した。結果を表1に示す。
【0048】
(A)層のポリオレフィン(A−5)の製造例
(A)層のラミネート用樹脂組成物(A−5)として、メルトマスフローレート20g/10分、密度964kg/mの高密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ニポロンハード1000)とメルトマスフローレート2g/10分、密度936kg/mのエチレン・1−ヘキセン共重合体(東ソー(株)製、商品名ニポロンZ ZF260)とメルトマスフローレート24g/10分、密度918kg/mの高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ペトロセン202)とメルトマスフローレート3g/10分、密度924kg/mの高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ペトロセン205)を重量比25/10/45/20の割合でドライブレンドした以外は(A−1)の製造例と同様の方法で製造した。このラミネート用樹脂組成物(A−5)のMFR、密度、耐油性を評価した。結果を表1に示す。
【0049】
(A)層のポリオレフィン(A−6)の製造例
(A)層のラミネート用樹脂組成物(A−6)として、メルトマスフローレート20g/10分、密度964kg/mの高密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ニポロンハード1000)とメルトマスフローレート2g/10分、密度936kg/mのエチレン・1−ヘキセン共重合体(東ソー(株)製、商品名ニポロンZ ZF260)とメルトマスフローレート70g/10分、密度916kg/mの高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ペトロセン249)とメルトマスフローレート3g/10分、密度924kg/mの高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ペトロセン205)を重量比30/10/40/20の割合でドライブレンドした以外は(A−1)の製造例と同様の方法で製造した。このラミネート用樹脂組成物(A−6)のMFR、密度、耐油性を評価した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
実施例1
ポリオレフィン(A)として、メルトマスフローレート8g/10分、密度919kg/mの高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ペトロセン203)を、90mmφのスクリューを有する押出ラミネーター((株)ムサシノキカイ製)へ供給し、基材の引取速度を100m/分として、開口幅を600mmとしたTダイより320℃の温度で押出し、(C)層として第一給紙部から繰り出した二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡エステルフィルムE−5100、厚み25μm、以下、PETと記す場合がある)のコロナ処理面に、接着剤層として以下に示す比率で配合した接着剤を塗布し溶剤を乾燥した上にポリオレフィンフィルム(A)が15μmの厚さになるように押出ラミネートしたラミネートフィルムを得た。このラミネートフィルムを使って開封強度、剥離外観、成形性を評価した。結果を表2に示す。
【0051】
接着剤:
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(東ソー(株)製、商品名ニッポラン3228)とポリイソシアネート(東ソー(株)製、商品名コロネートHL)を重量比100/5で混合し、酢酸エチルを用いて固形分濃度を7%となるように希釈した。
【0052】
実施例2
ポリオレフィン(A)としてポリオレフィン(A−1)を用い、(A)層の厚みを20μmとした以外は実施例1と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
【0053】
実施例3
ポリオレフィン(A)としてポリオレフィン(A−2)を用い、(A)層の厚みを20μmとした以外は実施例1と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
【0054】
実施例4
接着剤として以下に示す比率で配合した接着剤を用いた以外は実施例3と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
【0055】
接着剤:
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(東ソー(株)製、商品名ニッポラン3228)とポリイソシアネート(東ソー(株)製、商品名コロネートHL)を重量比100/5で混合し、酢酸エチルを用いて固形分濃度を12%となるように希釈した。
【0056】
実施例5
ポリオレフィン(A)としてポリオレフィン(A−3)を用い、(A)層の厚みを20μmとした以外は実施例1と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
【0057】
実施例6
(A)層の厚みを15μmとした以外は実施例5と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表1に示す。
【0058】
実施例7
接着剤として以下に示す比率で配合した接着剤を用いた以外は実施例5と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
【0059】
接着剤:
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(東ソー(株)製、商品名ニッポラン3228)とポリイソシアネート(東ソー(株)製、商品名コロネートHL)を重量比100/3で混合し、酢酸エチルを用いて固形分濃度を7%となるように希釈した。
【0060】
実施例8
接着剤として以下に示す比率で配合した接着剤を用いた以外は実施例5と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
【0061】
接着剤:
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(東ソー(株)製、商品名ニッポラン3228)とポリイソシアネート(東ソー(株)製、商品名コロネートHL)を重量比100/10で混合し、酢酸エチルを用いて固形分濃度を7%となるように希釈した。
【0062】
実施例9
(C)層として第一給紙部から繰り出したアルミ蒸着ポリエステルフィルム((株)麗光製、商品名ダイアラスターST、厚み12μm、以下、VM−PETと記す場合がある)を用いた以外は実施例5と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
【0063】
実施例10
(C)層として第一給紙部から繰り出したナイロンフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡ハーデンフィルムN−1100、厚み25μm、以下、Nyと記す場合がある)を用いた以外は実施例5と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
【0064】
実施例11
ポリオレフィン(A−5)を用い、(A)層の厚みを20μmとした以外は実施例1と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
【0065】
実施例12
ポリオレフィン(A−6)を用い、(A)層の厚みを20μmとした以外は実施例1と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
【0066】
実施例13
接着剤として以下に示す比率で配合した接着剤を用い、(A)層の厚みを15μmとした以外は実施例5と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
【0067】
接着剤:
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(東ソー(株)製、商品名ニッポラン3228)とポリイソシアネート(東ソー(株)製、商品名コロネートL)を重量比100/5で混合し、酢酸エチルを用いて固形分濃度を7%となるように希釈した。
【0068】
実施例14
接着剤として以下に示す比率で配合した接着剤を用い、(A)層の厚みを15μmとした以外は実施例5と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
【0069】
接着剤:
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(東ソー(株)製、商品名ニッポラン3228)とポリイソシアネート(東ソー(株)製、商品名コロネートL)を重量比100/8で混合し、酢酸エチルを用いて固形分濃度を7%となるように希釈した。
【0070】
実施例15
ポリオレフィン(A−3)を用い、(A)層の厚みを20μm、接着剤として以下に示す比率で配合した接着剤を用いた以外は実施例5と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
【0071】
接着剤:
ポリブタジエン接着剤(大日精化(株)製、商品名セイカダイン4300A)を、メタノールと水を用いて固形分濃度を1%となるように希釈した。
【0072】
実施例16
ポリオレフィン(A)として、メルトマスフローレート8g/10分、密度919kg/mの高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ペトロセン203)を用い、(A)層の厚みを15μmとした以外は実施例15と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価した。結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
比較例1
ポリオレフィン(A)としてポリオレフィン(A−4)を用い、(A)層の厚みを20μmとした以外は実施例1と同様の方法でラミネートフィルムを作成しようと試みたが、安定したラミネートフィルムを作成することができなかった。
【0074】
比較例2
ポリオレフィン(A)としてポリオレフィン(A−3)を用い、(A)層の厚みを30μmの厚さとした以外は実施例1と同様の方法でラミネートフィルムを作成しようと試みたが、シール部を剥離したときの外観が悪かった。
【0075】
比較例3
ポリオレフィン(A)としてポリオレフィン(A−3)を用い、接着剤として以下に示す比率で配合した接着剤を用いた以外は実施例5と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価したが、開封強度が高かった。
【0076】
接着剤:
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(東ソー(株)製、商品名ニッポラン3228)とポリイソシアネート(東ソー(株)製、商品名コロネートL)を重量比100/10で混合し、酢酸エチルを用いて固形分濃度を7%となるように希釈した。
【0077】
比較例4
ポリオレフィン(A)として、メルトマスフローレート8g/10分、密度919kg/mの高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ペトロセン203)を用いた以外は比較例3と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価したが、開封強度が高かった。
【0078】
比較例5
接着剤として以下に示す比率で配合した接着剤を用いた以外は実施例5と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価したが、開封強度が高かった。
【0079】
接着剤:
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(東ソー(株)製、商品名ニッポラン3228)とポリイソシアネート(東ソー(株)製、商品名コロネートHL)を重量比100/15で混合し、酢酸エチルを用いて固形分濃度を7%となるように希釈した。
【0080】
比較例6
接着剤として以下に示す比率で配合した接着剤を用いた以外は実施例5と同様の方法でラミネートフィルムを作成し、得られたラミネートフィルムの物性を評価したが、開封強度が高く、剥離外観も劣った。
【0081】
接着剤:
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(東ソー(株)製、商品名ニッポラン3228)とポリイソシアネート(東ソー(株)製、商品名コロネートHL)を重量比100/2で混合し、酢酸エチルを用いて固形分濃度を7%となるように希釈した。
【0082】
【表3】