(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
装置を構成する構成部品の状態を監視する部品管理制御部と、装置を構成する構成部品の作動状態から得られる装置データの健全性を監視する装置状態監視制御部と、工場設備から装置に提供される設備データを監視するデータ整合制御部と、を少なくとも有する装置管理コントローラを備え、
前記装置管理コントローラは、
前記部品管理制御部で取得される保守時期監視結果データと前記装置状態監視制御部で取得される装置状態監視結果データと前記データ整合制御部で取得される用力監視結果データよりなる群から選択される複数の監視結果データに基づき、装置の運用状態を評価した情報を導出するよう構成されている処理装置。
前記装置管理コントローラは、前記保守時期監視結果データと、前記装置状態監視結果データと、前記用力監視結果データよりなる群から選択される少なくとも一つの監視結果データのうち、異常と判定された監視結果データに基づき、前記装置の運用状態を評価した情報を導出するよう構成されている請求項1記載の処理装置。
前記装置管理コントローラは、装置の構成部位を含む複数の診断対象アイテムのそれぞれに対し、前記保守時期監視結果データまたは前記装置状態監視結果データについて、異常の程度を判定するよう構成されている請求項1記載の処理装置。
前記装置管理コントローラは、前記設備データと前記基準データとを比較し異常と判定された前記用力監視結果データの有無に応じて、異常が発生したことを示すアイコンを表示させるよう構成されている請求項4記載の処理装置。
前記データ整合制御部は、前記照合における装置名称が一致した場合、前記マスター装置からレシピファイルを取得し、該取得した前記マスター装置のレシピファイルをコピーして、当該処理装置のレシピファイルとするよう構成されている請求項6に記載の処理装置。
前記データ整合制御部は、前記照合における装置名称が一致した場合、前記マスター装置からパラメータファイルを取得し、該取得した前記マスター装置のパラメータファイルと、当該処理装置のパラメータファイルとを照合するよう構成されている請求項6に記載の処理装置。
前記データ整合制御部は、装置間のファイルをコピーまたは照合した結果、ファイル間で一致した割合を前記表示装置に表示させるよう構成されている請求項9記載の処理装置。
前記装置状態監視制御部は、装置を構成する構成部品の作動状態から得られる装置データと、前記装置データに対応する標準データとを比較し、前記装置データが異常か否かを判定するよう構成されている請求項1記載の処理装置。
前記装置状態監視制御部は、標準となる装置データを有するマスター装置と通信接続可能なように構成され、前記標準データを前記マスター装置から入手するように構成されている請求項11記載の処理装置。
前記部品管理制御部は、装置を構成する構成部品の部品データと、前記部品データに対応する閾値をそれぞれ比較し、前記部品データが閾値を超えたか否かにより、交換時期を判定するよう構成されている請求項1記載の処理装置。
装置を構成する構成部品の状態を監視する部品管理制御部と、装置を構成する構成部品の作動状態から得られる装置データの健全性を監視する装置状態監視制御部と、工場設備から装置に提供される設備データを監視するデータ整合制御部と、を少なくとも有し、
前記部品管理制御部で取得される保守時期監視結果データと前記装置状態監視制御部で取得される装置状態監視結果データと前記データ整合制御部で判定される用力監視結果データよりなる群から選択される複数の前記監視結果データに基づき、装置の運用状態を評価した情報を導出するよう構成されている装置管理コントローラ。
装置を構成する構成部品の状態を監視する部品管理制御部と、装置を構成する構成部品の作動状態から得られる装置データの健全性を監視する装置状態監視制御部と、工場設備から装置に提供される設備データを監視するデータ整合制御部と、を少なくとも含む装置管理コントローラに、
装置を構成する部品の保守時期を監視して保守時期監視結果データを出力する手順と、
装置が発生する装置データを標準データと比較し装置状態監視結果データを出力する手順と、
装置の設備データと該設備データに対応する基準データを比較して用力監視結果データを出力する手順と、
前記保守時期監視結果データと前記装置状態監視結果データと前記用力監視結果データよりなる群から選択される複数の前記監視結果データに基づき、装置の運用状態を評価した情報を導出する手順と、
を実行させるプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(基板処理装置の概要)
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。先ず、
図1、
図2に於いて、本発明が実施される基板処理装置(以下、単に装置と称すことがある)1について説明する。
【0011】
基板処理装置1は筐体2を備え、該筐体2の正面壁3の下部にはメンテナンスのために設けられた正面口4が開設され、正面口4は正面扉5によって開閉される。
【0012】
筐体2の正面壁3にはポッド搬入搬出口6が筐体2の内外を連通する様に開設されており、ポッド搬入搬出口6はフロントシャッタ7によって開閉され、ポッド搬入搬出口6の正面前方側にはロードポート8が設置されており、ロードポート8は載置されたポッド9を位置合せする様に構成されている。
【0013】
ポッド9は密閉式の基板搬送容器であり、図示しない工程内搬送装置によってロードポート8上に搬入され、又、ロードポート8上から搬出される様になっている。
【0014】
筐体2内の前後方向の略中央部に於ける上部には、回転式ポッド棚11が設置されており、該回転式ポッド棚11は複数個のポッド9を格納する様に構成されている。
【0015】
回転式ポッド棚11は垂直に立設されて間欠回転される支柱12と、該支柱12に上中下段の各位置に於いて放射状に支持された複数段の棚板13とを備えている。棚板13はポッド9を複数個載置した状態で格納する様に構成されている。
【0016】
回転式ポッド棚11の下方には、ポッドオープナ14が設けられ、該ポッドオープナ14はポッド9を載置し、又該ポッド9の蓋を開閉可能な構成を有している。
【0017】
ロードポート8、回転式ポッド棚11、ポッドオープナ14の間には、ポッド搬送機構15が設置されている。ポッド搬送機構15は、ポッド9を保持して昇降可能、水平方向に進退可能となっており、ロードポート8、回転式ポッド棚11、ポッドオープナ14の間でポッド9を搬送する様に構成されている。
【0018】
筐体2内の前後方向の略中央部に於ける下部には、サブ筐体16が後端に亘って設けられている。該サブ筐体16の正面壁17にはウェーハ(以後、基板ともいう)18をサブ筐体16内に対して搬入搬出する為のウェーハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)19が一対、上下2段に並べられて開設されている。各々の基板搬入搬出口19に対してポッドオープナ14が設けられている。
【0019】
ポッドオープナ14はポッド9を載置する載置台21と、ポッド9の蓋を開閉する開閉機構22とを備えている。ポッドオープナ14は載置台21に載置されたポッド9の蓋を開閉機構22によって開閉することにより、ポッド9のウェーハ出入口を開閉する様に構成されている。
【0020】
サブ筐体16はポッド搬送機構15や回転式ポッド棚11が配設されている空間(ポッド搬送空間)から気密となっている移載室23を構成している。移載室23の前側領域にはウェーハ移載機構(基板移載機構)24が設置されており、該基板移載機構24は、基板18を載置する所要枚数(図示では5枚)のウェーハ載置プレート25を具備している。ウェーハ載置プレート25は水平方向に直動可能、水平方向に回転可能、又昇降可能となっている。基板移載機構24はボート(以後、基板保持体ともいう)26に対して基板18を装填及び払出しする様に構成されている。
【0021】
移載室23の後側領域には、ボート26を収容して待機させる待機部27が構成され、該待機部27の上方には縦型の処理炉28が設けられている。処理炉28は内部に処理室29を形成し、該処理室29の下端部は炉口部となっており、該炉口部は炉口シャッタ31により開閉される様になっている。
【0022】
筐体2の右側端部とサブ筐体16の待機部27の右側端部との間にはボート26を昇降させる為のボートエレベータ32が設置されている。ボートエレベータ32の昇降台に連結されたアーム33には蓋体としてのシールキャップ34が水平に取付けられている。蓋体34はボート26を垂直に支持し、該ボート26を前記処理室29に装入した状態で炉口部を気密に閉塞可能となっている。
【0023】
ボート26は、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウェーハ18をその中心に揃えて水平姿勢で多段に保持する様に構成されている。
【0024】
ボートエレベータ32側と対向した位置にはクリーンユニット35が配設されている。クリーンユニット35は、清浄化した雰囲気若しくは不活性ガスであるクリーンエア36を供給する様供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。
【0025】
クリーンユニット35から吹出されたクリーンエア36は、ウェーハ移載機構24やボート26に流通された後に、図示しないダクトにより吸込まれて、筐体2の外部に排気がなされるか、若しくはクリーンユニット35によって移載室23内に吹出されるように構成されている。
【0026】
次に、装置1の作動について説明する。
【0027】
ポッド9がロードポート8に供給されると、ポッド搬入搬出口6がフロントシャッタ7によって開放される。ロードポート8上のポッド9はポッド搬送装置15によって筐体2の内部へポッド搬入搬出口6を通して搬入され、回転式ポッド棚11の指定された棚板13へ載置される。ポッド9は回転式ポッド棚11で一時的に保管された後、ポッド搬送装置15により棚板13からいずれか一方のポッドオープナ14に搬送されて載置台21に移載されるか、若しくはロードポート8から直接載置台21に移載される。
【0028】
この際、ウェーハ搬入搬出口19は開閉機構22によって閉じられており、移載室23にはクリーンエア36が流通され、充満している。例えば、移載室23にはクリーンエア36として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、筐体2の内部(大気雰囲気)のポッド搬送空間の酸素濃度よりも遙かに低く設定されている。
【0029】
載置台21に載置されたポッド9はその開口側端面がサブ筐体16の正面壁17に於けるウェーハ搬入搬出口19の開口縁辺部に押付けられると共に、蓋が開閉機構22によって取外され、ウェーハ出入口が開放される。
【0030】
ポッド9がポッドオープナ14によって開放されると、基板18はポッド9から基板移載機構24によって取出され、ノッチ合せ装置(図示せず)に移送され、該ノッチ合せ装置にて基板18を整合した後、基板移載機構24は基板18を移載室23の後方にある待機部27へ搬入し、ボート26に装填する。
【0031】
ボート26に基板18を受渡した基板移載機構24はポッド9に戻り、次の基板18を前記ボート26に装填する。
【0032】
一方(上端又は下段)のポッドオープナ14に於ける基板移載機構24により基板18のボート26への装填作業中に、他方(下段又は上段)のポッドオープナ14には回転式ポッド棚11から別のポッド9がポッド搬送装置15によって搬送されて移載され、他方のポッドオープナ14によるポッド9の開放作業が同時進行される。
【0033】
予め指定された枚数の基板18がボート26に装填されると炉口シャッタ31によって閉じられていた処理炉28の炉口部が炉口シャッタ31によって開放される。続いて、ボート26はボートエレベータ32によって上昇され、処理室29に搬入される。
【0034】
ローディング後は、シールキャップ34によって炉口部が気密に閉塞される。なお、本実施の形態において、このタイミングで(ローディング後)処理室29が不活性ガスに置換されるパージ工程(プリパージ工程)が実行される。
【0035】
処理室29が所望の圧力(真空度)となる様にガス排気機構(図示せず)によって真空排気される。又、処理室29が所望の温度分布となる様にヒータ駆動部(図示せず)によって所定温度迄加熱される。又、ガス供給機構(図示せず)により、所定の流量に制御された処理ガスが処理室29に供給される。
【0036】
処理室29に供給された処理ガスが、基板18の表面と接触し、基板18の表面上に所定の処理が実施される。更に、反応後の処理ガスは、ガス排気機構により処理室29から排気される。
【0037】
予め設定された処理時間が経過すると、ガス供給機構により不活性ガス供給源(図示せず)から不活性ガスが供給され、処理室29が不活性ガスに置換されると共に、処理室29の圧力が常圧に復帰される(アフターパージ工程)。そして、ボートエレベータ32により蓋体34を介してボート26が降下される。
【0038】
処理後の基板18の搬出については、上述した説明と逆の手順で、基板18及びポッド9は筐体2の外部へ払出される。未処理の基板18が、更に前記ボート26に装填され、基板18のバッチ処理が繰返される。
【0039】
(制御システム200の機能構成)
次に、
図3を参照して、操作部としての主コントローラ201を中心とした制御システム200の機能構成について説明する。
図3に示すように、制御システム200は、操作部201と、搬送制御部としての搬送系コントローラ211と、処理制御部としてのプロセス系コントローラ212と、データ監視部としての装置管理コントローラ215と、を備えている。本実施形態では、制御システム200は、装置1内に収容されている。
【0040】
操作部201は、例えば100BASE−T等のLAN回線により、搬送制御部211及び処理制御部212と電気的に接続されているため、各装置データの送受信や各ファイルのダウンロード及びアップロード等が可能な構成となっている。
【0041】
ここで、装置データとは、装置1が稼働状態の時に発生するデータであり、例えば、装置1が基板18を処理する際に各構成部品を動作させることにより発生するデータである。例えば、装置1が基板18を処理するときの処理温度、処理圧力、処理ガスの流量など基板処理に関するデータ(モニタデータ)や、例えば、成膜した膜厚、及び該膜厚の累積値等の製造した製品基板の品質に関するデータ(プロセスデータ)や、石英反応管、ヒータ、バルブ、MFC等の装置1の構成部品に関するデータ(部品データ)などのデータが挙げられる。
【0042】
また、本実施形態において、電力、水、ガス流量、排気装置等の顧客工場から装置1に提供されるデータ(設備データ)も装置データに含む。また、プロセスレシピが実行中のアラーム監視に関するデータ(アラーム発生情報データ)、プロセスレシピが実行されていない間のメンテナンス情報(イベントデータ)、異常解析に関するデータ(異常解析データ)等の障害情報データは装置データに含まれる。
【0043】
操作部201には、外部記憶装置としての記録媒体(例えばUSBメモリ等)が挿脱される装着部としてのポートが設けられている。操作部201には、このポートに対応するオペレーティングシステム(OS)がインストールされている。また、操作部201には、外部上位コンピュータと管理装置とが、例えば通信ネットワークを介して接続される。このため、装置1がクリーンルーム内に設置されている場合であっても、上位コンピュータがクリーンルーム外の事務所等に配置されることが可能である。また、管理装置は、装置1とLAN回線で接続され、操作部201から装置データを収集する機能を有する。
【0044】
装置管理コントローラ215は、操作部201とLAN回線で接続され、操作部201から装置データを収集し、装置データを加工して作成されるデータに基づき、装置の運用状態を示す指標を導出するように構成されている。尚、装置管理コントローラ215については後で詳述する。
【0045】
搬送制御部211は、主に回転式ポッド棚11、ボートエレベータ32、ポッド搬送装置15、基板移載機構24、ボート26及び回転機構(図示せず)により構成される基板搬送系211Aに接続され、且つ制御するように構成されている。特に、搬送制御部211は、モーションコントローラ211aを介してボートエレベータ32、ポッド搬送装置15、基板移載機構24の搬送動作をそれぞれ制御するように構成されている。
【0046】
処理制御部212は、温度コントローラ212a、圧力コントローラ212b、ガス流量コントローラ212c、シーケンサ212dを備えている。これら温度コントローラ212a、圧力コントローラ212b、ガス流量コントローラ212c、シーケンサ212dは、サブコントローラを構成し、処理制御部212と電気的に接続されているため、各装置データの送受信や各ファイルのダウンロード及びアップロード等が可能となっている。なお、処理制御部212とサブコントローラは、別体で図示されているが、一体構成でも構わない。
【0047】
温度コントローラ212aには、ヒータ及び温度センサ等により構成される加熱機構212Aが接続されている。温度コントローラ212aは、処理炉28のヒータの温度を制御することで処理炉28内の温度を調節するように構成されている。なお、温度コントローラ212aは、サイリスタを制御しつつ、ヒータ素線に供給する電力を制御するように構成されている。
【0048】
圧力コントローラ212bには、圧力センサ、圧力バルブとしてのAPCバルブ及び真空ポンプにより構成されるガス排気機構212Bが接続されている。圧力コントローラ212bは、圧力センサにより検知された圧力値に基づいて、処理室29内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、APCバルブの開度及び真空ポンプの動作を制御するよう構成されている。
【0049】
ガス流量コントローラ212cは、MFC(MASS Flow Controller)により構成される。シーケンサ212dは、処理ガス供給管やパージガス供給管からのガスの供給や停止を、バルブ212Dを開閉させることにより制御するように構成されている。また、処理制御部212は、処理室29内に供給するガスの流量が所望のタイミングにて所望の流量となるように、MFC212c、シーケンサ212dを制御するように構成されている。
【0050】
なお、本実施形態にかかる操作部201、搬送制御部211、処理制御部212、装置管理コントローラ215は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(USBメモリ等)から当該プログラムをインストールすることにより、所定の処理を実行する各コントローラを構成することができる。
【0051】
そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板に当該プログラムを掲示し、このプログラムをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、所定の処理を実行することができる。
【0052】
(主コントローラ(操作部)201の構成)
次に、操作部201の構成を、
図4を参照しながら説明する。
【0053】
操作部201は、主コント制御部220、主コント記憶部としてのハードディスク222、各種情報を表示する表示部と操作者からの各種指示を受け付ける操作部とを含む操作表示部227、装置1内外と通信する主コント通信部としての送受信モジュール228とを含むように構成される。なお、操作者とは、装置オペレータのほか、装置管理者、装置エンジニア、保守員、作業者を含む。主コント制御部220は、処理部としてのCPU(中央処理装置)224や、一時記憶部としてのメモリ(RAM、ROM等)226を含み、時計機能(図示せず)を備えたコンピュータとして構成されている。
【0054】
ハードディスク222には、基板の処理条件及び処理手順が定義されたレシピ等の各レシピファイル、これら各レシピファイルを実行させるための制御プログラムファイル、レシピを実行するためのパラメータが定義されたパラメータファイル、また、エラー処理プログラムファイル及びエラー処理のパラメータファイルの他、プロセスパラメータを入力する入力画面を含む各種画面ファイル、各種アイコンファイル等(いずれも図示せず)のファイルが格納されている。
【0055】
表示装置としての操作表示部227には、装置1を操作するための操作画面が表示されるように構成されている。操作表示部227の操作画面は、例えば液晶を用いたタッチパネルである。なお、操作表示部227は、液晶ディスプレイなどの表示部並びにキーボード及びマウス等のデバイスを含むユーザインタフェース部などを含む構成でも構わない。
【0056】
操作表示部227は、操作部と表示部を含む構成をしている。操作表示部227の操作画面には、基板搬送系211Aや基板処理系(加熱機構212A、ガス排気機構212B及びガス供給系212C)への動作指示を入力する入力部としての各操作ボタンを設けることも可能である。
【0057】
操作表示部227は、操作画面からの作業者の入力指示を受け付け、入力された指示データを操作部201に送信する。また、操作表示部227は、メモリ226等に展開されたレシピ、若しくは主コント記憶部222に格納された複数のレシピのうち任意の基板処理レシピ(プロセスレシピともいう)等のファイルを実行させる指示を受け付け、主コント制御部220に送信するようになっている。
【0058】
主コント通信部228には、スイッチングハブ等が接続されており、操作部201が、外部のコンピュータや装置1内の他のコントローラ等と、データの送受信を行うように構成されている。また、操作部201は、図示しないネットワークを介して外部の上位コンピュータ、例えば、ホストコンピュータに対して装置1の状態など装置データを送信する。
【0059】
(基板処理方法)
次に、本実施形態に係る装置1を用いて実施する、所定の処理工程を有する基板処理方法について説明する。ここで、所定の処理工程は、半導体デバイスの製造工程の一工程である基板処理工程(ここでは成膜工程)を実施する場合を例に挙げる。
【0060】
基板処理工程の実施にあたって、実施される基板処理に対応する基板処理レシピ(プロセスレシピ)が、例えば、操作部201から処理制御部212内のRAM等のメモリにダウンロードされる。これにより、レシピ実行中に操作部201は、処理制御部212や搬送制御部211へ動作指示を与えることが可能となる。尚、基板処理工程は、搬入工程と、成膜工程と、搬出工程と、回収工程とを少なくとも有する。また、移載工程(装置1への基板投入工程を含めてもよい)を、基板処理工程に含むようにしてもよい。
【0061】
(移載工程)
操作部201からは、搬送制御部211に対して、基板移載機構24の駆動指示が発せられる。そして、搬送制御部211からの指示に従いつつ、基板移載機構24は載置台としての授受ステージ21上のポッド9からボート26への基板18の移載処理を開始する。この移載処理は、予定された全ての基板18のボート26への装填が完了するまで行われる。
【0062】
(搬入工程)
基板18のボート26への装填が終了すると、搬送制御部211からの指示に従って動作するボートエレベータ32によって、基板18が保持された状態でボート26が上昇される。ボート26は、処理炉28内に形成される処理室29に装入される。ボート26が完全に装入されると、蓋体34は、処理炉28下部に設けられる炉口フランジとしてのマニホールドの下端を気密に閉塞するように構成されている。
【0063】
(成膜工程)
処理室29の圧力が所定の成膜圧力(真空度)となるように、圧力制御部212bからの指示に従いつつ、圧力センサで測定された圧力情報に基づき圧力調整装置がフィードバック制御される。また、処理室29の温度が所定の温度(成膜温度)となるように、温度制御部212aからの指示に従いつつ、温度検出器としての温度センサが検出した温度情報に基づきヒータへの通電具合がフィードバック制御される。
【0064】
続いて、搬送制御部211からの指示に従いつつ、回転機構によるボート26及び基板18の回転を開始する。そして、所定の圧力、所定の温度に維持された状態で、ボート26に保持された複数枚の基板18に所定のガス(処理ガス)を供給して、基板18に所定の処理(例えば成膜処理)がなされる。
【0065】
(搬出工程)
ボート26に載置された基板18に対する成膜工程が完了すると、搬送制御部211からの指示に従いつつ、その後、回転機構によるボート26及び基板18の回転を停止させ、ボートエレベータ32により蓋体34を下降させてマニホールドの下端を開口させるとともに、処理済の基板18を保持したボート26を処理炉28の外部に搬出する。
【0066】
(回収工程)
処理済の基板18を保持したボート26は、クリーンユニット35から吹出されるクリーンエア36によって極めて効果的に冷却される。そして、例えば150℃以下に冷却されると、ボート26から処理済の基板18を脱装してポッド9に移載した後に、新たな未処理の基板18のボート26への移載が行われる。
【0067】
プロセスレシピを実行することにより、以上の各工程を繰り返すことで、本実施形態に係る装置1は、例えば、基板18上への膜の形成を、高スループットで行うことができる。
【0068】
(基板処理システムの構成)
図5は、本実施形態に用いられる基板処理システムの構成を示す図である。
図5に示す様に、この基板処理システムでは、マスター装置1(0)とリピート装置1(1)〜1(6)とが、ネットワークで結ばれている。
図5の例では、リピート装置1は、装置1(1)〜1(6)の6台であるが、6台に限られるものではない。
【0069】
マスター装置1(0)とは、標準となる装置データやファイルを有する基板処理装置(装置)である。マスター装置1(0)及びリピート装置は、装置と同様のハードウエア構成をしており、装置管理コントローラ215を有している。マスター装置1(0)は、例えば、装置データが適正になるよう調整された装置1の初号機である。リピート装置は、例えば、2台目以降の装置1であり、マスター装置1(0)の有する装置データやファイルのコピーを、ネットワークを介しマスター装置1(0)から受信して、各リピート装置の記憶部に、それぞれ記憶している。
【0070】
本実施形態においては、装置管理コントローラ215を装置1内に設置する。また、マスター装置1(0)と各装置1にそれぞれ設置された装置管理コントローラ215同士をネットワークで結ぶ事により、各装置1が、マスター装置の装置データやファイルを共有することができる。また、各装置1が、マスター装置1(0)の装置データやファイルを共有することができるので、ファイルマッチングや異常要因解析や装置状態監視等が容易にできる構成になっている。
【0071】
これにより、各装置1が、装置1の安定稼働が可能な運用状態か監視できる構成となっている。つまり、装置1が正常に稼働できる状態を継続できるか否か、また、故障状態に近づきつつあるか否か等を監視できるようにしている。
【0072】
ファイルマッチングとは、装置1が、当該装置1の各種情報をマスター装置1(0)の各種情報に整合させることで、具体的には、マスター装置1(0)のファイルをコピーすることや、マスター装置1(0)のファイルと比較、照合することである。また、ファイルマッチングは、装置データのコピーにUSBメモリを使う必要が無く、装置メーカの保守員が容易に作業を行えるメリットがある。
【0073】
(装置管理コントローラ215の機能構成)
図6は、本実施形態に用いられる装置管理コントローラの機能構成を説明する図である。装置1の健康状態(装置の総合的な運用状態)をチェックするヘルスチェックコントローラとしての装置管理コントローラ215は、装置1の色々な運用状態を評価した情報(例えば、装置1とマスター装置1(0)との装置データの整合状態、装置1の装置データの経時変化量、装置1を構成する部品の劣化状態、装置1の障害の発生状況などを、監視して得られた結果を示すデータのうち少なくとも一つ以上から導出される装置1の安定稼働の指標となる情報)を導出するよう構成されている。
【0074】
装置管理コントローラ215は、装置1の総合的な運用状態を評価した情報の定量化を行って、例えば、後述する装置1の運用状態の集約画面(
図8、
図18)等に、一目で把握できるよう表示するように構成してもよく、また、装置1の総合的な運用状態を評価した情報を定量化した数値に基づき、装置1の稼働状態を監視し、安定稼働ができない、または、安定稼働ができない恐れがある場合に、警報を発報(例えば、警報音の鳴動や表示等)するように構成してもよい。
【0075】
また、装置管理コントローラ215は、装置1の安定稼働の指標を導出するのに必要な後述する4つの機能(データ整合、部品管理、装置状態監視、データ解析支援)を、装置1の操作表示部227にて操作できるよう構成されている。
【0076】
図6に示すように、装置管理コントローラ215は、画面表示部215a、画面表示制御部215b、データ整合制御部215c、部品管理制御部215d、装置状態監視制御部215e、データ解析制御部215fよりなる群から選択される複数の制御部、操作部201との間で当該装置1の装置データの送受信を行う通信部215g、少なくとも装置データを記憶する記憶部215hを備えた構成である。尚、本実施形態において、4つの機能(データ整合、部品管理、装置状態監視、データ解析支援)を、別々の制御部で実行しているが、一つの制御部に全ての機能を含むように構成してもよい。また、本実施形態において、4つの機能に限定されず、複数の機能を有していればよい。
【0077】
装置管理コントローラ215は、工場設備から供給される設備データの妥当性を判定するデータ整合制御部215cと、装置を構成する構成部品の状態の部品データの劣化及び消耗の度合いを監視する部品管理制御部215dと、装置を構成する構成部品の作動状態から得られる装置データの健全性を監視する装置状態監視制御部215eと、装置の障害情報の発生状況を監視するデータ解析制御部215fよりなる群から選択される複数の制御部を有する構成としている。
【0078】
また、装置管理コントローラ215は、部品管理制御部215dで取得される保守時期監視結果データと装置状態監視制御部215eで取得される装置状態監視結果データとデータ整合制御部215cで判定される用力監視結果データよりなる群から選択される複数の監視結果データに基づき、装置の運用状態を評価した情報を導出するよう構成されている。尚、記憶部215hの代わりに、主コント記憶部222や一時記憶部226を用いるように構成してもよい。
【0079】
また、上述のように、監視結果データには、予め指定された装置データと該装置データに対応する標準データとを比較した結果を示すデータを装置状態監視結果データと、装置が保有する設備データと該設備データの基準となる基準データを照合した結果を示すデータを用力監視結果データと、装置データのうち構成部品の状態を示す部品データと保守時期を示す閾値データを比較した結果を示すデータを保守時期監視結果データと、ある所定の期間内における障害情報データの発生頻度を示す障害情報監視結果データと、が含まれる。また、これら監視結果データの総称で単に監視結果データという場合もある。
【0080】
装置管理コントローラ215は、装置1の立上げ時等のプロセス開始前にデータ整合プログラムを実行してデータ整合制御部215cを実現し、装置1の稼働中において、部品管理プログラムを実行して部品管理制御部215dを実現し、装置状態監視プログラムを実行して装置状態監視制御部215eを実現するように構成されている。また、装置管理コントローラ215は、装置1の稼働中や停止中において、アラーム監視プログラムやデータ解析プログラムを実行してデータ解析制御部(アラーム監視制御部)215fを実現し、画面表示プログラムを実行することにより、画面表示制御部215bを実現するように構成されている。
【0081】
装置管理コントローラ215は、ハードウエア構成としては、操作部201と同様の構成である。装置管理コントローラ215は、装置データを収集して記憶部215hに蓄積するデータベースとしての機能を有してもよく、蓄積した装置データを加工しグラフ化して、画面表示部215aまたは操作表示部227に表示することが可能である。
【0082】
なお、本実施形態では、基板処理機能と上位報告機能を有する操作部201と別に、装置管理コントローラ215を設けているが、このような形態に限定されない。例えば、操作部201が、部品の寿命に関する部品データ、装置状態の監視に関する装置状態監視データ、アラーム監視に関するアラーム発生情報データ等の障害情報データを含む装置データを監視し、且つ、操作部201が装置間のデータ整合機能を有してもよいのは言うまでもない。更に、本実施形態において、装置管理コントローラ215が有する4つの機能(データ整合、部品管理、装置状態監視、データ解析支援)は、操作部201、搬送制御部211、処理制御部212のいずれのコントローラに組み込まれるよう構成しても構わない。
【0083】
(画面表示部215a)
画面表示部215aは、後述する装置1の運用状態の集約画面(
図8、
図18)等に各種データの後述する結果データを表示するよう構成される。但し、表示装置として外付けの端末や操作表示部227が用いられる場合、画面表示部215aは省略してもよい。なお、画面表示部215aの代わりに、操作表示部227を用いるように構成してもよく、あるいは、画面参照のために接続された端末等で代替してもよい。
【0084】
(画面表示制御部215b)
画面表示制御部215bは、画面表示プログラムを実行することにより、装置1の運用状態の集約画面等の各種データを、画面表示用のデータに加工して画面表示データを作成し更新して、操作表示部227に表示させるよう制御する。
【0085】
(画面表示制御機能)
次に、本実施形態における画面表示制御機能、つまり、装置管理コントローラ215の画面表示制御部215bにより実行される画面表示プログラムの処理フローについて、
図7を用いて説明する。本実施形態において、後述する装置1の運用状態の集約画面(
図8、
図18)を表示する機能に関して説明する。
【0086】
図7に示されるように、この画面表示プログラムでは、集約画面表示工程(
図7のステップS11)、監視結果データ取得工程(S12)、データ判定工程(S13)、判定結果表示工程(S14)の順に実行される。なお、本実施形態においてこの工程順に限定されるものではなく、例えば、集約画面表示工程(S11)を、データ判定工程(S13)の次に行うように構成してもよい。
【0087】
先ず、集約画面表示工程(S11)が実行される。これにより、
図8及び
図18に示されるような予め選択された各画面が操作画面に表示される。
【0088】
次に、監視結果データ取得工程(S12)において、画面表示制御部215bは、
図6に示される4つの制御部(データ整合制御部215c、部品管理制御部215d、装置状態監視制御部215e、データ解析制御部215f)が出力した監視結果データのうち、本実施形態における操作表示部227に集約画面として表示するために用いられる監視結果データを記憶部215hから取得する。
【0089】
次に、データ判定工程(S13)が実行され、S12で取得された監視結果データの判定と採点が行われる。データ判定工程(S13)では、データ整合制御部215c、部品管理制御部215d、装置状態監視制御部215e、データ解析制御部215fのそれぞれで出力された結果データが正常か異常か、また異常がどの程度であるかを判定する。
【0090】
異常と判定された監視結果データの採点は、データ整合制御部215c、部品管理制御部215d、装置状態監視制御部215e、データ解析制御部215fでそれぞれ出力された監視結果データ毎に、予め決められたルールで配点された点数を用いて算出される。
【0091】
また、配点は、各制御部で重みづけがなされており、装置状態監視制御部215eで異常と判定された監視結果データの配点は部品管理制御部215dで異常と判定された監視結果データの配点よりも高くなっている。
【0092】
次に、判定結果表示工程(S14)において、画面表示制御部215bは、データ判定工程(S13)の判定結果と採点結果から、S11で表示した装置1の運用状態の集約画面をそれぞれ更新して表示する。
【0093】
(データ整合制御部215c)
データ整合制御部215cは、装置1が保有する顧客用力に関する設備データと、顧客用力範囲確認用の初期値表に示される基準値(幅)である基準データを、装置1のセットアップ時(例えば、初めて起動された時)に照合する。データ整合制御部215cは、装置1が保有する用力に関する項目の実測値を基準データと比較し、この基準データとのずれ具合により、異常か正常かを判定する。この機能は、装置1の設置時に装置管理コントローラ215に組み込まれており、設備データが監視される。装置1が保有する設備データは、マスター装置1(0)の現状の実測値を基準データとして、装置1の設置時に照合されるようにしてもよい。
【0094】
データ整合制御部215cは、用力に関する設備データが、初期値表に示される基準値の範囲内又はマスター装置の現状値の±3%以内に入っているか否かを確認し、用力監視結果データとして記憶部215hに記憶する。具体的には、基準データから外れたと診断された設備データと、基準データから外れた設備データの数を、用力監視結果データとして記憶部215hに記憶する。このとき、データ整合制御部215cは、基準値から外れた場合のデータと、マスター装置の現状値から外れた場合のデータとを、互いに区別可能(つまり、それぞれ識別可能)なように記憶するよう構成されている。
【0095】
また、データ整合制御部215cは、装置1のプロセス開始前において、設備データを基準データと比較することにより、データ整合制御部215cは、設備データが異常の状態のまま、プロセスレシピが実行されることを防止できる。
【0096】
なお、装置1のプロセス開始前に行う設備データの監視は、データ整合制御部215cだけで行うのではなく、データ整合制御部215c以外の制御部、例えば、装置状態監視制御部215eでも行うように構成してもよい。
【0097】
更に、データ整合制御部215cは、データ整合プログラムを実行することにより、操作部201から受信した当該装置1のファイルと、マスター装置1(0)のファイルとの間のコピーや比較を行うファイルマッチング機能を実行するように構成されている。このファイルマッチング機能の詳細は後述する。
【0098】
(部品管理制御部215d)
部品管理制御部215dは、部品管理プログラムを実行することにより、保守時期監視機能を実行するもので、操作部201から受信した当該装置1の部品データ(例えば、部品の使用回数や使用時間)に基づき、記憶部215hに記憶されている部品データを更新する。また、部品管理制御部215dは、部品の過去の使用回数や使用時間の変化に基づいて、使用回数や使用時間がメーカ交換推奨値に到達する時期を予測する仕組みを構築するよう構成されている。
【0099】
本実施形態における部品管理制御部215dによる保守時期監視の処理フローについて、
図13を用いて説明する。
【0100】
図13に示すように、処理制御部212より、装置データが一定周期で操作部201に報告される(
図13のステップS51)。操作部201は、収集した装置データから監視対象である部品データを抽出し、この部品データを、一定周期で装置管理コントローラ215(部品管理制御部215d)に報告する(S52)。尚、部品管理制御部215dが装置データから部品データを抽出するようにしてもよい。
【0101】
部品管理制御部215dは、収集した部品データ(装置データ)について、それぞれの部品データ毎に設定された閾値との比較を行う(S53)。この閾値は、部品メーカの推奨値であってもよいし、使用実績に応じて推奨値を加減した値であってもよい。部品データが、この閾値を超えない場合(S54でNo)、S53に戻ると共に、部品データと該部品データに対応する閾値とを比較した結果(正常)を保守時期監視結果データとして記憶部215hに記憶する。
【0102】
一方、部品データが、この閾値を超えた場合(S54でYes)、この閾値を超えたという情報を、操作部201に通知すると共に部品データと該部品データに対応する閾値とを比較した結果(異常)を保守時期監視結果データとして記憶部215hに記憶する(S55)。そして、操作部201は、保守部品の部品データが閾値を超えたことを示す警告を操作表示部227に表示する(S56)。
【0103】
操作部201は、主コント記憶部222に予め格納されている装置管理データを参照して、部品データが閾値を超えた保守部品で構成されているモジュールの状態が、次動作実行待ち状態等のメンテナンス指定が可能な状態であるか判断する(S57)。メンテナンス移行可能な状態であれば(S57でYes)、メンテナンス指定を指示する(S58)。メンテナンス移行可能な状態でなければ(S57でNo)、メンテナンス移行可能な状態になるまで待つ。
【0104】
処理制御部212は、操作部201からメンテナンス指定を受信すると、該当するモジュールの状態をメンテナンス待ち状態へ移行し(S59)、メンテナンス待ち状態へ移行したことを操作部201へ通知するとともに(S60)、当該モジュールにおける次動作の実行を不可にする。なお、モジュールとは、装置1の構成部位であり、
図8の「Module」とは必ずしも一致しない。
【0105】
操作部201は、S58でメンテナンス指示した後、メンテナンス待ち状態への移行を処理制御部212から受信すると、メンテナンス対象モジュールをメンテナンス指定する(S61)。
【0106】
メンテナンス指定後、メンテナンス指定されたプロセスモジュールに対して、メンテナンスが実行される(S62)。例えば、プロセスモジュールの累積膜厚が異常な場合、クリーニングレシピが実行される、または、ボート26の交換が行われる等の復旧処理が実施される。復旧処理後、所定のセットアップ作業が行われ、メンテナンスが終了する(S63)。
【0107】
操作者は、対象のモジュールがメンテナンスされた後、操作表示部227の操作画面より、メンテナンス解除指定を行う。すると、操作部201は、処理制御部212へ、メンテナンス解除のコマンドを発行する(S64)。処理制御部212は、対象のモジュールの状態を、次動作実行待ち状態に変更し、処理制御部212が使用可能なモジュールとする(S65)。
【0108】
操作部201は、保守対象の部品データの初期化を促すための画面を表示する(S66)と共に、保守対象の部品データの初期化の有無を判定する(S67)。初期化する必要が無い場合は(S67でNo)、このフローチャートの処理を終了させ、初期化が必要な部品データがある場合は(S67でYes)、どの部品が初期化対象部品であるかが選択される。
【0109】
初期化対象部品が選択されると、操作部201は、部品管理制御部215dへ、メンテナンス実施済みモジュールに関連する保守部品の部品データを初期化するように指示する(S68)。部品管理制御部215dは、操作部201からの指示に基づいて、初期化対象の部品データを初期化する(S69)。
【0110】
例えば、初期化対象の部品データのモニタ値(例えば使用回数)をゼロクリア(リセットともいう場合がある)される。なお、操作部201が、操作表示部227から操作員の入力を受付け、部品データのモニタ値をゼロクリアできるように構成してもよく、このようにしておくと部品寿命の監視という観点からより効率よく部品の動作状況の把握が可能となる。
【0111】
また、この初期化により、部品管理制御部215dは、S53の閾値比較の結果、異常と判定された保守時期監視結果データを正常に戻す処理を行う様に構成されている。
【0112】
本実施形態における部品管理制御部215dの部品管理処理によれば、部品管理制御部215dが、保守部品の故障前に推奨の保守タイミングを把握できるので、装置1のより安定した稼働と製品基板のロットアウト比率の低減を図ることが可能となる。
【0113】
本実施形態における部品管理制御部215dの部品管理処理によれば、部品管理制御部215dが、操作表示部227を対象モジュールの部品保守画面に切り替え、対象モジュールに関連した保守部品の部品データを初期化するので、メンテナンス後、装置1を生産可能なモジュールに戻す場合、メンテナンス指定の解除を確実に行うことができる。
【0114】
本実施形態における部品管理制御部215dの部品管理処理によれば、部品管理制御部215dが、保守部品の部品データ(例えば使用回数)を時間軸で操作表示部227にグラフ表示することができるので、操作表示部227画面で、監視対象の部品のモニタ値のメンテナンス時期を予測することができ、事前に保守部品を準備することができる。
【0115】
(装置状態監視制御部215e)
装置状態監視制御部215eは、装置状態監視プログラムを実行することにより、装置状態監視機能を実行する。装置状態監視制御部215eは、操作部201から当該装置1の装置データを刻々と受信して、記憶部215hに記憶されている装置データを更新するとともに、例えば、マスター装置1(0)から入手した標準データ、つまり、装置1が目標とすべき標準データ(例えば、反応室温度の経時波形、上限値、下限値等)に基づき、装置1の装置データの監視を刻々と行う。つまり、刻々と装置1の装置データを標準データと比較して監視する。これにより、誤報の少ない装置状態の監視を実現することができる。
【0116】
次に、装置状態監視制御部215eで実行される装置状態監視プログラムについて、
図14と
図15を用いて説明する。装置状態監視プログラムは、装置管理コントローラ215のメモリ内(例えば記憶部215h)に格納され、装置状態監視制御部215eを実現する。
【0117】
図14に示すように、装置状態監視制御部215eは、設定部311、バンド生成部312、FDC(Fault Detection & Classification)監視部313、計数表示部314、及び診断部315を備える。また、FDC監視部313は、比較部313a、計数部313b、及び判定部313cを備える。
【0118】
設定部311は、操作表示部227からの入力(操作コマンドの入力等)等により指定されたバンド管理の設定を、バンド生成部312、FDC監視部313及び診断部315に対して指示する。
【0119】
バンド生成部312は、設定部311により設定された標準データと上限の指定値及び下限の指定値に基づいて、バンドを生成する。ここで、バンドとは、標準データ(標準となる装置が有するデータで、例えば、マスタ装置1(0)のマスタデータ)による波形に対して幅を持たせることにより定まる範囲をいう。具体的には、標準データを構成する各データ点の値を基に、上限値、又は下限値、あるいは上限値及び下限値を指定することにより定まる範囲をいう。
【0120】
また、装置状態監視制御部215eによる監視対象として指定された装置データが、装置状態監視データであり、該装置状態監視データが装置状態監視制御部215eにより監視された結果を示すデータが装置状態監視結果データである。以後、標準データがマスタデータとして説明する。
【0121】
FDC監視部313は、バンド生成部312が生成したバンドと、装置1から刻々と発生する装置データ(装置状態監視データ)とを比較し、予め定められた回数以上、装置データがバンドから外れると装置データが異常であると判断する。また、異常を検知した場合には、例えば、操作表示部227に異常を検知した旨を表示するように構成されている。ここで、バンドと装置データを比較して、バンドから外れるデータ点を外れ点という。
【0122】
計数表示部314は、FDC監視部313により計数された外れ点について、バッチ処理ごとの外れ点の数を操作表示部227に表示するように構成されている。診断部315は、異常診断ルールを用いて、外れ点の数からなる統計量の診断を行なう。また、異常と診断した場合には、例えば、操作表示部227に異常を検知した旨を表示するように構成されている。
【0123】
(FDC監視部)
FDC監視部313は、操作部201から受信した装置データを、この装置データの判定基準となるマスタデータを基に生成されたバンドと比較することにより、装置データの監視を行なう。
【0124】
比較部313aは、マスタデータを構成するデータ点の間隔(例えば、1秒)で、装置データがバンドから外れていないかどうかを比較し、比較結果を記憶部215hに格納する。比較部313aは、バンドから外れるデータ点の数に関わらず、指定された装置データが取得されなくなるまで、装置データのデータ点とバンドとの比較を繰り返す。
【0125】
計数部313bは、設定された装置データについて全てのデータ点の比較が比較部313aによって終了すると、記憶部215hに格納された比較結果に基づいて、バンドから外れた点の総数を計数する。また、計数部313bは、装置データの値と、マスタデータの値と、このマスタデータに対応するバンド(マスタデータに対する上限値及び下限値)と、計数した計数値とを関連付け、関連データとして記憶部215hに格納する。
【0126】
判定部313cは、計数部313bによる計数された計数値が、予め定められた値を超える場合、装置データが異常であると判定し、予め定められた値以下の場合、装置データは正常であると判定する。この判定した結果を装置状態監視結果データとして記憶部215hに格納する。
【0127】
図15は、FDC監視部313による監視のフローチャートである。以下、
図15により、FDC監視部313による監視の流れを説明する。
【0128】
ステップ101(S101)において、比較部313aは、監視対象として設定された項目(診断対象アイテム)の装置データ(装置状態監視データ)について、装置データの値を記憶部215hから読み出す。
【0129】
ステップ102(S102)において、比較部313aは、監視対象の装置データ(装置状態監視データ)を判定する基準となるマスタデータに基づいて生成されたバンドを用い、ステップS101で取得された装置データの値とバンドとを比較する。具体的には、装置データの値が、バンドとして設定された上限値又は下限値を超えていないかどうか比較する。
【0130】
比較の結果、装置データの値がバンド範囲内に収まっていた場合、すなわち、装置データの値が、上限値以下かつ下限値以上である場合は、ステップ103に移行する。一方、比較の結果、装置データの値がバンド範囲内に収まっていない場合、すなわち、装置データの値が、上限値を超えている場合又は下限値未満である場合は、ステップ104に移行する。
【0131】
ステップ103(S103)において、比較部313aは、ステップ200で取得した装置データの値は正常である正常点と判定し、記憶部215hに比較結果(OK)を格納する。
【0132】
一方、ステップ104(S104)において、比較部313aは、ステップ101で取得した装置データの値は異常である外れ点と判定し、記憶部215hに比較結果(NG)を格納する。
【0133】
ステップ105(S105)において、比較部313aは、記憶部215hに、装置データとして次のデータ点が格納されているか確認し、格納されている場合、ステップ101へ移行して、装置データとして次のデータ点が格納されていない場合、ステップ106へ移行する。
【0134】
ステップ106(S106)において、計数部313bは、記憶部215hに格納された比較結果に基づいて、ステップ104において外れ点と判定された数を計数する。
【0135】
ステップ107(S107)において、判定部313cは、ステップ106において計数された計数値と予め定められた回数である閾値とを比較する。計数値が閾値以下である場合、ステップ108へ移行し、計数値が閾値を超えている場合、ステップ109へ移行する。
【0136】
ステップ108(S108)において、判定部313cは、装置データは正常であると判定し、この装置データの監視を終了する。
【0137】
ステップ109(S109)において、判定部313cは、装置データは異常であると判定し、操作表示部227に異常を検知した旨を表示して、この装置データの監視を終了する。
【0138】
なお、この処理フローにおいて、装置データや比較結果を、記憶部215hでなく、主コント記憶部222に格納するよう構成してもよい。
【0139】
以上、装置状態監視制御部215eで実行されるFDCの一つであるバンド管理に関して説明したが、従来のFDCは、U.FDC(User FDC)であり、ユーザ側(デバイスメーカ側)に着目したデータが監視対象であり、基板処理装置1の構成部品、例えば、部品の消耗度に関する監視には不適である。つまり、SPCを利用したU.FDCでは、装置状態を監視する機能として不十分である。そこで、本発明において、独自のFDC(S.FDC(Special FDC))により装置状態を監視する技術を開発したので、以下説明する。
【0140】
(MFC(MASS Flow Controller)のゼロ点補正)
S.FDCとして、MFCのゼロ点補正の状態を監視する実施例を、
図16を用いて説明する。この監視は、装置状態監視制御部215eにより行われる。この監視により、装置状態監視制御部215eは、バッチ処理数に対するMFC流量電圧の傾きを求めることで、ゼロ点補正を行うべきバッチを予測する。バッチとは、ウェーハ18が、ボート26に装填されてから、ウェーハ18が、処理室29で処理された後、ボート26から取出されるまでをいう。
【0141】
図16の縦軸は、MFCを流れるガスの流量がゼロのときに、MFCから出力される流量電圧である。この流量電圧は、MFCを流れるガスの流量の大きさを示すもので、本来は、ゼロでなければならない。
図16の横軸は、装置1の基板処理バッチ数を示す。装置1のバッチ処理は、バッチNo999、998、・・・3、2、1の順に行われる。
【0142】
図16に示すように、MFC流量電圧は、バッチ処理を重ねるにつれて大きくなっている、つまり、MFCのゼロ点がずれているのが分かる。ゼロ点補正は、このずれを補正するものである。装置状態監視制御部215eの監視対象であるMFC流量電圧も装置状態監視データに含まれる。従い、同様に、このMFC流量電圧と閾値(上限値)との比較した結果を示すデータは装置状態監視結果データに含まれる。
【0143】
この実施例では、ゼロ点補正を行うMFC流量電圧の閾値(上限値)を0.05Vとしている。また、MFC流量電圧の監視対象とするのは、装置1内に多数あるMFCのうち、基板の品質に関係するMFCだけとする。尚、ここでは記載しないが、圧力センサのゼロ点補正にも適用できる。
【0144】
装置状態監視制御部215eは、レシピ開始前のタイミングと、レシピ実行中であってMFCを流れるガスの流量がゼロであるタイミングにおいて、MFC流量電圧を取得し、記憶部215hに記憶するとともに、取得した流量電圧を閾値と比較する。そして、取得した流量電圧が閾値を超えていた場合は、装置状態監視結果データとして、監視対象のMFCの流量電圧が異常であることを示すデータを記憶部215hに記憶すると共に、レシピ終了後に、ゼロ点補正を行う。なお、MFC流量電圧を記憶部215hに記憶するのでなく、主コント記憶部222に記憶するよう構成してもよい。
【0145】
MFCを流れるガスの流量がゼロであるタイミングは、そのMFCの一次側(ガス流れの上流側)開閉バルブと、二次側(ガス流れの下流側)開閉バルブが、両方とも閉のときである。装置状態監視制御部215eは、レシピ実行中にMFC流量ゼロとなるタイミング、つまり、一次側バルブと二次側バルブがともに閉となる時刻を、予め算出しておき、その時刻になると、MFCからMFC流量電圧を取得し、閾値と比較する。
【0146】
また、装置状態監視制御部215eは、1つのMFCについて1回のバッチ処理において取得した複数のMFC流量電圧のうち、最大の流量電圧を閾値と比較するよう構成されている。従い、一度でも閾値を超えた場合には、装置状態監視制御部215eは、MFC流量電圧は異常と判定し、MFCの流量電圧が異常であることを示すデータを記憶部215hに記憶する。尚、取得した流量電圧が閾値に到達していない場合は、装置状態監視結果データとして、監視対象のMFCの流量電圧が正常であることを示すデータを記憶部215hに記憶する。
【0147】
更に、装置状態監視制御部215eは、1つのMFCについて1回のバッチ処理において取得した複数のMFC流量電圧のうち、最大の流量電圧を、記憶部215hに記憶する。そして、1回のバッチ毎、若しくは複数回のバッチ毎に、バッチ数(
図16の横軸)に対するMFC流量電圧の傾きを求め、その傾きから、MFC流量電圧が閾値に到達するバッチ、つまり、ゼロ点補正を行うべきバッチを予測し、予測結果を操作表示部227に表示する。例えば、
図16に示す破線の円Aのように表示する。円Aは、MFC流量電圧が閾値に到達するバッチを示している。
【0148】
なお、装置状態監視制御部215eは、MFC流量電圧が閾値に到達するバッチを予測するのではなく、単に、
図16に示すグラフのデータを、画面表示制御部215bへ送るだけとしてもよい。この場合、装置状態監視制御部215eから受信したグラフデータに基づき、画面表示制御部215bが、
図16に示すグラフを操作表示部227に表示させる。そして、保守員等の操作者が、グラフを見て、ゼロ点補正を行うべきバッチを判断する。
【0149】
装置状態監視制御部215eは、このようなMFC流量電圧監視を、基板の品質に関係するMFCの全てに対して行う。また、上述したMFC流量電圧監視は、レシピに組み込んでもよい。
【0150】
本実施形態における装置状態監視制御部215eの装置状態監視処理によれば、装置状態監視制御部215eは、複数の装置データ(反応室温度や圧力等)に対して、それぞれFDCを用いて、監視対象の装置データ(装置状態監視データ)に基づく異常診断を行うよう構成されているので、より正確な装置状態の監視を実現でき、また、異常が表面化する前の段階で、異常要因を把握することが容易になる。
【0151】
また、装置状態監視制御部215eは、装置1のユーザが使用するデータ異常診断方法である公知のU.FDCだけでなく、装置1のメーカが独自に作成するデータ異常診断方法であるS.FDCを利用可能に構成されているので、より広範囲により緻密に異常要因を把握することが容易になる。
【0152】
(データ解析制御部215f、アラーム監視制御部)
データ解析制御部215fは、データ解析プログラムを実行することにより、異常(例えば、製造物である基板の膜厚異常)が発生したときに、保守員が異常の要因を解析するための解析データを、操作表示部227に表示するように構成されている。また、データ解析制御部215fは、後述するように、アラーム監視制御部として機能する。
【0153】
(解析支援機能)
ここでは、データ解析制御部215fが実行する解析支援機能の処理フローを、
図17を用いて説明する。
【0154】
(データ受信工程(S121))
まず、データ解析制御部215fは、プロセスレシピの進行状況又は装置1の異常状態を示す装置データ(障害情報データ)を、通信部215gを介して、操作部201、処理制御部211、搬送制御部212から受信し、記憶部215hに記憶する。受信した障害情報データには、データ発生源である装置1の構成部位を特定する構成特定情報と、データ発生時に装置1が実行していたレシピを特定するレシピ特定情報と、データの発生時刻を特定するデータ時刻情報と、異常を特定する異常特定情報と、が付加されている。なお、記憶部215hの代わりに主コント記憶部222を用いるよう構成してもよい。
【0155】
(検証項目テーブルの作成工程(S122))
データ解析制御部215fは、上述の異常特定情報、構成特定情報と、及びレシピ特定情報を含む基本情報の入力を受け付けると、記憶部215hに格納されている構成部位取得テーブルを参照して、構成特定情報に関連づけられた構成部位特定情報を取得する。次に、データ解析制御部215fは、記憶部215hに格納されている異常解析情報テーブルを参照して、異常特定情報及び構成部位特定情報に共に関連づけられた検証項目特定情報を抽出する。そして、検証項目テーブルを作成する。
【0156】
(検証項目テーブルの表示工程(S123))
そして、データ解析制御部215fは、作成した検証項目テーブルを、操作表示部227に表示させる。
【0157】
(レシピ特定情報の取得工程(S124))
次に、データ解析制御部215fは、検証項目テーブル中に表示した検証項目特定情報について、操作表示部227を介した保守員からの選択操作を受け付ける。そして、データ解析制御部215fは、基本情報から、レシピ特定情報を取得する。
【0158】
(生産履歴情報からのレシピ検索工程(S125))
データ解析制御部215fは、生産履歴情報を参照し、基本情報に格納されていたレシピ特定情報の有無を検索する。検索は、例えば、生産履歴情報に記録されている複数のレシピのうち、最新のレシピから過去のレシピに向けて遡るように行う。そして、データ解析制御部215fは、基本情報に格納されていたレシピ特定情報を生産履歴情報内から検出したら、かかるレシピ特定情報により特定されるレシピの開始時刻及び終了時刻をそれぞれ取得する。
【0159】
(データ読み出し工程(S126))
データ解析制御部215fは、取得した開始時刻から終了時刻の間に発生し、レシピ特定情報及び検証項目特定情報に共に関連づけられたデータを障害情報監視結果データとして記憶部215hから読み出す。
【0160】
なお、生産履歴情報を参照した際、レシピ特定情報により特定されるレシピが複数回実施されていた場合には、データ解析制御部215fは、所定回数分(例えば最新のレシピから遡って10回分)の障害情報監視結果データを読み出す。すなわち、データ解析制御部215fは、工程S126を所定回数分繰り返す。
【0161】
(グラフ作成、表示工程(S127))
そして、データ解析制御部215fは、読み出した障害情報監視結果データを、該データに関連づけられたデータ時刻情報に基づいて、レシピの開始時刻を揃えつつ時系列に重ね合わせてグラフ化する。そして、データ解析制御部215fは、作成した時系列グラフを、操作表示部227に表示させる。
【0162】
本実施形態に係るデータ解析制御部215fは、異常解析情報テーブルを参照し、異常特定情報及び構成部位特定情報に共に関連づけられた検証項目特定情報を抽出し、抽出した検証項目特定情報を表示させることで検証項目テーブルを作成して表示するように構成されている。これにより、保守員は、異常解析を行うために必要な検証項目を漏れなく知ることができ、異常解析を正確に行うことが可能となる。
【0163】
また、検証項目テーブルには、異常特定情報及び構成部位特定情報に共に関連づけられた検証項目特定情報のみが記載されるため、保守員が実施する必要のない検証項目を行ってしまうことを防ぎ、異常解析に無駄な時間を浪費してしまうことを回避できる。
【0164】
本実施形態に係るデータ解析制御部215fは、検証項目テーブル中に表示した検証項目特定情報の選択操作を受け付け、レシピ特定情報及び検証項目特定情報に共に関連づけられたデータ(障害情報監視結果データ)をデータベースから読み出し、読み出した障害情報監視結果データをデータ時刻情報に基づいてレシピの開始時刻を揃えつつ時系列に重ね合わせて時系列グラフを作成し、操作表示部227に表示させるように構成されている。これにより、解析時間短縮及び保守員の技量のバラつきによる解析ミスの軽減に寄与している。
【0165】
本実施形態に係るデータ解析制御部215fは、時系列グラフを作成する際に、所定回数分(例えば最新のレシピから遡って10回分)のデータを繰り返し読み出すことが可能なように構成されている。そして、読み出した障害情報監視結果データを、データ時刻情報に基づいて、レシピの開始時刻を揃えつつ時系列に重ね合わせてグラフ化することで、時系列グラフを作成し、操作表示部227に表示させるように構成されている。これにより、異常解析を行う保守員のデータ取得に関する作業負担を低減することが可能となる。
【0166】
(実施例1)
次に、
図7に示す画面表示プログラムの処理フローに基づいて、
図8に示す装置1の運用状態の集約画面を操作表示部227に表示させる処理、および、
図9に示す診断方法項目リストを用いて装置1の運用状態を評価した情報を導出する処理についてそれぞれ説明する。
【0167】
また、本実施例において、装置管理コントローラ215が有する4つの機能(データ整合、部品管理、装置状態監視、データ解析支援)のうち、装置状態監視制御部215eが出力する装置状態監視結果データ、部品管理制御部215dが出力する保守時期監視結果データ、データ解析制御部215fが出力する障害情報監視結果データをそれぞれ用いて、装置1の運用状態を示す情報を導出するよう構成されている。
【0168】
先ず、
図7に示す集約画面表示工程(S11)が実行される。これにより、例えば、
図8に示されるHealth Check View画面(異常部位表示画面)、Supply Check画面(供給状態表示画面)、Health Summary画面(健康状態概要表示画面)、Detail Information画面(詳細情報表示画面)を含むアイコンファイルが、記憶部215hから読み出され、それぞれの各画面が、操作表示部227の画面上に一括表示される。
【0169】
次に、
図7に示す監視結果データ取得工程(S12)において、画面表示制御部215bは、
図9に示される診断方法項目リストの診断方法項目に応じて、データ整合制御部215c、部品管理制御部215d、装置状態監視制御部215e、データ解析支援制御部215fがそれぞれ出力した診断結果データ(監視結果データ)を、必要に応じて記憶部215hから取得する。以下、特に記載がない場合でも、各制御部が出力した監視結果データは、出力される都度、記憶部215hに記憶されているよう構成されている。
【0170】
(Detail Information画面における診断対象アイテム)
先ず、装置状態監視の対象について、
図8を参照して説明する。詳細情報表示画面において、装置1の構成「区分」として、反応室、移載室、ローダ室、搬送系、顧客用力が示されている。また、反応室の「Module」として、温度、圧力、ガス、排気圧、水が示されている。また、移載室の「Module」として、O
2(酸素)濃度、圧力、温度が示されている。また、ローダ室の「Module」として、N
2(窒素)排気量、排気圧が示されている。また、基板搬送系の「Module」として、ポッドオープナが示されている。また、顧客用力の「Module」として、ガス(GAS)、圧力、排気圧、PUMP、水が示されている。
【0171】
これら「Module」は、部品管理制御部215dや装置状態監視制御部215e等の制御部の監視対象、つまり、装置の健康状態の診断対象(安定稼働の評価対象)である診断対象アイテムである。
図8の例では、例えば、「区分」としての反応室に関する診断対象は、反応室温度、反応室圧力、反応室へ供給されるガス(処理ガスや希釈ガス等)の流量、反応室内のガスを排気する排気圧、反応室の構成物へ供給される冷却水の流量である。
【0172】
「区分」としての顧客用力の診断対象アイテムのガス、圧力は、それぞれ、顧客設備から装置1へ供給されるガス(処理ガスや希釈ガス)の流量、圧力である。排気圧は、装置1から顧客設備へ排気される圧力であり、水は、顧客設備から装置1へ供給される冷却水の流量である。顧客用力は、装置ユーザから供給される項目に関する装置データであり、設備データ(ユーティリティデータ)ともいう。
【0173】
図8に示すように、顧客用力に関する診断対象アイテムが、他の診断対象アイテムとは分離され、1カ所にまとめて表示されるよう構成されている。これにより、装置異常が発生した場合に、その発生箇所が、顧客が責任を負う顧客用力に関する部位か、それとも装置メーカが責任を負う部位かが、明確に把握できる。
【0174】
(Detail Information画面における診断方法項目)
次に、部品管理制御部215dや装置状態監視制御部215e等の制御部が装置データを診断する基準としての診断方法項目リストについて、
図9を用いて説明する。診断方法項目リストは、項番(No)欄、診断方法項目を示す診断項目欄、診断方法の内容や診断のやり方を示す診断方式欄、点数欄(
図9の例では減点法を示す)を有する。
【0175】
項番1(No.1)及び項番2(No.2)の診断方法項目(U.FDC、S.FDC)は、装置データの経時変化量の異常を、標準データの上限値又は下限値あるいは上限値及び下限値と比較して診断する項目であり、装置状態監視制御部215eにより監視される。FDCは、装置1から出力される特性値のモニタを継続的に行い、モニタ値(つまり装置データ)に異常を検出した場合、つまり、モニタ値が標準データから所定値以上外れた場合、その結果を統計的に処理することにより異常の種類を分類、つまり異常原因や異常部位を診断する技術である。
【0176】
このFDCには、後述するPartsは含まれない、つまり、部品寿命(使用回数や使用時間)の診断は含まれない。FDCにより異常を検出した場合、装置1は稼働可能であって、かつ、直ちに製造物の異常とはならないので、ブザー鳴動を伴うアラームは発報されない。
【0177】
U.FDCは、装置1の状態が、装置1の製造物(例えば成膜した基板)の品質を継続して正常に維持できる状態であるか否かをチェックするための診断方法項目である。U.FDCは、装置1のユーザが作成し使用する診断方法項目であり、一般的なSPC(Statistical Process Control:統計的手法)を用いた診断方法として公知である。U.FDCは、製造物の品質に直接影響する診断方法項目であり、例えば、反応室の温度、圧力等がチェックされる。
【0178】
U.FDCでは、反応室の温度が、予め設定された上限値と下限値の間にあるか否かを診断される。
図9の例では、U.FDCは、SPCのルール1(3σ超え)を用いて診断される。U.FDCでは、半導体製造分野に最低限必要なSPC項目(例えば、反応室の温度や圧力、基板移載室の酸素濃度等)に絞り込まれており、ユーザは、レシピ/ステップ/アイテム(温度など)を指定するだけの簡単な設定でよいので使いやすい。
【0179】
S.FDCは、装置1の構成物(例えば開閉バルブやヒータやMFC)の状態が正常範囲内にあるか否かをチェックするための診断方法項目であり、装置1のメーカが作成する診断方法項目である。S.FDCは、例えば、MFCのゼロ点補正に関する診断方法であり、流量ゼロのときのMFCの流量電圧が、予め設定された上限値と下限値の間にあるか否かが診断される。S.FDCは、装置管理コントローラ215に標準装備された、その装置専用の診断方法項目であり、その装置専用なので、その装置に適した監視内容で構成される。ユーザは、S.FDCの診断方法項目の有効/無効を切り替えて設定し使用することができるが、診断の内容を変更できないようになっている。
【0180】
項番3(No.3)のParts(パーツ)は、装置1のメーカが作成し使用する診断方法項目であり、装置1を構成する部品の寿命に関連する部品データ(使用時間、使用回数等)と、部品メーカの推奨値とを比較することにより、部品の保守時期を診断するための項目である。例えば、使用回数が部品メーカの推奨値に到達する時期が、保守時期と診断される。また、それまでの使用実績に基づき、使用回数が部品メーカの推奨値の90%または120%に到達する時期を、保守時期として診断するように構成してもよい。このように、保守時期は、部品メーカの推奨値に基づき判断される。
【0181】
パーツは、部品管理制御部215dにより監視される。部品管理制御部215dは、使用回数が部品の保守時期に到達していると判定すると異常と判定し、保守時期監視結果データとして記憶部215hに記憶する。但し、部品管理制御部215dがパーツによる異常を検出した場合でも、直ちに製造物の異常とはならないので、部品管理制御部215dは、ブザー鳴動を伴うアラームは発報しない。
【0182】
パーツの対象は、主に、エアバルブ/エアシリンダー/モータドライバなどの駆動系の部品であり、例えば、駆動系の部品の使用回数をカウントしつつ、メーカ推奨値(閾値)に達しているか否かを監視する。診断方法項目としてのパーツは、装置1の設置時に装置管理コントローラ215に組み込まれており、ユーザが意識することなく自動的に管理される。
【0183】
項番4(No.4)のAlarm(アラーム)は、装置1を稼働不可能とするような異常情報(障害情報)の発生回数に基づき装置1の状態を診断する診断方法項目である。また、Alarmは、上記項番1〜3のU.FDC、S.FDC、Partsと重ならない(つまり、項番1〜3のU.FDC、S.FDC、Partsとは別の異常に関する)ように構成されており、また、特定の障害のみ判定し、また、同一原因による障害情報の重複を除外するように構成されている。
【0184】
アラームは、ブザー鳴動を伴って発報されるもので、例えば、基板搬送時において、基板がボート26の所定位置に載置されなかった場合に、センサが異常を検知することにより発報される。また、例えば、反応室温度が、基板処理開始時に所定温度まで上昇しなかった場合に、センサが異常を検知することにより発報される。また、例えば、移載室23の扉が閉じなかった場合に、センサが異常を検知することにより発報される。
【0185】
アラームは、装置管理コントローラ215以外の装置1のコントローラ(操作部201、搬送制御部211、処理制御部212等)により監視され、異常が検知されると、ブザー鳴動され、障害情報データがデータ解析制御部215fへ通知される。データ解析制御部215fは、受信した障害情報データに基づき、装置1で発生した障害情報データを、
図8に示す詳細情報表示画面に示すように、対象部位のカテゴリ(区分やModule)で分け、カテゴリ別の発生傾向を監視する。
【0186】
この機能は、装置1の設置時に装置管理コントローラ215に組み込まれており、ユーザが意識することなく自動的に管理される。このように、データ解析制御部215fは、装置1の障害情報データの発生状況を監視するアラーム監視制御部として機能する。
【0187】
なお、アラームによる障害情報データの監視は、データ解析制御部215f以外の制御部で行うように構成してもよい。
【0188】
(Supply Check画面における診断対象アイテムの診断)
データ整合制御部215cは、装置1の基板処理開始前、供給状態表示画面に表示する診断対象アイテムを診断する。ここで、基板処理開始前は、装置納入後の立ち上げ時等の装置内への基板投入前も、基板の搬送時も含む。
【0189】
図8に示す供給状態表示画面では、原料ガス(
図8ではPrecursorと示す)、冷却水(
図8ではCooling Water Flowと示す)、反応室へのN
2ガス供給量(
図8ではLTP Purge&Blowerと示す)、排気量(
図8ではExhaustと示す)、真空ポンプの排気量(
図8ではPumpと示す)、移載室へのN
2ガス流量(
図8ではFANと示す)の6つの項目が、診断対象アイテムである。これら6つの項目は、設備データであり、その一部は、上述の詳細情報表示画面の顧客用力の「Module」、つまり診断対象アイテムと重なっている。
【0190】
データ整合制御部215cは、顧客用力確認用の初期値表に示される基準値を、又は、マスター装置1(0)の現状の実測値を基準データに設定する。例えば、装置1のプロセス開始前、
図8に示す診断対象アイテムに対応する設備データは、基準データとそれぞれ比較される。それぞれの項目の実測値が、基準データ(顧客用力確認用の初期値表に示される基準値又はマスター装置1(0)の実測値)と比較され、データ整合制御部215cは、実測値とのずれ具合により、異常と判定する。
【0191】
画面表示制御部215bは、診断対象アイテム毎に、U.FDC、S.FDC、Parts、Alarmに関する各診断結果データを記憶部215hから取得するように構成されている。例えば、反応室温度であれば、縦型の反応室内の各ゾーン(例えば、U(上)ゾーン、CU(中上)ゾーン、CL(中下)ゾーン、L(下)ゾーン)の設定値(設定温度)、現在値などの温度に関連する装置データについての診断結果データ(U.FDC、S.FDC、Parts、Alarm)が取得される。
【0192】
ここで、U.FDCやS.FDCに関する診断結果データは、装置状態監視結果データであり、Parts(部品管理)に関する診断結果データは、保守時期監視結果データであり、Alarm(障害情報管理) に関する診断結果データは、障害情報監視結果データである。
【0193】
また、供給状態表示画面に用いる診断結果データが取得される。この診断結果データは、上述したように、顧客からの用力に関する設備データと基準データとを比較した結果データであり、診断対象アイテムである、ガス(GAS)、圧力、排気圧、PUMP、水や、Precursor、Cooling Water Flow、LTP Purge&Blower、Exhaust、Pump、FANに関するデータである。この顧客からの用力に関する設備データの診断結果データは、用力監視結果データである。
【0194】
次に、データ判定工程(S13)が実行され、S12で取得された診断結果データの判定と採点が行われる。データ判定工程(S13)では、診断対象アイテムに関し、診断結果データが正常か異常か、また異常がどの程度であるかを判定する。
【0195】
(Detail Information画面の診断対象アイテムに対する判定)
詳細情報表示画面の診断対象アイテムに対する判定では、各診断対象アイテムについて、各診断結果データ(U.FDC、S.FDC、Parts、Alarmに関する診断結果データ)の判定と採点が行われる。
【0196】
例えば、診断対象アイテムが反応室温度の場合、画面表示制御部215bは、反応室温度について、装置状態監視制御部215eから受信し記憶部215hに記憶した診断結果データを用いて、
図9の点数欄の減点法に従い、診断結果データを判定し採点する。
【0197】
具体的には、画面表示制御部215bは、
図9に示す診断方法項目リストにおいて、異常データが2件以上である場合は異常大(×)と判定し、
図9の点数欄の「×」欄に定義されている点数を、満点(100点)から減算する。また、異常データ(異常と判定された診断結果データ)が1件の場合は異常小(△)と判定し、
図9の「△」欄に定義されている点数を、満点から減算する。また、異常データがない場合は正常(○)と判定し、満点とする。
【0198】
また、画面表示制御部215bは、そもそも診断対象とされていない場合や、診断対象アイテムに関連する診断結果データが取得されていない等、判定対象とする診断結果データが無い場合、データ判定対象外(―)と判定する。判定結果と採点結果は、記憶部215hに記憶される。
【0199】
図8の例では、まず、反応室温度アイテムに関する診断結果データの判定と採点が行われる。反応室温度アイテムについて、一つでも異常を示す診断方法項目が有れば、反応室温度データは異常と判定される。また、反応室温度データに関する全ての診断方法項目(U.FDC、S.FDC、Parts、Alarm)について、異常の発生が無い場合は、正常と判定される。
【0200】
反応室温度アイテムに関する診断結果データについての判定と採点が終了すると、次の診断対象アイテム(例えば反応室圧力)について、同様に、反応室圧力に関する各診断方法項目について、診断結果データの判定と採点が行われる。こうして、全ての診断対象アイテムに関する各診断方法項目について、診断結果データの判定と採点(つまり健康状態の定量化)が行われる。
【0201】
(Detail Information画面とHealth Summary画面の採点処理)
ここで、詳細情報表示画面と健康状態概要表示画面の採点処理について、詳しく説
明する。この処理では、画面表示制御部215bにより、次のS201〜S205に示すような採点が行われる。
【0202】
(S201)
まず、反応室温度アイテムについて、U.FDC、S.FDC、Parts、Alarmのそれぞれのマイナススコアを算出し合計する。
図8の例では、S.FDCについて2件以上のデータが異常である(×)ので、S.FDCのマイナススコアは30点である(
図9参照)。
【0203】
また、Partsについて1件のデータが異常である(△)ので、Partsのマイナススコアは10点である。U.FDCとAlarmは、マイナススコアなしである。したがって、反応室温度アイテムについて、マイナススコアの合計は40点となり、スコア(Score)は、60点(100−40)となる。
【0204】
(S202)
この判定と計算を、診断対象アイテム全て、つまり、Detail Information画面のModule
全て(
図8に示す反応室の温度から顧客用力の水まで)について実施し、診断対象アイテム全てについてのスコアを取得し、記憶部215hに記憶する。
【0205】
(S203)
次に、診断対象アイテム全てを通算した、各診断方法項目(U.FDC、S.FDC、
Parts、Alarm)それぞれの、マイナススコアの合計を算出し、記憶部215hに記憶する。
【0206】
例えば、U.FDCについて、診断対象アイテム全て(反応室の温度〜顧客用力の水)
のマイナススコアの合計を算出する。
図8の例では、反応室排気圧アイテムについて1件
のデータが異常であり(△)、顧客用力の排気圧アイテムについて1件のデータが異常で
ある(△)ので、U.FDCのマイナススコアの合計は30点となる。
【0207】
同様にして、S.FDCのマイナススコアの合計、Partsのマイナススコアの合計、Alarmのマイナススコアの合計を算出する。
図8の例では、S.FDCのマイナススコアは30点、Partsのマイナススコアは20点、Alarmのマイナススコアは5点となる。
【0208】
(S204)
次に、各診断方法項目(U.FDC、S.FDC、Parts、Alarm)に関するマイナススコアについて、それぞれ、当日の現在値、当日分の平均値、直近1週間の平均値、直近1カ月間の平均値を算出し、記憶部215hに記憶する。直近1週間の平均値は、1日分の平均値(又は最高値)を1週間で平均したものであり、直近1カ月間の平均値は、1日分の平均値(又は最高値)を1カ月間で平均したものである。
【0209】
(S205)
次に、各診断方法項目(U.FDC、S.FDC、Parts、Alarm)に関するマイナススコアについて、それぞれの当日の現在値を合計し、この合計値を満点(100点)から減算することにより、装置1の健康指数(装置の総合的な運用状態の評価指数)を算出する。
図8の例では、健康状態概要表示画面に健康指数95点が表示されている。なお、この95点は例示であり、詳細情報表示画面のスコアとは整合がなされていないことに留意されたい。
【0210】
なお、実施例1では、異常データの個数で「△」「×」を区分けしているが、この形態に限定されず、異常が1件以上でもあれば、「×」とし、異常に近づいていることを示す警告が1件以上でもあれば、「△」と定義するよう構成してもよい。
【0211】
また、上述の説明では、S203において、各診断方法項目(U.FDC、S.FDC、Parts、Alarm)それぞれの、マイナススコアの合計を算出し、記憶部215hに記憶するようにしたが、各診断方法項目のスコア(100点−マイナススコア)の合計を算出し、記憶部215hに記憶するように構成してもよい。
【0212】
また、上述の説明では、S204において、各診断方法項目(U.FDC、S.FDC、Parts、Alarm)に関するマイナススコアについて、それぞれ、当日の現在値、当日分の平均値、直近1週間の平均値、直近1カ月間の平均値を算出し、記憶部215hに記憶するようにしたが、各診断方法項目のスコア(100点−マイナススコア)について、それぞれ、当日の現在値、当日分の平均値、直近1週間の平均値、直近1カ月間の平均値を算出し、記憶部215hに記憶するように構成してもよい。
【0213】
(Supply Check画面の診断対象アイテムに対する判定)
また、データ判定工程(S13)では、供給状態表示画面に用いる診断結果データが判定される。すなわち、それぞれの診断対象アイテムの基板処理開始時における実測値が、初期値表で示される基準値やマスター装置の値と、所定の閾値(例えば±3%)を超えるか否かが判定される。
【0214】
図8の例では、Cooling Water Flowについて、装置1のプロセス開始時の値が、初期値表で示される基準値から±3%を超えている事象(Aで示す)が2件、LTP Purge&Blowerについて、装置1のプロセス開始時の値が、マスター装置の値から±3%を超えている事象(Bで示す)が1件、Exhaustについて、装置1のプロセス開始時の値が、初期値表で示される基準値から±3%を超えている事象(Aで示す)が1件あると判定されている。
【0215】
(判定結果表示工程:S14)
次に、判定結果表示工程(S14)において、画面表示制御部215bは、データ判定工程(S13)の判定結果と採点結果を、記憶部215hから読み出して、
図8に示す詳細情報表示画面、異常部位表示画面、健康状態概要表示画面、供給状態表示画面を更新して表示する。
【0216】
(Detail Information画面の更新)
詳細情報表示画面の更新においては、各診断対象アイテムに関する各診断方法項目欄(U.FDC、S.FDC、Parts、Alarm)の診断結果データについて、正常の場合は「○」を、2件以上異常と判定された場合は「×」を、1件異常と判定された場合は「△」を、判定対象とする診断結果データが無い場合は「―」を、Detail Information画面の各診断方法項目欄(U.FDC、S.FDC、Parts、Alarm)にそれぞれ表示する。また、各診断対象アイテムに関するスコアを、詳細情報表示画面のScore欄に表示する。
【0217】
詳しくは、U.FDCやS.FDCに関する診断結果データが異常判定無(異常データ無)である場合は「○」を、1件の装置状態監視データに異常判定有(異常データ有)である場合は「△」を、2件以上の装置状態監視データに異常判定有(異常データ有)である場合は「×」を表示する。これにより、U.FDCやS.FDCに関する異常状態を、容易に把握することができる。
【0218】
また、Partsに関する診断結果データが異常判定(閾値超え)無しである場合は「○」を、1件の部品データに異常判定(閾値超え)有りである場合は「△」を、2件以上の部品データに異常判定(閾値超え)有りである場合は「×」を表示する。これにより、部品寿命に関する異常状態を、容易に把握することができる。
【0219】
また、Alarmに関する診断結果データに関し、障害情報データ無しの場合は「○」を、1件の障害情報データ有りの場合は「△」を、2件以上の障害情報データ有りの場合は「×」を表示する。障害情報データの識別子(ID)が同じである場合は、アラームの発生数に関係なく1件の障害が発生していると診断される。これにより、障害情報発生状態に関する異常状態を、容易に把握することができる。
【0220】
また、詳細情報表示画面において、「×」は赤色、「△」は黄色で色分け表示される。Score欄についても、点数が100点未満で80点以上であれば黄色、80点未満
であれば赤色でそれぞれ色分け表示される。
【0221】
なお、詳細情報表示画面において、「×」または「△」が表示されているセルがクリックされると、画面表示制御部215bは、更に、診断対象アイテムの詳細情報を表示するように構成されている。これにより、例えば、診断対象アイテムが反応室温度である場合、反応室のどの部分(上段、中段、下段等)の温度が異常の原因となっているが分かるようになっている。
【0222】
(Health Check View画面の更新)
また、画面表示制御部215bは、装置1の全体図を表示しつつ、異常と判定された診断結果データを含むユニット(
図8では区分と示す)やアイテム(
図8ではModuleと示す)が、つまり、異常と判定された装置1の構成部位が、異常であると判別できるように、マーキング、又は着色し、異常部位表示画面を更新して表示するよう構成してもよい。
図8の例では、装置1の全体斜視図において、反応室ユニット(図中のA)を赤色で着色し表示している。なお、異常の判別表示は、例えば、FDC、Parts、Alarm等の診断方法項目のそれぞれにおいて異常が2個以上ある場合や、Score欄のスコアが所定点数以下の場合に行われるよう適宜設定される。
【0223】
(Health Summary画面の更新)
また、画面表示制御部215bは、当日や過去1週間や過去1ヶ月のU.FDC、S.FDC、Parts、Alarmに関する健康状態の変化を健康状態概要表示画面に表示するよう構成されている。
図8の例では、画面表示制御部215bは、各診断方法項目(U.FDC、S.FDC、Parts、Alarm)に関して、上述したように、それぞれ、当日のスコア、直近の1週間におけるスコアの平均値、直近の1ヶ月におけるスコアの平均値を算出し、棒グラフで健康状態概要表示画面に表示する。棒グラフの縦軸は比較するための相対値で、縦軸の0〜4が、スコアの0〜100に相当する。
【0224】
この健康状態は、満点(100点)から、当日や過去1週間や過去1ヶ月のU.FDC、S.FDC、Parts、Alarmのマイナススコアを減算したものである。これにより、操作者は、各診断方法項目(U.FDC、S.FDC、Parts、Alarm)に関して、当日の装置健康状態、直近の1週間における健康状態、直近の1ヶ月における健康状態を、容易に把握することができる。
【0225】
なお、当日や過去1週間や過去1ヶ月のU.FDC、S.FDC、Parts、Alarmの件数やマイナススコアを、棒グラフで健康状態概要表示画面に表示するように構成してもよい。これにより、U.FDC、S.FDC、Parts、Alarmのそれぞれの異常状態変化を容易に把握できる。
【0226】
また、画面表示制御部215bは、装置の健康状態を示す健康指数を、健康状態概要表示画面に更新して数値表示するよう構成されている。
図8の例では、健康状態概要表示画面の右上部に、「95点」として表示している。この健康指数は、上述のS205で示したように、各診断方法項目(U.FDC、S.FDC、Parts、Alarm、Score)を集約した総合点数である。
【0227】
これにより、操作者は、当日の装置健康状態を、簡単に一目で把握することができる。なお、健康指数を、数字でなく過去数週間分または数日分を含む棒グラフ等で表示してもよい。このように表示すると、例えば、直近の1週間における装置健康状態の推移が容易にわかる。また、この健康指数が所定の閾値以下になると、装置1の健康状態を確認させるために、装置1のブザーを鳴動し警報を出すよう構成してもよい。
【0228】
(Supply Check画面の更新)
また、画面表示制御部215bは、診断結果データ取得工程(S12)で取得した、診断対象アイテムであるPrecursor、Cooling Water Flow、LTP Purge&Blower、Exhaust、Pump、FANに関する設備データの診断結果データに基づき、供給状態表示画面を更新して表示する。このとき、画面表示制御部215bは、設備データのうち異常と診断された診断結果データの数だけ、異常発生を示すアイコンを表示する。
【0229】
例えば、上述の診断対象アイテムの実測値が、初期値表で示される基準値と±3%を超えて異なると、その旨を示すアイコンAを、供給状態表示画面の該当項目に対応させて表示する。また、それぞれの診断対象アイテムの実測値が、マスター装置の値と±3%を超えて異なると、その旨を示すアイコンBを、供給状態表示画面の該当項目に対応させて表示する。アイコンAとアイコンBは、例えば、感嘆符を図形化したものであり、色を異ならせることにより、互いに識別可能に表示される。
図8の例では、アイコンAとアイコンBを、それぞれ、AとBで示している。
【0230】
このように、判定結果表示工程(S14)では、画面表示制御部215bは、診断結果データ取得工程(S12)で取得したデータや、データ判定工程(S13)の判定結果と採点結果に基づいて、集約画面表示工程(S11)で取得した各画面ファイルを加工して、表示するよう構成される。
【0231】
本実施例においては、画面表示制御部215bは、
図8に示される集約画面を表示するよう構成されるが、
図8の図示例は、あくまでも本発明を説明する一例を示すためのものである。
【0232】
例えば、供給状態表示画面において設備データとして6つの項目が定義されているが、この形態に限定されない。また、詳細情報表示画面、異常部位表示画面、健康状態概要表示画面も同様に、本実施形態に限定されない。例えば、詳細情報表示画面において、ユニット(
図8では区分と示す)やアイテム(
図8ではModuleと示す)は、任意に設定される。また、顧客用力を装置1の健康診断から除外するような場合は、詳細情報表示画面から区分である顧客用力を除外するよう構成することもできる。
【0233】
なお、
図8の例では、異常部位表示画面、供給状態表示画面、健康状態概要表示画面、詳細情報表示画面の計4画面を表示したが、この4画面のうち、いずれか1画面を表示するように構成してもよいし、あるいは、この4画面のうち、任意の複数画面を表示するように構成してもよい。
【0234】
実施例1における画面表示制御部215bの画面表示処理によれば、以下に示す1つ
又は複数の効果を奏する。
【0235】
実施例1によれば、画面表示制御部215bが、健康状態概要表示画面に、各診断方法項目(U.FDC、S.FDC、Parts、Alarm)毎に、スコア又はマイナススコアあるいは異常件数を表示するよう構成したので、当日の装置健康状態、直近の1週間における装置健康状態、直近の1ヶ月における装置健康状態を、各診断方法項目毎に、容易に把握することができる。
【0236】
実施例1によれば、画面表示制御部215bが詳細情報表示画面において、複数の診断対象アイテムに対して、それぞれ、装置データに基づく異常診断を行う診断方法項目(FDC)の診断結果と、装置1を構成する部品の使用時間又は使用回数に関する診断方法項目(Parts)の診断結果と、装置1のアラーム(障害情報)の発生回数に関する診断方法項目(Alarm)の診断結果とを表示するよう構成したので、それぞれの診断対象アイテムに対する各診断方法項目の診断結果を、容易に把握することができる。
【0237】
更に、画面表示制御部215bが、各診断対象アイテムに対して、健康度(正常度)を示すスコアを表示するよう構成したので、それぞれの診断対象アイテムに対する健康度を、容易に把握することができる。
【0238】
(実施例2)
次に、
図7に示す画面表示プログラムの処理フローに基づいて、
図18に示す装置1の運用状態の集約画面を操作表示部227に表示させる処理、および、
図18に示す診断対象アイテムを用いて装置1の運用状態を評価した情報を導出する処理についてそれぞれ説明する。ここで、実施例2では、
図9における診断方法は実施例1と同様である。その他、実施例1と重複する部分については適宜省略しつつ、以下、実施例2について説明する。
【0239】
本実施例において、装置管理コントローラ215が有する4つの機能(データ整合、部品管理、装置状態監視、データ解析支援)のうち、装置状態監視制御部215eが出力する装置状態監視結果データ、部品管理制御部215dが出力する保守時期監視結果データ、データ整合制御部215cが出力する用力監視結果データに基づき、装置1の運用状態を示す情報を導出するよう構成されている。
【0240】
先ず、
図7に示す集約画面表示工程(S11)が実行される。これにより、Health Check View画面(異常部位表示画面)、Supply Check画面(供給状態表示画面)、Health Summary画面(健康状態概要表示画面)、Total Scoring Table画面(詳細情報表示画面)、Parameter Matching画面(ファイル照合比較表示画面)を含むアイコンファイルが、記憶部215hから読み出され、それぞれの各画面が、例えば、
図18に示されるように操作表示部227の画面に一括して表示される。
【0241】
Total Scoring Table画面(詳細情報表示画面)は実施例1のDetail Information画面(詳細情報表示画面)と同じ診断対象アイテムであり、また、診断方法(U.FDC、S.FDC、Parts)も同じであり、画面の名称だけが異なる。尚、
図18では区分として反応室だけであるが図示しないスクロール部分でスクロールして他の診断対象アイテムを画面上に表示することができる。
【0242】
また、Supply Check画面(供給状態表示画面)は、項目として、カテゴリ(
図18でCategoryと記載)と診断結果(
図18でCheck Statusと記載)を追加しただけで診断対象アイテムは同じである。尚、このSupply Check画面(供給状態表示画面)も、図示しないスクロール部分でスクロールして他の診断対象アイテムを画面上に表示することができる。
【0243】
また、Health Summary画面(健康状態概要表示画面)は、実施例1と装置の統合的な運用状態を評価した情報を表示する部分だけのシンプルになっただけであり、Health Check View画面(異常部位表示画面)は実施例1と同様の画面である。
【0244】
Parameter Matching画面(ファイル照合比較表示画面)は、データ整合制御部215cによる後述するファイルマッチングを行った結果(マッチング率)を装置1の各コントローラ(制御部)に格納するファイルで表示するものである。尚、このファイルマッチングの結果は、装置1の運用状態を示す情報の定量化には関係しない。ここで、OUは操作部201、Roboは搬送制御部211、PMCは処理制御部212、SYSTEMは装置管理コントローラ215を示す。
【0245】
次に、
図7に示す監視結果データ取得工程(S12)において、Parameter Matching画面(ファイル照合比較表示画面)以外の画面ファイルに係るデータ取得については実施例1と同様なので記載を省略する。
【0246】
本実施例では、画面表示制御部215bは、データ整合制御部215cによるファイルマッチングした結果を必要に応じて記憶部215hから取得するよう構成されている。
【0247】
(ツールマッチング機能)
次に、データ整合制御部215cによるツールマッチング機能について、
図10〜
図12を用いて説明する。
【0248】
本実施形態では、リピート装置がマスター装置と直接通信し、マスター装置から必要データを取得する方式により、管理装置や上位コンピュータの一種であるHOSTコンピュータに頼ることなく、リピート装置自身で、リピート装置をマスター装置に整合させるツールマッチングを実現する。
【0249】
図10に示す様に、リピート装置、例えばリピート装置1(2)の主コント記憶部222に、初期情報としてマスター装置1(0)の名称及びIPアドレス(Internet Protocol Address)を設定できるようになっている。このマスター装置1(0)の名称及びIPアドレスは、例えば、リピート装置1(2)の操作表示部227から作業員により設定されるが、マスター装置1(0)からリピート装置1(2)へ配信するよう構成してもよい。マスター装置1(0)との接続にIPアドレスと名称の2つの情報を使う理由は、マスター装置1(0)との間でIPアドレスによる通信接続が確立した後、装置名称を照合する仕組みとしているからである。これにより、IPアドレス設定ミスによる誤接続を防止でき、作業員は、マスター装置を意識する事無く、マッチング(データ整合)作業ができる。
【0250】
図10に示すデータ整合制御において、リピート装置1(2)を含む装置1のデータ整合制御部215cは、マスター装置1(0)の主コント記憶部222から、レシピファイルやパラメータファイルを読み出し、装置1の主コント記憶部222に格納し、ファイルマッチングを行う。
【0251】
ファイルマッチングでは、マスター装置1(0)のレシピファイルをコピーして装置1のレシピファイルとし、マスター装置1(0)のパラメータファイルと装置1のパラメータファイルとの比較、照合を行う。
【0252】
なお、マスター装置1(0)から受信したレシピファイルやパラメータファイルを、主コント記憶部222に格納するのではなく、装置1の記憶部215hに格納し、ファイルマッチングを行うよう構成してもよい。
【0253】
パラメータファイルをコピーするのではなく比較する理由は、装置1の初号機納入後、装置1を運用する中で、ユーザが最適なパラメータを取得し、これをノウハウとして管理しているからである。このような事情がない場合は、パラメータファイルを比較するのではなく、レシピファイルと同様、コピーするようにしても構わない。逆に、レシピファイルをコピーするのではなく比較するよう構成することも可能である。
【0254】
データ整合制御(ツールマッチング)が行われているとき、
図11に示す様に、マスター装置1(0)とのファイルマッチング(レシピファイルはマスター装置1(0)からコピー、パラメータファイルはマスター装置1(0)との比較)の進捗表を、操作表示部227に表示する。これにより、作業員は、レシピファイルのコピーやパラメータの比較作業の進捗状況を容易に知ることができ、また、レシピファイルのコピーやパラメータの比較作業を容易に再開できる。
【0255】
図11の例では、レシピファイル1(Recipe 1)〜レシピファイル10(Recipe 10)を、マスター装置1(0)の該当レシピファイルからコピーし、リピート装置1(2)のパラメータファイル1(Parameter 1)〜パラメータファイル11(Parameter 11)を、マスター装置1(0)の該当パラメータファイルと比較している。
【0256】
例えば、レシピファイル1については、ファイル総数200のうち正常にコピーできたファイル数が160であり、正常にコピーできた比率(マッチング率)が80%である。レシピファイル1の「マッチング率」の欄には、正常にコピーできた比率(図では右上がりのハッチング模様)、コピー失敗した比率(図では点点模様)、コピー不可であった比率(図では左上がりのハッチング模様)、コピー未完了の比率(図では白地模様)が、左から順に、棒グラフで表示されている。
【0257】
なお、実際の画面では、正常にコピーできた比率を青色、コピー失敗した比率を黄色、コピー不可であった比率を赤色、コピー未完了の比率を白色で表示する等、色分けするのが好ましい。
【0258】
コピー不可は、例えば、プロセスレシピの場合、コピー先の装置1にコンビネーションファイルがないときに発生する。コピー未完了は、作業員がコピーを中断したときなどに発生する。コピー不可やコピー未完了であった場合は、コピー不可等の原因を取り除いた後、所定の操作、例えば、「マッチング率」欄の未完了のエリアを操作表示部227の画面上でクリックすることにより、コピーを再開することができるようになっている。
【0259】
他のレシピファイル2〜10についても、レシピファイル1と同様な態様で、「マッチング率」の欄が棒グラフで表示されている。そして、レシピファイル全体(レシピファイル1〜10)のマッチング率を示す総合マッチング率として85%が、「File」欄に表示されている。
【0260】
また、例えば、パラメータファイル1については、ファイル総数244のうち、比較結果が正常であった(つまり、ファイル内容が同一であった)ファイル数が231であり、比較結果が正常であった比率(マッチング率)が約95%である。パラメータファイル1の「マッチング率」の欄には、比較結果が正常であった比率(図では右上がりのハッチング模様)、比較結果が異常であった比率(図では左上がりのハッチング模様)が、左から順に、棒グラフで表示されている。
【0261】
他のパラメータファイル2〜11についても、パラメータファイル1と同様な態様で、「マッチング率」の欄が棒グラフで表示されている。そして、パラメータファイル全体(パラメータファイル1〜11)のマッチング率を示す総合マッチング率として92%が、「Parameter」欄に表示されている。
【0262】
また、パラメータファイル9の棒グラフに付された矢印で示すように、比較結果が異常であった場合、棒グラフの異常部分のエリアを操作表示部227の画面上でクリックすることにより、パラメータファイルの相違点を詳しく表示することができるようになっている。
【0263】
図12は、本実施形態に係るファイルマッチングの処理フロー図である。この処理フローは、データ整合制御部215cにより実行される。
【0264】
まず、1つ目のレシピファイルのコピーが行われる(
図12のステップS21)。そのレシピファイルがコピー不可であった場合は(S22でYes)、赤色表示フラグをONにして(S23)、ステップS27へ移行する。コピー可であった場合は(S22でNo)、コピーを失敗したか否かがチェックされ、コピー失敗であった場合は(S24でYes)、黄色表示フラグをONにして(S25)、ステップS27へ移行する。コピー失敗でなかった場合は(S24でNo)、青色表示フラグをONにして(S26)、ステップS27へ移行する。
【0265】
ステップS27では、全てのレシピファイルのコピーが終了したか否かがチェックされる。全てのレシピファイルのコピーが終了していない場合は(S27でNo)、S21へ戻り、次のレシピファイルのコピーが行われる。
【0266】
全てのレシピファイルのコピーが終了した場合は(S27でYes)、1つ目のパラメータファイルの比較が行われる(S28)。そのパラメータファイルに相違点があった場合は(S29でYes)、赤色表示フラグをONにして(S30)、ステップS32へ移行する。相違点がなかった場合は(S29でNo)、青色表示フラグをONにして(S31)、ステップS32へ移行する。
【0267】
ステップS32では、全てのパラメータファイルの比較が終了したか否かがチェックされる。全てのパラメータファイルの比較が終了していない場合は(S32でNo)、S28へ戻り、次のパラメータファイルの比較が行われる。
【0268】
全てのパラメータファイルの比較が終了した場合は(S32でYes)、
図11に示すマッチング進捗画面を操作表示部227の画面に表示させる。このとき、青色表示フラグ、赤色表示フラグ、黄色表示フラグがONされているファイルについては、
図11のマッチング率の欄を、それぞれ、青色、赤色、黄色で表示する。また、未完了のファイルについては、
図11のマッチング率の欄を、白色で表示する。その後、本処理を終了する。
【0269】
また、データ整合制御部215cは、上述のデータ整合制御部215cのマッチング処理が終了(S32でYes)すると、マッチング率を示す総合マッチング率を含む全てのマッチング処理した結果を記憶部215hに記憶する。
【0270】
本実施形態におけるデータ整合制御部215cのマッチング処理によれば、データ整合制御部215cは、装置1のファイルと、マスター装置のファイルとの間のコピーや比較を行うよう構成しているので、装置1のファイルの信頼度を高めることができる。
【0271】
本実施形態におけるデータ整合制御部215cのマッチング処理によれば、データ整合制御部215cは、ファイルのコピー不可、コピー失敗、コピー未完、相違点の有無を表示するよう構成しているので、コピー不可、コピー失敗、コピー未完、相違点の有無を把握することが容易となる。
【0272】
本実施形態におけるデータ整合制御部215cのマッチング処理によれば、データ整合制御部215cは、表示されたファイルの相違点を示す部分がクリックされると詳細を表示するよう構成しているので、ファイル相違点の詳細を容易に把握することができる。
【0273】
尚、本実施形態における画面表示制御部215bは、データ整合制御部215cによるファイル全体をマッチングした総合マッチング率を記憶部215hから取得し、ファイル照合比較表示画面のマッチング率(Matching Rate)を表示するよう構成されている。
【0274】
次に、データ判定工程(S13)が実行され、S12で取得された診断結果データの判定と採点が行われる。実施例1と同様にデータ判定工程(S13)では、診断対象アイテムに関し、診断結果データが正常か異常か、また異常がどの程度であるかを判定する。
【0275】
(Total Scoring Table画面の診断対象アイテムに対する判定)
詳細情報表示画面の診断対象アイテムに対する判定では、各診断対象アイテムについて、各診断結果データ(U.FDC、S.FDC、Partsに関する診断結果データ)の判定が行われる。
【0276】
具体的には、画面表示制御部215bは、U.FDC、S.FDCに関する診断結果データにおいて、異常データ(異常と判定された診断結果データ)が5件以上である場合は異常大(×)と判定し、また、異常データが1件から4件の場合は異常小(△)と判定し、また、異常データがない場合は正常(○)と判定する。尚、異常データ1件につき配点は1点である。
【0277】
また、画面表示制御部215bは、そもそも診断対象とされていない場合や、診断対象アイテムに関連する診断結果データが取得されていない等、判定対象とする診断結果データが無い場合、データ判定対象外(―)と判定する。以後、×はエラーアイコンであり、△は警告アイコンであり、○は正常アイコン、−は除外アイコンという場合がある。尚、判定結果と採点結果は、記憶部215hに記憶される。採点結果に関しては後述する。
【0278】
また、画面表示制御部215bは、判定した結果を詳細情報表示画面に表示するように構成されており、
図18の例では、アイテム(Module)のボートに関する装置データを
図9に示すU.FDCで診断した結果、異常データが1件あったことを示している。つまり、健康状態概要表示画面に99(100−1)と表示しているため異常データの個数が1件と推測される。
【0279】
次に、画面表示制御部215bは、Parts(部品管理)に関する診断結果データにおいて、異常データの程度を判定するよう構成されている。画面表示制御部215bは、異常データ(異常と判定された診断結果データ)が20件以上である場合、異常大(×)と判定し、また、異常データが1件から19件の場合は異常小(△)と判定し、また、異常データがない場合は正常(○)と判定する。尚、
図18の例では、データ判定対象外としているため、全アイテムに除外アイコン(―)が表示されている。
【0280】
尚、異常データ1件から4件につき配点は1点であり、異常データ5件から9件までの配点は2点であり、異常データ10件から14件までは3点であり、異常データ15件から19件までの配点は4点である。要するに画面表示制御部215bは、異常データが20件までは異常小と判定し、警告アイコン(△)を、詳細情報表示画面に表示するよう構成される。
【0281】
また、画面表示制御部215bは、部品管理制御部215d、装置状態監視制御部215eがそれぞれ出力した異常と判定された診断結果データに相当する構成部位を異常部位表示画面上で判別できるように表示するよう構成されている。
【0282】
(Supply Check画面の診断対象アイテムに対する判定)
また、データ判定工程(S13)では、データ整合制御部215cが出力する診断結果データ(用力監視結果データ)が判定される。すなわち、画面表示制御部215bは、それぞれの診断対象アイテムの基板処理開始時における実測値が基準データと所定の閾値(例えば±3%)を超えるか否かが判定される。尚、
図18の例では、全てのアイテムに対する診断結果データが閾値内に収まっている例である。
【0283】
画面表示制御部215bは、装置1のプロセス開始時の値が、基準データ(初期値表で示される基準値)から外れているアイテムがあれば、該当する判定結果(Check Status)セルに異常が発生していることを示すアイコン(Aアイコン)を表示するように構成されている。画面上でAアイコンを選択すると、更に詳細な対象のアイテムに関する情報が表示される。例えば、一つのアイテムに対しての複数の設備データが関連しており、これら設備データのうち異常データ(異常と判定された用力監視結果データ)は赤色等に着色されるなど判別可能に表示されるよう構成されている。尚、この着色された設備データ(異常データ)が一つにつき配点は1点である。
【0284】
(Health Summary画面の採点処理)
次に、健康状態概要表示画面の採点処理について詳しく説明する。装置の総合的な運用状態の評価指数としての健康指数は、例えば、減算法を用いて次式で表される。
【0285】
健康指数 = 満点(100) - (異常と判定された用力監視結果データの数+異常と判定された装置状態監視結果データの数(U.FDC)+異常と判定された装置状態監視結果データの数(S.FDC) + Parts 減算数)
【0286】
ここで、Parts 減算数は、異常と判定された保守時期監視結果データの数が、1件から4件で減算数は1点、5件から9件で減算数は2点、10件から14件で減算数は3点、15件から19件で減算数は4点、20件から24件で減算数は5点・・・加算される数であり、異常と判定された保守時期監視結果データの数が略5倍で増加する数である。
【0287】
つまり、
図18で、健康指数は、100−(0−1−0−0)=99となる。
【0288】
また、異常と判定された装置状態監視結果データの数や異常と判定された用力監視結果データの数から算出される減算数は、異常の数を数えるだけでよく、特に注意は必要ないが、Parts 減算数は、診断対象アイテム毎に計算した後、更に合計しなければならないので、注意が必要である。
【0289】
次に、判定結果表示工程(S14)において、画面表示制御部215bは、データ判定工程(S13)の判定結果と採点結果を、記憶部215hから読み出して、
図18に示す詳細情報表示画面、異常部位表示画面、健康状態概要表示画面、供給状態表示画面を更新して表示する。
【0290】
(Total Scoring Table画面の更新)
画面表示制御部215bは、詳細情報表示画面の更新においては、各診断対象アイテムに関する各診断方法項目(U.FDC、S.FDC)欄の診断結果データについて、正常の場合は「○」を、5件以上異常と判定された場合は「×」を、1件から4件異常と判定された場合は「△」を、判定対象とする診断結果データが無い場合は「―」を、それぞれ表示する。
【0291】
また、画面表示制御部215bは、詳細情報表示画面の診断方法項目(Parts)欄の診断結果データについて、「○」「―」は、診断方法項目(U.FDC、S.FDC)と同様に表示し、診断方法項目(Parts)欄の診断結果データについて、20件以上異常と判定された場合は「×」を、1件から19件異常と判定された場合は「△」を、それぞれ表示する。
【0292】
尚、実施例1と同様にAlarm(障害管理)欄を追加して表示するように構成してもよく、また、各診断対象アイテムに関するスコアを、スコア欄を追加して表示するように構成してもよい。但し、この場合、画面表示制御部215bは、実施例1記載のS201乃至S205を実行するように構成される。
【0293】
また、実施例1と同様に、詳細情報表示画面において、「×」または「△」が表示されているセルがクリックされると、画面表示制御部215bは、更に、診断対象アイテムの詳細情報を表示するように構成されている。
【0294】
(Health Check View画面の更新)
画面表示制御部215bは、実施例1と同様に、装置1の全体図を表示しつつ、異常と判定された診断結果データを含むユニット(
図18では区分と示す)やアイテム(
図18ではModuleと示す)が、つまり、異常と判定された装置1の構成部位が、異常であると判別できるように表示するように構成されている。
【0295】
(Health Summary画面の更新)
画面表示制御部215bは、装置状態監視制御部215eが出力する装置状態監視結果データ、部品管理制御部215dが出力する保守時期監視結果データ、データ整合制御部215cが出力する用力監視結果データをそれぞれ用いて、装置1の運用状態を示す情報を導出するように構成されている。
【0296】
具体的には、画面表示制御部215bは、装置状態監視制御部215eが出力する異常と判定された装置状態監視結果データ、異常と判定された部品管理制御部215dが出力する保守時期監視結果データ、異常と判定されたデータ整合制御部215cが出力する用力監視結果データを用いて、減算法により装置1の健康指数(健康状態を示す指数)を表示するよう構成されている。
【0297】
(Supply Check画面の更新)
また、画面表示制御部215bは、診断結果データ取得工程(S12)で取得した、診断対象アイテムであるプリカーサ(
図8のPrecursor)、冷却水(
図8のCooling Water Flow)、パージ温度(
図8のLTP Purge&Blower)、排気(
図8のExhaust)、ポンプ(
図8のPump)に関する設備データの診断結果データに基づき、供給状態表示画面を更新して表示する。
【0298】
(Parameter Matching画面の更新)
また、画面表示制御部215bは、診断結果データ取得工程(S12)で取得したファイルマッチング対象のアイテムであるPMC、SYSTEM、OU、Roboに関するファイルマッチングした結果のデータのうち総合マッチング率を示すデータに基づき、ファイル比較表示画面を更新して表示する。
【0299】
このように、実施例2によれば、画面表示制御部215bは、基板処理開始前に装置1(リピート装置)とマスター装置とのパラメータファイル比較した結果を表示するよう構成されているので、マッチング率が低い場合は、マスター装置とのファイルの整合が取れるまで基板処理を開始させないようにする等の対応ができる。更に、基板処理用のレシピファイルと関連するパラメータファイルであれば、マッチング率が低い場合、レシピの実行を禁止することにより、ロットアウトを抑制できる。
【0300】
実施例2によれば、画面表示制御部215bは、顧客工場から提供される設備データと基準データとを比較した結果を示す用力監視結果データを装置1の運用状態を示す情報の導出に用いるようにしているので、より精度良く装置の総合的な運用状態を評価することができる。
【0301】
尚、上述したような本実施形態において、更に、装置管理コントローラ215は、装置1の運用状態を示す情報を、上位コントローラに通知するよう構成しても構わない。
【0302】
また、上述したような本実施形態において、例えば、装置1の運用状態を示す情報を定量的に算出する場合に、減算法(満点から減算していく方法)を用いたが、この算出方法に限定されることは無く、例えば、異常の数に応じてポイントを加算するようにしてもよい。
【0303】
本実施形態における装置管理コントローラ215によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0304】
(1)本実施形態によれば、部品管理制御部215dで取得される保守時期監視結果データと装置状態監視制御部215eで取得される装置状態監視結果データとデータ整合制御部215cで判定される用力監視結果データよりなる群から選択される複数の監視結果データに基づき、装置の運用状態を評価した情報を導出するよう構成されているので、装置管理コントローラ215が装置の総合的な状態を一元管理でき、より精度良く装置の総合的な運用状態を評価することができる。
【0305】
(2) 画面表示制御部215bが、健康状態概要表示画面に、健康指数を表示するよう構成したので、装置の運用状態を定量的に一目で把握することができる。
【0306】
(3)画面表示制御部215bが、異常部位表示画面に、異常と判定された診断結果データを含む装置1の構成部位を、異常であることが判別できるように表示するよう構成したので、どの部位が異常であるかを容易に把握することができる。
【0307】
(4)画面表示制御部215bが、供給状態表示画面に、装置1のプロセス開始時における設備データの実測値が、基準データに対し、所定の閾値を超えたことを表示するよう構成したので、装置1のプロセス開始時における設備データが異常であることを容易に把握することができる。
【0308】
(5)更に、画面表示制御部215bが、この供給状態表示画面に、設備データの実測値が異常であることを、診断対象アイテム別に表示するよう構成したので、異常である診断対象アイテムを容易に把握することができる。
【0309】
(6)更に、画面表示制御部215bが、装置データの経時変化量に基づき標準データと比較して異常診断を行う診断方法項目について、装置1のユーザが作成し使用する診断方法であるU.FDCに加えて、装置1のメーカが作成し使用する診断方法であるS.FDCを表示するよう構成したので、各診断対象アイテムに対するS.FDCの診断結果を、容易に把握することができる。
【0310】
(7)更に、画面表示制御部215bが、U.FDCとS.FDCとに分けて表示するよう構成したので、各診断対象アイテムに対するU.FDCとS.FDCのそれぞれの診断結果を、容易に把握することができる。
【0311】
(8) 画面表示制御部215bが詳細情報表示画面において、複数の診断対象アイテムに対して、それぞれ、装置データに基づく異常診断を行う診断方法項目(FDC)の診断結果と、装置1を構成する部品の使用時間又は使用回数に関する診断方法項目(Parts)の診断結果と、を表示するよう構成したので、それぞれの診断対象アイテムに対する各診断方法項目の診断結果を、容易に把握することができる。
【0312】
なお、本発明の実施形態に於ける基板処理装置1は、半導体を製造する半導体製造装置だけではなく、LCD(Liquid Crystal Display)装置の様なガラス基板を処理する装置でも適用可能である。又、露光装置、リソグラフィ装置、塗布装置、プラズマを利用した処理装置等の各種基板処理装置にも適用可能であるのは言う迄もない。
【0313】
更に、成膜処理には、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)等の薄膜を形成する処理や酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理でも実施可能である。