(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1つのアルカリ金属化合物と、カルボキシル基を有する重合体が架橋された樹脂である第一の樹脂とを含む第一の層(A)と、
アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1つのアルカリ金属化合物と、脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位を有する樹脂である第二の樹脂とを含む第二の層(B)と、
疎水性多孔膜(C)と、
を含み、
前記第一の層(A)、前記第二の層(B)及び前記疎水性多孔膜(C)が、この順に積層されたCO2ガス分離膜。
前記第二の樹脂が、脂肪酸のビニルエステルを部分的に鹸化して得られるポリビニルアルコール又はビニルアルコールとアクリル酸との共重合体である請求項1に記載のCO2ガス分離膜。
前記第一の層(A)及び前記第二の層(B)に含まれる全てのアルカリ金属化合物の合計含有量が、前記第一の樹脂及び前記第二の樹脂の合計量1質量部に対して0.5質量部〜20質量部である請求項1〜6のいずれか1項に記載のCO2ガス分離膜。
前記第一の層(A)及び前記第二の層(B)に含まれる前記アルカリ金属化合物が、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれる少なくとも1つのアルカリ金属の炭酸塩又は水酸化物である請求項1〜7のいずれか1項に記載のCO2ガス分離膜。
前記疎水性多孔膜(C)が、セラミック、含フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン及びポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも1つの材料からなる請求項1〜9のいずれか1項に記載のCO2ガス分離膜。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<CO
2ガス分離膜及びその製造方法>
本発明のCO
2ガス分離膜は、下記の第一の層(A)、第二の層(B)及び疎水性多孔膜(C)を含むCO
2ガス分離膜である。
(A)アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1つのアルカリ金属化合物と、カルボキシル基を有する重合体が架橋された樹脂(第一の樹脂)とを含む第一の層、
(B)アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1つのアルカリ金属化合物と、脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位を有する樹脂(第二の樹脂)とを含む第二の層、及び
(C)疎水性多孔膜。
【0028】
(第一の樹脂)
第一の層(A)に含まれる第一の樹脂は、カルボキシル基を有する重合体が架橋されている樹脂である。第一の樹脂は、カルボキシル基を有する重合体の分子鎖同士の架橋による網目構造を有している。第一の樹脂は、CO
2ガス分離膜の保水性を高めるとともに、耐圧強度を高めるうえで好ましい。CO
2ガス分離膜には、ガスが当該膜を透過するための推進力として大きな圧力差が印加されるため、耐圧強度が要求される。第一の樹脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
カルボキシル基を有する重合体としては、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体を1種又は2種以上含む単量体組成物を重合してなる重合体が挙げられ、具体的には、ポリアクリル酸、ポリイタコン酸、ポリクロトン酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。中でも、カルボキシル基を有する重合体は、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの誘導体に由来する構造単位を有することが好ましい。具体的には、カルボキシル基を有する重合体は、アクリル酸の重合体であるポリアクリル酸、メタクリル酸の重合体であるポリメタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体であるアクリル酸−メタクリル酸共重合体であることが好ましく、ポリアクリル酸であることがより好ましい。
【0030】
第一の樹脂は、カルボキシル基を有する重合体を架橋剤と反応させて調製してもよいし、カルボキシル基又は加水分解反応によりカルボキシル基となるアルキルエステル基を有する単量体と架橋性単量体とを重合させて調製してもよい。第一の樹脂が有するカルボキシル基は、金属イオンにより中和することでそれらの全て又は一部がカルボキシラートに置き換わっていてもよい。上記金属イオンは、アルカリ金属カチオンであることが好ましい。上記中和反応のタイミングとしては、架橋された第一の樹脂を調製した後が好ましい。第一の樹脂が有するカルボキシル基の全て又は一部がカルボキシラートに置き換わった樹脂も第一の樹脂に属する。
【0031】
上記アルキルエステル基を有する単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸へキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル等の炭素数1〜16のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル;イタコン酸メチル、イタコン酸エチル、イタコン酸プロピル、イタコン酸ブチル、イタコン酸へキシル、イタコン酸オクチル、イタコン酸ラウリル等の炭素数1〜16のアルキル基を有するイタコン酸アルキルエステル;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸ブチル、クロトン酸へキシル、クロトン酸オクチル、クロトン酸ラウリル等の炭素数1〜16のアルキル基を有するクロトン酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸へキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル等の炭素数1〜16のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
【0032】
上記架橋性単量体及び上記架橋剤としては、特に限定はなく、従来公知のものが使用できる。上記架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル等が挙げられる。上記架橋剤としては、例えば、エポキシ架橋剤、多価グリシジルエーテル、多価アルコール、多価イソシアネート、多価アジリジン、ハロエポキシ化合物、多価アルデヒド、多価アミン、有機金属系架橋剤、金属系架橋剤等が挙げられる。上記架橋性単量体及び上記架橋剤は、耐アルカリ性を有することが好ましい。架橋方法としては、熱架橋、紫外線架橋、電子線架橋、放射線架橋、光架橋等や、特開2003−268009号公報、特開平7−88171号公報に記載されている方法等、従来公知の手法が使用できる。架橋された第一の樹脂を調製するタイミングとしては、特に限定はないが、後述するCO
2キャリアと混合する前に実施することが好ましい。
【0033】
第一の樹脂として、市販品を使用することができる。ポリアクリル酸が架橋された樹脂としては、例えば、アクペック(登録商標、住友精化社製)、サンフレッシュ(登録商標、三洋化成社製)等が挙げられる。
【0034】
(第二の樹脂)
本発明のCO
2ガス分離膜は、第一の層(A)、第二の層(B)及び疎水性多孔膜(C)を含む。CO
2ガス分離膜がカルボキシル基を有する重合体が架橋された第一の樹脂を含む第一の層(A)と、疎水性多孔膜(C)とで構成される場合と比較し、さらに脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位を有する第二の樹脂を含む第二の層(B)を積層することにより、製膜性を向上させることができる。第二の樹脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
第二の樹脂は、脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位を部分的に鹸化することで得られるものであることができ、この場合、鹸化された脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位は親水性を示すビニルアルコール単位となる。したがって、第二の樹脂の構造に疎水性を示す脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位が残存していると、この疎水性を示す脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位と疎水性多孔膜(C)との親和性によりピンホール等の膜欠陥が抑制され、製膜性が向上する。ここで、鹸化度とは、脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位の内の何%が鹸化(加水分解)されているかを表す。鹸化度としては、50%以上100%未満の範囲が好ましく、60%以上100%未満の範囲がより好ましい。鹸化度の調整は、特開昭52−107096号公報、特開昭52−27455号公報、特許第5598630号公報等に記載されている従来公知の樹脂製造法を参考に実施することができる。
【0036】
第二の樹脂は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の炭素数2〜16の脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位を有することができる。このような樹脂としては、上記脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位を部分的に鹸化して得られた、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−エチレン共重合体、ビニルアルコール−アクリル酸共重合体、ビニルアルコール−メタクリル酸共重合体、ビニルアルコール−ビニルスルホン酸共重合体等が挙げられる。中でも、第二の樹脂は、脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位を部分的に鹸化して得られた、ポリビニルアルコール又はビニルアルコール−アクリル酸共重合体であることが好ましい。
【0037】
第二の樹脂として、カルボキシル基を有する重合体、例えばビニルアルコール−アクリル酸共重合体等を用いる場合、上記カルボキシル基は、第一の樹脂と同様に、金属イオンにより中和することにより、それらの全て又は一部がカルボキシラートに置き換わっていてもよい。金属イオンは、アルカリ金属カチオンであることが好ましい。第二の樹脂が有するカルボキシル基の全て又は一部がカルボキシラートに置き換わった樹脂も第二の樹脂に属する。
【0038】
(CO
2キャリア)
本発明のCO
2ガス分離膜は、ガス分子の膜への溶解性と膜中の拡散性との差を利用した溶解・拡散機構に加えて、CO
2と可逆的に反応するCO
2キャリアと呼ばれる物質を用い、CO
2キャリアとの反応生成物として特定ガスの透過を促進する促進輸送機構により、特定ガスの高い透過選択性を実現している。下記式(1)は、CO
2キャリアに炭酸セシウム(Cs
2CO
3)を使用した場合における、CO
2とCO
2キャリアとの反応を示している。下記式(1)で示される反応は、可逆反応である。
【0040】
本発明のCO
2ガス分離膜が備える第一の層(A)及び第二の層(B)は、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1つのアルカリ金属化合物(以下、「CO
2キャリア」と記す場合がある。)を含む。このCO
2キャリアは、上記式(1)に示されるように、第一の層(A)及び第二の層(B)において水に溶解したCO
2と可逆的に反応することでCO
2を選択透過する役割を果たしている。第一の層(A)及び第二の層(B)はそれぞれ、CO
2キャリアを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
【0041】
第一の層(A)及び第二の層(B)に含まれる前記アルカリ金属化合物(「CO
2キャリア」)は、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれる少なくとも1つのアルカリ金属の炭酸塩、重炭酸塩又は水酸化物であることが好ましく、炭酸塩又は水酸化物であることがより好ましい。アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、及び炭酸セシウム等が挙げられる。アルカリ金属重炭酸塩としては、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ルビジウム、及び重炭酸セシウム等が挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、及び水酸化セシウム等が挙げられる。
【0042】
第一の層(A)及び第二の層(B)に含まれる前記アルカリ金属化合物(「CO
2キャリア」)は、潮解性を示すアルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属水酸化物であることがさらに好ましく、水への溶解度が高い炭酸セシウム又は水酸化セシウムであることが特に好ましい。
【0043】
CO
2パーミアンスをさらに向上させる観点からは、添加するアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩又はアルカリ金属水酸化物をCO
2キャリアとして機能させるために、第一の樹脂及び第二の樹脂が有するカルボキシル基は、CO
2キャリアを構成するアルカリ金属のカチオンにより中和されていることが好ましい。
【0044】
本発明のCO
2ガス分離膜が備える第一の層(A)及び第二の層(B)には、CO
2キャリアに由来するアルカリ金属化合物のほか、第一の樹脂及び第二の樹脂が有するカルボキシル基の中和反応に用いられたアルカリ金属化合物等、種々のアルカリ金属化合物が含まれ得る。CO
2ガス分離膜の第一の層(A)及び第二の層(B)に含まれるこれら全てのアルカリ金属化合物の合計含有量は、第一の樹脂及び第二の樹脂の合計量1質量部に対して0.5質量部〜20質量部であることが好ましい。アルカリ金属化合物の合計含有量が、第一の樹脂及び第二の樹脂の合計量1質量部に対して0.5質量部未満であると、所期のCO
2選択透過性が得られないおそれがある。一方、アルカリ金属化合物の含有量が、第一の樹脂及び第二の樹脂の合計量1質量部に対して20質量部を超えると、製膜性が悪くなるおそれがある。アルカリ金属化合物の合計含有量は、より好ましくは、第一の樹脂及び第二の樹脂の合計量1質量部に対して1質量部〜15質量部である。
【0045】
第一の層(A)及び第二の層(B)それぞれに含まれるアルカリ金属化合物は、同種であっても異種であってもよい。また、第一の層(A)及び第二の層(B)はそれぞれ、アルカリ金属化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
【0046】
(疎水性多孔膜)
本発明のCO
2ガス分離膜は、疎水性多孔膜(C)として、膜透過したガス成分の拡散抵抗とならないガス透過性の高い疎水性多孔膜を備える。第一の層(A)又は第二の層(B)を多孔膜の一方面に接して積層する場合は、多孔膜として疎水性多孔膜(C)を使用することによって、第一の層(A)内又は第二の層(B)内の水分が多孔膜の細孔に浸入することが抑制されるため、CO
2パーミアンスの低下を抑えることができる。疎水性多孔膜(C)の一方面に接して積層する層は、第二の層(B)であることが好ましい。この場合、第一の層(A)は、疎水性多孔膜(C)と接していない第二の層(B)の面(表面)に接して積層される。
【0047】
本発明のCO
2ガス分離膜の適用が想定される水素製造、尿素製造等のプロセスでは、ガス分離膜の使用温度が100℃以上となるため、疎水性多孔膜(C)等のガス分離膜を構成する部材の耐熱性は、100℃以上であることが好ましい。
【0048】
「疎水性」とは25℃における水の接触角が90°以上であることを意味する。「100℃以上の耐熱性」とは、多孔膜等の部材を100℃以上の温度条件下に2時間保存した後も保存前の形態が維持され、熱収縮又は熱溶融による目視で確認し得るカールが生じないことを意味する。
【0049】
疎水性多孔膜(C)を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルスルホン;ポリイミド;高分子量ポリエステル;耐熱性ポリアミド;アラミド;ポリカーボネート等の樹脂材料;金属、ガラス、セラミック等の無機材料等が挙げられる。これらの中でも、撥水性と耐熱性の面から、PTFE、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、セラミックが好ましく、さらには、PTFEが、微小孔径を得やすいこと、気孔率を高くできるために分離のエネルギー効率が良いこと等の理由からより好ましい。
【0050】
疎水性多孔膜(C)の厚さに特に限定はないが、機械的強度の観点からは、通常、10μm〜3000μmの範囲が好ましく、より好ましくは10μm〜500μmの範囲であり、さらに好ましくは15μm〜150μmの範囲である。
【0051】
疎水性多孔膜(C)の細孔の平均孔径(平均細孔径)に特に限定はないが、ガス透過性の観点から、10μm以下が好ましく、より好ましくは0.005μm〜1.0μmの範囲である。疎水性多孔膜(C)の空孔率は、分離のエネルギー効率の観点から、5%〜99%の範囲が好ましく、より好ましくは30%〜90%の範囲である。
【0052】
本発明のCO
2ガス分離膜において、第一の樹脂を含む第一の層(A)と第二の樹脂を含む第二の層(B)の積層順に限定はない。例えば、第一の樹脂を含む第一の層(A)の一方の面と第二の樹脂を含む第二の層(B)の一方の面とが接し、第一の層(A)の他方の面又は第二の層(B)の他方の面のいずれかと疎水性多孔膜(C)の一方の面とが接して、第一の層(A)、第二の層(B)及び疎水性多孔膜(C)が積層される。この場合、CO
2の透過性能(パーミアンス)の観点から、第一の層(A)及び第二の層(B)のうち、疎水性多孔膜(C)と接していない層の目付け量(単位面積当たりの固形分量)は、疎水性多孔膜(C)と接している層の目付け量よりも多いことが好ましい。また、CO
2の透過性能(パーミアンス)の観点から、第二の樹脂よりも保水性の高い第一の樹脂を含む第一の層(A)、第二の樹脂を含む第二の層(B)、疎水性多孔膜(C)の順に積層されていることが好ましい。
【0053】
(添加剤)
第一の層(A)及び第二の層(B)には、上記CO
2キャリアの他、CO
2水和反応触媒が含有されていてもよい。
【0054】
前記CO
2水和反応触媒は、下記式(2)に示すCO
2水和反応の反応速度を増加させる触媒である。なお、下記式(2)で示される反応は、可逆反応である。
【0056】
CO
2とCO
2キャリアとの反応は、総括反応式としては、下記式(3)のように示される。但し、式(3)ではCO
2キャリアが炭酸塩である場合を想定している。下記式(3)で示される反応は、可逆反応である。当該反応の素反応の1つである上記CO
2水和反応が無触媒条件下では遅い反応であるので、触媒の添加により当該素反応を促進させることで、CO
2とCO
2キャリアとの反応を促進させることができ、結果として、CO
2の透過速度の向上が期待される。
【0058】
したがって、第一の層(A)及び第二の層(B)にCO
2キャリアとCO
2水和反応触媒とが含まれると、CO
2とCO
2キャリアとの反応が促進され、CO
2パーミアンス及びCO
2選択透過性が大幅に向上する。高CO
2分圧下においてもCO
2水和反応触媒が有効に機能するため、高CO
2分圧下におけるCO
2パーミアンス及びCO
2選択透過性も大幅に向上する。
【0059】
CO
2水和反応触媒は、オキソ酸化合物を含むことが好ましく、特に、14族元素、15族元素、及び、16族元素の中から選択される少なくとも1つの元素のオキソ酸化合物を含んで構成されることが好ましく、さらには亜テルル酸化合物、亜セレン酸化合物、亜ヒ酸化合物、及び、オルトケイ酸化合物の内の少なくとも1つを含んで構成されることがより好ましい。より具体的には、亜テルル酸カリウム(K
2TeO
3、融点:465℃)、亜テルル酸ナトリウム(Na
2TeO
3、融点:710℃)、亜テルル酸リチウム(Li
2O
3Te、融点:約750℃)、亜セレン酸カリウム(K
2O
3Se、融点:875℃)、亜ヒ酸ナトリウム(NaO
2As、融点:615℃)、オルトケイ酸ナトリウム(Na
4O
4Si、融点:1018℃)等が好適に使用される。これらの中でも、より好ましくは亜テルル酸化合物であり、さらに好ましくは亜テルル酸カリウム又は亜テルル酸ナトリウムである。第一の層(A)及び第二の層(B)はそれぞれ、CO
2水和反応触媒を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
【0060】
CO
2水和反応触媒の融点が200℃以上であると、当該触媒が熱的に安定して親水性樹脂からなる層内に存在し得るため、CO
2ガス分離膜の性能を長期に亘って維持できる。CO
2水和反応触媒が水溶性であれば、CO
2水和反応触媒を含む分離機能層の作製が容易且つ安定的に行える。CO
2水和反応触媒として、亜テルル酸化合物、亜ヒ酸化合物、又は、亜セレン酸化合物を使用した場合、何れも水溶性で融点が200℃以上であり、安定した膜性能改善が期待できる。
【0061】
(CO
2ガス分離膜の製造方法)
本発明に係るCO
2ガス分離膜の製造方法について説明する。第1工程として、上記アルカリ金属化合物と、カルボキシル基を有する重合体が架橋された樹脂である第一の樹脂と、媒質とを含む第一の塗工液、又は、上記アルカリ金属化合物と、脂肪酸のビニルエステルに由来する構造単位を有する樹脂である第二の樹脂と、媒質とを含む第二の塗工液を、疎水性多孔膜(C)の少なくとも一方の面に塗布する。
【0062】
第一の塗工液1と第二の塗工液を調製するために使用する媒質としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコールなどのプロトン性極性媒質;トルエン、キシレン、ヘキサン等の無極性媒質;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性媒質等が挙げられる。これらを単独、又は相溶する範囲で複数混合して媒質として用いることができる。これらの中でも、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1つが含まれる媒質が好ましく、より好ましくは水が含まれる媒質である。
【0063】
塗工液を疎水性多孔膜(C)に塗布する際の温度は、組成や濃度に応じて適宜決定すればよいが、温度が高すぎると塗工液から媒質が多量に蒸発して組成濃度が変化したり、塗布物(塗布層)に蒸発痕が残ったりするおそれがあるので、室温以上であり、且つ、使用媒質の沸点の5℃以下の温度範囲であることが好ましい。例えば、媒質として水を用いた場合には、15℃〜95℃の温度範囲で塗工液を疎水性多孔膜(C)に塗布することが好ましい。
【0064】
塗工液を疎水性多孔膜(C)に塗布する方法としては、特に制限はなく、例えばスピンコート法、バー塗布、ダイコート塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビアコート、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、コンマロール法、キスコート法、スクリーン印刷、インクジェット印刷等が挙げられる。塗工液の塗布量は、塗工液に含まれる樹脂の種類に応じて調整することが好ましい。第一の樹脂を含む塗工液を塗布する場合の目付け量(単位面積当たりの固形分量)としては、0.1g/m
2〜1000g/m
2が挙げられ、0.1g/m
2〜500g/m
2であることが好ましく、0.5g/m
2〜300g/m
2であることがより好ましく、1g/m
2〜100g/m
2であることがさらに好ましい。第二の樹脂を含む塗工液を塗布する場合の目付け量としては、1g/m
2〜1000g/m
2が挙げられ、2g/m
2〜750g/m
2であることが好ましく、4g/m
2〜500g/m
2であることがより好ましく、5g/m
2〜100g/m
2であることがさらに好ましい。目付け量の調整は、塗布物の形成速度(例えば、塗工液が塗布される疎水性多孔膜(C)の搬送速度)や塗工液の濃度、塗工液の吐出量等で制御できる。
【0065】
第2工程として、第1工程で形成した塗布物(塗布層)から媒質を除去して第一の層(A)又は第二の層(B)を得る。媒質の除去方法に特に限定はなく、従来公知の方法を用いることができるが、加熱された空気等を通風させることにより塗布物を乾燥させて媒質を蒸発除去する方法が好ましい。例えば、所定温度及び所定湿度に調整された通風乾燥炉に塗布物を搬入して、塗布物から媒質を蒸発除去する。これにより第一の層(A)又は第二の層(B)が形成される。
【0066】
乾燥温度は、塗工液の媒質及び疎水性多孔膜(C)の種類に応じて適宜決定すればよい。通常、媒質の凝固点よりも高く且つ疎水性多孔膜(C)の融点よりも低い温度とするのが好ましく、一般に、80℃〜200℃の範囲が好適である。
【0067】
媒質除去操作は、塗布物に含まれる媒質が所定濃度以下になるまで行う。具体的には、第2工程で得られた第一の層(A)又は第二の層(B)に含まれる媒質の含有率が、1重量%〜34重量%の範囲に達するまで行うことが好ましい。
【0068】
第3工程として、第2工程で得られた第一の層(A)又は第二の層(B)の面(表面)に、第一の塗工液及び第二の塗工液のうち第1工程で塗布した塗工液とは異なる塗工液を塗布する。塗工液を塗布する方法は、第1工程で塗工液を塗布した方法と異なっていてもよいが、同じ方法であることが好ましい。第3工程において塗工液を塗布する際の温度は、第1工程において塗工液を塗布する際と同様に、塗布する塗工液の組成や濃度に応じて適宜決定すればよい。塗工液の塗布量は、第1工程と同様に、塗工液に含まれる樹脂の種類に応じて調整することが好ましい。
【0069】
第4工程として、第3工程で得られた塗布物(塗布層)から媒質を除去して第一の層(A)又は第二の層(B)を得る。媒質の除去方法は、第2工程に適用した方法と異なっていてもよいが、第2工程と同じことが好ましい。乾燥温度は、第2工程と同様に、塗工液の媒質及び疎水性多孔膜(C)の種類に応じて適宜決定すればよい。
【0070】
第1工程において、疎水性多孔膜(C)の少なくとも一方の面に第二の塗工液を塗布し、第2工程において第二の層(B)を得、第3工程において、第二の層(B)の面に第一の塗工液を塗布し、第4工程において第一の層(A)を得るCO
2ガス分離膜の製造方法が好ましい。この場合、CO
2選択透過性の観点から、第一の樹脂を含む第一の層(A)の目付け量が2g/m
2〜500g/m
2であり第二の樹脂を含む第二の層(B)の目付け量が1g/m
2〜20g/m
2であることが好ましく、第一の樹脂を含む第一の層(A)の目付け量が10g/m
2〜300g/m
2であり第二の樹脂を含む第二の層(B)の目付け量が2g/m
2〜15g/m
2であることがより好ましい。また、CO
2選択透過性の観点から、第一の層(A)の目付け量が第二の層(B)の目付け量より多いことが好ましく、第一の層(A)の目付け量に対する第二の層(B)の目付け量の比(以下、単に「目付け量比」ということがある。)、すなわち、第二の層(B)の目付け量を第一の層(A)の目付け量で除した値は、0.04〜0.5の範囲内であることが好ましく、0.05〜0.2の範囲内であることがより好ましい。
【0071】
<CO
2ガス分離膜モジュール及びCO
2ガス分離装置>
本発明に係るCO
2ガス分離膜モジュールは、上記本発明のCO
2ガス分離膜を備えるものであり、スパイラル型、円筒型、中空糸型、プリーツ型、プレート&フレーム型等いずれであってもよい。
図1に、本発明に係るCO
2ガス分離膜を用いたスパイラル型CO
2ガス分離膜モジュールの構造を、一部切り欠きを設けて概説した図で示す。
【0072】
図1に示すスパイラル型CO
2ガス分離膜モジュールMは、CO
2ガス分離膜21と供給側流路材22と透過側流路材23とが積層された積層体2が、複数の穴31が形成された中空の集ガス管3の外周に複数回巻き付けられた構造を有する。供給側流路材22と透過側流路材23とは、供給されるCO
2と水蒸気とを含む混合気体及びCO
2ガス分離膜21を透過した透過ガスの乱流(膜面の表面更新)を促進して供給流体中のCO
2の膜透過速度を増加させる機能と、供給側の圧損をできるだけ小さくする機能とが備わっていることが好ましい。供給側流路材22及び透過側流路材23としては、スペーサーとしての機能と、混合気体に乱流を生じさせる機能とを備えていることが好ましいことから、網目状のものが好適に用いられる。網目の単位格子の形状は、網目の形状により混合気体の流路が変わることから、目的に応じて、例えば、菱形、平行四辺形等の形状から選択して用いられる。供給側流路材22及び透過側流路材23を構成する材料は、特に限定はないが、本発明のガス分離膜が100℃以上の温度条件下で使用されることから、耐熱性を有する材料であることが好ましく、前述の疎水性多孔膜(C)の材料として挙げた材料がここでも同様に好ましく用いられる。
【0073】
本発明に係るCO
2ガス分離装置は、上記本発明のCO
2ガス分離膜モジュールと、少なくともCO
2と水蒸気とを含む混合気体を供給するための気体供給部とを備える。気体供給部は、CO
2と水蒸気とを含む混合気体をCO
2ガス分離膜の一方面側に供給するための供給口を含んでおり、上記CO
2ガス分離膜モジュールの供給口自体であってもよく、上記CO
2ガス分離膜モジュールが収容され、収容されたCO
2ガス分離膜モジュールの供給口と連通する供給側空間がその内部に形成される容器形状のガス供給用部材であってもよい。上記供給口は、CO
2ガス分離膜又はこれを含む積層体の一方面であってもよく、CO
2ガス分離膜又はこれを含む積層体の端面であってもよい。例えば、
図1に示すスパイラル型CO
2ガス分離膜モジュールMにおいて、供給口24は、CO
2ガス分離膜21又はこれを含む積層体2の一方又は両方の端面であってもよい。
【0074】
<CO
2の分離方法>
本発明に係るCO
2の分離方法は、上記本発明に係るCO
2ガス分離膜の一方面側に、少なくともCO
2と水蒸気とを含む混合気体を供給する工程と、CO
2ガス分離膜の他方面側から、前記混合気体から分離されたCO
2を回収する工程とを含む。上記のような構成のスパイラル型CO
2ガス分離膜モジュールMにおいては、CO
2と水蒸気とを含む混合気体は、CO
2ガス分離膜モジュールMの供給口24から矢印Aで示す方向に供給され、供給側流路材22を流れる間に、混合気体中のCO
2がCO
2ガス分離膜21を透過し、分離されたCO
2は透過側流路材23を流れて集ガス管3に集積され、集ガス管3の排出口32から回収される。供給側流路材22の空隙を通過した、CO
2が分離された残余の混合気体は、CO
2ガス分離膜モジュールMの排出口25から排出される。集ガス管3には不活性ガス等から選ばれるスイープガスが供給されてもよい。
【実施例】
【0075】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0076】
(実施例1)
水80gと、架橋ポリアクリル酸(住友精化社製「アクペックHV−501」)2gとを、撹拌にて混合した。当該混合物に、炭酸セシウム9.3g、亜テルル酸カリウム0.7gを加え、さらに撹拌にて混合し、塗工液I−1を得た。
【0077】
水80gと、特許第5598630号公報に記載の製造方法によって得られたビニルアルコールとアクリル酸との共重合体(アクリル酸部位のカルボキシル基がCs塩を形成、鹸化度:82%)4.2gとを、撹拌にて混合した。当該混合物に、炭酸セシウム9.9g、亜テルル酸カリウム1.5gを加え、さらに撹拌にて混合して塗工液I−2を得た。
【0078】
次に、得られた塗工液I−2を、疎水性PTFE多孔膜(住友電工ファインポリマー社製「ポアフロンHP−010−50」、膜厚50μm、平均細孔径0.1μm)の面上に塗布した後、塗布後の疎水性PTFE多孔膜を温度120℃程度で5分間以上乾燥させて樹脂層I−2を得た。その後、樹脂層I−2の面上に塗工液I−1を塗布した後、再度、温度120℃程度で5分間以上乾燥させることで樹脂層I−1を積層し、疎水性PTFE多孔膜上にCO
2の分離機能層を備えるシート状のガス分離膜Iを得た。樹脂層I−1(第一の層(A)に相当)の目付け量は66g/m
2であり、樹脂層I−2(第二の層(B)に相当)の目付け量は5g/m
2であり、上記目付け量比は0.076である。
【0079】
(実施例2)
実施例1の塗工液I−1の調製工程において、加える炭酸セシウムを11.6gに増量して塗工液II−1を得たこと以外は、実施例1と同様にしてガス分離膜IIを得た。樹脂層II−1(第一の層(A)に相当)の目付け量は68g/m
2であり、樹脂層II−2(第二の層(B)に相当)の目付け量は7.6g/m
2であり、上記目付け量比は0.11である。
【0080】
(実施例3)
実施例1の塗工液I−1の調製工程において、加える炭酸セシウムを14.0gに増量して塗工液III−1を得たこと以外は、実施例1と同様にしてガス分離膜IIIを得た。樹脂層III−1(第一の層(A)に相当)の目付け量は79g/m
2であり、樹脂層III−2(第二の層(B)に相当)の目付け量は7.6g/m
2であり、上記目付け量比は0.096である。
【0081】
(実施例4)
水80gと、架橋ポリアクリル酸(住友精化社製「アクペックHV−501」)2gとを、撹拌にて混合した。当該混合物に、炭酸セシウム9.3g、亜テルル酸カリウム0.7gを加え、さらに撹拌にて混合し、塗工液IV−1を得た。
【0082】
水80gと、特許第5598630号公報に記載の製造方法によって得られたビニルアルコールとアクリル酸との共重合体(アクリル酸部位のカルボキシル基がCs塩を形成、鹸化度:82%)4.2gとを、撹拌にて混合した。当該混合物に、炭酸セシウム9.9g、亜テルル酸カリウム1.5gを加え、さらに撹拌にて混合して塗工液IV−2を得た。
【0083】
次に、得られた塗工液IV−1を、疎水性PTFE多孔膜(住友電工ファインポリマー社製「ポアフロンHP−010−50」、膜厚50μm、平均細孔径0.1μm)の面上に塗布した後、塗布後の疎水性PTFE多孔膜を温度120℃程度で5分間以上乾燥させて樹脂層IV−1を得た。その後、樹脂層IV−1の面上に塗工液IV−2を塗布した後、再度、温度120℃程度で5分間以上乾燥させることで樹脂層IV−2を積層し、疎水性PTFE多孔膜上にCO
2の分離機能層を備えるシート状のガス分離膜IVを得た。樹脂層IV−1(第一の層(A)に相当)の目付け量は33g/m
2であり、樹脂層IV−2(第二の層(B)に相当)の目付け量は60g/m
2であり、上記目付け量比は1.8である。実施例4では、実施例1〜3とは異なり、第一の層(A)が第二の層(B)より先に形成されており、第一の層(A)の目付け量が第二の層(B)の目付け量より少ない。
【0084】
(比較例1)
水80g、脂肪族のビニルエステルに由来する構造単位を有する親水性樹脂として特許第5598630号公報に記載の製造方法によって得られたビニルアルコールとアクリル酸との共重合体(アクリル酸部位のカルボキシル基がCs塩を形成、鹸化度:82%)3g、炭酸セシウム7.0g、亜テルル酸カリウム1.1gを加えて攪拌にて混合し、塗工液V−2を得た。
【0085】
次に、得られた塗工液V−2を、疎水性PTFE多孔膜(住友電工ファインポリマー社製「ポアフロンHP−010−50」、膜厚50μm、平均細孔径0.1μm)の面上に塗布した後、塗布後の疎水性PTFE多孔膜を温度120℃程度で5分間以上乾燥させて、疎水性PTFE多孔膜上にCO
2の分離機能層を備えるガス分離膜を作製した。さらに、塗工液の塗布と乾燥を複数回繰り返し、シート状のガス分離膜Vを得た。ガス分離膜V(第二の層(B)に相当)の目付け量は100g/m
2である。
【0086】
(比較例2)
水188g、カルボキシル基を有する重合体が架橋された親水性樹脂として架橋ポリアクリル酸(住友精化社製「アクペックHV−501」)4g、水酸化セシウム−水和物9.3gを、撹拌にて混合することにより中和反応を行った。中和反応終了後、炭酸セシウム9.0g、亜テルル酸カリウム1.5g、界面活性剤(AGCセイミケミカル社製「サーフロンS−242」)1.2gを加えて混合し、塗工液VI−1を得た。
【0087】
次に、得られた塗工液VI−1を、疎水性PTFE多孔膜(住友電工ファインポリマー社製「ポアフロンHP−010−50」、膜厚50μm、平均細孔径0.1μm)の面上に塗布した後、塗布後の疎水性PTFE多孔膜を温度120℃程度で5分間以上乾燥させて、疎水性PTFE多孔膜上にCO
2の分離機能層を備えるガス分離膜を作製した。さらに、塗工液の塗布と乾燥を複数回繰り返し、シート状のガス分離膜VIを得た。ガス分離膜VI(第一の層(A)に相当)の目付け量は100g/m
2である。
【0088】
(製膜性の評価)
図2に示す、CO
2ガス分離膜モジュール51を備えたCO
2ガス分離装置を用いてN
2ガス透過性能評価を行った。具体的には、実施例1、実施例4及び比較例2で作製したガス分離膜I、IV及びVIを適切な大きさにカットして平膜形状とし、これらを各々ステンレス製のCO
2分離膜モジュール51の供給側52(上述の気体供給部に相当)と透過側53との間に固定した。
【0089】
室温のN
2ガスをCO
2ガス分離膜モジュール51の供給側52に供給し、供給側52の圧力を900kPaAにまで昇圧した。また、透過側53の圧力を大気圧に調整した。供給側52の圧力の時間変化に基づいてN
2のパーミアンスを算出し、N
2のパーミアンス〔mol/(m
2・s・kPa)〕が5×10
−8mol/(m
2・s・kPa)以下であれば合格とした。実施例1、実施例4及び比較例2で作製したガス分離膜各10サンプルについて製膜性を評価した。結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
(CO
2分離性能の評価)
図2に示す、CO
2ガス分離膜モジュール51を備えたCO
2ガス分離装置を用いてCO
2分離を行った。具体的には、実施例1〜4及び比較例1〜2で作製したガス分離膜I〜VIを適切な大きさにカットして平膜形状とし、これらを各々ステンレス製のCO
2分離膜モジュール51の供給側52(上述の気体供給部に相当)と透過側53との間に固定した。
【0092】
原料ガス(CO
2:34.5%、N
2:52.8%、H
2O:12.7%)を7.03×10
−2mol/minの流量でCO
2ガス分離膜モジュール51の供給側52に供給し、スイープガス(H
2O:100%)を1.05×10
−2mol/minの流量でCO
2ガス分離膜モジュール51の透過側53に供給した。ここで、H
2Oは、水を定量送液ポンプ58及び60でそれぞれ送入し、加熱して蒸発させて、上記混合比率及び流量となるように調整した。供給側52の圧力は、排気ガスの排出路の途中の冷却トラップ54の下流側に設けられた背圧調整器55によって900kPaAに調整した。また、冷却トラップ56とガスクロマトグラフ57の間にも背圧調整器59が設けられており、これによって透過側53の圧力を大気圧に調整した。透過側53から排出されたスイープガス中の水蒸気を冷却トラップ56で除去した後のガス流量をガスクロマトグラフ57の分析結果に基づいて定量することにより、透過ガスに含まれるCO
2及びN
2それぞれのパーミアンス〔mol/(m
2・s・kPa)〕を算出し、その比より選択性(CO
2の選択透過性)を求めた。結果を表2に示す。
【0093】
図示していないが、CO
2ガス分離膜モジュール51、原料ガス及びスイープガスの温度を一定に維持するために、CO
2ガス分離膜モジュール51と、原料ガス及びスイープガスをCO
2ガス分離膜モジュール51に供給する配管は、所定の温度に設定した恒温槽内に設置されている。本評価は、CO
2ガス分離膜モジュール51、原料ガス及びスイープガスの温度を110℃として実施した。
【0094】
【表2】