特許第6645873号(P6645873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645873
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】研磨用組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20200203BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20200203BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20200203BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   C09K3/14 550Z
   H01L21/304 622D
   B24B37/00 H
   C09K3/14 550D
   C09G1/02
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-42674(P2016-42674)
(22)【出願日】2016年3月4日
(65)【公開番号】特開2017-155198(P2017-155198A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2018年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】513251245
【氏名又は名称】ATシリカ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390004581
【氏名又は名称】三益半導体工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100075524
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 重光
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】福井孝一
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 雄大
(72)【発明者】
【氏名】川浦 優二
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−129941(JP,A)
【文献】 特表2014−529673(JP,A)
【文献】 特開2002−190458(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/102144(WO,A1)
【文献】 特開2011−061089(JP,A)
【文献】 特開2014−118490(JP,A)
【文献】 特表2014−500356(JP,A)
【文献】 特開2009−263560(JP,A)
【文献】 特開昭63−196697(JP,A)
【文献】 特開2003−147391(JP,A)
【文献】 特開2002−003820(JP,A)
【文献】 特開平04−025599(JP,A)
【文献】 特開昭62−199698(JP,A)
【文献】 特開2002−180090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
B24B 37/00
C09G 1/02
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)砥粒
(B)水溶性アルカリ化合物
(C)重量平均分子量が50万以下のヒドロキシエチルセルロース
(D)アルキルグルコシドおよびアルカノールアミドから選ばれた少なくとも1種の有機化合物
および
(E)水
を含むベアシリコンウェハの最終研磨に用いられる研磨用組成物。
【請求項2】
前記砥粒がコロイダルシリカである請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項3】
前記コロイダルシリカが、窒素吸着法(BET法)により求められる平均一次粒子径が5〜100nmである請求項2に記載の研磨用組成物。
【請求項4】
前記コロイダルシリカが、アルコキシシランの縮合体をアンモニア又はアンモニウム塩触媒の存在下に水と反応させることによって得られる繭型コロイダルシリカである請求項2または3に記載の研磨用組成物。
【請求項5】
組成物全体に対して(A)砥粒が0.01〜2.0質量%、(B)水溶性アルカリ化合物が0.0001〜0.1質量%(C)ヒドロキシエチルセルロースが、0.001〜0.1質量%、(D)前記有機化合物成分が、0.00001〜0.05質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の研磨用組成物。
【請求項6】
更にポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールから選ばれた少なくとも1種の化合物を含む請求項1〜5のいずれかに記載の研磨用組成物。
【請求項7】
請求項1〜のいずれかに記載の研磨用組成物を用いてベアシリコンウェハを研磨する工程を含む、ベアシリコンウェハの研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板の製造用シリコンウェハの研磨に適した研磨用組成物に関する。さらに詳しくは、半導体基板の製造用ベアシリコンウェハの最終研磨に適した研磨用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板の製造用ベアシリコンウェハには、表面に残留するパーティクル数やヘイズ値が低いことが要求されるが、半導体基板のデザインルールが微細化する傾向にあるため、これらの表面品質への要求はさらに厳しくなってきた。
【0003】
そのためにシリコンウェハの表面品質を改善するための提案がなされている。例えば、シリコンウェハ表面の残留物を低減するために、研磨組成物に含有させるヒドロキシエチルセルロースとして加水分解物を使用する提案(特許文献1)や、シリコンウェハ表面の微小パーティクルを低減するために、低分子量のヒドロキシエチルセルロースを用いることが提案されている(特許文献2)。
【0004】
また、パーティクル数及びヘイズ値が小さいシリコンウェハを得ることが可能な研磨液組成として、シリカ粒子、水溶性アルカリ化合物、アルキルポリグリコシドおよびカチオン化ポリビニルアルコールとを含有する研磨用組成物が提案されている(特許文献3)。
【0005】
しかしながら、従来提案の研磨組成物では、厳しさを増すシリコンウェハ表面のヘイズや微小パーティクル数の低減について要求される表面品質を満たすことが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−61089号公報
【特許文献2】特開2014−151424号公報
【特許文献3】特開2013−105954号公報
【特許文献4】特開2013−222863号公報
【特許文献5】特開2005−175432号公報
【特許文献6】特開2010−129941号公報
【特許文献7】特開2009−212378号公報
【特許文献8】特開2014−529673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記した問題点を解決しようとするものであって、ウェハ保護能力(耐アルカリエッチング性)に優れ、低いパーティクルレベルを維持しながら、ヘイズ値を低下させることが期待できる研磨組成物を提案するものである。
パーティクルとは、ウェハ表面に付着した研磨材、研磨パット屑、シリコンの切り屑等の異物であり、ヘイズとは、ウェハ表面の表面粗さ計では測定困難な微細な凹凸に光束を照射した時に観察される曇りである。ヘイズ値が小さければ小さいほど表面の平滑性が高いことを意味する。
【0008】
研磨組成物がシリコンウェハ表面の品質を低下させる要因に組成物自体のエッチング能によるシリコンウェハ表面の荒れが挙げられる。本発明はシリコンウェハ保護能力(耐アルカリエッチング性)に優れる結果、良好なヘイズ値低下を可能とする研磨組成物を提供するものである。
【0009】
また、研磨後に生じる微細シリコンや砥粒の乾燥による固着を防ぐ必要があるので、研磨直後のシリコンウェハ表面は適度な親水性を有していることが好ましい。本発明は研磨直後のシリコンウェハ表面に適度な親水性を持たせることができる研磨組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
(A)砥粒、
(B)水溶性アルカリ化合物、
(C)重量平均分子量が50万以下のヒドロキシエチルセルロース
(D)アルキルグルコシドおよびアルカノールアミドから選ばれた少なくとも1種の有機化合物、
および
(E)水、
を含む研磨用組成物。
【0011】
前記砥粒がコロイダルシリカである前記した研磨用組成物は本発明の好ましい態様である。
【0012】
前記コロイダルシリカが、窒素吸着法(BET法)により求められる平均一次粒子径が5〜100nmである前記した研磨用組成物は本発明の好ましい態様である。
【0013】
前記コロイダルシリカが、アルコキシシランの縮合体をアンモニア又はアンモニウム塩触媒の存在下に水と反応させることによって得られる繭型コロイダルシリカである前記した研磨用組成物は本発明の好ましい態様である。
【0014】
組成物全体に対して(A)砥粒が0.05〜1.0質量%、(B)水溶性アルカリ化合物が0.001〜0.05質量%、(C)ヒドロキシエチルセルロースが、0.005〜0.05質量%、(D)前記有機化合物成分が、0.0001〜0.02質量%、である前記した研磨用組成物は本発明の好ましい態様である。
【0015】
シリコンウェハの研磨に用いられる、前記した研磨用組成物は本発明の好ましい態様である。
【0016】
本発明は前記した研磨用組成物を用いてシリコンウェハを研磨する工程を含む、シリコンウェハの研磨方法をも提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、ウェハ保護能力(耐アルカリエッチング性)に優れ、その結果良好なヘイズ値低下が期待できる研磨組成物が提供される。
また、本発明により、研磨直後のシリコンウェハ表面に適度な親水性を持たせることができる研磨組成物が提供されるので、砥粒や研磨の際に生じる研磨屑等の乾燥固着を防ぎ、これらを洗い流して除去することが容易となり、その結果良好な表面品質の実現が期待できる研磨組成物が提供される。
本発明によって、ウェハ保護能力(耐アルカリエッチング性)に優れ、研磨後のウェハに適度な濡れ性を付与できる研磨組成物が提供される。
【0018】
研磨用組成物に界面活性剤を添加することもまた知られていることである(たとえば、特許文献1〜8)。また、アルカノールアミドおよびアルキルグルコシドはともに非イオン系界面活性剤として知られている化合物である。
しかしながら、本発明の前記(A)〜(E)の特定の成分を用いる研磨用組成物は、シリコンウェハに対するエッチング性が低いのでウェハ保護能力が高く、加えて良好な研磨速度を達成するとともに、研磨後のウェハ表面の親水性も良好であるという格段に優れた効果を奏するのである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、
(A)砥粒、
(B)水溶性アルカリ化合物、
(C)重量平均分子量が50万以下のヒドロキシエチルセルロース
(D)アルキルグルコシドおよびアルカノールアミドから選ばれた少なくとも1種の有機化合物
および
(E)水
を含む研磨用組成物を提供する。
【0020】
<砥粒>
本発明の研磨用組成物に含まれる砥粒としては、研磨用に通常使用される砥粒であれば特に制限はなく、無機粒子、有機粒子、および有機無機複合粒子などが挙げられる。中でも、無機粒子が好ましい。
砥粒として使用できる無機粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、窒化ケイ素、二酸化マンガン、炭化ケイ素、酸化亜鉛、ダイヤモンド及び酸化マグネシウムを含む粒子などが挙げられる。
【0021】
砥粒材料の無機粒子の具体的例としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、表面修飾したシリカ等の二酸化ケイ素;α―アルミナ、γ―アルミナ、δ―アルミナ、θ―アルミナ、η―アルミナ、無定型アルミナ、フュームドアルミナ、コロイダルアルミナ等の酸化アルミニウム;酸化数が3価又は4価の酸化セリウム、結晶系が六方晶系、等軸晶系又は面心立方晶系の酸化セリウム、その他の酸化セリウム;結晶系が、単斜晶系、正方晶系、又は非晶質の酸化ジルコニウム、フュームドジルコニウム、その他の酸化ジルコニウム;一酸化チタン、三酸化チタン二チタン、二酸化チタン、フュームドチタニア、その他の酸化チタン;α―窒化ケイ素、β―窒化ケイ素、アモルファス窒化ケイ素、その他の窒化ケイ素;α―二酸化マンガン、β―二酸化マンガン、γ―二酸化マンガン、δ―二酸化マンガン、ε―二酸化マンガン、η―二酸化マンガン、その他の二酸化マンガンなどが挙げられる。これらの砥粒は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
これらの研磨材の材料の中でも、二酸化ケイ素系が好ましく、コロイダルシリカがより好ましい。
砥粒としては、操作性の観点からスラリー状であることが好ましい。
【0023】
本発明の研磨用組成物に含まれる砥粒がコロイダルシリカである場合、シリカ粒子の窒素吸着法(BET法)により求められる平均一次粒子径は5〜100nm、好ましくは10〜40nm、特に好ましくは10〜25nmである。
【0024】
シリカ粒子の二次粒子径分布は、動的光散乱法により測定することができ、その分布(体積表示)の累積50%粒子径D50を平均二次粒子径と呼ぶ。また同粒度分布(体積表示)における累積84%粒子径と累積16%粒子径の差の1/2をSDと呼び、SDとD50の比(SD/D50)を二次粒子径の変動係数CVと呼ぶ。
シリカ粒子の平均二次粒子径としては、10〜90nm、好ましくは20〜80nm、より好ましくは25〜70nm、更に好ましくは25〜40nmであることが望ましい。
シリカ粒子の二次粒子径の変動係数CVとしては、0.10〜0.50であり、好ましくは0.20〜0.40である。
特に好ましいシリカ粒子では、平均二次粒子径D50は25〜40nmであり、かつ変動係数CVは0.20〜0.40である。
【0025】
砥粒の形状(外形)は、球形であってもよく、非球形であってもよい。非球形をなす砥粒の具体例としては、ピーナッツ形状(すなわち、落花生の殻の形状)、繭型形状、金平糖形状、ラグビーボール形状等が挙げられる。例えば、砥粒の多くがピーナッツ形状か繭型形状をした砥粒を好ましく採用し得る。中でも繭型形状をした砥粒が好ましい。
【0026】
砥粒の合成方法は限定されない。シリカ粒子の合成方法としては、例えば、水ガラスからの水熱合成法、アルコキシシランまたはその縮合体からのゾルゲル法、シリコン塩化物からの気相合成法が挙げられる。金属不純物を低減させるという観点から、アルコキシシランまたはその縮合体からのゾルゲル法により製造されたシリカ粒子が好ましい。
特に、アルコキシシランの縮合体を水と反応させる工程(ゾルゲル反応工程)を含む方法で調製される繭型シリカ粒子(他の繭型シリカ粒子と区別して新繭型シリカ粒子と呼ぶこともある)(特許第4712556号)は、研磨速度と表面精度およびろ過性のいずれも向上させる観点から好ましい。この場合の縮合体の平均縮合度は2〜10が好ましく、2〜8が更に好ましい。なお、本明細書では「繭型(新繭型を含まない)」のように特に断らない限り、繭型とは新繭型も含むものとする。
【0027】
<水溶性アルカリ化合物>
水溶性アルカリ化合物の例としては、砥粒の凝集を防ぎ、かつ化学的研磨作用により適度な研磨速度を与えるという観点で、含窒素塩基性化合物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、及び炭酸水素塩等が挙げられる。含窒素塩基性化合物の例としては、アンモニア(水酸化アンモニウム)、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、有機アミン類、ピペラジン類、第四級アンモニウム水酸化物などを挙げることができる。また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩、及び炭酸水素塩の例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。これらの塩基性化合物は1種または2種以上を用いてもよい。
【0028】
水溶性アルカリ化合物のうち、アルカリ金属イオンを含まないという観点から、アンモニア、有機アミン類、および水酸化テトラメチルアンモニウム等の第四級アンモニウム水酸化物が好ましい。研磨面の表面精度の向上の観点から、アンモニアが特に好ましい。
【0029】
(ヒドロキシエチルセルロース)
本発明のヒドロキシエチルセルロース(以下HECと略すことがある。)の重量平均分子量(Mw)は、50万以下、好ましくは20万以下、より好ましくは1万以上20万未満であることが望ましい。HECの重量平均分子量が大きいと、洗浄性が悪くなる傾向があり、パーティクルの原因となる。そのため、HECは重量平均分子量は50万以下、好ましくは20万以下、より好ましくは20万未満が望ましい。逆に、HECの重量平均分子量が小さいと、ウェハに濡れ性を付与する能力が減る傾向にある。そのため、HECの重量平均分子量は1万以上が望ましい。上記の範囲にあると、ウェハに十分な親水性を付与しつつ、良好な洗浄性が発揮され、パーティクルの低下効果が期待される。
【0030】
(アルカノールアミド)
アルカノールアミドは、アルカノールアミンと脂肪酸がアミド結合した化合物であって、脂肪酸のアルキル鎖長が炭素原子数で6〜22、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは8〜14の直鎖又は分岐鎖を有するものが望ましい。脂肪酸の例としては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などを挙げることができる。またアルカノールアミンの例としては、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、2−アミノエチル−エタノールアミンなどを挙げることができる。アルカノールアミドの好ましい具体例として、カプリル酸ジエタノールアミド、ペラルゴン酸ジエタノールアミド、カプリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、パルミチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミドジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミドなどを挙げることができる。これらの混合物であっても良い。
【0031】
(アルキルグルコシド)
アルキルグルコシドは、グルコース(糖類)と高級アルコールがグルコシド結合した化合物であって、アルキル鎖長が炭素原子数で6〜22、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは8〜14の直鎖又は分岐鎖を有するものが望ましい。また、糖類同士が縮合していてもよい、縮合糖類を有するものはアルキルポリグルコシドと呼ばれることがあるが、本発明のアルキルグルコシドは、アルキルポリグルコシドを含む意味で用いられる。
【0032】
アルキルグルコシドにおける糖縮合度が1.0〜10.0、より好ましくは1.0〜5.0、さらに好ましくは1.0〜3.0のアルキルグルコシドを用いるのが望ましい。
アルキルグルコシドの具体例としては、オクチルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシドなどを挙げることができる。これらの混合物であっても良い。
【0033】
(水)
本発明で用いる水としては、イオン交換水(脱イオン水)、純水、超純水、蒸留水などを挙げることができる。研磨用組成物に有害な不純物が混入することを避けるため、イオン交換樹脂による不純物イオンの除去、フィルタによる異物の除去、蒸留等の操作によって水の純度を高めることもできる。
【0034】
(他の成分)
本発明の研磨用組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分が含有されていてもよい。そのような他の成分としては、HEC以外の水溶性高分子、キレート剤、有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、防腐剤、防カビ剤、その他の研磨用組成物に用い得る公知の添加剤などを挙げることができる。
【0035】
HEC以外の水溶性高分子の例としては、ポリエチレングリコール(ポリエチレンオキサイド)、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダム共重合体、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルを挙げることができ、特にポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールが好ましい。これらから1種または2種以上を用いても良いし、同種で分子量の異なるものを2種以上混合して用いても良い。これらの平均分子量としては、300〜30000が好ましい。
【0036】
他の成分としてHEC以外の水溶性高分子を含む場合、その含量は、組成物全体に対して0.00001〜0.1質量%、好ましくは0.0001〜0.01質量%、であることが望ましい。特に、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールから選ばれる最低1種の化合物を用いることが好ましい。その場合、ポリエチレングリコールは、組成物全体に対して0.0001〜0.1質量%、好ましくは0.0001〜0.01質量%であり、ポリプロピレングリコールは、組成物全体に対して0.00001〜0.01質量%、好ましくは0.00001〜0.005質量%である。両者の濃度比はポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール=1〜100が好ましく、1〜10がより好ましい。ポリエチレングリコールの平均分子量は、1000〜30000が好ましく、3000〜10000がより好ましい。ポリプロピレングリコールの平均分子量は、300〜5000が好ましく、300〜2000がより好ましい。ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールの平均分子量は、水酸基価から求めることができる。
【0037】
本発明の研磨用組成物を構成する(A)砥粒、(B)水溶性アルカリ化合物、(C)ヒドロキシエチルセルロースおよび(D)アルキルグルコシドおよびアルカノールアミドから選ばれた少なくとも1種の有機化合物の量割合は、(B)水溶性アルカリ化合物が、(A)砥粒1質量%に対して0.002〜0.5質量%、好ましくは0.01〜0.2質量%であることが望ましく、(C)ヒドロキシエチルセルロースが、(A)砥粒1質量%に対して0.002〜0.5質量%、好ましくは0.01〜0.2質量%であることが望ましく、(D)有機化合物成分が、(A)砥粒1質量%に対して0.0002〜0.2質量%、好ましくは0.001〜0.1質量%であることが望ましい。
【0038】
研磨に使用する際の本発明の研磨用組成物の各成分の含有量としては、研磨用組成物全体に対して、(A)砥粒が0.01〜2.0質量%、好ましくは0.05〜1.0質量%であり、(B)水溶性アルカリ化合物が0.0001〜0.1質量%、好ましくは0.001〜0.05質量%であり、(C)ヒドロキシエチルセルロースが、0.001〜0.1質量%、好ましくは0.005〜0.05質量%であり、(D)有機化合物成分が、0.00001〜0.05質量%、好ましくは0.0001〜0.02質量%であることが望ましい。
【0039】
本発明の研磨用組成物の製造方法としては、特に制限はなく、(A)砥粒、(B)水溶性アルカリ化合物、(C)ヒドロキシエチルセルロース、(D)アルキルグルコシドおよびアルカノールアミドから選ばれた少なくとも1種の有機化合物、及び(E)水と、必要に応じて任意成分とを混合することによって調製できる。
【0040】
例えば、砥粒のスラリー、予め水に溶解させたヒドロキシエチルセルロース溶解液、水およびアルキルグルコシドおよびアルカノールアミドから選ばれた少なくとも1種の有機化合物を混合することによって研磨用組成物濃縮物を調製することができる。
このような手順で、製造、保管及び輸送コストを低くする観点から、研磨用組成物濃縮物を得て、シリコンウェハを研磨する直前に水によって所定希釈率で希釈して目的の研磨用組成物として調製することができる。
【0041】
研磨用組成物濃縮物の段階での、各成分の含有量としては、例えば、研磨用組成物濃縮物全体に対して、(A)砥粒が1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%であり、(B)水溶性アルカリ化合物が0.01〜2.0質量%、好ましくは0.1〜1.0質量%であり、(C)ヒドロキシエチルセルロースが、0.02〜2.0質量%、好ましくは0.1〜1.0質量%であり、(D)有機化合物成分が、0.001〜1.0質量%、好ましくは0.005〜0.5質量%であってもよい。
【0042】
本発明の研磨用組成物は、各種被研磨物の研磨剤として使用することができる。特には、半導体基板の製造過程における、シリコンウェハの研磨工程に好適に用いることができる。さらには、本発明の研磨用組成物は、半導体基板の製造用ベアシリコンウェハの最終研磨に適した研磨用組成物である。
【実施例】
【0043】
以下、実施例によって、本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
本発明において用いた測定および試験の方法は以下のとおりである。
【0044】
(1)砥粒の平均一次粒子径の測定
砥粒(コロイダルシリカ)の平均一次粒子径は、BET法(窒素吸着)により測定して得た比表面積を下記式[1]
平均一次粒子径(nm)=2672/比表面積(m/g) [1]
に代入し算出した。BET法による比表面積の測定は、(株)マウンテック社製Macsorb HM model−1201を用い行った。測定用サンプルは、コロイダルシリカを含むスラリーをホットプレート上で加熱・乾燥させた後、乳鉢で細かく砕くことにより調製した。
【0045】
(2)砥粒の平均二次粒子径の測定
砥粒(コロイダルシリカ)の平均二次粒子径は、動的光散乱法により測定した粒度分布(体積表示)の累積50%粒子径D50で示した。また、累積84%粒子径と累積16%粒子径の差の1/2をSDとした。動的光散乱法による粒度分布測定は、日機装(株)製Microtrac model UPA−UT151を用い行った。
測定用サンプルは、コロイダルシリカを含むスラリーをシリカ濃度0.1%となるようイオン交換水で希釈することにより調製した。
【0046】
(3)HECの平均分子量の測定
HECの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)はGPC法により測定した。GPC測定は、以下の装置および条件で行った。
GPC装置:島津製作所社製SCL−10A
カラム:東ソー社製 TSKgel GMPWXL(×1)
+TSKgel G2500PWXL(×1)
溶離液:0.1mol/kg NaCl、20%メタノール、残り純水
流速:0.6mL/min
検出方法:RI+UV(254nm)
標準物質:ポリエチレンオキシド
【0047】
(4)エッチングテスト
P型、結晶面(100)、抵抗率1〜10Ω・cm、厚さ525μmの4インチシリコンウェハを25mm×25mm角にカットした。このウェハ片は、表面の酸化膜を除去のため1%フッ化水素酸に10分間浸漬させた。フッ化水素酸から取り出した後、表面をイオン交換水でリンスし、表面が水を十分はじくこと(濡れ性0%)を確認した。ウェハ片の表面を拭きよく水分を除いた後、重量を秤量し、研磨用組成物濃縮物20g中に浸漬させた。ウェハ片は一日毎に取り出し、表面をイオン交換水でリンスした後、表面を拭きよく水分を除き秤量し、元の研磨用組成物濃縮液に戻した。元の重量からの減少量をエッチング量とした。3〜4日後まで測定を行い、減少量が実験日数に対し直線的に変化していることを確認し、(元の重量(mg)−最終日の重量(mg))/最終日までの経過日数(日)を平均エッチング量(mg/日)とした。
【0048】
(5)研磨テスト1
研磨用組成物濃縮物を所定の希釈率でイオン交換水により希釈して調製した研磨用組成物を用い研磨テストを行った。
研磨テスト1は、以下の装置および条件で行った。
研磨機:ミクロ技研社製LGP−15S−I
ウェハ:4インチシリコンウェハ
(P型、抵抗率1〜10Ω・cm、結晶面(100))
面圧:0.12kgf/cm
ウェハ回転速度:50rpm
パッド:フジミ社製SURFIN SSWI
パッド回転速度:50rpm
研磨スラリー供給速度:100mL/分
研磨時間:10分
研磨量は、研磨前後のウェハの重量変化から求めた。
表面の濡れ性(%)は、ウェハ表面の水に覆われた部分の面積/ウェハ表面全面積(%)であり、(1)研磨直後(ウェハを研磨機から取り外す前)および(2)研磨機から取り外し表面にイオン交換水をかけた後、の二つのタイミングにおいて目視で確認した。
【0049】
(6)研磨テスト2
研磨テスト2は、以下の装置および条件で行った。
研磨機:岡本工作機械製作所製PNX−332B
ウェハ:12インチシリコンウェハ
(P型、抵抗率1〜100Ω・cm、結晶面(100))
面圧:0.12kgf/cm
ウェハ回転速度:30rpm
パッド:発泡ウレタン
パッド回転速度:30rpm
研磨スラリー供給速度:100mL/分
研磨時間:所定の時間(×1と表記)、所定の時間の2倍(×2と表記)
パーティクル及びヘイズの測定:KLA-Tencor製SurfscanSP3
【0050】
(調製例1)
<コロイダルシリカ・スラリーの調製>
砥粒として用いたコロイダルシリカのスラリーは、第4712556号の実施例に記載の方法で調製した。
【0051】
さらに、0.5μmフィルター濾過を行い、シリカ濃度17.0wt%、NH濃度1560ppmのコロイダルシリカ・スラリーを得た。得られたコロイダルシリカの粒径は、平均一次粒子径19.0nm、平均二次粒子径31.6nm(SD=8.8nm、CV=0.28)であった。
【0052】
(調製例2)
<HEC溶解液の調製>
HEC(ダイセルファインケム(株)製SP200、重量平均分子量12万)15kgをイオン交換水585kgに少しずつ添加・溶解させ、2.5%粗HEC溶解液600kgを調製した。この粗溶解液を、陽イオン交換樹脂(オルガノ(株)製Amberlite200CT(H)−HG)カラムに通し、金属不純物の除去を行った。カラム処理後、25%NH水5.3kgおよびイオン交換水200kgを添加し、さらに0.5μmフィルター濾過を行った。以上により、HEC濃度1.7wt%、NH濃度1650ppmのHEC溶解液を732kg得た。
【0053】
(調製例3)
<研磨用組成物(研磨スラリー)の調製>
調製例1で調製したコロイダルシリカ・スラリーおよび調製例2で調製したHEC溶解液、並びにNH水、イオン交換水および下記表1に示す界面活性剤の中から選ばれたものおよび必要に応じてPEG・PPG混合溶液を所定量混合して研磨用組成物濃縮物を調製した。
研磨用組成物濃縮物は、研磨直前にイオン交換水により所定の希釈率で希釈して研磨用組成物を調製した。
【0054】
【表1】
【0055】
(実施例1)
調製例3の調製法に従って、界面活性剤としてAA−Aを用いて界面活性剤1%溶液5.00重量部、コロイダルシリカ・スラリー52.9重量部、HEC溶解液17.6重量部、4%NH水2.21重量部および水22.2重量部を混合して研磨用組成物濃縮物を調製した。得られた研磨用組成物濃縮物に含有される界面活性剤、砥粒、NHおよびHECの濃度を表2に表示した。
続いて得られた研磨用組成物濃縮物をイオン交換水により表2に記載の希釈率で希釈して研磨用組成物を調製した。
【0056】
得られた研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物を用いて、エッチングテスト、研磨テスト1および濡れ性テストを行った。その結果を表2に示した。
エッチングテストでは、エッチング量が少ないほど好ましく、平均エッチング量(mg/日)が0.10mg未満を良と、0.10mg以上を不良と判定した。
研磨テスト1では、研磨量は高いほど好ましく、本条件では、研磨量0.5mg以上を良と、0.5mg未満を不良と判定した。
研磨直後濡れ性および水リンス後濡れ性テストでは100%に近いほど好ましく、ともに90%以上を良と、90%未満を不良と判定した。
【0057】
(実施例2)
実施例1において、各成分の混合割合を、界面活性剤1%溶液2.50重量部、コロイダルシリカ・スラリー54.1重量部、HEC溶解液21.5重量部、4%NH水2.88重量部および水19.0重量部に変えるほかは同様にして研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物を調製した。
得られた研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物を用いて、エッチングテスト、研磨テスト1および濡れ性テストを行った。その結果を表2に示した。
【0058】
(実施例3および4)
実施例1および2においてそれぞれの界面活性剤をAG−Aに代えるほかは同様にして研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物濃縮物を調製した。
得られた研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物を用いて、エッチングテスト、研磨テスト1および濡れ性テストを行った。その結果を表2に示した。
【0059】
(実施例5)
実施例1において界面活性剤をAG−Bに代えるほかは同様にして研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物濃縮物を調製した。
得られた研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物を用いて、エッチングテスト、研磨テスト1および濡れ性テストを行った。その結果を表2に示した。
【0060】
(比較例1および2)
実施例1および2において、ともに界面活性剤の使用を省略するほかは同様にして研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物濃縮物を調製し比較例1および2とした。得られた研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物を用いて、エッチングテスト、研磨テスト1および濡れ性テストを行った。その結果を表2に示した。
【0061】
(比較例3)
実施例1において、界面活性剤をPEGに代えるほかは同様にして研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物濃縮物を調製し、エッチングテスト、研磨テスト1および濡れ性テストを行った。その結果を表2に示した。
【0062】
(比較例4および5)
実施例1および2において、それぞれ界面活性剤をPOEAE−Aに代えるほかは同様にして研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物濃縮物を調製し、研磨テスト1および濡れ性テストを行った。その結果を表2に示した。エッチングテストは省略した。
【0063】
(比較例6〜8)
実施例1において、界面活性剤溶液量を1.00重量部に変えて、かつ界面活性剤をPOEAE−B(比較例6)、POEAE−C(比較例7)またはPOEAPE−A(比較例8)に代えるほかは同様にして研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物濃縮物を調製し、研磨テスト1および濡れ性テストを行った。その結果を表2に示した。エッチングテストは省略した。
【0064】
【表2】
【0065】
アルカノールアミドまたはアルキルグルコシドを添加した研磨用組成物濃縮物または研磨用組成物(実施例1〜5)では、テスト全てで良であった。
比較例1〜8では、エッチングテスト、研磨テスト1または濡れ性テストにおいて劣っていた。
【0066】
(実施例6)
調製例3の調製法に従って、界面活性剤としてAA−Aを用いて界面活性剤1%溶液4.50重量部、コロイダルシリカ・スラリー54.1重量部、HEC溶解液21.5重量部、4%NH水2.88重量部、PEG・PPG混合溶液4.50重量部および水12.5重量部を混合して研磨用組成物濃縮物を調製した。得られた研磨用組成物濃縮物に含有される界面活性剤、砥粒、NH、HECおよびその他の成分の濃度を表3に表示した。
本実施例で用いたPEG・PPG混合溶液は、三洋化成工業株式会社製PEG−6000Sを8000ppmと、同社製ニューポールPP1000を2000ppmを含有する水溶液である。
続いて得られた研磨用組成物濃縮物をイオン交換水により表3に記載の希釈率で希釈して研磨用組成物を調製した。
得られた研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物を用いて、研磨テスト2を行った。その結果を表3に示した。
【0067】
研磨テスト2において、ヘイズは、下記比較例9の値を100とした相対値で示した。95未満であれば良(◎)、95以上105未満は可(○)、105以上は不良(×)と判断した。
また、パーティクル(26nm以上)は、下記比較例9の値を100とした相対値で示した。90未満であれば良(◎)、90以上200未満は可(○)、200以上は不良(×)と判断した。
【0068】
(実施例7〜8)
実施例6において、界面活性剤をAG−A(実施例7)またはAG−B(実施例8)に代えるほかは同様にして研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物を調製し、研磨テスト2を行った。その結果を表3に示した。
【0069】
(比較例9)
実施例6において、界面活性剤の使用を省略するほかは同様にして研磨用組成物濃縮物および研磨用組成物を調製し、研磨テスト2を行った。その結果を表3に示した。
【0070】
【表3】
【0071】
表3の結果からアルカノールアミドまたはアルキルグルコシドを添加した研磨用組成物(実施例6〜8)では、ヘイズは全て良(◎)であり、パーティクルも全て可(○)以上であった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明により提供される研磨用組成物はウェハ保護能力(耐アルカリエッチング性)に優れ、その結果良好なヘイズ値低下が期待できる。
本発明によって、研磨直後のシリコンウェハ表面に適度な親水性を持たせることができる研磨用組成物が提供されるので、砥粒や研磨の際に生じる微細シリコン屑を洗い流して除去することが容易となる。その結果良好な表面品質の実現が期待できる研磨用組成物が提供される。
本発明によって提供される研磨用組成物は、ウェハ保護能力(耐アルカリエッチング性)に優れ、研磨後のウェハに適度な濡れ性を付与できる研磨用組成物である。
本発明によって提供される研磨用組成物は、各種被研磨物の研磨剤として使用するものであり、特には、半導体基板の製造過程における、シリコンウェハの研磨工程に好適に用いることができる。さらには、本発明の研磨用組成物は、半導体基板の製造用ベアシリコンウェハの最終研磨に適した研磨用組成物である。